January 31, 2006

モバイルSUICAを早速使ってみた

先週土曜日(28日)から始まったモバイルSUICA。

MovileSuica.jpg


携帯も902iに変えて、

p902i.jpg

さっそく使ってみました。


ICカード同士の干渉
2年半くらい携帯を変えてなくて、そろそろあちこち壊れてきたとか、物欲にかられた、ということもありますが、考えたことの一つに「ICカードの干渉」ということがあります。

最近では、ビルの入退室も非接触型のICカードが増えて、そういうカードとかSUICAとかを定期入れに入れてゲートを通ろうとすると、うまく読めなくて毎回「ピピピッ」と引っかかって腹立たしい思いをしてる方も多いかと。

SUICAとかEdyとかのFelica系は、携帯電話の中にしまってしまえば、干渉しなくなるはず。


設定の複雑さは?
機種変更に小一時間かかるので、その間にJRのホームページで「仮登録」を実行。(膨大な登録項目を、全部 携帯から打ち込むのは、コギャルならともかく、おじさんにはつらい。)機種変更後、早速SUICAのアプリをダウンロードして、SUICAが使えるようにしてみました。

しかしなんと、モバイルSUICAが使えるようになるまで、3つもiアプリをダウンロードしなければならないのであります。(携帯なので、アプリケーションのサイズが限定されるからか?一つのアプリから他のアプリを呼ぶ、とかできないんでしたっけ?)

これは、すくなくともうちの親(70歳代)には、複雑すぎて使えないことは間違いなし。


ビックカメラのポイントカードもFelica対応に
ビックカメラで購入したのですが、ビックのポイントカードも携帯の中に収まりました。
こちらは、携帯の設定自体はかんたん。ただ、既存のカードからポイントを移すのに、書類をたくさん書かないといけなくて、そこは面倒くさい。


Edyってどうよ?
今まで、Edyって、記念品でもらったりはするけど、持ち歩くのも面倒だったわけですが、こうして携帯で1本化できれば、使う機会も増えるかも知れませんね。


改札を通過
さて、いよいよ改札を通過。
パスワードや携帯のメールアドレスなど、ログインにたくさん文字を打ち込まないといけないので、改札を通る手前で毎回パスワードを入れたりしないといけないとしたら悲劇だと思ったのですが・・・そんなことはなかったのでご安心を。ただ、改札にかざすだけで通れます。


グリーン券の購入は?
最近は、グリーン券もSUICAに入るようになって、ホームで駅員さんが販売せずに、券売機に行列して買わないといけなくなったので、それがオンラインで買えるところも魅力だと思ったのですが・・・・グリーン券購入のメニューを開くと、「乗車駅(を入れろ)」と出てきます。券売機と違ってSUICA氏は今自分がどこにいるかはわからないわけですね。
しかも、(考えてみれば当然ですが)、湘南新宿ラインなど、車両がSUICA対応している路線の駅名しか出てきません。


電源が切れていても使えるのか?
電車の中でいろいろ新機種をいじくっていたら、途中で電池が切れて、「もしかして、電池が切れてると改札を出られない?!」という不吉な予感。しかし、携帯の電源が入って無くても、無事改札は通れました。(ほっ。)
今までのカードのSUICAと同様、ゲート側からの電波のエネルギーだけでチップが駆動する、ということですね。

−−−

で、家に到着して気づいたこと。
我が家は、FOMAだとアンテナが圏外と1・2本の間をふらふらしていて、電波が入らないんだった・・・。_| ̄|○

(おしまい)

January 30, 2006

トラフィック急増、ご愛読多謝

某新聞社さんの取材用の談話室みたいなところで取材を受けていたら、隣の席が急に騒がしくなって、「オヤジがね・・・」とかいう声が聞こえて来たのでふと見ると、山本譲二(氏)だった。「新曲のサビはね、♪〜」とかワンフレーズ歌ったりしてサービス満点で取材を受けてらっしゃいました。
芸能界でもかなり「大御所」の領域に達してらっしゃると思いますが、個別の新聞社さんにもセールスプロモーションに行かれるんですね。ご苦労様です。

−−−

さて、今回の「ホリエモン・ショック」で、おかげさまで、昨年の3月に匹敵する数の方々に見に来ていただいております。ありがとうございます。とは言え、ピークで1日5万ページビュー(PV)弱くらいですので、1日20万PVといわれる「真鍋かをりブログ」には遠く及びませんが。(笑)

ただ、私のような一般人には、20万PVというのは遠い世界かと思ってたのですが、先日、同じく通常は数万PV/日のブログを書かれている某氏からひさびさにお電話いただきまして、「テレビに出演したときに、『ブログを書いてまして』『私のブログにもありますが』とか、3回くらい『ブログ』と唱えると、トラフィックが20万PVくらいに跳ね上がるよ。」と教えていただきました。
なるほど〜。(今度機会があったらやってみよう。)

読者層ですが、前回、昨年春のときには、同じPVでもかなりコメント欄が荒れたんですが、今回は、おかげさまで、ネガティブな書き込みは基本的にゼロ。日本では「検察の捜査が入った=悪人」という観念になりがちということもあり、良くも悪くも「ホリエモンがいいか悪いか」というような議論にならなかった、という事件の性質もあるのかと思いますが。

というわけで、ピーク時には瞬間風速で世界7031位(Alexaベース)のトラフィック・ランクにまで到達しましたので、登頂記念にここにグラフを貼らせていただきます。


(7031)20060121alexa.png


こうなると、恐ろしいことに、日本で年間数億円の広告収入がある商業ネットサイトのトラフィックにも近づいてくるわけで、「オレにも1億円くらい貰えんもんだろうか」という考えも頭をよぎるわけですが、ただご案内の通りAdSenseなどいわゆる「(ロング)テール型」の広告だけだと、せいぜい数十万円程度の収入にしかならないはず。日本第4位(世界で20位台)のトラフィックを持つライブドアですら、広告収入は数億円程度だったそうですので、やっぱり、トラフィックも大事だけど、それをどう収益に結びつけるかという「ビジネスモデル」のほうがもっと大事なんでしょうね。

ではまた。

January 26, 2006

ライブドアの価値(オプションバリュー等の観点から)

前回のエントリでは、ライブドアの純資産価値的または清算価値的な観点からの価値を考えてみましたが、ライブドアの大きな特性の一つとして、「株式の一単元が非常に小さく、1株百数十円から売買できる」ということがあるかと思います。

もちろん、1株だけだと証券会社に支払う手数料の方が高くなっちゃうでしょうし、99年の証券自由化前の対面の証券会社だったら(もしかしたら今でも)迷惑がられて非常にイヤーな顔をされたかも知れませんが、オンライン証券会社で気兼ねなく百円だけの買い物ができるようになったのも、ここ5年で日本の証券市場が大きく変わったところではないかと思います。

さて、ライブドアのような知名度が高い会社が事件に巻き込まれているときに1単元が小さいと、前回書いたような会社全体のファンダメンタルな観点から見た「マクロなストラクチャー」と違って、「マイクロストラクチャー」的な効果がいろいろ強く出てきます。ニュートン力学では、ボールがまっすぐ転がるのが当たり前と思っていたものが、ミクロな世界に入ると量子力学的に位置や速度がボヤけた世界になるのと同じでしょうか。(ちゃうちゃう。)


「需給」という観点から理解すると、「100円でなら記念に買ってみたい」というような人が買い注文を出すことで、(売買高はともかく)値は付く可能性が非常に高まります。


「オプションバリュー」という観点からも、(上場廃止寸前のボロ株などによく見られる現象ですが)、「価格変動をする可能性(ボラティリティ、σ)」によるバリューが、会社の純資産といった「イントリンジックな([intrinsic]、本源的な、実体のある)」価値より高まってくるわけですね。


image001.gif


100円近辺で1日に10円も株価が動けば、すごいボラティリティで儲けのチャンスもあるわけですので、これにオプションバリューを認めるというのも、非常に経済合理的な話ではあります。

前回のエントリではどちらかというと悲観的な観点から純資産または清算価値[上図の青い線]の観点から考えてみましたが、粉飾決算の疑いがあるということは、需給による価格の不確実性のみならず、開示された純資産の(イントリンジックな)額についても不確実性が発生するわけで、(市場として全く望ましい姿ではないですが)、経済学的にはオプションバリュー計算式的な観点からの「実態」が出てしまうことになります。(上図の紫色の線でバリューが示されるイメージ。)


「株主総会出席権(券)」として
ライブドアの株主は、今、約20万人いるそうですが、「記念に一株くらい残しておこうか」とか、「株主総会で役員を糾弾してやる」とか、「応援したい」とか、「ホリエモンが挨拶に来るかも」とか、今まで株主でなかった人が「紛糾する株主総会を見てみたい」ということで、1株くらい買っておこうか、というニーズは結構ありそうです。

株主が、あと10万人増えて30万人になって、うち3万人株主総会に来るとすると、もうホテルの宴会場とかで入るところは無いはずなので、東京ドームくらいでしか株主総会が開催できなくなると思いますが。(笑)

ライブドアさん、昨年の中頃までは、登記上の本店が新宿区歌舞伎町になってたんですが、今見たら六本木ヒルズに移ってました。

現行商法ですと、招集地に関する規定が、

第二百三十三条  総会ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外本店ノ所在地又ハ之ニ隣接スル地ニ之ヲ招集スルコトヲ要ス

となってまして、(定款に定めてない限り)、港区本店だと文京区の東京ドームは使えないはず。新宿区なら文京区はお隣だったんですが・・・。(追記:ライブドアは、定款で全国どこでも株主総会を開催できるようにしたようです。コメント欄参照。)


4月からの会社法では、招集地に関する規定が削除されてますので、新社長の取締役選任などのために臨時株主総会を開催するのは4月以降と大胆な予測をしてみたりして。
(または、ホテルの宴会場等で、会場に入りきれない株主が、会場周辺で怒号を飛ばす、という姿か。)

いずれにしても、信託銀行の証券代行部さん等の想像を超えた前代未聞の株主総会になる可能性は、かなり高いかと思います。

もし、東京ドームとか同様のクラスで「歴史的なイベント」が行われるとしたら、その入場券が113円(本日終値)というのは、めちゃくちゃ安いですね。

マスコミの方々なども、各部・各番組などで1株づつ買うんじゃないでしょうか?

(ではまた。)

January 25, 2006

ライブドアの価値はどのくらいあるのか?(単体編)

25日は7日ぶりにライブドアの株価が付いて、終値も137円となりましたが、さて、ライブドアの株価は、どの辺で下げ止まるのでしょうか?


まずは、ライブドアの単体の貸借対照表(B/S)をビジュアライズしてみると、以下の通り、ライブドアの特性がよくわかるかと思います。


image001.gif


「営業っぽさ」がほとんどない
まず驚かされるのは、BSの右っかわは、ほとんど負債がなくて、資本金と資本準備金のみ。
まだライブドアさんは破綻したわけでもないので縁起でもないことを言うようですが、仮に今後破綻したとしたら、上場企業としては過去最高の自己資本比率での(負債の比率が極端に少ない)破綻、ということになるんじゃないでしょうか。

これは、増資や転換社債の転換、株式交換等による「ファイナンス」的活動の結果です。左っかわの資産を見てみても、現預金、短期貸付金、関係会社株式、関係会社長期貸付金等、「ファイナンス的」資産がほとんどを占めてまして、普通の会社に見られる「売掛金」とか「買掛金」といった営業っぽい項目は、全体のうちのほんのわずか。固定資産などの営業用の設備も微々たるものです。
利益剰余金も、まだ27億円程度で総資産の1.5%程度に過ぎません。

結果として、(やはり)ライブドア(単体)というのは、web制作やポータルやブログ等の「ネット」の会社というよりは、「ホールディングカンパニー」「投資会社」というのが、数字から見た実態かと思います。


ほんとに1,800億円あるのか?
報道では、「外資ファンドがライブドア買収に乗り出した」というような記事もあり、根拠として、「ライブドアの純資産は1,800億円くらいあるから、発行済株式総数10億株で割ると、180円くらいの価値はあるので、それ以下なら買い時」てなことが言われています。

が、ちょっと待っていただくと、今回、ライブドアには粉飾の容疑もかかっているわけで、まず、「純資産が1,800億円ある」という前提自体を疑ってかかる必要があるのは言うまでもありません。

もちろん、「生きている(「継続企業の前提」がある)」企業の場合には、企業価値はPERとかDCFとか、将来生み出すキャッシュフローを前提とした見方ではかられるわけですが、「24」に出てくるテロリスト風に言って「you’re a dead man.」、日本風?に言って「おまえはすでに死んでいる」という状態だと考えると、企業価値は純資産からさらに清算コスト(資産の処分価格と帳簿価格の差額などを含む)を差し引いた額にしかなりません。

企業が破綻するたびに「実質、債務超過だった!」てなことが報道されるわけですが、「生きていることを前提とした」値段と「死体」の値段では、当然、価格は変わってきます。(企業会計は、「継続企業の前提」のもとに作成されているのであって、「死ぬ」ことを前提にした数字は、「過度な保守的な会計処理」ということになりますので、死んで帳簿価格と違うのは、ある意味あたりまえです。)

以下、主立った項目を見ていきますと、


現預金
さすがに、会計監査で現金実査や預金の残高確認は行っているとすれば、昨年9月末時点の資産価値(純資産価値じゃなく)は、456億円くらいはありそうです。が、


貸付金
他の資産、短期貸付金(277億円)や関係会社長期貸付金(373億円)などは、実態のない企業や投資事業組合などに貸し出されているものだとすると、回収可能性(ほんとに返してもらえるのかどうか)が大きく問題になりそうですね。


関係会社株式
関係会社株式(501億円)のうち、株式交換で手に入れた会社のものは、おそらく相手の簿価純資産の価額でB/Sに載っていると思われますので、普通なら、それ以上の価格で売れるはずです。ただし、今回、実態のない会社や実質債務超過の会社をたくさん買収している可能性がありますので、そういうものは帳簿に記載された価格では処分できない(というか、ほとんど価値ゼロ)の可能性も。

弥生はキャッシュフローがストロングな感じがしますが(よく存じませんが)、セシールなどは少なくとも2004年12月期までは100億円近い赤字を出していた会社のようですし、買った価格で売れるんでしょうか。(まだ、詳細は見てません。)


偶発債務
で、今後、フジテレビをはじめとしたいろんな企業・個人から訴訟を受けることになりそうです。

フジテレビの出資が450億円で、ちょうど昨年9月末のキャッシュと同じくらいですから、フジテレビが訴訟で勝つ可能性が高まるほど→ライブドアの実質純資産は減って→その分またフジテレビの保有する株式の価値も目減りして損失も膨らむので→ライブドアの支払う賠償額は大きくなる・・・ということで、他の株式交換で株式を取得された会社の方々(投資事業組合に株式を買い取ってもらった方々はともかく、交換後ロックアップをかけられたなどで、まだライブドア株を処分されてなかった方々がいたとしたら)も、「だまされた」と訴訟して勝ったら・・・めぼしい資産(≒純資産→株価)はほとんど無くなってしまいそうですよね。

((気が向けば)続く。)

January 24, 2006

リーガル・リサーチ(LEGAL RESEARCH)第二版

おそれ多くも、日本評論社さんの「リーガル・リサーチ(LEGAL RESEARCH)第二版」に、isologueを載せていただきました。


regal_research.jpg
日本評論社
いしかわ まりこ、村井 のり子、藤井 康子(著)
(監修) 指宿 信 夏井 高人、井田 良、山野目 章夫


46ページに「インターネット上のリソース」のブログ編として引用していただいてます。
toshi先生のブログ(ビジネス法務の部屋)から始まって、11ほどブログが紹介されています。が、「なぜ、あのブログが載ってないの?」というものもいくつかあって、私のブログなんぞを載せていただくのは恐縮であります。

ネットだけでなくリアルの情報源も含めて、リーガル・リサーチの方法やリソースについてまとめてらっしゃいます。

ご参考まで。

January 23, 2006

今夜

複数のマスコミさんからの情報によると、大きな動きがあるようですね。

January 23, 2006

フジテレビのデューデリジェンスの責任

先日、知り合いのファンドの責任者の方から電話がかかってきて、
「いやー、昨年磯崎さんの話を聞いておいてよかった。うちのファンドは磯崎さんのおかげで救われたよ。」
とのこと。

以前の記事に書いたとおり、昨年3月頃にライブドアの開示資料の分析をしたところ、かなり「普通とは違う」取引をしてことが明らかだったので、「こうしたことが、仮に”違法”と判断されることになった場合には、ライブドア株のバリューがクラッシュするリスクもありますよ」という話をしたところ、「それまではかなり頻繁にライブドア株を売買していたのだが、その話を聞いて、その後一切手を出さなかったので助かったよ。」とのことです。

(投資はすべてそうですが)、これもあくまで結果論の話でありまして、このままライブドアが摘発されなかったら昨年3月から12月末まででライブドアの株価は倍増していたわけで、逆に大きな機会損失になったかも知れないわけですが、ともあれ、「役に立った」と言っていただくことは、コンサルタントの何よりの喜びであります。


フジテレビのデューデリジェンス
ブログの読者の方には、「そんな情報があるなら、なんでその時にブログに書かんのじゃい!」とお叱りを受けるかも知れませんが、当然、開示資料だけから「確実に違法」ということがわかるわけもないので(今ですら、まだ判決が出たわけでもないです)、違法性があることを前提にブログを書くわけにもいきませんでしたのでご容赦ください。

(しかたがないので、昨年4月下旬に「1級デューデリジェンス士過去問題例」と、わかる人にはわかる形で問題提起させてもらいました。)

(というわけで、私のことはご容赦いただくとして)、私が密かに期待していたのは、フジテレビがライブドアとの和解で出資をするときのデューデリジェンスの作業で、もしかして一波乱あるんじゃないか、ということ。

以前のエントリでもふれたように、開示されている資料からも、ライブドアというのは売り上げや利益の大半をITではなく「ファイナンス」関連で計上しており、また、投資事業組合や営業投資有価証券の名目で「グルグル」させている可能性は見て取れたわけで、ライブドアの財務デューデリを行う方は、当然、この点も深く追求してしかるべきだったかと思われます。
もちろん、適正意見の監査報告書がついた財務諸表に対してケチを付けるなんてことは普通では考えなくてもいいでしょう。しかし、友好的な資本提携ならともかく、フジテレビさんは直前まで「ライブドアは違法性のある行為(時間外取引の件)を行う企業」ということを公言していたわけですから、通常のデューデリより、さらに懐疑的になってしかるべきだった、とは言えるかと思います。

一方で、通常のデューデリ作業で今回報道されているようなからくりまで解き明かせる可能性というのは極めて低いことも確か。

ただ、監査法人も「違法」との確証を得られなくても「意見差し控え」とか会計監査人を辞任するとかの行為に出れば、世間に対して「ライブドア、なんか怪しそう」というワーニングにはなったのと同様、ここでフジテレビさんが、「デューデリの結果、出資によって当社の企業価値を損なうことにならないという確証が得られなかった」というような理由で、出資を取りやめたら、ライブドアにはかなりの打撃となったことは間違いありません。

ただ、あの時の状況では、それをやると「人質」になっているニッポン放送株の救出が困難になったわけで、たとえライブドア株によって損失が出る可能性を認識していたとしても、これ以上の混乱が起こることを回避し、ニッポン放送株の取得コストを高めに設定したと考えれば、経営判断としては許される範囲だったかと思います。一般の企業だったら間違いなくそうでしょう。

私自身は「放送事業の公共性」というのがいまいちピンと来ないので、どちらでもいいんですが、世間の人は、「公共性の高い」(とご自分でおっしゃる)放送事業を営むフジテレビさんがライブドアに出資するというのは、法的責任はともかく道義的な責任としてどうだったのか、という疑問があるかも知れませんが。

では、また。

January 22, 2006

ライブドア問題は「日本のエンロン事件」になるか?

監査法人の責任
前回のエントリに関して「ぬえ」さんからコメントいただきました。

ところで今回は監査法人にあんまり注目が集まっていないような気がしますが、そのへんはちょっと不思議です。

ですよねえ。
私もちょっと不思議に思っていたのですが、一昨日あたりからマスコミ各社の方々から、今回の監査法人についてどう思うか?というご質問をいただきはじめました。

「粉飾に協力してたんでしょうか?」というようなご質問も受けるんですが・・・んなことわかるわけないですよね。(粉飾かどうかもまだ判決が出たわけじゃないのに。)

「全く気付かなかった」か
「うすうす気付いてはいたがあえて触れなかった」か
「気付いていたが、適正だと判断した」か
「不適正と判断したが黙っていた」か
のどれかということになりますが、
売上に占める金額も非常に大きいので、これを全く気づかなかったとしたら監査法人としてはまずいですし、気付いていて触れないのは論外。「取引内容は理解していたがこれを適正だと判断した」というのは、今回の場合、かなり「クリエイティブ」な考え方ですよね。

つまり、詰め将棋的に考えて、どう転んでも今回の場合、監査法人さんの責任問題というのはキビシそうな気はいたしますが・・・・その辺は、今後の捜査や報道でわかってくることかと思いますので、このへんで。


波及効果
本当に報道されているように、ライブドアさんがSPV(というか投資事業組合)を関与させて決算を水増ししたのだとしたら、そういう意味では米国のエンロン事件に非常に似ていると言えます。
今回ご担当の監査法人さんは、パートナー数12名(ホームページによる)の中堅監査法人でしたので、売上に占めるライブドア関連会社からの報酬の比率も非常に高かったはず。これも、アーサー・アンダーセンのケースと同じ「経済的独立性」の話なのかも知れません。
いずれにせよ、あまり目新しい論点ではない、ということですね。

一方で、エンロンのケースと大きく違うのは、アンダーセンがたった1件の事件をきっかけに(真面目にやってた人を含め)世界数万人の組織が崩壊してしまったのに対し、今回は仮に監査法人さんが積極的に関与していたにしても、(トバッチリを食う人や企業には申し訳ないですが)、その影響は小さそうだ、というところでしょうか。

ライブドアさんが取った(という)手法も、「他の企業も結構やってる手法」ではなく極めて独自性が高いものじゃないかと予想しますので、そういう意味でも社会全体への影響は非常に小さいのではないかと想像します。

「小さい」といっても金額ベースで株式全体の時価総額の数%程度の影響(数兆円)にはなるかも知れませんが。ト○タさんとか新○鐵さんとかがもしこんなことをやってたのだとしたら、日本市場の信頼は確実に大崩壊するでしょうけど、この株高・景気回復トレンドの時に開示やコーポレートガバナンスに一石を投じるというのは、資産価値が実態から大きく乖離するバブルを牽制する意味でも、非常に費用対効果が高かったかと思います。

今後の世論の流れが、「企業価値の向上を追求することが"悪"なのではなく、コーポレートガバナンスが効いていないことが"悪"なのだ」という方向に行ってくれると、健全でいいんですけどね。


−−−

ちなみに、昨年11月の終わりに、知り合いの某氏から、「ライブドア担当の監査法人の代表社員○○さんと千葉でゴルフするんだけど、磯崎さんも来ない?」とお誘いをいただいたのですが、私は昨年3月にちょっと前に書いたエントリのような分析をしていたので、「ライブドアのBSに出資金勘定がありますけど、この出資先のファンドはライブドアさんが事実上コントロールしたりしてません?」とか「営業投資有価証券の売却を売上に立てたりしてません?」というようなことを聞きたくて聞きたくてしょうがなくなってゴルフどころじゃないと思ったので、「えー、その日はちょっと用がありまして〜」という感じでパスさせていただきました。

お会いしてたら、今回の一連のブログの記事も書くのがはばかられたと思いますので、お会いしなくてよかったかも知れませんね。:-)

(ではまた。)

January 21, 2006

ライブドア事件は「時価総額追求の終焉」か?

「ライブドアがこんなことになったことで、時価総額を追求する経営というのも疑問視されてくるんじゃないですかね〜」
てなことをテレビでおっしゃる方が非常に多いわけですが。

・・・んなわけないですわね。

これだけ資金がジャブついているわけで、この資金は間違いなく、(多少のでこぼこはあるにしても)、資本市場、特に時価総額を押し上げる態度を示す経営者やファンドの元に流れ込むに決まっています。

どのくらい資金がジャブついているか、というのを示すエピソードで「なるほど〜」と思ったのが、先日、米国東海岸にIRに行かれた方の話。
「IRの訪問先が、オーソドックスな投資顧問に加えて、ヘッジファンドがかなりの割合を占めていた。金が集まりすぎて、彼らもshortしている余裕が無く、long buyerになってきている様子がよく分かる。」
とのこと。(金が集まりすぎてショートしてる余裕がない、というのが最高に笑えました。)

日本だけでも、個人金融資産1400億円兆円の半分は(極めて低利の)「預貯金」として眠っており、

kakei_200509.jpg
出所:資金循環の日米比較:2005年3Q(日本銀行調査統計局)


これらは高齢層にかなりの部分が蓄積されているわけですが、今後、団塊のおじさま・おばさまが退職されて時間的余裕ができたら、(そんなに、ジャブジャブ消費する世代の人たちでもないと思いますし、かといってじっとおとなしくしてるタイプでも、「年金だけでそれ以上のお金は望まないよ」ということもなさそうですし、再就職先がふんだんにある、というわけでもなさそうなので)、持ってるお金のそこそこの部分が「投資」に向かう、と考えるのが自然。

そうした初心者の高齢の方がどんどん市場に参加してくることになるとすると、当然、「だまされる方が悪いんじゃー」という「自己責任論」よりは、「理解度に応じたわかりやすい説明をする」という「適合性原則」的な考え方や「預かった資産は最大限の努力をして運用します」という「受託者責任」的な考え方はますます強くなるはず。証券会社だけでなく、発行体である企業側の開示の責任の強化や、収益獲得・企業価値向上のための努力は、より求められこそすれ、減ることはないかと思います。(で、「投資サービス法制定」ってなことになるわけですが。)

つまり、今回の事件の影響による中長期的な方向性は、「コーポレートガバナンス、内部統制、コンプライアンスなどの強化」という流れであって、企業経営者の責任を軽減する「企業価値向上てなノリはもうちょっと控えめにしておきましょうよ」という流れはありえないと思います。

(ではまた。)

January 20, 2006

「会計のルールの穴」についての若干の補足

昨日のエントリで、

誤解を恐れずに大胆なことを言えば、「会計に『ルールの穴』なんか無い

と申しましたが、やはり誤解されるとヤなので(笑)、もうちょっと言葉を付け足しておきます。


「穴」というにはデカすぎる
会計というのは、昨日申し上げたように「明文化された公的なルール」で定まっている部分はごく一部な体系であるわけですから、「穴」と言えば全部が穴みたいなもんで。阿蘇山のカルデラを「穴」と呼ばないのと同じで、これも「穴」とは呼ばないんじゃないかと。
(追記:つまり、「漏れることはありえない」という意味ではありません。)

「時間外取引で1/3超を取得する」のと同じノリで、「どこにも悪いとは書いてないじゃないですか」という論理は会計の場合には通用しない(ハズ)、ということが一点。


会計で重要なのは「全体からの視点」
また、特に今回のことについて言えば、会社が行った処理が公正妥当なのかどうかをチェックするべき監査法人は、個々の取引(投資事業組合に出資するのがOKか?投資事業組合が自社株を取得するのがいいのか?等)を見るだけでなく、「取引全体の(経済的)意図」を見なければいけないハズだ、というのも一点。
報道されているように、投資事業組合を3つも経由して自社株を取得するというのは、経済的観点からは明らかに不自然なわけで、「なぜそうした形態を取る必要があるのか?」について担当者に聞きただし、もし「この組合は当社の管理下にないんで、よくわからないんですよ〜(へらへら)」てな答えが返ってきたら、(影響の大きさもあり)「意見」を差し控えることも検討すべきだったかと思います。

監査人は、職業的専門家としての正当な注意を払い、懐疑心を保持して監査を行わなければならない。(監査基準 第二 一般基準 3)

監査人は、重要な監査手続を実施できなかったことにより、自己の意見を形成するに足る合理的な基礎を得られないときには、意見を表明してはならない。(監査基準 第四 報告基準 一基本原則 4)


会計は「細かい」か?
一方で、会計には一見、非常に「おおざっぱ」に見える側面もあります。

私が社会人になってすぐのころ、監査法人出身の会計士の上司に言われて大変びっくりしたのは、「監査(会計)では、例えば、在庫の額が10億円違ってても構わないんだよ。」と言う言葉。

「えーっ!?そんな、バカな。」と言うと、
「例えば、在庫が1,500億円あって利益が2,000億円、自己資本が5,000億円ある会社なら、10億円在庫が違っていても、重要性の原則的に考えて全体の純資産や利益の額への影響は微々たるもんだろう?会計士の仕事は、帳簿を1円まで合わせることじゃなくて、あくまで全体として財務諸表が適正かどうかを見ることなんだ。」
というお話でした。
(もちろん、監査の実施プロセスでは1円単位のチェックを積み重ねていって、その合計として全体への影響が判断されるということです。)

「天網恢々疎にして漏らさず」という言葉がありますが、会計や監査(の理想像)というのは、「穴」はあるように見えても「漏れない」ということなのかなあ、と思いました。

本日の日経新聞朝刊の報道で、ライブドアの不正売却は「80億円」と出てましたが、これはライブドアの利益額や自己資本額に対して、重要性がある・ない、という小さなレベルの金額ではないわけです。個々の取引の一般論で見ると白か黒か迷う事象であっても、これが、決算を水増しするという意図の元に行われたのだとしたら、明らかに「黒」。「ルールの穴」ではなく、「ルール違反」かと思います。


会計(士)の判断の性質
昨日、「報道がホントだとしたら、会計士100人が100人、NOと言うであろう取引だ」というようなお話をしました。47thさんのエントリで、

この場合に、投資組合持分の取得価額100と売却額の200の差額を資本剰余金として計上しないといけないというのは、会計士の方100人に聞いて、どのぐらいの方がそうだと仰るんでしょう?

という疑問を呈されてらっしゃいますが、会計士は一つの取引だけ切り出されて一般論で「どう?」と聞かれても、前述のとおり実際には、「いい」とも「悪い」とも言えないものなわけです。あくまで、監査報告書を出す出さないの権限を持って監査をして、会社の取引の全体像をつかんだ上で、「いい」か「悪い」かがはじめて判断できる、ものになります。

同じく47th氏いわく、

ただ、法律家というのは、司法試験受験の過程で憲法の考え方を相当にたたき込まれるせいか、本能的に国家権力がフリーハンドを持つことに強い警戒感を持っているので、「粉飾」という概念が事実上捜査機関に大きな裁量を与えてしまうんじゃないかということもまた非常に気になるわけです。

私もこの事件がはじまったころには一瞬その危惧は感じたのですが、「検察が入って処理に粉飾の容疑がかかっている状況で、『あれは正しい処理だった』と主張する会計士は確実にゼロだと思われますので(笑)」と冗談めかして申し上げたのは、「会計士がみんな気が小さくてビビるやつばかりだから」というよりは、「検察によって(一般論ではなく、通常は会計監査の権限が及ばない他社なども含めた)取引の全容が解明される」ことによって、具体的なケースについての「いい」「悪い」の判断がしやすくなるから、という側面の方が強いかと思います。

(ご参考まで)

January 19, 2006

会計ルールの「穴」

47thさんから大変おもむきぶかいコメントをいただきましたので、取り上げさせていただきます。

なるほど、単体決算がどうのこうのだけじゃなく、CFまでいじっていたわけですか・・・ここまで来ると、ある意味、それはそれでよく考えられていますね。ただ、次の問題は、これは「違法」なのか「ルールの穴をうまくついた取引」だったのかというところですね。こちらは、相当難問な気がします。


「キャッシュフローまでいじっていた」か?
「単体決算がどうのこうのだけじゃなく、CFまでいじっていたわけですか・・・」という部分ですが、(当然、推測の域を出ませんが)、私は「逆」なんじゃないかと思います。

会計がちょっとでもわかっている人なら(特に、決算の見せ方を真剣に考えている人なら)、ある取引が貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)にどう反映されるかは真っ先に考えるはず。一方で、その取引がキャッシュフロー表(C/F)にどう反映されるかまで考える人は、日本だとまだ極めて少数派なんじゃないでしょうか。

おそらく、取引がB/S、P/Lにどう反映されるかというのは熟慮して、「営業投資有価証券売却売上」とか「営業投資有価証券」というような、株をグルグル回して売り上げを立てているというような痕跡は全くB/S、P/Lには出ないように考えたんだと思うんですけど、キャッシュフロー表にどう表示されるかまでは考えが及んでいなかった。(だから、そのへんに痕跡がちらっと残っちゃった。)・・・というあたりが真実じゃないでしょうか?

私も、これについて、ライブドアさんの有価証券報告書をパラパラ見ていて気づいたというわけではなくて、一番売上構成比の高いイーファイナンス事業を構成すると考えられる数字をどう積み上げても総額と大きな差が出てしまうので、「もしや子会社で投資業をやっていて、営業投資有価証券の売却を売り上げに立ててるのでは?」と思いさらっと見渡してみても見つからないので、pdfファイルの全文検索をかけたところ、キャッシュフロー表でその科目を発見した、というわけです。


「違法」か「ルールの穴」か?
「これは「違法」なのか「ルールの穴をうまくついた取引」だったのかというところですね。こちらは、相当難問な気がします。」という点についてですが。


私は、非常にシンプルに考えてまして、(もし報道されているような取引を意図的に行ってたのだとしたら)明確に「アウト」だと考えてます。

誤解を恐れずに大胆なことを言えば、「会計に『ルールの穴』なんか無い」、と言えるかと思います。

会計というのは、国・地域や業種業態によって異なるあらゆる取引をすべて最終的に「利益」とか「自己資本」などの数字に落とし込む行為なわけです。つまり、人間様が森羅万象についてのルールをすべて詳細に先回りして作っておくのはそもそも不可能な性質のもの。

このため、商法でも「公正ナル会計慣行を斟酌スヘシ」ということで、「公正なる会計慣行」に「あとはよろしく〜」とフっちゃってるわけですが、
で、「公正なる会計慣行」とはいったい何かというと、「企業会計原則」をはじめとする会計の諸規定などとされており、それでも全部の事象がルール化できるわけがないですから、ある処理や表示が「公正なる会計慣行」に準拠しているかどうかというのは、まさに監査法人や公認会計士という訓練を受けた「人間」が判断をすることになるわけです。

で、この企業会計原則の初っぱなが、

1.真実性の原則
企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。
(略)
3.資本取引・損益取引区分の原則
 資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。

会計原則でいう「真実」とは、「絶対的な真実」とは違って、業種・業態や人間の判断によって若干ゆらぐ性質の「相対的真実」である、てなことが言われ、「罪刑法定主義」とか「租税法律主義」というのとは違って、(明文の)ルールに沿っているかどうかが問われるのではなく、会計の目的(大原則)にそっているかどうかが問われると考えます。もちろん、「相対的真実」なので、人によって若干考え方が違う面はありますが、「企業の財政状態や利益を適正に表示すること」は大原則中の大原則。にもかかわらず資本取引と損益取引を混同して利益を大きく表示しようというのは、会計で最も避けなければならないことなわけです。つまり、財務諸表論の1時間目で習うようなお話。

いくら明文のルールに書いてなくても、会計士100人に聞いて100人ともが「なんじゃそりゃ?」と言う会計処理や表示は、「公正なる会計慣行」とはいわないと思います。

私は、今回報道されているように、ライブドアが自分が実質的に支配する投資事業組合を通じて売買した自社株を利益として計上して利益が何十%も上乗せされるような処理を、「ま、いいんじゃない?」という会計士は、通常の時でもまずゼロに近いと思います。(なぜなら公認会計士というのは、普通の人より格段に細かくて保守的な人が多いので。w)

しかも、検察が入って処理に粉飾の容疑がかかっている状況で、「あれは正しい処理だった」と主張する会計士は確実にゼロだと思われますので(笑)、よって、その処理は「公正なる会計慣行を斟酌したもの」ではありえないですし、ということはすなわち、いくら明文の規定のどこに書いて無いにしても、その処理や表示は確実に「法律違反」かと思います。

(ではまた)

January 19, 2006

「営業投資有価証券」の怪

今回も、昨日のエントリと同じく、昨年の3月末ごろに(仕事で)行ったライブドアの財務分析から一部抜粋、加筆修正したもの、です。
それ以降の期の開示資料等を見ていないので、その点はご容赦いただければ幸いです。

なお、いつものことですが、本記事もライブドアさんや関係する企業・個人等のバッシングを目的にするものでも擁護を目的にするものでもありません。また、第9期(平成16年9月期)の有価証券報告書やプレスリリースをベースに昨年3月に行った分析であり、第10期の有価証券報告書の内容は反映させておりませんし、ざっくりした分析であって、完全性や正確性を保証するものでもございません。(念のため。)


ヒントは「連結キャッシュ・フロー計算書」にあった
前回の財務分析の通り、ライブドアの「イーファイナンス事業」は売上の大半を占めるにもかかわらず、中身がブラックボックスなのですが、これを解くヒントが、「連結キャッシュ・フロー計算書」に出てます。

連結キャッシュ・フロー計算書に、「営業投資有価証券の増減額」として、3,510,109千円が記載されています。


CS(9th).jpg


「営業投資有価証券」というのは、ベンチャーキャピタルなどの投資業が用いる有価証券の「在庫」の勘定のこと。ライブドアさんも、子会社で投資業を営んでいるということで、この勘定を使っているのだろうということが推測されます。

株式の売却は通常、損益(収入と原価の差額の「ネット」)だけが営業外損益または特別損益等に記載されますが、ベンチャーキャピタルなどにとっては、「株」は「商品」であって、営業投資有価証券の場合、その売却は「グロス」で計上されるわけです。

つまり、10億円の株式が11億円で売却できたとしても、通常の有価証券や投資有価証券であれば、

売上 0億円
利益 1億円

というインパクトしかないわけですが、同じ有価証券を「営業投資有価証券」として扱うと(あら不思議)

売上 10億円
利益 1億円

というインパクトを作り出すことができます。

しかも、通常の商品やサービスなら、相手が買ってくれなかったら売れないわけですが、有価証券なら、売りたいと思った時に売れる可能性が高いですし、そういうスキームを作り出すことも容易です。
例えば、営業投資有価証券の中から特定のものを選択して売却するなどすれば、かなり恣意的に売上や利益を上積みすることができるわけです。

キャッシュフローの説明にも、下記のように「営業投資有価証券」という文字が出てきます。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、10,340百万円(前年同期比654.0%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益、仕入債務が増加し、営業投資有価証券が減少したことによるものです。

しかし。この営業投資有価証券が貸借対照表のどこにも表示されていないという大きなナゾがあります。


BS(9th).jpg


BSに残高が存在しないということは、(ベンチャーキャピタルのように何年も保有していた株式を売却するというよりは)、当期内で買ったものを当期内で売るという、「コロガシ」の可能性がある、ということかと思います。

関連しそうな項目を見ていくと、連結貸借対照表に「出資金」という勘定で26億円が計上されてます。

同じく、連結キャッシュ・フロー計算書を見ると、

投資有価証券の取得による支出△2,313,124

とあるのに、投資有価証券は3億円くらいしか増えていません。

出資金の支払による支出△2,688,162

というのがあって出資金の回収は8億円くらいしかないのに、出資金は4億円しか増えていないというのも怪しい。この営業投資有価証券の変動と出資金の変動は数字が近いので、有価証券が投資有価証券勘定や投資事業組合などをグルっと回している可能性があるんじゃないかと思います。


台湾等にファンドを持っているというウワサを聞きますので、もしかしたら、単純に1回売却するだけじゃなくて、複数回こうした関係会社やファンド間で回転させて売上を膨らませているのかも知れません。

−−−

・・・と、昨年の3月には推測したんですが、連日の報道や本日の日経朝刊を見ると、やはりこうした投資事業組合等を通じて株をグルグルをやっていたようですね。

私は、他社の株式をグルっと回すなどのかなり怪しげな(今の日本の会計慣行では明確には否定されてはいないものの、公正妥当とは認めがたい)ことをやってるだろうとは想像してたんですが、まさかいくらなんでも、自社株でやってるとまでは想像つきませんでした・・・。そこまでやったら、絶対監査通らないだろうと思っていたので。「イーファイナンス事業」は売上や利益の大半を占めるわけですから、監査上、これについて「よく中身を理解してませんでした」とか「重要性がないと思った」とは、口が裂けても言えないはずです。

こういう「楽な方法」に一度手を染めてしまうと、人間、どこまでも墜ちていく可能性がありますね。
最初は会計上問題ない処理をしていても、一度「自由に売上・利益を作れる」という魔力にとりつかれると、一線を踏み越えてしまう可能性が非常に高いんじゃないでしょうか。
そういうときに、「そんなことは許さん!」と叱ってくれる人がいるのが、コーポレートガバナンスじゃないでしょうか?


なお、公開しているベンチャーキャピタルさんなども、「営業投資有価証券」という勘定は使ってらっしゃいますが、通常は長期に保有した未公開株式を1回こっきり売却する処理をしているはずで、売上を水増しするために株を転がしたり、ましてや自社株の売却を売上に計上するなんてことはしてないと思いますので、ベンチャーキャピタルさんの名誉のために申し添えます。

(ではまた。)

January 18, 2006

ライブドアの財務分析(第9期)

これも、昨日のエントリと同じく、昨年の3月末ごろに(仕事で)行ったライブドアの財務分析から一部抜粋、加筆修正したもの、です。
それ以降の期の開示資料等を見ていないので、その点はご容赦いただければ幸いです。

なお、いつものことですが、本記事もライブドアさんや関係する企業・個人等のバッシングを目的にするものでも擁護を目的にするものでもありません。また、第9期(平成16年9月期)の有価証券報告書やプレスリリースをベースに昨年3月に行った分析であり、第10期の有価証券報告書の内容は反映させておりませんし、ざっくりした分析であって、完全性や正確性を保証するものでもございません。(念のため。)


金融関連事業が売上や利益の大半
第9期有価証券報告書(平成15年10月1日〜平成16年9月30日)の「事業の種類別セグメント情報」を見ると、下図のとおり、売上の53.4%、営業利益の62.7%がファイナンス関連の売上となってます。(青色部分に注目。)

image001.gif


ライブドアさんというと「ネット」「IT」が本業と理解されがちですが、少なくともこの時点では、例えば、コマースの売上は10億円未満であり、営業利益段階で赤字(-58,871千円)であって、いわゆる「IT」の寄与度は非常に小さかったことがわかります。

第8期から第9期で見ても、ファイナンスの伸びが著しくなってます。

image002.gif


image003.gif


「ファイナンス」の中身は何か
要するに、買収した日本グローバル証券(現ライブドア証券)と、株の売買事業が、第9期の現状かと思われます。
ネット企業が金融もやっている、というよりは、証券会社がネット「も」やっているという方が実態に近いかも知れません。

一般に開示されているのは、ライブドア単体の他は、ライブドア証券、バリュークリックジャパンの2社。

バリュークリックジャパン、大量分割で、一時期時価総額3000億円?くらい(当時の10倍以上)までいったが、(当時の)実態は、売上たった10億円未満の赤字の会社にすぎませんでした。


売上の内訳

image006.gif

上述の通り、ライブドアは売上も利益も「イーファイナンス事業」が中心。
ただし、上記のように、ライブドア本体では「イーファイナンス事業」は全く営まれていません。

平成16年3月に日本グローバル証券をTOBしましたので、この売上が大きいはずですが、同社の有価証券報告書の売上を足しても、イーファイナンス事業の売上には大きく足りません。
残りは何なんでしょうか?

同じくイーファイナンス事業に計上されていると考えられるビットキャッシュ株式会社の当時の規模は、

(1)売上高 4,093百万円
(2)経常利益48
(3)当期純利益 46
(4)純資産額 △85
(5)総資産額1,921

となっており、売上は約41億円とデカいが利益は4千万円程度しかない。しかも純資産額はマイナス(債務超過)。
「イーファイナンス事業」には5.5億円も「セグメント間の内部売上高又は振替」が計上されているので、ビットキャッシュにも「利益補填」が行われて、決算上の数値を良く見せている可能性もあるかと。

ウエッブキャッシング・ドットコム株式会社、ライブドアファクタリング、ライブドアクレジット等については、信用情報にも開示されてない模様。

この、最大の売上・利益を上げているファイナンス事業の中身が、まったくよくわからないようになっている(または、意図的にそうしている)、とも考えられます。


「IT系企業はみな同じようなことをやっている」か?
「ライブドア・ショック」で、当面、株式市場には混乱が続く可能性がありますし、特に「IT関連企業」は連想から下げが続くかも知れません。

しかーし。他の企業も全部ライブドアさん並の「不自然な」取引をしているのかというと、そうではないですし、前述の通り、ライブドアさんというのは、「IT系」でもないし、ITの事業で成功しているとも(少なくとも第9期までは)言えないと思います。

ちなみに、(おだてるわけじゃありませんが)、楽天さんの同時期、第7期・第8期の売上と、その構成比は以下の通り。


image007.gif

確かに金融も延びていますが、「本業」のECが売上に貢献してますし(省略してますが利益の寄与度も高い)、全体がバランスよく成長してるんじゃないかと思います。

某新聞社さんに、「ライブドアショックでIT系企業は今後どうなるか?」というコメントを求められたんですが、「他も全部同じということはないし、実力をつけてきているしキャッシュフローなど実態がしっかりしてきている企業も多い。少なくとも2000年のITバブル崩壊より格段には早い回復をするんじゃないか。(することを願います。)」という感じです。

(以上)

January 17, 2006

ライブドアの株式交換取引(第9期)

今回、検察が問題にしているのは平成16年の取引であり1年以上も経っているわけですから、もし開示されている資料から明らかに違法だったら、とっくに問題になっていたはず。また、今回発表されている容疑も、「悪いこと」なのは確かですが、これだけで東京地検特捜部が強制捜査するほどのことなのか知らん?という気もしますよね。

つまり、ライブドアさんが「開示されたデータからもわかるほど明らかに違法なことをやってきた」というよりは、それら個々の(ちょっと怪しげな)取引の積み重ねに、検察が押さえている証拠?(株価操作などについての「意図」の証言その他の証拠など?)を加えると違法性が浮かび上がってくる、または、「本命」は他にあって今回強制捜査された資料からそれがあぶりだされる、ということになるのかも知れません。

ライブドアさんの開示資料の分析は昨年の3月にも行ってみたのですが、個々の取引がかなり不可解ではあるものの、上述のように開示資料だけから違法性を臭わせるような(というか、どうしても臭ってしまう)ことを書くのははばかられたのですが、今回の件で、違法性がある可能性を前提としてお話することも合理的な状況になりましたので、その時の分析の一部を加筆修正して掲載させてもらいます。今回の捜索では売上の水増し容疑もありますし、今後他の容疑も出てくるのかも知れませんが、今回は第9期の株式交換に関連した取引のみに着目してます。

なお、いつものことですが、本記事もライブドアさんや関係する企業・個人等のバッシングを目的にするものでも擁護を目的にするものでもありません。また、第9期(平成16年9月期)の有価証券報告書やプレスリリースをベースに昨年3月に行った分析であり、第10期の有価証券報告書の内容は反映させておりませんし、ざっくりした分析であって、完全性や正確性を保証するものでもございません。(念のため。)


株式交換前に「一手間」入るのが特徴
第9期は5回株式交換を行ってるんじゃないかと思いますが、いずれも「簡易株式交換」で、株主総会の決議を経ずに株式を発行しております。
これらこの年度の株式交換は、ただでさえ簿価純資産に対して高い価格で買収をしているのはともかく、「あるがまま」の企業を買うというよりは、買収先の会社をの財務内容等に事前に「一手間」かける職人技が光っています。
以下、各社別に見ていきますと、


ウェッブキャッシング・ドットコム株式会社
平成15年12月15日発表。
この会社は、売上高490 百万円、当期純利益55 百万円と利益が出てはおりますが、平成15年3月決算期で、直前の平成14年3月期の売上1,388百万円からは売上減となってます。
これは「一手間」はかけてないようですが、


クラサワコミュニケーションズ株式会社
この会社の開示(平成15年11月19日)では、

「現在のクラサワコミュニケーションズ株式会社の発行済株式総数は1,525 株でありますが、同社は株式交換期日までにデットエクイティスワップを実施することによって同社の発行済株式総数は3,717 株まで増加いたします。このため本株式交換により発行する新株式数は913,415.58 株となります。」

とあり、デットエクイティスワップ(すなわち、同社の負っていた債務を株式に転換)した上で、それを含めてライブドアの株式と交換してます。
これも、債務超過を解消するというような目的のためなのか、簿価純資産等に対して発行する株式数が多いことを説明しやすくするためなのか、理由はよくわかりませんが、「ん?」と思う取引ですね。


株式会社トライン
また、平成16年2月5日発表の株式会社トラインとの簡易株式交換ですが、トライン社は平成15年3月末では7百万円の債務超過の会社であり、その前の期の売上はゼロ、その期の売上54百万円、23百万円の営業赤字という会社でした。

ライブドア開示資料による説明では、

株式会社トラインは平成12 年6 月の設立以降営業活動を行っておりましたが、事業の再構築のための戦略立案等のために、平成13 年1 月から平成14 年6 月までの間は事業を休業しており、平成14 年7 月より事業を再開しております。

としてますので、この発表をした時点でこの会社にどこまで実態が回復していたのか、また、なぜこの会社を株式交換により取得しようとしたのかも、やや疑問があります。
「一手間」としては、

株式会社トラインは、平成16 年2 月2 日に株主割当増資を行ったことにより、現時点においては資本金54 百万円、発行済株式総数960 株にそれぞれ増加しております。これに伴い、平成15 年3 月時点における債務超過は解消いたしました。

と、資本金を36百万円増加させ(資本準備金に半分繰り入れているとすると合計最大72百万円の増資を行ったと推定されます)、債務超過を解消してから株式交換を行ってます。
(商法の資本充実の原則から、実質的な価値がマイナスのものを取得して資本金を増加させることはできないと解されていることに配慮したものと推測されます。)


ライブドアクレジット
また、株式会社ABS、(ライブドアクレジット)については、もともと(電話担保金融など消費者向け金融で有名な)「M」社の100%子会社(資本金1000万円)でしたが、開示資料によると、

平成16年2月20日の増資により、資本金10億円、発行済株式総数2万株となる見込みです。

とされているとおり、このプレスリリースを開示した日に10億円を増資しています。(誰が増資したのかは開示されてませんが、親会社のM社が行ったと考えるのが自然ですね。)

開示資料には、

株式会社ABSは、主にコンシューマ向けのローンサービスを展開しており、その与信管理等に独自のノウハウを有しております。

とありますが、開示資料では、従業員数0名、売上ゼロと書いてあり、この会社に具体的にどのようなノウハウや実態があったのかよくわかりません。

また同日2月20日には、バリュークリックへのTOBが公表されており、その取得価額が、135,642 円×最低18,743 株=約25億円

下記の「株式会社ライブドアクレジットの資産・負債の状況等(平成16年3月31日現在)」

ABS.jpg

のとおり、流動資産が約10億円としか開示されていないので流動資産の中身がわからないのですが、(例えば、増資後に貸付債権を買い取ったのかも知れませんが)、もし、現金が10億円あるだけのペーパーカンパニーを株式交換で取得したのだとしたら、(もしかすると)「TOBのために不足する資金を増資によってM社から調達した」のと同じ効果を狙ったのかも知れません。

もし、この企業に企業としての実態がなく、資金調達が目的の大部分だったとすると、(仮に当時の株価4,120円として)約29億円の価値があるライブドア株式を約10億円の現金と引き替えにM社に渡したことになるわけで、時価の約3分の1での「超有利発行」を行ったということと経済的実態が同じかも知れません。もしそうだとすると、簡易株式交換を使って、株主総会を経ずに増資で資金調達するということが違法と判断されるかどうかはともかく、株主に損害を与えたと考えることもできます。これが、バリュークリックTOBのための迅速な資金調達のために必要だと判断して「経営判断の原則」により許容される範囲なのかどうか、というのも興味深い論点かと思います。

会計上は持分プーリング法的(時価以下による)会計処理を行ってると考えられますので、増加する資本・資産はともに約10億円にとどまるわけで、実体のある株式交換であれば、もちろん、約29億円と約10億円の差額が費用等として認識されることも[この時点での会計基準では]強制されないわけですが、もし実態があまり無かったとすれば、監査法人としてはどのような処理を指導すべきだったか、というのも論点として面白いところです。

また、開示にあるABSの取引先がS社(ライブドアの関連会社としては開示されてない)となっているんですが、この会社の信用情報をみると、住所はライブドアと同じ六本木ヒルズ森タワーの同じ38F、となってます。しかも、S社とその代表の方で、前述のM社の株式を保有しているようです。
仮に、この取引が「実質的な有利発行」的なものであるが経営判断の原則で許容される範囲内のものだとしても、一方で、同じビルにある会社が20億円も儲かることになってるわけで。

今回、実質的にコントロール下にある投資事業組合を使ったスキームが容疑の一つになっていますが、この同じフロアにある会社は実質的にコントロール下になかったのかどうか、またそのキャピタルゲインがどこか変な方向に流れていなかったのかどうか、というのも、もしかしたら今回の捜査で浮き彫りになってくるのかも知れません。

以上、ご参考まで。

January 16, 2006

ライブドア、証券取引法違反で家宅捜索(NHKニュース9)

情報が錯綜しているので、何が正しい情報なのかよくわからない面がありますが。

NHKの9時のニュースだと、「マネーライフ社という会社を買収するときに、すでにライブドア関連のファンドで買収していたにも関わらず買収を公表した」「ライブドアマーケティング社(旧バリュークリック社)が売り上げを水増しした」といったことを理由としてあげてました。

後者はホントだとしたら論外ですが、これも「程度」がどの程度のものなのか。会計上の解釈が若干「アグレッシブ」だった程度なのか、明らかに粉飾なのか、どのへんのレベルのものかにもよるわけですが。

また前者の、ファンドから本体への付け替えの部分ですが、これも(一般論としては)、本体からファンドへの出資比率や書きっぷりにもよるはずです。例えば今回の場合、「マネーライフ社は、当社が○%を保有する○○ファンドが○○%をすでに保有しております。」というような注釈を付けておけば、必ずしも法令違反ということもならないでしょうし、その注釈が(例えば)不注意で抜けていた可能性もあるという状況で東京地検特捜部が動く、ということも普通は考えにくいんじゃないかと思います。

(ということは、東京地検特捜部は、上記のような開示を「風説の流布など証取法違反という意図を明らかに持って」行った、という確証を握っているんでしょうか?・・・握ってるんでしょうけど・・・。)

January 16, 2006

ライブドア、証券取引法違反で家宅捜索(という報道)

NIKKEI NETで、ちょっとフライング気味の記事が載ったようですが。

東京地検、証券取引法違反容疑でライブドアを捜索へ
 東京地検特捜部は16日、ライブドアの関連会社が株式交換で企業を買収すると公表しながら、実際には交換を行っていなかった疑いがあるとして、証券取引法違反容疑でライブドア本社などの捜索令状を取った。同日中にも家宅捜索する見通し。

 「NIKKEI NET」で16日午後4時過ぎ、「東京地検、ライブドア捜索・証券取引法違反容疑」との記事を一時配信しましたが、その時点で家宅捜索の事実はありませんでした。当該記事は既に削除済みです。 (18:05)

サーチエンジン等で「ライブドア」「証券取引法」「違反」等で検索すると、私のブログの記事が上位に(少なくとも今日までは)来ていたからだと思いますが、何件かすでにマスコミの方からお問い合わせ・出演依頼等いただいておりますけど、企業買収などの経済的行為(損得のお話)と違って、法律違反かどうかといったお話は、ちょっと私としてはコメントしづらいところですので、悪しからず。(従来の常識や倫理観とはズレていても、敵対的買収が起こることが経済全体にとってはプラスになるかどうか、といった話は、いろいろ楽しく勉強させていただけるネタとして最高なのですが、「法令違反」となると「やっちゃいけませんね」ということ以上に私としてのコメントのしようがないので。)
弁護士さんなどにお問い合わせいただいたほうがよろしいかと思います。

−−−

ただ、証券取引法違反で家宅捜索の令状を得るためにはどの程度の資料や情報が必要なのか、というのは私としても非常に興味あるところ。単に開示した内容と事実が違ってましたということで、(悪意か過失かよくわからないのに)東京地検特捜部が令状を取るという判断になるかというと、(しろうと考えですが)ならないような気もします。

ライブドアさんの有価証券報告書というのは、日本の上場企業の中でも私が個人的に「最も興味がある」有価証券報告書でして、いろいろ聞いてみたい部分が盛りだくさんにあるので、東京地検特捜部の方々も、令状の直接の容疑についてだけでなくこの際関連していろいろ訊いてみたいことがあるのかも知れないですね。
(実際、証券取引法とか開示の違反といった場合に、法律的にどのへんまで関連して訊いていいのか悪いのか、よく存じませんが。)

ではまた。

January 16, 2006

こちらはシーズンII

アメリカではシーズンVがはじまったそうですが・・・・。

私はと言えば、悪魔の誘惑に負けて、この週末、「しばらくは手を出すまい」と思っていた「シーズンII」に手を出してしまいまして、ヘロヘロであります。

(アメリカのテレビのコード的に大丈夫なのか知らん?とも思うのですが)、小学生の子供には見せられないようなシーン満載ですので、子供を寝かしつけてから見るとなると、かなり睡眠時間が削られ・・・。
kawaiさんから教わった「24の正しい見方」その2.「子供がいる人は、妻の実家等にその時間預ける」というのが、かなり正しいなあというのを実感しております・・・。)


「ヒアリングマラソン」ではありませんが、さすがにこれだけ連続して英語を聞き続けていくと、一時的になんか今、すごく英語のヒアリング力が増してる感じもします。

が、増感してる部分が「torture」とか「drop your weapon!」とか、ろくでもない単語やフレーズばかり(笑)で、ビジネスにはまったく役に立ちそうにないですが・・・。

(ではまた)

January 14, 2006

RSSフィードメーターDANCE

12月にカゼを引いてブログの更新をサボって以来、結構サボり気味な日々が続いていたところ、大みそかの紅白歌合戦に眞鍋かをり(さん)が出てきて、「今、だいたい1日20万アクセスあります」てなことをおっしゃってたのを聞いて、(「アクセス」というのがページビューのことだとして、10倍弱の開きか〜)と彼我の差に愕然としてまたちょっぴりやる気を失った私でしたが、

もう一つ、RSSフィードメーターというサービスのランキングが、これも昨年9月くらいまでは30位前後をさまよっていたのに10月中旬からガラガラと降下して50位あたりまで下がっていたので、「どーせどんなロジックで順位を計算してるんだかわからんし」と、(心理学でいうところの「合理化(すっぱいブドウ)」というやつで納得して)このランキングもチェックしなくなっていたんですが、

昨日、久々にチェックしたところ、順位がなんと18位と大幅にジャンプアップしていてびっくり。

RSSfeedmeter20060114.jpg


梅田さん橋本大也さんもさることながら、堀江社長ブログよりランキングが上になってしまって、まったくおこがましい限りであります。

グラフにしてみると、下図の通り。


image001.gif


これだけ非連続な動きをするということは、何かランキング付けのロジックが変更された、ということが考えられるわけですが。55位からいきなり20位に跳ね上がった2005年12月29日のランキングの前日比の矢印を見ても、私のを含めポツポツオレンジの上昇矢印があるだけで、ある特徴を持つグループがゴソっと上昇しているわけでもなさそう。
サービスについての解説のページを見てみても、


☆のランキングは、RSS フィードの購読者数と、他の RSS フィードからそのサイトに張られているリンクの数とで計算されています。
計算方法は秘密ですが、「たくさんの人に読まれている」「あちこちの ニュースで話題になっている」と、人気度が上がります(RSS フィードの人気度情報を提供してくださるブラウザ型リーダーや無料ブログスペース企業の皆様を歓迎します)。
現在、ランキングは 3段階ですが、人気度の数値は フィードメーターをクリックすることで閲覧できます(現在は人気度 3 を超えるものも、三ツ星として表示されます)。


と書いてあるだけで詳しいことはわかりません。

例えば、ですが。私は無精なので、あまり他人のブログにコメントやトラックバックをしたりしないので、仮に、今まではそうしたリンク数も含めて被リンク数がカウントされていたのが、コメント欄やトラックバック欄にあるリンクはカウントしない、というような変更が行われたのだとしたら、ピョンと跳ね上がる可能性はあるのかも知れません。
ただ、そんなにリンク数の感度がいいんだったら、(Googleのページランク7の)AllAbout[オールアバウト]が私の一つ上ってことは無いはずですし。

例えば、「グーグル・ダンス」で問題だったデータベースの更新過程の問題などと同じ、システム的なもんでしょうか?

とにかく、私、こういうランキングに一喜一憂するタイプなので(笑)、記念のスナップショット、まで。

(ではまた。)


参考:現在の当ブログのメーター

RSS feed meter for http://www.tez.com/blog/

January 13, 2006

i-pot(「pod」じゃなくて)

2年前から一人暮らしになってしまったうちの奥さん方の叔母さん(70代半ば)が、風邪を引いて年始の集まりに来られなかったこともあり、(お子さんもいらっしゃらないので)「万が一」の時のことを考えて、「i-pot」を贈ってみることにしました。

ipot.jpg

ご案内かと思いますが、下図のように、電気ポットにDoCoMoのDoPa(パケットサービス)の携帯が組み込まれていて、ご老人等がポットを使うと、そのデータがセンターに飛んで、子供や親戚がそのデータを受信できる仕組み、です。

gra[1].gif
(出所:みまもりほっとライン ホームページ


この象印のポット、前から存在は知ってましたが、家電店等に売ってる「製品」なのかと思ったら、「サービスモデル」的なビジネスモデルなんですね。

http://www.mimamori.net/

料金設定ですが、初期費用5,250円というのは「まあ、そんなもんかな」と思いますが、月額利用料が3,150円ってのは「え?ちょっと高いスね」と一瞬思う金額ではあります。

この月額料金設定の最大のポイントは、(おそらく)DoPaとは言え「携帯電話」が組み込まれてるところかと。我々「若者」の家庭では、ブロードバンドや有線・無線のLANが敷設されてるのはもはや当たり前なので、一日に何回かパケットを飛ばす程度だったら、せいぜい「月々数百円」てな料金がまず思い浮かぶわけですが、よく考えると、ご老人にADSL引いてもらったり、無線LANの設定をさせたりするのはちょっと無理っぽいわけでして。
「ルーターの電源が抜けてた」とか「ポートからコネクタがはずれてた」といった、ありがちな理由による障害も、ポットに組込型の携帯電話を使った仕組みなら起こりえません。

DoPaの月額利用料自体は、料金表を見ると、1日10パケットとしても月々せいぜい1,000円程度くらいかと思いますが、このポット、買取ではなくてレンタルで、(おそらく)壊れたら新しいのと取り替えてくれるようですし、携帯のハード代も含まれていて定額だとすると、それら合計で3,150円というのは、それなりに良心的な価格なんではないかと思います。

Eメールアドレス追加はオプションで、「1件につき105円/月(2件まで追加が可能)」というのはちょっとスケーラビリティに乏しいという感じもします。が、これも無料メーリングリストサービスを使ったり自分のサーバーでメール転送の設定をしたりすれば、タダで親戚数人が見守れますので、「ま、いいか」という感じかと思います。

(今なら、お試しキャンペーンで一ヶ月無料、しかも試用してみて止めた場合にも、引き取りの宅配便代も象印負担。なんと良心的な。)

使ってもらってみて、また何かありましたらレポートさせていただきますが、取り急ぎ、本日はこれにて。

(ではまた。)

January 12, 2006

24 (TWENTY-FOUR)とブロギングの競合関係

なんとか本日、24のシーズンIを全部見終えました・・・。(ハァハァ。)

前回のエントリのkawaiさんのコメント曰く;

正しい「24」の見方
1.24時間以上の連続休み時間を確保する
2.子供がいる人は、妻の実家等にその時間預ける
3.事前に睡眠を充分取っておく
4.「24」ソフトは事前に1シーズン分すべてを借りておく
5.おにぎりとみそ汁orスープ、果物等空腹になっても我慢出来る体制を用意する
6.間違ってもアルコールを取って見ようと言う不届きな態度はやめるべし
7.24時間かけて、ただ、ただぶっ続けで見る
以上の作法を守らず、分断された「24」を見てしまった場合、「24」神による祟りがあるでしょう。「24」ジャンキーになってしまい、仕事が手につかなくなるでしょう。

私の場合、24神のたたりも恐れず強い精神力で、というか仕事しないわけにいかないので仕事はちゃんとやってた(はず)ですが、睡眠部分を削っても足りない部分はどこを削るかというと、結局、ブログを書く時間、ということになりますわな。
(日経新聞の会社法法務省令の記事に関連して若干コメントさせていただきたかったんですが・・・・とても無理でした・・・。)

結果として「24」とブログの執筆時間というのは強い競合関係にある、ということになりますね。まだ「24」を見てないブロガーのみなさま、くれぐれもお気を付けください。

ろじゃあさん曰く;

新年早々とんだものに覚醒されてしまわれたようで・・・
ろじゃあはテレビでまとめて放映した分は殆ど見てると思います。
(通常放映をテレビでやらないでまとめてテレビで放映するというのもよくわかりませんが) 疲れます・・・このシリーズ。
ネタバレはしませんが・・・(中略)。最後まで通さないと多分落ち着かないと思いますので諦めて見続けることをお勧めいたします。

(「ネタバレはしませんが」っておっしゃりますが、それ、ほぼネタバレでんがな。)

テレビだけでDVDご覧になってないんでしたら、最後のVol.12に入ってる特典映像もいいですよ。
「もう一つのエンディング」とか、「全然違う話になっとるやんけ!」って感じです。

他の方々もコメントありがとうございました。

途中でやめられないという非常に恐ろしい体験をしたので(ガクガク(((((゚Д゚)))))ブルブル)、仕事やブログに支障のない連続した時間を取れるときまで、シーズンIIに手を出すのはやめときます。

(ではまた。)

January 10, 2006

24 (TWENTY-FOUR)

「さあ今日から本格的にブログを再開するぞ」と思っていた矢先に、ヤバいもの

24.jpg

に、つかまってしまいました・・・。
(今ごろ・・・で恐縮ですが、「シーズンI」からです。)
睡眠時間を削って、今現在06:59:59まで見ましたが・・・確かに、こりゃやめられまへんなー。

「シーズンI」だけであと17時間。「シーズンIV」まで入れたら、あと約90時間も他のことに手が着かないんでしょうか・・・。

さて、どうなるブログ再開(笑)。
(今後の展開[磯崎めの精神力の強さ(弱さ)]に請うご期待!)

P.S.
ちなみに、冒頭のドイツからの旅客機に乗っている男性の顔が丸山弁護士似に見えるのは私だけでしょうか?

January 1, 2006

謹賀新年

(追記:1/4)
(正月、駅伝とか、里見八犬伝とか、古畑任三郎 ファイナルとか見てたら、正月ボケですっかりご挨拶が遅くなってしまいましたが、遅ればせながら。)

あけまして、おめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。<(_ _)>

昨年は、ブログで人生が大きく変わった年でした。
ブログをお読みのみなさまのおかげで、ブログのトラフィック増とともにマスコミの方々からの取材も増え、仕事の内容も充実してまいりました。
今年も、引き続き(あまり無理せず)がんばってまいりたいと思いますので、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。<(_ _)>

週刊isologue
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