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    <title>週刊isologue</title>
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    <updated>2010-02-08T14:12:45Z</updated>
    <subtitle>週刊isologue（イソログ） - 財務や統計のデータ等を用いて、話題になっている企業や経済現象を数字で斬るメルマガ</subtitle>
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    <title>週刊isologue（第45号）起業を増やさナイト！</title>
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    <published>2010-02-08T03:37:49Z</published>
    <updated>2010-02-08T14:12:45Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tez.com/mag/">
        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2010.02.08</span>（第45号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■起業を増やさナイト！<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>今週は、<a href="http://kigyoka.com/kigyoka/public/news/news.jsp?id=1130">「起業を増やさナイト！」</a>のご紹介と、日本で起業を増やす意味について考えてみたいと思います。</p>
<p>現在、日本でのベンチャービジネスの起業は決して活発と言えず、ベンチャー企業の上場もここ数年、年を追って減少しています。<br />
（昨年の新規上場は、ついに20社を切ってしまいました。）<br /></p>
<p>既存の企業が変化できる範囲には残念ながら限界がありますので、新しい企業が誕生して成長しないことは、中長期的に見て日本のピンチであります。ホンダやソニーをはじめとして、現在NHKの大河ドラマ「<a href="http://www9.nhk.or.jp/ryomaden/">龍馬伝</a>」で盛り上がっている三菱グループまで、現在の日本の大企業のほとんども、元はベンチャー企業だったわけです。<br />
そうした大企業で働くことも、もちろん立派なことではありますが、全員がそれを志向してしまうと、日本は成長していかないのであります。</p>
<p>ーーー</p>
<p>こうした状況に危機を感じて、日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表の村口 和孝さん、レオス・キャピタルワークスCIO（最高運用責任者）の藤野 英人さんといっしょに、来る2010年2月24日（水曜日）18時から<a href="http://kigyoka.com/kigyoka/public/news/news.jsp?id=1130">「起業を増やさナイト」</a>というイベントをやることになりました。</p>
<blockquote>
  <p><b>「起業を増やさナイト」</b><br />
  詳細・お申し込みは、以下のURLで。<br />
  <a href="http://kigyoka.com/kigyoka/public/news/news.jsp?id=1130">http://kigyoka.com/kigyoka/public/news/news.jsp?id=1130</a></p>
</blockquote>
<p>　</p>
<p>私個人的には、日本でももっと起業が増えて欲しいと思っておりますが、やはりリスクがあることですし、人生の少なくとも一時を賭けることですので、本来は私なんぞが積極的にお勧めすることじゃないと思っております。</p>
<p>資金調達がほとんど不要で、自分の好きなことで起業するのであれば、（ハッピーにやってらっしゃる方が非常に多いのに、意外に知られていないので）まだお勧めできるのですが、ベンチャーキャピタルや銀行から資金調達をして事業をするというのは、リスクもグンと高くなります。</p>
<p>このため、</p>
<p>「起業したくてしたくてしょうがない」<br />
「起業する以外に道がない」</p>
<p>という人に、「考え直せないのか？」と問いただした上で、「それでもやる」というなら適切なアドバイスする、というくらいでいいのかな、と思っていました。</p>
<p>しかし、私も起業に関わる仕事をして10年が過ぎましたが、ふと見渡すと、起業に関して適切な情報は全く供給されていない。<br />
もちろん、上場準備に入るといった段階になれば、証券会社、監査法人、取引所、弁護士など、いろいろな人がアドバイスをくれるようになります。しかし、これから会社を作って資金調達をしようかという段階の人に、その後、上場したり誰でも名前を知ってるような企業にまで成長したりといったところまでのシナリオの「イメージ」がうまく供給されているかというと、まったくそうではない。</p>
<p>10年も経ってそれに気づくとはマヌケですが、成功するベンチャーであれば、自分でそれくらいの情報は探し出すだろうと思っておりました。</p>
<p>しかし、最近いろんな方に聞いてみると、<br />
「自分が起業なんかできるわけがない。」<br />
「起業したら、借入金の保証人にさせられて、失敗したら日本では敗残者扱い。」<br />
という、誤ったイメージが蔓延してるなあということに気づきました。</p>
<p>本来、<span style="text-decoration: underline;">起業したら成功するはずの人が、正しい情報が無いばかりに起業という選択肢を考えもしないとしたら、社会としてはすごい損失</span>なので、改めてこれではいけないと思った次第であります。</p>
<p>　</p>
<p>ということで、今回のイベントは、講師をさせていただく３名が、本気で日本の現状に危機意識を感じて手弁当で集まっております。「起業を煽って金を儲けよう」ということではありませんので、念のため。（笑）</p>
<p>多少のことでは起業熱が燃え上がるとはとても思えない昨今の経済状況ですので、少しだけ煽っておきますと、<span style="text-decoration: underline;">起業が少ないという状況は、ライバルが少ないということ</span>であり、起業の大チャンス（かも知れないの）であります。</p>
<p>　</p>
<p>「まさか自分が起業なんて！」という方もぜひ、起業がどんなもんか覗きに来ていただければ幸いです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■国全体では資金はダブついている</b></span></p>
<p>さて本題。</p>
<p>このメルマガでも過去何回か述べて来ましたが、日本は国全体としてベンチャー投資に出せるお金が足りない訳ではありません。</p>
<p>以下の図は週刊isologue第30号「資金循環から見た『この国のかたち』 」に掲載した図ですが、最近、<br />
「この図を見て、起業を決意しました！」<br />
という方にお会いしたので、再掲しておきます。</p>
<p>　</p><a href="http://tez.com/mag/archives/20091026/200910261100.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20091026/200910261100-tm.jpg" width="400" height="636" alt="200910261100.jpg" /></a><br />
図表１．日本の資金循環マンダラ<br />
（クリックで拡大。出所：日銀資金循環統計、日本郵政財務諸表等より作成）

<p>　</p>
<p>上記の図のとおり、個人金融資産（右上の四角）だけでも日本には1400兆円もの資金があるわけです。</p>
<p>これに対して、日本でベンチャー企業に投資されている資金は、現在、1兆円に満たないと考えられます。</p>
<p>個人金融資産に比べると<span style="text-decoration: underline;"><b>0.1%もない わずかな量</b></span>です。<br /></p>
<p>　</p>
<p>この事実を説明すると、</p>
<p>「たったそれだけしかベンチャーに資金が流れていないのか。<br />
だから日本はベンチャー企業が出て来ないんだな。<br />
じゃあもっとベンチャーに資金が流れ込むような政策にすべきだ。」<br /></p>
<p>といったことをおっしゃる方がよくいるのですが、それはちょっと違います。</p>
<p>　</p>
<p>まずこれはベンチャー企業に限らず資金調達全般に言えることですが、<span style="text-decoration: underline;">資金というのは</span>、普通のモノやサービスのように<span style="text-decoration: underline;"><b>「欲しがっている人に供給すればいい」</b></span><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>ものとはちょっと違う</b></span>のです。</span></p>
<p>普通、「食べ物が無い」とか「石油が足りない」といった状況があれば、それが手に入るようにしてあげれば、世の中がうまく回るようになることが多いわけです。</p>
<p>しかし、新銀行東京の失敗を見ても分かるとおり、「資金が欲しい」という人に資金を供給すると大変なことになるわけです。</p>
<p>資金は、<span style="text-decoration: underline;">供給してから回収するまでがサービスなので</span>、ちゃんと<span style="text-decoration: underline;"><b>「回収の見込みが立つ」ことが大前提</b></span>。<br />
つまり、ベンチャーへの資金なら「このベンチャーに投資すれば資金が回収できそうだ」という見通しが無いと資金供給は本来行ってはいけないわけです。（法律で禁止されているという意味では[必ずしも]無く、「損する」から商売としてそもそもおかしい、という意味です。）</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>資金の回収</b></span>の方法は、資金の種類によって違います。<br />
融資であれば、毎月元本を少しずつ返済するとか、返済できなくなったら不動産担保を処分するとか、保証人に支払ってもらうとか。<br />
銀行、消費者金融、リース会社、商工ローン、ヤミ金等、資金を供給するビジネスにもいろんな種類がありますが、<span style="text-decoration: underline;">回収のノウハウ</span>こそがそうした金融業のビジネスモデルの根幹になっていると言っても過言ではありません。</p>
<p>そして、ベンチャー投資の場合には、投資した資金は基本的に<span style="text-decoration: underline;"><b>投資した株式の売却</b></span>で回収されるわけです。</p>
<p>なぜかといえば、ベンチャーというのは（成功しそうなものだけに投資するにしても）必ず失敗は出るから、です。誰もやったことの無いこと、社会にイノベーションを起こすようなことをやるのがベンチャーだとすると、かなりがんばっても失敗しない方がおかしい。<br />
このため、例えば5社に1社しか残らないような領域に投資をするとなると、最低でも株価が5倍になってくれないと、投資家は元手も回収できないわけです。</p>
<p>そして、<b style="text-decoration: underline;">投資した株式が売却できる</b><span style="text-decoration: underline;">のは、投資先の企業が上場するか、M&amp;Aが発生して高値でその企業や株式が売却できること</span>が条件になります。</p>
<p>さらに、株価というのは<span style="text-decoration: underline;"><b>企業価値（株主資本価値）</b></span>で決まります。<br />
企業価値というのは、その企業がこれから生み出すキャッシュフローで決まりますから、投資した株式がキャピタルゲインを生むというのは、換言すれば、<span style="text-decoration: underline;"><b>その会社が今後大きなキャッシュを生むことが期待されるような状態に成長する</b></span>必要があるわけです。</p>
<p>つまり、そうした投資が成り立つためには、<span style="text-decoration: underline;">将来キャッシュを生むようになる<span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;">「<span style="text-decoration: underline;"><b>ベンチャー企業の卵</b></span>」が必要であり、まさにそれこそが日本に不足してるものなわけです。</span></span></p>
<p>　　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■必要なのは「知恵（インテリジェンス）」</b></span><br /></p>
<p>一兆円という資金は、国全体からするとものすごく小さな資金ですが、ともかく、「ベンチャーの卵が不足している状態」は、資金をジャブジャブを供給しても、決してよくなりません。</p>
<p>例えば、土から芽を出したばかりの双葉のような創業ベンチャーにジャブジャブ水を供給しても根が腐ってしまうだけです。必要なのは、<span style="text-decoration: underline;">適当な時に適当な量の水を与えること</span>であって、今までカップラーメンをすすって貧乏生活していた社長の会社の銀行口座に突然何億円もの資金が入金されても、それだけで企業が成長し始めるというもんではありません。</p>
<p>　</p>
<p>必要なのは資金（の量）ではなく、<span style="text-decoration: underline;"><b>「知恵（インテリジェンス）」</b></span>なわけです。</p>
<p>　</p>
<p>過去２週にわたってお伝えしてきたように、ベンチャーキャピタルの経営状況も思わしくないので、今後、ベンチャーキャピタル自身の資金調達能力が不足したり、ベンチャーキャピタルからの資金が細ったりする可能性は無きにしもあらずです。</p>
<p>しかし（現状では杞憂にしか思えないと思いますが）逆の心配もあります。<br />
先述の通り、<span style="text-decoration: underline;">ベンチャーに必要な資金は日本全体からするとものすごく小さい</span>ので、ベンチャーブームがまた起こると、あっという間に大量の資金が流れ込んで<span style="text-decoration: underline;"><b>「バブル」</b>が発生する可能性</span>が高いわけです。</p>
<p>バブルが発生するのは必ずしも悪いことではありません。</p>
<p>5億年以上前のカンブリア大爆発のように、一度、種が大量に増えて、環境に合わなかったものが淘汰されればいいとも言えます。<br />
ベンチャーキャピタルなどの投資家は、投資先の会社が何社かつぶれても、一社が何十倍ものリターンになればトータルでは得をするわけですし、ベンチャーに関わった人たちも失うものがもともとあまりなければ、実はあまり損をするわけではない。</p>
<p>しかし、<span style="text-decoration: underline;">「ベンチャーなら何に投資しても儲かる」</span>という状態は、決して「インテリジェント」ではないのはお分かりいただけるかと思います。<br />
<span style="text-decoration: underline;">重要なのは投資して回収できるのか、といった判断や、そのためにどのように投資先企業に付加価値を付けて行くかというノウハウ</span>なのに、バブル下ではそういったノウハウは（必ずしも）醸成されません。</p>
<p>ベンチャー企業側も、資金がいくらでもある状況では（もちろん経営資源をある一点に集中させられるメリットがある場合もありますが）、営業やコスト等の経営の各方面の管理に甘さが出て、バブルが去った後の環境には耐えられないということになる可能性は高いわけです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■日本は失敗者に冷たい国か？</b></span><br /></p>
<p>最近、ツィッター等で聞いて回ったら、<br /></p>
<p>「日本では会社を失敗させたら、敗残者。すべてを失う。」<br />
「日本人は、失敗した人に冷たい。」</p>
<p>といった考えの人が多いようなのですが、これは大きな誤解だと思います。</p>
<p>経営者は会社がつぶれても（銀行の借入金の保証をしてないなど、きれいな会社のたたみ方をすれば）、そこで経営者として培ったノウハウが評価されて、「ぜひうちに来てくれ」ということになる例が、実は非常に増えています。</p>
<p>「そんなことはない。ベンチャーを経営した経験は、大企業では全く評価されないよ。」</p>
<p>といったご意見もありましたが、確かに大企業はそうでしょう。<br />
大企業で「経営者」になれるのは入社から30年くらい働いた後でしょうから、基本的には「経営者」のノウハウが必要とされるはずもないわけで。</p>
<p>しかし、資金や人や技術や営業を総合的に考えてスピーディに意思決定をしなければならないベンチャーの環境で培われたセンスは、形式にこだわらない企業では引く手あまたです。</p>
<p>（もちろん、だからといって「失敗してもいいや」という考えのベンチャーが成功するとは思えないのですが）、私は<span style="text-decoration: underline;">事業に失敗してもハッピーにやっているベンチャー経営者は見たことがあっても、不幸になった人はあまり見たことが無い</span>です。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「ヒト」の循環も重要だ</b></span><br /></p>
<p>そして、裏返せばここに日本経済の一つの大きな問題があります。</p>
<p>つまり、日本では、自分で会社を興さない限り、<span style="text-decoration: underline;">50や60の老人にならないと、なかなか「経営」を体験する機会が無い</span>わけです。<br />
ここで言う「経営」というのは、営業、人事、財務、技術等の様々な要素を総合的に考えて企業を運営していくことですね。</p>
<p>こうした状況で、<b style=""><span style="text-decoration: underline;">今後、世界の国境の無い競争の中で戦っていくことができるでしょうか？</span><br style="text-decoration: underline;" />
<span style="font-weight: normal;">若い頃から「経営」をやってきた人が多数いる国と、若い人はみんな「経営」がわからない国のどちらが経済で強いと思われますか？</span></b></p>
<p>資本政策の回（第41号、42号）でも述べましたが、創業社長が会社をやめて次の会社に移るということは、日本ではなかなか行いにくい。<br />
これはもちろん文化的な側面もあるでしょうけど、<span style="text-decoration: underline;">次の社長になれるような社長経験者が少ない</span>ことも大きな理由と考えられます。つまり、社長になれるような人材の層が薄く、流動性も極めて低い訳です。</p>
<p>「代わり」がいないから自分も他の社長の「代わり」になれない。<br />
卵とニワトリです。</p>
<p>もし、ベンチャー成功者が次の新しいベンチャー企業の社長やベンチャーを育てる投資家になるようなことが当たり前になったら、日本も活気付くと思いませんか？</p>
<p>例えば。<br />
ユニクロの柳井社長が、ユニクロを辞めて聞いたこともないようなベンチャーの社長になったとしたら、中身をあまり知らなくても、誰もがなんとかしてその企業に投資できないかと考えるんじゃないでしょうか。</p>
<p>また、京セラ創業者の稲盛和夫氏が、（JALとかの再生ではなく）、新しいベンチャーに投資するベンチャーファンドを作ったとしたら、その投資先には誰もが投資したがるでしょう。<br />
稲盛氏が社外取締役になった投資先のベンチャー企業は、独力の何倍も効率よく取引先との交渉が行えるはずです。</p>
<p>こういう大物の経営者の先輩の推薦があれば、「ベンチャーの社長に転職してみたい」という人も増えるかも知れません。</p>
<p>つまり、「カネ」だけでなく「ヒト」も循環するような社会にしていかないと、ベンチャー企業が育つ環境にならないわけです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■金や制度は短期間で用意できても「知恵」が集まるのは時間がかかる</b></span><br /></p>
<p>上記のように、<span style="text-decoration: underline;">資本市場というのはいろんな参加者が集まって形成されている</span><span style="text-decoration: underline;"><b>生態系（エコシステム）</b></span>なので、そうした参加者が協調して働く状態は、一夜にしては形成できません。<br />
銀行の融資であれば、銀行のトップや企画部が決めれば、あっという間に全行に命令が浸透するでしょう。しかし、資本市場から資金を供給するというのは、そうはいかないわけです。</p>
<p>あちこちに「卵とニワトリ」状態があるので、焦らずに一つ一つ成功例を積み上げて行かないと、バブルが発生し、クラッシュが起こり、「なんだやっぱりダメじゃないか」という失望感が広がります。そして失敗例を潰すために規制が厳しくなり、ますます身動きが取れなくなって行きます。</p>
<p>「貯蓄から投資」という流れは絶対間違っていないのですが、規制緩和や税制を変えれば一夜にして「新しい市場経済」ができるかというと、そうではないわけです。</p>
<p>新しい酒は新しい革袋に入れる必要があるのに、新しい革袋が出来るのに時間がかかるので、もどかしい。</p>
<p>十年、二十年かかる長期的持続的な取り組みが必要ですから、政権が変わって、まったく逆方向に社会が触れたりするとまた一からやり直し。<span style="text-decoration: underline;"><b>市場は「期待」や「予想」で動いてます</b></span>ので、政策がコロコロ変わると、予想の立てようがなくて、投資も抑制されてしまうわけです。</p>
<p>　</p>
<p>ベンチャー企業をサポートするコンサルタントや税理士、弁護士なども、資本市場を支える重要な参加者です。</p>
<p>シリコンバレーでは、ベンチャー企業はWSGR（<a href="http://www.wsgr.com/">Wilson Sonsini Goodrich &amp; Rosati</a>）のようなベンチャーに強い大手の法律事務所を活用するものだという認識が浸透しているかと思いますが、日本で創業ベンチャーが大手法律事務所を使うなんて発想はほとんど無いでしょうし、実際、日本の大手法律事務所のフィーを支払えるだけのお金も無いかと思います。</p>
<p>ある大手法律事務所のシニアなパートナーの方が2000年ごろに、<br />
「うちの事務所でもエクイティペイメントの規定やしくみも作ったけど、ネットバブルが崩壊して結局使わなかった。<br />
それに我々は『目利き』ができないんだよね。」<br />
とおっしゃってました。</p>
<p>つまり、現金の代わりにストックオプション等で報酬を受け取るしくみを考えていたわけです。<br />
しかし、日本ではシリコンバレーより圧倒的にベンチャーの数も少ないし、すべてのベンチャーが成功して上場したりバイアウトされるわけではないので、クライアントからもらったストックオプションがある一定以上のボリュームたまらないと、「ポートフォリオ」として安定して収益をもたらすことにもなりません。</p>
<p>ポートフォリオが組めないような少ないベンチャー企業を相手にして仕事をする場合には、将来必ず成功しそうな「イケてるベンチャー」を選んで相手しないと、いくらストックオプションの書類をもらっても、タダ働きで終わってしまいます。</p>
<p>また、シリコンバレーのように、ベンチャーがあっという間に大企業をも倒すような巨大企業に急成長するのであれば、そのベンチャーが大企業になる前に「青田買い」しておく必要性も生まれます。そうなれば、まだ金が無さそうなベンチャー企業も親切にしてもらえる度合いが高まるはずです。</p>
<p>また、グーグルやヤフーといった大きなベンチャーになると、社内にも100人単位で弁護士資格のある人を雇用することになりますので、そういう意味でもいろいろ関係しておくとメリットがあることになるかも知れません。</p>
<p>いずれにせよ、「イケてるベンチャー」をターゲットにした方が効率はよくなるはずですが、弁護士さんにベンチャーのイケてる度がわかるとも[必ずしも]思えませんが、どうすればいいのでしょうか？<br />
シリコンバレーでは恐らく、ベンチャーキャピタルが一種の「格付機関」として機能しているのではないかと思います。「あのVCが投資してる先はスジがいい」ということが経験上明らかであれば、誰もがそのVCの投資先の仕事をやりたがるようになるでしょう。</p>
<p>日本のVCは（もちろん、そうでないところもありますが）、基本的には広く浅くポートフォリオ的に投資するところが多くなってます。<br />
そうした分散投資型のVCについては、「あのVCが投資してる先はスジがいい」という格付機関的な社会的機能は無いことになります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■まずは起業家を増やすこと。そして成功例。</b></span>　</p>
<p>とにもかくにも、まずは「起業家の卵」を増やさないと、全てが始まりません。<br />
投資家、経営者候補、コンサルタントや弁護士など、すべては上記に述べたような「卵とニワトリ」状態になってますので、起業が増えないとそこから脱することが出来ず、好循環に入ることが難しくなります。<br />
つまり、<span style="text-decoration: underline;"><b>起業の「キャズム」</b></span>を超えることが必要なのです。</p>
<p>そして私は、現在<span style="text-decoration: underline;">一番 情報が不足しているのが、起業をする前後、または起業するということすら考えたこともない「起業家の卵」</span>の方々ではないかと思います。<br />
間違った起業のイメージを持っていたり、起業してみたら想像と違ったり、誤った資金調達や資本政策で本来上場できるはずの「金の卵」が「生ける屍」になってしまうのは、国家的損失もいいところ。</p>
<p>逆に、適切な情報が供給されることで、「もしかしたらオレ/私にも起業ってできるのかも」と思った人の中から、1千億円単位、1兆円単位の企業価値のベンチャー企業が生まれるという成功例があと何社か出れば、日本も大きく変わり始めるのではないかと思う次第です。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）<br /></p>
<p>　</p>
<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
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    <title>週刊isologue（第44号）ベンチャーキャピタルの財務諸表を読み解く（各社決算編）</title>
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    <published>2010-02-01T06:47:10Z</published>
    <updated>2010-02-03T23:58:26Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
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        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2010.02.01</span>（第44号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■ベンチャーキャピタルの財務諸表を読み解く（各社決算編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>（追記あり：2010/2/4 8:53）</p>
<p>先週述べたように、ベンチャーキャピタル（VC）の会計は、ベンチャーキャピタル業だけに留まらず、ファンドやSPCという「会社の外」にある宙ぶらりんなものを会計上どのように取り扱ったらいいか、という非常に悩ましい問題を含んでいます。</p>
<p>投資事業有限責任組合（LPS）などのファンドは 投資した証券を共有（合有）しているので、従来は持分に応じて売上や損益を反映させるという方法が一般的でした。<br />
しかし、最近はファンドを「支配」して自由にコントロールしている場合には、ファンドを連結しないといけません。</p>
<p>そうなると、ファンドのVC以外の他の出資者（LP）が保有する分も、連結ですべて資産負債や損益に載って来るので、売上や資産などの会社の規模が非常に膨らんで見えてしまいます。</p>
<p>つまり、ベンチャーキャピタルの会計は「自分と他人を分ける境界線はどこか？」というエヴァンゲリオン的な問題を含んでおり、本質的にややこしいのです。<br />
ベンチャーキャピタルの会計がもし分かりやすいものだったら、エンロン事件もライブドア事件も日興コーディアルの連結の問題も発生しなかったかも知れません。</p>
<p>「会計とは何か？」という哲学的な問いを最も強く発しているのがベンチャーキャピタルの会計だと言えるかも知れないと思います。</p>
<p>そんなことを踏まえつつ、以下、上場している（上場していた）各社の開示資料から、決算内容を見てみましょう。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■株式会社ジャフコ</b></span><br /></p>
<p>ジャフコも、自分が「コントロール」しているファンドについては連結を一時期していましたが、先週述べた通り、<span style="text-decoration: underline;">信託を用いて「ファンドを支配してません」ということにして、連結から外す</span>ことで、以前の処理と同様の結果になる処理に復帰したわけです。<br /></p>
<p>ジャフコを有価証券報告書の数字から拾って作成したグラフで見てみましょう。</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20100201/201002011552.jpg" width="463" height="259" alt="201002011552.jpg" /><br />
図表１．ジャフコの売上高、経常利益、当期純利益の推移（単位：百万円）<br /></p>
<p>　</p>
<p>上図のように、連結方式を開始した平成19年3月期から、売上高が上がってトガって見えます。</p>
<p>同じくジャフコの貸借対照表の総資産及び純資産の図は以下の通り。</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20100201/201002011553.jpg" width="462" height="257" alt="201002011553.jpg" /><br />
図表２．ジャフコの総資産額及び純資産額の推移（単位：百万円）</p>
<p>　</p>
<p>ジャフコは、会計監査を受けた正式な財務諸表においては、H19年3月期、H20年3月期と従来の方式と異なる方式を採用しましたが、21年3月期には、前述の信託方式を使ってまた元の方式と同様の数字に戻っています。</p>
<p><a href="http://www.jafco.co.jp/investor/zaimu_tanshin_more.html">決算短信や決算説明のプレゼン資料</a>では、「従来方式（自己持分方式）」として、ファンドへの当社自己出資持分のみを反映した連結決算情報を開示してますので、その差を見てみましょう。</p>
<p>下記の図で、「自」と書いてある折れ線が、ジャフコが「従来方式（自己持分方式）」と呼ぶ方式による数値です。</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20100201/201002011554.jpg" width="467" height="281" alt="201002011554.jpg" /></p>
<p>図表３．ジャフコの売上高、経常利益、当期純利益の推移（単位：百万円）<br /></p>
<p>　</p>
<p>これを見て分かるとおり、やはり、平成19年3月期、平成20年3月期の売上が大きく跳ね上がっているのがわかります。<br />
しかし、どちらの方式でも、利益については両者ほぼ同じ数字になっています。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">2000年ころの「ネットバブル」時期には売上（株式の売却）も利益も大きかったのが、その後下降線をたどり、一時期持ち直したけれど、リーマンショックで大きく落ち込んだ</span>図になっています。<br /></p>
<p>アメリカでのVC投資ボリュームの図などを見ても、タイムラグや額や率の違いはあるものの、<span style="text-decoration: underline;"><b>基本的にはこれと同じ形のトレンド</b></span>を描いています。</p>
<p>つまり、日本のベンチャー企業はドメスティックなビジネスモデルが多いので、世界とあんまり関係ないかというとそうではなくて、<span style="text-decoration: underline;"><b>投資環境は世界（アメリカ）とリンク</b></span>して変動する宿命にあると思っておいた方がよさそうです。</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20100201/201002011555.jpg" width="462" height="277" alt="201002011555.jpg" /><br /></p>
<p>図表４．ジャフコの総資産額及び純資産額の推移（単位：百万円）<br />
（「自」とあるのが、ジャフコが「従来方式（自己持分方式）」と呼ぶ方式による数値。）</p>
<p>　</p>
<p>一方、貸借対照表の方は、平成19年3月末分だけが総資産額、純資産額ともに、「従来方式（自己持分方式）」と財務諸表の数値が大きく違っているだけで、後は基本的には同じです。<br />
（20年3月末にはすでに新しい信託方式に移行したため、<span style="text-decoration: underline;">1期分だけが突出</span>している。）</p>
<p>　</p>
<p>参考まで、今期に入ってからの第1、第２、第３四半期の決算の概要を見てみますと以下のようになっています。<br /></p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/201002011603.jpg" width="467" height="280" alt="201002011603.jpg" /><br />
図表５．ジャフコの今期の四半期決算の推移（単位：百万円）</p>
<p>　</p>
<p>つまり、赤字モードは続いています。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■大和ＳＭＢＣキャピタル株式会社</b></span><br /></p>
<p>ご案内の通り、大和ＳＭＢＣキャピタル株式会社は、<span style="text-decoration: underline;">株式会社大和証券グループ本社が公開買付(TOB)者となって、昨年度、大和証券グループ本社<del>の100%子会社</del><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">が60%、株式会社三井住友銀行が40％保有する非上場会社に<span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">なりました</span>ので、現在は上場しておりません。</span></span></span></span></p>
<p>TOBをして上場廃止をする決定をした際に、大和ＳＭＢＣキャピタルから提出された意見表明書に、<span style="text-decoration: underline;"><del>100%子会社化して</del>上場をやめる意思決定をした経緯</span>が書いてあります。</p>
<p>ちょっと長めですが、引用します。（下線・強調は筆者による。）<br /></p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.daiwasmbc-cap.co.jp/documents/0428_3.pdf">当社の親会社である株式会社大和証券グループ本社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ</a><br /></p>
<blockquote>
  <span style="text-decoration: underline;">本公開買付に賛同するに至った意思決定の過程</span>

  <p>（前半部分略）<br />
  　現在、当社の経営環境は、VC投資及びバイアウト投資ともに非常に厳しいものとなっております。<span style="text-decoration: underline;">平成 18年度に187社を数えた国内の新規上場企業数は、平成19年度に99社、平成20年度には34社へ減少</span>するとともに、新規上場価格も低迷しており、投資先企業の投資資金回収環境の悪化は顕著なものとなっております。さらに、米国に端を発した世界的な金融市場の混乱による株価の下落や急激な為替の変動等の影響から企業収益が急激に低下し、景気が急減速している中、投資先企業の多くにおいても資金繰り状況の悪化及び業績の悪化に伴い企業価値の低下が避けられず、多くのベンチャーキャピタルにおいては、保有するVC投資先の営業投資有価証券に関して多額の引当金を計上せざるを得ない状況になっております。一方、バイアウト投資についてもVC投資同様、株式市場の低迷や企業収益の悪化等による企業価値の低下が避けられず、保有するバイアウト投資先の営業投資有価証券に関して多額の引当金を計上せざるを得ず、安定した収益を上げるのが困難な状況に陥っています。</p>

  <p>　こうした状況に加え、現在のところ景気回復の見通しが立たず国内株式市場が低迷する中、新規上場市場を含む株式市場の大幅な回復の見込みは立っていないことから、当社を取り巻く環境の厳しさは、一層強まってくるものと予想されます。当社の経営成績は<span style="text-decoration: underline;">平成21年３月期連結ベースでの純損失が5,804百万円</span>となり、平成 20年３月期連結ベースでの純損失である 5,485 百万円を上回る厳しい結果となっております。</p>

  <p>　このような環境下において、当社は、<span style="text-decoration: underline;">当社が<b>中長期的な企業価値の向上を実現</b>するためには</span>、機動的かつ柔軟な経営体制の下、投資案件発掘能力の更なる強化、提案力や投資先企業の経営サポート力の一段の強化、 アジアを中心とした海外ネットワークの強化を前提とする海外投資比率の拡大、バイアウト投資の拡大、現在のような新規上場が困難な経済環境下においても安定的な収益源を確保できるような新規上場以外の投資回収方法の確立、さらには新たな投資家のためのマーケティング体制の強化<span style="text-decoration: underline;">等、企業体質の抜本的な改革を要する施策を円滑かつ迅速に進めて行くことが必要</span>であると考えております。</p>

  <p>　しかしながら、当社は、上述のような中長期的な観点での企業価値向上のための施策の実行過程において は、<span style="text-decoration: underline;">短期的には</span>、施策が軌道に乗るまでの間、コスト負担が先行する等により業績に更なる悪影響を与える懸念があり、特に、アジア地域での展開に関しては、成果が現れるまでには一定の時間を要する上、期待通りの効果が得られるかどうかについて不確実な要素が多数存在するため、<span style="text-decoration: underline;">当社の業績は相当な期間に亘り不安定な状態が続くと予想される</span>ことから、当社の<span style="text-decoration: underline;">株主の皆様の期待に添えない可能性</span>があると考えております。</p>

  <p>　公開買付者からは、当社による上記の各施策の実現のためには、プライベート・エクイティ投資事業の分野における緊密な協力関係を今後も一層強化し、公開買付者グループ及び三井住友フィナンシャルグループの国内外の強力なネットワークや各種リソースを最大限に活用し、当社に対し一層の支援を提供することが不可欠であるとの認識に至った旨の説明を受けております。</p>

  <p>　当社としましても、当社が行う投資業務の基盤のさらなる強化が当社の中長期的な企業価値向上のため には不可欠であり、これを実現するためには、当社と公開買付者グループの経営資源をより<span style="text-decoration: underline;">緊密に連携させることが必要</span>と考えております。</p>

  <p>　以上のような認識に基づき、当社は、公開買付者との間で上記の認識を共有し、当社の今後について慎重に検討を重ねて参りました。そして、当社は、当社の業績の不振が昨今の急激な経営環境の悪化に起因するものであり、かつ、この経営環境が当面継続するものと見込まれる中で、当社が中長期的な視点に立った企業価値の向上を実現していくためには、機動的かつ柔軟な経営戦略を実行できる体制を構築することが必要であり、<span style="text-decoration: underline;">逆に株主が多数存在する場合には、業績の安定性への配慮から抜本的な改革や機動的な施策を打ち出すことができず、かえって株主全体の期待に背く結果を招く</span>と判断いたしました。<br /></p>
</blockquote>
<p>　</p>
<p>TOBで上場廃止する場合のオーソドックスな説明と言えるかも知れません。</p>
<p>「<b>中長期を考えていろいろやれば企業価値は上がると考えてるけれど、株主が多いと業績の安定性に配慮しないといけないので、かえって迷惑かけちゃうので上場やめます。</b>」</p>
<p>という説明。</p>
<p>実務として非常によくわかる気がする一方で、中長期的な企業価値は上がると信じて施策を打というという訳だから、<span style="text-decoration: underline;">理論的には、少数株主の理解不足を補うようなコミュニケーション手段があれば、上場したままで株価も維持されるはず</span>であり、なんかうまい方法は無いもんかなあといつも思います。</p>
<p>大和ＳＭＢＣキャピタルさんがそう言っているというわけではないですが、こうしたフレーズを見るといつも、<br /></p>
<p>「少数株主のあんたらはアホだからわからんだろうけど、将来株価（企業価値）は必ず上がるんよ。それがわからんやつは売って。」</p>
<p>と言ってるようにも聞こえます。<br />
（今買えば得だと思うからこそTOBするわけですから。本当に得するかどうかはさておき。）</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">ベンチャーキャピタルが上場する意味</span></p>
<p>アメリカのベンチャーキャピタルが上場してる例は聞きませんが、そもそも<span style="text-decoration: underline;">ベンチャーキャピタルは上場してよかったのでしょうか？</span></p>
<p>ネットバブル崩壊から回復、リーマンショックで下落、という前述のトレンドを見ると、ベンチャーキャピタルの決算というのは、そもそも、そうした<span style="text-decoration: underline;">景気循環に強く影響を受ける</span>ものなのであり、やはり個人株主等にはなかなか理解が得られにくい面はあると思います。<br />
<span style="text-decoration: underline;">大きく下がった時に買っておけば得</span>、という考え方もあるかも知れません。</p>
<p>一方で、<a href="http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=8595.T&amp;ct=z&amp;t=ay&amp;q=c&amp;l=off&amp;z=m&amp;p=m65,m130,s&amp;a=v">ジャフコの株価の推移</a>を見ても、循環的な波はありつつも、10年単位で見るとゆっくり右下がりになっていると見れます。<br />
これは、（例えば内部統制や監査などが厳しくなって上場のハードルが上がるなどの<span style="text-decoration: underline;">構造変化</span>が進むことで）、あまり起業してベンチャー企業が儲かる世の中ではなくなってきているという認識を反映しているのかも知れません。</p>
<p>ちょっとだけ楽観的に考えれば、<span style="text-decoration: underline;"><b>ベンチャー企業が成功する道はまだたくさんあるが、ベンチャーキャピタルが儲からなくなってるだけかも</b></span>知れません。<br />
例えば、ネット系のベンチャーのように、サーバなどの設備投資に必要な資金がムーアの法則などで劇的に減少し、逆にGoogle Adwordsやアフィリエイトなど簡単に売上を獲得する方法が発達した結果、<span style="text-decoration: underline;">ベンチャー企業の資金需要は小さくなり、VCの出番が無くなって来ている</span>といった構造変化を表しているのかも知れません。</p>
<p>ともかく、上記の本文中に「平成20年度には34社へ減少」とありますが、平成21年暦年では<span style="text-decoration: underline;"><b>19社</b></span>しか上場できなかったので、上記の意見表明書にある当面環境が悪いという見通しは、残念ながら今のところ当たっています。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">決算の概要</span><br /></p>
<p>さて、大和ＳＭＢＣキャピタルについても、昨年3月期までの有価証券報告書は開示されてますので、ジャフコと同様、決算を見てみましょう。<br /></p>
<p>まずは、正式な財務諸表の数値ですが、</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20100201/201002011838.jpg" width="462" height="278" alt="201002011838.jpg" /><br /></p>
<p>図表８．大和ＳＭＢＣキャピタルの売上高、経常利益、当期純利益の推移<br />
（単位：百万円）</p>
<p>　</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20100201/201002011839.jpg" width="465" height="279" alt="201002011839.jpg" /></p>
<p>図表９．大和ＳＭＢＣキャピタルの総資産額及び純資産額の推移（単位：百万円）</p>
<p>　</p>
<p>・・・といった感じになってます。</p>
<p>　</p>
<p>一方、大和ＳＭＢＣキャピタルは、ジャフコのような「信託を使った連結はずし」といった手法は取っていないようです。<br />
しかし、「ファンドまで連結なんて、やってらんねえ！」から非上場化するわけではないでしょう。<del>100%</del>親会社の大和証券グループ本社も上場しており、子会社は連結しないといけませんので、非上場化してもファンドの連結問題からは離れられないからです。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.daiwasmbc-cap.co.jp/company/press/brief_announcement.html">決算短信・決算説明資料のページ</a>の「決算説明資料」を見ると、表紙に、<br /></p>
<blockquote>
  <p>当社は、2007年3月期より会計方針を変更し、当社グループが運営するファンドの一部を連結 （以下、 「ファンド連結方式」 ） しております。 当期においては、当社グループが運営するファンド61本 のうち、28本（匿名組合1本含む） 、時価純資 産額合計540億円 （外部出資者の持分378億円） を連結しております。 ただし、<span style="text-decoration: underline;">当社グループの経営成績及び財政状態をより<b>的確に</b>表すため</span>、本資料 「決算概要」においては、外部出資者の持分を含まない、当社グループの持分だけを反映した 「ファンド持分方式」に基づく数値を記載しております。</p>
</blockquote>
<p>と書いてあります。</p>
<p>つまり、一般に公正妥当と認められた会計方針は、当社グループの経営成績及び財政状態を、<span style="text-decoration: underline;">あんまり「的確に表していない」</span>ということですね。（笑）<br /></p>
<p>こういう<span style="text-decoration: underline;"><b>経営成績や財政状態を的確に表さない会計方針を採用する（採用せざるを得ない）</b></span>というのは、会計のそもそもの目的に照らしてどういうことなのか？という問いを、ベンチャーキャピタルという事業は突きつけている気がします。<br /></p>
<p>　</p>
<p>ジャフコの自己持分方式と同様、大和でも「ファンド持分方式」と呼ぶ従来方式が、決算説明資料等で開示されています。　<br />
（下記のグラフで「フ」とあるのが、大和ＳＭＢＣキャピタルが「ファンド持分方式」と呼ぶ方式による決算。）</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20100201/201002011956.jpg" width="462" height="278" alt="201002011956.jpg" /><br />
図表10．大和ＳＭＢＣキャピタルの売上高、経常利益、当期純利益の推移（単位：百万円）</p>
<p>　</p>
<p>上図のとおり、ジャフコと同様、売上は大きく変わるものの、利益はさほど違いが発生していません。</p>
<p>貸借対照表は以下の通り。<br /></p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20100201/201002011957.jpg" width="461" height="278" alt="201002011957.jpg" /><br />
図表11．大和ＳＭＢＣキャピタルの総資産額及び純資産額の推移（単位：百万円）</p>
<p>　</p>
<p>平成13年ごろは、かなり自己資本比率が低い（レバレッジが効いた）財務構成だったのが、昨今でのファンド持分方式による自己資本比率は上がって来ているようです。</p>
<p>　</p>
<p>上場廃止になったので、決算短信も1Qのものしか出していません。<br />
正式な連結財務諸表では、売上高1,718、経常利益△5,233、純利益△2,879<br />
「ファンド持分方式」では、売上高 1,066、経常利益 △2,979、純利益 △2,879<br />
ということで、赤字は続いているようです。</p>
<p>　</p>
<p>---</p>
<p>　</p>
<p>その他、上場していてデータが見られるベンチャーキャピタルには、以下があります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■日本アジア投資株式会社</b></span></p>
<p>平成21年3月期でなんと349億円の赤字を計上し、本日時点で時価総額が<span style="text-decoration: underline;">56億円</span>にまで下がっています。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■フューチャーベンチャーキャピタル株式会社</b></span><br /></p>
<p>平成21年3月期で、9億円の赤字で、時価総額は本日時点で<span style="text-decoration: underline;">6.5億円</span>まで下がってます。</p>
<p><b><span style="font-weight: normal;">　</span></b></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■ＳＢＩホールディングス株式会社</b></span></p>
<p>ＳＢＩホールディングス株式会社についても、ベンチャーキャピタル事業の様子が垣間見てとれます。</p>
<p>全体としては、オンライン証券等の多様な事業を傘下に持つ同社ですが、有価証券報告書のセグメント情報の「アセットマネジメント業務」というのが、ベンチャーキャピタル業務を行っているセグメントのようです。<br /></p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20100201/201002012026.jpg" width="213" height="351" alt="201002012026.jpg" /><br />
図表12．ＳＢＩホールディングスの「アセットマネジメント事業」のセグメント情報<br />
（自平成20年４月１日至平成21年３月31日）</p>
<p>　</p>
<p>セグメント情報の注には、</p>
<blockquote>
  <p>アセットマネジメント事業<br />
  当社、ＳＢＩインベストメント株式会社、及びＳＢＩキャピタル株式会社等を中心としたＩＴ、バイオ、ブロードバンド、メディア、モバイル関連等のベンチャー企業及びリストラクチャリングを必要とする企業等への投資に関する事業</p>
</blockquote>
<p>とあるので、この中にはバイアウト投資なども混ざっており、純粋なベンチャーキャピタル事業がどうなっているのかはわかりません。</p>
<p>しかし、この環境下で<span style="text-decoration: underline;"><b>利益が出ている</b></span>ので、ちょっとビックリです。</p>
<p>2009年9月末までの第二四半期（累計）でも、利益が21億円も出ているようです。<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">他社が環境の悪化で苦しむ中、これはちょっと不思議</span>ですね。</p>
<p>　</p>
<p>注記の「会計処理基準に関する事項」を見ると、</p>
<blockquote>
  <p>トレーディング関連以外の有価証券等<br />
  その他有価証券（営業投資有価証券を含む）<br />
  トレーディング関連以外の有価証券等 その他有価証券（営業投資有価証券を含む） 時価のあるもの 連結決算日の市場価格等に基づく時価法（評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定）<br /></p>
</blockquote>
<p>とあるので、すでにIPOした投資先の株式を持って含みが出ていても、売却しないと利益には計上されないので、そうしたものを小出しに売却して売上や利益を平準化しているのかも知れません。<br />
（全体の一セグメントに過ぎないため、現在まで見た資料の範囲では、残念ながらよくわかりません。）</p>
<p>　</p>
<p>ＳＢＩホールディングスの決算はどうかわかりませんが、有価証券を小出しに売却しながら売上や利益を調整している例を見ると、IFRSで「包括利益」が導入された方が恣意的に決算が作られることが無くていい、ということが体感的にわかります。<br />
「包括利益」って、まさに「ベンチャーキャピタル的なもの」に対応するために生まれた側面がある気がします。<br /></p>
<p>　</p>
<p>今週はこんなところで。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）<br /></p>
<p>　</p>
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    </content>
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<entry>
    <title>週刊isologue（第43号）ベンチャーキャピタルの財務諸表を読み解く（基礎編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/201001250949.html" />
    <id>tag:tez.com,2010:/mag//4.1567</id>

    <published>2010-01-25T00:49:26Z</published>
    <updated>2010-01-26T00:52:11Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tez.com/mag/">
        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2010.01.25</span>（第43号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■ベンチャーキャピタルの財務諸表を読み解く（基礎編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>（追記あり：2009/01/26 9:50）</p>
<p>ベンチャー企業はいろんなタイプの投資家から投資を受けますが、その代表的なものがベンチャーキャピタル（VC）からの投資です。<br />
今回は、日本のVC最大手の一社である<a href="http://www.jafco.co.jp/investor/index.html">株式会社ジャフコ</a>（さん）の財務諸表も拝見しながら、VCの財務諸表について考えてみたいと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■日本のベンチャーキャピタルの法的構造</b></span></p>
<p>シリコンバレーのVCは「パートナー」と呼ばれる個人で構成される<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/LLC">LLC</a>と、そのLLCが業務を執行する（GP=General Partnerを務める）ファンド（LP=LImited Partnership）の形を取っていることが多いと思います。<br />
つまり、ざっくり言うと<span style="text-decoration: underline;">「個人」の力量に大きく依存した運営</span>が行われていると考えられます。</p>
<p>これに対して、日本のベンチャーキャピタルのうち特に銀行や証券など日本の大企業系列のベンチャーキャピタルは「株式会社」であり「組織的に」事業が行われているところが多いのが特徴です。<br />
（「組織的に」ということは、別の言い方をすれば「サラリーマンがやっている」ということにもなります。）<br />
アメリカで上場しているVCは存じませんが、日本ではジャフコのように上場しているVCもあります。</p>
<p>（もちろん、日本の大手ベンチャーキャピタルにも個性のある方もいらっしゃいますし、個人のパートナーが中心に行っているパートナーシップ的色彩の強いベンチャーキャピタルもありますので、念のため。）</p>
<p>一般には、ベンチャーキャピタルがGPとなり、1〜複数のファンドを立ち上げて、それらの運営を行います。<br /></p>
<p>このファンドの「箱」の要件として望ましいのは、</p>
<ul>
  <li>ファンド段階で課税が行われないこと（法人税の課税対象でないこと）</li>

  <li>できれば出資者が有限責任であること</li>
</ul>
<p>などです。</p>
<p>ファンドは「利回り」が求められるので、儲けはなるべくファンド段階で課税されずにキャッシュを出資者に分配した方がパフォーマンスが良く見えます。</p>
<p>また、VCファンドは投資対象が主に「株式」で、その株式のキャピタルゲインを狙って投資するわけです。<br />
日本のVCのファンドに出資しているのは金融機関や事業会社など法人が多いので、その人たちにとって所得の種類はあまり関係ありませんが、個人の出資者にとっては、株式のキャピタルゲインの税金は分離課税で上場企業なら10%、非上場企業でも20%なのに対し、法人からの配当などの形で受け取ると総合課税では最大約50%の税率にもなりますので、<span style="text-decoration: underline;">所得の種類によって結果が大違い</span>になります。<br /></p>
<p>　</p>
<p>このファンドのvehicle（箱）として、日本においては以前は、民法上の組合（任意組合）がよく使われていました。</p>
<p><br />
<a href="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001251302.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001251302-tm.jpg" width="480" height="216" alt="201001251302.jpg" /></a><br />
図表１．ファンドに使われる可能性のある「箱」とその効果<br />
（クリックで拡大）</p>
<p>　</p>
<p>上の表のように、民法上の組合は、アメリカでファンドに使われるLimited Partnership<del>に似ていて法人格も無く、</del>と同様、組合段階では法人税が課せられない「パススルー課税」であり、契約だけで組成できて登記も不要と、手軽だったからです。</p>
<p>この任意組合を使ったファンド形式は、一昨年亡くなられた元森・濱田松本法律事務所特別顧問の松本啓二弁護士のアドバイスでジャフコが組成したものが日本初だったと伺っております。</p>
<p>ただし、この民法上の組合では、出資者が<span style="text-decoration: underline;">無限責任</span>になるのが、ちょっとした難点でした。<br />
VCファンドが投資するのは基本的には株式だけで、株式は有限責任なので、<span style="text-decoration: underline;">ファンドが借入でもしない限り、実質的には出資者が無限の責任を負うことにはならないはず</span>ですが、法的に有限責任であることが明確なのに越したことはありません。<br />
このため旧通産省が動いて投資事業有限責任組合法（当初は「中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律」）ができました。</p>
<p>この投資事業有限責任組合（LPS）は、GPは無限責任ですが、その他出資者（LP）は有限責任となっています。<br />
任意組合と同様、パススルー課税のメリットもありますが、任意組合と違って登記が必要だったり、会計監査が必須だったりで、若干、コストが余計にかかります。</p>
<p>このため、そうしたコストが吸収できる中規模以上のファンドは、現在はLPSで組成されているものが多いと思います。<br />
海外投資家から資金調達するファンドまたは海外向けの投資には、海外法のLimited Partnership等も使われていることと思います。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■ベンチャーキャピタルの会計処理</b></span></p>
<p>昔の会計基準には、連結において「性質が大きく異なるものを合算するのは望ましく無い」という考え方がありました。<br />
例えば、金融をやっている会社がたまたまメーカーなどの事業会社の経営権を取得することになったとしても、全く性質の違うその２つをごっちゃにすると、財務諸表が何を表しているかが分かりにくくなってしまうからです。</p>
<p>一方、アメリカのエンロン事件や、日本のライブドア事件や日興コーディアルグループの件など、<span style="text-decoration: underline;">「ファンドやSPCを連結しなくていい例外」</span>を利用した処理が社会問題になったため、「例外を作るとそれを悪用される」という側面の方が強く意識されるようになり、会計基準も例外を認めない方向に進むことになります。</p>
<p>こうした背景もあって、VCの決算を見る際には、その時代毎に、</p>
<ul>
  <li>本体が直接投資しているもの。</li>

  <li>ファンドが投資しているものを持分だけ反映するケース。</li>

  <li>ファンドを連結して反映するケース。</li>

  <li>直接又はファンド経由で保有している投資先法人を連結するケース。</li>
</ul>
<p>など、「<span style="text-decoration: underline;">どこまでが財務諸表に合算されているのか</span>」をイメージすることが非常に重要になってきます。</p>
<p>　</p>
<p>実際に、ジャフコの有価証券報告書を見ると、「第２ 事業の状況」に下記の図が掲げてあります。<br />
（<a href="http://www.jafco.co.jp/investor/index.html">ジャフコのホームページ</a>はEDINETへのリンクが張ってあるだけなので、<a href="http://info.edinet-fsa.go.jp/">EDINET</a>で閲覧する必要があります。）</p>
<p>　</p>
<p><br />
<a href="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001250953.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001250953-tm.jpg" width="480" height="388" alt="201001250953.jpg" /></a><br />
図表２． 第37期有価証券報告書（至平成21年3月31日）</p>
<p>　</p>
<p>上図のように、基本的にずっと、「<span style="text-decoration: underline;">ジャフコグループが直接投資したもの</span>」と「<span style="text-decoration: underline;">ファンドのうち、ジャフコが出資持分に対応する部分</span>」だけが連結貸借対照表に反映されることになってますが、第35期だけは、<br /></p>
<p>　</p>
<p><br />
<a href="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001251000.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001251000-tm.jpg" width="480" height="380" alt="201001251000.jpg" /></a><br />
図表３．第35期有価証券報告書（至平成19年3月31日）</p>
<p>　</p>
<p>上図のように、ジャフコ・グループが管理運営するファンドを全部連結して連結貸借対照表に反映させていました。<br />
（<span style="text-decoration: underline;">上の投資事業組合の箱の</span><span style="text-decoration: underline;">黄緑色に塗ってある範囲が違うところに注目</span>。）</p>
<p>　</p>
<p>有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」の注は、以下のようになってます。</p>
<blockquote>
  <p>４．第35期は「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」（企業会計基準委員会実務対応報告第20号　平成18年９月８日）を適用し、当社グループが管理運営する投資事業組合を連結子会社として連結の範囲に含めた数値であります。</p>

  <p>５．第36期は連結会計年度末をもって当社グループが管理運営する投資事業組合を連結の範囲から除外したことにより、当該投資事業組合の損益計算書のみを連結した数値であります。</p>

  <p>６．第33期、第34期及び第37期は当社グループが管理運営する投資事業組合については、当該投資事業組合の資産、負債及び収益、費用を当社グループの出資持分割合に応じて計上しております。<br /></p>
</blockquote>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">なぜ35期に一度連結したのに、36期以降またファンドを連結から外した（外せた）のか</span>という疑問が浮かぶわけですが、そのヒントは有価証券報告書の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されています。<br />
（ちょっと長いですが、引用します。下線部筆者。）</p>
<p>　</p>
<blockquote>
  <p>平成19年９月30日に金融商品取引法が施行され、当社は、投資事業組合及びリミテッドパートナーシップ（以下、総称して「投資事業組合」という）の募集及びその財産の運用につき、平成19年12月７日付で、関東財務局に<span style="text-decoration: underline;">第二種金融商品取引業者</span>及び<span style="text-decoration: underline;">投資運用業者</span>として登録を行いました。また、当社の 100％子会社であり外国法人であるJAFCO Investment (Asia Pacific) Ltdは、平成19年11月１日付で、関東財務局に<span style="text-decoration: underline;">特例投資運用業務</span>に関する届出を行いました。</p>

  <p>投資事業組合の財産の運用業務におきましては、従来、当社は、投資事業組合の<span style="text-decoration: underline;">業務執行者</span>として組合財産の運用業務（組合財産の取得、処分、分配及び払戻）及び組合財産の管理業務（現預金の管理、有価証券の保管、有価証券の受渡・決済に関する事務及びその他組合事務）を行っておりました。しかしながら、上記投資運用業者としての登録に伴い、投資事業組合及び当社は、投資事業組合契約の変更等によって組合財産の<span style="text-decoration: underline;">分別管理態勢</span>を抜本的に見直し、再構築しました。すなわち、組合財産に属する現預金の管理、有価証券の保管など組合財産管理業務については、当連結会計年度末より、投資事業組合から直接、<span style="text-decoration: underline;">信託銀行へ委託</span>することとし、当社は投資運用業者として<span style="text-decoration: underline;">専ら信託銀行に対する組合財産の運用の指図のみを行う</span>ことになりました。また、JAFCO Investment (Asia Pacific) Ltdが管理運営する投資事業組合についても、投資事業組合契約の内容を整備し、JAFCO Investment (Asia Pacific) Ltdは、専ら財産管理受託者に対する組合財産の運用の指図のみを行うことになりました。</p>

  <p>この結果、当社及びJAFCO Investment (Asia Pacific) Ltdが管理運営する投資事業組合のうち、当社及び子会社の出資又は投資事業から生ずる損益に対する享受又は負担が概ね過半を超える投資事業組合を除く 38ファンドについては、<span style="text-decoration: underline;"><b>当社及び子会社が支配していないことが明らかとなったため</b></span>、上記変更の効果が生じた当連結会計年度末をもって、子会社ではなくなったことにより、連結の範囲から除外しております。また、非連結子会社の７ファンドにつきましては、いずれも小規模であり、かつ、合計の総資産、売上高、当期純損益及び利益剰余金等は、いずれも連結財務諸表に重要な影響を及ぼしていないことから、重要性の乏しい子会社として、当連結会計年度末より連結の範囲から除外しております。なお当該38ファンドに関しては、上記の運用管理態勢の再構築に伴い、業務執行者である当社及びJAFCO Investment (Asia Pacific) Ltdは、専ら組合財産の運用を指図する権限を有するに過ぎず、重要な影響を与えないことが明らかであるため、関連会社とはしておりません。また、当中間連結会計期間は連結子会社であり、平成19年10月30日からは持分法適用関連会社であった株式会社ＭＳＪホールディングスは、同社に出資しているジャフコ・バイアウト２号投資事業有限責任組合及びJAFCO Buyout No.2 Investment Limited Partnership (Cayman) L.P.が当連結会計年度末をもって子会社ではなくなったことに伴い、関連会社ではなくなりました。<br /></p>
</blockquote>
<p>　<br /></p>
<p>つまり、従来はVCファンドの持分は証券取引法の規制は受けなかったのですが、金融商品取引法が施行されて、ファンドの持分の募集を行うような場合にも「第二種金融商品取引業者」として登録を行わなければならないことになったわけです。<br />
（これもアヤシゲなファンドを作って資金を集める事例が問題視されて法律で規制されるようになり、真面目にファンドをやってる方々までがトバッチリを食ったということですが。）</p>
<p>それを機に、<span style="text-decoration: underline;">ファンドの資産を信託銀行へ預けて分別管理をきちっとする代わりに連結からは外しました</span>、ということのようです。</p>
<p>ファンドに関わる業務のほとんどはジャフコが行っているのでしょうし、ジャフコ以外の出資者（LP）が本格的に投資先の選定や投資条件の決定に関わるとも思えないので、信託銀行に組合財産を預けただけでは「支配してないことが明らか」とは必ずしも言えないとは思いますが、その他のしくみもいろいろ工夫して、「ジャフコは単に預かった資産を管理してるだけで、ファンドを自由にコントロールできるわけではない」という体裁を作られているのだと思います。</p>
<p>従来の証券会社（第一種金融商品取引業）でも、顧客からの預かり資産は連結対象とはなっておらず、いわば「簿外」になっています。<br />
（「簿外」というのは「イイカゲン」という意味ではないので念のため。分別管理が義務づけられた資産については、ちゃんと監査も義務づけられています。）</p>
<p>どこからが「支配」でどこからが「支配」でないか、というのは、単純な外見からはなかなかわかりにくいですが、その実態を判断するために監査法人がいらっしゃるわけなので、監査法人が「実質的に支配していない」ことを確認されているということになります。</p>
<p>　<br /></p>
<p>ちなみに、VCが出資先企業の議決権の5割超を保有するなど、出資先企業を「支配」している場合には、その出資先企業もVCの連結に含めることを検討する必要が出てきます。<br />
ただし、一般のVC業務では、過半数の株式を保有することはあまり無いので、出資先企業を連結にしなければならないケースはさほど多くは無いのではないかと思います。<br />
一方、バイアウト業務等では5割超の株式を取得することは比較的よくあると思われます。</p>
<p>ただし、ジャフコの場合、上述の分別管理方式も功を奏してか、もともと出資比率が高いものが存在しないのか、連結している出資先企業は一社もないようです。<br /></p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■投資の全容（ジャフコのケース）</b></span></p>
<p>以上のように、「どの範囲までが反映されているのか」がピンと来ないVCの財務諸表ですが、全貌が体感的にイメージできる図が、決算説明のプレゼン資料</p>
<p><a href="http://www.jafco.co.jp/investor/zaimu_tanshin.html">http://www.jafco.co.jp/investor/zaimu_tanshin.html</a><br /></p>
<p>にあります。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001250936.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001250936-tm.jpg" width="480" height="209" alt="201001250936.jpg" /></a><br />
図表４．投資残高ならびに投資可能資金<br />
（クリックで拡大、単位十億円、<br />
　 2009年12月末現在、&lt; &gt;内2009年3月末現在）</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(A) ジャフコ直接投資</span></p>
<p>ファンドの投資と平行して、VC自身が自腹でも投資を行うことは、ファンドの受託者としての立場との利益相反が起きる可能性があるので長らく批判の対象となってきました。<br />
つまり、仮に「イケてる案件」は自腹で投資して失敗しそうな案件はファンドに押し付けるといったことが行われたら、 VC及びVCの株主にはプラスに働きますが、ファンドの出資者にはマイナスになり得ます。</p>
<p>ただし、VCの場合そういったことを続けていると次のファンドの資金が集まらなくなります。</p>
<p>上図のようにジャフコには2009年12月末現在で188億円の直接投資分があるようですが、これも、そうした利益相反を防ぐようなしくみやプロセスを経て投資されているのではないかと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(B) ジャフコ出資持分</span></p>
<p>投資事業組合の投資残高1851億円のうち、693億円がジャフコの持分になっています。<br />
つまり、ジャフコが管理運営する数十のファンドの平均としては、ジャフコ自身が37%くらいを出資しているようです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">上図の黄緑色の部分が、ジャフコの財務諸表の投資有価証券残高に反映</span>されている部分ということになります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">未払込金額</span></p>
<p>これはファンドの出資者が出資金を払込むのを怠っているわけではなく、ファンドの契約上、今後「キャピタル・コール」できる部分ということだと思います。</p>
<p>VCは、投資案件を探しながら投資をしていくので、ファンドの資金を集めた瞬間に、その資金の全部を株式に換えられるわけではありません。<br />
このため、ファンドで計画している資金の全部を最初から集めてしまうと、遊んでいる資金が生まれ、その分、資金の効率や利回りが下がります。<br />
このため、投資案件が決定する都度、資金をコールするのがキャピタル・コール方式です。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■ファンドのビジネスモデル</b></span></p>
<p>ファンドからVC（GP）が受け取る報酬の上限が、前述の決算説明プレゼン資料の最後のページ<br />
「投資事業組合に係る手数料等及びリスク事項について」<br />
から見て取れます。</p>
<blockquote>
  <p>［手数料等について］</p>

  <p>投資事業組合（以下「組合」といいます。）の募集・私募その他当社との相対取引により組合持分を取得いただくにあたり、追加出資申込期間以降にお申し込み頂く場合には、取得される組合持分に係る出資約束金額（キャピタル・コール方式による組合の場合）又は出資金額（一括払込方式による組合の場合）に対し、年率で上限1.05％（税込み）の追加出資又は持分譲渡に係る手数料を直接ご負担いただくこととなります。また、組合の設立時に間接的にご負担いただく費用として、出資約束金額又は出資金額の0.21％（税込み）を上限に設立費用を実費でいただいております。</p>

  <p>組合持分の保有期間中に間接的にご負担いただく費用として、管理報酬（出資約束金額又は出資金額に対し、年率で上限3.15％（税込み）。組合財産管理委託報酬を含みます。）をご負担いただきます。また、成功報酬（運用成績に応じて各事業年度における利益の上限21.0％（税込み）。一部の組合については一定の条件を満たした場合に各事業年度の利益の31.5％（税込み））及び事務委託費（組合財産総額に対し年率で上限0.315％（税込み）。組合財産管理委託報酬を含みます。）をご負担いただく場合があります。その他、組合の業務遂行に関連して発生した費用を実費で間接的にご負担いただく場合があります。<br />
  お客様にご負担いただく手数料等の額は、上記の各手数料等の合計金額となります。</p>
</blockquote>
<p>税抜きで、管理報酬が<span style="text-decoration: underline;">上限で年額3%</span>、利益に対する<span style="text-decoration: underline;">成功報酬が20%</span>くらいということになってます。<br />
ちなみに、アメリカの調査でも、バラツキはあるものの、ほとんどのファンドの成功報酬(carried interest) が20%になっているようです。</p>
<p>　</p>
<blockquote>
  <p>［リスク事項について］<br /></p>

  <p>当社の運用する組合は、主に国内外の未上場企業の発行する株式等を投資対象としています。未上場企業は、上場企業に比べ、経営や財務に関するリスクが高く、日本経済や景気の動向・業界の動向・競争状況の影響を受けやすく、また、株式上場やM&amp;A等による出口が保証されているわけではなく、株式上場やM&amp;A等による回収を行った場合に投資資金を増殖して回収できる保証もありません。また、国内外の未上場会社を中心とした企業が発行する株式等、価値が変動する証券を投資対象としているため、組み入れる株式等の価値の変動や、海外の企業が発行する株式等に組入れを行った場合には為替相場の変動の影響を受けます。さらに、組み入れる株式等の発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等に影響を受けます。これらの要因から、組合の投資収益に悪影響を及ぼし、ひいては出資元本を割り込むことがあります。<br />
  組合の組合員たる地位の譲渡は、投資事業組合契約上、他の組合員に譲渡する場合を除き、当社の事前の書面による承諾が得られる場合に限られており、出資金の回収手段が制約されるため、かかる譲渡を行う場合には、当該譲渡の対価が直近の組合財産の当該持分相当額を下回ることがあり、ひいては出資元本を下回ることがあります。</p>

  <p>投資事業組合契約に定められた組合財産の分配による場合を除き、出資金額の払い戻しはできません。脱退による組合財産の分配の場合、組合は流動性のない未上場株式等に投資しているため、投資事業組合契約上、脱退組合員は持分に占める投資部分の払い戻しは一切請求できず、現金及び現金同等物に対する自己の組合持分の2分の1に相当する金額に限り払い戻しを受けることができますが、その場合、出資元本を著しく割り込むことがあります。</p>
</blockquote>上場株式などと違って、組合員の地位（出資）を第三者に譲るということも原則としては行えず、また、出資の払戻しもできないことになっている、ということですね。<br />
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■投資の評価（投資損失引当金）</b></span><br /></p>
<p>ジャフコの場合、有価証券報告書の「投資損失引当金の状況」という項で以下のような説明がなされています。<br /></p>
<blockquote>
  <p>　営業投資有価証券の損失に備えるため、投資先会社の実情を勘案の上、その損失見積額を計上しております。<br />
  　個別銘柄ごとには、原則として回収見込額が取得原価の70％未満になったものを引当し、個別引当対象にならなかった未上場残高に対しても一定の一括引当を行うこととしております。なお、当連結会計年度において新規上場市場の悪化等を考慮し、一括引当を10％(前期５％)に引き上げております。<br /></p>
</blockquote>
<p>　</p>
<p>VCが投資した株式の評価が難しいのは、特にスタートアップ、シード、アーリーといった時期においては、投資先企業の純資産の数倍から数十倍の金額で投資されるケースもしばしばある点です。</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001252104.jpg" width="480" height="244" alt="201001252104.jpg" /><br />
図表５．投資直前の純資産、評価額、出資比率と投資直後の純資産の関係</p>
<p>　</p>
<p>通常の金融商品会計においては、「（金融商品会計に関する実務指針92）市場価格のない株式の減損処理」で、時価純資産が取得時に比べて50%以上下落していた場合には減損処理しなければならないとされてますが、ベンチャー企業は当初赤字が続くことも多く、単純な純資産で比較したら、投資してすぐ減損というケースが続出してしまいかねません。</p>
<p>「金融商品会計に関するQ&amp;A Q34」においては、財政状態が悪化している会社のケースについて、「損益見込み等」の計画に沿っている場合には減損しなくてもいいが、「一定期間経過後もなお経営改善等の効果が現れ」ないケースなどに減損を行わなければならないこととしています。<br /></p>
<p>ジャフコの基準では、こうした減損とは別に、（計画との乖離ではなく）「回収見込額」が取得原価の70%未満になったものについて個別に引当金を計上し、それ以外の株式についても（ベンチャーの多くはうまくいかないので、ざっくり）10%を引き当てているということですね。</p>
<p>ベンチャー企業の場合、計画を立てても、その通りに行かないことも多いので、計画の達成度を基準にすると不安定感が増してしまうはずです。このため 「回収見込額」というのはいい切り口だと思います。<br />
一方で、「個別のベンチャー企業の回収見込額が70%未満になった」という判断を客観的に行うことは（おそらくもっと詳しい内規もあると思いますが）なかなか難しいのではないかと推測します。</p>
<p>　</p>
<p>下記はジャフコの<a href="http://www.jafco.co.jp/jpkyoten/index.html">ホームページ</a>にあった図ですが、</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20100125/201001250947.jpg" width="222" height="301" alt="201001250947.jpg" /></p>
<p>　</p>
<p>この図は社数ベースですので、<span style="text-decoration: underline;">投資金額ベース</span>ではもう少し「シード＆スタートアップ」や「アーリー」の比率は小さくなると思います。<br />
しかしそれにしてもこのベンチャー企業の株式の評価というのは、客観性の高い「純資産」等での評価ではなく「将来の予想」によって支えられている部分が多いだろうということが推測されます。</p>
<p>つまり、（もちろん極力客観的な評価を心がけているとは思いますが）、もともと未上場のベンチャー企業の株式の評価というのは評価に幅があるものですので、新規上場市場の悪化その他の経済環境の変化で、楽観的な場合と悲観的な場合で、評価するのにご苦労があるのではないかということが考えられます。</p>
<p>実務を担当している方には怒られるかも知れませんが、文学的に美しい言い方をすると、ベンチャー企業の株式の評価のそこそこの部分は「<span style="text-decoration: underline;"><b>希望</b></span>」や「<span style="text-decoration: underline;"><b>夢</b></span>」によって支えられている気がします。</p>
<p>　</p>
<p>次回は、引き続き、より具体的なVCの決算の内容について考えてみたいと思います。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）<br /></p>
<p>　</p>
<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
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</ul>
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<entry>
    <title>週刊isologue（第42号）創業期ベンチャー企業の資本政策（実例編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/201001181705.html" />
    <id>tag:tez.com,2010:/mag//4.1521</id>

    <published>2010-01-18T08:05:40Z</published>
    <updated>2010-01-18T15:17:45Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tez.com/mag/">
        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2010.01.18</span>（第42号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■創業期ベンチャー企業の資本政策を考える（実例編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>先週に引き続き、創業期ベンチャーの資本政策について考えてみます。</p>
<p>今回は、必ずしも成功とは言えない実例が中心です。</p>
<p>　</p>
<p><b><span style="text-decoration: underline;">■失敗例１：初期に投資家に株式を渡しすぎ</span></b><br /></p>
<p>資本政策の最もよくある失敗例は、会社のフェイズがまだアーリーな段階で投資家に株式を渡し過ぎるケースです。<br />
換言すると、<span style="text-decoration: underline;">調達する必要がある資金量に対して、</span><span style="text-decoration: underline;">企業価値評価が低すぎる</span>ケースということになります。</p>
<p>例えば、100万円の資本金で会社を設立してがんばって会社を運営していたら、半年後にVCなどの投資家から「<span style="text-decoration: underline;">企業価値2000万円で評価して資金を1000万円入れたい</span>」という申し出があったとします。</p>
<p>こうなると、（2000万円の評価の会社に1000万円で、投資後の企業価値は3000万円になるわけですから）、その段階ですでに33%は外部の株主が持つことになってしまうわけです。<br />
仮に、今後さらに9000万円くらい資金が必要だとしたら、その程度の企業価値評価では、創業者や安定株主の持株比率がさらに薄まり、結局、株式公開が困難な資本構成になってしまう可能性も高い。</p>
<p>前回は「企業価値評価が低いことが創業者にとって損になるとは限らない」という話をしましたが、逆に、<span style="text-decoration: underline;">投資家にとっても企業価値評価が高いことが損になるとは限りません</span>。うまく上場できるならば、創業側にも投資家にも、双方win-winなメリットがあるはずです。<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(1) 「20倍」はすごいか？</span></p>
<p>上記の例で「100万円で設立した会社が半年で20倍になった！」と思うと、ものすごく儲かった気がして、思わず「投資してください！」と言ってしまう人も多いと思います。<br />
また、「もっと高く評価できませんか？」なんてことをいうと、投資家の方も、「半年で20倍もの評価をしてるんですよ？それ以上欲しいなんていったら頭がバブった経営者だと思われますよ。」てなことを言ったりします。</p>
<p>しかし、このケースでは、まず<span style="text-decoration: underline;">当初の資本金が非常に小さい</span>ということを考えるべきです。<br />
100万円だから20倍ですが、資本金10万円だったら200倍ですが、もし上場を目指すのなら、この先、企業価値は何十億円、何百億円・・・と増やしていかないといけないわけで、その最初の10万円と100万円の差は誤差の範囲ともいえるあまりに小さいものなわけです。</p>
<p>日本の商法ではちょっと前まで、株式が1株5万円、株式会社の資本金は最低1000万円と決まっていました。<br />
このため、株価が10万円なら「2倍」、20万円なら「4倍」といった言い方がされたり、「このフェーズで5倍は高いなあ」 といったことをおっしゃるVCの方もよくいました。<br />
（20万円だと「4倍は高い！」と言っていた投資家が、株式を3分割して「6万円で」と言ったら、「それなら1.2倍だから妥当だ」と投資に応じたというケースも見た事があります。<br />
分割前換算だと3×6＝18万円だからほとんど価格は変わってないんですけどね。）</p>
<p>会社法になって資本金の下限もなくなり、株式分割も一般化しましたので、さすがに最近ではそういうことはあまりないと思いますが、資本金との倍率で考える人がまだいないとも限らないので、ご注意いただければと思います。</p>
<p>企業価値評価の回（第39号）でも述べたとおり、特に創業時のベンチャー企業は<span style="text-decoration: underline;">過去の価値などほとんど無い</span>わけですから、「未来」で勝負するしかありません。<br />
過去の数値に対する<span style="text-decoration: underline;">「倍率」は</span>、（まったく関係ないとは申しませんが）、創業期のベンチャー企業の場合あまり<span style="text-decoration: underline;">本質的ではない</span>と考えるべきだと思います。<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">(2)</span></span> 億単位の<span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">資金<span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">が必要ではないか？</span></span></span></span></span></p>
<p>上場までに調達する必要がある資金量にもよります。</p>
<p>もし仮に、1000万円が今どうしても欲しい、1000万円だけ調達すれば、後は上場まで資金は一銭もいらない、というのであれば、もちろん上述のように2000万円で評価してもらって1000万円投資してもらい、33%の株式を投資家に差し上げてもいいかも知れません。</p>
<p>最近、特にネット系の企業などは、</p>
<ul>
  <li>「ムーアの法則」的にサーバなどの価格が低下したり、従量制的な料金で設備を利用できる「クラウド」が利用できるようになってきたりで、大きな設備投資が不要になり、</li>

  <li>Google Adwordsやアフィリエイトのサービスなど、手軽に収益を獲得する選択肢も増えて来た</li>
</ul>
<p>等の理由から、初期投資がほとんど不要なベンチャー企業も増えています。</p>
<p>　</p>
<p>しかし、成長する企業に資金が必要になる要因は、まだまだゼロではありません。</p>
<p>例としてオフィスへの投資を考えてみましょう。</p>
<p>飲食や物販など店舗を利用するビジネスだったらもちろんですが、比較的設備投資のいらないIT系の事業でも最低限のオフィススペースは必要になります。<br />
もしかしたら将来、<span style="text-decoration: underline;">「本社」といった大勢の人が働くスペースが存在せず、役職員全員がネットで繋がって自宅その他の好きな場所で仕事をしているといった業態の会社の上場が承認される時代がやってくるかも知れませんが</span>、まだ当面は無理な気がします。</p>
<p>IT系の先端的な企業でも、</p>
<ul>
  <li>実際に集まって話し合わないと、事務的なことはともかく、新しいアイデアは出てこない</li>

  <li>フロアが２つに分かれただけで、それぞれのフロアで派閥ができてしまった（1分で行けるのに）</li>
</ul>
<p>といった意見がよく聞かれます。<br />
まだ当面は、「物理的な」オフィスは必要ではないかと思われます。</p>
<p>　</p>
<p>東京で起業して、上場時に役職員30人の会社になるケースを考えてみましょう。</p>
<p>賃料坪2万円のオフィスで、会議室も入れた一人当たりのスペース4坪、敷金10ヶ月分を要求されるとすると、それだけで<span style="text-decoration: underline;">2400万円</span>（30人×4[坪/人]×2[万円/坪]×10ヶ月）の資金が必要になります。<br />
業種にもよりますが、内装や机パソコンその他の設備投資、営業や人材確保などの先行投資を入れたら、余裕をもった調達資金は1億円単位になることも十分考えられます。<br /></p>
<p>もし、事業計画を立てても、資金が上場までに1000万円しか要らないといった結果になったら、計算間違いや考え違い、漏れや抜けは無いか等、他の上場企業などのコスト構造なども参考にしながら、一度考え直してみた方がいいかも知れません。<br />
ニッチで一人が食って行ければいい場合には収支は均衡していても、他との競争等で急成長する必要が生じて従業員を雇ったり宣伝費を掛けたりすると、とたんに資金が必要になることもあります。</p>
<p>もちろん、ものすごく優れたビジネスモデルで当初から利益が出て即金が入り、資金がほとんど不要ということが無いわけではありません。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">(3) 上場時の時価総額はどのくらい必要か</span></span><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">？</span></span></span></span></span></span><br /></span></p>
<p>アーリーステージのベンチャー企業が企業価値を考える場合には「未来（のキャッシュフロー）」を考える必要があると第39号で申しましたが、<span style="text-decoration: underline;">資本政策も「未来」から逆算して考える必要</span>があります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">創業者も投資家も関係者全員がハッピーになっている未来</span>（例えば上場してさらに発展している未来の自社の姿）を想像してみましょう。<br />
その時、<span style="text-decoration: underline;">時価総額はどのくらい</span>になっているでしょうか？<br />
また、<span style="text-decoration: underline;">社長や安定株主は何％くらい持株比率があるべき</span>でしょうか？</p>
<ul>
  <li>現在、J-SOXや監査コストなど、上場維持コストも上がっていますので、それらを支払っても上場してメリットがあるかどうか、</li>

  <li>機関投資家に株式を買ってもらえるかどうか、</li>
</ul>
<p>等を考え合わせると、上場時の時価総額は<span style="text-decoration: underline;">できれば300億円から500億円程度は欲しい</span>ところです。</p>
<p>時価総額が300億円から500億円ということは、PER（株価収益率）が平均より高い「20倍」だとすると、<span style="text-decoration: underline;">年間の純利益が15億円から25億円</span>ということになります。<br /></p>
<p>もちろん、上場以降も利益の急成長が見込めるような事業であれば、もっと高いPERが付くかも知れません。<br />
そうすれば、その分、利益が小さくても時価総額は付くことになります。<br />
また、今後はゆっくりとしか成長しないと思われている事業であれば、PERはもっと低くなります。<br />
そうすれば、同じ時価総額を獲得するのに、もっと 純利益が要求されることになります。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: underline;"><span style="text-decoration: underline;"><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">(4) 「好循環」に乗れる資本構成</span></span></span></span></p>
<p>投資家は、<span style="text-decoration: underline;">自分が株を買った企業には成長してもらいたい</span>わけです。</p>
<p>企業は銀行から借入で資金を調達しても「冒険」はできませんので、リスクが高い領域に果敢に立ち向かって行くためには、<span style="text-decoration: underline;"><b>株式でファイナンスできる余力</b></span>が大きいほどいいことになります。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">時価総額が高く社長や安定株主の持分が高い</span>ほど、こうしたリスクの高い領域にチャレンジする余力も大きいということになります。<br /></p>
<p>逆に、<span style="text-decoration: underline;">時価総額が低く、社長他の安定株主比率も低い</span>会社だと、今後、株式で資金調達したり、合併や株式交換などの株式を使った買収で成長する余地は低いと見られがちです。<br />
リスクが負えないということは、堅実な領域でコツコツと利益を出していかないといけないということですから、 そうすると将来キャッシュフローの予想も低く、株価も抑え気味になってしまいます。</p>
<p>上記で「300億円から500億円」という荒っぽい数字を述べましたが、もちろんそれだけないと上場基準をクリアできないということではありません。50億円以下の時価総額で上場してる企業も多いわけです。</p>
<p>しかし、他社が絶対真似できないような独自性の高い領域でコツコツ安定した業績を出して行ける自信があるのだったら、それで上場してもかまわないかも知れませんが、競争が激しく会社の中身を急速に変化させないと生き残れないことがわかっているのに、財務的なリスクを負えない体質で上場してしまったら、少なくともファイナンス的には打つ手が一つふさがれてしまうことになります。</p>
<p>（これも、もちろん利益が大量に出て、その範囲内で十分に施策が打てるということであれば、資金調達をする必要はないわけですが。）</p>
<p>しかし、今後も急成長していかないといけない競争環境にあるベンチャー企業は、ファイナンスの余力が無いと厳しいのではないかと思います。</p>
<p>　<br /></p>
<p>また、IR（インベスター・リレーションシップ）力も関係してきます。<br /></p>
<p>機関投資家や大企業などから信頼を得て安定して株式を持ってもらうには、それなりの「IR力」やCFOの力を必要とします。しかし、大企業のように、新卒で取った社員を長年教育して、優秀な財務マンに育て上げるといった時間は、ベンチャー企業には必ずしもありません。</p>優秀なCFOに転職して来てもらおうと思っても、利益があまり出ていない、時価総額も小さい、資本構成的にファイナンスをする余力に乏しいといった会社の財務の現状を見たら、優秀なCFOに転職してきてもらうのは、なかなか難しいことになります。（優秀なCFOであれば、そうした状況が理解できるし、自分が参画しても打つ手が無いのはわかりますので。）　

<p>　</p>
<p>上場は決して「ゴール」ではありません。<br />
上場できても引き続き成長しなければ、結局、<span style="text-decoration: underline;">上場直後をピークに右下がりの株価</span>になって、投資家にも迷惑をかけることになってしまいます。<br />
（実際、そういったベンチャー企業が非常に多いのはご存知の通り。）</p>
<p>　</p>
<p>以上のように、創業者の比率が高く時価総額も高ければファイナンス上の余力も大きく、将来の期待が高まれば時価総額はもっと大きくなるという「ポジティブ・フィードバック」が働くことが考えられます。<br />
もちろん、実体もないのに期待だけが膨らんだバブルを演出しなさいといったことを申し上げている<span style="text-decoration: underline;">わけではない</span>ですが、株価が高いことは以上のように「<span style="text-decoration: underline;"><b>予言の自己実現</b></span>」的な性質を持ち得ます。<br />
こうした点を考えて、経営が「好循環」に入るような計画を立てるべきだと思います。<br /></p>
<p>　</p>
<p>もちろん、理想的な計画を立てれば必ずその通りになるなんてことはありません。<br />
しかし、<span style="text-decoration: underline;"><b>最初から理想的な状態に到達できない絵を描いていたら、</b>（特に資本政策の場合）<b>それよりマシな状態になる可能性は極めて小さい</b></span>と思います。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">少なくとも最初は、上場後も好循環に乗れるような絵を描き、その成功した未来から遡って現在の資本政策を考える</span>必要があると思います。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(5) VCが合理的とは限らない</span></p>
<p>ファイナンスにあまり詳しくない個人投資家はさておき、VCは「金融のプロ」なので、以上のようなことは百も承知のはずです。<br />
しかし、日本のVCはサラリーマンで投資のノルマもあったりしますし、投資の件数も多いので、「企業価値は安ければ安い方がいい」という投資をしちゃうケースが多く散見されます。（もちろん、ちゃんと考えて投資されるVCもいらっしゃいます。）</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">ケースバイケース</span>ではありますが、もし上場を志向しており、1億円単位の資金調達が必要なら、<span style="text-decoration: underline;">少なくとも2億円とか3億円で評価</span>してもらわないと、「好循環の絵」にするのはなかなか難しくなってくるはずです。<br />
<span style="text-decoration: underline;">数千万円の評価しか受けられなかった場合</span>には絶対にダメとは限りませんが、そうした場合には将来予想される展開を考えた場合に、ちゃんと「幸せな未来」の絵が描けるかどうかを、よほど注意深く検討する必要があるでしょう。<br /></p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="-webkit-text-decorations-in-effect: underline;"><span style="text-decoration: underline;">(6) バイアウトの場合</span></span><br /></p>
<p>将来、他の企業に<span style="text-decoration: underline;">買収されることをEXIT（投資回収の出口）として考えている</span>のであれば、将来の時価総額や安定株主比率が低くてもOKかも知れません。</p>
<p>ただし、日本のVCはバイアウトを前提としていないことも多いため、「上場は目指しません」と言ってしまうと、そもそも投資してくれるかどうかわかりません。従業員も「自分の会社が売られる」ということは、想定してないケースも多いと思います。</p>
<p>週刊isologue 第34号「ベンチャーのファイナンス（中級編）」でも述べたとおり、日本のVCは<span style="text-decoration: underline;">普通株式</span>での投資がメインです。<br />
この場合、上場に成功した場合にはともかく、バイアウトの場合には創業者だけが儲かり、VCはほとんど儲からないといったことにもなるため、バイアウトについてVCから反対があって実現しないことも想定されます。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(7) 個別の計画で検証が必要</span>　</p>
<p>以上はあくまでざっくりとしたモデルケースに基づくもので、具体的には「ケースバイケースです」としか言えません。<br />
個別のケースの前提条件に従って、起業家が自分で事業計画書や資本政策表を作って検討する必要があります。</p>
<p>　<br /></p>
<p>以下、他にも何ケースか失敗例を見てみましょう。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■失敗例２：誰が安定株主かを読み間違う</b></span></p>
<p>仲間数人で起業することになったとします。</p>
<p>例えば2人で起業した場合に、社長が6割、副社長が4割持ったとします。</p>
<p>ところが副社長が突然、「やっぱりオレ辞める」と言い出したとしたら、安定株主と思っていた4割は一気に不安定になってしまうわけです。</p>
<p>もちろん辞めても良好な関係が続く事もありますが、「けんか別れ」ということもありえるわけです。<br /></p>
<p>このため、株主構成を考える場合には、それぞれの株主について「<span style="text-decoration: underline;">この株主が敵に回った場合でも大丈夫か？</span>」ということをよく考える必要があるでしょう。</p>
<p>もちろんベンチャー企業なので、どんなに考えてもリスクは残ります。<br />
仮に社長の持株比率が100%であれば、他の誰が辞めても資本政策的には安定ですが、社長がお亡くなりになるリスクだってあるわけです。<br />
このため、頭をひねれば必ずリスクをゼロにできるわけではありませんが、それでも、注意深く考えておくと違いが出る場合も多いかと思います。</p>
<p>　<br /></p>
<p>例えば別の例で、仲間3人で起業しようということになり、仲良く100万円づつ計300万円の資本金で会社を設立したとします。</p>
<p>ところがこのうち1人が会社を辞めたいと言い出したとします。</p>
<p>まだ、VC等からファイナンスを受けないうちなら、その辞める人の分を100万円程度の資金で買い取れる可能性もありますし、その程度の資金であれば、親戚等に借金したり会社で稼いだ資金を使えば、なんとかなる可能性も高いでしょう。</p>
<p>しかし、VCがこの企業の価値を3億円と評価して投資した後に、その一人が辞めたいと言い出したら、その3分の1の株式を買い戻すのに<span style="text-decoration: underline;">1億円もの資金が必要に</span>もなってしまうわけです。<br /></p>
<p>　</p>
<p>この規模になるとなかなか資金はポンとは集まりません。</p>
<p>「VCが全体で3億円と評価したのだったら、VCにその3分の1を1億円で引き取ってもらえば？」ということを思いつくかも知れませんが、VCはそうした既発行の株式を買い取るのは基本的にいい顔をしません。</p>
<p>なぜなら、VCは会社に成長してもらうために<span style="text-decoration: underline;">会社に</span>資金を入れたいわけで、<span style="text-decoration: underline;">会社を辞めた人に1億円(弱)儲けさせたいわけではない</span>からです。</p>
<p>残された2人の創業者も、自分達はまだ会社であくせく働いているのに、途中で辞めたヤツが1億円もらえるのでは、やる気も無くなるというものです。（もう一人も「俺も辞める」と言い出すかも知れない。）</p>
<p>このため、VC等から高い企業価値で資金調達をしようと考えるなら、その前に一度立ち止まって、自社の株主で将来的にも安定して株式を持ってもらえるのは誰か？ということをよく考えるべきです。</p>
<p>前述の通り、日本の株式市場では、上場する時に創業者を始めとする安定株主が過半数を持っているのが望ましいのですが、それは、その人たちが大金持ちになるためというより、「ファイナンスの余力」を生み出すためのバッファを抱えておく必要があるからであり、その株式は、<span style="text-decoration: underline;">法律上はもちろんその株主のものですが、ある意味、自由に売却して換金できる株式ではない</span>わけです。</p>
<p>　</p>
<p>また、共同創業者でなくても、創業時に知人や親戚、エンジェルの個人投資家等から5%、10%といった小口の資金をちょっとづつ出してもらい、それらを合計すると40%、50%といった量になる、といったケースがあります。</p>
<p>こうした株主が上場後も安定して保有してもらえない人たちと考えられるのであれば、<span style="text-decoration: underline;">高い企業価値評価で投資してもらう前に、余力に応じて買い集めておかないと、時価上昇後に買い戻すことは非常に困難になります</span>。<br />
もちろん、リスクの高い創業時に投資をしてもらったわけなので、「原価で買い戻させてください」と言っても、投資家も「ふざけるな」ということになるでしょう。<br />
御礼も込めて若干高値で買い取るとか、少量の株式は残して将来のキャピタルゲインの可能性を残しておくとか、基本的には全体がハッピーになるような方向でまとめる必要があります。（これも、そううまくいくケースばかりではないですが。）</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b><span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>■</b></span></span>失敗例3：だらだら調達して、多数の株主に株式が分散する</b></span></p>
<p>これは、若い創業者というより、それなりの年齢で社会的地位があって交友関係も広い人が起業するパターンに多いのですが、創業や増資をする際に、友人その他の知り合いから、小口でたくさん資金を調達するケースがあります。</p>
<p>そこそこの年齢の創業者であれば、その友人知人もそれなりの資産があって「200万円や300万円だったら出すよ」ということも多い。</p>
<p>そういう人が20人も集まれば、4000万円とか6000万円といった結構な金額が集まることになります。</p>
<p>ところが、この小口の個人投資家は「エンジェル」といえば聞こえはいいですが、プロのVCが1社で4000万円とか6000万円出資する場合と異なり、必ずしも真剣度も高くないし、会社をモニタリングする能力も無いことが多いわけです。</p>
<p>一人一人の株主は発言力も弱く、会社の経営者もプレッシャーがかからないから、経営も緩みがち。お金がなくなると、また友人知人に資金を「無心」しにいくというパターンにもなります。そうしているうちに株主数も多くなってしまう。</p>
<p>株主数が多くなると、株主総会などの手間が大変になり、ベンチャー企業には負担が重くなっていきます。</p>
<p>しかも、株主が50名以上になると、金融商品取引法上、公募にならないように増資をするのが難しくなってきます。<br />
（公募の場合、公認会計士の監査が必要な有価証券届出書を提出する必要が出るなど、負担がぐんと増えますので、未公開のベンチャーの場合には事実上不可能と思っておいた方がいいでしょう。）</p>
<p>また、全員が昔からの顔見知りであればまだしも、知人の紹介の人などが入って来ると、その人が「<span style="text-decoration: underline;"><b>反社会的勢力</b></span>」に関係していないかのチェックが難しくなってきます。<br />
昨今、上場審査における「反社会的勢力」のチェックは非常に厳しくなっていますので、 誰か一人がそれに該当すると、上場できないことにもなります。また、誰でも参照できるオープンな「反社会勢力チェックリスト」といったものは存在しません。<br />
（そんなものを作ったら、「なんでワシが反社会的勢力じゃ？」という怖い人が来るに決まっているからです。）</p>
<p>上場審査でも、「この株主Aさんが反社会的勢力なので、上場できません」と教えてくれるとは限りません。<br />
「内部統制が十分でない」といった、他の要件を理由に落とされることも多いのではないかと思います。</p>
<p>いずれにせよ、日本の場合、<span style="text-decoration: underline;"><b>株主数が増えたり、良く知らない株主が入ると、ろくなことにならない</b></span>ことが多いのです。</p>
<p>上場前は、株主は<span style="text-decoration: underline;">数名程度</span>に抑えてコンパクトな運営ができるように心がけるべきだと思います。<br />
（従業員に付与するストックオプションの人数は、従業員が退職したら行使ができないようになっていれば、別カウントでいいと思います。）</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b><span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>■</b></span></span>失敗例4：大量のストックオプションを発行する</b></span></p>
<p>「失敗例１」のように、当初に大量の株式を発行し過ぎて、後から「これでは上場できない」等の資本政策のミスに気付くことがあります。</p>
<p>そこでよく取られるのが「ストックオプションを発行する」という手段。</p>
<p>創業者（社長）はお金を持っていないことも多いため、株主に頼み込んで、発行済株式数の数十％といった大量のストックオプション（新株予約権）を発行し、創業者（社長）の持分を確保するといったことが行われます。</p>
<p>投資家にしてみれば、将来、この会社が本当に成長するのであれば、ストックオプションを発行した分、自分達の持分が薄まってしまうということになるので、もちろんいい顔をするわけはありません。<br />
しかし、あまりにも社長の持株比率が低いと、上場した後も安定した株価形成ができないといったことはわかりますので、しぶしぶ、これに応じることにもなります。</p>
<p>一方、発行済株式の4割といった大量のストックオプションが発行されていると、そのままでの上場は難しくなります。<br />
主幹事証券が付いたとしても「上場前に社長がこのストックオプションを行使して株式に換えてください」といったことを言って来るはずです。</p>
<p>ところが、そのストックオプションを発行したのが、VCが投資して企業価値が4億円に上がった後だとすると、その4割で 1.6億円もの資金が行使のために必要になるわけです。<br />
1000万円くらいなら「上場したら資金が入るので」と親戚を走り回って借りることもできるかも知れませんが、1億円を超える金額ともなると、なかなか集めるのも大変です。まだ上場してもいないので、金融機関もおいそれとは貸してくれません。</p>
<p>将来に向けた計画を立てず、場当たり的にファイナンスをして、こうしたことになるケースが多く見られます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b><span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>■</b></span></span>まとめ：資本政策は計画的に</b></span></p>
<p>こうした資本政策の失敗例の多くに共通する要因として、「経営者の人がいい」ということがあげられます。</p>
<p>私はオスカー・ワイルドの小説にちなんで「<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E3%81%AA%E7%8E%8B%E5%AD%90">幸福な王子様</a>」タイプと密かに呼んでいるのですが(笑)、自分の持分をガメつく抱え込むことなく、気前良く株式をどんどん投資家に割り当てたり、ストックオプションをどんどん従業員に与えたりして、自分の持分がどんどん減って行ってしまうわけです。</p>
<p>こういう経営者は、人間的には非常にいい人ですし、友人にするならそういう人がいいでしょう。しかし、資本政策については、以上述べたようなことを考えて、多少ガメツく見えても、冷静に自分のシェアを守ろうとする経営者の方が最終的にうまくいくケースが多いように思えます。</p>
<p>（特に日本の場合）、前述の通り、創業者が持っている株式は、創業者が自由に売り払って換金できるわけではなく、ファイナンスのバッファとしての性格を持つことも多いため、創業者が過半の株式を持つといったことが一見利己的に見えても、実は利他的に作用するということも考える必要があると思います。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）<br /></p>
<p>　</p>
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<entry>
    <title>週刊isologue（第41号）創業期ベンチャー企業の資本政策（基礎編）</title>
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    <id>tag:tez.com,2010:/mag//4.1518</id>

    <published>2010-01-10T19:31:27Z</published>
    <updated>2010-01-11T14:41:34Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
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        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2010.01.11</span>（第41号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■創業期ベンチャー企業の資本政策を考える（基礎編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>今週は、創業期ベンチャー企業の資本政策についてです。</p>
<p>いろいろ試行錯誤でやるしかないベンチャー企業の経営ですが、今までも何度か述べてきたとおり、資本政策だけは最初が肝心。ベンチャー企業の企業価値は後になるほど大きくなり、株主の「既得権」も複雑に絡まっていきますので、後になるほど修正が困難になるわけです。</p>
<p>へんな資本政策にしてしまった場合、創業者や従業員や投資家の「やる気」も失わせることになりかねません。<br />
今回は、そうした重要な資本政策を具体的にどのように策定するのかを見てみたいと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■資本政策表とは</b></span></p>
<p>「資本政策」というのは「どのような株主に、いくらの株価で、何株分の株式やストックオプションを割り当てるか」、つまり、資金調達や株式公開等を考慮して、必要な金額が調達できるか、公開時の持株比率は妥当な水準か？等を考慮する戦略や計画のことです。<br />
資本政策<span style="text-decoration: underline;">表</span>というのは、その計画を表にしたもののことです。</p>
<p>　</p>
<p>なにはともあれ、実物を見ていただいた方がイメージがわくと思いますので、下記に例を掲げてみました。</p>
<p>　</p>
<p><br />
<a href="http://tez.com/mag/archives/20100111/201001111342.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20100111/201001111342-tm.jpg" width="500" height="156" alt="201001111342.jpg" /></a><br />
図表１．資本政策表の非常に簡単な例（クリックで拡大）</p>
<p>　</p>
<p>あまり最初からいろんな要素を書き込んでも頭がこんがらがると思いますので、あえてかなりシンプルな例にしてあります。<br />
つまり、この例では役員や従業員にストックオプションも付与してませんし、資金調達を2回だけ行って上場までこぎ着けています。</p>
<p>また、資本政策表は財務諸表のように「こうでなければならない」といった特段のルールもありませんので、株式数や金額などの必要な要件が盛り込まれていれば、体裁はあまり気にしなくていいと思います。</p>
<p>この例に従って、どんなことを考慮しながら資本政策表を作るかについて考えてみます。<br />
上記の設例の資本政策表を左から右に、時系列で見ていきます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(1) 設立<span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">（2010年1月）</span></span></span></p>
<p>まず、この会社は2010年1月に設立されています。<br />
このとき、この会社の社長のA氏、CTO（技術担当）のB氏、従業員のC氏がそれぞれ16,000株、2,000株、1000株分づつを出資しています。<br />
株価は500円。<br />
合計は2万株ですから、資本金は1000万円です。</p>
<p>つまり、このときの企業価値（株主価値）は、1000万円ということになります。</p>
<p>ここをスタート地点として、投資家から株式で資金を調達して、上場を目指すことを考えてみます。</p>
<p>ちなみに、資本政策表を作るにはまず、週刊isologue37号「ベンチャー企業の事業計画（初級編）」で書いたような<span style="text-decoration: underline;">事業計画書</span><span style="text-decoration: underline;">を先に作っておく必要</span>があります。<br />
つまり、事業計画書が作成されていれば、どのくらい投資が必要か、売上や利益がどう変化していくか、等が仮定されてますので、差し引き資金がいくら不足するかも見えてくるわけです。<br />
（何も前提無しに、いきなり資本政策表を作れるわけではないということです。）</p>
<p>事業計画を立ててみたら、当初から利益がどんどん湧いて資金も不足しないという場合にはどうしたらいいでしょうか？<br />
その場合はわざわざ株式での資金調達などしなくてもいいし、外部の株主からうるさいことを言われなくても済むわけです。</p>
<p>一方、外部から資本を入れて他人から口を出されない方が幸せとも限らない。<br />
まったく外部の株主が入らない企業は、 ともすれば自分達の興味があることばかりを追求して、株主から見た企業価値の増大の方にはあまり神経が行かなくなることも往々にしてあります。<br />
本来はもっと高いステージに登れたのに、自分たちがそこそこ裕福に食っていける程度で小さくまとまってしまうとしたら、社会的損失ということにもなりえます。</p>
<p>世の中にはのんびりやっていても生き残っていける業種や事業もあるでしょうが、IT系のように変化のスピードが早く、勝ち組と負け組がはっきり分かれてしまうような産業では、利益が出るのを待っているのでは遅すぎるかも知れません。「あるべき」成長をするためには、もしかしたら「利益が出ているほうがダメな状態」なのかも知れないわけです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(2) 第1回第三者割当増資（2010年12月）</span></p>
<p>さて、事業計画を立てた結果、従業員を増やして投資もしないと他者との競争に勝てない危険があり、そのために1億円程度の資金を調達する必要があるということになったとします。</p>
<p>前記の設例では、このためにベンチャーキャピタルから1億円程度の資金を調達することを考えています。</p>
<p>企業価値をどう計算するかの概要については、週刊isologue（第39号）「創業期ベンチャー企業の企業価値評価」をお読みいただければと思いますが、ここでは投資直前（pre）で<span style="text-decoration: underline;">2億円</span>の企業価値があるということで投資家が説得できるとします。<br /></p>
<p>この場合、1株の価格（株価）は設立時の20倍の1万円になっています。<br />
（企業価値を発行済株式数で割ったものが株価になります。）</p>
<p>資本政策表では、この株価で10,100株を発行し合計<span style="text-decoration: underline;">1億100万円</span>出資してもらう計画です。<br />
この結果、Xベンチャーキャピタルの持株比率は<span style="text-decoration: underline;">33.6%</span>ということになります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(3) 第2回第三者割当増資（2011年12月）</span><br /></p>
<p>そのちょうど1年後にまた<span style="text-decoration: underline;">1.8億円</span>の資金調達が必要になりそうだとします。</p>
<p>このケースでは、1株6万円で業務提携先Y社・Z社の2社からそれぞれ1000株づつ調達し、Xベンチャーキャピタルも自分の持株比率33.6%をキープするように1000株を追加投資してくれるものと想定しています。</p>
<p>ベンチャーキャピタルが投資をする際の投資契約で、自分の持株比率が薄まらないように追加で投資をできる条項を付けることが多いですが、この条項を<span style="text-decoration: underline;">希薄化防止条項（anti-dilution）</span>と呼びます。通常、追加投資をするのは投資家側の「権利」であって、必ず投資しなければならない「義務」ではありません。</p>
<p>ここでは、順調に事業が拡大しているので、Xベンチャーキャピタルも追加してくれた、と想定しています。</p>
<p>この会社の業績が思ったように伸びず、上場も見込めないし会社の存続も危ぶまれるといった場合には、Xベンチャーキャピタルが必ず追加で資金を投資してくれるとは限りませんので、念のため。</p>
<p>また、このときの企業価値(pre)は<span style="text-decoration: underline;">18億円</span>を見込んでおり、<span style="text-decoration: underline;">1株6万円で3000株で合計1.8億円</span>の資金調達ということになっています。</p>
<p>この時点で社長のA氏の持株比率は50%を切ります。<br />
ただし、役員のCTO B氏、従業員C氏を合わせると、まだ6割超の持株比率をキープしています。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(4) 株式上場<span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">（2015年12月）</span></span></span></p>
<p>この会社では、設立4年目の2015年12月に上場を目指す計画にしています。</p>
<p>このとき、一株あたり25万円で3,700株を発行して、9.25億円を調達（公募増資）、92億円の時価の会社になるという計画です。</p>
<p>---</p>
<p>以上がこの資本政策表のざっとした説明です。<br />
以下では、この資本政策表を作る際に、どのようなことを考える必要があるかについて考えてみます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■どの程度の期間の計画を立てればいいか？</b></span></p>
<p>こうした資本政策表は、何年分くらい策定すればいいでしょうか？</p>
<p>ベンチャーというのは、たいてい将来の不確実性が高いことをやっているので、事業計画と同様、あまり10年、20年先のことまで書いても仕方がないと思います。そういう意味で5年程度の計画を立てればいいと思います。<br /></p>
<p>また、ベンチャーキャピタルから投資を受ける場合、ファンドの期限も要考慮です。</p>
<p>ベンチャーキャピタルのファンドの期限は5年から10年程度で、7年くらいのものが多いのではないかと思います。<br /></p>
<p>ベンチャーキャピタル側としては、ファンドの期限が来る前に上場やバイアウトなどでEXITしたいわけですから、（すでにファンドを作ってから数年経っていることもありますので）、ベンチャーキャピタルから資金を入れる際には、だいたい5年以内で上場・バイアウトなどのEXITができる見込みを持っていることが望ましいということになります。</p>　

<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■外部の投資家が<span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>何％くらい<span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>株式を持つのがいいのか？</b></span></span></b></span></span></b></span></p>
<p>「増資をする際に、ベンチャーキャピタルに何％渡すのがいいんですか？」という質問を非常によく受けます。</p>
<p>ベンチャービジネスの性質やステージ、規模にもよりますので、一般論としては「ケースバイケースです」とお答えするしかありません。</p>
<p>資本政策表を作る意味は、まさに、一般論ではなく事業計画など個別の要素も反映させた上で、</p>
<ul>
  <li>必要となる資金がちゃんと調達できるか？（企業価値や株価は適正か？）</li>

  <li>上場後も安定した株主構成となるか？</li>

  <li>創業者や投資家の苦労に報いられるだけのキャピタルゲインは出るか？</li>

  <li>上場基準は満たしているか？</li>
</ul>
<p>等の観点を総合的にチェックするためのものだとも言えます。</p>
<p>　</p>
<p>といっても何らかのガイドラインは必要ですので、以下では、投資家の持株比率によって、会社法や会計基準などからどのような効果が生まれるのかについて見てみます。</p>
<p>（以下、発行する株式はすべて議決権がある株式であると想定しています。）<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">5割超 (50%超)</span></p>
<p>１人の投資家が5割を超える株式を持つと、株主総会の普通決議（309条1項）で必ず自分の思い通りに決めることができるようになります。<br />
例えば、取締役や監査役などの役員を選任することができ、会社に役員を送り込んだり、役員会全員をその株主の思い通りに決めることも可能になりますので、会社の日常業務についてほとんどすべてのことを決定することができるようになってしまいます。</p>
<p>その株主が法人であれば、その法人の子会社になる、ということです。<br />
社長の任期が満了したら、「次期からはあなたはもういらないよ」と言われても（別途、契約等で定めがある場合を除き）基本的には文句も言えません。</p>
<p>だから、1社に対して（または同じ意見になる可能性がある投資家の集団合計で）合計5割を超える比率の株式を渡すというのは、よくよく考えた方がいいということになります。</p>
<p>もちろん、今回の資金調達では5割を超えなくても、今後資金調達を繰り返していくと5割を超えてしまうという場合も同様です。<br />
（もちろん、あまり口を出さずに安定株主になってもらえる場合など、5割超を外部の投資家にもたれるのが必ずしも悪いというわけではありませんので、念のため。）</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">3分の1超 <span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;">(33.33…%超)</span></span></span></p>
<p>設例の第一回目の調達では、Xベンチャーキャピタルが33.6%（3分の1超）を保有することになってます。<br />
この「3分の1」も、持株比率の大きな境目です。</p>
<p>日本の会社法上、会社の重要な方針、例えば、</p>
<ul>
  <li>定款の変更（309条2項11号、466条）</li>

  <li>募集株式の事項の決定（309条2項5号、第199条第2項）</li>

  <li>会社法第5編の規定により総会決議を要する場合（309条2項12号）<br />
  合併・会社分割、株式交換、株式移転</li>

  <li>事業の譲渡や譲受け等（309条2項11号、467条1項）<br /></li>

  <li>資本金の額の減少（309条2項9号、447条1項）<br /></li>
</ul>
<p>などが、株主総会の「特別決議」（会社法第309条2項）が必要になる事項です。</p>
<p>特別決議は出席した当該株主の議決権の 3分の2以上の賛成を必要とする決議ですので、これらを実施する場合に3分の1超を持つ株主がいると、必ずその株主の了解を得ないと決定できません。つまり、その株主に「<span style="text-decoration: underline;">拒否権</span>」が発生することになります。</p>
<p>つまり、定款記載事項である「社名（商号）」を変えたり、本店所在地を変えたりといったことから、株式を発行して資金調達するのにも、その株主の了承が必要になります。</p>
<p>また、会社がバイアウトされるのに必要な合併、事業譲渡なども、その株主の了承が必要になってくることになります。（その株主の意向に沿わないバイアウトだと、拒絶されることになってしまう。）</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">3分の2以上</span> <span style="text-decoration: underline;">(66.66…%以上)</span><br /></p>
<p>逆に言えば、外部の株主に50%超を持たれていても、会社の創業者等が3分の1超を持っていれば、たとえ取締役は続けられないことになったとしても、株主として社名変更や増資や合併等に対する拒否権はあるわけです。</p>
<p>しかし、特定の投資家に議決権の3分の2以上を持たれてしまうと、もうそうした拒否権も使えないことになってしまいます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">出資者が上場企業の場合</span></p>
<p>他に、出資者が上場企業などの場合には、40%、20%、15%といった区切りも意味を持ち得ます。</p>
<p>連結決算をしなければならない基本は50%超ですが、<span style="text-decoration: underline;">40%以上</span>でも、役員を送り込んでいたり経営の方針を決定する契約がある一定の場合等に連結する必要が出てきます。</p>
<p>また、<span style="text-decoration: underline;">20%以上</span>は持分法適用になりますが、役員を送り込んでいたり経営の方針を決定する契約がある一定の場合には、<span style="text-decoration: underline;">15%</span>以上で持分法適用になります。</p>
<p>（日本公認会計士協会「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い」等参照。）</p>
<p>　</p>
<p>すなわち、これらはいずれも投資してもらう会社の決算が<span style="text-decoration: underline;">出資する側の企業の</span><span style="text-decoration: underline;">決算に影響する</span>ものです。</p>
<p>このため、上場企業等にこれらの境界線を越えた投資をしてもらう場合には、投資を受けるベンチャー企業側でも、決算のための資料をスピーディに作成して株主に渡すことが求められたり、上場企業に準ずる内部統制が求められたりすることにもなり得ます。（ベンチャー企業の急成長期などには、そうしたことが重荷になる可能性があります。）</p>
<p>逆に、投資を受けるベンチャー側がそうした会計に関する体制がほとんどなく、上場企業の足をひっぱってしまう可能性がある場合には、上記のような比率を超えないような投資しか受けられないかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">投資契約も重要</span><br /></p>
<p>以上で述べたのは、何も契約を結ばなくても、会社法や会計上の原則でそうした扱いになるものです。<br />
しかし法律で決まっていなくても、投資を受ける際に締結する投資契約において、そうした義務や拒否権が定義されることもあります。</p>
<p>この場合にも、上記の会社法の原則等の水準の感覚を持っていると参考になるはずです。</p>
<p>例えば、20%しか出資しない株主が本来3分の1超を持っていないと得られないはずの合併や事業譲渡の拒否権を投資契約に盛り込もうというのであれば、他の条件によってはOKしてもいいかも知れませんが、5%しか出資しない株主が、そうした特別決議事項に関する拒否権を持つというのは、「ちょっと図々しい」ということになるかも知れません。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■創業者の持株比率は多いほどいいか？</b></span></p>
<p>それでは、創業者の持株比率はどの程度に設定するのがいいでしょうか？<br />
創業者の持株比率は多ければ多いほど創業者にとって得でしょうか？</p>
<p>これも非常にシンプルな説例で見てみましょう。<br /></p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20100111/201001110517.jpg" width="142" height="200" alt="201001110517.jpg" /><br />
図表２． 創業者と外部の投資家の持株比率（その１）<br /></p>
<p>　</p>
<p>上図の「ケースA」を見ると、創業者が80%、外部の投資家が20%の持株比率を持っています。</p>
<p>そして、「ケースB」では、創業者が55%、外部の投資家が45%を保有しています。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">「創業者にとってこのどちらが得か？」</span>と訊かれたら、「ケースA」の方が得に思えるのが普通ではないかと思います。</p>
<p>ところが、実際の株式の価値や企業価値は、株式数だけなく<span style="text-decoration: underline;">株価を掛けたもの</span>です。<br /></p>
<p>下の図をご覧下さい。</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20100111/201001110520.jpg" width="278" height="200" alt="201001110520.jpg" /><br />
図表３． 創業者と外部の投資家の持株比率（その２）</p>
<p>　</p>
<p>この図の<span style="text-decoration: underline;">縦軸は持株数</span>、<span style="text-decoration: underline;">横軸が株価</span>のイメージです。<br />
つまり、この<span style="text-decoration: underline;"><b>面積</b></span>が企業価値やそれぞれの株主が保有する株式の価値を表しています。</p>
<p>そうすると「ケースA」では創業者が80%持っているのに対し、「ケースB'」では創業者は55%しか持っていませんが、株価を掛けた<span style="text-decoration: underline;">「面積（資産価値）」では「ケースB'」の創業者持分の方が大きい</span>ことがわかります。</p>
<p>つまり、外部の投資家の出資を受けるということは、その投資家が参加することによって企業価値が高まるかどうかも重要なのです。　<br /></p>
<p>つまり、同じ１億円を調達するのに、「持株比率は20%で1億円出します」という投資家Fと、「1億円出すなら45%欲しい」という投資家Gがいたとしたら、単純に考えれば明らかに投資家Fの方が好条件です。</p>
<p>しかし、投資家Fはただお金を出してくれるだけで後は何もしてくれないが、投資家Gの方は戦略を考えたり人材や取引先を紹介してくれたり、いっしょになって企業価値を上げる努力をしてくれて企業価値が投資家Xより何倍にも上昇する・・・・ということであれば、投資家Gに投資をしてもらった方が得、ということにもなります。</p>
<p>換言すると、「創業者の度量」と「投資家の度量」のどちらが強いかによる、ということかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p>もちろん、「ある投資家に投資をしてもらったら企業価値が増えるかどうか」なんて事前にはわかりません。</p>
<p>また、「うちが投資すると企業価値が上がるので持株比率は低くなっても結局得ですよ」というのは、ベンチャーキャピタルの交渉トークにもなるわけです。<br /></p>
<p>ですから、その投資家が本当にどこまで何をやってくれるのかはよくよく考えた方がいいと思います。<br />
VCがファンドの投資家から資金を集める際に「Key man clause（キーマン条項）」といったものを定めて、特定のパートナーがファンドの運営からはずれることを禁止している場合で、そのパートナーが直接担当してくれるといった場合ならともかく、大手VCのサラリーマンの担当者であれば、「この担当者センスがいいな」と思っていても、転勤や異動で担当をはずれてしまうかも知れません。</p>
<p>---</p>
<p>また、「いい投資家がが出資してる方が上場時の時価総額が高くなる」とか、「あのVCが投資してるんだったら、イケてる企業なんだろう」という期待が働くことも考えられます。特にアメリカでは有名VCのブランドで期待が高まる度合いは強いかも知れません。<br /></p>
<p>日本では、分散投資型のVCが多いこともあって、まだそこまでは行っていないかも知れませんが、実績のあるVCの投資が評価の参考になるかも知れません。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■単純にシリコンバレーの真似をすればいいわけではない</b></span></p>
<p>世界中を見回しても、やはりベンチャー企業やベンチャーキャピタルの投資が最も活発に行われているのはシリコンバレーを置いて他にはないわけで、日本のベンチャービジネスの実務もシリコンバレーの実務から大きな影響を受けています。</p>
<p>しかし、そのシリコンバレーの実務をすべてコピーしてくれば日本でも先進的なベンチャー実務になるかというと、必ずしもそうではないことに注意する必要があります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(1) 持株比率と資本市場の構造</span><br /></p>
<p>日本のベンチャー型の上場企業というのは「オーナー企業」的に、社長が5割超を持って上場する場合も多いかと思います。<br />
これに対してシリコンバレーでは、創業者といっても公開時には10%を切る株式しか持っていないことも多いです。</p>
<p>このため、創業者の持株比率が低い方がシリコンバレー的で先進的でカッコイイかというと、日本ではそこは非常に慎重に考える必要があると思います。</p>
<p>　</p>
<p>下図は家計の資産構成の日米比較の図ですが、</p>
<p><a href="http://tez.com/mag/archives/20091026/200910260030.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20091026/200910260030.jpg" width="400" height="228" alt="200910260030.jpg" /></a><br />
図表４．家計の資産構成の日米比較（2009年6月末）<br />
（クリックで拡大。出所：日銀、資金循環の日米比較：2009年2Q）</p>
<p>　</p>
<p>この図の通り、アメリカでは個人が債券、投資信託、株式・出資金といった資産を持っていて直接大きなリスク負担をしていますし、年金などの機関投資家の層も非常に分厚くなっています。</p>
<p>これに対して日本は個人金融資産の量だけを見れば1400兆円と非常に大きいのですが、その55%は預金として銀行に流れ、そこから産業に資金が供給されています。<br /></p>
<p>銀行は、元利を保証した預金で調達して薄い利鞘を乗せて企業等に貸付等をしており、大きなリスクを追うのは難しい性質の業態です。このため、日本の場合、社会全体がリスクが追えない「銀行っぽい」体質の度合いが強まってしまっていると考えられます。</p>
<p>では、未公開のベンチャーに投資されるリスクマネーが量的に不足しているかというと、そうでもありません。<br />
未公開のベンチャーへの投資資金は、日本の場合たかだか１兆円程度であり、それでも多すぎるという見方もあるくらいです。つまり、個人金融資産と対比するとたかだか1400分の1に過ぎない。誤差程度の小さな金額です。<br /></p>
<p>しかし、ベンチャーは上場してさらに資金を調達し、成長していかないといけません。<br />
また、古くて立ち行かなくなった企業がどんどん退出してこそ、新しいベンチャーにもチャンスが巡って来るわけです。<br />
国全体のリスクマネーの量が少ないということは、リスクマネーに関わる職業人の雇用量も少なくなるし、投資家の発言力も弱くなり、そうした新陳代謝も進まないことにもなります。</p>
<p>また、資本市場が相対的に小さいと、ベンチャー企業が上場した後にベンチャーキャピタルが株式を売却したものを代わりに拾い上げる年金等の機関投資家のパワーも相対的に弱くなることになります。<br />
需給条件が悪ければ株価も付かないことになります。</p>
<p>このため、創業者や経営者も、自分で過半数といった大きなシェアを持って上場しないと怖いことになります。<br />
ただしそのように安定株主対策が万全だと、投資家の言う事をあまり気にしなくてもいいので、実際にパフォーマンスもよくなくなって株価も上がらないという悪循環にもなっているかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(2) プロ経営者の存在</span></p>
<p>もう一つは<span style="text-decoration: underline;">経営者になりうる人材の層の厚さの違い</span>があると思います。</p>
<p>アメリカは、他の会社を何社も経営してきた経験のある「プロの」経営者の層が非常に厚い。このため、創業者が永久に経営せずとも、他の優秀な経営者にバトンタッチすることも多いかと思います。</p>
<p>一方、日本でもそうした複数の企業を渡り歩いた「プロ」経営者も増えて来てはいますが、まだ大企業で終身雇用というパターンも多く、基本的にはかなりの年齢にならないと経営者としての経験を積むのは難しくなっています。</p>
<p>つまり、日本の創業者は経営を始めたら基本的には一生自分で経営に責任を負うつもりでいる必要があるでしょう。</p>
<p>そうなるとやはり、社長がある程度の比率を持ち続ける必要性は高くなるはずです。</p>
<p>最近のIT系を中心とするベンチャー企業の経営者には、「息子や孫の代にまで継がせたい」といったコテコテのオーナー企業的なノリの経営者は減って来ていると思いますが、さらに進んで、創業者が最初から会社を「売り物」として見たり愛情が無くてもいいかというと、そうではないと思います。</p>
<p>日本でパナソニック（松下）、ホンダ、トヨタなど、創業家が長い間経営に携わるケースは多いですし、アメリカのIT系企業ですら、マイクロソフトやインテル、アップル、グーグル、ヤフーなど創業者が長い間、経営に関わっている会社も多いかと思います。</p>
<p>もちろん、アメリカの場合でも持株比率が高いから経営に長期に関与しているというより、いい業績をあげ株主からの支持があるから経営に関与できているのだと思いますが、日本で経営に携わり続けるにはやはり一定の持株比率が必要でないかどうか・・・・統計的な検証もしていないので一般論としては何とも言えませんが、個別企業の事情も鑑みてよく考える必要があるように思えます。</p>
<p>　<br /></p>
<p>---</p>
<p>以上、資本政策表に基づいてどのようなことを考える必要があるか一通り見てみました。</p>
<p>次回は、失敗事例等もまじえて、資本政策について考えてみたいと思います。<br /></p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）<br /></p>
<p>　</p>
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    <title>週刊isologue（第40号） 謹賀新年（2009年の「週刊isologue」総集編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/201001041650.html" />
    <id>tag:tez.com,2010:/mag//4.1513</id>

    <published>2010-01-04T07:50:52Z</published>
    <updated>2010-01-03T22:46:46Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
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        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2010.01.04</span>（第40号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■ 謹賀新年（2009年の「週刊isologue」総集編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>あけましておめでとうございます。<br /></p>
<p>昨年は、4月から初めて「<a href="http://www.mag2.com/m/P0007903.html">週刊isologue</a>」という有料メディアを自分でやってみることにトライしてみて、やはりブログの記事を無料で読んでいただくのに比べて読者数を増やすのが千倍は大変だなあと思ったのですが、それでもおかげさまで年末に「まぐまぐ」さんから、「<span style="font-size: medium;"><b>2009年最も多くの新規購読者を獲得したメルマガ第1位</b>」にしていただきました。<br />
改めまして、みなさまのご購読に感謝いたします。</span></p>
<p><span style="font-size: medium;">今年は新聞社や出版社の経営の困難さも増すでしょうし、またAppleのタブレットPCが発売されたり他社のデジタルコンテンツの試みも増えたりして、「有料コンテンツ変革の年」になるのは間違いなさそうです。<br /></span></p>
<p>今週は一年の最初なので、昨年の記事を一覧する「総集編」をお届けします。<br />
（リンクはブログでの紹介にリンクしています。）<br /></p>
<p>引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001335.html">（創刊号）　他人事でない、福島銀行の「違法」配当</a></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001342.html">（第2号） 「AIGの経営危機のディープな記録とその示唆」</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001348.html">（第3号）ソフトバンクは「大丈夫」なのか？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001354.html">（第4号）サン・マイクロシステムズは、なぜオラクルに「身売り」したのか？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001514.html">（第5号）ソフトバンクの「収穫期」入り宣言</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001362.html">（第6号）「ライブドア」は今、どうなっているか？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001364.html">（第7号）三井住友FGの日興買収を考える（上）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001372.html">（第8号）三井住友FGの日興買収を考える（下）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001374.html">（第9号）テレビ業界は今、どうなっているか？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001383.html">（第10号） IFRS(国際財務報告基準)は日本にどんな衝撃を与えるか？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001389.html">（第11号） FIATはクライスラーなんか買っちゃって大丈夫か？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001399.html">（第12号）iPhone、もう買っちゃっても大丈夫？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001405.html">（第13号）新聞業界は今、どうなってるか？（問題意識編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001412.html">（第14号）新聞業界は今、どうなってるか？（朝日新聞社編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001418.html">（第15号）新聞業界は今、どうなってるか？（毎日、産経、日経編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001424.html">（第16号）ビックカメラの「不適切な会計処理問題」</a></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001428.html">（第17号）アマゾンとネットビジネスの未来</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001431.html">（第18号）「検索最終戦争」- ヤフー・マイクロソフトの提携を財務面から分析する</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001437.html">（第19号）「オーケー」にみる非上場企業のオルタナティブな資金調達方法</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001440.html">（第20号）広告代理店は今、どうなってるか？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001444.html">（第21号）委員会設置会社は今、どうなってるか？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001448.html">（第22号）日本通信(株)の 持株会社を使った「実におもしろい」ファイナンス</a></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001453.html">（第23号）「紙メディアの無い世界」の覇者は誰か？（前編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001456.html">（第24号）「紙メディアの無い世界」の覇者は誰か？（後編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001460.html">（第25号）暗号とビジネス</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001462.html">（第26号）日本航空(JAL)はどうなっていくのか？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001467.html">（第27号）アイフルのADR申込と消費者金融の現状</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001469.html">（第28号）武富士と消費者金融の現状</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001473.html">（第29号）郵政民営化はストップさせるべきか？</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001476.html">（第30号）資金循環から見た「この国のかたち」</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001479.html">（第31号）JALの再生スキームと公的資金投入について考える</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001484.html">（第32号）通貨供給でデフレが救えるのか？（「会計経済学」的アプローチ）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001488.html">（第33号）日本の国債は「紙くず」なのか？（国の財務書類・貸借対照表編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001491.html">（第34号） ベンチャーのファイナンス（中級編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001495.html">（第35号）ベンチャー企業のストックオプション（初級編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001500.html">（第36号） ベンチャー企業のストックオプション（「人間ドラマ」と「算数」編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001506.html">（第37号） ベンチャー企業の事業計画（初級編）</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001508.html">（第38号）創業期ベンチャー企業の資金調達</a><br /></p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001512.html">（第39号） 創業期ベンチャー企業の企業価値評価</a><br /></p>
<p>　</p>
<p>詳細は、以下をご覧下さい。</p>
<p>（なお、本号はブログにも全文を公開させていただいております。）</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001335.html">（創刊号）　他人事でない、福島銀行の「違法」配当</a></p>
<p>創刊号ではAIGについて取り扱う予定にしていたのですが、ちょうど発行日の先週金曜日に東北財務局長から、「<a href="http://www.mof-tohoku.go.jp/b2_kinyu/01_kinyukankei/34_fukushima.html">株式会社福島銀行に対する行政処分について</a>」という処分が出たので、急遽、このテーマを取り扱わせていただくことにしました。</p>
<p>もちろん「銀行ともあろうものが会社法をちゃんと理解してないとは何事か」というのはもっともではあるのですが、この背景には「複雑さを増す日本の法律の条文」があり、他人事ではないということで、会社法の配当（分配可能額）に関する規定を図解で解説し、、<span style="text-decoration: underline;">「分配可能額」については、法律の条文から考えるより、会計的に「イメージ」で考えた方が1万倍簡単だ</span>、というお話をいたしました。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001342.html">（第2号） 「AIGの経営危機のディープな記録とその示唆」</a>　</p>
<p>当初の予定に返って、第2号ではAIGからの詳細な開示資料に基づいて、AIGのリスク管理がリスクがダメだったことが経営危機の原因なのか？、我々がAIGから学べる教訓は何なのか、といったことについて考えてみました。</p>
<p>世間では、<br />
「金融機関のはリスクについて正規分布を仮定していたことが問題。」<br />
「複雑な金融技術が今回の金融危機を生んだ」<br />
といった論調もありましたが、それに疑問を呈するとともに、<span style="text-decoration: underline;">その危機の解決を行うためにも、優先株やワラント、SPCや、債権の優先・劣後関係など、日本の一般の人から見たら十分に複雑な金融技術がいろいろ駆使されている</span>ことを見てみました。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001348.html">（第3号）ソフトバンクは「大丈夫」なのか？</a></p>
<p>この当時、「営業的に絶好調に見えるイメージの陰で、ソフトバンクにはいろいろ財務的な懸念材料がある」ということをおっしゃる方が結構いらっしゃったので、本当にそうなのかどうか、ソフトバンクさんの開示資料をもとに考えてみました。<br />
ソフトバンクの歴史、ボーダフォン買収のスキーム 、財務制限条項（コベナンツ）、設備投資の概況等について検討しています。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001354.html">（第4号）サン・マイクロシステムズは、なぜオラクルに「身売り」したのか？</a>　<br /></p>
<p>サン・マイクロシステムズという会社の概要や、オラクルとのフローやストックの「体力差」、買収スキームの概要について見てみました。</p>
<p>　<img src="http://www.tez.com/blog/archives/20080427/200904270821.jpg" width="200" height="280" alt="200904270821.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: solid; border-right-style: solid; border-bottom-style: solid; border-left-style: solid;" /> <img src="http://www.tez.com/blog/archives/20080427/200904270822.jpg" width="200" height="284" alt="200904270822.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: solid; border-right-style: solid; border-bottom-style: solid; border-left-style: solid;" />　</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001514.html">（第5号）ソフトバンクの「収穫期」入り宣言</a></p>
<p>第3回の「ソフトバンクは『大丈夫』なのか？」の続き。決算発表に基づき、設備と資金繰り、ARPU（一人当たり利用額）の下落等について見ています。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001362.html">（第6号）「ライブドア」は今、どうなっているか？</a>　　</p>
<p>上場廃止になった「ライブドア」ですが、元のライブドアという会社は株式会社LDHという持株会社になっており、ネットのサービスを行っている会社はその元のライブドアから会社分割された新しいライブドアです。<br />
この意外に知られていない財務的な旧ライブドアの状況について、下記のような項目を見てみました。</p>
<ul>
  <li>ライブドアに関する世間の注目度の推移</li>

  <li>ライブドア「株券」に関する注意</li>

  <li>上場廃止前後からの株主構成の変遷と、現在の株主、取締役像</li>

  <li>ライブドアの「株価」「企業価値」は、今どうなっているか？</li>

  <li>「株式分割」で一世を風靡したライブドアが「株式併合」するとどうなるか？</li>

  <li>訴訟がライブドアの企業価値に与える影響</li>

  <li>「本業」なのに簡易分割できる？</li>

  <li>誰が儲かったのか？</li>

  <li>ライブドア財政状態の変遷</li>

  <li>子会社処分の進捗度合い<br /></li>

  <li>「資本金等の減少」のプレスリリースが意味するもの</li>

  <li>「最終局面」に入ったライブドアの歴史</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001364.html">（第7号）三井住友FGの日興買収を考える（上）</a>　</p>
<p>三井住友フィナンシャルグループが日興コーディアル証券を中心とする事業を買収することになりましたが、そのスキームがえらく複雑なので、開示資料をもとに図解で、どのような買収が行われたのかを解説しました。</p>
<p><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20090518/200905180449.jpg" width="250" height="439" alt="200905180449.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: solid; border-right-style: solid; border-bottom-style: solid; border-left-style: solid;" /></p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001372.html">（第8号）三井住友FGの日興買収を考える（下）</a>　</p>
<p>前回の続きで三井住友フィナンシャルグループの日興コーディアル証券買収について。</p>
<p>過去にさかのぼって日興コーディアル証券等が行って来たいろいろな財務的アクションのスキーム等を振り返ると、EB債を 使った利益計上や、それに伴う開示資料の「虚偽記載」からはじまり、シティグループが日興コーディアルグループを買収する時に用いた三角株式交換、今回の 三井住友FGによる会社分割を使った買収スキームなど、日興コーディアルグループの歴史は、<span style="text-decoration: underline;">「おもしろスキーム」や「他人事ではない法令違反」の見本市</span>だったという気がします。</p>
<p>また、日興コーディアルグループのように、資金もあればファイナンスの知識も豊富にある会社が非上場化すると、<span style="text-decoration: underline;">普段は見ることができない非上場企業ならではの（遠慮のない）「合理的な」行動</span>を垣間見られて、他の会社の参考になる部分もあるんじゃないかと思います。</p>
<p>ということで、下記のような事項について、いろいろ考えてみました。</p>
<ul>
  <li>日興コーディアルグループが、日本の会計基準に与えた影響（ベンチャーキャピタル条項やIFRSアドプション等）</li>

  <li>プレスリリースには書かれていない、日興買収の詳細<br /></li>

  <li>なぜ、「<strong>現金対価</strong>会社分割」なのか？</li>

  <li>出資額939億円の「日興コーディアル代替資産投資事業組合」とは何ぞや？<br /></li>

  <li>なぜ、100%親会社との合併直前なのに、親会社相手に25株の増資をしたのか？</li>

  <li>外国企業株式対価の三角株式交換では、どのくらい買取請求権が行使されるか？</li>

  <li>なぜ、日興シティホールディングス株式会社は「A種種類株式」で増資したのか？</li>

  <li>三井住友FGの購入価格は安かったか高かったか？</li>
</ul>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20090525/200905251649.jpg" width="297" height="203" alt="200905251649.jpg" /></p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001374.html">（第9号）テレビ業界は今、どうなっているか？</a>　</p>
<p>日常われわれが接する情報のかなりの部分はマスコミ経由のものですが、そのマスコミでは「マスコミ自身の経営状況」が伝えられることはあまりないので、開示資料からそのへんを掘り下げてみました。</p>
<p><a href="http://premium.mag2.com/mmf/P0/00/79/P0007903.html"><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20090601/200906010919.jpg" width="200" height="307" alt="200906010919.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: solid; border-right-style: solid; border-bottom-style: solid; border-left-style: solid;" /></a><br /></p>
<ul>
  <li>村上ファンド、ライブドアから現在までのテレビ局各局の「資本政策」の動向</li>

  <li>放送法の「認定放送持株会社」への移行と、「官製買収防衛策」<br /></li>

  <li>フジテレビの「セシール」買収と、ライブドア（LDH）との和解の関係？</li>

  <li>楽天のTBSに対する「反対株主の株式買取請求権」</li>

  <li>テレビ朝日、日本テレビ、テレビ東京の大株主動向</li>

  <li>決算短信等から分析する、各社の業績動向</li>

  <li>「資本市場の洗礼」を受けたフジテレビ、TBSと、その他の企業のビジネスの違い<br /></li>

  <li>周波数オークションって、日本のテレビ局の実態に照らして、どうなの？</li>

  <li>平成21年3月期の各社決算短信など、資料URL</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001383.html">（第10号） IFRS(国際財務報告基準)は日本にどんな衝撃を与えるか？</a>　</p>
<p>「IFRSの採用でどれくらい負担が増加するのか？」という不安が大きいと思いますので、</p>
<ul>
  <li>開示資料のボリュームがどのくらい増えるのか</li>

  <li>IFRSは「原則主義」だから、「ルールの量」は少ないか？<br /></li>

  <li>開示資料のボリュームは「３倍」に増えるか？<br />
  （有価証券報告書に基づく、各IFRS採用企業の開示量の詳細分析）</li>
</ul>
<p>等について検討しました。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001389.html">（第11号） FIATはクライスラーなんか買っちゃって大丈夫か？</a><br /></p>
<p>クライスラー買収に名乗りを上げたが意外に知られていない「FIAT」という会社の経営状況やヨーロッパ風の同族支配のスキームについて考えてみました。</p>
<p><a href="http://premium.mag2.com/mmf/P0/00/79/P0007903.html"><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20090615/200906142016.jpg" width="200" height="267" alt="200906142016.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: solid; border-right-style: solid; border-bottom-style: solid; border-left-style: solid;" /></a><br /></p>
<ul>
  <li>クライスラー破綻処理の概要</li>

  <li>クライスラーの破産法申請書類</li>

  <li>クライスラーのバランスシート</li>

  <li>FIATの財務内容の日本の大手自動車メーカーとの比較</li>

  <li>FIATのブランド（フェラーリも持っている！）</li>

  <li>華麗なる一族「アニエッリ家」のFIAT支配の構図<br />
  （「ユヴェントス」も持っている。）</li>

  <li>イタリアの会社法（の片鱗）</li>

  <li>FIATのガバナンス（CEOは会計士）</li>

  <li>クライスラーは「底値買い」の大バクチ？</li>

  <li>（おまけ）欧州の証券取引所再編の様相</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001399.html">（第12号）iPhone、もう買っちゃっても大丈夫？</a><br /></p>
<p>iPhoneの新機種「3GS」の発表に先駆けて、</p>
<ul>
  <li>Appleの財務状況</li>

  <li>Appleは「パソコンの会社」か？（Appleの売上構成比はこんなに変化している）</li>

  <li>マイクロソフトやグーグルなど、他の有力IT企業の業績に対抗できるか？</li>

  <li>新iPhoneのテクノロジー（CPU+GPUチップ）はイケてるか？</li>

  <li>チップの技術を提供する会社の財務状況は大丈夫？</li>

  <li>Palmの新端末「Pre」や「BlackBerry」との競争に勝てそうか？</li>

  <li>カリスマ「スティーブ・ジョブス」がいなくなっても大丈夫か？<br /></li>

  <li>ソフトバンクは大丈夫か？</li>

  <li>付録：Apple社の定款</li>
</ul>
<p>といった財務やビジネスの観点から、日本のiPhoneを取り巻く環境を考えてみました。</p>
<p><a href="http://premium.mag2.com/mmf/P0/00/79/P0007903.html"><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20090622/200906221313.jpg" width="200" height="290" alt="200906221313.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: dotted; border-right-style: dotted; border-bottom-style: dotted; border-left-style: dotted;" /></a><br /></p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001405.html">（第13号）新聞業界は今、どうなってるか？（問題意識編）</a><br /></p>
<p>情報通信革命の進展と経済の市場化の進展で、世界の「情報」の流れ方が大きく変わろうとしている今、新聞業界がどうなっているのかについて考えてみました。<br /></p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001412.html">（第14号）新聞業界は今、どうなってるか？（朝日新聞社編）</a><br /></p>
<p>朝日新聞社を中心に、下記のようなキーワードについて検討。</p>
<ul>
  <li>朝日新聞社の業績</li>

  <li>ド赤字なのに巨額の寄付？</li>

  <li>株式の売却が、個別決算では利益が出るのに連結では損失が発生するわけ</li>

  <li>「財団法人香雪美術館」と「財団法人朝日新聞文化財団」</li>

  <li>テレビ朝日株式</li>

  <li>社主 村山美知子氏の相続対策</li>

  <li>会社法第308条（相互保有株式）</li>

  <li>放送法上の「認定放送持株会社」</li>

  <li>朝日新聞社の株価はいくらだったのか？</li>

  <li>改革のための新聞大手各社の「余力」</li>

  <li>朝日新聞社のコスト構造</li>

  <li>日経・朝日・読売の業務提携</li>

  <li>改革の気合いの入った役員陣？（同業他社比）</li>

  <li>平均年齢と社外役員</li>

  <li>冨山和彦氏、登場</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001418.html">（第15号）新聞業界は今、どうなってるか？（毎日、産経、日経編）</a><br /></p>
<p>先週の朝日新聞社に引き続き、毎日新聞社、産業経済新聞社、日本経済新聞社の３社の現状と将来について考え、朝日新聞を加えた4社についての考察をまとめています。</p>
<p><a href="http://www.mag2.com/m/P0007903.html"><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20090713/200907131619.jpg" width="233" height="250" alt="200907131619.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: dotted; border-right-style: dotted; border-bottom-style: dotted; border-left-style: dotted;" /></a><br /></p>
<p>目次とキーワード。</p>
<ul>
  <li>毎日新聞社の連結売上高と単体売上高の推移</li>

  <li>毎日新聞社の「その他の事業」</li>

  <li>毎日新聞社の資本構成の特色と「系列」テレビ局との関係</li>

  <li>「会社法施行規則第67条」とは？</li>

  <li>毎日新聞社の役員構成の特色</li>

  <li>産業経済新聞社の連結売上高と単体売上高の推移</li>

  <li>連結売上高が激減の理由</li>

  <li>「インターネット対応」では、産経が一番がんばっている？</li>

  <li>「産経新聞iPhone版」</li>

  <li>MSN産経ニュースのアクセス数の評価</li>

  <li>産業経済新聞社の資本構成の特徴</li>

  <li>産業経済新聞社の役員構成</li>

  <li>日本経済新聞社の連結売上高と単体売上高の推移</li>

  <li>日本経済新聞社の収益性</li>

  <li>会社法改正（法定公告）は、どのくらい日経新聞に影響を与えたか？</li>

  <li>日本経済新聞社の資本構成の特徴<br />
  （新聞社の資本政策のまとめ）</li>

  <li>日本経済新聞社の事業多角化度</li>

  <li>各社の利益・純資産と「インターネット時代への変革のための体力」</li>

  <li>なぜ、マスコミの歴史は資本政策にまつわる「事件」で彩られてきたのか</li>

  <li>「21世紀型の暗黒時代」</li>

  <li>インターネット上での事業で勝つには？</li>

  <li>どの新聞社がインターネット時代に勝ち残るのか？</li>

  <li>外部からのプレシャーと自己変革</li>
</ul>
<p>　　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001424.html">（第16号）ビックカメラの「不適切な会計処理問題」</a><br /></p>
<p>ビックカメラが、 2009年1月16日に「不適切な会計処理」の疑いがあるということで、東京証券取引所に監理銘柄に指定され、3月24日に指定が解除され上場も維持されたのですが、結局、億単位の課徴金を納付することになりました。<br />
このビックカメラの企業像と当該会計処理の詳細について、検討しています。</p>
<p><a href="http://www.mag2.com/m/P0007903.html"><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20090721/200907210746.jpg" width="179" height="250" alt="200907210746.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: dotted; border-right-style: dotted; border-bottom-style: dotted; border-left-style: dotted;" /></a></p>
<p>今週のキーワード：</p>
<ul>
  <li>ビックカメラの資本構造と「コテコテの伝統的オーナー企業型資本政策」</li>

  <li>ジャスダック公開直前の取引先等への株の割当</li>

  <li>元会長の新井氏とは</li>

  <li>ビックカメラとマスコミとの結びつき（株式保有関係）</li>

  <li>ビックカメラの広告費</li>

  <li>事件の経緯</li>

  <li>なぜ上場廃止にならなかったのか。 （「上場内国会社の上場廃止基準」）</li>

  <li>「所得隠し」と不動産証券化スキームとの関係？</li>

  <li>調査委員会の調査報告書と、その問題点</li>

  <li>監査法人の交代</li>

  <li>流動化スキームの分析<br /></li>

  <li>優先ローン、劣後ローン、匿名組合出資</li>

  <li>証券化の目的は何だったのか？</li>

  <li>「メザニン」は証券化できなかったのか？<br /></li>

  <li>元会長は、このスキームを理解できたのか？（オーナー系上場企業が不動産を流動化するリスク）</li>

  <li>「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」</li>

  <li>そもそも、これってどのくらい「悪い」のか？</li>

  <li>金額的影響は、どのくらいあったのか</li>
</ul>　

<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001428.html">（第17号）アマゾンとネットビジネスの未来</a><br /></p>
<p>アマゾンの決算数値を通して、ECや「そもそもネットでビジネスをするということ」について考えてみました。</p>
<p>キーワードは以下の通り。</p>
<ul>
  <li>「アマゾン」は、あんまり儲からない商売か？</li>

  <li>第２四半期、決算概要</li>

  <li>アマゾンの純資産は創業15年でどうなっているか？</li>

  <li>電子ブックリーダー「キンドル（Kindle）」</li>

  <li>日本の新聞社と新聞・雑誌・書籍リーダーの未来</li>

  <li>「追徴課税」で浮かび上がる、ネット時代の日本の地位の低下</li>

  <li>追徴課税額からアマゾンの国際ビジネス構造を推定する</li>

  <li>ザッポス（Zappos.com）の買収（800億円）</li>

  <li>「返品期間365日」と会計上の売上計上時期？</li>

  <li>ザッポスの企業風土と経営陣のプロフィール</li>

  <li>臨時報告書（8-K）に添付された買収契約の概要</li>

  <li>種類株式毎の条件から経営陣の「取り分」を想像する</li>

  <li>ネットビジネスの未来</li>

  <li>世界的ECは「金融畑」の経営者でないとできない？</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001431.html">（第18号）「検索最終戦争」- ヤフー・マイクロソフトの提携を財務面から分析する</a><br /></p>
<p>7月29日に公表された、Yahoo!(ヤフー)・Microsoft(マイクロソフト)の提携について、以下のようなキーワードについて検討。</p>
<ul>
  <li>提携の概要と背景の解説</li>

  <li>プレスリリースの内容</li>

  <li>検索サービスの優劣は何で決まるか？</li>

  <li>ヤフーの損益の状況</li>

  <li>「提携のインパクト」の読み方</li>

  <li>検索サービス競合各社の「実力」の状況</li>

  <li>ソフトバンクと日米ヤフーの時価総額の関係</li>

  <li>マイクロソフトのOS、サーバ、Office、XBOX事業の状況</li>

  <li>マイクロソフトのオンライン・サービス・ビジネスの現状は？</li>

  <li>「マイクロソフト＋ヤフー」陣営は、ライバル「グーグル」にかなうのか？</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001437.html">（第19号）「オーケー」にみる非上場企業のオルタナティブな資金調達方法</a><br /></p>
<p>村上龍氏がメインインタビュアーを務めるテレビ東京系の「カンブリア宮殿」の「 “正直経営”が今、武器になる！」という回において、一瞬だけ、種類株式の株券が画面に映りました。</p>
<p>非上場企業がこのような種類株式で資金調達するというのは極めてめずらしいので、以下のようなキーワードについて調べてみました。</p>
<ul>
  <li>投資家から見た、非上場株の公募の問題点</li>

  <li>オーケーのコーポレートガバナンス（特に社外取締役）</li>

  <li>企業側から見た、未上場の公募のデメリット</li>

  <li>企業側から見た、未上場の公募のメリット</li>

  <li>オーケーの種類株式の概要<br />
  「オーケー2007種類株式」「オーケー2008種類株式」「オーケー2009種類株式」</li>

  <li>オーケーの種類株式発行の歴史</li>

  <li>買取り株価の算出方法</li>

  <li>会社側からの取得条項（call option）</li>

  <li>取得請求権(put option)</li>

  <li>スキームの問題点</li>

  <li>この種類株式で上場によるキャピタルゲインは得られるか？</li>

  <li>リスク・リターンの評価は？</li>

  <li>議決権の制限とガバナンス</li>

  <li>公募株式の譲渡制限と、取締役会の承認の運用</li>

  <li>配当、残余財産の分配の順位の設計（一般的な例との対比、平時と破綻時）</li>

  <li>相続人等に対する売渡しの請求の運用は？</li>

  <li>「(想定)PER17倍」のナゾ</li>

  <li>買取り価格決定式の会社側へのリスク</li>

  <li>「普通株式への転換条項」（普通株式を対価にした取得条項）</li>

  <li>課税上の取扱い</li>

  <li>普通株式を使ったスキームだったら、どうだったか？</li>

  <li>税務から考えた株主の投資額の規模と設計</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001440.html">（第20号）広告代理店は今、どうなってるか？</a><br /></p>
<p>広告代理店についても、あまりマスコミで経営内容が取り上げられることは少ないので、下記のような企業やキーワードについて調べて、広告業界の現状について考えてみました。</p>
<ul>
  <li>株式会社電通</li>

  <li>株式会社博報堂ＤＹホールディングス</li>

  <li>株式会社アサツー ディ・ケイ</li>

  <li>株式会社サイバー･コミュニケーションズ(CCI)</li>

  <li>株式会社オプト</li>

  <li>デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社（DAC）</li>

  <li>株式会社サイバーエージェント（現在の利益の柱は何？）</li>

  <li>日本のマーケットの全体像は？<br />
  （Googleの日本での売上推測、ヤフー、等）</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001444.html">（第21号）委員会設置会社は今、どうなってるか？</a><br /></p>
<p>ベンチャーだけど「委員会設置会社」を採用したクックパットの上場記念ということで、以下のようなキーワードについて検討しています。</p>
<p><a href="http://www.mag2.com/m/P0007903.html"><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20090824/200908240946.jpg" width="200" height="215" alt="200908240946.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: dotted; border-right-style: dotted; border-bottom-style: dotted; border-left-style: dotted;" /></a><br /></p>
<ul>
  <li>委員会設置会社移行のトレンド</li>

  <li>「外資系的マインド」の企業でのニーズ<br />
  （日本板硝子(株)、日本オラクル(株)、田崎真珠(株)等）</li>

  <li>公的企業等における採用 委員会設置会社をやめた企業<br />
  ニイウス(株)等</li>

  <li>クックパッド株式会社の事例</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001448.html">（第22号）日本通信(株)の 持株会社を使った「実におもしろい」ファイナンス</a><br /></p>
<p>日本通信株式会社のベルギーの持株会社を使った資金調達スキームが非常に面白かったので、以下のようなキーワードで日本通信の経営と調達スキームについて考えてみました。</p>
<ul>
  <li>MVNO事業は儲かるのか？</li>

  <li>興味深い、経営陣のプロフィール</li>

  <li>これまでの資本政策流れ（これも、おもしろい）</li>

  <li>ベルギーの持株会社「LT SANDA」</li>

  <li>BVBA</li>

  <li>「エクイティ・ コミットメント・ライン」(ECL)</li>

  <li>なぜこのファイナンスを行ったのか？</li>

  <li>債権の現物出資</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001453.html">（第23号）「紙メディアの無い世界」の覇者は誰か？（前編）</a><br /></p>
<p>新聞や雑誌などの紙メディアは今すぐに無くなるわけではないでしょうが、世界中の有名新聞社や雑誌社が苦境に陥っている中、20年後30年後に今と同じ形で存続している可能性は小さいのではないかと思います。</p>
<p>このため、こうしたメディアの今後の変化を考えるための「前編」として、</p>
<ul>
  <li>大手新聞社財務状況の概要</li>

  <li>日本経済新聞社の連結赤字転落</li>

  <li>集英社・講談社・小学館の業績推移</li>
</ul>
<p>といった点について検討してみました。　</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001456.html">（第24号）「紙メディアの無い世界」の覇者は誰か？（後編）</a><br /></p>
<p>「ポスト紙メディア」の覇者がどうなるのかについて、</p>
<ul>
  <li>紙メディアのV字回復はあるのか？</li>

  <li>変化は直線的には起こらない</li>

  <li>「継続企業の前提」とは？</li>

  <li>新聞各社の資産構成と純資産、有利子負債<br /></li>

  <li>リストラはできるのか？<br /></li>

  <li>そもそも、なぜ新聞・雑誌・書籍は読まれるのか？<br /></li>

  <li>「プラットフォーム」とネットワーク外部性</li>

  <li>「覇者」は誰か？（IBM ORCL HPQ DELL MSFT SONY GOOG APPL EBAY AMZN YHOO??）</li>
</ul>
<p>等のキーワードから考えています。</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001460.html">（第25号）暗号とビジネス</a><br /></p>
<p>ネット時代にビジネスをする上で欠くべからざる技術「暗号」について、</p>
<ul>
  <li>なぜ、未だにみんなメールを暗号化せずに使っているのか？</li>

  <li>なぜ「暗号」が重要なのか？</li>

  <li>情報通信に関する危険</li>

  <li>「鍵配送」のコスト</li>

  <li>「エニグマ」とイギリスの数学者アラン・チューリング</li>

  <li>「オープンな」暗号方式</li>

  <li>公開鍵暗号と電子署名</li>

  <li>この夏公開された映画「サマーウォーズ」と暗号</li>

  <li>誰が誰を認証するかー「認証機関」と「信用の輪」</li>

  <li>階層型ネットワーク、分散型ネットワーク</li>
</ul>
<p>といったキーワードから検討。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001462.html">（第26号）日本航空(JAL)はどうなっていくのか？</a><br /></p>
<p>JAL問題は、政府、債権者、株主、組合、取引先、顧客などとの関係が非常に複雑ですので、財務的な観点からどのような可能性があるかを整理してみました。</p>
<p>目次：</p>
<ul>
  <li>JALの貸借対照表を読み解く際の注意点</li>

  <li>年金の「積み立て不足額」の読み方</li>

  <li>リース会計の読み方</li>

  <li>（おまけ）なぜ、飛行機の型式は少ないのか？</li>

  <li>ANAとの貸借対照表の比較</li>

  <li>労働組合の存在</li>

  <li>JALとANAの損益構造の違い？</li>

  <li>財務的に見たJALの選択肢</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001467.html">（第27号）アイフルのADR申込と消費者金融の現状</a><br /></p>
<p>消費者金融専業のアイフルが事業再生ADR手続によって事業再生をすることになったので、アイフルを中心に消費者金融業界の現状について、主に資金調達面から考察。</p>
<p><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20091005/200910051932.jpg" width="200" height="267" alt="200910051932.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: dotted; border-right-style: dotted; border-bottom-style: dotted; border-left-style: dotted;" /><br /></p>
<p>目次とキーワードは、</p>
<ul>
  <li>消費者金融の事業構造消費者金融の歴史は資金調達の歴史</li>

  <li>アイフルの資金調達の推移</li>

  <li>どこから資金を捻出しているか？</li>

  <li>同業他社との比較</li>

  <li>「銀行の軍門に下るか否か」の戦略的意思決定</li>
</ul>
<p>等になります。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001469.html">（第28号）武富士と消費者金融の現状</a><br /></p>
<p>前号はアイフルの「調達サイド」を中心に見て来ましたが、ここでは武富士を中心に、消費者金融業の「資産サイド」に目を向けました。</p>
<p>目次とキーワードは、</p>
<ul>
  <li>先週の消費者金融業界の動き</li>

  <li>消費者金融業者の資産に何が起こっているか？<br /></li>

  <li>大手４社の営業貸付金の利率別内訳<br /></li>

  <li>「ちゃんと」した審査はできるのか？<br /></li>

  <li>各社の法改正や債権の良質化に対する戦略</li>

  <li>営業貸付金のフローの構造<br /></li>

  <li>貸付一件あたりの残高<br /></li>

  <li>金利引下げのインパクト推計<br /></li>

  <li>各社業績見込みのまとめ<br /></li>
</ul>
<p>等になります。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001473.html">（第29号）郵政民営化はストップさせるべきか？</a><br /></p>
<p>政権交代で国民新党の亀井静香氏が郵政・金融担当大臣となったことで民営化の先行きが大きく揺れてます。日本郵政について、冷静に財務的な観点から実像を捕らえ、問題解決の方向性を考えてみたいと思います。</p>
<p>目次・キーワードは以下のとおり。</p>
<ul>
  <li>「郵政民営化とは何か」の復習</li>

  <li>日本郵政グループのストラクチャー<br /></li>

  <li>（ものすごい）店舗ネットワーク<br /></li>

  <li>財務会計的な観点から見た民営化の成果<br /></li>

  <li>従業員数から見た郵政問題</li>

  <li>資産から見た郵政問題</li>

  <li>売上から見た日本郵政</li>

  <li>「郵便局株式会社」の売上と郵政問題</li>

  <li>「かんぽの宿」問題の規模</li>

  <li>ゆうちょ・かんぽを上場すると「ハゲタカ」に食われるか？</li>

  <li>ゆうちょ・かんぽを上場すると国債を買ってもらえなくなるか？</li>

  <li>ネットの時代に、ゆうちょ・かんぽから見て店舗は不要になるのではないか？</li>

  <li>郵便局問題をランディングさせる財源はある！　</li>
</ul>
<p>片山さつきさんにも<a href="http://twitter.com/katayama_s/status/7326981224">お褒め</a>いただいたアゴラに寄稿した記事<br />
「<a href="http://agora-web.jp/archives/787445.html">郵政を「ドンブリ」に戻すな - 情報こそが郵政を変える</a>」<br />
も併せてどうぞ。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001476.html">（第30号）資金循環から見た「この国のかたち」</a><br /></p>
<p>「資金循環表」等をもとに作った、日本の財政・金融問題や郵政問題、天下り問題などの全貌が これ1枚でわかる「日本の資金循環マンダラ」<br /></p>
<p><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20091026/200910261349.jpg" width="250" height="397" alt="200910261349.jpg" /><br /></p>
<p>を中心に、</p>
<ul>
  <li>日本の資金の流れの構造</li>

  <li>銀行に大きなリスクが集中？</li>

  <li>家計の資産構成の日米比較<br /></li>

  <li>郵政は「とにかくデカい」<br /></li>

  <li>日本政府の「資産・負債差額」が何を意味するか？<br /></li>

  <li>日本郵政は「日本最大の天下り先」だ<br /></li>

  <li>日銀は「あまりに小さい」<br /></li>

  <li>日本政府の「資金調達の多様化」は可能か？<br /></li>
</ul>
<p>といったあたりを考えております。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001479.html">（第31号）JALの再生スキームと公的資金投入について考える</a><br /></p>
<p>JALの再生について、</p>
<ul>
  <li>JALの財政状態の概要</li>

  <li>処理の選択肢の概要<br />
  （特に、キャッシュフロー権とコントロール権の分離について）<br /></li>

  <li>good companyとbad companyを「分離」をした場合のイメージ<br /></li>

  <li>分離方法の実際<br />
  （100社以上の子会社をどう処理するか？）</li>

  <li>用いられる株式の性質</li>

  <li>政府の役割は何か？<br />
  （政府は公的資金投入でキャピタルゲインを追ってはいけないのか？<br />
  　銀行への公的資金投入と事業会社への公的資金投入は異なるか？）<br /></li>
</ul>等を考えてみました。<br />
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001484.html">（第32号）通貨供給でデフレが救えるのか？（「会計経済学」的アプローチ）</a><br /></p>
<p>マクロ経済の問題は話が兆円単位で全貌を捉えるのが難しいので、会計的なフレームワークを使って、一般のビジネスマンにもわかりやすい説明を試みました。　</p>
<p>　<img src="http://www.tez.com/blog/archives/20091109/200911091728.jpg" width="200" height="269" alt="200911091728.jpg" /><br /></p>
<p>キーワードは以下の通り。</p>
<ul>
  <li>日本全体の資金フローの特徴</li>

  <li>「会計経済学」的に見て「貨幣」とは何か？<br /></li>

  <li>マネーサプライ（通貨供給量）を増加させればインフレになるのか？<br /></li>

  <li>財務的に見た日銀</li>

  <li>「会計経済学」的に見た「信用創造」<br /></li>

  <li>現実の世界で、価格はどう上がるのか？</li>

  <li>「経済の俯瞰図」で政策のアイデアは広がる<br /></li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001488.html">（第33号）日本の国債は「紙くず」なのか？（国の財務書類・貸借対照表編）</a><br /></p>
<p>一般会計や特別会計、特殊法人などバラバラでわかりにくい日本政府の全貌が「国の財務諸表」という形でわかりやすくまとめられているので、それを図解してわかりやすく解説。</p>
<p><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20091116/200911162234.jpg" width="200" height="295" alt="200911162234.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: dotted; border-right-style: dotted; border-bottom-style: dotted; border-left-style: dotted;" /><br /></p>
<ul>
  <li>「国の財務書類」とは<br /></li>

  <li>「国の財務書類」の課題</li>

  <li>「埋蔵金」を探索するには？<br /></li>

  <li>日銀、日本郵政は、国の「連結対象」か？</li>

  <li>国債は赤字の穴埋めに使われている「紙くず」か？</li>

  <li>政府は実質的に「債務超過」なのか？</li>

  <li>省庁別財務書類</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001491.html">（第34号） ベンチャーのファイナンス（中級編）</a><br /></p>
<p>1000兆円単位の国家レベルの会計から、今度は数億円レベルの非常にミクロなベンチャーのファイナンスについて。<br />
日本の今後のベンチャー企業では、シリコンバレーのように種類株式等を活用することが必要になってくるんじゃないかと思いますが、なかなか日本ではまだ導入も理解もされていないので、それを図解入りで解説してみました。</p>
<p><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20091123/200911240858.jpg" width="200" height="277" alt="200911240858.jpg" style="border-top-width: 1px; border-right-width: 1px; border-bottom-width: 1px; border-left-width: 1px; border-top-color: rgb(0, 0, 0); border-right-color: rgb(0, 0, 0); border-bottom-color: rgb(0, 0, 0); border-left-color: rgb(0, 0, 0); border-top-style: dotted; border-right-style: dotted; border-bottom-style: dotted; border-left-style: dotted;" /><br /></p>
<p>キーワードは以下の通り。</p>
<ul>
  <li>投資家側から見た問題点１：投資したのにEXITできない<br /></li>

  <li>モニタリングの工夫</li>

  <li>上場の努力義務と株式の買取条項<br /></li>

  <li>投資家側から見た問題点２：期待したほど額のEXITができない</li>

  <li>優先分配権</li>

  <li>「○倍の優先分配権」</li>

  <li>各種拒否権<br /></li>

  <li>投資家側から見た問題点３：「経営陣だけ売り抜け」<br /></li>

  <li>「共同売却権」<br /></li>

  <li>「先買権」<br /></li>

  <li>投資家側から見た問題点４：投資家間の不公平<br /></li>

  <li>株価修正条項</li>

  <li>フルラチェット</li>

  <li>「修羅場」に関係者のインセンティブを適切に調整できるメカニズム</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001495.html">（第35号）ベンチャー企業のストックオプション（初級編）</a><br /></p>
<p>ベンチャー企業が優秀な人材を集めるための武器「ストックオプション」。<br />
資本政策に大いに影響するので、これも使い方を誤ると上場できないなど、大変なことになります。<br />
このため、以下のようなキーワードからベンチャー企業のストックオプションについて考察してみました。</p>
<ul>
  <li>ストックオプションは「総合格闘技」である<br /></li>

  <li>ストックオプションと会社法</li>

  <li>ストックオプションと金融工学</li>

  <li>ストックオプションと会計</li>

  <li>ストックオプションと税務</li>

  <li>ストックオプションと証券実務<br /></li>

  <li>ストックオプションと人事労務<br /></li>

  <li>「量」はどのくらいにすればいいか？<br /></li>

  <li>行使価格とストックオプションの利益<br /></li>

  <li>株の「単位」<br /></li>

  <li>ベスティング<br /></li>

  <li>会社のビジネスモデルと企業価値</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001500.html">（第36号） ベンチャー企業のストックオプション（「人間ドラマ」と「算数」編）</a><br /></p>
<p>最近では、ストックオプションの書類の「ひな形」的なファイルを知り合いの会社からもらってきて、それに自分の会社の社名や従業員の名前を書き込んだら完成だ！と思ってる方も多いですが、ちゃんと考えると意外に難しいストックオプションについて間違いやすい点を解説。</p>
<ul>
  <li>「要項」と「契約書」に書くことを、ちゃん分けて考えているか？</li>

  <li>「上場まで行使できない」条項<br /></li>

  <li>アメリカと日本のストックオプションの感覚の違い</li>

  <li>ストックオプションと上場審査</li>

  <li>バイアウトを考えたストックオプションか？<br /></li>

  <li>合併等の場合（「対価」の選択）</li>

  <li>「２年間は行使できない」という条項<br /></li>

  <li>相続</li>

  <li>「計算式」は、ちゃんとしているか？</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001506.html">（第37号） ベンチャー企業の事業計画（初級編）</a><br /></p>
<p>以下のようなキーワードから、ベンチャー企業の事業計画の立て方について解説。</p>
<ul>
  <li>事業計画で一番大切なことは何か？<br /></li>

  <li>Excelに落としてナンボ</li>

  <li>「分厚い事業計画」を書けば投資してもらえるか？</li>

  <li>事業計画にはどのようなことを書くか</li>

  <li>出来映えのレベル</li>

  <li>どのくらいの目標を掲げればいいか？</li>
</ul>
<p>　</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001508.html">（第38号）創業期ベンチャー企業の資金調達</a><br /></p>
<p>創業期ベンチャーの資金調達について、法人を設立するタイミングを中心に。</p>
<ul>
  <li>事業をするのに「法人」にする必要はあるか？<br /></li>

  <li>投資とのタイミングで「いつ」法人にするのがいいか？</li>

  <li>ベンチャーの「法人成り」で巨額の税金が発生するリスク</li>

  <li>個人投資家から出資してもらうリスク</li>

  <li>VC（プロの投資家）との交渉と法人化のタイミング</li>

  <li>創業期に知識不足でベンチャーの芽が摘まれる？</li>

  <li style="list-style-type: none; list-style-position: initial; list-style-image: initial;"><br /></li>
</ul>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001512.html">（第39号） 創業期ベンチャー企業の企業価値評価</a><br /></p>
<p>ベンチャー企業が投資を受ける際に、「どのように」「いくらで」評価されるのか、について、<br /></p>
<ul>
  <li>純資産法</li>

  <li>類似企業比準法</li>

  <li>DCF法（Discount Cash Flow法）</li>
</ul>
<p>などの一般的な企業価値評価の方法を説明しながら、技術的に精緻な話というよりは、創業期のベンチャー企業が投資家と交渉する際の考え方を説明しました。</p>
<p>　</p>
<p>本年もよろしくお願いいたします。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）</p>
<p>　</p>
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</ul>
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<entry>
    <title>週刊isologue（第39号） 創業期ベンチャー企業の企業価値評価</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/200912281412.html" />
    <id>tag:tez.com,2009:/mag//4.1511</id>

    <published>2009-12-28T05:12:34Z</published>
    <updated>2009-12-28T15:12:44Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tez.com/mag/">
        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2009.12.28</span>（第39号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■創業期ベンチャー企業の企業価値評価<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>さて、今年最後の「週刊isologue」をお届けします。</p>
<p>週刊isologue 37号「ベンチャー企業の事業計画（初級編）」で事業計画の作り方のさわりの部分を取り上げ、先週38号「創業期ベンチャー企業の資金調達」では会社設立のタイミングを中心に考えてみましたが、今週は、<span style="text-decoration: underline;">自分の会社が投資を受ける際に、「どのように」「いくらで」評価されるのか</span>、について考えてみます。<br />
企業価値がいくらで評価されるかで、投資の額や創業者や投資家の持株比率が決まって来ますので、ここはベンチャー企業の将来にとって非常に重要です。</p>
<p>「企業価値評価」をどう行うかについてテクニカルに詳細な説明をした書籍がたくさん出ていますが、特に創業期に近いベンチャー企業が自社の企業価値（投資してもらう株価）について交渉する際には、そういう理論的に精緻な話が必ずしも当てはまらないことが多いかと思います。</p>
<p>一方で、そうしたテクニカルな話が無駄なのかというと決してそうではありません。<br />
創業期の企業価値評価は、特定の算式に数値を代入したらポンと答えが出るといったものではないですが、いろいろな企業価値評価方法の「考え方」は大いに参考になると思います。</p>
<p>今回は、<br /></p>
<ul>
  <li>純資産法</li>

  <li>類似企業比準法</li>

  <li>DCF法（Discount Cash Flow法）</li>
</ul>
<p>などの一般的な企業価値評価の方法を説明しながら、技術的に精緻な話というよりは、創業期のベンチャー企業が投資家と交渉する際の「考え方」を見ていきたいと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「過去」に注目した企業価値評価（純資産法）</b></span><br /></p>
<p>まずは「純資産法」について考えてみます。</p>
<p>---</p>
<p>まず、あなたが株式会社を資本金1000万円で設立したとしましょう。<br />
この会社、まだ何をやるかも決まっていないとします。<br />
設立直後でまだ経費もほとんど使っておらず、預金口座に約1000万円入っているだけとすれば、この企業の価値はどう転んでも約1000万円としか評価しようがないというのはご理解いただきやすいかと思います。</p>
<p>---</p>
<p>この企業が、しばらく事業を行って、将来ものすごい発展をする可能性のあるビジネスの芽が出てきて、それを盛り込んだ事業計画も出来たとします。<br />
しかし、その事業を行うためには、億円単位の資金が必要だとします。<br />
そのために投資家から増資を受けようとする場合に、どういった評価をしてもらえるでしょうか？</p>
<p>念のため申し上げておくと、企業価値を高く評価してもらえれば評価してもらえるほど、少ない株式を発行するだけで多くの資金が調達できるわけです。</p>
<p>例えば、現在の企業価値が1千万円と評価された場合には、今と同じだけ株式を発行しても1千万円しか調達できません。<br />
つまり、既存の株主が50%、新しい投資家が50%を持つことになります。</p>
<p>ところが、現在の企業価値を4億円と評価してもらえれば、現在発行している株式の4分の1だけ発行するだけで1億円を調達できることになります。<br />
つまり、既存の株主が80%、新しい投資家が20%を持つことになります。</p>
<p>---</p>
<p>この企業価値を「純資産」で評価する方法（純資産法）を見てみましょう。</p>
<p>下図をご覧ください。<br /></p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091221/200912211004.jpg" width="350" height="327" alt="200912211004.jpg" /><br />
図表１．ベンチャー企業の貸借対照表</p>
<p>　</p>
<p>この企業は、まだ売上もあまり立ってませんが、費用がかさんで損失が累計で300万円発生しています。</p>
<p>つまり、この企業の純資産は資本金1000万円から損失300万円を引いた700万円ということになります。</p>
<p>　</p>
<p>この法人の企業価値を、純資産からだけ考えて「700万円」と評価したら、どうなるでしょうか？</p>
<p>仮に、事業計画を達成するために1億円が必要でそれが調達出来たとしても、創業者などの既存株主の持分は、700万円 / （1億円＋700万円）＝6.5% にまで下がってしまうわけです。</p>
<p>もちろん、これが必ず悪いわけではなく、投資してくれる人がパートナーとして実質的に会社の価値を上げてくれる人で創業者はもうあまり何もしなくていいとか、その投資家のおかげで将来1000億円の価値で上場しそうだ、等、ケースによっては、これでも投資を受けた方がいいことも考えられないわけではありません。</p>
<p>しかし、投資してくれる人があまりそうしたバリューアップに貢献しそうにないとか、創業者が引き続き社長としてがんばらなければならないといった通常の場合には、これだと、資本政策的に後々うまくいかなくなる可能性が大きいと思います。<br /></p>
<p>また、創業間もない会社では、強いリーダーシップが必要なことも多いので、株主総会で自分が選任されない可能性に怯えながら経営するのが好ましく無いケースも多いと思います。<br />
詳細はまた「資本政策」を説明する回にまわしたいと思いますが、日本の場合は特に（そうした方がうまくいくことが確実視されるといった場合を除き）<span style="text-decoration: underline;">簡単に過半数を他人に渡すことを考えない</span>方がいいと思います。</p>
<p>（アメリカでも、Googleは創業者2名が10倍の議決権を持つ「Class B common stock」を使って、絶対的な議決権比率を押さえて上場しました。（<a href="http://www.tez.com/blog/archives/000070.html">ご参考リンク</a>）<br />
Googleの創業者はイケてるから今のところうまく行っているわけですが、一方で、経営者としての能力がよろしくない方が絶対的な議決権比率を持っていて外部の投資家の言うことを全く聞かない場合には、大きな悲劇が発生するのも確かです。）<br /></p>
<p>　</p>
<p>---</p>
<p>別の言い方をすれば、この「簿価」で見るという方法は、会社の「過去」に着目した企業価値評価の方法だと言えます。</p>
<p>「過去」（実績）は、動かしようもなく非常に明確なものなので、その「過去」に引きずられる可能性は大いにあります。</p>
<p>例えば、創業者が設立時に1株5万円で出資した会社が、設立後半年でまだ黒字も出ていない場合、投資家から「なんで赤字の会社が、半年前の株価の4倍の1株20万円もするんだ！」と言われたら、あまりベンチャー企業のファイナンスの知識がない創業者であれば、「それもそうだ・・・」と思ってしまうかも知れません。</p>
<p>しかし、創業したばかりのベンチャー企業は「過去」の財務的実績なんてないケースがほとんどなわけですから、そうしたベンチャー企業が「過去」で勝負したら負けです。</p>
<p>上記は資本金1000万円で設立していましたが、会社法施行後、会社の資本金の下限は撤廃されましたので、50万円とか100万円で会社を設立しているケースも多いかと思います。逆にお金持ちの人が資本金1億円でベンチャー企業を設立したら、資本金100万円の企業より100倍すごいかというと、全くそうではないわけです。</p>
<p>つまり、「過去の実績は無いが未来は輝かしい」と考えている創業期のベンチャー企業であれば、「過去」ではない考え方で理論武装をして投資の交渉にあたる必要があるわけです。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「似た企業」で考える（類似企業比準など）</b></span><br /></p>
<p>「過去」だけに縛られない方法として、「類似企業比準」「類似業種比準」といった方法があります。</p>
<p>これは、「似ている」企業や業種の、売上や利益、純資産等を参考に企業価値や株価を決める方法です。<br />
（注：一般に、類似業種比準では配当の値も用いられますが、配当しているベンチャーというのはあまり存在しません。）</p>
<p>例えば、「同じようなビジネスモデルの会社」が、2ヶ月前に投資を受けて、その時の企業価値評価が3億円だったとします。<br />
先方の売上が6億円、こちらの売上が8億円だとしたら、「こちらは4億円で評価してくれてもいいでしょ？」というのは、交渉上、ぶつけてみるべき交渉材料の一つだと思います。</p>
<p>　</p>
<p>ただし、この「類似」で考える方法は３つの点で注意する必要があります。</p>
<p>　</p>
<p>一つは、「『類似の企業』があるベンチャー企業ってどうよ？」という点。</p>
<p>ベンチャー企業というのは、イノベーティブなことをする企業です。<br />
ですから、比較できるような類似の企業があるという時点で、そもそもイノベーティブではないかも知れませんね。</p>
<p>つまり、ベンチャー企業は比較対象になるズバリの企業が存在しないことも多いわけです。</p>
<p>もちろん、ベンチャーといっても幅広いので、業種によってまちまちではあります。</p>
<p>IT系の場合などには一つの領域に一社しか生き残れないようなケースも多いですが、一方で、例えば「日本に全く無かったファーストフードのチェーン展開をする」といった事業の場合には、他のファーストフードチェーンの評価が参考になるかも知れません。<br />
市場や競争の構造でも違って来るということです。</p>
<p>　</p>
<p>もう一つは、「数値に比例するのか？」という点。<br /></p>
<p>例えばネットのコミュニティビジネスなど、ネットワーク外部性が強く働く事業の場合、会員数が多いトップ企業は会員が会員を呼ぶので有利になることが考えられます。<br />
その場合に、会員が100万人のトップ企業と20万人の企業があったとして、20万人の会員の会社が100万人の会社の5分の1の価値があるかというと必ずしもそうは言えないですね。<br />
会員数20万人の企業は、「アレに似ている」と主張するよりも、全く別の観点の切り口からビジネスをとらえた方がいいということになります。<br /></p>
<p>　</p>
<p>最後に、参考になる企業が存在したとしてもその計数が入手できるかどうか、という点。</p>
<p>参考にする企業が非上場の場合、増資した際の企業価値や比較の対象になる売上や利益の額が公表されないことも多いです。</p>
<p>また、上場している類似企業があれば詳細な財務データが公表されているはずですが、すでに上場している類似の企業がある場合に、今から資金調達して、その会社に追いつき追い越せるのか？ということをよくよく考えた方がいいかも知れません。<br /></p>一方、事業計画を策定する際などには、上場企業の財務データなどを部分的に活用することは大いに意味があります。全体としては似ていなくても、例えば、一人当たりどのくらい売り上げているのか？、製品の原価のうち経費が占める割合はどの程度か？等、部分部分の類似点を見て、ベンチマーキングをして、他社に比べて自社の設定が常識はずれな数値になっていないかどうかを検証するといった使い方ができる可能性は大いにありますし、そうした他の企業のパーツを研究をして組み立てることで、自社の事業計画が説得力を持つことにもなります。

<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「未来」に注目した企業価値（DCF法）</b></span><br /></p>
<p>企業価値を評価する場合に、最も理論的な評価方法として、DCF法が挙げられることが多いかと思います。<br />
企業価値を巡る判例などでも、DCF法を取り入れた評価が採用されるケースが増えて来ました。</p>
<p>しかしDCF法も、特に創業期のベンチャー企業の企業価値評価を行う場合には、かなり注意して用いる必要があります。</p>
<p>　</p>
<p>DCF法は、「Discounted Cash Flow法」という名の通り、将来その企業に入って来るキャッシュフローを割り引いたものを現在の企業価値だと考える方法です。</p>
<p>数式で書くと、以下のようになります。</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091221/200912210924.jpg" width="329" height="47" alt="200912210924.jpg" /></p>
<p>図表２．キャッシュフローをディスカウントする。<br />
（Pは企業価値、Cはキャッシュフロー、rは割引率。）</p>
<p>　</p>
<p>数式を見ただけで敬遠したくなる方もいらっしゃるかも知れませんが、怖がらずに見ていただくと、この数式はすべて四則演算のみで、小学校で習う範囲のものです。また、上記のように数学っぽく書くと難しく見えますが、実際にExcelで計算してみると非常に簡単ですので ご安心を。</p>
<p>数式を見ていただくと、DCF法による企業価値を構成するものは、大きく</p>
<ul>
  <li>C<sub>n</sub>：各年のキャッシュフロー</li>

  <li>r：割引率</li>
</ul>
<p>の<span style="text-decoration: underline;">２つ</span>しか無いということがわかります。</p>
<p>将来の<span style="text-decoration: underline;">キャッシュフローの予測</span>は、策定した事業計画から持って来ることになります。</p>
<p>つまり、事業計画がしっかりと説得力ある形で作られていないと、このキャッシュフローも眉に唾を付けてみられてしまうわけです。</p>
<p>もう一つは<span style="text-decoration: underline;">割引率</span>。<br />
企業価値評価の専門書を読むと、「割引率にはWACC（Weighted Average Cost of Capital=加重平均資本コスト）を用います」とか、WACCは「リスクフリーレート」「β値」「市場リスクプレミアム」「固有リスクプレミアム」といった数値の組み合わせで計算するといった難しそうなことが書かれています。</p>
<p>しかし、この割引率は、特に創業して間もないベンチャー企業の場合、あまり精緻に考えてもしょうがありません。</p>
<p>現在、日本の金利水準が低いということもあって、この「リスクフリーレート」「β値」「市場リスクプレミアム」といった数字を積み上げて計算しても、<span style="text-decoration: underline;">10%もいかないことがほとんど</span>ではないかと思います。</p>
<p>仮に5年後のキャッシュフローが20億円出るという事業計画になっているとしましょう。<br />
10%で割り引くということは、その5年後単年度の20億円を割り引くだけで、12億円くらいの価値にはなってしまうわけです。<br />
（注：1/(1+10%)^5＝<span style="text-decoration: underline;">0.62</span>なので。）</p>
<p>キャッシュフローはその年だけではなくて、ずっと続くわけですから、全部のキャッシュフローを考えると、もっと大きな金額になります。</p>
<p>ところが、<span style="text-decoration: underline;"><b>創業間もないベンチャーの企業価値評価は、かなりイケてる企業でも、せいぜい数億円といった評価のことがほとんど</b></span>だと思います。</p>
<p>結局、前出の項目でいうと、割引率は10%どころではなく、合計で40%とか50%で見ているのと同等といったことが多くなってきます。<br />
つまり、その差額は「固有リスクプレミアム」を30%とか40%といった高い率で設定し、さらに、まだ上場しておらず株式が自由に売却できないことによる「流動性ディスカウント」 等を数十パーセント見込む、といったことで調整していることが多いと思います。</p>
<p>　</p>
<p>仮に40%でディスカウントすると、下記のようになります。<br /></p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20091221/200912210942.jpg" width="480" height="172" alt="200912210942.jpg" /><br />
図表３．キャッシュフローとキャッシュフローを割り引いた現在価値（単位：千円）<br /></p>
<p>　</p>
<p>上の段がキャッシュフロー、下の段がそのキャッシュフローを毎年40%（1.4の累乗）で割ったもの、ということになります。<br />
上の例の基本ケースの場合、1.46億円くらいの価値が考えられるということになります。</p>
<p>　</p>
<p>しかし、この30%とか40%とかいう非常に大きいリスクプレミアムの設定根拠はあまり理論的には決まってきません。</p>
<p>他の事業計画の数値や、「リスクフリーレート」「β値」「市場リスクプレミアム」といった数値は、根拠を明確に示すことができますが、その数値の精緻さも、この「その他」のリスクで掻き消されてしまうわけです。<br /></p>
<p>このため、DCF法といった精緻な方法で決めているのではなく、「えいや！」で決めてるのと同じにも見えるかも知れません。<br />
しかし、このDCF法が創業期のベンチャー企業にとって まったく意味が無いか？と言えばそうではなく、企業価値の考え方として、投資家との交渉に大いに参考になるはずです。</p>
<p>つまり、</p>
<ul style="">
  <li style="text-decoration: underline;"><b style="">将来のキャッシュフローが大きいほど企業価値は高い</b></li>

  <li><b style=""><span style="font-weight: normal;">将来のキャッシュフローの<b><span style="text-decoration: underline;">確実性が高いほど、企業価値は高い</span></b>。<br />
  （確実性が低ければ企業価値は低い）</span></b></li>
</ul>
<p>ということです。</p>
<p>創業者が「うちの企業の価値は10億円はある」と考えていても、事業計画の将来キャッシュフローが、5年後で5千万円しか出ない計画で、しかも実現の確実性もよくわからないということになれば、10億円というのはちょっと説明が付かないわけです。</p>
<p>　　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■投資家のEXITから逆算する</b></span><br /></p>
<p>上記のDCF法のように詳細な事業計画から企業価値を考える方法ではなく、もっとザックリ、投資家のEXITの価格から逆算して考える方法もあります。</p>
<p>特にベンチャーキャピタルのようなプロの投資家の場合、投資がキャピタルゲインを生むことが最も重要ですから、「儲かる可能性が高そうだ」ということになれば、投資してもらえるわけです。</p>
<p>例えば、5年後までに500億円の企業価値で上場する可能性が極めて高そうなビジネスがあるとします。</p>
<p>もしかなりの確率でそうした上場をしそうだとしたら、この企業は1億円とか5億円といったケチな価値ではなく、10億円くらいで評価して投資しても、十分利益が出ると思ってもらえるだろうことがおわかりいただけるかと思います。</p>
<p>　</p>
<p>設立して間もなかったり、まだ売上がほとんど立っていないような企業が、そういった高い評価を受ける可能性があるのかと言えば、昨今、上場のハードルが高くなったり、VCの投資マインドもあまり高いといえないことを考えれば、<span style="text-decoration: underline;">一般的には設立して間もない企業が投資を受けられる可能性は極めて低い</span>と思っておいていただいた方がいいと思います。</p>
<p>しかし、個別に見れば、イカしたベンチャー企業が高値で投資を受けているケースは多々ありますから、最初からあきらめる必要はありません。</p>
<p>ただし、何の根拠もなしに「他の企業が10億円の評価がついたそうだからうちも10億円で評価してください」と言っても、頭がバブったアホな経営者だと思われるだけかも知れませんのでご注意を。<br /></p>
<p>DCF法で見たように、「<span style="text-decoration: underline;"><b>将来のビジネス規模</b></span>」と「<span style="text-decoration: underline;"><b>その実現の確実性</b></span>」が鍵なのです。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">「ビジネス規模」</span>を説得するには事業計画が重要です。</p>
<p>また、<span style="text-decoration: underline;">「確実性」</span>を示す方法は千差万別です。<br />
「人は何をもって他人を信用するのか？」という根源的な話にもなりますが、投資家が何を信用するかというのは人によって極めて様々で、そこが投資家の面白いところでもあり、怖いところでもあります。<br />
売上や利益の実績があればもちろんそれに越したことはないですし、その企業を設立する前に経営陣が過去に行ったことのトラックレコードも評価される可能性があります。<br />
また、キャッシュにはまだ結びついていなくても、「これは！」というプロトタイプが存在したり、利用者がすでに何十万人といて、そこからキャッシュを生み出す（「マネタイズ」する）術（すべ）が描けているということも重要です。</p>
<p>また、「目利き能力やハンズオン能力のあるVCが投資を検討している」という点も、他の投資家の投資判断に大きな影響を与える可能性が高いです。有力な利用者が「あれはいい！」と評価している、といったことも効くかも知れません。</p>
<p>とにかく、投資家というのは、人によって全く考え方やツボが異なるので、VC一社に断られたからといってあきらめずに、いろんな投資家にぶつかってみることが重要かと思います。</p>
<p>　</p>
<p>また、こうした<span style="text-decoration: underline;"><b>成長の確実性を高める努力に時間をかけることと「旬」のタイミングを逃さないことのバランス</b></span>も重要です。</p>
<p>例えば、日本では受託開発等の安定収入を得られる事業で売上を立て、その合間に成長性の高い事業を立ち上げて実績を積み重ねるという手法を取っている企業も多く見られます。</p>
<p>（例えばシリコンバレーのように）競争が激しい市場では、一瞬でもライバルより早く成長しないと競争に負けてしまうから受託開発といったノンビリとしたことをやっているヒマはないかも知れませんが、日本でライバルが他に出て来る気配が当面無い市場で、現状ではあまり投資家に興味を示してもらえないということであれば、日銭を稼ぎながらじっくり「確実性」を高める手を取る方法も現実的かも知れません。<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■企業価値は「需給」で決まる（でも理屈も大事）</b></span><br /></p>
<p>創業期のベンチャー企業は、まだ体制も整っていなければ、売上もほとんど立っていなかったりすることも多いかと思います。<br />
こうした段階では、いくらりっぱな事業計画を作っても「絵に描いた餅」かも知れないですし、また、「こういう風にすれば、必ず資金調達ができる」といった錬金術的な方法があると思われても困ります。</p>
<p>　</p><img src="http://tez.com/mag/archives/20091221/200912201850.jpg" width="350" height="198" alt="200912201850.jpg" /><br />
図表４．ベンチャー企業のライフサイクル

<p>　</p>
<p>以上、いろいろな観点からの企業価値評価を概観してみましたが、どれも創業期の企業の企業価値評価にピタっと当てはまるわけではなさそうだ、ということがおわかりいただけたかと思います。</p>
<p>つまり、こうした創業期の会社の企業価値評価が何で決まるのか、と言えば、最終的には<span style="text-decoration: underline;"><b>資金を求める側と投資をする側の「需給」のバランス</b></span>としか説明のしようが無い、ということになります。<br />
すなわち、投資家が殺到するような引く手あまたな会社は高い企業価値がつくし、誰も投資してくれなくて頼み込んで投資してもらう場合には低い企業価値しか付かないということです。</p>
<p>ただし、以上説明してきた理論的な観点からはまったく説明が付かないような企業価値で投資が行われる可能性は低いですし、説明がつかないような価格での投資は受けない方がいいかも知れません。</p>
<p>例えば、大風呂敷を広げた事業計画を書いて、高い企業価値（株価）で投資を受けられたとします。<br />
しかし、その後その事業計画が実際に達成できなければ、結局、経営者が責められて後で苦しむことになるわけです。</p>
<p>また、週刊isologue 34号「ベンチャーのファイナンス（中級編）」で見たような投資契約や種類株式で、企業の調子が思わしくない時にもうまく調整できるようなしくみがあればいいですが、そういったしくみが用意されていない場合には、投資家は次に資金が不足した時に、自分が投資した時より安値でファイナンスするのを嫌がりますし、その投資家が拒否権を持っていればファイナンス自体が暗礁に乗り上げることもあります。<br />
同様に、事業を手仕舞うために他の企業にバイアウトされることを考えても、高値で投資を受けた投資家に拒否権があると、バイアウトを拒否されることがあるわけです。</p>
<p>　</p>
<p>このため、<span style="text-decoration: underline;"><b>「企業価値評価は高ければ高いほどトク」 とは限らない</b></span>、ということも覚えておいただいてければと思います。</p>
<p>　</p>
<p>---</p>
<p>　</p>
<p>さて、今年は4月にこの「週刊isologue」を創刊し、徐々にですが毎月右上がりに購読していただく方が増え、多くの方に購読していただくことができました。<br /></p>
<p>ご購読いただいている方、ありがとうございます。<br />
来年も引き続き、よろしくお願い致します。</p>
<p>それでは皆様、よいお年をお迎えください！</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）</p>
<p>　</p>
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<entry>
    <title>週刊isologue（第38号）創業期ベンチャー企業の資金調達</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/200912210302.html" />
    <id>tag:tez.com,2009:/mag//4.1507</id>

    <published>2009-12-20T18:02:42Z</published>
    <updated>2009-12-21T15:03:07Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tez.com/mag/">
        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2009.12.21</span>（第38号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■創業期ベンチャー企業の資金調達<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>先週は「ベンチャー企業の事業計画（初級編）」として、ベンチャー企業が事業計画を立てる時に押さえておくべき初歩的なポイントについて解説しました。</p>
<p>今週は「事業計画の中級編」と行きたいところですが、事業計画の立て方は企業の業種によっても全く異なってきます。<br />
そうした事業計画が立案できれば、それを前提にベンチャー企業の企業価値を算定することになるわけですが、今回は、その前段階として、創業期のベンチャー企業が資金調達する場合の注意点（いつ、どういったタイミングで法人化したり資金調達をすればいいか）について考えてみたいと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■ベンチャー企業のステージ</b></span></p>
<p>ベンチャー企業といっても、いろんなステージがあります。</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091221/200912201850.jpg" width="350" height="198" alt="200912201850.jpg" /><br />
図表１．ベンチャー企業のライフサイクル</p>
<p>　</p>
<p>上記は、ごくシンプルですが、ベンチャーのライフサイクル（の一部）を描いたものです。</p>
<p>創業して間もないベンチャーは「シード（種）」と呼ばれ、その後、「アーリー」「ミドル」「レイター」と言った呼ばれ方をされます。もちろん「どの段階に達したら"シード"が"アーリー"になる」といった明確な基準があるわけではありません。</p>
<p>日本のベンチャーキャピタル（以下「VC」）は、伝統的に上場直前の「レイター」ステージにあるベンチャー企業に投資することが多かったのですが、1999年の証券自由化のあたりから上場基準が緩和され、シードやアーリーステージの企業に投資しても投資回収が行いやすくなったことから、初期段階のベンチャー企業への投資も行われるようになりました。</p>
<p>しかし、このタイミングがいわゆる「ネットバブル」と重なり、そのバブルが崩壊したこと、内部統制など上場の事実上のハードルが再び上がったこと、景気もよくないことなどから、現在では、2000年当時ほどには創業期のベンチャー企業に投資が行われていないと思います。</p>
<p>しかし今でも、「筋のいい」ベンチャー企業を中心として、創業期に株式で資金調達できる可能性は1999年以前よりは格段に高いと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■事業をするのに「法人化」は必ずしも必要ではない</b></span></p>
<p>新しい事業を始めようとする個人の人は「よし会社設立だ！」と張り切って「株式会社の作り方」といった本を読み始めることが多いと思います。しかし、ちょっと待ってください。<br />
事業は法人がないと出来ないわけではありません。</p>
<p>特にネット系企業などの場合には、まずは個人でサーバを立ち上げてプロトタイプを作ったり、レンタルサーバや「クラウド」を利用したりして、あまり資金を使わずにビジネスを始めることが可能になってきています。<br />
昔のネット系企業は、ネットの利用者は少ないのに多額の投資が必要だったわけですが、その後Google Adwordsなどの「マネタイズ」の手段も多様化したおかげで、創業してもすぐには多額の資金調達が必要ないというケースも多くなってきています。</p>
<p>また、法人化すると、登記や事務などで10万円単位のお金がちょこちょこかかってきます。お金がふんだんにあればともかく、数十万円規模の資金も節約したいという人なら個人事業の方がいいかも知れません。</p>
<p>また、サラリーマンなどとして働きながらビジネスの立ち上げ準備をするのであれば、事業に関わる初期の損失が給与所得と損益通算できる可能性もあるなど、税務上も個人で事業を行った方が合理的なことも多いかと思います。<br />
ただし、取引先に「法人かどうか」を気にする堅い企業が多い、とか、業種によっては法人にするメリットが大きい場合もありますが、個人で事業を行うのが必ずしも不利とは限らないということです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■資金調達の前に余裕を持って法人化する</b></span></p>
<p>しかし、これから述べるような理由から、資金調達がゆくゆく必要になるような場合には、なるべく早めに法人を設立して、そこで事業を行う体裁にしておく必要性が高いと思います。<br />
（個人で行っていた事業を法人に移すことを「法人成り」と呼ぶことも多いですが、本稿では以下これを「法人化」と呼ぶことにします。）</p>
<p>なぜかというと、前述のメリットとは逆に個人事業では<span style="text-decoration: underline;"><b>「どこまでが投資対象の事業か」という境界線がわかりにくい</b></span>ですし、VCなどの<span style="text-decoration: underline;"><b>投資家は<span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;">（事実上）<span style="-webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>個人には出資できない</b></span>からです。</span></span></b></span></p>
<p>つまり、<span style="text-decoration: underline;">事業を「法人」というカプセルに閉じ込めておくこと</span>が非常に重要になるわけです。</p>
<p>　</p>
<p>それでは、この法人化のタイミングはいつがいいのでしょうか？<br />
なるべく後の方まで個人事業でひっぱっておいて、VCから出資が決まりそうになった段階で個人事業を法人化すればいいでしょうか？<br /></p>
<p>このタイミングは、慎重に考える必要があります。</p>
<p>今まで個人が行って来た事業を法人化する場合、創業者個人から法人への<span style="text-decoration: underline;"><b>事業譲渡</b></span>（法人が現金で事業を買う）または<span style="text-decoration: underline;"><b>現物出資</b></span>（事業を「出資」して法人が株式を発行する、つまり法人が株式で事業を買う）といった取引を行なうことになります。<br />
まだ「事業」と呼べるような段階でなければ、パソコンや書類、システム、特許権などの<span style="text-decoration: underline;">個別の資産を譲渡</span>するということになるかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p>ここでは例として、下図のように、(1) 個人として創業してプロトタイプ的な事業を作成し、(2) その後法人化を行い、その事業の価値が認められて (3) VCから投資を受ける、という場合を考えてみましょう。<br /></p>
<p>　</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091221/200912211728.jpg" width="450" height="294" alt="200912211728.jpg" /><br />
図表２．法人化のタイミングと事業の価値</p>
<p>　</p>
<p><br />
上図のように、事業の「もと」を作るのに50万円くらいの経費を使い、500万円の資本金の株式会社を設立して、その事業を50万円で法人に譲り（または現物出資し）、それが5億円の価値で評価されて出資を受けることになるとします。</p>
<p>あまりコストをかけていない事業が億円単位の評価を受けるというのはビックリするかも知れませんが、<span style="text-decoration: underline;">VCから投資を受けるということは</span>（バイアウトを前提としなければ）<span style="text-decoration: underline;">上場を目指すということ</span>であり、上場までに億単位の資金が必要なのであれば、億円の評価をしてもらわないと、資本政策上、（特に日本の場合には）上場が難しくなったり上場してから大変になることが多いので、こうした評価をしてもらうことも考えないといけなくなります。</p>
<p>もちろん上場を目指してさえいれば、必ずそういう評価を受けられるということではありませんので、念のため。<br />
資本政策上の必要性はまた別の回にお話できればと思いますし、企業価値評価の考え方もまだ説明させていただいてませんが、創業者があまりに高い評価を提示しても、頭がバブっていると思われたり常識を知らない経営者だと思われる可能性もあるので、ご注意を。</p>
<p>　</p>
<p>以下、上記の説例で説明させていただきますが、<span style="text-decoration: underline;"><b>問題は、この「5億円」という価値を「誰が」「いつ」生み出したのか</b></span>、ということです。</p>
<p>特に、創業と法人化と増資が時期的に近接している場合には、大きな問題になる可能性があります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■税務上の問題点</b></span></p>
<p>仮に、本来5億円の価値があったものを、創業者個人が法人にたった50万円で譲ってしまったのだとしたら、譲渡時に<span style="text-decoration: underline;"><b>創業者個人に約5億円の譲渡所得が発生していた</b></span>ということになりえます。法人というのは「法的に人格を与えられた」ものであり、たとえ法人の株式の100%を創業者個人が所有していたとしても、創業者と法人は文字通り「別人格」です。</p>
<p>日本の税法では、個人が法人にモノを低額で譲渡したり現物出資したりした場合には、たとえ対価としてその分のお金をもらっていなくても、そのときの「時価」で譲渡したことになってしまうのです。<br />
（詳細については、専門家にご相談ください。）</p>
<p>仮に、個人事業を行っている段階でVCと増資時の事業価値を5億円と決め、その後に法人に事業を譲渡したとしたら、個人で事業を行っている時にすでにその事業の時価は5億円だったとみなされる可能性が高くなります。つまり、もしその譲渡益について確定申告で申告したり、法人側でも受贈益を計上しなければ（というかそんな億単位の税金が払えるケースはまれだと思いますが）、<span style="text-decoration: underline;"><b>「脱税」</b></span>ということになる可能性が理論上あります。</p>
<p>ただし、こうした「いたいけな」創業ベンチャーが高い評価で増資を受けたからといって、「創業者から法人への事業譲渡価格は実は高かった」と課税当局から指摘された例というのはあまり聞きません。<br />
具体的にいくらで増資をするという条件がまったく決まっていない段階で法人化を行い、VCと詳細な交渉をしてその後価格が決定して増資が行われたといった場合には、創業者が法人に事業を譲渡した段階での「時価」が5億円だったとは、なかなか言いにくいかと思います。</p>
<p>もちろんこの事業が「すでに月間1千万円の利益が出ていて、しかも売上・利益の額が急上昇中」といった場合には別です。<br />
しかし、創業当初の事業というのは赤字のことも多く、第三者に価値を認めてもらえるかどうかは、実際に増資が決まらないと全くなんとも言えない場合も多い。そういった場合、VCとの交渉も確定していない段階で50万円で事業を譲渡し、その後に5億円の評価で増資が行われたからといって、脱税扱いされる可能性が高いとは、必ずしも言えないと思います。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■個人投資家との交渉上の問題点</b></span></p>
<p>実務上は、そうした税務上の問題よりも、投資家との交渉上の問題の方が大きいと考えられます。<br />
投資家と交渉する段階で事業が法人化されていないというのは、何かと交渉上不利なことが多いのです。</p>
<p>　</p>
<p>個人で事業をやっていて法人化するときに、よくあるのが「知り合いや個人投資家(エンジェル)から資本金を出資してもらう」 というパターン。</p>
<p>創業者がお金持ちということも無いわけではないですが、「金が無くて資本金200万円しか出せない」といったケースも多いかと思います。<br />
お金のある知り合いが「じゃあ当面必要な資金は全部オレが出してやる」と800万円出してくれるとしたら、そのときはその個人投資家が「天使」にも見えると思います。</p>
<p>しかしよく考えてください。</p>
<p>創業者とその投資家が<span style="text-decoration: underline;"><b>同じ普通株式で同時に出資</b></span>するとしたら、創業者と投資家の<span style="text-decoration: underline;">出資する<b>株価は同じ</b></span>でないとおかしいことになります。<br />
つまり、この時点ですでに外部の株主の持株比率が80%で、創業者の持分は20%になってしまっています。</p>
<p>この先、事業で数千万円の調達が必要だとしたら、その後の資金調達で<span style="text-decoration: underline;">創業者の持分は限りなくゼロに</span>近づいてしまいますし、上場の可能性もこの時点ですでにかなり小さくなってしまいます。<br />
持分が少なくなってもその後に資金調達できればまだいい方で、資金調達自体ができなくなる可能性もあります。上場しにくい資本構成になっていたり、創業者の持分が少なくて上場するインセンティブが低いような会社は、投資してもEXITできる可能性が小さいわけですから、投資してもらえる可能性自体が小さくなってしまうからです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">つまり、この企業は卵から生まれた瞬間にすでに資本政策的に失敗</span><span style="text-decoration: underline;">している</span>わけです。</p>
<p>この状況を挽回するために、創業者がその知り合いから株式を買い戻すといったドタバタが、多くのベンチャー企業で行われることになります。</p>
<p>もちろん、創業者が買い戻しの時にお金があればいいわけですが、なかなかそうはうまくいかない。<br />
創業時にお金がないから外部の人から出資してもらったのに買い戻し時にお金があるということは、たいていの場合は会社が儲かっているということで、そうすると株価も上がってないとおかしいということにもなります。</p>
<p>さらに、既にVCなど他の投資家が投資して企業価値が数億円になっており、そのうちのかなりの部分を買い戻さないといけないとしたら億円単位の資金が必要になるわけです。そうした資金を捻出するうまいスキームが組める可能性がゼロというわけでないにしても、そううまくいく場合ばかりではありません。</p>
<p>また、「知り合い」が親切でものわかりのいい人なら「このままでは公開できない」といった合理的な説明をして納得して株式を譲渡してくれるケースもあります。しかし、<span style="text-decoration: underline;">株主は株式を経営者や会社に売らないといけない義務があるわけではありません</span>。<br />
理由のいかんを問わず「いやだ」と言われたら、どうしようもありません。</p>
<p>　</p>
<p>そうした<span style="text-decoration: underline;"><b>個人投資家は経済合理性の無い行動を取ることも多い</b></span>わけです。</p>
<p>まだ海のものとも山のものとも分からない段階で事業に金を出してくれるということは、個人投資家がその創業者の能力や人格をよく知って、それを高く評価してくれているという素直な見方もできますが、「経済合理的でないから」出資をしてくれるという場合も多いわけです。</p>
<p>「すでにベンチャー企業を一度上場させてVCよりも目利き能力が高い」といった個人投資家も日本にも増えてきましたが、そうでない「普通の小金持のおじさん」等が、<span style="text-decoration: underline;">VCより目利き能力が高いわけがない</span>。<br />
VCが投資しないのにその人が投資してくれるということは、経済合理性がないからという可能性も高いわけです。</p>
<p>また、経済合理的に「この事業に投資すれば儲かりそうだ」と考えて投資してくれるだけならともかく、出資者が創業者に「特別の感情」があるから出資してくれるという場合も多い。「株式を買い戻したい」という局面では、創業者と投資家の利益相反が発生するわけです。こうした状況で交渉がこじれると「かわいさ余って憎さ百倍」といったことになるケースは非常に多いわけです。</p>
<p>創業者のファイナンス的な観念が希薄だからそういった人に投資してもらっちゃったのだとすると、創業者がファイナンスについてうまく説明するのは期待薄なわけですから、そういう創業者が利益相反的な交渉を、投資家の神経を逆撫でせずに行える可能性というのはかなり低いんじゃないかと思います。</p>
<p>「エンジェル」というと聞こえがいいのですが、このようにプロでない個人投資家は行動が読みづらいことが多く、<span style="text-decoration: underline;">「天使」が「悪魔」に変貌することもよくある</span>ということは覚えておいた方がいいと思います。</p>
<p>外部の個人投資家が合計10%を保有しているだけ、といったケースなら、会社法上の権利もあまりなく「なんとかなる」可能性も高いわけですが、そうした個人投資家が3分の1や半分を超える持分を持っていたりすると大変です。</p>
<p>創業時に、そうした個人投資家に投資をしてもらう場合には、投資契約も結んでないことが多いですから、他の企業と合併をしようとか、株式を第三者に売却してEXITしようといったときに、個人投資家から思わぬ（経済合理的でない）反対を食らって、交渉がデッドロックに乗り上げ、いい話がオジャンになるといったこともありえます。</p>
<p>　</p>
<p>こうした個人投資家のデメリットを受けないために投資契約をきちっと結んだり種類株式を使うといった方法も考えられますが、お金のない創業者がそうした契約書や種類株式の高度なスキームを使うのはなかなか難しいかも知れない。最もシンプルな方法は、外部の投資家の比率を低くしておくということです。</p>
<p>法人設立時に投資家に金を入れてもらうのでは株価が同じになってしまうので、どうしても創業者に不利になりがちです。<br />
極力、先行して法人を設立し、知的財産権をその法人に蓄積していったり、ある程度の実績を積んで、企業価値が高いという根拠を積み上げてから外部の投資家に投資をしてもらうようにするのが、最もシンプルな手段かも知れません。</p>
<p>　</p>
<p>以上が個人投資家やエンジェルの悪口に聞こえたらすみません。<br />
リスクの許容範囲が極めて狭い銀行貸付に比べて、株式での資金調達は、そうした「多様な投資家」に投資してもらえる可能性があるところが魅力でもあるわけです。一人の投資家にケチョンケチョンに事業をけなされても、他の投資家に絶賛されることもある。神ならぬ人間が未来を完全に予測できない以上、他の誰も見向きもしなかった事業が、必ずしも合理的には見えない投資によって大きく花開くことだって考えられます。</p>
<p>しかし、そうした「運」だけに頼るのであれば、それはバクチと何ら変わりがなくなってしまいます。<br />
イノベーションを起こすべきベンチャー企業が「常識」に縛られるのは好ましいことではないですが、ファイナンスの世界は「こうすると後々こうなっちゃう」という因果律が強く働くことも多いので、一定の「常識」を持って将来の可能性をイメージできることは、事業の発展に寄与するのではないかと思います。</p>
<p>「エンジェル投資を増やせばリスクマネーが増えてベンチャーの起業が活発になる」といった単純な話にはならないと思います。<span style="text-decoration: underline;">創業期のベンチャーに必要なのは「単なるカネ」ではなく「智慧に伴われたカネ」</span>なのです。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■VCとの交渉上の問題点</b></span><br /></p>
<p>投資家から投資を受ける前に法人化が行われていればそれで解決というわけでもありません。</p>
<p>例えば、法人化して創業者が事業を50万円で譲渡し、その1ヶ月後にVCが事業を5億円で評価するというのは、VCもVC以外の投資家も基本的にはイヤなわけです。</p>
<p>「安い時に投資して高く株式を売却した方が儲かる」というのは真理ですので、ちょっとでも企業価値が低いうちに投資をしたくなるのは当然です。</p>
<p>前述の通り、そのような短期間での事業価値の上昇が発生したとしても、税務上は必ずしも問題にならないかも知れません。<br /></p>
<p>しかし、VCは投資のプロですから、「その1ヶ月間に価値を上昇させる何かがあったのか？」という点を突いてくるはずです。</p>
<p>例えば、創業者が事業を法人に移した時点でユーザーが1万人しかいなかったサービスが、1ヶ月の間にユーザー20万人になったとしましょう。そうであれば「この間に、事業が成功する可能性や事業の価値は20倍以上に高まった」といった説明はつきやすくなります。</p>
<p>しかし、創業者が事業を法人に移した時にユーザーが18万人で、VCが投資を決めた時に20万人にしかなっていなかったなど、事業の規模も売上も利益もあまり代わり映えがしないとすると、VCは「なぜそんな短期で価値が増えるんですか？」「我々も社内で説明がしづらくなっちゃうんですよ」等、いろんなことを言ってきます。<br />
もちろん、投資の交渉は投資家と既存の株主の利益が相反することですので、VCの言うことを鵜呑みにすることはないわけですが、まだ社会経験の少ない経営者は、適切なアドバイザーもつけないで百戦錬磨のVCに理屈で対抗することは極めて難しい。</p>
<p>また、VCが必ず経済合理的で上場しやすい資本政策を客観的に考えて投資をしてくれればいいのですが、日本のVCはサラリーマン的な意思決定で投資が決まることも多く、VCには有利だが、創業者や上場後の株主に有利とは限らない投資をしているケースもよく見られます。「ハンズオン」をしろと言わないまでも、担当社数や投資のノルマが多過ぎて個別の企業の最適化もじっくり考えてもらえないケースも多いようです。</p>
<p>（平たくいうと、VCなら「これじゃ上場できない」ということがわかるはずなのに、実際には上場が困難な資本政策を前提に投資が行われているケースも散見されるわけです。）<br /></p>
<p>ここでも、そうした創業者ができるシンプルな手段は、ゼロに近い状態から法人で事業を立ち上げ、事業プランも創業者ではなく「法人が」作成し、実績も「法人が」獲得したものであれば、よりケチがつけにくくなります。</p>
<p>　<br /></p>
<p>また、VCから資金を調達しようというベンチャー企業は、将来、上場する可能性も視野に入れているのでしょうから、後に上場審査等で質問されても、ちゃんと胸を張って答えられるようにしておく必要があります。<br /></p>
<p>そのためのシンプルな方法は、 <span style="text-decoration: underline;"><b>VCの投資が決まりそうになってから慌てて法人化するのではなく、時間的余裕を持って法人化しておくこと</b></span>だと思います。<br />
VCの増資が交渉開始から1ヶ月で決まるといったことが無いわけではありませんが、普通は3ヶ月程度はかかりますから、将来、資金が必要になるビジネスモデルの事業であれば、それ以上の余裕を持って法人化しておくことが望ましいのではないかと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「新芽」の段階が非常に重要</b></span></p>
<p>上記では、「創業期の初っぱなに事業がうまくいかないことが運命づけられてしまうケース」を見てみました。</p>
<p>会社がそこそこの規模になって事業経験も積んでくれば、弁護士や会計士や税理士などの専門家に相談する習慣も出来て来るわけですが、日本の創業期の企業というのは、専門家に相談しようというマインドが無いことが多く、生まれたての赤ん坊が猛獣だらけのジャングルにポンと置かれるようなことになってしまっているわけですね。<br />
（シリコンバレーでは、startup企業が持っている「常識」や専門家へ相談するマインドは、もうちょっと高いのではないかと思いますし、そうしたニーズにリーズナブルなフィーで答えてくれる専門家も、日本よりはるかに多いのではないかと思います。）</p>
<p>日本では「本当は世界に通用するすごい事業になるはずだったのに、この初っぱなの資本政策の誤りで、その後の事業展開の芽が断たれた」といったケースは、表面化はしないけれど、ものすごく多いのではないかと思います。</p>
<p>「運も実力のうち。そういったアドバイスを受ける人に巡り会えなかったのは、その創業者がそこまでの人間だったということ。そういう注意力の無い経営者は、その時に失敗しなくても、その後にまた同じような過ちを繰り返していたに違いない。」</p>
<p>といったことをおっしゃる方もいらっしゃいますが、 私は必ずしもそうではないと思います。<br /></p>
<p>その創業者がずっと社長である必要もないわけですし。後から経営の実績のある人が入って来て、創業者はCTOや企画担当になるといった展開も考えられるわけです。<br />
<b>初期段階で取り返しのつかないミスをする可能性の高い環境は、大げさに言えば、日本のイノベーションを減らし、潜在成長率を下げている可能性もあるんじゃないか</b>と思います。 　</p>　<br />
<p>ベンチャーがたくさん出現しないと、そうしたアドバイスをする人もビジネス上たくさん出てこれないし経験も蓄積されないので「タマゴとニワトリ」の関係になってしまうわけですが、このメルマガが、これから起業や資金調達を考えるみなさんの何らかのヒントになれば幸いです。</p>
<p>　<br /></p>
<p>（ではまた。）</p>
<p>　</p>
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    </content>
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<entry>
    <title>週刊isologue（第37号） ベンチャー企業の事業計画（初級編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/200912141452.html" />
    <id>tag:tez.com,2009:/mag//4.1502</id>

    <published>2009-12-14T05:52:07Z</published>
    <updated>2009-12-14T14:57:06Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tez.com/mag/">
        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2009.12.14</span>（第37号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■ベンチャー企業の事業計画（初級編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>ここのところ連続してベンチャー企業向けの話をしてますが、今回は「事業計画」の話です。<br />
基本的にはベンチャー企業の事業計画を想定して書きますが、大企業の新規事業や社内ベンチャー、ジョイントベンチャー等の計画を立てるのにも役に立つかも知れません。</p>
<p>ベンチャー企業は非常に多様な事業にチャレンジするわけですので、「<span style="text-decoration: underline;">どんな事業にも使える汎用的な『事業計画の立て方』</span>」なんてものは無いと思うのですが、それでも、いろんなベンチャー企業を見ていて役に立つんじゃないかと思ったことをいくつか書いてみたいと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■孫子に学ぶ(笑)事業計画</b></span></p>
<p>ちょっとおっさん臭いビジネス誌の特集記事みたいなタイトルで恐縮ですが(笑)、「孫子」はベンチャー企業をやる人なら一度は読んでおいて損はないと思います。</p>
<p>　</p>
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</div>
<p>　</p>
<p>「中国古典」というとジジくさく思われるかも知れませんが、10年くらい前に米国東海岸の金融系の方に聞いたら、周囲の外国の方々に流行っているとのことでした。発音は「ソンシ」じゃなくて「<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Sun_Tzu">サンスー</a>」に近かったとのことですが。</p>
<p>ものすごく薄い本なので、あっという間に読めますし、何度も読み返せるところがいい。値段も安い。</p>
<p>孫子は、いろんな領域で参考にされていますし、「孫子に学ぶ○○」といった書籍や雑誌の特集も非常に多いと思います。しかし、今や孫子が直接に対象とした「軍事」は武器や戦略が非常に高度化していて、孫子の話を直接には使えないと思いますし、孫子は現代の軍隊に比べれば練度も低い、数百人からせいぜい数万人程度の軍を想定して書いたと思いますので、<span style="text-decoration: underline;">未完成な組織でリスクが非常に大きいことにチャレンジするという意味で、ベンチャー企業ほど孫子にピッタリくるものもなかなか無いのではないか</span>と思います。<br /></p>
<p>孫子の言ってることは、「情報の収集が重要だ」「他の参考事例の<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0">ベンチマーキング</a>をしろ」「<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/SWOT%E5%88%86%E6%9E%90">SWOT分析</a>をしろ」といった、現代の経営ではある意味、当たり前で基本的なことばかりだとも言えます。<br />
逆に言えば、「当たり前」で「基本的」だからこそ時代や国を超えて共感を呼ぶし、「孫子に学ぶ○○」といった応用も効きやすいのかと思います。</p>
<p>しかし、ベンチャー企業にしても大企業の新規事業にしても、「新しい事業」を一から考えてやったことがある経験者というのは、特に日本では数が少ないわけで、当たり前のことが当たり前にできてないことが多い。<br />
そういう意味では、孫子がいまだに役に立つことも多いのではないかと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■孫子の冒頭：「計」篇</b></span><br /></p>
<p>その孫子の中で、一番最初に来るのが「計篇」。<br />
「計」というのは文字通り「計画」のことです。</p>
<p>この「計篇」は、原文だと400字程度しかない非常にシンプルなものです。</p>
<p>以下が、その冒頭部分です。</p>
<p>　</p>
<blockquote>
  <p>孫子曰く、兵とは国の大事なり、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。ゆえにこれを経（はか）るに五事をもってし、これを校（くら）ぶるに計を以てして、その情を索（もと）む。<br />
  （略。「道」「天」「地」「将」「法」について。）<br />
  道とは、民をして上と意を同じくし、これと死すべくこれと生くべくして、危きを畏れざるなり。<br />
  （略。「天」「地」「将」「法」の説明。）<br />
  およそこの五者は、将は聞かざることなきも、これを知る者は勝ち、知らざる者は勝たず。ゆえにこれを校（くら）ぶるに計をもってして、その情を索（もと）む。曰く、主いずれか有道なる、将いずれか有能なる、天地いずれか得たる、法令いずれか行なわる、兵衆いずれか強き、士卒いずれか練（なら）いたる、賞罰いずれか明らかなると。吾わ此れを以て勝負を知る。</p>
</blockquote>
<p>　</p>
<p>これをベンチャー企業や新規事業にあてはめると、<br /></p>
<ul>
  <li>新しいビジネスを始めるというのは、従業員の雇用も会社の存続も投資家の損益もかかってる、ものすごく重大なことだということをよくよく考えないといけない。</li>

  <li>だから、従業員のモラール維持や外部環境や人材の採用や社内ルール・内部統制などをよく考えて「計画」を立てることが重要だ。</li>

  <li>トップと従業員が企業の目的をよく理解し合って事業リスクに立ち向かって行けることが必要。</li>

  <li>こういったことは「あたりまえ」に聞こえるかも知れないが、ここを本当によく理解してるものは成功するし、適当にしか考えてない者はうまくいかない。</li>
</ul>
<p>といったことになると思います。</p>
<p>　</p>
<blockquote>
  <p><ruby><rb>将、</rb></ruby>吾が<ruby><rb>計</rb></ruby>を聴くときは、これを<ruby><rb>用</rb></ruby>うれば必ず勝つ、これを<ruby><rb>留</rb></ruby>めん。<br />
  <ruby><rb>将、</rb></ruby><ruby><rb>吾が計</rb></ruby>を聴かざるときは、これを用うれば必ず<ruby><rb>敗</rb></ruby>る、これを去らん。<br />
  <ruby><rb>計</rb></ruby>、利として以て聴かるれば、すなわちこれが<ruby><rb>勢</rb></ruby>を為して、以てその<ruby><rb>外</rb></ruby>を<ruby><rb>佐</rb><rp>（</rp><rt>たす</rt><rp>）</rp></ruby>く。<ruby><rb>勢</rb></ruby>とは利によりて<ruby><rb>権</rb></ruby>を<ruby><rb>制</rb></ruby>するなり。<br /></p>
</blockquote>
<p>　</p>
<p>リーダーがそのことをわかっているなら必ず成功するし、わかっていなければ必ず失敗する。<br />
そして、（ここが重要ですが）、 計画というのは、ただ立てればいいというわけではなく、<b><span style="text-decoration: underline;">「これならいける！」</span></b>と思えるものになっていることが重要ということですね。</p>
<p>計画が「いける！」というものになっていれば、それが「勢い」になる。「勢」というのは、有利な状況を味方につけて、臨機応変な対応ができることである。<span style="text-decoration: underline;"><b>会社や従業員が「ゾーン」に入る</b></span>ということかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p>「<span style="text-decoration: underline;">事業計画に何を書けばVCから投資を受けられますか？</span>」という質問をよく受けるのですが、投資家から投資を受ける際に何か決まった事業計画書の様式があって、その形式を満たしていれば必ず投資が受けられるといったものは存在しないと思います。</p>
<p>役員や従業員だけでなく、投資家に対しても「これなら行ける！」と思ってもらえる「ワクワク感」のようなものがベンチャーの事業計画には必要だと思います。<br /></p>
<p>　</p>
<blockquote>
  <p>兵とは詭道なり。<br />
  (略)<br />
  此れ兵家の勢、先きには伝うべからざるなり。</p>
</blockquote>
<p>　</p>
<p>ベンチャービジネスというのは、他人がやってないこと、つまり「イノベーション」を行わないといけないわけだから、「こうやれば100%成功する」なんて道筋は無いわけです。</p>
<p>だから「<span style="text-decoration: underline;">状況の変化に応じて臨機応変に対応すること</span>」が重要であって、それはあらかじめ事業計画などで定義することができるわけがないわけですね。</p>
<p>　</p>
<p>事業計画の中には、びっちり細かくいろんなことを書き込んでいるものもありますし、それが悪いとはいいませんが、ベンチャービジネスなんて（または大企業が行う新規事業だって）、どうせ実際にやってみるまで何が起こるかわからない。<br /></p>
<p>だから、事業計画というのは、「会社や経営者を縛るもの」であってはいけないと思います。<br />
もちろん、事業計画はVCなどの投資家に投資してもらう際の前提でありコミットメント（約束）の一部を形成することにもなりますので、「ノリさえよければウソや大ボラを吹いていい」なんてことを申し上げているのではありません。</p>
<p>「環境がこう変わったら、こう対応する」「ああなったら、ああする」といった、状況の変化に応じた対応がイメージできるような計画がいい計画なのではないかと思います。</p>
<p>　</p>
<blockquote>
  <p>夫(そ)れ未だ戦わずして廟算（びょうさん）して勝つ者は、算を得ること多ければなり。未だ戦わずして廟算して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而るを況（いわん）や算なきに於いてをや。吾れ此れを以てこれを観るに、勝負見（あら）わる。</p>
</blockquote>
<p>　</p>
<p>事業を始める前に事業計画を立てて、計画上、事業が成功するなら、それは、外部環境や自分の会社の技術力等を総合的に考えて勝てる要素がいろいろ多いからであり、計画段階ですでに成功が見込めないのは勝てる要素が少ないから。ましてや勝てる要素が全く無い場合には問題外。</p>
<p>　</p>
<p>「こんな事業やりたいんですけど」<br />
と相談受けることがよくあるのですが、外部にコンペティターはいっぱいいるし、社内にノウハウがあるわけでもない、資金力があるわけでもなければ、人材のつてがあるわけでもない・・・。<br />
なにゆえその事業がやりたいと思ったのか全く不明なケースも非常に多いです。</p>
<p>もちろん、例えばネットのサービスやソフトウエアなど、開発にほとんどコストや設備投資が不要というようなケースで、外部の投資家から資金を調達することも要らないなら、「好きなようにやってみなはれ」ということにもなりますし、運良く大成功ということになる可能性も無いではないですが、それなりの金額の資金調達が必要という場合には話は別。</p>
<p>外部のプロの投資家にそんな漠とした話をしても資金が出ないだけなのでまだいいのですが、素人の個人投資家などが熱意にほだされて多額の資金を投資してしまったりしたら、あとで経営者も投資家も不幸になる可能性が高い。</p>
<p>そうならないために「計画」で、最低限のチェックをする必要があります。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■Excelに落としてナンボ</b></span></p>
<p>孫子は古代の人ですが、現代、ベンチャー企業や新規事業を始める人にとっては、ものすごく頼もしい「武器」があります。<br />
それは「Excel」のスプレッドシート（笑）です。もちろんOpenOfficeやGoogleのスプレッドシートでもいいでしょう。<br /></p>
<p>私のちょっと上の世代の人たちは、事業計画を作る時に「そろばん」で計算していたそうで、「計算だけで一晩徹夜したよ」といった昔話を聞かされたことがあります。<br />
例えば金利の計算を間違うと、それが利益の額に影響して、それが借入の額に波及しますので、その年以降の計算が全部狂って来ちゃう。それに気づくとまた始めからやりなおしだった、とのこと。</p>
<p>また、私が社会人になった1984年でも、NECのPC8801やPC9801などのパソコンがやっと出初めた時期で、当時の数値計画の最先端は、N88-BASICで事業の採算を計算することでした。<br />
計算はもちろん、罫線を引くのも「-」や「+」や縦線などを組み合わせてPRINT命令で一つずつ書いて行くというような感じでした。</p>
<p>今なら笑っちゃいますが、この計算のやり方を知っているのが当時は「ノウハウ」だった。このやり方を外部の人に説明しようとして「なんでノウハウを外部に教えるんだ！」と上司から怒られたことがあります（笑）。<br />
当時行われ始めた「プロジェクトファイナンス」といった業務も、そうした事業のチェック（フィージビリティ・スタディ）能力が背後にあったかと思います。</p>
<p>ところが今や、その程度のことはExcelがあれば誰でも出来てしまうので、これをノウハウと言うのはちょっとおこがましくなっちゃったのではないかと思います。（ただし、こうした損益等の計算は、未だに途中で頭がこんがらがっちゃう人が多いとも言えるかも知れませんが。）</p>
<p>今や、掛け算や割り算などの数式もドラグするだけでコピーできちゃいますし、Σボタン一発で合計も出る。マウスで範囲を指定してボタンを押すだけで罫線が引けるという、昔から見れば夢のような世界です。<br /></p>
<p>　</p>
<p>ですから、決して「精緻な」計画を作れとは言いませんが、</p>
<ul>
  <li>ターゲットとなる顧客が潜在的にどのくらいいるのか？</li>

  <li>そのうち、どのくらいが当事業の顧客になるのか？</li>

  <li>顧客や商品あたりの単価はいくらくらいに設定するのか？</li>

  <li>結果として売上がいくらになるか</li>

  <li>それに、どのくらい経費がかかるか</li>

  <li>差引、どのくらいの利益が出るのか</li>
</ul>
<p>といった、ざっくりした最低限の数値計画くらいは作ろうよ、ということです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">「いろんな人に聞いて回った結果、需要はすごくあるんです！」</span>といった<span style="text-decoration: underline;"><b>定性的な判断だけで</b></span>新しい事業を考える人が多いのですが（もちろん、その「野生の勘」が、新たな事業の種なので、それは大事にしないといけませんが）、ちょっと具体的に考えてみると、すごく原価がかかったり人件費や経費がかさんだりして、消費者が望むような値段では、その商品やサービスを供給できないことも多いかと思います。</p>
<p>また、<span style="text-decoration: underline;">「これ、まだ誰もやってないんです！」</span>というだけで新事業に取り組もうとする人も多いんですが、今はまだ誰もやっていなくても、やりはじめてうまく行っているのを見たら、当然マネされる可能性もあるわけで。<br />
だから、他の人がマネしようと思ってもマネできないような強力な先行者メリットがあるのか？、特許や技術的なノウハウで他人が参入できないような障壁が築けるのか？、強力な企業と提携してチャネルを押さえられるのか？といった<span style="text-decoration: underline;"><b>「マネされても勝てるのかどうか」</b></span>という点を考慮しないといけません。</p>
<p>Excelで数字をいじってみながらディスカッションすることで、そういった初歩的な点で大きな見落としがないかどうかはチェックできるのではないかと思います。</p>
<p>　</p>
<p>成功する事業や事業家というのは、 こちらが「この営業を行うのに何人くらいスタッフが必要なの？」「この技術はどうやってクリアするの？」といった質問をどんどんぶつけても、たちどころに「なるほど」という答えが返って来ることが多い。</p>
<p>逆に、事業の根幹に関わる部分について、「ええと・・」と詰まってしまったり、「それは考えてませんでした・・・」といった答えが返って来る場合は、後から見ても成功してないケースが多いかと思います。　</p>
<p>やはり、成功する人は、事業のことを朝から晩まで考えているので、「こうしたらああする」といったイメージもちゃんとできているし、成功しない人は考えが浅い、ということじゃないかと思います。<br />
孫子が「算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而るを況や算なきに於いてをや」と言うとおりですね。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「分厚い事業計画」を書けば投資してもらえるか？</b></span><br /></p>
<p>ベンチャー企業がVCに出資の検討を依頼するときに事業計画の説明をしているのに同席して見ていると、せっかく精緻で分厚い事業計画書を作成して、</p>
<p>「当社はこういう技術がありまして・・・」<br />
「この市場に、これこれの技術を使って、このようにアプローチし・・・」</p>
<p>といった細かい事業内容の説明を起業家が説明していても、（全部とは言いませんが）日本の多くのVCの人は、事業計画書をパラパラとめくって、<span style="text-decoration: underline;">さっさと最後の方のページの損益計画や資本政策のページを見ちゃっている</span>ことが多いと思います。</p>
<p>起業家は自分の事業に夢を持っているので、いかに自分の事業や技術がすごいかというディテールを力説したくなると思いますが、（特にプロの）投資家の関心事は、基本は「自分が投資して、どのくらい儲かるのか」です。</p>
<p>だから、投資家から見ると、事業計画書で最も感心のあるのは、<br />
「どのぐらい売上が見込める事業なのか」<br />
「どのくらい利益が出るのか」<br />
「いつ上場して、どのくらいの企業価値になるのか」<br />
「自分はそのうち何％を持っていて、投資した株式がどのくらいの価値になるのか」<br />
という部分ということになります。</p>
<p>　</p>
<p>もちろん、事業計画の大半を占める細かい説明が無駄だとは申しません。前述のように、投資家は、自分が気になったところを掘り下げて聞いて来るからです。</p>
<p>しかし、前述のように「できる起業家」は、だいたい何を聞かれてもサッと答えられるので、わざわざ文章に落としておく必要は、その意味では必ずしも無いかも知れません。<br /></p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■事業計画にはどのようなことを書くか</b></span></p>
<p>上記のように、事業計画には「これ」と言った決まった形はないし、あると思ったら間違いだと思いますが、あくまで参考として、下記のような項目を盛り込むとわかりやすいかと思います。</p>
<ul>
  <li>会社の概要</li>

  <li>外部環境</li>

  <li>事業計画（損益や資金などの計画）</li>

  <li>検討している資金調達の概要や資本政策</li>
</ul>
<p>最初に「EXECUTIVE SUMMARY」といった形で要約を付けるのも読みやすくなって親切かもしれません。</p>
<p>　</p><b><span style="text-decoration: underline;">「会社の概要」</span></b>には、<br />
<ul>
  <li>会社の資本金などの基本事項</li>

  <li>マネジメントチームの概要</li>

  <li>組織（図）</li>

  <li>現在の事業内容の概要</li>

  <li>顧客</li>

  <li>その他</li>
</ul>
<p>などが入るかと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>「外部環境」</b></span>としては、</p>
<ul>
  <li>マーケットの概要</li>

  <li>市場の規模</li>

  <li>市場の構造（競争環境の現況と競争の要素、KFS [Key Factor for Success：成功の鍵]</li>
</ul>
<p>などを入れるといいかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>「事業計画」</b></span>には、</p>
<ul>
  <li>基本的な戦略</li>

  <li>販売計画</li>

  <li>人員計画</li>
</ul>
<p>などを元に、それを数値に落とし込んだ、</p>
<ul>
  <li>損益計画</li>
</ul>
<p>がついているといいと思います。欲を言えば、キャッシュフローや貸借対照表も合わせて考えてあると、数値のツジツマがあっているかどうかがチェックしやすいのですが、見込みのあるベンチャーなら、そこまでできてなくても文句を言われることはあまりないのではないかと思います。</p>
<p>この数値計画には、</p>
<ul>
  <li>市場規模や顧客数、シェア、単価などの前提条件</li>

  <li>売上</li>

  <li>売上原価（コストや販売数量などから計算）</li>

  <li>広告費・販売促進費（どういったプロモーションや営業活動を行うか）</li>

  <li>人件費（どれくらいの給料の人を何人雇うか）</li>

  <li>福利厚生費等</li>

  <li>賃料（どんなオフィスや施設を借りるか、規模とともにどう借り増すか）</li>

  <li>減価償却費（固定資産の投資から計算）</li>

  <li>その他経費</li>

  <li>営業外費用や法人税等（借入れや法人税率等から計算）</li>

  <li>貸借対照表項目（資産、負債、資本）</li>

  <li>キャッシュフロー（投資など）</li>
</ul>
<p>などが含まれて来ます。</p>
<p>重要なのは「<span style="text-decoration: underline;"><b>いつ、どのくらい利益が出るか</b></span>」や「<span style="text-decoration: underline;"><b>いつ、どのくらいの資金が必要になるか</b></span>」です。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>「資金調達の概要や資本政策」</b></span>では、</p>
<ul>
  <li>「EXIT」をどうするか（上場を目指すのか、それともバイアウトするのか）</li>

  <li>想定している企業価値の根拠</li>

  <li>資金調達のスキーム</li>

  <li>株主構成（資本政策表）</li>
</ul>
<p>といったあたりを書く必要があると思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■出来映えのレベル</b></span><br /></p>
<p>繰り返しになりますが、事業計画は細かく書くほど資金を出してもらえる可能性が高まるということは決して無いのではないかと思います。<br /></p>
<p>10年前のネットバブル時代には、数枚のイメージ図だけで投資してもらえたケースもよく見かけたものの、最近はそこまで甘く無いかとは思いますが、本当に「こりゃすごそう」というベンチャーなら、体裁面は誰かが手伝ってくれることになると思います。<br />
（そういう人を引き込む魅力があるかどうかも、ベンチャーが成功する重要な要素です。）</p>
<p>シリコンバレーだと、ビジネススクールで事業計画の立て方を実習したMBAのスタッフやコンサルタントが手伝ってくれるケースも多いでしょうから、競争が厳しいと思いますし、日本でも例えば、「社長がアメリカのビジネススクールを優秀な成績で卒業した」と言うのであれば、もちろん事業計画はきちんとしてないとまずいかと思います。</p>
<p>ただ一般には、事業計画を初めて作る人が、そういったものを多数見て来たプロの投資家を体裁面でうならせることなんか出来る訳がないわけで、そこを、ちょっと「事業計画の立て方」といった本を読んで書いただけで「どや顔」をするというのは、プロの投資家としては逆に鼻白むと思います。</p>
<p>少なくとも私は「事業の内容はすごいが、事業計画の精緻さや体裁がイマイチだったから資金が集まらなかった」というケースは聞いたことがありません。　</p>
<p>むしろ、まだ初々しさがある方が、投資家が「磨けば光る原石を発掘した」という喜びを感じることだってあると思います。</p>
<p>Googleなどをはじめとするアメリカのベンチャーも、はじめから精緻な事業計画が出来ていたわけではないと思います。どんなに文章や数字できっちり書いた事業計画よりも、一つの具体的なプロトタイプの方が投資家の心を打つことだってありえます。<br />
（でも、それは本当に恵まれたケースだと考えておいた方がいいと思いますが。）</p>
<p>　</p>
<p>一方、投資家と言っても非常にいろんなタイプがいるので、事業計画をどう書くかは、資本政策、つまり「どういった投資家に投資をしてもらうの」かによっても違って来ます。</p>
<p>「一休さんが衣を投げつけた話」ではないですが、豪華な見かけを見て「すごい」と思う投資家もいるかも知れません。（あまりそういう人に投資してもらうのをオススメするわけではないですが。）</p>
<p>また、日本のベンチャーキャピタルの担当者は、自分でファンドに投資をしている「パートナー」というよりは「サラリーマン」が多く、その担当者が会社に投資案件を持ち帰って、投資委員会等の機関で投資を検討する必要があることも多いかと思います。</p>
<p>その場合には、VCの担当者に第三者に説明をしてもらう必要があるので、説明がしやすいように丁寧に書いておくに越したことはないと思います。<br /></p>
<p>また、何はなくとも、<span style="text-decoration: underline;">資本政策</span>だけはちゃんと考えて、しっかり計算しておいた方がいいと思います。<br /></p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■どのくらいの目標を掲げればいいか？</b></span></p>
<p>さて、Excelで数字をはじいてみた結果をどう判断すればいいでしょうか？</p>
<p>これも<span style="text-decoration: underline;">ケースバイケース</span>ですので、これだけ判断しないでいただきたいのですが、例えば、毎年の純利益で１億円から3億円といったレベルで頭打ちになることが予想されるビジネスだったら、今や上場を目指さない方が幸せではないかと思います。<br /></p>
<p>1億円の純利益で、PERが20倍だとすると時価総額20億円。このへんが、上場できる最低ラインだと思いますが、最低ラインで上場して、その後あんまり成長しないんだったら、上場した意味はありません。</p>
<p>昨今は、内部統制や監査にもコストをかける必要がありますので、優秀な人材を数人配置したりその他のコストで、なんだかんだで上場のために年間1億円前後くらいのコストはかかります。<br />
数億円の利益しかないということは、その何十％かを上場のためにとられることになるわけで、経済的には合理的を欠くことになります。<br />
もちろん、上場のメリットは資金調達だけではないのですが、「上場企業の社長を一生に一度はやってみたい」といった経済合理性のない経営者の欲望などで上場されたら、周りの従業員や投資家はたまったもんじゃありません。</p>
<p>このため、現在「上場を目指します」と言って投資してもらえるハードルとしては、5年後とか7年後に<span style="text-decoration: underline;"><b>20億円とか40億円とか</b></span>の規模の純利益が出て、上場時の時価総額が300億円とか500億円程度になる（可能性がある）事業ということになるんじゃないかと思います。</p>
<p>もちろん、<span style="text-decoration: underline;">すご</span><span style="text-decoration: underline;">く成長性がある領域であれば、もっと少ない利益でも投資してもらえるチャンスがあると思いますし、逆に成熟した市場をターゲットにする事業なら、もっと利益を求められるかも知れません</span>。このへんもケースバイケースです。</p>
<p>そうした中で、どのように事業計画を立て、資本政策をどうするかについては、また次回以降に。<br /></p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）</p>
<p>　</p>
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    <title>週刊isologue（第36号） ベンチャー企業のストックオプション（「人間ドラマ」と「算数」編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/200912070531.html" />
    <id>tag:tez.com,2009:/mag//4.1498</id>

    <published>2009-12-06T20:31:39Z</published>
    <updated>2009-12-07T14:52:40Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tez.com/mag/">
        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2009.12.07</span>（第36号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■ベンチャー企業のストックオプション（「人間ドラマ」と「算数」編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>この週末は、福岡で開催されたソフトウエア開発者向けのカンファレンスで、ベンチャー企業のファイナンスの話をさせていただき、やはり今回も熱気あふれるベンチャーの方々にたくさん聴講いただきました。ご出席いただいた方、ありがとうございました。</p>
<p>ソフトウエア会社の方々だけあって、ツイッターでリアルタイムにいろいろ感想なども拝見できたのですが、「知らないことが多かった」「ベンチャーとは何かを理解していなかったことが理解できた」といったご意見が多いことに、またびっくり。</p>
<p>ネットの時代でもあり、特にIT系の会社などでは、そういった情報はベンチャー同士の間やWebなどで交換されているのではないかと漠然と考えていたのですが、やはり、ベンチャー企業のファイナンスについては、情報がありそうで無いのだなあ、と思いました。<br /></p>1時間程度のセミナーでは、なかなか複雑なベンチャー企業のファイナンスについて語り尽くせませんので、このメルマガでも引き続き、ベンチャー企業について多めに取り上げて行きたいと考えています。

<p>　</p>
<p>最近では、ストックオプションの書類の「ひな形」的なファイルを知り合いの会社からもらってきて、それに自分の会社の社名や従業員の名前を書き込んだら完成だ！と思ってる方や、実際にそうされた会社も多いかも知れませんが、今回は、「意外に考えるべきことはいろいろありますよ」というあたりを考えてみたいと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「要項」と「契約書」に書くことを、ちゃん分けて<span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>考え<span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>ているか？</b></span></span></b></span></span></b></span></p>
<p>以下、「ベンチャー企業」「未上場企業」というのは、日本の会社法上の株式会社で、全ての株式に譲渡制限が付いている会社、つまり会社法上の「公開会社」に該当しない会社とし、その「未上場会社」がストックオプション（新株予約権）を発行する場合を考えます。</p>
<p>未上場企業のストックオプションの設計の根幹に関わる文書は、大きく、株主総会を経て決議される「<span style="text-decoration: underline;"><b>要項</b></span>」と、会社と役員・従業員との二者間で締結される「<span style="text-decoration: underline;"><b>契約書</b></span>」の２つになります。<br />
（もちろん、それらの決議に関わる取締役会、株主総会の議事録や登記関係の書類など、他にもいろいろ文書はありますが。）<br /></p>
<p>世のストックオプションや案をよくよく見てみると、この「要項」「契約書」のどちらに何を書くかが、あまり深く考えられていないのではないかと感じることがよくあります。<br />
会社と従業員等との二者間で締結される「契約書」の内容は、取締役会などで比較的簡単に変更できるのに対し、株主総会で承認を得て登記までされている内容というのは、おいそれとは変更できないからです。</p>
<p>　</p>
<p>以下、具体的な項目で考えてみましょう。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「上場まで行使できない」条項</b></span><br /></p>
<p>ストックオプションを付与した未上場ベンチャーの従業員等は、もちろん、上場を待たずして辞めてしまうこともあります。<br />
このため、例えば、ストックオプションに「２年後から行使して株式を購入することが可能」というシンプルな制限しかついていないとすると、上場していてもいなくても、付与後２年後以降であれば会社の株式を取得することが可能になりますし、その後に会社に勤め続けることも辞めることも可能なわけです。</p>
<p>アメリカのストックオプションは「<span style="text-decoration: underline;">働いた期間に対応してもらえる権利</span>」という感覚が浸透しているようで、上場していようがいまいが、当然、一定の期間（クリフ[ cliff ]と呼ばれます）を超えれば、一定のスケジュール（ベスティング[ vesting ]と呼ばれます）に従って行使することが可能になっているケースがほとんどだと思います。</p>
<p>これに対して、日本のストックオプションというのは、<span style="text-decoration: underline;">「上場した御祝儀ボーナス」</span>的な感覚が強い。</p>
<p>そもそも、日本の未上場の株式会社は、ほぼ必ず株式の譲渡制限が付いていて極めて閉鎖的です。<br />
終戦直後の商法では、GHQの指導もあって、株式会社の株式には譲渡制限がつけられないようになっていたそうです。つまり株式会社は「オープン」なものだという位置づけだったわけですが、その後「日刊新聞法」により新聞社だけは特別に譲渡制限が付けられるようになり、その後の商法改正で、すべての株式会社が譲渡制限を付けられるようになりまいました。<br />
つまり、もともとは「オープン」な法人を志向していた株式会社ですが、未上場企業の株式については、ほとんど譲渡制限が付いて「クローズド」になっているのが日本の現状です。</p>
<p>また、株主が自由に株式を譲渡できるようにすると、株式がいつの間にか「<span style="text-decoration: underline;"><b>反社会的勢力</b></span>」（暴力団やそのフロント企業など）の手に渡って、いやがらせされたり「高値で買い取れ」 なんてことになるのも、日本でよく聞かれる現象です。<br />
このため、譲渡制限は上場まではずさないのが常識になっています。<br />
（日本の上場審査では会社が「反社会的勢力」に関係しているかどうかを、かなり入念にチェックされますので、仮に「反社会的勢力」が株主に入っていたりすると、日本で上場するのはまず断念せざるを得ないのが現状です。）</p>
<p>こういった風土がある環境下で、ストックオプションを一定期間が経過すれば行使できる条件にしてしまい、上場前にも関わらず株式が多数の株主に分散してしまうと、いろいろややこしいことが起こる可能性があります。</p>
<p>もちろん、譲渡制限はついているので、行使した株式が知らないうちにアヤシゲな第三者に譲渡されることにはなりにくいわけですが、それでも、ストックオプションを行使した細かい株式が、上場前にも関わらず多数の株主に分散してしまうというのは、いろいろ不都合が多い。</p>
<p>例えば、株主が連絡がすぐに取れる役員やベンチャーキャピタルなど５者くらいしかいなければ機動的に株主総会が開けるわけですが、ストックオプションを行使した従業員が何十人にも増えていたりすると、ただでさえ体制がしっかりしていないベンチャーの総務担当は、連絡をとるだけでひと苦労です。<br />
（未上場のベンチャーというのは、設立の時から弁護士のリーガルチェックを受けながら株主総会やファイナンスをやってきたといった会社ばかりではないので、株主総会を開いて過去の瑕疵を修正したり、株主の了承を取り付ける必要も多くなりがちなわけです。）</p>
<p>しかも会社を辞めた従業員というのは、会社に対して悪感情を持っていることも少なくないわけですし、居場所が特定できるとも限らない。<br />
上場企業であれば、連絡がつかない株主については、会社法等に従って淡々と処理するしかないですが、これから上場する企業は<span style="text-decoration: underline;">上場審査</span>があり、株主が何者かというところを厳しくチェックされますので、株主と連絡がつかないとか、今何をやってるかわからないといったことになるのは、上場の足かせになりかねないわけです。</p>
<p>このため、多くのベンチャー企業のストックオプションには、「２年間は行使できない」といったクリフの条件の他に、善かれ悪しかれ「上場しないと行使できない」といった条項が付けられていると思います。</p>
<p>以上のように、従業員にとってどうかはともかく、日本では「上場しないと行使できない」という条件はそれなりに合理性はあるのですが、本体や子会社などで、「働いた期間に応じてストックオプションが行使できるのが当然な国」（たとえばシリコンバレー）の従業員を雇う必要がある場合には、こうした「カルチャーギャップ」が問題になることもありえます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■バイアウトが発生したらどうする？</b></span></p>
<p>そして、この「上場まで行使できない」という条項を、株主総会で決議する「要項」に入れちゃってるケースもよくあるわけですが、その場合、会社が上場を断念し、「<span style="text-decoration: underline;">バイアウト</span>」（会社が買収されること）されることになったら、どうなるでしょうか？</p>
<p>例えば、公開を目指してがんばっていたA社が、市場環境などからちょっと公開できそうにもない情勢になって来たところに、ある大企業から「会社を買収させてもらえないか？」という条件のいいオファーがあったとします。</p>
<p>そんな場合に、「上場まで行使できない」ということが要項に書かれ登記もされていた場合は大きな問題になりかねません。<br />
ただでさえ体制が必ずしもしっかりしていないベンチャーのスタッフ部門が、バイアウトの交渉もしながら、この新株予約権の内容を上場前でも行使できるように変更しようと株主の了解を得たり手続きを踏んだりといったことをするのは、技術的にもスケジュール的にも無理なことが多い。</p>
<p>結果として、「株式を持っている社長などの少数の人だけが大金持ちになって、多くの従業員はバイアウトで何のメリットも得られない」といったことになりかねないわけです。</p>
<p>もちろん、この会社のビジネスモデルが、非常に資本集約的だったり、一部の技術者の天才的な技術や知的財産権に支えられていて、そういうコアになる関係者はすべてそれなりの株式を持っているといった場合には別かも知れません。しかし、多くの従業員の営業力や「やる気」に大きく依存して、「従業員こそが資産だ」というビジネスモデルの会社もあるわけです。<br />
そういった、従業員のやる気が失われると企業価値が減ってしまいかねないような企業の場合には、このストックオプションの条項が問題になりかねないわけですね。<br /></p>
<p>バイアウトの交渉には直接影響がなくても、「<span style="text-decoration: underline;">社長だけ金持ちになりやがって</span>」という事態を望まない社長も多いと思います。</p>
<p>もちろん、買収する会社が従業員にボーナスを出すとか、社長が自分の売却益から従業員にお金等を贈与するという手も考えられます。<br />
しかし、株式の売却益に対する課税が未上場会社でも20%の分離課税で済むのに対し、給与や贈与で同じ額の報酬を与えようとすると税率はそれより高くなる場合だって考えられます。<br />
また、従業員が持っている株式の譲渡益であれば、買収する会社・買収される会社の費用には計上されないのに対し、会社からボーナス等を支給すると、P/L（損益計算書）に影響が出ることにもなります。<br />
決算の都合によっては、「そんなお金は出せない」といったことになる可能性も高い。</p>
<p>すなわち、株式の譲渡益というのは課税上かなり有利なことが多いわけですから、こうした制限は「要項」で行うのではなく、従業員と会社の間の「契約書」に書いておくことで、会社が従業員のことを考えて、契約内容を変更するかどうかを臨機応変に決められる可能性が高まるわけです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■合併等の場合</b></span></p>
<p>バイアウトと言っても、買収する企業が現金で株式を買い取る場合だけでなく、合併や株式交換、株式移転といった組織再編を行って、相手方の株式を手にする場合もあります。</p>
<p>新株予約権が合併等を行う前に新株予約権を行使して株式を取得していれば、買収する会社の株式を受け取ることにもなりますが、ストックオプションを買収する会社のストックオプションに引き継ぎたいという場合もあります。このために、新株予約権の内容として、このような合併等が発生した場合にどうするかということを定めておくことになります。（会社第236条第1項第8号）</p>
<p>この場合、「新株予約権は必ず買収した会社の新株予約権に置き換えられなければならない」といったフレキシビリティの無い定め方だともちろん困るわけです。<br />
バイアウトは交渉ごとですので、相手の事情にも関わって来るからです。</p>
<p>例えば、買収する側の会社では従業員にストックオプションを発行していないので、買収される側の会社の従業員の新株予約権をすべて現金で買い取ることにしたい、ということもあるでしょうし、 逆に、買収される会社の従業員が一時に大金を手にして辞めてほしくないので、引き続きベスティング付きの買収する側の会社のストックオプションを渡したいということもあるでしょうから、それもフレキシブルに対応できるような記載にしておく必要があると思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「２年間は行使できない」という条項</b></span></p>
<p>「２年間は行使できない」という条項も同様。</p>
<p>日本のストックオプションが「２年間行使できない」という条件になっていることが多いのは、税制適格ストックオプションにするためにはそういう条件にしないといけないことになっているからです。（租税特別措置法第29条の2第1項第1号）</p>
<p>この税制適格ストックオプションの条文は、「当該取締役等との間に締結された契約により与えられた当該新株予約権(中略)を当該契約に従つて行使することにより」と書いてあって、別に「要項で定めないとダメ」とは書いてありません。このため、契約書で定めておいた方が、フレキシブルな対応が可能になると思います。</p>
<p>もちろん、付与して２年以内にバイアウトが発生した場合には、税制適格とはみなされないことになりますが、契約書で定めておけば、選択肢が増えるのは間違いありません。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■相続</b></span><br /></p>
<p>「相続の場合、1回限り1人だけが相続して行使することができる。」といった条項をストックオプションに付けることもよくあります。</p>
<p>しかし、この相続に関する条件も、前述と同様の理由から、要項ではなく付与契約書の方に入れておいた方がいい場合が多いと思います。<br /></p>
<p>ストックオプションを付与した従業員が死亡し、「関係者」が後にのこされる可能性があるわけですが、その「関係者」が法律上の相続権者であるとは限らないわけです。（たとえば内縁の妻であるとか、彼女であるとか。）</p>
<p>ベンチャー企業というリスクの高い会社で安い給料で一所懸命働いてくれた従業員なのに、その人に尽くしてきたのこされた関係者に何も残らないというのは、あまりにかわいそう・・・・というケースも考えられます。<br />
上場前や上場後のベンチャーともなると、法令その他のルールで根拠の無いお金を、遺された関係者に支払えるとは限りません。</p>
<p>突然亡くなったケースなど、要項でなく付与契約書に書いておけばどんなケースにも対応できるというわけではないでしょうし、あまりに「柔軟」な対応をしすぎると「おれもおれも」と際限が無くなる可能性があるので、フレキシブルな運用も良し悪しですが、契約書の方に書いておいて選択肢を増やすというのは悪いことではないように思えます。</p>
<p>　<br /></p>
<p>以上のように、ストックオプションというのは、単なるドライな「金融商品」ではなくて、「<span style="text-decoration: underline;">人の気持ち</span>」や、将来展開される「<span style="text-decoration: underline;">人間ドラマ</span>」を考えて設計する必要があるのではないかと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「計算式」は、ちゃんとしているか？</b></span></p>
<p>ストックオプションの要項には、株式分割などをした場合に、ストックオプションの内容を修正するための数式を載せているケースがほとんどだと思います。</p>
<p>ストックオプションの内容は実際に文書化してみると非常にややこしいので、ベンチャー企業では、案を作成してくれた弁護士や税理士に任せっきりということもよくあるわけです。しかし、そういったプロフェッショナルの方が「数式」や「算数」が得意だとは限らないですし、そういった調整式は、<b style="text-decoration: underline;">会社法や税法の条文には書いてない</b><span style="text-decoration: underline;">（日本のほとんどのロースクール等でも教えていなさそうな）</span>ので、チェックしてないことも多そうです。ですから、会社側でもよくよくチェックしてみる必要があると思います。</p>
<p>例えば、新株予約権1個につき1株を取得できる新株予約権が5個付与されており、行使価格が10万円だとします。（新株予約権は「株」ではなく「個」という単位で数えます。）<br />
つまり、50万円出せば株式が5株取得できるという権利が付与されているわけです。</p>
<p>この会社の株式が株式分割で2分割されたら、1株の価値は半分になるわけですから、行使価格は半分の5万円にならないとおかしいですよね？<br />
新株予約権は株式とは別物ですから、ちゃんと定義しないと、株式が分割されたからといって自動的に新株予約権を行使して取得できる株数も増えることにはなりません。</p>
<p>日本のベンチャー企業は、設立の時には「1株5万円で100株」といったように、非常に少ない株数しか発行していないケースが多いです。このため、そのままでは上場基準の単位数の条件や、1単位の価格（50万円程度）の条件を満たさないことになるので、日本のベンチャー企業においては、ファイナンスや企業価値の状況にあわせて分割を繰り返すのが普通で、将来何分割するかというのは、事前に正確には予測できません。</p>
<p>このため、数式で定義しておくことになるわけですが、この数式がちゃんとチェックされているのか？ということですね。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">事例１：</span></p>
<p>実際、上場している某大企業のストックオプションの条件を見ていた時に発見したのですが、この会社のストックオプション、</p>
<blockquote>
  <p>調整後行使価格＝調整前行使価格／分割・併合の比率</p>
</blockquote>
<p>と、株式分割等をした場合に行使価格が下がる条件になっているのはいいのですが、合わせて<span style="text-decoration: underline;">株数が分割比率分だけ増えるという条件</span>がいくら探しても見つからない。</p>
<p>上場企業だと、株主にはストックオプションのような潜在株式を増やすことはただでさえ毛嫌いされます。このため、こうした「間違い」を株主総会で修正を行うことはなるべくやりたくないところでしょう。</p>
<p>このままでは、この会社の従業員は、株式が10分割されたらストックオプションの価値が10分の1になっちゃいますし、従業員にそんな損害を与えるわけにはいかないということであれば、株式分割自体が事実上行えないことにもなってしまいかねません。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">事例２：</span></p>
<p>これも実際に見かけた例ですが、</p>
<blockquote>
  <p>調整後行使価格＝調整前行使価格÷分割・併合の比率</p>
</blockquote>
<p>というところまではいいとして、その数式に、</p>
<blockquote>
  <p>調整の結果生じる1円未満の端数については、これを<span style="text-decoration: underline;">切り上げる</span>ものとする。</p>
</blockquote>
<p>と付記してありまして。</p>
<p>1円未満の端数なんてどうでもいいような気がしますが、この会社の場合、行使により付与する株式数が、</p>
<blockquote>
  <p>調整後付与株式数　＝　調整前付与株式数　×　調整前行使価格÷調整後行使価格</p>
</blockquote>
<p>という式で、これに、</p>
<blockquote>
  <p>調整の結果生じる1株未満の端数については、これを<span style="text-decoration: underline;">切り捨てる</span>ものとする。</p>
</blockquote>
<p>と付記してあったわけです。</p>
<p>　</p>
<p>もともとの行使価格が10万円、新株予約権が1個（1株分）だったとすると、株式を2分割した場合には、調整後の行使価格は半分の5万円になり、調整後の付与株式数は2倍の10株になるわけで、全く問題ありません。</p>
<p>ところが、3分割した場合はどうでしょうか？</p>
<p>上記の数式に従うと、調整後行使価格は10万円÷3で、33,333.3333…円なので、1円未満の端数を切り上げて<span style="text-decoration: underline;">33,334円</span>。</p>
<p>調整後に付与される株式数は、調整前付与株式数1株×10万円÷33,334円で、2.99994株。<br />
この「1株未満」を切り捨てると、0.99994株が削られて、本来3株もらえてよさそうなところが、2株しかもらえない。<br />
ストックオプションの価値が<span style="text-decoration: underline;">3分の2になってしまった</span>わけです。</p>
<p>この調整式は、<br />
「一 　当該新株予約権の目的である株式の数（略）又はその数の<span style="text-decoration: underline;">算定方法</span>」<br />
「 二 　当該新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその<span style="text-decoration: underline;">算定方法</span>」<br />
（会社法第236条 [新株予約権の内容]）<br />
に該当し、新株予約権の性質の根幹に関わるところなので、株主総会で「要項」を決議する必要があり、「契約書」側で定められるものではないと思います。<br />
株式分割をする前に気づけば、うまく割り切れるように２分割したりして難を逃れることも可能でしょうが、株式分割してしまった後に気づいたときには、ややこしいことになります。</p>
<p>　</p>
<p>上記の数式は四則演算しかしていませんし、「切り上げ」「切り捨て」もすべて小学校で習いますので、「理系でないとチェックできない」といったものでもないのですが、<span style="text-decoration: underline;">習っているからチェックしているとは限らない</span>。</p>
<p>むしろ、理系やIT系のベンチャーであれば、こういった<span style="text-decoration: underline;">「バグ」つぶし</span>は会社側の方がお手のものかも知れません。<br />
「プロにチェックしてもらったから安心」と思わないで、自分の会社でも（特に依頼したプロが「数式弱そうだなー」と思ったら、数式に関連する部分は慎重に）チェックしておくことをお勧めします。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）</p>
<p>　</p>
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<entry>
    <title>週刊isologue（第35号） ベンチャー企業のストックオプション（初級編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/200911301208.html" />
    <id>tag:tez.com,2009:/mag//4.1494</id>

    <published>2009-11-30T03:08:50Z</published>
    <updated>2009-11-30T14:43:56Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tez.com/mag/">
        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2009.11.30</span>（第35号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■ベンチャー企業のストックオプション（初級編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>先週は、事務所の引越でバタバタしてあまり「週刊isologue」に時間をかけられなかったので、先週予定していた「アゴラ起業塾」のセミナーでは話し切れない内容をメルマガにしてみました。</p>
<p>タイトルに「中級編」と付けたのも、「種類株式の話なんかしても、なじみのない人には難しすぎるし、プロには優し過ぎて当たり前だと思われるんじゃないか」ということだったんですが、意外にも、なじみのない方もある方もその両方から いい反応が返って来て、ちょっとうれしい誤算。</p>
<p>ベンチャーのファイナンスに関する情報って、世間にいくらでもあるような気がしていたのですが、意外に、日本にはあまり存在していないのかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■自由闊達なベンチャーでも、資本政策だけは慎重に</b></span><br /></p>
<p>ベンチャー企業というのは、今までに存在しない革新的なことをやるのが使命ですから、細かいことにこだわるというより、失敗を恐れずに自由な発想で経営する方が成功の確率が高められることも多いのではないかと思います。</p>
<p>また、ベンチャー企業は、特にその初期においては規模が小さく、人材もお金もあまり無いので、細かいことにこだわろうと思ってもこだわれる余力もないことも多い。</p>
<p>しかし、ベンチャー企業が<span style="text-decoration: underline;">適当にやって済まされないのが</span><b><span style="text-decoration: underline;">資本政策</span></b>ではないかと思います。というのも、通常、資本政策というのは、株主という「内輪の仲間」を増やして行くプロセスで、成長するほど急速に企業価値も上がっていることが多いので、後になって間違った手を打ってしまったと気づいても、感情的にも金額的にも元に戻すことが困難になることが多いからです。</p>
<p>また、ベンチャー企業は多くの場合、証券取引所への上場を目指すので、上場審査に引っかかるようなことがあってはまずい。ということは、<span style="text-decoration: underline;"><b>上場した後のこともイメージしながら</b></span><span style="text-decoration: underline;"><b>、そこから逆算して</b></span>、資本政策を組まないといけないということになります。</p>
<p>つまり、ベンチャー企業のことだから上場企業より易しいかというと、全くそうではない。しかも、上場企業が数百万円リーガルフィー等を支払って行うことと同じことも、ベンチャー企業では数万円しか支払う感覚がないかも知れません。<br />
数百分の１のフィーで上場企業と同様のクオリティのことをしようというのは難しいので、ベンチャー企業のファイナンスをやる人や機会はどうしても限られてきてしまいます。そのために、そうした領域のノウハウが、あまり一般には広まっていないのかも知れません。</p>
<p>こうしたベンチャーの資本政策やファイナンスの技術的な特性（ややこしさ）を最もよく表しているのが、ストックオプションではないかと思います。<br />
今回はこの、ストックオプションについて考えてみたいと思います。<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■<span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>ストックオプションは「総合格闘技」である</b></span></span></b></span></p>
<p>ストックオプションは、役員や従業員（場合によっては取引先や外部のアドバイザー等）に「将来、ある条件で（安く）株式を購入する権利」を与えるものです。<br />
ストックオプションを与えることで、仕事をがんばってもらうインセンティブになったり、ベンチャーの安月給ではなかなか来てくれないような優秀な人材に転職して来てもらうことができるかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091130/200911301231.jpg" width="480" height="223" alt="200911301231.jpg" /><br /></p>
<p>図表１．ストックオプションに必要な知識のイメージ</p>
<p>　</p>
<p>ストックオプションは、最近では、契約書や要項の「ひな形」のコピーがベンチャー界にも出回っていますので、知り合いからフォームをもらってきて、そこに数字を書き込み、司法書士さんに議事録や登記をお願いすれば、発行するだけなら簡単にできます。</p>
<p>ですから、あまり過度に心配する必要はないのですが、ストックオプションというのは、発行すればいいというものでもないのも事実です。</p>
<p>実際には、ストックオプションというのは上記の図のように、法律、会計、税務など、いろいろな技を使う必要がある「総合格闘技」的なものなのです。</p>
<p>以下では、図の各要素について説明します。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">会社法</span><br />
現在発行される日本企業のストックオプションは、会社法上の「新株予約権」という証券です。この証券を役員や従業員に無償で「あげる」ことになります。<br />
このため、会社法という法律で新株予約権を発行する際に、どのような規制が儲けられているかを知らないといけません。</p>
<p>ストックオプションを発行するための取締役会、株主総会等の議事録、そこで決議される「要項」や「契約書」の内容は、会社法その他の法律を考えて作ったものである必要があります。</p>
<p>ところが、こうしたドキュメンテーションは、法律だけから一意に定まって来るものではありません。非常に自由度が高いので、いろいろな設計が可能であると同時に、どういう設計を選択するかは、法律以外の要素を考えないといけません。</p>
<p>ベンチャー実務に詳しい弁護士さんはともかく、一般の弁護士さんは、まったくストックオプションのイメージを持っていないことも多いので、注意が必要です。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">金融工学</span><br />
ストックオプションは、（本来）金融工学的にその価値が決まるものです。</p>
<p>「オプション・バリュー」を計算するには、高度な計算やシミュレーションが必要です。<br />
しかし、未上場の企業でストックオプションを従業員等に発行しても、会計上、そのオプションバリューを（ほとんどの場合）費用に計上しなくてもいいことになってますし、税務上も、従業員がそのように価値ある証券をタダで貰っても、（ほとんどの場合）従業員の給与にしなくてもいいことになってますので、ベンチャー企業の場合、あまりこの金融工学的な側面は表面に出て来ません。</p>
<p>ただし、ゆがんだ資本政策を矯正する場合など、特殊なストックオプションを設計する必要があるときには、この金融工学的なシミュレーションをする必要が出て来ることがあります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">会計</span><br />
第３に、ストックオプションは、会計的な側面があります。<br />
ストックオプションは、将来、ある条件で株式を購入（権利行使）できる権利ですが、たいていは、発行時の株価（発行時の時価）で行使をできるという条件になっています。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">ストックオプション会計</span>では、上場している企業は、金融工学的に計算したオプションバリューを費用に計上しないといけませんが、上場していないベンチャー企業は、（時価より安い株価で行使できる場合を除いて）、費用計上しなくていいことになっています。</p>
<p>通常は、ストックオプションは発行時の時価以上で発行しますので、未上場のベンチャー企業のストックオプションは会計上は費用計上しなくていいわけです。<br />
つまり、ややこしいことをせず、素直なストックオプションを発行する分には、未上場のうちは会計については考えなくていいことになります。</p>
<p>逆に、上場したら、ストックオプションを発行する場合には費用計上が必要になるということです。このため、未上場のうちはストックオプションを気前良く発行していたけど、上場したとたんにストックオプションを発行しなくなるベンチャー企業も多い。<br />
上場企業は、非上場企業にも増して投資家から利益を稼ぐことを期待されてますので、費用計上で利益が圧縮されるのはイヤだというわけです。</p>
<p>（株価のボラティリティなどによっては、上場直後のベンチャー企業のストックオプションの価値が株価に対して非常に大きくなり、費用計上額も馬鹿にならない額になってしまうことも多いのです。）</p>
<p>このため、上場前からいる社員と上場後に入社した社員とで、処遇上の大きな「断層」が発生しているケースがよく見られます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">税務</span><br />
第４に、税務上の問題はもっと複雑で深刻です。</p>
<p>日本の所得税法の原則では、「モノをもらったら、もらった時の時価を所得と考えて課税する」ことになってます。（所得税法第36条）<br />
ストックオプションは前述のような金融工学的に計算された価値を持つ証券ですから、本来は、役職員が会社から無償でストックオプションをもらう場合には、<span style="text-decoration: underline;">その時点でのストックオプションの価値</span>が所得に加えられて所得税が計算されるはずです。</p>
<p>ところが、ストックオプションはこの所得税法の例外になっています。<br />
「株式が取得できる権利」の課税は、「もらったとき」ではなく、<span style="text-decoration: underline;"><b>「権利を行使をした時」の時価</b></span>で考えた所得に対して課税されることになってます。（所得税法施行令第84条）<br /></p>
<p>そして、この例外にはさらに例外があり、特定の要件を満たすストックオプションについては、行使した時ではなく、売却した時に課税されることになります。（租税特別措置法第29条の2、「<span style="text-decoration: underline;"><b>税制適格ストックオプション</b></span>」）</p>
<p>これはストックオプションをもらう側にとっては、非常に大きな違いです。</p>
<p>例えば企業価値がまだ非常に小さい時に発行されたストックオプションを持っていて、上場後に企業価値が非常に大きくなったときにストックオプションを行使すると、従業員等が受け取る利益が、何百万円、何千万円、何億円といった金額になることがあります。</p>
<p>「<span style="text-decoration: underline;">税制適格ストックオプション</span>」では、その差額に対しては、上場会社であれば10%の税率で済むものが、「<span style="text-decoration: underline;">税制非適格のストックオプション</span>」だと、「給与」等として高い累進税率で課税されることになります。税率が4割違うとすると、キャピタルゲインが1億円だと4千万円近く違って来ることになります。</p>
<p>ストックオプションはもらったときにはあまりその価値がピンと来ないのですが、将来成功した時に、ほんのちょっとした条件の違いで大きな違いが出てしまうわけです。<br />
税制適格か非適格かで、従業員と会社で裁判で争われたケースもありました。<br />
そういったことにならないように、ストックオプションの設計はいろいろな角度から慎重に行う必要があります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">証券実務</span><br />
第５に、上場した後に、ストックオプションを行使して取得した株式を売却する時の実務については、インサイダー取引規制等も考慮して、非常に慎重に対応する必要があります。<br />
また、大口の売却をする役員や従業員がいる場合には、ブロックトレード等の手配もする必要があるかも知れません。<br />
ただし、この点は、上場してから考えればよくて、あまり公開前から気をもむ必要はないかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">人事労務</span><br />
最後に、そもそもストックオプションというのは、「役員や従業員にがんばってもらいたい」というインセンティブのために付与されるものです。</p>
<p>ですから、従業員間のバランス、初期に入って来た人、実力がある人、等、バランスも重要になります。</p>
<p>アメリカで、コーヒーチェーンのスターバックスが、アルバイトにまでストックオプションを付与して話題になったのですが、日本では（アルバイトまでかどうかはともかく）平社員まで広く浅く付与するのはどちらかというと普通なので、むしろそちらの方が違和感が無いかも知れません。</p>
<p>上場した時に社内の特定の人だけが大金持ちになって、平社員には何も無いというのでは、上場してめでたいはずなのに、社内の雰囲気もギクシャクするかも知れません。<br />
ストックオプションは従業員等の「やる気」のために付与するのですから、それによって社内にいがみ合いが起こってしまうのでは本末転倒です。</p>
<p>このように、会社がうまく行ったとき、うまくいかなかったとき、いろんな局面を考えて、どういう局面でもなるべくうまく乗り切れるか、イメージしてみることが非常に大切だと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">■「量」はどのくらいにすればいいか？</span></p>
<p>ストックオプションに関わる資本政策の失敗例で多いのが、「ストックオプションを発行し過ぎ」なケースです。重症の場合には、最悪、上場できなくなることもあります。</p>
<p>ストックオプションの量は、どのくらいが適切なのでしょうか？</p>
<p>商法の「新株引受権」の時代には、ストックオプションは発行済株式に対して10%までしか発行できないこともありましたが、現在の新株予約権は、法律上はいくらでも発行できますので、<span style="text-decoration: underline;">発行済株式の30%も40%も発行してしまっているケース</span>を、時々見受けます。</p>
<p>このように大量のストックオプションをジャブジャブ発行してしまっているケースでは、公開後の株価形成等を考えて、主幹事証券などから、ストックオプションの大部分を行使して株に変えるように指導されることになると思います。<br />
つまり、「法律上はアリ」でも「実務上はありえない」ということです。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">ストックオプションを誰が持っているか</span>にもよります。長期的に会社の中枢を担う役員など<span style="text-decoration: underline;">安定株主</span>と考えられる人が保有しているのであれば、行使して株式に変えれば済むかも知れません。<br />
しかし、一般の従業員や取引先に広くばらまかれている場合には、<span style="text-decoration: underline;">浮動株</span>の比率があまりに大きくなりすぎるということで、上場に待ったがかかる可能性もあります。</p>
<p>いくら「このままでは上場できないので」という理屈をつけても、一度ばらまいてしまったストックオプションを返してもらうのは極めて困難です。（上場が見えていて「もうすぐストックオプションがお金になる！と思っている場合には、なおさら。）<br />
そういう意味でも、<span style="text-decoration: underline;"><b>資本政策は後戻りできないし、最初の段階からよく考えて設計しておく必要があるといえます</b></span>。</p>
<p>行使すれば済む場合でも、その<span style="text-decoration: underline;">行使価格がいくらか</span>によっても話は違って来ます。</p>
<p>例えば、設立した直後に発行した行使価格が安いストックオプションで、行使に必要な資金が例えば<span style="text-decoration: underline;">数百万円程度</span>であれば、知り合いやローンで行使資金を調達することも容易でしょう。</p>
<p>しかし、例えば、企業価値を10億円と評価して投資家が投資した後に、ストックオプションを発行済株式の1割発行したとすると、<span style="text-decoration: underline;">行使資金は約1億円</span>必要になります。公開前のベンチャーの役職員は、蓄えがほとんどないケースがほとんどでしょうから、行使に必要な資金が調達できず、公開自体がお流れになる可能性も出て来ます。</p>
<p>実際、計画性を欠く資本政策で<span style="text-decoration: underline;">社長の持株比率が下がり過ぎた場合</span>に、社長向けにストックオプションを発行することを投資家に了承してもらったが、上場前に行使しようと思ったら資金の手当ができなかった、というケースは非常によく見聞きするケースです。<br /></p>
<p>業種やビジネスモデルによっても、付与する適切な量というのは変わって来ます。<br />
例えば、非常に資本集約的で多額の投資が必要であり、従業員のがんばり具合というのにはあまり左右されない事業だとしたら、従業員への付与はさほど大きくしないのが合理的でしょう。<br />
逆に、営業力が勝負で「やる気」にかかっているような場合には、従業員への付与を多めに設定する必要があるかも知れません。</p>
<p>概ね、上場時に発行済株式数の10％以内に収まるようにしておけば、大きな問題にならないことが多いと思います。それ以上でも上場できるケースもありますが、あまりいい顔はされないかも知れません。特殊なケースでも20%くらいまでが上限ということになると思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■行使価格とストックオプションの利益</b></span></p>
<p>オプションの行使価格とは「一株いくらで株を買えるのか」ということです。</p>
<p>ストックオプションとは株を買う「権利」であって買う「義務」ではありません。公開やバイアウト(会社売却)などで、株を売るチャンスが来たときでも、一株あたりの金額が行使価格より低い場合には、損をするだけなので誰も行使しません。</p>
<p>下の図の例は、行使価格が40万円の場合。<br />
株価が40万円以下の場合、利益はゼロ、株価が40万円を超えると株価と40万円の差額だけ利益が出ます。</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091130/200911302221.jpg" width="300" height="217" alt="200911302221.jpg" /><br />
図表２．将来の株価とストックオプション一株あたりの利益</p>
<p>　</p>
<p>設立したての会社なら、極めて低い価格で行使可能なストックオプションが発行できますし、すでにベンチャーキャピタルなどからファイナンスを行って企業価値(valuation)が上がっている場合、高い行使価格にならざるを得ません。</p>
<p>　</p>
<p>このため、企業が右肩上がりで成長している限り、少しでも早い時期にストックオプションをもらったほうが有利になるはずです。</p>
<p>例えば、ベンチャー企業が、資本金1000万円(1株1万円×1000株)で設立したところ、順調に成長して、ベンチャーキャピタル各社から投資させてくれないかというアプローチをもらいはじめたとします。</p>
<p>例えば、ベンチャーキャピタルの投資が企業価値5億円（1株50万円） で行われるとすると、設立時には株価1万円だったものが時価1株50万円ということになりますので、行使価格も50倍になってしまいます。</p>
<p>こういう段階になって、「そういえば株は社長が100%持っていて、役員や従業員にはまったく株やストックオプションを渡していなかったなあ」ということにハタと気づくベンチャー企業というのは非常に多いです。</p>
<p>ベンチャー企業というのは、設立したときから「将来上場した時に金がいくら儲かるか」なんてことを考えてるよりは、画期的な製品やサービスを夢見て仕事に没頭してる企業だったりしますので、創業初期にストックオプションなんてことに気が回らなかったとしても、あんまり強く非難されなくてもいいかも知れません。</p>
<p>しかし、先述のように、税務上は行使価格が時価以上でないと、税制適格にならず、将来行使・売却したときの税額も大きく変わって来ます。<br />
では、<span style="text-decoration: underline;">設立時の株価が1万円</span>、<span style="text-decoration: underline;">ベンチャーキャピタルが投資した直後の株価が50万円</span>としたら、<span style="text-decoration: underline;"><b>ベンチャーキャピタルが投資する直前の株価はいくらだろう</b></span>？ということになります。<br />
１株に払う金額が1万円か50万円かの違いは大きいので、そこは重要なところです。</p>
<p>ベンチャーキャピタルからまだ具体的な話が出て来ておらず、創業以来赤字で純資産は1千万円を割り込んでいるというような状況であれば、まだ税務上は株価は1万円と解釈できる余地もあるかと思います。</p>
<p>一方で、ベンチャーキャピタルは、そういう直前の駆け込みストックオプションの発行というのは、あまりいい顔をしません。なぜなら、自分が投資する2週間前まで株価が1万円だったものが、2週間で50倍になるというのは、その間にどういった価値向上があったのか？ということにもなりますし、そもそも高い金額で投資をするのは面白く無いので、「それなら投資する株価を下げさせてくれ」といったことにもなりかねません。</p>
<p>ですから、創業当時から、ストックオプションについても計画に盛り込んで、<span style="text-decoration: underline;">ベンチャーキャピタルから声がかかってからバタバタしないようにするのが一番</span>なのですが、なかなか創業時からそこまで気が回ったりコストをかけたりする企業ばかりではありません。</p>
<p>こういう場合は、素直に、ベンチャーキャピタルが投資した後にストックオプションを発行するという手もありえます。</p>
<p>1万円と50万円の差は大きいように見えますが、この会社の企業価値が将来500億円になるとしたら、企業価値1000万円か5億円かの差は誤差の範囲内とも言えるからです。<br />
本当に会社が将来大化けする予感があるのであれば、付与するストックオプションの個数を多少調整したりすれば、大問題にはならないかも知れません。</p>
<p>また、ベンチャーキャピタルからの投資を受ける際には「希薄化防止条項」が盛り込まれたり新株や潜在株式の発行に制限がかかることがあります。<br />
こういう条項が盛り込まれる場合には、「ただし発行済株式数の○％のストックオプションは別」といった条件を付け加えておかないと、 会社側で自由にストックオプションを付与することができなくなる可能性があるので、ご注意を。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■株の「単位」</b></span><br /></p>
<p>最近の日本では、設立時の1株の発行価格は5万円からせいぜい500円程度が普通ではないかと思います。ストックオプションは、従業員別に若干「差」を付けないといけないので、細かいほどフレキシブルな数量設定はできますし、全体の発行済株式数にも依存してきますが、あまり極端に細かくしすぎなくても、さほど問題はでないかと思います。</p>
<p>むしろ、株式の「細かさ」は、上場時に何単位程度が流通株式数になるかという見込みから逆算して決めて来ることになります。（昨今は株式分割がフレキシブルに行いやすくなってますので、後で気づいても分割できますから、あまり神経質になる必要もないかと思います。）</p>
<p>一方、アメリカでは設立時の1株を1セント程度と非常に小さくするのが通例なので、ストックオプションでも<span style="text-decoration: underline;">何万株</span>分といった量が付与されることが普通です。日本の会社がアメリカ人を雇っていたり、アメリカに支店や子会社を作って、そこの役職員にストックオプションを付与する場合には、「数株分」というオファーをすると「えっ？」という顔をされることがよくあります。</p>
<p>重要なのは、<span style="text-decoration: underline;">会社全体の企業価値がいくらで、自分がその何％を持っているか</span>という「比率」であり、「株数」（個数）で考えるのは基本的にはナンセンスなのですが、アメリカの社会では、「どこそこの企業の誰々は何株分ストックオプションをもらった」といった「相場観」が形成されているので、それにあわせる必要が出て来ます。</p>
<p>日本は、幸か不幸か、まだ相場観が形成されるほどストックオプションが浸透していません。<br />
例えば上場企業については、上場時の目論見書を見れば他の人がどのくらいストックオプションをもらっているかわかりますが、「ベンチャーに知り合いが勤めていて、ストックオプションをもらった」という知り合いを持つ人は、まだ日本では非常に少ないと思いますから、良くも悪くも、「他の会社で誰がどのくらいもらってたから、オレもこのくらい欲しい」という話が従業員から出たケースは、あまり聞いたことがありません。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>●ベスティング</b></span><br /></p>
<p>ストックオプションをいつから権利行使できるのか、毎年どのくらい使えるのかが、インセンティブとしてのストックオプション設計のキモになります。</p>
<p>会社は優秀な人にはずっと会社に残って働いてほしいので、付与してすぐに全部権利行使できたり、上場してすぐに株式を全部売却できるようにしてしまうと、<span style="text-decoration: underline;">優秀な人材が上場とともに大金を手にして流出してしまう可能性</span>があります。</p>
<p>日本では<span style="text-decoration: underline;">税制適格ストックオプションが付与後2年間は行使できない条件</span>になっているので、最初に権利を行使するまでに2年という設計が多くなっています。その後、毎年3分の1づつ3年間分割で行使可能にするとか、全部の権利を行使するのに3〜5年の期間を必要とする設定にしていることが多いと思います。これをベスティングと呼んでいます。</p>
<p>一方で、ベンチャーは生活が不安定な未上場の時よりも、上場する前後からいい人材が多く入って来ることもよくあります。<br />
人材を 「いい」とか「悪い」というと語弊はありますが、創業期に自由気ままにゲリラ的な活動させると極めて優秀だが、上場企業でややこしい規定や規則に縛られながら大組織をまとめあげていく場合には全く力を発揮できない、という人はよくいます。<br />
そういう人は、無理に上場企業に縛り付けておくのではなく、今までの功績に経済的に報いた上でポストを退いてもらう方が会社のためになるかも知れません。つまり、企業が成長するのにあわせた人材の「新陳代謝」です。<br />
古くからいる従業員だというだけで、上場企業の業務に向かない人が重要なポストに居座っていたのでは、会社の成長は望めませんので。</p>
<p>もちろん、「ポストが人を作る」ということもあるので、非上場でも上場でも活躍できる人もいます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■会社のビジネスモデルと企業価値</b></span><br /></p>
<p>そうした企業の人材の「新陳代謝」を促すために最も重要なのは、会社の企業価値を上げることでしょう。</p>
<p>例えば、上場してストックオプションを行使して300万円の利益を手にしたら、年収400万円の人の臨時収入としては確かにうれしいでしょうけど、では、300万円という金が、会社を辞めて遊んで暮らしたり自分で新しいビジネスをはじめるのに十分な資金かというと、そうではないでしょう。<br />
このため、ほとんどの人がその程度の利益しか手にできないのでは、会社の従業員の「新陳代謝」は促せないかも知れません。</p>
<p>一方で、上場後に5000万円とか1億円またはそれ以上の利益が手に入れば、会社をやめて田舎に帰るとか、自分で新しいビジネスをはじめるといった、新しい人生に移る気になる人も増えるでしょう。</p>
<p>もちろん事業が発展して企業価値が上がるかどうかは運や環境にも左右され、想定どおりに進むとは限らないので、そこまで考えてストックオプションの付与量を考えなくてもいかも知れませんが、いつかそういう日が来ることも頭の隅に入れておいて損はないと思います。<br /></p>
<p>　</p>
<p>とりあえず今週はこんなところで。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）</p>
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    <title>週刊isologue（第34号） ベンチャーのファイナンス（中級編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/200911230345.html" />
    <id>tag:tez.com,2009:/mag//4.1490</id>

    <published>2009-11-22T18:45:11Z</published>
    <updated>2009-11-23T23:55:30Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
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        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2009.11.23</span>（第34号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■ベンチャーのファイナンス（中級編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>先週まで国の1000兆円単位の話をしておりましたが、今週は（その1000万分の1の"小さな"話で恐縮ですが）数億円単位のベンチャービジネスの投資の話をしたいと思います。<br /></p>
<p>今週の水曜日に<a href="http://agora-web.jp/archives/792461.html">「アゴラ起業塾」でベンチャーのファイナンスをテーマに講演をする予定</a>なんですが、そのレジュメをまとめていたところ、１時間ではやはり、あまりディープなことまでは話せなさそうです。<br />
（あんまり難しいことをしゃべっても寝てしまう人も続出すると思いますし。）</p>
<p>そこで今回は、そこに収まり切らない部分について（「アゴラ起業塾」に出席させる方は「予習」も兼ねて）、ベンチャー投資における投資契約や種類株式の活用について考えてみたいと思います。</p>
<p>ベンチャーファイナンスの概要については、 2001年から<a href="http://www.tez.com/corporatefinance/index.htm">INTERNET MAGAZINEに連載していた「コーポレートファイナンス入門」というシリーズ</a>をウェブで公開してますので、そちらをご覧いただければと思います。8年前のものなので「商法」が「会社法」に変わっていたりする部分はありますが、基本的な考え方は変わってません。</p>
<p>　</p>
<p>シリコンバレーをはじめとするアメリカのベンチャービジネスへのベンチャーキャピタル（VC）等の投資では、ほぼ必ず優先株(preferred stock)が使われるのに対して、日本のベンチャー投資ではあまり種類株式は使われません。</p>
<p>SOX法やJ-SOXなど、上場企業への内部統制の要求は世界的に厳しくなってきており、上場のためのハードルやコストも昨今非常に高くなってます。<br />
つまり、今後のEXIT（投資家の投資の「出口」）は株式上場だけを考えるのではなく、バイアウト（未上場のままM&amp;Aで買収される）を考える必要が潜在的に高まっていると思いますが、そういった状況に対応するためには、実は種類株式等を活用することが必要になってくるんじゃないか、といったお話です。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>投資家側から見た問題点１：投資したのにEXITできない</b></span></p>
<p>ベンチャー企業に投資をしてくれる投資家には、宝くじのつもりで株を買う個人のエンジェルから、事業提携が主眼で投資する事業会社など、いろいろなタイプがあります。<br />
中でも、ベンチャーキャピタルを始めとする金融系の投資家の目的は、投資した株式を売却して利益を得ること（のみ）になりますので、投資したのに資金が回収できないというのは困る。</p>
<p>このため、ベンチャーキャピタル等が投資をするときに締結される投資契約では、回収を確実にするための条項がいろいろ盛り込まれます。</p>
<p>もちろん、ベンチャービジネスですので失敗する例も多いですし、ベンチャービジネスが失敗したら後に何も残らないケースも多い。<br />
このため、大失敗した場合には まだあきらめもつきますが、VCにとって腹立たしいのは、「会社が潰れたわけではないのに（場合によっては業績も好調なのに）EXITさせてもらえない」というケースです。</p>
<p>こうした状態のベンチャーは、「Living Dead（生ける屍）」という失礼な名前で呼ばれます。<br />
「Living Dead」は、死にかけで息も絶え絶えな企業だとは限らず、結構業績も好調で世間的に見れば立派な会社ということもありえます。あくまで、投資家から見てEXITできるかどうかが問題なわけですので。</p>
<p>　</p>
<p>また、日本人は、「カネに対する欲望（アニマルスピリット）」が弱めかも知れません。<br />
巨万の富を手にしても、世間から祝福されるどころかバッシングされるだけだとすると、「人並み以上に生活できてるんだから、現状維持でいいじゃん」ということにもなりがちです。</p>
<p>例えば、利益が毎年コンスタントに5000万円出ている企業があるとします。<br />
この企業は、日本の全企業300万社の中では立派な方かも知れませんが、そういう企業はたくさんあるので、それだけでIPOできるわけではありません。<br /></p>
<p>昨今、内部統制や監査や開示も厳しくなり、上場も「めんどうなこと」になりつつあります。<br />
日本では「会社を売る」というドライな発想もまだあまり浸透していないので、金銭的には得なM&amp;Aの案件があっても会社を売りたがらない（バイアウトしたがらない）こともあるかも知れません。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">モニタリングの工夫</span><br />
こうしたことを回避するための一つの方法は、VCが役員やオブザーバーを派遣して経営監督をすることです。</p>
<p>しかし、（すべてのVCがそうではありませんが）日本のVCの担当者は一人当たり数十社の担当を持っていたりで非常に忙しいので、なかなか、シリコンバレーのイケてるVCのような手取り足取りの「ハンズオン」は難しいことも多くなってます。<br /></p>
<p>一人の担当者がその会社を本当によく理解して、成長のためのアドバイスや人材・提携先の紹介をできるのは、個人的には、せいぜい5社から10社程度ではないかという気がします。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">上場の努力義務と株式の買取条項</span><br /></p>
<p>「上場に向けて最大限の努力をする」といった条項もよく盛り込まれます。<br />
もちろん上場してくれないと投資家は資金が回収できないので、企業側がそれに向けて努力するのは当然と言えば当然。<br />
「最大限」といっても睡眠や休暇もとらないでやるというのはかえって効率が悪いので、表現としては「<span style="text-decoration: underline;">合理的な範囲で</span>上場に向けて最大限の努力をする。」くらいの表現がいいのではないかとも思いますが、それはさておき。</p>
<p>投資契約でベンチャー企業側が最も気をつけるべきことの一つは、単なる上場に向けた努力義務ではなく、「○年までに上場できない場合には会社と社長が連帯して株式を買い取らなければならない」といった<span style="text-decoration: underline;"><b>株式の買取条項</b></span>です。<br />
買い取らなければならない株価も、「投資した額の○倍、一株あたり利益の○倍、一株あたり純資産のうち最も大きい額」といった形で非常に高い金額になっていることが多いので、上場できない企業やその社長が払える金額ではないことがほとんどです。<br />
（結局、株式で投資してもらったのではなく、高利の借金をしたのと同じことになりかねません。）</p>
<p>上場するほど成功していないベンチャーから取れる金額はそもそも限られるので、裁判になる可能性が大きいとは言えませんが、そもそも双方できないと思っている約束を契約に盛り込むというのもおかしな話。<br />
買取条項を入れるにしても、<span style="text-decoration: underline;">「上場できない場合」ではなく「上場への努力義務を果たさない場合」</span>等にしてもらうのがいいのではないかと思います。<br /></p>
<p>一方、投資家側に立てば、投資を受けていながら「努力はしてるんですけどー」と、のらりくらり逃げられるベンチャー企業は困る。<br />
結局、VCがちゃんと社外取締役を派遣してモニタリングを行い、毎月の取締役会で詳細な情報提供を行わせていれば、上場への努力をしているのかどうかもわかるし、経営陣をうまくやる気にさせることもできるかも知れないわけで。<br />
結局、ベンチャーキャピタルの投資スタイルと卵と鶏の関係もあるので、なかなか難しいところです。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>投資家側から見た問題点２：期待したほど額のEXITができない</b></span><br /></p>
<p>EXITする場合でも、期待したほどの額には満たないとか、投資家の分け前が気に食わない、といったこともありえます。</p>
<p>例をあげてみましょう。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">資本金1千万円</span>の会社に<span style="text-decoration: underline;">VCが4億円投資</span>して<span style="text-decoration: underline;">20%</span>を取得したとします。<br />
VCが投資する前に株式を持っていたのは、創業者だけとします。</p>
<p>VCが投資した時点では「100億円以上の時価総額で上場を目指す」というビジネスプランでした。<br />
しかし、創業者が上場のことを勉強するうち、だんだん「上場企業の経営者になるのも大変そうだなあ」という気がしてきました。<br />
そんなある日、このベンチャー企業に「20億円で会社を売らないか?」というオファーが某上場企業からあったとします。<br /></p>
<p>VCが普通株式だけで投資をした場合には、</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091123/200911230550.jpg" width="480" height="175" alt="200911230550.jpg" /><br />
図表１．普通株式でVCが投資、20億円で売却する場合</p>
<p>　<br /></p>
<p>上図のように、VCは投資した4億円がなんとか回収できるだけで、<span style="text-decoration: underline;">儲けはゼロ</span>です。<br />
これに対して、<span style="text-decoration: underline;">創業者は、1千万円の元手で16億円の現金！が転がり込んで来る</span>わけです。</p>
<p>この条件だと、このバイアウトの話が来たとしたら、創業者は当然「バイアウトしたい」と思うでしょうし、VCは「そんなろくでもないこと考えずに、IPO目指して頑張れよ！」ということになるはずです。</p>
<p>投資契約で、VCがOKと言わないと事実上バイアウトができないようになっている場合には、このバイアウトはお流れ、ということになります。</p>
<p>逆に、投資契約上の縛りがなく、創業者が自由にバイアウトするかどうかを決められる場合には、VCの反対にも関わらず、バイアウトは成立してしまうでしょう。</p>
<p>　</p>
<p>上記のケースは、VCが投資した時点の評価額（20億円）で売れたからまだいいようなものの、もっとヒドいケースも考えられます。</p>
<p>VCの投資後、事業がそこそこにしかうまくいかず上場の目処も立たないところに、「4.1億円で会社を売らないか」というオファーがあったとします。</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20091123/200911230636.jpg" width="480" height="132" alt="200911230636.jpg" /></p>
<p>図表２．普通株式でVCが投資、4.1億円で売却する場合</p>
<p>　</p>
<p>こうなると、VCは4.1億円の20%で8200万円しかリターンがありません。<br />
3億1800万円の損です。</p>
<p>ところが、創業者は1千万円しか投資してないのに、3.28億円の売却額を手にするわけです。</p>
<p>投資契約でVCがこのディールをコントロールできれば、もちろんそんなことはさせないわけですが、そうでない場合には、ディールが進められてしまいます。</p>
<p>　</p>
<p>それを防ぐためには、下記のように「<span style="text-decoration: underline;">優先分配権</span>」が付いた種類株式で投資をする方法が考えられます。<br />
つまり、「投資した額の4億円まではVCが先にとる。」という条件。</p>
<p>　</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091123/200911232156.jpg" width="480" height="132" alt="200911232156.jpg" /></p>
<p>図表３．優先分配権付種類株式で投資、4.1億円で売却する場合</p>
<p>　</p>
<p>これだとVCは投資した4億円を回収できますし、創業者も1千万円が帰ってきますので、図表２のように、VCだけが大損するようなことは防げるのですが、</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20091123/200911232201.jpg" width="480" height="177" alt="200911232201.jpg" /></p>
<p>図表４．優先分配権付種類株式で投資、20億円で売却する場合</p>
<p>　</p>
<p>結局、図表１のケースと同様、4億円で売れようが、20億円で売れようが、VCの取り分は同じになってしまいます。</p>
<p>　</p>
<p>そこで、シリコンバレーのVCなどは「<span style="text-decoration: underline;"><b>○倍の優先分配権</b></span>」を付けるということを行います。</p>
<p>たとえば４倍の優先分配権なら、「投資した4億円の4倍＝16億円まではVCがとる。」ということ。</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20091123/200911230556.jpg" width="480" height="164" alt="200911230556.jpg" /><br /></p>
<p>図表５．4倍優先分配権付種類株式で投資、20億円で売却する場合</p>
<p>　</p>
<p>これだと、会社が20億円で売れれば、VCは投資した額の4倍を手にすることができますし、<br />
創業者も1千万円の投資が4億円になるのですから、そこそこ満足です。</p>
<p>こうすることで、創業者が「より高い価格で会社を売却したい。（売却しないとオレの取り分ゼロになっちゃう）」と考えるようになり、「安値で叩き売り」するインセンティブを減らすことができるわけです。　</p>
<p>また、IPOのように、<span style="text-decoration: underline;"><b>株価が投資した時の評価額の何倍にもなるといったことにならなくても、VCも創業者も双方ハッピー</b></span>なわけです。<br />
しかし、種類株式を使わないと、なかなか、こうしたうまい分配メカニズムは構築できないですし、結果として「うまくやれば双方ハッピーだったはずの売り時を逃す」といった可能性を減らすことができます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">その他「安売り」を防ぐ方法としては：</span><br /></p>
<p>IPOやバイアウトの目標金額を契約で合意して、それに向けた努力をする。</p>
<p>合併、会社分割、事業譲渡、株式譲渡等についてVCが<span style="text-decoration: underline;"><b>拒否権</b></span>を発動できるようにしておく。<br />
（投資契約で定めるもの、種類株式の要項で定めるもの）</p>
<p>等が考えられます。</p>
<p>もちろん、VCが例えば3分の1超の株式を持っていれば、日本の会社法上、合併や会社分割には「NO」と言える拒否権があります。<br />
しかし、例えば20%しか投資しない場合でも、前述のようなリスクはあるわけですから、VCの方としてはそうした拒否権は欲しいところですし、ベンチャー企業側としては必ずしもそうした権利を与える必要はないわけで、このへんは、力加減や交渉の世界になってきます。</p>
<p>　</p>
<p><b style="text-decoration: underline;">投資家側から見た問題点３：「経営陣だけ売り抜け」</b><br /></p>
<p>前項で見た問題点は、合併など全株主が強制的にM&amp;Aに参加させられるようなものを考えていました。</p>
<p>しかし、よくも悪くも、投資家が株式売却に誘ってもらえず、創業者だけが持株を第三者に売ってしまう、ということも考えられます。</p>
<p>例えば：</p>
<p>ベンチャー企業にVCが1億円投資して全体の30%の株式を取得したが、その後、取締役3名が株の売却先の企業を見つけて来て、保有していた株式70%を勝手に売ってしまった。</p>
<p>買い手の企業は、VCの株を買い取る気がない。</p>
<p>こうなると、VCの株は塩漬けになってしまいます。</p>
<p>こうしたことを防ぐために、「<span style="text-decoration: underline;"><b>共同売却権</b></span>」とか「<span style="text-decoration: underline;">拒否権</span>」、また、「もし第三者に売るなら先にVCに売ってくれ」と言える「<span style="text-decoration: underline;"><b>先買権</b></span>」などといった権利を設定することがあります。　</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>投資家側から見た問題点４：投資家間の不公平</b></span><br /></p>
<p>VC１が先に1株20万円で投資をしていたが、後から来たVC2が1株10万円で投資をすることになったとします。</p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091123/200911230619.jpg" width="480" height="245" alt="200911230619.jpg" /><br />
図表６．20万円の株価で100株投資後、10万円で150株投資するケース

<p>　</p>
<p>つまり、下図のように、VC1の投資直後には、企業価値は<span style="text-decoration: underline;">6000万円</span>（20万円×300株）あったわけですが、</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091123/200911232224.jpg" width="480" height="227" alt="200911232224.jpg" /></p>
<p>図表７．上記ケースの場合の「加重平均株価」<br /></p>
<p>　</p>
<p>投資直後には、企業価値は<span style="text-decoration: underline;">4500万円</span>（10万円×450株）まで下がってしまうわけです。</p>
<p>基本的には、状況が悪化したから株価が下がったはずではありますが、後から来た投資家に安い価格でシェアを取られると、自分の取り分がその分少なくなるので、権利は主張しておきたいところです。<br /></p>
<p>このため、下記のように、それまでの企業価値が、VC2の新たな投資で薄まった分、全体を加重平均した価格で、VC1の株式数（種類株式を上場前などに普通株式に<span style="text-decoration: underline;">転換</span>[普通株式を対価とした種類株式の取得]する時の株式数）を調整し、VC1が保有する株式を普通株式換算した株式数を100株から120株に増やす、ということが考えられます。</p>　 <img src="http://tez.com/mag/archives/20091123/200911230621.jpg" width="480" height="242" alt="200911230621.jpg" /><br />
図表８．「加重平均株価」で株式数を調整

<p>　</p>
<p>VC1が、次回以降の投資に対する実質的な拒否権を持っている場合には、こうしたインセンティブを付けてあげないと、会社の経営環境が悪くなっていた時に資金調達が行えくなってしまうかも知れません。</p>
<p>VC1にとってもっと都合がいい条件として、「次の投資家の株価まで下げられる」というものも考えられます。<br />
（「フル・ラチェット」などと呼ばれます。）</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20091123/200911230622.jpg" width="480" height="285" alt="200911230622.jpg" /><br />
図表９．「増資株価」で株式数を調整</p>
<p>　</p>
<p>これだと、上記の図のように、普通株式100株分だったVC1の持株数が、200株に増えるわけです。</p>
<p>VC1にとっては、より、次回の投資に応じやすくなりますが、創業者やVC2にとっては、比率が低下するため、旨味が少なくなるかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p>---</p>
<p>今回は、以上のようないろいろな局面での投資契約や種類株式の活用について考えてみました。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">適切なメカニズムを事前に設定しておくことで、いざ「修羅場」になったときにも、<b>関係者のインセンティブを適切に調整</b>できる可能性があります。</span>一方で、ご覧の通り、こういうことは結構「ややこしい」わけです。<br /></p>
<p>ベンチャー企業側も理解するのは大変ですが、投資のプロであるVC側も、前述の通り一人当たりの担当者数が多過ぎることが多く、なかなか、個々の企業に合った複雑な契約内容を投資先に提案できないことが多いかと思います。</p>
<p>こうした条項は、そもそも投資家を保護するためのもので、創業者側はややこしい条件に縛られるのは一見不利ですから、VCが「（面倒なので）普通株式でいいです」と言っているのに、創業者側から「いや、もっとオレを縛ってくれ」と言う筋合いのものでもないわけでして。</p>
<p>また、あるVCが「種類株式で」と強硬に主張しても、他の投資家が「普通株式でいいですよ」と言えば、そっちの低い方に流れて決まる可能性も高い。</p>
<p>日本のVC業界全体の投資スタイルが変わらない限り、大きくは変わって行きそうにありません。</p>
<p>一方、今後IPOのハードルが上がってもベンチャー企業にチャレンジする人が次々に現れるためには、バイアウトが盛んになることが必要だと考えられます。<br />
しかし、上記で見た通り、普通株式でバイアウトすると、投資家が保護されないケースも多く想定されますので、今後はこうした投資スキームが普及して行くことが非常に重要なのではないかと思います。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）</p>
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    <title>週刊isologue（第33号）日本の国債は「紙くず」なのか？（国の財務書類・貸借対照表編）</title>
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    <id>tag:tez.com,2009:/mag//4.1487</id>

    <published>2009-11-16T02:28:21Z</published>
    <updated>2009-11-21T22:41:17Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
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    </author>
    
    
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        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2009.11.16</span>（第33号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■日本の国債は「紙くず」なのか？（国の財務書類・貸借対照表編）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>今、世間では「事業仕分け」の話題がホットですね。</p>
<p>国の数字が一般にビジネスをやってる人たちに今一つ分かりにくいのは、金額が100兆円1000兆円とバカデカくてイメージが湧きにくいこともさることながら、現金主義的でストック概念も無い等、一般の企業会計と全く異なる体系で処理されているところではないかと思います。</p>
<p>もちろん、国家予算についてちゃんと勉強すれば理解できるのでしょうけど、「基準」が違うというのは「見る側」にとっては非常にうっとうしい。</p>
<p>企業会計の世界では今、全世界がIFRS（国際財務報告基準）に統一されようかという流れになっていますが、IFRSを採用していないアメリカや日本でも、IFRSとの大きな相違点は無いように（コンバージェンス）されていますので、大雑把に見ればIFRSと大差ないとも言えるわけです。<br />
にもかかわらず、これを完全に一致（アドプション）させようというのは、「<span style="text-decoration: underline;"><b>数字を見る人にとっては、ほんのわずかな基準の違いさえウザい</b></span>」ということを端的に表しているのではないかと思います。</p>
<p>ましてや、企業会計と全く異なる政府の数字を、一般のビジネス界の人が忙しい時間を割いて勉強しながら読むなんてことは、面倒なことこの上ないわけで、実際やってる人はほとんどいないはず。</p>
<p>---<br /></p>
<p>私も上記のような問題意識があったので「公会計」の情報はポチポチ入手してはいたものの、具体的なケースについては不勉強であまり見たことがなかったんですが、<a href="http://twitter.com/kazikeo/status/5680951192">ツイッター</a>で池尾和人教授から「国の財務書類」が公表されていることを教えていただきました。<br />
（ツイッターで一応お礼は申し上げたのですが、重ねて御礼申し上げます！）</p>
<p><b>一通りしか見てませんが、これはスゴい！</b></p>
<p>もちろん、公会計なので企業会計と異なる部分も多いのですが、それでも、貸借対照表があるだけで国の財政状態が100倍はよくわかるのではないかと思います。<br />
附属明細書も詳細についていて、ここからかなりの情報が読み取れるかと思います。&nbsp;&nbsp;</p>
<p>「国の借金がものすごく増えているようだが、日本は大丈夫なのか？」<br />
「政府の借金に対応する資産は何もなくて、国債の実態って実は紙くずなんじゃないのか？」<br />
と心配されてる方も多いと思いますので、今回は、この「国の財務書類」のうち、貸借対照表を中心に、財務に詳しい方も初心者の方もイメージがわくよう、ビジュアル化して見ていきたいと思います。<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「国の財務書類」の概要</b></span></p>
<p>平成16年6月に財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会が取りまとめた「<a href="http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/tosin/zaiseidg191119/zaiseidg191119.htm">省庁別財務書類の作成について</a>」に基づいて、各省庁が「<b>財務</b><span style="text-decoration: underline;"><b>書類</b></span>」（「財務<span style="text-decoration: underline;">諸表</span>」でも「<span style="text-decoration: underline;">計算</span>書類」でもない）を作成し、それを基礎として省庁間の債権債務等を相殺消去して、国全体の「財務書類」が作成されてます。<br /></p>
<p>「<a href="http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/fs/2009_01a.pdf">平成19年度 国の財務書類</a>」という文書に載っている「国の財務書類の構成」という図が、国の財務書類の全体像を一目で表してます。</p>
<p><br />
<a href="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911150709.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911150709-tm.jpg" width="480" height="367" alt="200911150709.jpg" /></a><br />
図表１．国の財務書類の構成<br />
（クリックで拡大、出所：「<a href="http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/fs/2009_01a.pdf">平成19年度 国の財務書類</a>」(pdf)4ページ）</p>
<p>　</p>
<p>国の会計が分かりにくい大きな理由の一つは、一般会計の他に<span style="text-decoration: underline;"><b>「なんちゃら特別会計」といった勘定がポロポロとたくさん分かれていて</b></span>、何が全体像なのかが全くイメージできないところじゃないでしょうか。</p>
<p>普通の企業なら、財務諸表に全てが包含されているはずであり、そこから重要なものが漏れていたら粉飾にもなりうるし刑事罰もあるわけです。<br />
「<span style="text-decoration: underline;"><b>埋蔵金</b></span>」なんてものが有るだの無いだの言っている時点で、「本当に、政府の財務の全貌は誰かがちゃんと見てるんだろうか？」という疑問が湧いて来ますよね？</p>
<p>ところが、この「<b>国の財務書類</b>」というのは、一般会計と特別会計を合算した概念になっており、「国」の分についてはすべてが包含されているようです。<br /></p>
<p>また、「独立行政法人なんちゃら」といった組織も含めた概念が「<b>連結財務書類</b>」となっています。</p>
<p>財務書類の体系は、</p>
<ul>
  <li>資産及び負債の状況を明らかにする「貸借対照表」</li>

  <li>業務実施に伴い発生したコストを明らかにする「業務費用計算書」</li>

  <li>貸借対照表の資産・負債差額の増減の状況を明らかにする「資産・負債差額増減計算書」</li>

  <li>財政資金の流れを区分別に明らかにする「区分別収支計算書」</li>

  <li>これらに関連する事項についての「附属明細書」</li>
</ul>
<p>となってます。</p>
<p>国は、一般企業のように<span style="text-decoration: underline;">「売上（利益）を獲得するために費用を使う」のとはちょっと違</span>います。税金というのは、契約に基づいて支払う対価というより、<span style="text-decoration: underline;">対価性がない収入</span>です。つまり乱暴にいうと「法律で決まってるから、とにかくよこせ」ということです。<br />
（もちろん、税金に応じた行政サービスが行われることは漠然とは了解されてますし、現在ご案内の通り予算は大赤字ですので、むしろ払った金額以上のサービスをしてくれているわけですが。）</p>
<p>このため、上記のとおり「貸借対照表」以外は、聞き慣れないフォームが並んでます。<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">公表、もっと早くならないか？</span><br />
この「国の財務書類」を一見した課題の一つは、<span style="text-decoration: underline;">開示が遅い</span>ところじゃないかと思います。現在開示されているのは平成19年度（平成20年3月期）のもので、前々期のもの。<br />
国は企業と違って複式簿記体系を採用してないはずなので、そこから貸借対照表を作り上げるというのはエラく大変ではないかと思いますし、総資産1兆円の会社の決算でも大変なのに、1000兆円！！規模の組織の財務書類を作り上げる作業は想像を絶します。</p>
<p>しかし、（決算期後1ヶ月で適時開示しろ、とは申しませんが）、せめて半年後くらいには開示してほしいところです。<br />
<span style="text-decoration: underline;">一般の企業会計に近い形での数字の公表は、</span><span style="text-decoration: underline;">広く国民が国政に目を向けるのに、大いに役に立つ</span>と思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">監査はしないのか？</span><br />
Webをさらっと検索したところでは、この「国の財務書類」は、監査法人が監査してないことはもちろん、会計検査院もチェックしている気配がありません。<br />
おそらく、監査法人のアドバイスを受けたり、財務省の人が各省庁の担当者を指導したりはしてるんじゃないかと想像はしますが、「監査論」的に考えると第三者の目が通っていないので、信用していいのかどうかビミョーな数字だと言うことになります。</p>
<p>何度も申しますが1000兆円!!規模の組織なので、この「財務書類」に通常の監査手続きを行って適正意見をもらおうなんてことは無謀かもしれないですし、ちゃんとした監査手続きを実施したら監査費用は100億円単位になって、会計士試験に合格した人の就職難なんて一気にフッ飛ぶのではないかと思います。<br />
（財政危機の折、なかなかそんな新たな予算計上は難しいとは思いますが。）</p>
<p>データはただ開示されるだけではダメで、利用者が読む気になって、イメージが伝わらないと意味がありません。このデータが、国民が広く国のことを考えるのに非常に重要だとすると、そのデータの信頼性の確保も重要です。</p>
<p>「監査」「レビュー」より軽めでもいいので、何かしらの第三者的チェックが入り、第三者の目に広く触れるようにすることが重要ではないかと思います。</p>
<p>---</p>
<p>今回は、財政状態を見るためにも、なじみがある「貸借対照表」を中心に見て行きたいと思います。<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■平成19年度 国の財務書類の概要</b></span></p>
<p>国の財務書類の概要をつかむためには、コンパクトにまとめて数枚で説明した「国の財務書類の概要」がわかりやすいです。</p>
<p><br />
<a href="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911160325.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911160325-tm.jpg" width="480" height="235" alt="200911160325.jpg" /></a><br />
図表２．貸借対照表（国/連結対比）<br />
（クリックで拡大、出所：「<a href="http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/fs/2009_02.pdf">国の財務書類の概要</a>」）</p>
<p>　</p>
<p>連結と単体の財務諸表の差を「連単差」と言いますが、「国」と「連結」の連単差は、特殊法人等との差になりますので、<span style="text-decoration: underline;"><b>「埋蔵金」を探索</b></span>するにも有益なんじゃないかと思います。</p>
<p>ただ、さっと見ていただいておわかりのとおり、<span style="text-decoration: underline;"><b>日本郵政が連結されてる</b></span>のが目立ちすぎて、数兆円程度の「小粒な」埋蔵金は、かなり目を凝らさないと見つけられなさそうです。</p>
<p>ちなみに、「連結財務書類」においても、<span style="text-decoration: underline;">日銀は連結されてない</span>ようです。<br />
（郵便貯金以外の預金とか「発行銀行券」といった数十兆円規模の科目が無いので。）<br /></p>
<p>「独立性があるから」というだけなら、国会、裁判所、会計検査院等も連結されなくてもよさそうですが、それらはすべて連結されてます。</p>
<p>（日銀法等の条文にあたっていませんが）<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%8A%80%E8%A1%8C#.E6.A6.82.E8.A6.81">Wikipediaの記述を見ると</a>、「日銀の出資証券は議決権は無い」旨が書いてあるので、支配力が無いとみて連結してないのかと思います。（実態としても政府が支配しているとまでは言えないと思います。）</p>
<p>また特殊法人等をどこまで連結しているのかも詳細を見ていませんが、企業会計の連結では、必ずしも議決権等の過半を持っていなくても、人事や貸付金や取引などで実質的に支配しているかどうかの<span style="text-decoration: underline;">「支配力基準」</span>で見ます。国の会計でも、「<span style="text-decoration: underline;"><b>実質的に支配しているかどうか</b></span>」の判断をして連結してみたら、役人支配の実態がわかって面白いかも、と思います。</p>
<p>議決権や資本関係は全くなくても、公益法人や一般事業会社で代表者が常に官僚出身者で政府との取引額が非常に大きいといった組織が山ほどありそうですが、そういった組織は連結されてないんでしょうね。（未確認です。）</p>
<p>　</p>
<p>また、この平成19年度（平成20年3月期）は、ちょうど郵政が民営化された年なので、政府の会計の何がどう変わったのかも、上記の「<a href="http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/fs/2009_02.pdf">国の財務書類の概要</a>」を詳細に見ると、理解が深まると思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■国の貸借対照表をビジュアルに見てみる</b></span></p>
<p>この国の貸借対照表（一般会計＋特別会計）をビジュアル化してみると、下記のような感じになります。</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911161650.jpg" width="196" height="480" alt="200911161650.jpg" /></p>
<p>図表３．日本政府（一般会計＋特別会計）の貸借対照表<br />
（クリックで拡大する図は後掲。）</p>
<p>　</p>
<p>週刊isologue第30号で資金循環表を取り上げましたが、その平成21年3月の残高表（「国の財務書類」の1期後で、期が違います）を参考までに並べてみると下記の通り。</p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911161654.jpg" width="182" height="480" alt="200911161654.jpg" /><br />
図表４． 資金循環統計（残高）と貸借対照表の違い<br />
（クリックで拡大する図は後掲。）</p>
<p>　</p>
<p>「資金循環表（残高）」の、「中央政府」と「社会保障基金」を足した規模が、「国の財務書類」の貸借対照表の規模とほぼ合っていることがわかります。</p>
<p>資金循環表だけ見ていると、「資産負債差額」が非常にデカく、証券などの「金目のもの」が資産にほとんどないので、「国の借金の大半は『赤字』の穴埋めとして消えていて、国債は実態のない紙くずなんじゃないか？」という暗澹たる気持ちになるかも知れません。</p>
<p>（世間の95%以上の人は、おそらく「負債」と「赤字」の区別がついていないんじゃないかと想像します。）<br /></p>
<p>「国の借金、過去最大の864兆円」といった報道が報道が行われると、「日本は大丈夫か？」「国民１人あたりの借金は約678万円って、そんなに返せねーよ！」という気持ちになるかも知れませんが、<span style="text-decoration: underline;"><b>借金を全部返す必要はまったく無い</b></span>わけです。</p>
<p>一般企業でも、借金を全部返そうと思って事業をしているわけではないですし、適正なレベルなら借金が永遠にあっても全くかまいません。<br />
借金に見合った資産があるなら、なおよろしい。</p>　<br />
<p>週刊isologue第30号でも書いた通り、資金循環表に載っているのは、貸借対照表の項目のうち<span style="text-decoration: underline;">金融資産・金融負債だけ</span>で、<span style="text-decoration: underline;"><b>固定資産等については掲載されてません</b></span>。だから、資金循環表の資産負債差額（583兆円）は、全部が全部「債務超過」を意味するわけではありません。<br />
（また、資金循環表は「統計」であり、複式簿記とは異なるとはいえ、一応積み上げで計算した「会計」とは異なるはずです。よく見ると数字がなんとなく合ってない感じもします。）</p>
<p>国の貸借対照表の方には固定資産等も掲載されてますので、<span style="text-decoration: underline;">「赤字（債務超過）」の額は、資金循環表からの印象よりはマシ</span>だと思われると思います。</p>
<p>しかし、政府は、<span style="text-decoration: underline;"><b>帳簿上は282兆円の債務超過</b></span>です。</p>
<p>　</p>
<p>この２つに、「連結」も併せてみた図が下記です。</p>
<p>　</p>
<p><br />
<a href="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911161702.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911161702-tm.jpg" width="275" height="480" alt="200911161702.jpg" /></a><br />
図表５．「連結」貸借対照表との対比<br />
（クリックで拡大）</p>
<p>　</p>
<p>「国」と「連結」を比べると、「連結」の方が「公債」（青）の額が減っていることがわかります。<br />
これは、日本郵政が郵貯・簡保で集めた金は、ほとんど国債を購入するのに使われてますが、政府が日本郵政の株式を100%保有しているので、政府との間の資産・負債が消去されるためです。</p>
<p>昔、イ・アイ・イ・インターナショナルという不動産投資会社が、信用組合を傘下に収め、預金で集めた金を大量に本体に流してましたが、それを思い起こす人もいるかも知れません。<br />
預金や保険で集めた資金が、リスク分散されず、<span style="text-decoration: underline;"><b>「大株主の借金の穴埋め」</b></span>で使われるというのは、（国がやってることで、これ以上安全な運用は無いという見方もできますが）、健全な状態とは言い難いと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>日本政府は「債務超過」なのか？</b></span></p>
<p>さて、上記のとおり、日本政府は資産より負債の方が300兆円弱多いので帳簿上は明らかに「債務超過」の状態です。<br />
つまり、<span style="text-decoration: underline;"><b>単純に考えると、日本政府にはマイナス300兆円の価値しかない</b></span>、ということになります。</p>
<p>しかし、帳簿には資産の時価が反映されていない分（「含み」）がある場合も多いはずです。日本政府についてはどうでしょうか？<br />
もし300兆円くらい「含み」があるのであれば、 まだ日本政府は実質的には債務超過に陥っていないし、国債は資産の裏付けがない紙くずというわけでもなさそうです。</p>
<p>　</p>
<p>一番「含み」が発生している可能性がある土地についてみてみましょう。</p>
<p><a href="http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/tosin/zaiseidg191119/zaiseidg191119e.htm#04">「省庁別財務書類の作成について」の「補論」</a>を見ると、「(1) 有形固定資産の計上価額」として次のような記載があります。</p>
<blockquote>
  <p><span style="text-decoration: underline;">国有財産の計上価額</span><br />
  公共用財産（公園及び広場を除く。以下同じ。）を除く土地や建物等の国有財産については、国有財産法に基づき管理が行われており、また、<span style="text-decoration: underline;"><b>国有財産台帳</b>によって価格管理</span>がなされている。国有財産台帳の計上価格については、時価等を反映させるとの観点から、出資金等一部の財産を除き、<span style="text-decoration: underline;">５年ごとに時価等を反映した価格改定</span>が行われている。<br />
  　貸借対照表の資産の計上価額については、基本的に、取得原価を基礎として計上することとしている。しかし、国有財産について取得原価を基礎として評価を行うためには、国有財産台帳とは別個に取得原価を基礎とした価格管理を行う必要があるほか、国有財産の情報開示としては、<span style="text-decoration: underline;">時価が反映された価格を提供することも意義が認められる</span>。このため、<span style="text-decoration: underline;">国有財産については、国有財産台帳価格を基礎とし</span>、償却資産については、定率法による減価償却を行い、減価償却費相当額を控除した後の価額を計上することとした。</p>
</blockquote>
<p>つまり、ふつうの企業会計であれば、固定資産は買った時の値段（から減価償却費や減損を引いた価格）になっているわけですが、「国有財産」については、「<span style="text-decoration: underline;">めんどくさいから時価っぽい感じでやってますよ</span>」 というわけです。</p>
<p>「公共用財産」（河川や道路等）というのもあるのですが、</p>
<blockquote>
  <p>公共用財産の計上価額<br />
  公共用財産については、国有財産法上、<span style="text-decoration: underline;">国有財産台帳の作成等が適用除外</span>となっていることから、その価格が管理されておらず、また、新たに評価を行うことも困難である。このため、国の所有となる公共用財産については、<span style="text-decoration: underline;">過去の用地費や事業費等を累計することにより取得原価を推計し計上</span>することとした。 なお、償却資産については、推計して算出した取得原価に基づいて、定額法による減価償却を行い、減価償却費相当額を控除した後の価額を計上することとした。</p>
</blockquote>
<p>つまり、こちらは<span style="text-decoration: underline;">取得原価に近い形</span>で計上されているようです。<br />
つまり、<span style="text-decoration: underline;">大昔から国の土地である部分については、取得価格がほぼゼロで、価値上昇分が財務書類に反映されてない可能性が高い</span>ことになります。</p>
<p>具体的に、国の貸借対照表を見てみると、</p>
<ul>
  <li>国有財産の土地：18.4兆円</li>

  <li>公共用財産用地：35.7兆円</li>
</ul>
<p>で、計51.2兆円。</p>
<p>　</p>
<p>ここで例えば、東京丸の内の隣にある皇居の土地について（皇室に失礼かも知れないのはお許しいただいて）考えてみましょう。<br />
<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%A2%E7%A9%8D%E3%81%AE%E6%AF%94%E8%BC%83">Wikipediaの記載によると</a>「国有財産としての皇居の価値は、2146億4487万円である（財務省資料に基づく、2009年5月現在）」とありますが、安過ぎませんでしょうか？<br />
（都心のちょっとしたビル10棟分くらい？）</p>
<p><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%A2%E7%A9%8D%E3%81%AE%E6%AF%94%E8%BC%83">別のWikipediaの記載によると</a>皇居の面積は1.42 km<sup>2</sup>だそうですので、丸の内の地価公示などから考えると、皇居だけで50兆円分くらいの価値はあってよさそうです。<br />
隣には霞ヶ関の官庁街の土地もあります。</p>
<p>他にも、全国の国有地や国道など、（<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%9C%89%E8%B2%A1%E7%94%A3">行政財産</a>は原則として売却の対象ではないそうなのであくまで仮定の話になってしまいますが）、国民がその利用から得る便益を考えたら、とても、国民一人当たり50万円弱で買えるものでないのは明らかだと思います。</p>
<p>このため、前述の記載では、固定資産に時価が反映されているようなことが書いてありましたが、そもそも売買されないものに、どうやって「時価」を反映させているのか謎でありますし、上記の、皇居とか霞ヶ関あたりの土地の価値だけ考えてみても、日本全体の国有地で51.2兆円という金額は、かなりの過小評価とも考えられるのではないかなあ、と思います。</p>
<p>もちろん、「企業価値」と同様、モノの価値には多様な見方がありますし、売却を前提としていない上に、仮に売ったとしても何十兆円のものが一時に落札されるわけはないので、こういった公共性の高い何十兆円もの資産のフェア・バリューがいくらなのか？というのは、あくまで思考実験になってしまいます。</p>ついでに思考実験で遊んでみると、日本政府全体が<span style="text-decoration: underline;"><b>仮に</b></span>M&amp;Aで買収されるとしたら、300兆円の債務超過だから誰も買い手がつかないかというと、某長信銀が外資系ファンドに買われた10億円以上の価格で、いくらでも買い手が付くのではないかと思います。<br />
（そして、後で「安過ぎだった」とマスコミから叩かれる。）

<p>マイナス要因としては、「貸付金」などがろくでもない第三セクター等に貸し出されていて、実態としては不良債権化しているといった可能性も考えておかないといけないかも知れません。</p>
<p>機会があれば、より詳細に「日本政府の資産価値」について考えてみたいと思いますが、帳簿上はともかく、実態としてまだ政府の価値はマイナスではない可能性も十分ある気がします。<br />
（<span style="text-decoration: underline;">実際には「資産査定（デューデリジェンス、DD）」をしてみないと何とも言えません</span>。数百兆円もの資産を誰がどうやって査定するのかはさておき。）</p>
<p>また、もちろん、<span style="text-decoration: underline;">「だからもっと国債発行しても大丈夫」といったことを主張してるわけではありません</span>ので、念のため。<br />
個人金融資産も企業収益も伸び悩む中で、国債の消化は危機的な状況にあるのは間違いないのではないかと思います。いくら仮想的な価値があっても、実際に金が流れないことには国債は売りさばけませんので。</p>
<p>しかし同時に、上記の資料からは、日本国債が何の資産にも対応していないただの紙くずだ、とまでは言い切れない気もします。<br />
帳簿上債務超過であっても、例えば名前も聞いたことないようなアフリカの国の政府が債務超過だ、というのとは、ちょっと違うと思います。（希望的観測を含む。）</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■省庁別財務書類</b></span></p>
<p>そして、この財務書類がさらにすばらしいのは、各省庁別の財務書類も公表されていることです。それも、「国」レベルと同様、一般会計・特別会計の合算や「連結」に分かれており、附属明細書までついているので、かなりの情報量のものになっています。</p>
<p>「国の財務書類」ですらネットで検索してもブログ等でほとんど取り上げられていないですが、「省庁別財務書類」ともなると、役所の発表資料以外のネットでの記載はほとんどゼロのようです。<br />
これは宝の山かもしれません。</p>
<p>「省庁別財務書類」と「国の連結財務書類」の全体像のイメージをつかんでいただくために、貸借対照表について図にしてみたのが下記です。</p>
<p><br />
<a href="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911161712.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20091116/200911161712-tm.jpg" width="307" height="480" alt="200911161712.jpg" /></a></p>
<p>図表６．「省庁別財務書類」と「国の財務書類」<br />
（クリックで拡大）</p>
<p>　</p>
<p>これら個々の省庁別財務書類を合計して、相互の資産・負債等を消去したのが、「国の財務書類」になっているわけです。<br />
1100兆円分の話を省庁別に細かく語っていると紙がいくらあっても足りませんので、気づいた概要を箇条書きで述べます。</p>
<ul>
  <li>やはり、最もバランスシートがでかいのは財務省。</li>

  <li>「債務超過」も、財務省がもっともでかい。</li>

  <li>貸借対照表のサイズが次にでかいのは、総務省、国土交通省、厚生労働省あたり。</li>

  <li>総務省はもちろん「日本郵政」を連結しているため。<br />
  日本郵政がなければ、総務省は非常に小さい。（「たった」40兆円規模。）</li>

  <li>国土交通省は、資産負債差額のプラス値（紫）が最もでかいですね。<br />
  どういうしくみか、いずれ詳細に検討してみたいです。</li>

  <li>厚生労働省は、もちろん「年金」があるためです。</li>

  <li>そして、各省庁は基本的には自分で独立して資金調達したり売上を上げているわけではないので、この区分はあくまでいろんな擬制や仮定を置いた上でのものであり、債務超過の省庁がダメ省庁で、資産超過だったら優秀・・・といった単純な判断はできませんので、念のため。</li>
</ul>
<p>以上、非常にざっくりとですが、「政府の財務書類」について考えてみました。</p>
<p>日本政府の負債総額1100兆円の中身についてイメージが膨らんだとしたら幸いです。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）</p>
<p>　</p>
<p>参考資料：　</p>
<p><a href="http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/tosin/zaiseidg191119/zaiseidg191119.htm">省庁別財務書類の作成について：財務省</a><br /></p>
<p><a href="http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/fs/2009.htm">平成19年度 国の財務書類：財務省</a><br /></p>
<p><a href="http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/tosin/zaiseidg191119/zaiseidg191119e.htm#04">省庁別財務書類の作成について</a>（基準）<br /></p>
<p><a href="http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseidg/zaiseidg210331.htm">各省庁リンク</a><br /></p>
<p><a href="http://www.cao.go.jp/yosan/soshiki/zaimu/index-zaimu.html">皇室・内閣府 省庁別財務書類</a><br /></p>
<p><a href="http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/zaimu/h19/h19san.html">参議院　平成19年度省庁別財務書類：参議院ホームページ</a><br /></p>
<p><a href="http://www.shugiin.go.jp/itdb_annai.nsf/html/statics/osirase/19fs.htm">衆議院 省庁別財務書類の公表について</a><br /></p>
<p><a href="http://www.courts.go.jp/about/yosan_kessan/zaimusyorui_19.html">裁判所 | 平成19年度省庁別財務書類</a><br /></p>
<p><a href="http://www.jbaudit.go.jp/pr/media/bud-rel/21.html">予算・決算関係(平成２１年公表) | 公表資料 | 会計検査院 jbaudit.go.jp</a><br /></p>
<p><a href="http://www.cas.go.jp/jp/yosan/index.html">内閣 予算・決算</a><br /></p>
<p><a href="http://www.soumu.go.jp/menu_yosan/syorui_h19.html">総務省｜平成19年度　総務省省庁別財務書類</a><br /></p>
<p><a href="http://www.moj.go.jp/KANBOU/ZAIMU/zaimu21.html">法務省 省庁別財務書類について</a><br /></p>
<p><a href="http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shocho/zaimu/index.html">外務省: 省庁別財務書類</a><br /></p>
<p><a href="http://www.mof.go.jp/jouhou/kaikei/zaimu/210331.htm">財務省分平成18年度省庁別財務書類（）の公表について：財務省</a><br /></p>
<p><a href="http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zaimu/index.htm">文部科学省：省庁別財務書類について：</a><br /></p>
<p><a href="http://www.maff.go.jp/j/budget/2007/zaimu.html">農林水産省/平成19年度 省庁別財務書類</a><br /></p>
<p><a href="http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/other/syocho07/index.html">厚生労働省：厚生労働省平成19年度省庁別財務書類の公表について</a><br /></p>
<p><a href="http://www.meti.go.jp/main/kessan19.html">経済産業省</a><a href="http://www.meti.go.jp/main/kessan19.html">平成１９年度決算</a><br /></p>
<p><a href="http://www.mlit.go.jp/chosahokoku/financial/financial_19/index_.html">国土交通省　省庁別財務書類等の概要</a><br /></p>
<p><a href="http://www.env.go.jp/guide/financial/h19.html">環境省平成１９年度省庁別財務書類の公表について</a><br /></p>
<p><a href="http://www.mod.go.jp/j/library/archives/yosan/zaimu.html">防衛省・自衛隊：財務書類等の年次報告</a><br /></p>
<p>（ではまた。）<br /></p>
<p>　</p>
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</ul>
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    <title>週刊isologue（第32号）通貨供給でデフレが救えるのか？（「会計経済学」的アプローチ）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/200911090155.html" />
    <id>tag:tez.com,2009:/mag//4.1482</id>

    <published>2009-11-08T16:55:35Z</published>
    <updated>2009-11-21T22:42:16Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
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    </author>
    
    
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        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2009.11.09</span>（第32号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■通貨供給でデフレが救えるのか？（「会計経済学」的アプローチ）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>（追記あり。）</p>
<p>今回は、「金融政策」について考えてみたいと思います。</p>
<p>ネット上では、日本の経済をどうするかという議論は活発で、「リフレがうんぬん」とか「日銀は通貨供給量を上げろ」といったことが議論されています。<br />
しかし、非常に頻繁に炎上したり罵り合いになったりもして おっかないので極力参加しないようにしています（笑）が、今回は（大胆にも）ちょっと手を出してみたいと思います。</p>
<p>マクロ経済学の議論は、話のスケールが100兆円・1000兆円単位と、とにかくデカいので、全体をイメージすることが難しいですし、また、そうしたマクロな世界では、日常のミクロな世界と異なる現象も発生します。</p>
<p>このため、経済を分析するための「ツール」が必要になりますが、経済学で使うツールは、基本的には、<i>Y</i>とか<i>C</i>とか<i>i</i>とかいう記号が出て来る「数学」であり、一般の人は、数式が出て来るだけで腰が引けてしまいます。</p>
<p>また、そうした数学的なモデルは、「そういう考え方もある」ということはわかっても、それが妥当なものなのかどうか、海外の経済学者の主張がそのまま日本に当てはまるのかどうか等が、なかなかピンと来ません。<br />
そうした個々の論文や研究の全部に目を通すことは難しいので、自ずと「誰それもそう言っているから、たぶんそうなんだろう。」といったことになってしまいがちです。</p>
<p>　<br /></p>
<p>このため、今回は、一般の人の<span style="text-decoration: underline;">日常的なビジネスの視点</span>から金融政策を考えるというアプローチに挑戦してみたいと思います。つまり、<span style="text-decoration: underline;"><b>簡単な簿記や法律の知識をベースにマクロな経済を理解</b></span>するという試みです。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>マクロ経済といっても、実際には個々の契約や取引の積み重ね</b></span>なわけですから、（もちろん、「合成の誤謬」といったミクロの発想とマクロの挙動が異なる点については注意する必要がありますが）、日常接しているビジネスの常識の積み上げで理解できてもよさそうです。</p>
<p>また、会計は（最近はDCF的な理解が不可欠ですが）、基本的には「<b><span style="text-decoration: underline;">足し算引き算</span></b>」の世界。<br />
おそらく、一般の社会人の人の９割以上は「掛け算」が入ると理解が難しくなると思います。（掛け算が本当にできるなら多重債務者問題なんか発生するわけがないわけで。）<br />
このため、複利計算や無限級数などの掛け算や微積分を極力排して、<span style="text-decoration: underline;"><b>具体的な金額をビジュアルに示し、貸借の足し算が一致するといった初歩的な考察の積み重ねで</b></span>、経済学者や金融機関で働くビジネスマンのみならず、駅前商店街のパン屋で帳簿を付けてるオバちゃんまで金融政策を理解できる可能性を追求してみたいと思います。</p>
<p>今、日本経済はデフレ下にあり、政府も財政危機で国債の消化もままならない状況が迫っているので、政府がどのような政策を取るのかは、国民一人一人が考える必要があると思いますし、少しでも経済理解の裾野が広がれば幸いです、ということで。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■日本全体の資金フロー</b></span></p>
<p>週刊isologue第30号で取り上げた「日本の資金循環マンダラ」をみて、もう一度、日本のカネの流れを復習しておきたいと思います。</p>
<p>　<br /></p>
<p><a href="http://tez.com/mag/archives/20091026/200910261100.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20091026/200910261100-tm.jpg" width="400" height="636" alt="200910261100.jpg" /></a><br />
図表１．日本の資金循環（週刊isologue第30号に既出）<br />
（クリックで拡大。出所：日銀資金循環統計、日本郵政財務諸表等より作成）<br />
上記の資金循環表は「会計的」ではありますが、もちろん簿記の手続きにより積み上げで作成されたものではなく、あくまで推計を伴う統計をベースにしています。<br />
また、この図は貸借対照表に似ていますが、金融資産・負債のみを対象にしており、固定資産や負債に計上される引当金などが載っていないところが貸借対照表とはちょっと違います。</p>
<p>　</p>
<p>この図をさっと見ただけで、日本経済の資金構造に特異な点がいくつか浮かんできます。</p>
<ul>
  <li>個人金融資産が1400兆円もある。</li>

  <li>個人金融資産に占める預金の量が異様にデカい。</li>

  <li>銀行のバランスシートが非常にデカい。</li>

  <li>結果として、銀行が過小資本気味である。（BIS規制が効いて来る。）</li>

  <li>「郵貯」という、バケモノのような巨大金融機関があり、国債吸収に大きな役割を担っている。</li>
</ul>
<p>このため、海外の経済学上の議論や実証研究などを日本に適用したり、日本でデフレをどうするか、資金供給をどうするか？、国債発行をどう考えるか等を検討する場合には、当然のことながら、日本の経済の特性を十分に考える必要があると思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「貨幣」とは何か？</b></span></p>
<p>さて。まずは、金融論で用いられる基礎的な概念が、「簿記」的にはどのように考えられるのかについて、頭を整理しておきたいと思います。</p>
<p>初歩の金融論の教科書を読むと、まず最初に「貨幣とは何か」という話が出てきます。<br />
「貨幣には価値尺度・支払手段・貯蔵の３つの機能がある」といった抽象的な話が続くので、たいていの人は、まずそこで頭がこんがらがるんじゃないかと思いますが、金融論で言う貨幣というのは、<span style="text-decoration: underline;"><b>会計的に考えると</b></span>簡単で、つまりは「<b style="text-decoration: underline;">銀行の負債」</b>（の一部）のことです。 [上図の真ん中の列の右側]。</p>
<p>「貨幣」というと、普通の人は「資産」のイメージがあると思います。<br />
しかし、上図の資産側 [借方・左側] に計上されている「現預金」は、<span style="text-decoration: underline;">全国数百万の法人と１億人の個人に散らばってます</span>ので、<span style="text-decoration: underline;">資産側から集計するのは困難</span>です。</p>
<p>一方、銀行は日本全体でも<b style=""><span style="text-decoration: underline;">百社単位のオーダーしかない</span><span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;">。[真ん中の列]<br style="text-decoration: underline;" />
上の図で<b>資産</b><b><span style="text-decoration: none;">＝負債＋純資産</span></b>（左右の合計が一致）という関係が必ず成り立つので、銀行を数えた方が早い、ということになります。</span></b></p>
<p>また、「マネーサプライ（通貨供給量）としては、<span style="text-decoration: underline;"><b>M</b></span><sub><span style="text-decoration: underline;"><b>2</b></span></sub><span style="text-decoration: underline;"><b>+CD</b></span>が使われる」とか「M<sub>2</sub>+CDとは、現金と要求払い預金に定期預金と譲渡性預金(CD)を足したものである」てなことが書いてあって、またそこで頭がこんがらがりがちです。</p>
<p>（追記11/09 21:34：<a href="http://twitter.com/ikedanob">池田信夫</a>氏から『「マネーサプライ」という言葉は今は使いません。日銀の発行するのは「マネタリーベース」、市中に流通するのは「マネーストック」で、両者を区別することが重要。マネーストックでみると、貨幣数量説は成立していない。』という<a href="http://twitter.com/ikedanob/status/5555146101">ご指摘</a>をいただきました。ちなみに、<a href="http://twitter.com/isologue/status/5555212013">私のご返答</a>。）</p>
<p>M<sub>3と</sub>M<sub>2</sub>の違いは、郵貯や農協・漁協等の預貯金、信託元本などが入るかどうかですが、これもビジュアルに見た方が早い。<br />
「M<sub>2</sub>+CD」「M<sub>3</sub>+CD」のイメージを、前掲の図表１に図示すると、以下のようになります。</p>
<p>　<br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091109/200911081958.jpg" width="207" height="480" alt="200911081958.jpg" />&nbsp;&nbsp;<br />
図表２．「M<sub>2</sub>+CD」「M<sub>3</sub>+CD」のイメージ<br />
（左側の赤い網掛けの部分が「M<sub>2</sub>+CD」<br />
　右側のオレンジ色の 網掛けの部分が「M<sub>3</sub>+CD」）</p>
<p>　<br /></p>
<p>結局、M<sub>2</sub>+CDを使うのは、統計の取りやすさ（お役所の縄張りの問題）ということなんでしょうか。<br />
郵貯はすでに「銀行」になっているので、M<sub>2</sub>に入れてあげてもいい気もしますが、図の通り、運用先が国債等で貸付がほとんどありません。</p>
<p>　</p>
<p>よく、 「<span style="text-decoration: underline;"><b>マネーサプライ（通貨供給量）を増加させればインフレになる</b></span>」てなことが言われます。</p>
<p>しかし重要なのは、「銀行の負債が増えること」ではなく、それが、貸付として一般企業に貸し出され、さらに生産設備や営業などの経費等に支出されるということ。<br />
金融論の初歩の教科書を見ると、<span style="text-decoration: underline;">貸借対照表の右側のマネーサプライ（銀行の負債）を増やせば、あたかも自動的に企業や家計の消費や投資が増えるかのように書かれていますが</span>、会計的に考えると、銀行の預金が増えても、国債等で運用される可能性もあるわけで、マネーサプライが増えても企業の支出が増えることは必ずしも自明ではないことになります。<br /></p>
<p>また、銀行の貸借対照表を見ると、貸付の源泉は「預金」だけでないこともわかります。特にBIS規制導入後は、<span style="text-decoration: underline;"><b>「株式（純資産）」が極めて重要な役割</b></span>を担っていることにも気づきます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■貨幣需要はいかに発生するか？</b></span><br /></p>
<p>ケインズは、貨幣の保有動機として、</p>
<ol>
  <li>取引動機（個人の所得に比例した部分と、営業に用いる部分）</li>

  <li>予備的動機（不確実性への備え）</li>

  <li>投機的動機</li>
</ol>
<p>の３つをあげており、３つめの投機的動機は利子率(<i>i</i>)の関数である、てなことが言われます。</p>
<p>それまでの古典派でも、（貨幣の流通速度とかその逆数のマーシャルのkとか）所得に比例する取引動機や予備的動機は考慮されていたようですので、貨幣需要に利子率(<i>i</i>)の概念を持ち込んだのがケインズだ、ということになるかと思います。</p>
<p>取引動機ですが、個人は資産蓄積が進めば、その分、貨幣の需要は増えるというのがケインズの考えのようです。<br /></p>
<p>また、金持ちになると株や不動産等に分散投資するのが普通のはずですが、日本人は昔から預貯金が大好きで、なかなか預金以外の運用をしないところが特色だと思います。私は、<span style="text-decoration: underline;">証券自由化によって預貯金から雪崩をうって資産が証券等にシフトするかと思っていたのですが、ここ10年で、分散投資が進むどころか、逆に預貯金の比率は高まっています</span>。<br /></p>
<p>下図のように、アメリカに比べて、日本は預貯金の比率が非常に高くなっています。</p>
<p>　</p>
<p><a href="http://tez.com/mag/archives/20091026/200910260030.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20091026/200910260030.jpg" width="400" height="228" alt="200910260030.jpg" /></a><br />
図表３．家計の資産構成の日米比較（2009年6月末）（第30号で既出）<br />
（クリックで拡大。出所：日銀、資金循環の日米比較：2009年2Q）<br /></p>
<p>　</p>
<p>また、法人は、総資本回転率等の経営効率を高めるために、<span style="text-decoration: underline;">ファイナンス理論的には必要最小限の預貯金しか持たないはず</span>です。 ところが日本企業はジャブジャブに現預金や本業以外の資産を持っている企業が多いので、アクティビスト的な株主の要求やM&amp;A等で、この現預金を吐き出させようというプレッシャーが近年高まってるのは、ご案内の通り。</p>
<p>すごく豪華な本社ビルを持つ大企業の人に、<br />
「資本効率が悪くなるのに、なぜこんな豪勢な本社ビルを持つのですか？」<br />
と聞くと、<br />
「今の経営陣が若いころに会社が資金繰りで苦労したことがあって、いざというときに売却できるものを抱えていたい、という願望がものすごく強い。」<br />
てなことをおっしゃってました。</p>
<p>「リスク（不確実性）」に対する備えのあり方が、日本人は特殊だという気がします。</p>
<p>そして、「<span style="text-decoration: underline;"><b>投機的動機</b></span>」(speculative motive)ですが、現預金で投機ができるわけではないので、これはちょっとしたネーミング・ミスではないかと思います。<br />
ケインズが意味しているのは「債券等の利子率が低い時に、待避的に現預金のニーズが高まる」という意味なので、「リスク待避動機」といったネーミングの方がよかったかも知れません。</p>
<p>　　　</p><span style="text-decoration: underline;"><b>■日銀の貸借対照表はどうなっているか？</b></span>
<p>ここで、日本銀行の貸借対照表を見ておきましょう。<br />
（日本銀行の財務諸表は<a href="http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/kaikei/zaimu/zai0905a.htm">こちら</a>。）</p>
<p>週刊isologue第30号で見た通り、日銀は、日本の金融システム全体の中では極めて「小さい」存在に過ぎません。<br />
小さいと見にくいので、ちょっと拡大してみます。</p>
<p>　<br />
<a href="http://tez.com/mag/archives/20091109/200911090658.jpg"><img src="http://tez.com/mag/archives/20091109/200911090658-tm.jpg" width="170" height="450" alt="200911090658.jpg" /></a><br />
図表４．日本銀行の貸借対照表<br />
（クリックで拡大：単位：兆円）<br /></p>
<p>　</p>
<p>図の通り、日銀は使用総資本(図の高さ)で<span style="text-decoration: underline;">124兆円</span>もの巨大企業ですが、それでも図表１のとおり、全金融機関の中では、非常に「小さな」存在です。<br />
郵貯や、三菱UFJフィナンシャルグループの総資産（199兆円）よりはるかに小さく、三井住友フィナンシャルグループ の総資産（120兆円）と同じくらいの規模しかありません。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">日銀は国債が持てないか？</span><br />
「<a href="http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO034.html">財政法</a>第五条によって、日銀の国債引受けや政府の日銀からの借入は禁止されている」<br />
と習った人は日銀の貸借対照表を見るとオッタマゲると思いますが、日銀の資産サイドは、実際には国債と政府向けの貸出しが過半を占める姿になっています。<br />
（もちろんこの国債は、政府から直接引き受けたわけではなく、市中から買い入れたものなので、市場を通すことにより一定の財政規律が保たれているわけですが、「できあがりの姿」としては、日銀が国債を引き受けているのと同じ構図になってしまっています。）</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">日銀の資産の大半は金塊か？</span><br />
「日銀の金庫には金塊が山ほど眠っている。」と思ってらっしゃった方もいるかも知れませんが、日本の今の通貨は金兌換ではないので、それほどは金は持っていません。<br />
日銀の貸借対照表には「金地金」が4000億円も計上されているのですが、上の図には表示されないくらい「少額」です。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">銀行は「日銀から借りた金」を貸しているのか？</span><br />
よく、 「銀行は日銀から借りたお金を一般企業に貸している」と思ってる人がいますが、一般の銀行は自分で集めた預金を主な原資として貸付を行っているわけです。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">日銀はタダでお金が印刷できるか？</span><br />
また、よく「日銀は、輪転機を回せばタダでお金が手に入る」と思ってる人がいますが、図を見ると、<span style="text-decoration: underline;">日銀にとって「お金（発行銀行券）」は<b>負債</b></span><span style="text-decoration: underline;">だ</span>ということがわかります。<br />
つまり、必ず、銀行等の国債などの資産を買い入れた対価として、資金が供給されるわけで、銀行にお金をあげちゃっているわけではありません。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">ヘリコプターでカネをまけばデフレは解消するか？</span><br />
インフレにするために、ヘリコプターから紙幣をバラまけばいいという「ヘリコプターマネー論」というのもよく出て来ますが、日銀が対価なしに負債を持てば、反対勘定は損失（譲渡損）ですから、例えば10兆円お金をタダでばらまくと、<span style="text-decoration: underline;">7兆円ほど債務超過になってしまいます</span>。<br />
日銀のような「小さな」株式会社が兆円単位の「バラマキ」をできるわけがないので、ヘリコプターマネー論というのは結局、政府の負担でやるしかない。<br />
それは、地域振興券や定額給付金などですでに行われているわけです。そして、それでデフレが解消されたわけではないのもご案内のとおり。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">変わった財務諸表・監査報告書</span><br />
余談ですが、この<a href="http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/kaikei/zaimu/zai0905a.htm">日本銀行の財務諸表</a>、普通の企業のものとはかなり異なります。<br />
通常この規模の企業であれば、表示する単位は億円単位なのですが、1円単位になってます。<br />
また、日銀の財務諸表は監査法人が監査していないんですね。<br />
「監事」という役職の人がいますが、おっかなくないのでしょうか？<br />
監事の監査報告書が、財務諸表、剰余金処分表、附属明細書、決算報告書、下半期損益計算書と、５つもついています。（一般企業なら１つにまとめるところではないかと思いますが。）</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■本当に信用が「創造」されるのか？</b></span><br /></p>
<p>さらに金融論の教科書を読み進めると、「信用創造」の説明があって、銀行システムを通じて、預金準備率の逆数分、貨幣が増えるといったことが書かれています。<br /></p>
<p>しかし、これもちょっと頭がこんがらがるミスリーディングな話ではないかと思います。<br />
簿記的に考えると、銀行の調達した額は資産と1円単位でぴったり一致しなければならないので、お金がどっかから創造されるなんてことは、まったくナンセンス。<br />
（単なる日銀の負債と銀行全体の負債の「比」の話です。）</p>
<p>また、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%90%E9%87%91%E6%BA%96%E5%82%99%E7%8E%87">Wikipedia</a>によると、日本銀行は1991年10月に準備率を変更して以来、準備率の変更を行っておらず、現在の準備率は0.01％だそうなので、金融論の教科書の初歩的な説明に従うと、日銀が100億円資金を供給すれば、逆数の１万倍で資金供給量が100兆円増えるはずですが、そんなわけがないわけでして。</p>
<p>現在、銀行の貸出量は、預金準備率よりも自己資本比率を規制するBIS規制によって強く制限されています。<br />
つまり、日銀がいくら資金を供給しても、（銀行のリスクの高い資産を買い取るのでなければ）銀行が取れるリスクは限られます。</p>
<p>特に、「BIS規制は日本の銀行ツブしのために制定された」てなことが言われるくらい、日本の銀行は世界の銀行に比しても規模が巨大で過小資本気味です。<br />
<span style="text-decoration: underline;">いくら日銀がマネーサプライを増やしても、貸付や一般企業の設備投資に回らないメカニズム</span>は、他の国とも大きく異なるのではないかと思うので、マクロとともにミクロなメカニズムについても、よく考えるべきだと思います。<br /></p>
<p><br />
<img src="http://tez.com/mag/archives/20091109/200911091632.jpg" width="331" height="446" alt="200911091632.jpg" /><br /></p>
<p>図表５．マネーサプライが実需の増加にどうつながるのか？</p>
<p>　</p>
<p>「マネーサプライを増やせば物価が上昇する」と簡単に言いますが、実際にモノやサービスの価格を決定するのは日銀や政府や銀行ではなく、「企業」や「消費者」です。<br />
ほとんどの商品やサービスは、「マネーサプライが増えたから価格上げようか？」ということになるわけはない。<br />
実際に企業が借入をして設備を買ったり、消費が増えたりして、需給がタイトにならないと価格は上がらないはずです。<br />
（<span style="text-decoration: underline;"><b>しかも、現実世界では、需給がタイトになったから価格が上がるとか、買い手の方が多ければ価格が上がるわけでは全くないわけです。</b></span>板に乗っている売り注文より買い注文が多ければ、株価があがるわけではないのと同様。）<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「経済の俯瞰図」で政策のアイデアは広がる</b></span></p>
<p>こうした実額に基づく経済の俯瞰図を見ることのいいところは、<span style="text-decoration: underline;">単純な数学モデルだと、いじれるのは「マネーサプライを増やす」とか「国債を発行する」といった少ないパラメータしかない</span>のに対して、<span style="text-decoration: underline;"><b>いろんな項目をいじるアイデアが湧いて来るところ</b></span>だと思います。</p>
<p>例えば、銀行に資金を供給してもBIS規制によって貸出しが増えないことが問題なのであれば、</p>
<ul>
  <li>銀行に（頼まれもしないのに）公的資金を注入する</li>

  <li>Tier1への繰り入れ制限がある繰延税金資産が発生しないように、税法上の貸倒基準を変更する</li>
</ul>
<p>といった手も考えられます。<br />
しかし、現在、貸出しが増えないのは、銀行が貸出しを渋っているというよりも、資金需要自体が無い可能性が高いので、あんまりいい手とは思えないですよね。</p>
<p>　</p>
<p>政府の財政支出も銀行からの貸出しもそうですが、問題は「<span style="text-decoration: underline;"><b>本当に現場のニーズに合った支出が行われるか？</b></span>」というところだと思います。同じお金を使うにも、効率がいい使い方とそうでない使い方では、その後の生産性が違って来る。使った額の1.1倍の波及効果しかない支出と、将来2倍の付加価値を生む投資への支出ではまったく異なるわけです。</p>
<p>政府の支出が全部無駄とは言わないが、物価が上昇するほどの支出を政府だけが行うと、何十兆円もの無駄遣いに終わってしまう可能性が高い。<br />
また、銀行員に無理矢理貸出しを行わせても、本当に産業が発展するような提案をするというよりは、自行にとってリスクが少なくリターンが大きいような提案しかしないはず。それが市場にとっていいこととは限らない。</p>
<p>（<span style="text-decoration: underline;">政府や百社程度の銀行が、日本中の資源配分の最適化を行えるわけがない。</span>）</p>
<p>結局、<span style="text-decoration: underline;"><b>企業や家計が各自考える力を付ける</b></span>必要があるのではないかと思います。<br /></p>
<p>そのために、どうするか。</p>
<p>以前、週刊エコノミスト誌の2002年2月5日号に掲載した、預金に課税して「マイナス金利」的な効果を生み出すアイデアがあるのですが、</p>
<blockquote>
  <p>経済再生を強力に推し進める「構造改革税」の導入を<br />
  （エコノミスト 2002年2月5日号掲載 ）<br />
  <a href="http://www.tez.com/papers/p_2.htm">http://www.tez.com/papers/p_2.htm</a></p>

  <p>財政構造改革と預金課税論（再び）<br />
  <a href="http://www.tez.com/blog/archives/000544.html">http://www.tez.com/blog/archives/000544.html</a></p>

  <p>財政構造改革と預金課税論（その２）<br />
  <a href="http://www.tez.com/blog/archives/000546.html">http://www.tez.com/blog/archives/000546.html</a></p>
</blockquote>
<p>これ、今考え直してみても、なかなかいいアイデアじゃないかと思います。</p>
<p>民主党政権になって「構造改革税」という名前はウケがよくなさそうなので、ちょっと体裁を変えてまた近々、発表したいと思いますが、今回は、このへんで。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）<br /></p>
<p>　</p>
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</ul>
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<entry>
    <title>週刊isologue（第31号）JALの再生スキームと公的資金投入について考える</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://tez.com/mag/archives/200911020243.html" />
    <id>tag:tez.com,2009:/mag//4.1478</id>

    <published>2009-11-01T17:43:06Z</published>
    <updated>2009-11-21T22:42:41Z</updated>

    <summary>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊iso...</summary>
    <author>
        <name>Tetsuya Isozaki</name>
        <uri>http://www.tez.com/blog/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tez.com/mag/">
        <![CDATA[<p>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>週刊<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">isologue</span>（イソログ）<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<span lang="EN-US" xml:lang="EN-US">2009.11.02</span>（第31号）<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
■JALの再生スキームと公的資金投入について考える<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━</p>
<p>政府は日本航空（JAL）を再生させる方針のようです。<br />
再生の舵取り役も、「有識者会議」「再生タスクフォース」「<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%86%8D%E7%94%9F%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%A9%9F%E6%A7%8B">(株)企業再生支援機構</a>」と変わり、関係者間の調整も大いに難航しているようですし、JAL再生のための新たな立法措置も検討されているようです。</p>
<p>　</p>
<p>JALの再生に関して検討すべき事項は、一般的に考えて、大きく、<br /></p>
<ol>
  <li>JALの事業そのものが再生の見込みがあるのか？<br /></li>

  <li>銀行・年金・株主等の間の負担の調整をどのようにするか？</li>
</ol>
<p>の２つに分かれます。</p>
<p>報道等によると、JALは経営戦略の欠如や組合問題など、事業そのものの課題が山積みで、再生の可能性自体に疑問を投げかける人も少なく無いようです。<br />
しかし、公的な支援を行うからには、JALの事業そのものに再生の見込みがあるということが（ホントにそうかどうかはともかく）大前提になるはずです。</p>
<p>仮に再生の見込みがあるとすると、後は債権者等の利害関係者間の調整をどのように行うか、という問題になります。</p>
<p>現在、報道等で指摘されている調整上の課題には以下のような点があります。</p>
<ul>
  <li>JALには巨額の年金の積み立て不足がある。公的な支援により、こうした年金の受給者を利することについて国民の理解を得られるか？</li>

  <li>逆に、年金を強制的に減額する特別立法をすると、財産権の侵害になるのではないか。</li>

  <li>そもそも、JALだけに特別立法などという措置をすると、「おれもおれも」というモラルハザードが発生するのではないか。</li>

  <li>政府がJALを破綻させる気がないとなると、債権者（銀行等）も強気に出て、債権の減額に応じない。<br /></li>

  <li>JALを破綻させないまま公的資金を注入し、上場も維持されるとすると、既存株主をも保護することにもなってしまう。<br /></li>

  <li>金融機関など担保権者に担保権を実行されると、事業が継続できなくなる可能性がある。</li>

  <li>将来の可能性がある事業だけを事業譲渡等で他の会社に移すとなると、その場合の価格が問題になる。</li>
</ul>
<p>　</p>
<p>JALの問題は、現実には監督官庁・組合・与党等の関係者の政治的な思惑や動きに大きく左右されるでしょうから、現実に今後どういった選択肢が採用されるかはまだ全くわかりませんが、以下では、「事業は再生の見込みがあり事業継続が選択される」という仮定の下、銀行・OB・株主等の間の負担の調整等をするために、どういった再生のスキームが考えられるか、政府が公的資金をJALに投下することは何を意味するのかについて、頭を整理してみたいと思います。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■JALの財政状態の概要</b></span></p>
<p>ここで、JALの財政状態の現状について振り返っておきましょう。</p>
<p><a href="http://www.tez.com/blog/archives/001462.html">週刊isologue（第26号）日本航空(JAL)はどうなっていくのか？</a> で書いたとおり、JALの開示資料から見たバランスシート（貸借対照表）は、以下のようなイメージになってます。</p>
<p><br />
<img src="http://www.tez.com/blog/archives/20091102/200910312254.jpg" width="480" height="414" alt="200910312254.jpg" /><br />
図表１．日本航空の連結貸借対照表イメージ<br />
（単位：億円、出所：JAL有価証券報告書）</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">一番左側の図</span>が、2009年3月末の連結貸借対照表をそのまま示した図です。<br />
各科目の金額の大きさを、図では高さで表現しています。</p>
<p>しかし、JALには年金の積み立て不足額（図中で青の「退職差異」と略記した青色の部分）があります。また、JALはリース会計移行前の所有権移転外ファイナンスリースも貸借対照表に計上しておりません。（これらは、現行の日本の会計基準では、一応、認められた処理です。）<br />
このため、それらを加えた場合の連結貸借対照表イメージが<span style="text-decoration: underline;">真ん中の図</span>です。<br /></p>
<p>さらに、<span style="text-decoration: underline;">右端の図</span>では、オペレーティングリースで機体を調達した金額（図中で「Oリース」と略記したオレンジ色の部分）も載せてあります。<br />
（これは、現行の日本の会計基準では、リース会計開始後も、貸借対照表には計上しないことになっています。）</p>
<p>つまり、真ん中の図が会計的に見た前期末の実像、右端の図がJALの事業規模感を表しているかと思います。<br /></p>
<p>　</p>
<p>ちなみに、11月2日（本日）発売の週刊ダイヤモンド2009/10/7日号の「JAL国有化の罠」という特集では、JALへのデューデリジェンスを実施した「JAL再生タスクフォース」に取材して入手したとみられる「関係者へのヒアリングにより本紙編集部推計」という2009年6月末の「実態連結貸借対照表」が載っています。<br />
これによると、退職給付債務の3287億円だけでなく、退役予定の機体の評価損やリース関係機材の損失等をあわせて、実質債務超過額を<span style="text-decoration: underline;">7569億円</span>と見積もっています。</p>
<p>（JAL再生タスクフォースは、不採算の地方路線などもバッサリと削減する構想だったようですので、そうしたリストラされる路線等のいらなくなった航空機等の売却損も見込んだ貸借対照表で考えている可能性があります。<br />
つまり、必ずしも、現状の財務諸表が現行の会計基準下でも実態として債務超過にも関わらず、債務超過でない形に粉飾されているわけではないことに注意する必要があります。<br />
報道で「実質債務超過」といったことが伝えられ、会社側から「事実と異なる」という旨のプレスリリースが出されたのも、元は再生タスクフォース方面から漏れ伝えられた情報だったのかも知れません。）</p>
<p>いずれにせよ、JALは、会社から公式に開示されている情報以上に厳しい財務状態である可能性も高く、大型機中心の機体構成が現在の市場環境に合っていないことなども指摘されており、この記事を読むと、そもそも再生そのものができる気がしなくなってくるのですが、、、それはさておき、<br />
以下では、「再生できる」という前提の下、どういう処理をするのがいいのか、頭の整理をしたいと思います。また、数値についても、2009年3月末の数字のままで説明したいと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■処理の選択肢の概要</b></span></p>
<p>それではJALを再生するために、どのようなスキームが考えられるでしょうか？<br />
場合分けして、それぞれ長所短所を考えてみましょう。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">A. 今のJALをそのまま再生させる方法</span><br />
一つには、今のJALグループをそのまま再生させる方法が考えられます。</p>
<p>これは、一番ややこしくない方法であることは確かですが、前述のとおり、この方法だと、せっかく投入した公的資金が、会社の再生以外の部分にも振り向けられてしまい、資金の効率が悪くなる可能性があります。</p>
<p>「政治的」な判断で、この、今のJALにそのまま公的資金が投入される方法が採用される可能性もあるかも知れませんが、その場合は、国民は、政権の税金の使い方について厳しい目を向けるべきではないかと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">B.「救える部分」だけ別会社化する方法</span><br />
このため、理屈としては会社を「救える部分」と「それ以外」に分離して、「救える部分」にのみ公的資金を投入する方が望ましいことが考えられます。</p>
<p>事業が停滞している会社を「元の会社」と「いい会社」に分けるというのは、再生ではよく用いられる手法です。<br /></p>
<p>救える部分を別会社化するに、旧会社が新会社の「<span style="text-decoration: underline;"><b>エクイティ</b></span>（株式など、将来、儲けが出るようになった時の利益等の分配権）」を持つかどうかで、大きく２つの方法が考えられます。<br /></p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(1) 資本関係の全くない別会社に事業を移す方法</span><br />
法的整理などの過程で、事業譲渡（営業譲渡）などを用いて、まったくの別会社に移してしまう方法です。</p>
<p>GMやクライスラーの再生でもこうした方法が用いられました。</p>
<p>ただし、この方法は現在のJALの事業を全く資本関係がない会社に渡してしまうわけですから、「<span style="text-decoration: underline;"><b>いくらで事業を評価するか</b></span>」「誰が評価するか」という問題がつきまといます。</p>
<p>「今のままでは会社の価値はゼロ以下だ」と関係者の誰もが観念してる事業のケースならともかく、JALは、OB、組合、経営者、地方路線の存続を願う人など、いろんな思惑がからまって、まだ「成仏」できる段階ではないのではないでしょうか。<br />
実際、本日の終値（112円）ベースでも、まだ時価総額は3060億円もあります。&nbsp;&nbsp;</p>
<p>また、「非上場で総資産の額が5億円」といった中小企業の再生の場合には、適正な事業価値算定のプロセスを踏めば、後々問題になる可能性もあまりないかも知れません。<br />
しかしJALは、どういった観点から事業価値算定を行うかで、1000億円くらいの差はすぐに出てしまいそうです。<br />
将来、再生ができれば事業価値は上がる可能性が高いわけですから、現時点での価格がいくらなのか？ということが後でモメる可能性は高くなります。<br />
（理論的には将来のキャッシュフロー等をリスクウェイトも織り込んだ割引率でディスカウントするので、将来の事業価値に比べて現在の事業価値が激安だとしても、現在の価値はそうしたリスクを勘案した適正な水準なのだという説明も可能かとは思います。<br />
しかし、将来計画やディスカウントレートには、どうしても主観的な部分も入って来るので、利害関係者の思惑の乖離が激しい時には、なかなか万人に納得される価格を算出するのは難しい面があるかと思います。）&nbsp;&nbsp;</p>
<p>となると、どのようなスキームを取るにしても、急いで事業を譲渡してしまうと、「譲渡価格が安過ぎた」といった不満が発生したり、モメ事が後々起こる可能性は高そうです。<br />
それぞれの利害関係者に対して、10億円・100億円単位で影響が出るとすると、通常は法的に安定と考えられるような方法でも、リーガルフィー等の多額のコストをかけても争うインセンティブが発生してくることもあるでしょう。</p>
<p>このため、JALのような兆円単位の規模の事業で、利害関係者の思惑も非常にややこしい処理となると、一般の再生案件で行われる最低限の法的な権利義務の確定といった要素もさることながら、より納得感のある方法を模索する必要があるのかな、と思います。</p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(2) 子会社に事業を移す方法</span><br />
これに対して、100%子会社に事業を切り出すとすれば、事業の価値はグループ内に100%留まり、理論的には事業価値評価が利害関係者に詐害的に作用するといった問題は発生しないはずです。</p>
<p>しかし、旧会社が新会社の100%の議決権を持つということだと、新会社が旧会社にコントロールされてしまう問題が発生します。<br /></p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;">(3) 経済的価値だけを残して、議決権は切り離す方法</span><br />
このため、第三の選択肢として、株式（エクイティ）の性質を<span style="text-decoration: underline;"><b>「キャッシュフロー権（経済的な価値）」と「コントロール（議決）権」に分けて</b></span>考えて、旧会社に当面、新会社の「キャッシュフロー権（経済的な価値）」は残すけど、 事業の「コントロール（議決）権」は全く関係ない第三者が持つ、という手が考えられます。</p>
<p>こうしたキャッシュフロー権とコントロールを分けるのは、種類株式を使えば技術的には可能です。<br />
アメリカのAIG、クライスラーやGMの再生の例でも、多数の種類の種類株式が用いられていますので、政府やスポンサー、債権者など、多様な利害関係者のニーズを理論的に最適化するためには、こうした種類株式によるスキームが必要になるのではないかと思います。</p>
<p>仮に、整理のプロセスや事業の新しいスポンサー探し、再上場など、この切り出した事業の価値を明確化するプロセスに時間がかかるとしても、その決定の時期まで、切り出した事業のエクイティの全部または大半を元の会社が保有していれば、事業価値評価でもめる可能性が大きく下がるはずです。<br />
また、再生を担う新たな主体が議決権を早期に持てれば、再生スケジュールも早まりますし、投入される資金の効率もよくなります。</p>
<p>一方、いくら理論的にはOKでも、こうした種類株式によるスキームは日本ではまだ、なじみ深い概念ではないかも知れません。（もちろん、再生に複雑な種類株式が使われるケースもありますが。）<br />
関係者を説得する場合にヤヤこし過ぎる面が短所になってしまうかも知れません。<br />
（特に、ファイナンスのプロの金融機関だけでなく、年金[OB]など、多数の個人を相手にする必要がある場合、など。）</p>
<p>　</p>
<p>現状を考えれば、一刻も早く新会社を旧会社から切り離して、新会社を「生命維持装置」に繋ぎ、事業は継続して行いたいところです。この新会社の経済的価値がいくらになるかについて、法的整理等の過程で、時間をかけて第三者も交えて慎重に決めることができれば、関係者間の調整の一助になるかも知れません。</p>
<p>ということで、以下では、この「B-(3)」の「経済的価値だけを残して、議決権は新しい主体が持つ」方法を考えてみたいと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■「分離」をした場合の<span style="font-weight: normal; -webkit-text-decorations-in-effect: none;"><span style="text-decoration: underline;"><b>イメージ</b></span></span></b></span></p>
<p>JALの連結貸借対照表で、今回考える方法をイメージすると、以下のような感じになります。</p>
<p>　<br /></p>
<p><img src="http://www.tez.com/blog/archives/20091102/200910312358.jpg" width="365" height="388" alt="200910312358.jpg" /></p>
<p>図表２．会計面から見た「新JAL」の分割のイメージ<br />
（単位：億円、出所：JAL有価証券報告書より作成）</p>
<p>　</p>
<p><br />
つまり、「新JAL」に分離するのは、原則として営業に直接用いられる資産や負債です。<br />
営業未払金などの債務や、マイレージ・株主優待など、引き継がないと新会社の営業に差し支えるようなものは、基本的に新会社に引き継ぐイメージです。</p>
<p>そして、事業が"離陸"できるだけの適切な量の借入金の額を決め、これを親会社からの借入れとします。<br /></p>
<p>残りの差額が資本金・資本準備金になります。<br />
（再上場も視野に入れると、あまり過大な資本があるのも困りますし、前述の週刊ダイヤモンドの記事にあったように、今後のリストラで数千億円単位の損失が発生するのだとすると、逆に、資本はかなり厚めに積んでおかないといけないことになります。）</p>
<p>そして、公的資金を入れる場合には、旧JALではなく新JALの方に投入します。（緑色の太い矢印。）</p>
<p>図では、簡単のため「その他債務」を全部新会社に持って来ていますが、退職給付債務を旧会社に残すことができれば、公的資金による年金救済といったことも言われなくて済みそうです。<br />
オペレーティングリースに関わる債務（前述の通り会計上の貸借対照表には載らない）も、新会社が引き継ぐことになっていますが、これも実際の契約がどういった性質のものかを分析する必要があるかと思います。</p>
<p>特に、旧会社が持っていた借入金は、無担保で貸してくれているわけではなく、当然、航空機が担保になっていると思いますので、担保権の行使等について金融機関等の債権者（別除権者）と調整する必要があるかと思います。<br /></p>
<p>　<br /></p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■分離方法の実際</b></span><br /></p>
<p>上記の図表２は会計上の連結での表示なので、あたかも１つの会社のような図になっていますが、実際の事情はもっと複雑です。</p>
<p>ご案内の通り、上場している「株式会社日本航空」は12名しか従業員がいない持株会社で、その下に非常に多数の関係会社がぶら下がっています。</p>
<p>事業の中核は、JALの100%子会社の「<span style="text-decoration: underline;"><b>株式会社日本航空インターナショナル</b></span>」（JALとJASとJAA[日本アジア航空]が合併した会社）ですが、有価証券報告書の「関係会社の状況」に記載された連結子会社は、地方線の航空運送事業を行う子会社の他、「旅客・手荷物取扱業」「整備」「機内食」「旅行代理店」など、<span style="text-decoration: underline;"><b>120社</b></span>（その後合併により3社減少）、持分法適用会社が<span style="text-decoration: underline;"><b>18社</b></span>にも上ります。連結子会社で少数株主がいる会社も29社あります。（つまり、子会社の4分の1は100%子会社ではない。）</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20091102/200911010208.jpg" width="350" height="415" alt="200911010208.jpg" /><br />
図表３．JALグループの（非常に簡単な）模式図<br /></p>
<p>　</p>
<p>もし仮に、この個別の子会社には、銀行からの借入金や年金等がなく、すべて親会社からの借入や出資だけであれば、前述のような事業の分離は、JALや「株式会社日本航空インターナショナル」など、主要な数社だけ行えばよくて、その分割した事業に、多数の子会社（の株式）がついてくればいいだけですが、</p>
<p>しかし、逆にもし、多数の子会社にそれぞれ退職給付債務の問題や借入金があるとすると、グループのどの会社に属していたかで扱いに差が出るのは不公平かも知れません。</p>
<p>この場合は、下図のように、一つ一つの会社について、個別に切り出していくしかないかも知れません。</p>
<p>　</p>
<p><img src="http://tez.com/mag/archives/20091102/200911010210.jpg" width="350" height="415" alt="200911010210.jpg" /><br />
図表４．JALグループから、新会社を切り出した（非常に簡単なケースの）図</p>
<p>　</p>
<p>しかし、純粋持株会社を頂点とするJALの構造は、意外に再生向きかも知れません。</p>
<p>会社法の事業譲渡や会社分割は、原則として株主総会の特別決議が必要ですが、グループ会社は持株会社であるJALの100%子会社も多く、必要な事業譲渡や会社分割の大半は、上場している「JAL」の株主総会を経ずに、速やかに行えるはずです。</p>
<p>また、持株会社として「新JAL」が必要だとしても、現在のJALは、現金と関係会社株式と関係会社長期貸付金を持つだけの会社ですので、とりあえず、この持株会社から事業を切り出す必要は無いかも知れません。（後でゆっくり、法的整理か株主総会の決議で、事業譲渡や会社分割、又は、関係会社向け債権や関係会社株式の譲渡を行うということで。）</p>
<p>このため、財産権の侵害だなんだといった特別な立法を行わなくても、既存の会社法や産活法、民事再生法や破産法など、既存の法律の組み合わせで、ほとんどのスキームは組めてしまう気もしますが、どうでしょうか？</p>
<p>しかし、JALの資金繰り上、11月末までに大量の資金が必要だという報道もありますので、もしそれが本当だとすると、急ぐ必要があります。<br />
「財産権」といったところまで踏み込むのではなく、そうした部分が瞬時にできるような<span style="text-decoration: underline;">手続き上・税務上の部分など</span><span style="text-decoration: underline;">について</span>、必要であれば最小限の特別立法を行う、というのがいいのではないでしょうか。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■用いられる株式の性質</b></span></p>
<p>上記の図表４に出て来る各種の株式について触れておきます。</p>
<p>旧会社が持っているのは<span style="text-decoration: underline;"><b>無議決権株式</b></span>という想定で、<span style="text-decoration: underline;">経済的権利は普通株と同じだが、議決権が無い株式</span>を考えています。<br />
もちろん、調整の結果次第では、もっといろいろな権利・義務をくっつけることができるかも知れませんが、ドタバタしている時でもあり、シンプルな方が関係各方面への調整がまとまりやすいかも知れません。<br /></p>
<p>政府やスポンサーから入れる資金には、典型的には３種類の性質が考えられます。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">一つは、残余財産分配や配当の優先権</span>。<br /></p>
<p>日本で公的資金投入でよく使われるものは、<span style="text-decoration: underline;">出資した元本まで優先して回収</span>でき、配当も一定額までは普通株式より多いが、それ以上は求めない（「<span style="text-decoration: underline;"><b>非参加型</b></span>」の）残余財産分配権の優先権がついた種類株式ではないかと思います。</p>
<p>つまり、残余財産については、新たに金を入れた方が先に回収し、そのうえでさらに財産が余ったら、普通株式や上記の無議決権株式の株主に分配が行われることになります。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">２つ目に、議決権</span></p>
<p>誰も議決権を持たないというわけにはいかないので、企業再生支援機構や政府、スポンサー等、新会社の舵取りを担う人たちが、議決権を持つことになると思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">３つ目に、普通株式への転換権</span></p>
<p>この優先株を普通株式に転換できる権利（優先株を取得して普通株の交付を受ける権利）があれば、将来上場したり（ANAなどと）合併する場合、普通株式に換えて、キャピタルゲインを享受できるようになります。<br />
しかし、日本の公的資金で用いられる種類株式の場合には、普通株式に転換できるのは、公的資金の注入を受けた企業側が一定の約束を果たさない場合のペナルティとして用いる場合も多く、必ずしも、政府がキャピタルゲインの獲得を目的としていない場合が多いかと思います。</p>
<p>こうした、残余財産分配権や配当の優先権が「非参加型」で、発行時に決めた価格での普通株式への転換権も無い場合には、その種類株式は<span style="text-decoration: underline;"><b>「社債」と同様</b></span>の性質になります。（社債よりも優先順位が劣後し、普通株式等よりは優先する。）</p>
<p>逆に、「参加型」の場合には、将来、株式の価値が上がると、旧会社の持っている経済的価値は、実質的にその分、希薄化（dilute）し、政府やスポンサーに価値が移ることになります。</p>
<p>関係者の説得として、「旧会社の価値は変わりませんよ」ということを強調するならば、非参加型の（社債っぽい）優先株で出資をする必要が出るかと思いますし、政府がキャピタルゲインを受ける必要があるならば参加型で普通株式に積極的に転換できる権利を付けるべきかと思います。</p>
<p>　</p>
<p><span style="text-decoration: underline;"><b>■政府の役割は何か？</b></span></p>
<p>いつも思うのですが、日本の政府は、銀行等への公的資金投入について「けしからん」と世論に怒られてばっかりで、ちょっとかわいそうです。<br /></p>
<p>公的資金というのは「企業にあげちゃう金」と思ってる人が多いと思うのですが、上述の通り、公的資金というのは種類株式のことで、その企業がちゃんと再生すれば、政府に戻って来るはずの資金です。</p>
<p>しかし、非常にリスクの高い再生企業への投資は、企業が破綻して紙くずになるケースもあるでしょうから、<span style="text-decoration: underline;">「元本だけ返してくれればいいよ」ということだと、リスクに対して適切なリターンが期待できない投資をしているということにもなります</span>。</p>
<p>確かに、「国全体」のことを考えてキャピタルゲイン以外のメリットが発生するのであれば、政府は、その企業への投資単体で見てリスク・リターンが適切でない投資も許容される可能性はあると思います。<br />
（つまり、投資ファンドと違って、その再生企業だけから儲ける必要は必ずしも無い。）</p>
<p>しかし、<span style="text-decoration: underline;"><b>「国全体を考えて」という言葉は、耳ざわりはいいですが、結局「何でもアリ」になってしまいかねません</b></span>。<br />
この企業からのキャピタルゲインが見込めない場合、それ以外のメリットも金額換算をして、「税収の増加等でこれこれ、○○のメリットがこれこれで、積み上げると合計、これこれの金額的メリットがある」ということを提示して、適切な投資であることを国民に示す必要もあるのではないかと思います。<br />
銀行の場合、「決済ネットワークが機能しなくなると、経済全体が大変なことになる」というのは、それなりの説得力はありますが、<span style="text-decoration: underline;"><b>一般事業会社に公的資金を投入する場合</b></span>には、政府が「投資」する場合のリスク・リターンや、それ以外のメリットについての説明は、<span style="text-decoration: underline;">金額ベースでもっときちっと行われるべきじゃないか</span>と思います。</p>
<p>特に、クレジットクランチが発生していたり、金額が巨額過ぎて民間の企業やファンドが出資できないような状況で、社会全体への波及効果がそれほど無い場合には、政府は「超大型投資ファンド」としてキャピタルゲインを狙うこともアリだし、狙うべきなのではないかと思います。</p>
<p>実際、AIG等、米国での公的資金投入の場合には、政府もキャピタルゲインが得られる「参加型」の株式を用いて投資をしています。</p>
<p>今回、公的資金が投入される場合には、<span style="text-decoration: underline;"><b>投入された資金がどの利害関係者を利することになるのか</b></span>、という観点もさることながら、その「投資」が<span style="text-decoration: underline;"><b>JAL再生 単体で考えた合理性があるか？</b></span>、<span style="text-decoration: underline;"><b>「国全体の安定を考えて」といった、説明になってない説明で誤魔化されていないか？</b></span>といった点を、国民としては、しっかり見据える必要があるのではないかと思います。</p>
<p>　</p>
<p>（ではまた。）</p>
<p>　</p>
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