「2つの包括利益」(論文)

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本日届いた今月11月号の「会計・監査ジャーナル」に掲載されている、早稲田大学商学部 辻山 栄子 教授の論文「2つの包括利益」を拝読しましたが、非常にわかりやすく、読むと頭がスッキリする すばらしい論文ではないかと思いました。
現在、IASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国会計基準審議会)とのジョイント・プロジェクトで検討されている「包括利益」の概念や報告形式についての性質、その問題点などがコンパクトに解説されている上、ヒックス流の経済学的所得と利益の関係、「収益費用アプローチ」と「資産負債アプローチ」の関係、「投資リスクからの開放」と利益の認識との関係、利益と自己創設のれんの関係など、
そもそも「利益」や「資産」とは一体何ぞや?
という本質的な疑問に、ズバーンと直球でお答えいただいている内容ではないかと思います。
筆者は、早稲田大学教授のほか、各種会計・税務関係の審議会委員等を努められておられますが、変わったところでは、プライバシー侵害と表現の自由について争われた柳美里氏の処女小説「石に泳ぐ魚」事件に関連して、モデルになった女性とともに、柳美里氏側に小説を出版する企画を中止するよう強く求めた旨、地裁の判決文にも登場されています。
(きっと「頼られキャラ」でいらっしゃるのではないかと推測いたしますが)、ノーウォークで開かれたIASB/FASBの世界円卓会議などでも意見を発信されているようで、会計基準の国際的なコンバージェンスの影響を受ける日本の会計界にとって頼もしい存在でいらっしゃるのではないかと思います。
(ご参考まで。)

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