日本公認会計士協会は、日本で最も組織的に教育を行っているプロフェッショナル団体の一つではないかと思います。(会計士は毎年年間40単位以上とらないといけません。)
その会計士協会のCPE(Continuing Professional Education)で、東京証券取引所自主規制法人制作の「こんぷらくんのインサイダー取引規制」(入門編・応用編)が無料で利用できるという案内が来たので、(今年度のCPEの単位がちょうどあと1単位足りないところだったこともあり)、やってみました。
(一般の企業等の研修でも、1人あたり数百円で使えるそうです。下記URL参照。
http://www.tse.or.jp/sr/comlec/e-learning.html)
前から、冊子版の「こんぷらくんの30分で読める!インサイダー取引規制Q&A」は愛読させていただいておりましたが、冊子版より初心者にもわかりやすいんじゃないかと思います。
数年前の冊子版と違う点として特筆すべきなのは、
「社長ブログに新規事業について書くのは、インサイダー取引規制が解除される重要事実の公表にあたるか?」*
と、「ブログ」が登場していたことですかね。(笑)
注:
正解は、金融商品取引法第166条第4項、金融商品取引法施行令第30条参照。
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反面、冊子版と違って、法令の条文にリンクしてないのがナンですね。
「入門編」「応用編」の2つが存在するんですが、東証さんは、判例や内閣府令の奥の奥まで知り尽くしてないと正解できないような「ディープ編」も作る必要が大アリではないかと思います。(笑)・・・というか笑ってられないというか。
(私が役員等をやっている会社ではない)上場企業においてインサイダー取引規制を見張らないといけない立場の人と話をしていても、(当然、研修はちゃんと受けており、この入門編・応用編くらいの知識はある方なわけですが)、未だに細かいところで勘違いをされてるケースが多くて、ヒヤヒヤするので。
先日も、すんでのところで「わわわ!それやったらインサイダーになっちゃうよ!」とご指摘したことがあったんですが、こうした巷の現状だと「うっかりインサイダー」が発生するのは避けられないと思います。(だって、「うっかりインサイダー」が発生するのは、まさに「ディープ」なところで、なわけですから。)
上場会社には、「ディープ編」で90点以上取れるインサイダー規制管理担当者を2人以上置かないとダメ、といった上場要件を課してもいいくらいじゃないかと。
教材でもおっしゃってましたが、たとえ「うっかり」でも、万が一インサイダー取引規制違反が発生したときの被害のデカさといったら尋常じゃないので。
そうした、本来法で規制する必要もないような「うっかり」を法で罰する必要があるのか?という問題も重要ですが、善かれ悪しかれその法を前提とする限り、取引所は、たとえ「うっかりインサイダー」であっても、発生すれば市場の信用を失墜させ、自らの「売上げ」を低下させることになりますし、それで信用失墜した企業が上場廃止といったことにでもなれば、「大口顧客」も失うことになるわけなので。
(ではまた。)
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