かれこれ2年前に、「委員会設置会社制度改造論」という記事を書きましたが、それに対して、組織・人事系のコンサルタントをされている「YN」さんからコメントいただきました。
私の上記記事は、主として「監査委員会」と「監査役(会)」の観点から制度についてコメントさせていただきましたが、YNさんは、報酬委員会の視点からガバナンスについてコメントされてます。
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また、いただいたURL
の記事も、日本、米国、ドイツのコーポレートガバナンスの対比や各種データに基づいて、ガバナンスと報酬の関係について論じてらっしゃていて、非常に参考になります。
日本の(監査役設置会社による)ガバナンスは、報酬決定権が株主のAgentである取締役会にあるが故に、逆に、報酬を低めに抑える傾向が出てしまい、
その結果として、取締役兼業務執行者は安定して長期的に報酬を獲得するというインセンティブが働くことが想像されうる。
というところも、「なるほど」という感じです。
(「報酬委員会を作った方が報酬が上がった」というのは、個別の事例としてはまま聞く話ですが、世界各国のデータに基づいての議論は説得力があります。)
「報酬」の構造にメスを入れない限り、日本の企業はリスクテイクするようになれないし、「株主のために働く」というマインドにもなりようがない、ということかと思います。
(現在、欧米では、特に金融機関等の経営者の高額報酬をどう規制するかという方に視点が移っているときにナンではありますが、日本では「逆」の議論が必要なのではないかと思います。)
YNさん、コメントどうもありがとうございました。
(ではまた。)
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こんばんは。斯様に取り上げていただき、有難うございます。
(なお、コメントやリンク先の論考の内容は個人的な意見であり、(大きく違わないとは思いますが……)必ずしも所属企業の立場や見解を代表するものではありません(一応念のため)。)
ご指摘いただいたように、公的資金投入を行った事業会社・金融機関の経営者(Oficer)報酬の規制やエクソンモービルやダウ・ケミカルにおける取締役(Director)報酬の株主総会承認制を求める株主提案(*)など、むしろ米国では高額報酬に対する規制・抑制の動きがでています。一方で、欧州を含むグローバル企業の報酬水準は収斂の傾向にありそうですし、そういう意味では日本の役員(代表および業務執行取締役)の報酬はやや「取り残され感」があるのは事実だと思います。
つまるところは、「報酬とはいかなる要素によって決定されるのか」という企業にとっても我々人事系のコンサルタントにとっても永遠のテーマに帰着するのかな、と思ったりもします。コーポレート・ガバナンス論ではなかなか「報酬」や「インセンティブ」の要素が出てきませんので、上記のような問題意識を持って引き続き愚考を重ねたいと思います。
またコメントさせていただくと思いますが、宜しくお願いいたします。
*: NIKKEI NET「取締役の報酬、総会の承認を」 米で株主提案広がる
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090529AT2M2802128052009.html