すごーく遅くなってしまいましたが、税理士の柳澤 賢仁さんから送っていただいた著書について。　

社長さん、会社を潰したくないなら、
バカみたいに現金にこだわりなさい!

posted with amazlet at 09.07.30

柳澤 賢仁
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これは、「すごくいい本」だと思います。

タイトルや内容は、一見、「コテコテのオッサン系中小企業の不況乗り切りノウハウ集」に見えますが、実は非常に普遍的な経営の話であり、それがまたすごく「熱く」語られてます。

もちろん、「経営が苦しくなりはじめた社長さん」が読んで非常に役に立つ本でもありますが、上場企業の社長が読んでもいいし、成長途中で順風満帆のベンチャー企業も読むべきです。

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ビジネスというのは、原初的には「現金をいかに獲得するか」ということにつきるわけですが、歴史的には「利益」概念が拡張されていくうちに、なんかビジネスの大事な部分がピンぼけになってきちゃったんじゃないかと思います。
この本は、それに「喝！」を入れてくれると思います。

よく、これからビジネスをはじめようという人やベンチャー企業の経営者などに、
「会計や財務のことを勉強するのに何かいい本はありませんか？」
と聞かれるのですが、今までは、
「うーん、今イチいいのがないんですよねー」
という回答をするしかなかったんですが。
これからは、「これ一冊読めば大丈夫」と言うことにします。

会計とか税務とか経営というのは、現代では非常に複雑な体系になっているので、巷に出ている本というのは、たいていその「一部分」をまとめたものになっているわけです。
しかし、社長業とか経営というのは、ビジネスの「全体」を見ないといけないので、そういう部分的なテクニックをいくら読んでも（学者や経理部の事務員になるならともかく）あんまり経営者の役には立たないはずなんですね。

もちろん、この本も経営の森羅万象を書いてる訳ではないです。例えば、この本には、「いかにベンチャーキャピタルから資金を調達するか」といったことは書いてありません。
しかし、ベンチャーキャピタルから資金調達して、１〜２年資金のことを気にせずに開発に専念できたりするのは、もちろん「イイこと」ではあるんですけど、そんな資金調達ができる企業は、何万社に一社だから普遍性はないし、そういう企業でも、（薬ができるかどうか一発勝負のバイオベンチャーとか、はじめからバイアウト目的で売上を上げる気がないネットベンチャーなどの特殊な例を除き）、やはりオペレーションの軸の中心となるのは「現金」のはずです。

余裕資金がジャブジャブにある企業でも、「現金（のフロー）」に意識を集中することで、（売掛金の回収とか在庫の圧縮とか）、大いに経営が引き締まるはずなんです。
また、いまさら「株主のために行動しろ！」とか言われてもピンと来ないオーナー系上場企業のオッサン社長の方なども、 「現金」の話を読むと、創業時の苦労が甦ってきて、「もういっちょなんかやってやろう」という気になるやも知れません。

加えて、「頭のいい経営者」は、この「現金概念」をどんどん拡張・一般化していけるんですけど、それは軸がブレることにもつながりやすい。
貸借対照表で、「左上」の現金の真逆にあるのが「右下」の資本や利益ですけど、上場企業とか頭のいいCFOとかの中には、そっちの「右下」の方にばっかりに意識が引きずられる人も多そうです。
（「（旧）ライブドア」がその典型例だったかも知れません。）

将来、会社をつくりたいという人や資金に困ってる人はもちろん、資金に余裕があったり、経営が安定してたりする企業の経営者や従業員のみなさんも、この本を読んで、気合いを注入してもらってはいかがでしょうか。

柳澤先生、聞くところによるとゴルフはシングルだそうですが、この本を読むと、会社が「現金」という軸を中心に「きれいなスイング」をして、白いボールが青い空に向けてまっすぐ飛んでいくようになる気がします。

（ではまた。）

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