先週の週刊isologueでは、ソフトバンクが総務省に提出した「アクセス回線会社収支試算結果説明資料」(いわゆる「光の道」への提言の一部)を題材に、本当に孫社長が言うように国費の投入ゼロで光ファイバーを全家庭に引く事ができるのかどうか、また、ソフトバンクが考える次世代光インフラの考え方やその実現可能性はどうか、等について考えてみました。
今週は、そのソフトバンク自体のファイナンスについて考えてみたいと思います。
ネット上でも、結構な識者の方々が、
「また何百億円も社債を発行してる!この会社、どうなっちゃうの?」
とか、
「ソフトバンクは借金まみれになって沈んでいく。登りゆくドコモと対照的。」
とか、
「溺れるものは藁をもつかむで、光の道に飛びついちゃって・・・」
等、ソフトバンクに対して悲観的なことをおっしゃっているので、
「ソフトバンク、大丈夫かしらん?」
と思ってる方も多いのではないかと思います。
一方、孫社長の決算説明会のプレゼンを素直に見ると、
- 今回の決算は、三社(NTT、KDDI、SB)の中で1社だけ増収増益
- ARPU(ユーザーの平均利用単価)が伸びてるのは3社中(そして世界でも)ソフトバンクだけ。
- ボーダフォン買収以降、有利子負債は計画を超えて9000億円近くも減少
- 今の計画だと、あと数年でソフトバンクは実質無借金経営になる。
- 営業利益、フリーキャッシュフローで日本の全上場企業中3位、4位に入る優良企業
(NTTとかトヨタに次いで。KDDIは既に抜いた。) - さらにウィルコムにも出資して基地局数倍増、
(フェムトやホームアンテナなどをセコくカウントしてかと思いきや、なんとそれは含めずに。) - 設備投資はつながりにくい電波に応急処置をする後ろ向きなものではない。
次世代の高速通信のためには「小セル化」が必須。ネットワークの設計思想を先取りした先進的な投資。
と「景気がいいにもほどがある」状態にも見えます。
いったい、どちらのイメージがソフトバンクの実態として正しいのか。
今週と来週は、ソフトバンクの財務上の数字等を見ながら考えていきたいと思います。
今週は、最近発行された社債等の話に入る前に、ヤフー株式を使ったファイナンスを読み解いていきます。
今週の目次とキーワードは以下の通り。
- SPV(=Special Purpose Vehicle、特別目的事業体)を使った巨額ファイナンス
- SPVの概要
- 有限責任中間法人、一般社団法人とは
- スキームの概要
- どういう名目でフィーを受渡し?
- 取引の履歴
- なぜ、他の会社が混じってる?
- 名義や議決権をソフトバンクに残すのはどうやっている?
- ソフトバンクは、なぜこのスキームを採用したか?
- マニアックな方のための付録その1:一般社団法人等を使った他の例
- マニアックな方のための付録その2:担保の掛け目(グラフ)
ご興味のある方は、下記からお申し込みいただければ幸いです。
(次週は、平成22年3月期のソフトバンクの決算説明会の内容の検証と、今回発行された社債、そして、ソフトバンク全体の財務状況をどう見るか、について、の予定。)
(ではまた。)
[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。