発起設立と募集設立

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ドラクエ�の途中のエピソードで嗚咽がこみ上げそうになるのを子供達に気づかれないようにおさえるのに苦労した、40越えて涙腺がすっかり弱くなったおじさんの磯崎です。
krpさんより、設立コストのナゼ?シリーズその2:銀行の払込金保管証明書のコストにコメントいただきました。

今回の会社法現代化で発起設立の場合は、「残高証明等の方法によるものとする」こととなり、保管証明はいらなくなります(というか、なる方向で法案まとめるはず)。
募集設立の場合は残るようですけど、VBで募集設立はないですよね?

初めての方のためにおさらいしておきますと、
株式会社の設立には、「発起設立」(商170条)と「募集設立」(商174条)があります。
発起設立とは、会社の設立時に発起人が全株式を引き受ける方法。
募集設立とは、発起人が一部だけを引き受け、残りを募集する方法です。
平成2年の商法改正前は、発起設立だと裁判所の選任する検査役検査が必要だったのですが、その改正後は検査役が不要になったので、今では(作成する書類も少なくて済む)発起設立の方が主流ではないかと思います。
ということで、原則としてベンチャービジネスで募集設立は無いはずなんですが、実は、つい最近、ベンチャービジネスの設立に募集設立を使ったケースがありました。
要は、定款認証を行うまでに設立当初の出資者全員のハンコをもらう時間がなかった、ということなんですが。設立日(=登記申請日)は、「大安がいい」とか「1日付けがいい」、「スキーム上、この日でないとまずい」など、いろんな理由で制約を受けますので、それにあわせて定款認証のデッドラインも決まってきます。
このため、公証人さんに認証してもらう定款には発起人1名だけがハンコを押し、その後他の株主さんにも「株式申込書」の形でハンコをもらって設立、ということにしました。
もちろん、発起設立で発起人が設立直後に他の株主さんに株式を譲渡しても同じことです。しかし、(一般の未公開会社がちゃんとやってるかどうかはともかく)、商法上は株式の譲渡には株券を発行してそれを交付する(引き渡す)ことが必要(商法205条�)ですので、(そういった法律にウルサイ方に)ちゃんと譲渡しようと思ったら面倒だとか、「設立時(設立の瞬間)から株主でないとヤダ」とか「発起人にお金を渡すのはイヤ。株の代金は銀行の別段預金にちゃんと払い込みたい。」というような(ことを言われる可能性のある)出資者の場合には、募集設立を使うという手があった、ということです。
ま、極めて例外的なケースですので、たいていの場合は発起設立で間に合うはずです。今でも、前述のとおり募集設立だと「創立総会議事録」「株式申込書」等よけいな紙を作らないといけないですし、会社法の現代化で保管証明コストが変わってくるということであれば、なおさら募集設立を使う人はいなくなっちゃいそうですね。
(ではまた。)

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