お笑い会計参与制度

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ちょっと古い号になりますが、商事法務2005年1月5日号の「『会社法制の現代化に関する要綱案』の基本的な考え方」という新春座談会のテーマの一つとして、新会社法で採用される予定の「会計参与」制度について語られてます。
いやー、商事法務を読んで爆笑したのは初めてですが、これ、もう涙出そうです。
以下、部分的に引用いたしますので、読んでいただければと思います。
(ちなみに、以下、登場された先生方に文句を言ってるのでは全くございませんので、念のため。というか、座談会でこんな話をしゃべらなければならなかった先生方に深く同情いたします。)

武井(一浩 弁護士):今回の要綱案で初めて「会計参与」という提案が出て来ています。この点について、神田先生から少しご説明いただけますでしょうか。

神田(秀樹 東京大学教授):私も、なぜ会計参与という制度が出て来たのかよくわからないのですけれども、ある日突然出てまいりまして、部会の審議を通ってしまったという制度です。

(ここでまず一回、爆笑をお願いいたします。)
神田大先生がよくわからんものが通っちゃうというのは、日本の立法の検討プロセスは大丈夫なんでしょうか?

武井:(略)公開会社にはそもそも会計参与制度というのはそぐわないのだという意見も出されていたようです。この点に関しては、いかがでしょうか。

神田:制度論としてはそういったご意見は正当だと思うのですけれども、従来争ってきた二つの勢力が合意して提出したものですから、ちょっと修正の余地がないというような感じに私は受け止めましたけれども。

要は、公認会計士協会と税理士会がやっと合意に達した制度なので誰もツッコめない、ということですが・・・・ほんとに誰もツッコまなくてよろしいんでしょうか?

武井:西川さん、実際に公開会社で、この会計参与を設置する機運はあるのでしょうか。
西川(元啓 新日本製鐵常任顧問):(略)日本経団連の企画部会で、これを公開会社で採用するところはあるのだろうかと聞いてみましたが、自発的にこれを設けようと言う会社は、当然のことながら一社もありませんでした。(略)
ただ一方で、このような制度が設けられるということになりますと、規制当局から、会計参与設置の要請ないしは慫慂(しょうよう)がなされるのではないかと、そう警戒する声が一部にありましたね。
「変なものができたっちゃなあ……」という気持ちですね。

これだけの識者の方々に、生まれる前から「変なもの」呼ばわりされちゃってるモノが、今後、国会を通っちゃうんですかね?日本の立法府は、それでいいんでしょうか?

森本(滋 京都大学教授):これは妥協の産物ということで仕方のないことなのでしょうが、会計参与の基本的役割がもう一つわからないのです。(以下略)

ご専門家の方にわからないものが、一般国民にわかるんでしょうか?
ちなみに、私にはわかりません。
−−−
これは「会社法制の現代化」についてディスカッションしている座談会なわけですが、
もし、その会社法のまさに対象となる「企業」の内部で新しいルールを作る際に、こうした最高レベルの識者の方々がまったく必要性も感じてもいなければ どう使っていいかイメージもわかないような制度が、一部の部門のわけのわからない都合で通っちゃったとしたら、「ちゃんと仕事してる」とはとても考えてもらえないと思いますし、妥当性監査したらアウトの宣告を下されるお話ではないでしょうか。
そうした企業を規律する法律を作るときには、そういうことが許されるんでしょうか?
「会社法制の現代化」と言いますが、これホントに「現代」のお話なんですかね?
(ではまた。)
参考:
会計参与制度と訴訟対応、ブランディング
https://www.tez.com/blog/archives/000186.html
会計参与制度はビジネスとして成り立つのか?
https://www.tez.com/blog/archives/000185.html

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5 thoughts on “お笑い会計参与制度

  1. 会計参与が笑われた

    isologueさんのところの、
    「お笑い会計参与制度」
    笑われちゃってますね。
    会社法の機関設計からしたら、
    そもそもこんなものはいりません。
    ですから学者の先生方も困ってしまいます。
    全ての原因はこの一文が示しています。
    >要は、公認会計士協会と税理士荻..

  2. 偶然にもこのテーマを読む前日 日本公認会計士東京会主催のパネルディスカッションでこのテーマがとりあげられていました
    (今月はCPE強化月間として週2くらいのペースで研修に参加しています)
    パネラーは 業界でも名だたる方々ばかりで 会計参与についてどういう意見が飛び出すか興味をもって聴いていましたが おおむね否定的な意見が多かったように思われます
    進行役は協会サイドの人間であり 会計参与について必死に前向きな意見を誘導しようとしていましたが その努力むなしく最後まで賛成意見はありませんでした
    否定の論拠はすべて責任論についてであり 会計参与制度の立法趣旨もしくは法的位置づけについてはほとんど触れられませんでした
    会社の機関たるこの制度を監査役制度になぞらえれば 第三者に対する責任は無限であり いくら報酬をいただいたとしても あまりにもリスクが高すぎると述べたパネラーもいらっしゃいました(東京税理士会の金子会長は 責任を報酬の2年分以内にとどめられたとおっしゃっていましたが)
    思えば 会員の集合体たる協会が制度の導入に賛成で 組織を構成する会員から賛成意見が聞かれないのは不思議な気がします
    ちなみに パネルディスカッションに先立ち 前協会会長の奥山氏が改正会社法について講演していましたが 制度導入にいち早く賛成した都合上 商法学者からいろいろ意見がでても 振り上げたこぶしをなかなか下ろせない事情があるような印象をうけました

  3. 会計参与(新会社法)

    来春施行予定の新会社法で「会計参与」ってのができるそうで、どんなんだろうとググってみてトップに出たのがトラバ先の記事。
    なんじゃこりゃ?
    ありえん・・・!
    商法の大家の神田秀樹先生でさえ「よくわからない」というシロモノ。
    公認会計士と税理士の二つの勢力…

  4. 事例2-3-4(P.152) 地域一体と成った会計透明性向上への取組

    愛媛県の法人会及び税理士会は、中小企業の会計に関する指針及び会計参与制度の推進に着手。利用企業に金利優遇する新型ローンも創設。財務内容の透明性向上を図る事…