今回は、今年上半期の記事を一覧する「総集編」をお届けさせていただきます。
詳細は、以下をご覧下さい。
(以下、リンクはブログでの紹介にリンクしています。)
(第144号) 謹賀新年(2011年の「週刊isologue」総集編)
2011年1年間を振り返った総集編の回です。
(第145号)エクソンモービル日本事業縮小報道についてのまとめ
この回では、1月4日に各社で報道された、石油最大手エクソンモービルの日本事業の縮小方針について考えます。
石油事業は、この週刊isologueで取り上げることが多いITやネット系の事業とは正反対の「リアル」の極みの事業とも言えますし、アップルとならんで時価総額が世界最大級の会社なので、基礎的なところから事実を確認していきたいと思います。
目次とキーワード:
- 報道された事業縮小スキームの内容
- 石油産業における「川下」とは
- 株価への影響
- 東燃ゼネラル石油の第4位株主「高知信用金庫」?
- エクソンモービルの日本法人は「有限会社」
- 自社株買いの東燃ゼネラル石油への影響
- 東燃ゼネラル石油の現預金はほぼゼロ!?
全体の3割超もの株式を購入出来るのか? - 株式売却のエクソンモービルへの影響
- エクソンは何で儲けているか?(セグメント情報)
- 設備は世界のどこに分布してるか?(アラブではなかった)
- 東燃ゼネラル石油が連結からはずれると、日本地域の売上はゼロになるか?
- おまけ:時価総額世界一を競うアップルとの財務比較
米国の「secondmarket」等では、未上場株式にも関わらず、FacebookやTwitterなどの株が大量に取引されていると言われています。この回では、そうした状況が日本でも近い将来に出現する可能性があるのか?、出現させた方がいいのか?させない方がいいのか?といった点について考えました。
目次とキーワード:
- 日米の未公開株式取引関連資料
- 米国の未上場株取引の現状
- 日本のグリーンシート銘柄制度の概要
- 日本の未上場会社の譲渡制限の歴史
- 米国の譲渡制限
- 米国ベンチャーの実例
- ストックオプションのベスティングの日米相違
- 未上場株取引が増えると、何かいいことはあるのか?
- まとめ
(第147号)「Femto Startup LLP」はじめました
すでにブログ等でも公表させていただいていますが、今月2012年1月より、株式会社インターリンクと、同社社長横山正氏といっしょに、「Femto Startup LLP」(有限責任事業組合フェムト・スタートアップ)という、ベンチャーをサポートする組織をはじめました。
このLLPを使った少額投資のスキームは、知恵とお金を集めて少額の投資をしながらベンチャーのサポートをしようと考えている人役に立つのではないか、とも思いますので、この回ではこのスキームを作るにあたって考えたことを、いろいろご紹介させていただきました。
この回では、前半の「Femto Startupで考えていること」は投資を受けるベンチャー向けの説明にもなっていますが、それ以降の部分は、どちらかというと、ベンチャーをサポートするための少額投資やインキュベーター的なことを考えている人や、事業会社からの投資を考えている人向けの内容になっています。
目次とキーワード
- Femto Startupで考えていること
- 「femto」とは
- 投資とサポート内容
- CFO的役割は必要とされているのではないか
- ベンチャーをどう応援するか?
- 「相場」の形成
- 応援したいベンチャー
- 運営コスト
- 有限責任事業組合(LLP)を採用
- 「株式会社」じゃダメなのか?
- 金商法上の規制の概要
- どこまで各組合員の関与が求められるか?
- まとめ
(第148号)創業メンバーの中途退任時に株を返してもらう方法
日本では、起業をする際に「友人数人といっしょに起業する」というより「1人で起業する」というパターンが多い気がします。これに対してアメリカで大成功している企業を考えてみると、友人同士でいっしょに起業しているケースが多いですね。
ここで注意する必要があるのが、資本政策です。大きな株式の比率を持つ共同創業者が途中で抜けた場合には、資本政策が大きく想定からはずれてしまいます。(特に、ベンチャーキャピタル等から資金調達をして会社の企業価値が大きくなった後)
こうした状況を乗り切るため、「共同創業者(co-founder)が途中で辞めた場合には、全部又は一部の株式を返してもらう」ということを、会社を始める際に決めておいた方がいいんじゃないか?、というのがこの回のテーマです。
今週の目次とキーワード
- 資本政策上の問題
- インキュベーターにはどのくらいの株式を渡せばいいか?
- 共同創業者には、どのくらいの株式を渡せばいいか?
- Googleの創業者のケース
- 契約の例(日本版Restricted Stock Purchase Agreement)
- リバース・ベスティング(reverse vesting)
- 意外に怖い、返還時の税務
- 「個人→個人」の譲渡のケース
- 「個人→法人」の譲渡のケース
- 会社法上の問題
- 会社が低額で取得した自己株式の計上額はいくら?
- 「株+契約」で一体とみなせないか?
- 種類株式とした場合
先週2月1日に、ついにFacebookが上場申請のために、「Form S-1」をSECに提出しました。
この回ではこのFacebookのS-1を見て、今までの予想との違い、今後の課題等について考えてみました。
今週の目次とキーワード:
- 公募の概要
- Dual Class
- 日本における議決権種類株式の上場制度
- 株主構成は予想通りだったか?サベリンは?ウィンクルボス兄弟は?
- Googleの上場時及び現在の財務内容との比較
- 競合関係
- Zyngaへの依存
- 超豪華役員構成
- まとめ
(第150号)Femto Startupの投資契約を公開します
今年1月からはじめたFemto Startup LLPが、1月30日に第一号案件として株式会社ピースオブケイクに投資をさせていただきました。
このときの投資契約をベースに、設立間もないシード期のベンチャーにエンジェルやインキュベーターなどが投資をする際の投資契約書の「ひな形」を作成してみました。
ひな形本文はFemto Startupのウェブに上げてありますが、「なぜこういった条件にしたか?」といった、ひな形の考え方について、この回で解説させていただきました。
このひな型は、
- 設立間もない「シード」のベンチャーで、
- 近い将来、ベンチャーキャピタルなどからさらに資金を調達する予定があり、
- 上場やM&AでExitを考えている企業に対して、
- いわゆるエンジェルやインキュベーターなどが200万円から500万円程度を投資し、
- 発行済株式数の平均5%程度を取得するような投資
といったケースを想定したものとなっています。
この「ひな形」を作るにあたっては、AZX総合法律事務所の雨宮美季弁護士に多くのご協力を頂きました。また、司法書士松田事務所松田敏明司法書士にも、多くのコメントを頂きました。ありがとうございました。但し、ひな形の内容及び特にコメント部分については、当然のことながらこの記事の筆者に責任があります。
(また、このひな形は一般化をしてありますので、第一号案件株式会社ピースオブケイクの契約書と一言一句同じにはなっておりません。念のため。)
ひな形のpdfはこちらをご覧下さい。
http://femto.st/pdf/Femto_Startup_investment_agreement.pdf
目次とキーワード:
- なぜ投資契約を結ぶのか?
- なぜ5%程度の投資なのか
- 取締役会”非”設置会社をオススメするわけ
- 投資契約書の位置付け
- 投資の目的は何か?
- 投資は、普通株式?種類株式?Convertible Note?
- 資金使途の制約はどの程度付けるのか?
- 表明及び保証の範囲
- ウソなどがあった場合の買取請求権
- その他
(第151号)Facebookのザッカーバーグ氏はちゃんとガバナンスされているのか?
2月1日にFacebookが上場申請資料を提出しましたが、2月8日には、これに関連する契約書などの大量の添付資料を提出しています。
今までも、「Dual Class」普通株を使って経営者が議決権を確保して上場するケースは、Googleなどでもありましたが、Google等では創業者等による相互牽制が効く構造になっていたのに対して、FacebookのザッカーバーグCEOはまさに1人で株主総会を牛耳れる「独裁者」ですので非常にまずいのではないか、といった論調も見られます。(「独裁者」のイメージが強いSteve Jobs氏も、追放された時に株をほとんど売却してしまったので、株主総会を支配できるだけの議決権は持っていませんでした。)
この回では、S-1や添付資料から、ザッカーバーグ氏に対するガバナンスが機能しているかどうかを判断できそうな周辺事情、その他について概観してみました。
目次とキーワード:
- 添付資料の一覧
- Facebookの株券
- Facebookの子会社
- Facebookのファイナンス履歴
- ザッカーバーグのお父さんへのオプション
- 新聞社CEOの娘が…
- ザッカーバーグのお姉さん
- 不動産賃貸契約と「ハッカーウェイ」
- Menlo Park市で一番課税資産を持っているのは?
(第152号)Facebook役員の雇用条件はどうなっているか
「週刊isologue(第148号)創業メンバーの中途退任時に株を返してもらう方法」で、日本でも、創業初期の共同創業者などに株を渡す時に、アメリカのRestricted Stockのようなことをやった方がいいのでは、と提案させていただいただきました。
この回ではFacebookを参考に、上場する規模になった企業の役員(officer)の雇用条件(Restricted Stock Unit=RSU等)を見てみました。
目次とキーワード:
- ザッカーバーグへのオファーレター
- 「controlled company」とガバナンス
- ザッカーバーグ氏が昨年私用に使った費用
- 報酬は本当に1ドルになるのか?
- どの程度の株を出せば全米トップクラスのスーパーな人材に来てもらえるか?
- サンドバーグ氏入社のタイミングとリスク
- 「COO」の職務の定義とは?
- 「クビ」は契約で禁止されているか?
- 会社側都合でのクビの場合のベスティング
- 買収の場合のベスティング
- 法務担当Ullyot氏が昨年使った費用
- Ullyot氏の報酬は、なぜかくも高額なのか?
- オフィサー間の報酬のバランスは取れているのか?
米国のレストランなどの口コミサイト「Yelp」社が3月2日金曜日に上場しました。
この回では、このYelpと、ぐるなび、食べログといった日本の飲食系サービスを比べて、ネットの飲食系サービスのビジネスモデルについてざっくり考えました。
目次とキーワード:
- Yelpの概要
- 口コミ、月間ユニークビジター、店舗数
- ビジネスモデル、売上の内訳
- なぜOpenTable社がYelpと提携しなければならなかったか
- 損益の状況
- 赤字と見くびっていいか?
- Yelp Foundationとは?
- 国別の売上
- 未上場段階の調達額、キャッシュ
- 資本政策:創業者でCEOなのに持株比率が…
- PayPalマフィア
- 「食べログ」の業績と、財務的に見たYelpとの違い
- 「ぐるなび」の業績と、財務的に見たYelpとの違い
- なぜ日本の同業は、時価総額でYelpに負けるのか?
- これからの日本のO2Oベンチャーの財務戦略
(第154号)ベンチャーファイナンスの新常識 – 方向転換した新しい上場審査基準
3月7日水曜日、3月8日木曜日の2日間、慶應義塾大学の三田キャンパス東館8階ホールで、「20th Venture Private Conference」というイベントが開催されました。 今回のセッションで各パネラーが訴えたかった最大のテーマは、 「現在の証券取引所の上場審査の考え方は大きく変貌を遂げ、本質重視で柔軟なものになっている」 「上場のための特殊なテクニックではなく、『本質』が重要」 という点だと思います。
(この回は、一般にも内容を公開しています。)
目次とキーワード:
- キャンバス加登住氏の発表内容
- 創薬ベンチャーの財務的特徴
- 「マイルストーン」
- 「マークアップ」
- CFOの役割
- 上場準備の古いパラダイム
- 「マザーズ上場の手引き」がバイブル
- 「反社会的勢力」チェックの負担
- 東京証券取引所 池田氏の発表内容
- 反社会的勢力チェックの考え方の変化
- 事業計画の評価の考え方の変化
- 他
(第155号)日本にも「クラウド・ファンディング」は来るか?(その1)
米国では「クラウド・ファンディング」を可能にする法律が下院を通過して、クラウド・ファンディングの機運が一気に盛り上がりを見せています。
クラウド・ファンディングとは、ネットなどでベンチャー等が直接一般投資家等から資金を集めることを指します。「クラウド」は「クラウド・コンピューティング」の「クラウド(cloud)」と同じではなく、「大衆」の方の「クラウド(crowd)」です。
日本のネット上でも、このニュースが「日本でもクラウド・ファンディングが可能になるんでは?」と期待を持って迎えられていますが、果たして日本ではこのクラウド・ファンディングは可能なのでしょうか?今回から何回か、このクラウド・ファンディングを日本で成立させるためには、どのようなことが必要になるのか、そもそもこんなことをやっちゃって大丈夫なのか?等について考察しました。
目次とキーワード:
- 株式で資金調達を手伝う際の規制
- 株式の公募と私募
- みなし有価証券の公募
- 第一種金融商品取引業者
- 未公開株は原則として取扱い禁止
- 適格機関投資家向け投資勧誘
- 店頭取扱有価証券の投資勧誘
- グリーンシート銘柄
- 方向性まとめ
(第156号)日本にも「クラウド・ファンディング」は来るか?(その2)
前回の週刊isologueでは、日本で「クラウド・ファンディング」を行う場合にどのような制約があるのか、ということを整理してみました。
3月22日木曜日に、ついに!クラウド・ファンディング関連法案「H.R.3606 – Jumpstart Our Business Startups Act」が米国の上院も通過しましたが、この法案が具体的にどのような中身になっているのかを見てみました。
目次とキーワード:
- 法案の目次
- 「零細企業が対象」ではない!
- 新興成長企業(emerging growth companies)の定義
- 開示義務の免除
- 内部統制監査・会計監査関係の免除
- アナリストレポート関係
- 個人と機関投資家と、どちらへの情報開示が重要か?
- 「仲介者(intermediary=クラウド・ファンディングのプラットフォーム)」がいる場合といない場合
- 発行会社や仲介者の義務
- 仲介者は「証券会社」か?
- どのような譲渡制限が付くか?
- 投資家保護や詐欺防止のために、どのような要件が課せられているか?
(第157号)日本にも「クラウド・ファンディング」は来るか?(その3)
この回では、日本でクラウド・ファンディングをはじめとする巷のニーズをすくい取った非上場株式取引が適切に行われるためには、どのように制度を変える必要があるのかについて、今までの非上場株式やクラウド・ファンディング関係の記事をもとに、まとめてみたいと思います。
日本の上場企業は(たった)数千社しかありませんが、非上場会社の数は日本だけで300万社にものぼります。つまり、現在の証券会社の取引の中心となっている上場株式の取引というのは(現状の金額では日本の株式の取引のほとんどすべてを占めていますが)、可能性は極めて限定されてしまっています。
非上場株式を証券会社が取り扱うことは日本証券業協会のルールで現在は原則として禁止されていますので、潜在的な非上場株式の取引ニーズの全体像を把握している人は、現状非常に少ないと考えられます。だからこそ、この非上場株式の取引を「原則自由」にし、多数の人の知見が行かせる市場メカニズムに任せる方向で考えていかないといけないのではないかと考えます。
目次とキーワード:
- 改善の方向性の要旨
- 証券会社の非上場株式取扱い原則自由化
- 既存のルールの枠組み
- 「業務独占する者」の社会的義務
- 日本の取引量は潜在的需要を反映しているか?
- 自由化と投資家保護は両立可能か?
- 具体的な変更イメージ
- 非上場株式取扱の自由化
- セーフハーバー化
- 募集をネットで行いやすくするために
- 「新興成長企業の募集」の要件
- グリーンシート銘柄等の位置付け
- 法律の変更
(第158号)500 Startupsの事例でみる、インキュベーターの資金調達
米国でスタートアップに投資をする「500 startups」が新しいファンドの資金調達を計画しているようです。(TechCrunchの記事、「500 Startups Raising New $50M Fund, Names 4 New Partners, With 250+ Investments To Date)
この回では、この500 StartupsがSEC(米証券取引委員会)に提出している資金調達関連の文書をもとに、アメリカのインキュベーターやベンチャーキャピタルの資金調達について考えてみました。
目次とキーワード:
- 500 startupsとは
- 資金調達の概要
- 資金調達のSECへのファイリング
- 1号ファンドの調達実績例
- まとめ
(第159号)Googleが計画する株式分割は「evil」(悪)ではないのか?
4月12日に、Googleが2012年第1四半期の決算を発表するとともに、「株式分割」も発表しました。
Googleはご存知の通り、今までも一般に流通する「Class A」普通株(1株1議決権)と、Larry Page、Sergey Brin の2人の創業者等が持つ「Class B」普通株(1株10議決権)を発行していました。
今回行う「株式分割」は、それぞれの種類の株式をただ単に2つに分割するのではなく、「Class C」普通株(議決権無し)という新しい種類の株式を、既存の株主の1株に対して1株配当します。
Googleはなぜ、このような一件奇妙な「株式分割」を行う必要があるのでしょうか?
またこれは、「Don’t be evil」という社是に反した「evil」な目的は無いのでしょうか?
正式なSECへの開示は今週行われる予定ですが、この回ではまず、創業者からのレターやGoogleによる解説資料から、そのへんを探ってみました。
目次とキーワード:
- 創業者からのレター
- なぜ創業者に権力を集中させる必要があるのか?
- 株式配当で実質「株式分割」となるスキーム
- 無議決権のClass C普通株の導入
- Sergey Brin氏は引退するのか?
- Sergey氏がGoogleを辞めたら、1株10議決権の特権はどうなる?
- この株式分割で、既存の議決権比率が創業者有利に調整されるのか?
- 新「Class C」株の導入は上場後の株式構造の変更にあたるのでは?
- スキーム検討のプロセス
- 新「Class C」株は市場で売却できる?
- 決算説明会でのアナリストからのツッコミは?
- 従業員向けストックオプション等はどういう影響を受ける?
- まとめ:このスキームの「悪さ」具合
(第160号)Google新資本政策の検討経緯が公表された!
4月12日に発表されたGoogleの無議決権「Class C」普通株を使った「株式分割」続報。この回では先週4月20日金曜日に新たに発表されたGoogleのPloxy Statement(株主総会招集通知)に開示されている、ものすごく詳細で長期にわたる、このスキームの検討プロセスを見てみました。
目次とキーワード:
- Googleの株主総会招集通知
- 株主総会の議案
- 基準日
- 取締役候補(≒スキーム検討のメンバー)
- 大株主の状況
- 定款変更の内容
- 検討の経緯
- 特別委員会メンバー
- 種類株式の上場と流動性
- 特別委員会は「ヤラセ」で検討していたか?
- シュミットCEOとプリンストン大学学長の独立性
- 財務アドバイザーによる各種検討
- なぜ2011年8月の検討が飛んでいるか?
- 利益相反が考えられる場合とそうでない場合の落差
- 「信任義務(fiduciary duty)」という美しい名の恐怖
この回では、Googleの創業者支配を続けるための「Class C」普通株の株式配当を使った資本政策の第3回目として、株主総会招集通知に記載されている経営陣からの議案の説明の後半部分について考えてみました。
目次とキーワード:
- 「コントロール・プレミアム」を消す!
- Class A株(1議決権)とClass C株(無議決権)の取引価格は乖離するか?
- 無議決権株を使った買収を行う場合の、内国歳入法上のスキームへの影響
- 「額面(par value)」と、分割時の会計処理
- 他の取締役会メンバー(John Doerr氏など)のClass B株の扱いは?
「クラウドファンディング」「ベンチャーファイナンス」だけに限らず、非上場株式の取引ニーズ全体を私なりに一通り整理してみましたので、週刊isologueでシェアさせていただきました。
目次とキーワード:
- 非上場株式の取引にはどのようなものがあるか?
- 新規に株式を発行する場合
- 既存の株式を取引するニーズ
- 適合性の原則から見た取引分類
- マクロ的に見た非上場株式取引ニーズ
(第163号)財務・法律好きの方のための「海とベンチャースピリット」
私事で大変恐縮ですが、この回の前週に「一級小型船舶操縦士」の試験に合格いたしました。ということで、この回では(誠に勝手ながらこれを自ら記念させていただきまして)、財務・法律好きの方のための「海とベンチャースピリット」と題してお送りいたしました。
日頃、会計原則とか金融商品取引法とか会社法とか、世知辛いルールに接しているみなさんは、「海のルール」を知ると、あまりのおおらかさ、大雑把さ、大胆さに度肝を抜かれるんじゃないかと思います。
この「海のルール」、一部の人を除いてみなさんのお仕事に直接役立つ可能性は低いと思いますが、海という非常に高いリスクの環境でビジネスをしてきた「ベンチャー」の歴史を反映したものになっていて、数千年規模の壮大なロマンや叡智を感じます。
商社等で輸出入業務などをやってらっしゃる読者の方には常識のことも多いと思いますが、初学者が気付いたことということで大目に見ていただければ幸いであります。
目次とキーワード:
- 「海商」萌え
- 海商法の起源
- 船長の権限
- 航海日誌(Star Trek)
- 「船舶の共有」という投資スキーム
- 共同海損
- 地上の世知辛さとの比較
- 条約を通じて外国と繋がる
- 国旗掲揚権
- 領海
- ボート、ワリカンなら一回4000円前後くらいから
(第164号)Facebookの役員はIPOで巨額のキャッシュを手にしたのか?
この回の前週金曜日についにFacebookが株式を上場しました。
さぞやFacebookの役員には大金が転がり込んでウハウハ・・・と想像する方も多いと思いますが、実際はどうでしょうか?
この回では、このFacebookの上場時の資本政策と、実際にどういう株主にどの程度の金額の現金が入ったのか等について、Facebookの最終版の目論見書をもとに検討しました。
目次とキーワード:
- IPO後の株価推移
- IPOで持株比率や議決権比率はどうなるか?
- Zuckerberg氏の議決権比率を増やす(涙ぐましい?)努力
- 役員にはどのくらいキャッシュが入ったのか?
- Instagram買収で儲けたFacebook株主
- なぜIPOしたのにZuckerberg氏の議決権割合が逆に増えたのか?
- (おまけ)GrouponのIPOとの比較
(第165号)良いクラウドファンディング、悪いクラウドファンディング
復習をしておきますと、「クラウドファンディング」は、一般の人(crowd)から資金を調達することで、タイプとして、
- 資金を出した対価を求めない「寄付型」
- プロジェクトが成功したら、製品やサービスなどが受け取れる「購入型」
- 金銭的なリターンを求める「投資型」
といった3つのタイプに分類されることが多いと思います。
今までも、この週刊isologueでは、155号、156号、157号、162号などで、「JOBS Act」や「日本での株式によるクラウドファンディングの可能性」について取り上げてきましたが、この回では、「生の株式」ではなく、組合の持分など「みなし有価証券」を用いた投資型のクラウドファンディングは日本でもすでに行えるし、アメリカに比べても投資型クラウドファンディングが行いやすい国なんではないか、その場合に、どういう課題が存在するか、採算性はどうなのか、といったことについて考えました。
目次とキーワード:
- クラウドファンディングの分類
- 株式を使ったクラウドファンディングの可能性
- 「2項証券」なら可能ではないか
- 「プロ」参画の必要性
- あえて「クラウド」から集める意味は何?
- プラットフォーム事業自体の魅力は?
Facebookは、公募価格38ドルでIPOしたわけですが、この回の前週金曜日の終値では28ドルを割り込んで、27.72ドルで終わっています。
ということで、この回では、上場後株価が低迷しているFacebookの時価総額について考えました。
「Facebookのビジネスから考えて、今の時価総額や株価が適正なのか?」といったことを考えている人はたくさんいらっしゃると思いますが、この回では、発行済株式や潜在株式などを詳細にきちっと見ていき、それをベースにどういったことが言えるのかを考えました。
(数値がたくさん出て来るので、図解を多用してみました。)
目次とキーワード:
- 時価総額のベースとなる株式数は?
- 株式数は最も基本的な数値のはずなのに、なぜバラバラ?
- 公募増資分と売出し分
- 上場直前と直後の株式数
- オーバーアロットメント分はどう考えるか?
- オーバーアロットメントで証券会社はどのくらい儲かった?
- TechCrunchの数字の根拠は?
- Yahoo!、Google、WSJ等の数字の根拠
- 株式数、企業価値と議決権との関連図
- 潜在株や今後の浮動株の株価への重しの度合いは?
- ザッカーバーグの支配は続けられるのか?
この回では、今までやってそうでやってなかったベンチャーキャピタルによる資金供給について、深堀りしてみます。
ベンチャーキャピタルは、ベンチャーへの資金供給の大動脈、というイメージがあります。ところが、日本について言えば、ベンチャーキャピタルは必ずしもベンチャーへの資金供給の中心になっていないんじゃないでしょうか?
以前は2000億円以上あったベンチャーキャピタルによる年間投融資額が、現在では年間450億円程度まで落ち込んでいるという情報もあります。
しかし、逆に450億円もどこに投資されているのでしょうか?
この回では、2000年以降上場した時価総額の大きい主立ったベンチャーの目論見書と、その株主の状況や増資の内訳をひもといて、実際に、どういったベンチャーキャピタルが、どういう会社にどの程度投資をしてきたのかを見てみました。
目次とキーワード:
- 楽天株式会社
- 株式会社ディー・エヌ・エー
- 株式会社ミクシィ
- グリー株式会社
- 株式会社スタートトゥデイ
- ライフネット生命保険株式会社
- まとめ
この回では、米国シリコンバレーでも大手のベンチャーキャピタル「Kleiner Perkins Caufield & Byers」(KPCB)の開示資料などを中心に、日米のベンチャーや証券ビジネスについて取り上げました。
目次とキーワード:
- KPCBの概要
- KPCBのベンチャーキャピタリスト
- VCと予言の自己成就
- セクハラ事件と非公開パートナーシップの危機管理対応
- John Doerr氏のコメント
- KPCBのファイナンス面
- 「KEIRETSU」と「ZAIBATSU」
- Appleの金融子会社の住所?
- アメリカの大量保有報告書
前回のKPCB編に続いてこの回ではSequoia Capital(以下「セコイア」)編です。
セコイアの開示資料などを元に、「どこに投資したか」といった視点とは別の観点から、米国のベンチャーキャピタルをながめてみました。
目次とキーワード:
- セコイアの概要
- セコイアのベンチャーキャピタリスト
- セコイアのファイナンス面
- サイドファンドを使ったインセンティブ構造
(第170号)上場株式の譲渡益等の税率はなぜ10%がいいのか?
ネット証券大手4社が、上場株式のキャピタルゲイン税率10%の延長の署名を求めていたので、先週、「キャピタルゲイン税率10%延長の署名にご協力を!」というブログの記事を書きました。
小飼弾氏(以下「弾さん」と呼ばせていただきます)のブログ(404 Blog Not Found)の「キャピタルゲイン税率10%を延長したかったら」という記事で、この私のブログ記事にコメントいただいてますので、この回ではこの上場株式等のキャピタルゲインの税制について考えてみました。
目次とキーワード:
- なぜ「金持ち」の税率は低いのか?
- 「金持ち」とは何か?
- キャピタルゲイン課税の整理
- キャピタルゲインには「努力」の要素は無いのか?
- 基本書では何と言っているか?
- 金融税制研究会のレポート
- 「株をやってるやつはデイトレーダーまたは金持ち」…ではなかった
- 原則に戻すことで、どの程度の増収になるのか?
- 資金循環とキャピタルゲイン課税
(第171号)米国では金融出身者はベンチャーキャピタリストにはなれないのか?
ときどき、シリコンバレーにちょっと詳しい人で、
「日本のベンチャーキャピタリストは新卒入社や金融業界出身者ばかりだが、アメリカのベンチャーキャピタリストは全員エンジニアや経営の経験者だ(→日本のベンチャーキャピタリストはイケてない)」
といったことをおっしゃる方もいらっしゃいますが、本当にそうなのでしょうか?そもそも、シリコンバレーのベンチャーキャピタリストというのは、どういう人がなっているのでしょうか?
この回では、第168号「ベンチャーキャピタル研究(KPCB編)」でも取り上げた、米国シリコンバレーでも大手のベンチャーキャピタル「Kleiner Perkins Caufield & Byers」(KPCB)の「Digitalチーム」のメンバーの略歴から、ベンチャーを取り巻く生態系の重要な一部であるベンチャーキャピタルの人材について考えてみました。
以下、一覧:
(第144号) 謹賀新年(2011年の「週刊isologue」総集編)
(第145号)エクソンモービル日本事業縮小報道についてのまとめ
(第147号)「Femto Startup LLP」はじめました
(第148号)創業メンバーの中途退任時に株を返してもらう方法
(第150号)Femto Startupの投資契約を公開します
(第151号)Facebookのザッカーバーグ氏はちゃんとガバナンスされているのか?
(第152号)Facebook役員の雇用条件はどうなっているか
(第154号)ベンチャーファイナンスの新常識 – 方向転換した新しい上場審査基準
(第155号)日本にも「クラウド・ファンディング」は来るか?(その1)
(第156号)日本にも「クラウド・ファンディング」は来るか?(その2)
(第157号)日本にも「クラウド・ファンディング」は来るか?(その3)
(第159号)Googleが計画する株式分割は「evil」(悪)ではないのか?
(第160号)Google新資本政策の検討経緯が公表された!
(第163号)財務・法律好きの方のための「海とベンチャースピリット」
(第164号)Facebookの役員はIPOで巨額のキャッシュを手にしたのか?
(第165号)良いクラウドファンディング、悪いクラウドファンディング
(第170号)上場株式の譲渡益等の税率はなぜ10%がいいのか?
(第171号)米国では金融出身者はベンチャーキャピタリストにはなれないのか?
(ではまた。)
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