(今週から、ちょっとブログ執筆の調子を取り戻したい磯崎であります。)
本日は、Bloombergさんからご招待いただいて、来日している(ブラック・ショールズ式関連でノーベル経済学賞を取った)ロバート・マートン氏の講演を丸ビルで拝聴。(どうもありがとうございました。>Bloomberg様)
テーマは、
「金融科学:企業価値向上への応用」〜PE,TOB,M&A時代の戦略的キャピタルマネジメント〜
というもので、(σだとか√だとか、ややこしい数式がたくさんでてくるかと思いきや)、数学者とか経済学者というよりは、バリバリの投資銀行家っぽい企業の財務戦略のお話が繰り広げられたので、かなり意外。パワポなどもほとんど使わず、バランス・シートの貸借を「手」でT字型を作って示したりして、「こっち(left side)のassetのvolatilityがうんぬん」など、一所懸命身振り手振りで説明していただきまして。
話は、「資産・負債のボラティリティをデリバティブ的にコントロールすることで、企業価値を上げることができる。自己資本のコストは高くつくが、リスクをコントロールできれば、そのリスクのバッファであるところの自己資本も減らすことができるので。」といった、ファイナンスの基礎的なお話。しかし、理屈では理解できても、日本の(金融法人でない)一般の事業会社で、事業リスク自体をスワップ等でコントロールしようという発想の会社があるのかしらん?ということを考えると、なかなか示唆的でありました。
また、そういう各種スワップ等が、日本において、どの程度のコストや信用リスクの下で利用可能なのかとか、日本の会計基準その他法規等の下で、そうしたリスクコントロールが本当に市場からプラスの評価を受けうるのかどうか?というあたりも、今後、私としては要勉強であります。
(ではまた。)
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以前、ハーバードビジネスレビューにそれについての記事が載っていましたよ。
http://72.14.235.104/search?q=cache:29YrRuBHyIMJ:www.zassi.net/mag_index.php%3Fid%3D159%26issue%3D9215+%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%80%80%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3&hl=ja&ct=clnk&cd=5&gl=jp&lr=lang_ja&client=firefox
2006年4月号です。
既にご存知でしたらごめんなさい。
去年、マートン教授の講義を受ける幸運に恵まれた岩瀬です。上記コメントにあるハーバードビジネスレビューの論文について、留学中にブログで書いていたのでご紹介させてください:
http://hbslife.exblog.jp/3674631
講義でも、ほとんど数式を使わないのが印象的でした。それでは、また!
Ikumaさん、岩瀬さん、コメントありがとうございます。
そのハーバードビジネスレビューの論文ですが、セミナーのおみやげ一式の中に(教授の論文の部分だけダイヤモンド社が特別に製本した日本語版が)入ってました。
岩瀬さんのブログにも書かれているとおり、「ほんとにどこまでできるのかなあ」というのが率直な印象です。
ではまた!
ふざけるな!DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部
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