税務に関わる人は必見の、ローマのSan Luigi dei Francesi教会にあるカラヴァッジョの「マタイ三部作」。
[斜めからとった写真。正面からのは、こちらをご覧ください。Vocazione di S. Matteo]
中央(たぶん左から2番目)に描かれている徴税人マタイのところに、右からイエスが訪れて、神の光が当たっているところであります。窓枠が十字になっているのも、もちろん「狙った」もの、とのこと。
税に関係する「卑しい」仕事に就いていても(条件次第では)救われるという、大変ありがたい絵であります。
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ということで「税務」はいいとして、日ごろからより問題じゃないかと思っているのが、「先生」という呼称。
宴会では上座、会堂では上席に座ることを好み、また、広場で挨拶されたり、『先生』と呼ばれたりすることを好む。
だが、あなたがたは『先生』と呼ばれてはならない。
あなたがたの師は一人だけで、あとは皆兄弟なのだ。
(マタイ:23)
このため、私は、「先生」と呼ばれるたびに天国が遠のく気がして「ビクッ」っとするので、極力「先生」と呼ばれないように努めておりますが(ベンチャー的な企業だと、「社長」とか「先生」と呼ばずに「さん」で呼ぶの環境のところが多い。)、それでも呼んだり呼ばれたりする必要があるシチュエーションも多いので悩ましいところであります。
そもそも、この日本語の「先生」というのは何なんでしょうか。
中国語の「先生」や韓国語の「先生様(ソンセンニム)」は、日本語の「先生」の概念と似ているように思えますが、西欧の言語には「Dr.」や「Sir」はあっても、学校の先生や国会議員から弁護士や税理士・会計士などをドンガラめて呼ぶ「先生」に相当する言葉はよく存じません。
以前、ホテルの引き出しにあった英語の対訳付聖書をパラパラ見ていたら、「先生」は英語では「Rabbi」になっていて、ちょっとだけホッとしたんですが、しかし、これは「ユダヤ教の律法学者と呼ばれてはならない」という狭い解釈でよくて、日本語でいうところの「先生」はこれに該当しないからセーフ・・・ということで済むかというと、ちょっと疑問でして。前後の文脈からすると、本質的な趣旨としては、「偉そうな呼ばれ方をしてはいけない。」ということでしょうから。
(追記:こちらのサイト
http://scripturetext.com/matthew/23-8.htm
の各国語でも、元のギリシャ語は「ραββι」で、ラテン語、英語をはじめ、スペイン、フランス、ドイツ、アフリカーンス、アルバニア、デンマーク、オランダ、エスペラント、ルーマニアなどの各国語では、「rabbi」に類する音の単語になってます。
しかし、ラテン語に一番近いはずのイタリア語は、なぜか、「Maestro」。
日本語も京都から単語が変化していったように、イタリアが一番変化した、ということでしょうか? (ちょっと「意訳」されてるかと思います。)
チェコ、ハンガリー語も「Maestro」に類似する語。
中国語は、そのまま音訳して「拉比」。
音訳されていると狭めに(ユダヤの律法学者の呼称と)解釈できる余地が多くなると思いますが、意訳されて「Maestro」とか「先生」と言われると、黒に近いグレーゾーンはかなり広がるのではないかと思います。
韓国語では、どう翻訳されているんでしょうか。日本よりはるかにキリスト教徒が多いのに、「ソンセンニム」は使われまくりではないかと思いますが。
欧米では、偉い人でもファーストネームで呼んだり、日本よりはかなりフラットな感じはしますが、これはキリスト教の影響なんでしょうか?
アレキサンダー大王は、マケドニアにいた時には部下からもタメ口をきかれていたけど、アジアに遠征したら、シモジモがみんなひれ伏してくれるので、ヨーロッパに帰りたくなくなった、という話を高校の歴史の先生にならったことがあります。そもそも、キリスト教とか儒教とかいう以前に、アジアとヨーロッパでは、根本的にそのへんの感覚が違うのかも知れません。)
ということで、商売柄、苦悩が多いところではありますが、耐え忍ぶしかありまへんな。
「他教徒なんだから気にしなくていい」、と割り切ることも可能ですが、世界人口の3分の1の20億人が倫理的に「ヘンだ」と思う可能性のあることは、やめられるのであればなるべくやめておいたほうがよろしいんじゃないかと思っております。
(ではまた。)
(このエントリは、8月27日にアップしました。)
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不本意な相手からパパァ〜と呼ばれるよりは良いと思ふ。
Matthew 9:9http://www.weblawg.org/nucleus/index.php?action=createitem&blogid=1
Matthew 9:9より、
「9:9 イエスはそこから進んで行くと,マタイと呼ばれる人が収税所に座っているのを見て,「わたしに従いなさい」と彼に言…