第8章 その他の財産

第1節 株式及び出資


(評価単位)

168

 株式及び株式に関する権利の価額は、それらの銘柄の異なるごとに、次に掲げる区分に従い、その1株又は1個ごとに評価する。(昭53直評5外・平2直評12外・平15課評2−15外改正)
(1)  上場株式(証券取引所(証券取引法(昭和23年法律第25号)第2条第14項に規定する証券取引所をいう。以下同じ。)に上場されている株式をいう。以下同じ。)
(2)  気配相場等のある株式
  気配相場等のある株式とは、次に掲げる株式をいう。
 登録銘柄(日本証券業協会の内規によって登録銘柄として登録されている株式(日本銀行出資証券を含む。)をいう。以下同じ。)及び店頭管理銘柄(同協会の内規によって店頭管理銘柄として指定されている株式をいう。以下同じ。)
 公開途上にある株式(証券取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式(登録銘柄を除く。)及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式(店頭管理銘柄を除く。)をいう。以下同じ。)
 国税局長の指定する株式(イ及びロ以外の株式で次項の定めにより国税局長が指定する株式をいう。以下同じ。)
(3)  取引相場のない株式((1)及び(2)に掲げる株式以外の株式をいう。以下同じ。)
(4)  新株引受権(新株式の割当基準日の翌日から新株式の割当の日までの間における新株式の割当を受ける権利をいう。以下同じ。)
(5)  株式の引受による権利(株式の申込みに対して割当があった日の翌日(会社の設立に際し発起人が引受をする株式にあっては、その引受の日)から会社の設立登記の日の前日(新株の発行の場合にあっては、払込期日)までの間における株式の引受に係る権利をいう。以下同じ。)
(6)  新株無償交付期待権(新株式無償交付の基準日の翌日から新株式無償交付の効力が発生する日までの間における新株式の無償交付を受けることができる権利をいう。以下同じ。)
(7)  配当期待権(配当金交付の基準日の翌日から配当金交付の効力が発生する日までの間における配当金を受けることができる権利をいう。以下同じ。)
(8)  ストックオプション(商法(明治32年法律第48号)第280条の19に規定する新株予約権が無償で付与されたものをいう。ただし、その目的たる株式が上場株式又は気配相場等のある株式であり、かつ、課税時期が権利行使可能期間内にあるものに限る。)


(国税局長の指定)

168

−2 前項の(2)のハの「国税局長の指定する株式」として国税局長が指定するものは、日刊新聞等に定期的に取引価格が掲載されているもののうち、その株式の発行会社の状況が日本証券業協会における登録銘柄として取り扱われる基準のうち主要な基準に該当するものに準ずると認められるものとする。(平2直評12外追加・平14課評2−2外改正)


(上場株式の評価)

169

  上場株式の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭47直資3−16・平2直評12外・平15課評2−15外改正)
(1)  (2)に該当しない上場株式の価額は、その株式が上場されている証券取引所(国内の2以上の証券取引所に上場されている株式については、納税義務者が選択した証券取引所とする。(2)において同じ。)の公表する課税時期の最終価格によって評価する。ただし、その最終価格が課税時期の属する月以前3か月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額(以下「最終価格の月平均額」という。)のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価する。
(2)  負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている証券取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価する。


(上場株式についての最終価格の特例−課税時期が新株権利落等の日から新株式の割当等の基準日までの間にある場合)

170

 前項の定めにより上場株式の価額を評価する場合において、課税時期が新株権利落又は配当落(以下「新株権利落等」という。)の日から新株式の割当、新株式の無償交付又は配当金交付(以下「新株式の割当等」という。)の基準日までの間にあるときは、その新株権利落等の日の前日以前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格をもって課税時期の最終価格とする。(平11課評2−2外改正)
  なお、これを図により例示すれば、次のようになる。

上場株式についての最終価格の特例図

 課税時期の最終価格=100円(75円は、新株権利落等の後の最終価格なので採用しない。)
(注)  上記に該当する上場株式の最終価格の月平均額については、172≪上場株式についての最終価格の月平均額の特例≫の定めがあることに留意を要する。


(上場株式についての最終価格の特例−課税時期に最終価格がない場合)

171

 169≪上場株式の評価≫の定めにより上場株式の価額を評価する場合において、課税時期に最終価格がないものについては、前項の定めの適用があるものを除き、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる最終価格をもって課税時期の最終価格とする。(平11課評2−2外改正)

(1)

 (2)又は(3)に掲げる場合以外の場合 課税時期の前日以前の最終価格又は翌日以後の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格(その最終価格が2ある場合には、その平均額)
 なお、これを図により例示すれば、次のようになる。

上場株式についての最終価格の特例図

 課税時期の最終価格=102円(100円又は102円のうち課税時期に最も近い日の最終価格)

(2)

 課税時期が新株権利落等の日の前日以前で、(1)の定めによる最終価格が、新株権利落等の日以後のもののみである場合又は新株権利落等の日の前日以前のものと新株権利落等の日以後のものとの2ある場合 課税時期の前日以前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格
  なお、これを図により例示すれば、次のようになる。

上場株式についての最終価格の特例図

 課税時期の最終価格=101円(76円の方が101円より課税時期に近いが、76円は新株権利落等の日以後の最終価格なので採用しない。)

(3)

 課税時期が新株式の割当等の基準日の翌日以後で、(1)の定めによる最終価格が、その基準日に係る新株権利落等の日の前日以前のもののみである場合又は新株権利落等の日の前日以前のものと新株権利落等の日以後のものとの2ある場合 課税時期の翌日以後の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格
  なお、これを図により例示すれば、次のようになる。

上場株式についての最終価格の特例図

 課税時期の最終価格=75円(100円の方が75円より課税時期に近いが、100円は新株権利落等の日以前の最終価格なので採用しない。)
(注)

 上記の(2)及び(3)に該当する上場株式の最終価格の月平均額については、次項の定めがあることに留意を要する。


(上場株式についての最終価格の月平均額の特例)

172

 169≪上場株式の評価≫の定めにより上場株式の価額を評価する場合において、課税時期の属する月以前3か月間に新株権利落等がある場合における最終価格の月平均額は次によるものとする。(昭47直資3−16・平11課評2−2外改正)

(1)

 課税時期が新株式の割当等の基準日以前である場合におけるその新株権利落等の日が属する月の最終価格の月平均額は、次の2に該当するものを除き、その月の初日からその新株権利落等の日の前日(配当落の場合にあっては、その月の末日)までの毎日の最終価格の平均額とする。
  なお、これを図により例示すれば、次のようになる。

上場株式についての最終価格の月平均額の特例図

 最終価格の月平均額=新株権利落の場合は100円、配当落の場合は95円

(2)

 課税時期が新株式の割当等の基準日以前で、その新株権利落等の日が課税時期の属する月の初日以前である場合における課税時期の属する月の最終価格の月平均額は、次の算式によって計算した金額(配当落の場合にあっては、課税時期の属する月の初日から末日までの毎日の最終価格の平均額)とする。
  なお、これを図により例示すれば、次のようになる。

上場株式についての最終価格の月平均額の特例図

(新株式の割当条件)

1  新株式の割当数 株式1株に対し新株式0.5株
2  新株式1株につき払い込むべき金額 40円
  最終価格の月平均額=新株権利落の場合は80円×(1+0.5)−40円×0.5=100円、配当落の場合は80円
(3)

  課税時期が新株式の割当等の基準日の翌日以後である場合におけるその新株権利落等の日が属する月の最終価格の月平均額は、その新株権利落等の日(配当落の場合にあってはその月の初日)からその月の末日までの毎日の最終価格の平均額とする。
  なお、これを図により例示すれば、次のようになる。

上場株式についての最終価格の月平均額の特例図

 最終価格の月平均額=新株権利落の場合は95円、配当落の場合は100円

(4)

 課税時期が新株式の割当等の基準日の翌日以降である場合におけるその新株権利落等の日が属する月の前月以前の各月の最終価格の月平均額は、次の算式によって計算した金額(配当落の場合にあっては、その月の初日から末日までの毎日の最終価格の平均額)とする。
その月の最終価格の月平均額 割当を受けた新株式1株につき払い込むべき金額 × 株式1株に対する新株式の割当数

÷
1+ 株式1株に対する新株式の割当数又は交付数      

  なお、これを図により例示すれば、次のようになる。


上場株式についての最終価格の月平均額の特例図

(新株式の割当条件)

1  新株式の割当数 株式1株に対し新株式0.5株
2  新株式1株につき払い込むべき金額 50円
 最終価格の月平均額=新株権利落の場合は、(125円+50円×0.5)÷(1+0.5)=100円配当落の場合は125円


173 削除(平2直評12外)





(気配相場等のある株式の評価)

174

 気配相場等のある株式の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭47直資3−16・昭58直評5外・平2直評12外・平14課評2−2外改正)
(1)  登録銘柄及び店頭管理銘柄
 ロに該当しない登録銘柄及び店頭管理銘柄の価額は、日本証券業協会の公表する課税時期の取引価格(その取引価格が高値と安値の双方について公表されている場合には、その平均額。以下177−2≪登録銘柄及び店頭管理銘柄の取引価格の月平均額の特例≫までにおいて同じ。)によって評価する。ただし、その取引価格が課税時期の属する月以前3か月間の毎日の取引価格の各月ごとの平均額(以下「取引価格の月平均額」という。)のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価する。
 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した登録銘柄及び店頭管理銘柄の価額は、日本証券業協会の公表する課税時期の取引価格によって評価する。
(2)  公開途上にある株式
 株式の上場又は登録に際して、株式の公募又は売出し(以下この項において「公募等」という。)が行われる場合における公開途上にある株式の価額は、その株式の公開価格(証券取引所又は日本証券業協会の内規によって行われる入札により決定される入札後の公募等の価格をいう。)によって評価する。
 株式の上場又は登録に際して、公募等が行われない場合における公開途上にある株式の価額は、課税時期以前の取引価格等を勘案して評価する。
(3)  国税局長の指定する株式
 ロに該当しない国税局長の指定する株式の価額は、日刊新聞等に掲載されている課税時期の取引価格と類似業種比準価額( 180≪類似業種比準価額≫及び184≪類似業種比準価額の修正≫の定めによって計算した類似業種比準価額(その株式が 187≪新株引受権等の発生している株式の価額の修正≫の(1)又は(2)に掲げる場合に該当するときは、その類似業種比準価額を同項の定めにより修正した金額))との平均額によって評価する。ただし、その平均額が課税時期の取引価格を超える場合には、課税時期の取引価格によって評価する。
 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した国税局長の指定する株式の価額は、日刊新聞等に掲載されている課税時期の取引価格によって評価する。


(気配相場等のある株式の取引価格の特例−課税時期が新株権利落等の日から新株式の割当等の基準日までの間にある場合)

175  前項の(1)又は(3)の定めにより気配相場等のある株式の価額を評価する場合において、課税時期が新株権利落等の日から新株式の割当等の基準日までの間にあるときは、その新株権利落等の日の前日以前の取引価格(登録銘柄及び店頭管理銘柄については課税時期の属する月以前3か月以内のものに限り、国税局長の指定する株式については新株権利落等の日の前日以前1か月以内のものに限る。)のうち、課税時期に最も近い日の取引価格をもって課税時期の取引価格とする。(平2直評12外改正)


(気配相場等のある株式の取引価格の特例−課税時期に取引価格がない場合)

176  174≪気配相場等のある株式の評価≫の(1)又は(3)の定めにより気配相場等のある株式の価額を評価する場合において、課税時期に取引価格がないものについては、前項の定めの適用があるものを除き、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる取引価格又は修正した価格をもって課税時期の取引価格とする。(平2直評12外・平11課評2−2外改正)
(1)  (2)に該当する場合以外の場合 課税時期の前日以前の取引価格のうち、課税時期に最も近い日の取引価格(登録銘柄及び店頭管理銘柄については課税時期の属する月以前3か月以内のものに限り、国税局長の指定する株式については課税時期以前1か月以内のものに限る。)
(2)  課税時期が新株式の割当等の基準日の翌日以後で、かつ、課税時期の前日以前の取引価格のうち、課税時期に最も近い日の取引価格(登録銘柄及び店頭管理銘柄については課税時期の属する月以前3か月以内のものに限り、国税局長の指定する株式については課税時期以前1か月以内のものに限る。以下この項において同じ。)がその基準日に係る新株権利落等の日の前日以前のものである場合 課税時期に最も近い日の取引価格を次のイ又はロの算式によって修正した価格
 課税時期に最も近い日の取引価格が新株権利落の日の前日以前のものである場合
 (課税時期に最も近い日の取引価格+割当を受けた新株式1株につき払い込むべき金額×株式1株に対する新株式の割当数)÷(1+株式1株に対する新株式の割当数又は交付数)
 課税時期に最も近い日の取引価格が配当落の日の前日以前のものである場合
 課税時期に最も近い日の取引価格−株式1株に対する予想配当の金額


(気配相場等のある株式の評価の特例)

177  174≪気配相場等のある株式の評価≫の(1)又は(3)の定めにより気配相場等のある株式の価額を評価する場合において、その株式が次の(1)又は(2)に該当するものの価額は、課税時期以前の取引価格等を勘案して評価する。(平2直評12外改正)
(1)  課税時期が新株権利落等の日から新株式の割当等の基準日までの間にあるため、その新株権利落等の日の前日以前の取引価格のうち課税時期に最も近い日の取引価格によって評価する場合において、その課税時期に最も近い日の取引価格が、登録銘柄及び店頭管理銘柄については課税時期の属する月以前3か月以内になく、国税局長の指定する株式については新株権利落等の日の前日以前1か月以内にないもの
(2)  (1)に該当する場合を除き、課税時期に取引価格がないため、課税時期の前日以前の取引価格のうち、課税時期に最も近い日の取引価格によって評価する場合において、その取引価格が、登録銘柄及び店頭管理銘柄については課税時期の属する月以前3か月以内になく、国税局長の指定する株式については課税時期以前1か月以内にないもの


(登録銘柄及び店頭管理銘柄の取引価格の月平均額の特例)

177 −2 174≪気配相場等のある株式の評価≫の(1)の定めにより登録銘柄及び店頭管理銘柄の価額を評価する場合において、課税時期の属する月以前3か月間に新株権利落等がある場合における取引価格の月平均額については、 172≪上場株式についての最終価格の月平均額の特例≫の定めを準用する。この場合において、「最終価格の月平均額」は「取引価格の月平均額」と、「毎日の最終価格の平均額」は「毎日の取引価格の平均額」と読み替えるものとする。(平2直評12外追加)


(取引相場のない株式の評価上の区分)

178

 取引相場のない株式の価額は、評価しようとするその株式の発行会社(以下「評価会社」という。)が次の表の大会社、中会社又は小会社のいずれに該当するかに応じて、それぞれ次項の定めによって評価する。ただし、同族株主以外の株主等が取得した株式又は特定の評価会社の株式の価額は、それぞれ 188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫又は 189≪特定の評価会社の株式≫の定めによって評価する。(昭41直資3−19・昭47直資3−16・昭53直評5外・昭58直評5外・平2直評12外・平6課評2−8外・平10課評2−10外・平11課評2−2外・平12課評2−4外改正)




区 分 の 内 容 総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数 直前期末以前1年間における取引金額
 

 

 

 
従業員が100人以上の会社又は右のいずれかに該当する会社 卸売業 20億円以上(従業員が50人以下の会社を除く。) 80億円以上
小売・サービス業 10億円以上(従業員が50人以下の会社を除く。) 20億円以上
卸売業、小売・サービス業以外 10億円以上(従業員が50人以下の会社を除く。) 20億円以上
 

 

 

 
従業員が100人未満の会社で右のいずれかに該当する会社(大会社に該当する場合を除く。) 卸売業 7,000万円以上(従業員が5人以下の会社を除く。) 2億円以上80億円未満
小売・サービス業 4,000万円以上(従業員が5人以下の会社を除く。) 6,000万円以上20億円未満
卸売業、小売・サービス業以外 5,000万円以上(従業員が5人以下の会社を除く。) 8,000万円以上20億円未満
 

 

 

 
従業員が100人未満の会社で右のいずれにも該当する会社 卸売業 7,000万円未満又は従業員が5人以下 2億円未満
小売・サービス業 4,000万円未満又は従業員が5人以下 6,000万円未満
卸売業、小売・サービス業以外 5,000万円未満又は従業員が5人以下 8,000万円未満

 上の表の「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数」及び「直前期末以前1年間における取引金額」は、それぞれ次の(1)から(3)により、「卸売業」、「小売・サービス業」又は「卸売業、小売・サービス業以外」の判定は(4)による。
(1)  「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、課税時期の直前に終了した事業年度の末日(以下「直前期末」という。)における評価会社の各資産の帳簿価額の合計額とする。
(2)  「従業員数」は、直前期末以前1年間においてその期間継続して評価会社に勤務していた従業員(就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が30時間未満である従業員を除く。以下この項において「継続勤務従業員」という。)の数に、直前期末以前1年間において評価会社に勤務していた従業員(継続勤務従業員を除く。)のその1年間における労働時間の合計時間数を従業員1人当たり年間平均労働時間数で除して求めた数を加算した数とする。
  この場合における従業員1人当たり年間平均労働時間数は、1,800時間とする。
(3)   「直前期末以前1年間における取引金額」は、その期間における評価会社の目的とする事業に係る収入金額(金融業・証券業については収入利息及び収入手数料)とする。
(4)

 評価会社が「卸売業」、「小売・サービス業」又は「卸売業、小売・サービス業以外」のいずれの業種に該当するかは、上記(3)の直前期末以前1年間における取引金額(以下この項及び181−2≪評価会社の事業が該当する業種目≫において「取引金額」という。)に基づいて判定し、当該取引金額のうちに2以上の業種に係る取引金額が含まれている場合には、それらの取引金額のうち最も多い取引金額に係る業種によって判定する。
(注)   上記(2)の従業員には、社長、理事長並びに法人税法施行令第71条≪使用人兼務役員とされない役員≫第1項第1号及び第3号に掲げる役員は含まないのであるから留意する。


(取引相場のない株式の評価の原則)

179

 前項により区分された大会社、中会社及び小会社の株式の価額は、それぞれ次による。(昭41直資3−19・昭47直資3−16・昭58直評5外・平6課評2−8外・平10課評2−10外・平12課評2−4外改正)
(1)  大会社の株式の価額は、類似業種比準価額によって評価する。ただし、納税義務者の選択により、1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価することができる。
(2)

 中会社の株式の価額は、次の算式により計算した金額によって評価する。ただし、納税義務者の選択により、算式中の類似業種比準価額を1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって計算することができる。
類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)×(1−L)
 上の算式中の「L」は、評価会社の前項に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数又は直前期末以前1年間における取引金額に応じて、それぞれ次に定める割合のうちいずれか大きい方の割合とする。
 総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数に応ずる割合

卸売業 小売・サービス業 卸売業、小売・サービス業以外 割合
14億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く。) 7億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く。) 7億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く。) 0.90
7億円以上(従業員数が30人以下の会社を除く。) 4億円以上(従業員数が30人以下の会社を除く。) 4億円以上(従業員数が30人以下の会社を除く。) 0.75
7,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) 4,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)

5,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)

0.60

(注) 複数の区分に該当する場合には、上位の区分に該当するものとする。
 直前期末以前1年間における取引金額に応ずる割合

卸売業 小売・サービス業 卸売業、小売・サービス業以外 割合
50億円以上80億円未満 12億円以上20億円未満 14億円以上20億円未満 0.90
25億円以上50億円未満 6億円以上12億円未満 7億円以上14億円未満 0.75
2億円以上25億円未満 6,000万円以上6億円未満 8,000万円以上7億円未満 0.60

(3)  小会社の株式の価額は、1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。ただし、納税義務者の選択により、Lを0.50として(2)の算式により計算した金額によって評価することができる。





(類似業種比準価額)

180

 前項の類似業種比準価額は、類似業種の株価並びに1株当たりの配当金額、年利益金額及び純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)を基とし、次の算式によって計算した金額とする。この場合において、評価会社の直前期末における資本金額を直前期末における発行済株式数で除した金額(以下「1株当たりの資本金の額」という。)が50円以外の金額であるときは、その計算した金額に、1株当たりの資本金の額の50円に対する倍数を乗じて計算した金額とする。(昭44直資3−20・昭47直資3−16・昭58直評5外・平12課評2−4外改正)

   A ×
B C ×3+ D
× 0.7

上記算式の適用に当たっては、次による。

1 )  上記算式中の「A」、「B」、「C」、「D」、「B」、「C」及び「D」は、それぞれ次による。
 
「A」= 類似業種の株価
B」= 評価会社の直前期末における1株当たりの配当金額
C」= 評価会社の直前期末以前1年間における1株当たりの利益金額
D」= 評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)
「B」= 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの配当金額
「C」= 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの年利益金額
「D」= 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)
(注) 類似業種比準価額の計算に当たっては、BC及びDの金額が183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫により1株当たりの資本金の額を50円とした場合の金額として計算することに留意する。
(2)  上記算式中の「0.7」は、178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫に定める中会社の株式を評価する場合には「0.6」、同項に定める小会社の株式を評価する場合には「0.5」とする。
(3)  上記算式中のCの金額が0の場合には、分母の「5」は「3」とする。


(類似業種)

181   前項の類似業種は、大分類、中分類及び小分類に区分して別に定める業種(以下「業種目」という。)のうち、評価会社の事業が該当する業種目とし、その業種目が小分類に区分されているものにあっては小分類による業種目、小分類に区分されていない中分類のものにあっては中分類の業種目による。ただし、納税義務者の選択により、類似業種が小分類による業種目にあってはその業種目の属する中分類の業種目、類似業種が中分類による業種目にあってはその業種目の属する大分類の業種目を、それぞれ類似業種とすることができる。(昭58直評5外改正)


(評価会社の事業が該当する業種目)

181 −2 前項の評価会社の事業が該当する業種目は、178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の(4)の取引金額に基づいて判定した業種目とする。
  なお、当該取引金額のうちに2以上の業種目に係る取引金額が含まれている場合の当該評価会社の事業が該当する業種目は、取引金額全体のうちに占める業種目別の取引金額の割合(以下この項において「業種目別の割合」という。)が50%を超える業種目とし、その割合が50%を超える業種目がない場合は、次に掲げる場合に応じたそれぞれの業種目とする。(平11課評2−2外追加、平12課評2−4外改正)
(1)

 評価会社の事業が一つの中分類の業種目中の2以上の類似する小分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合
  その中分類の中にある類似する小分類の「その他の○○業」
  なお、これを図により例示すれば、次のとおり。
評価会社の業種目と業種目的の割合

(2)  評価会社の事業が一つの中分類の業種目中の2以上の類似しない小分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合((1)に該当する場合を除く。)
 その中分類の業種目
 なお、これを図により例示すれば、次のとおり。
評価会社の業種目と業種目的の割合
(3)  評価会社の事業が一つの大分類の業種目中の2以上の類似する中分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合
 その大分類の中にある類似する中分類の「その他の○○業」
 なお、これを図により例示すれば、次のとおり。
評価会社の業種目と業種目的の割合
(4)

 評価会社の事業が一つの大分類の業種目中の2以上の類似しない中分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合((3)に該当する場合を除く。)
 その大分類の業種目
 なお、これを図により例示すれば、次のとおり。
評価会社の業種目と業種目的の割合

(5)  (1)から(4)のいずれにも該当しない場合
 大分類の業種目の中の「その他の産業」


(類似業種の株価)

182  180≪類似業種比準価額≫の類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いものとする。ただし、納税義務者の選択により、類似業種の前年平均株価によることができる。
  この場合の各月の株価及び前年平均株価は、業種目ごとにそれぞれの業種目に該当する上場会社(以下「標本会社」という。)の株式の毎日の最終価格の各月ごとの平均額(1株当たりの資本金の額を50円として計算した金額)を基に計算した金額によることとし、その金額は別に定める。(昭47直資3−16・昭58直評5外改正)


(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)

183  180≪類似業種比準価額≫の評価会社の「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、それぞれ次による。(昭44直資3−20・昭53直評5外・昭58直評5外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)
(1)  「1株当たりの配当金額」は、直前期末以前2年間におけるその会社の利益の年配当金額(特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。)の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金額を50円で除して計算した数によるものとする。(2)及び(3)において同じ。)で除して計算した金額とする。
(2)   「1株当たりの利益金額」は、直前期末以前1年間における法人税の課税所得金額(固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除く。)に、その所得の計算上益金に算入されなかった利益の配当等の金額(所得税額に相当する金額を除く。)及び損金に算入された繰越欠損金の控除額を加算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)を、直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。ただし、納税義務者の選択により、直前期末以前2年間の各事業年度について、それぞれ法人税の課税所得金額を基とし上記に準じて計算した金額の合計額(その合計額が負数のときは、0とする。)の2分の1に相当する金額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とすることができる。
(3)  「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、直前期末における資本金額、法人税法第2条((定義))第17 号に規定する資本積立金額及び同条第18 号に規定する利益積立金額に相当する金額(法人税申告書別表五(一)「利益積立金額及び資本積立金額の計算に関する明細書」の差引翌期首現在利益積立金額の差引合計額)の合計額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。
(注)  利益積立金額に相当する金額が負数である場合には、その負数に相当する金額を資本金額及び資本積立金額の合計額から控除するものとし、その控除後の金額が負数となる場合には、その控除後の金額を0とするのであるから留意する。


(類似業種の1株当たりの配当金額等の計算)

183 −2 180≪類似業種比準価額≫の類似業種の「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの年利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、各標本会社について、前項の(1)、(2)及び(3)の定めに準じて計算した1株当たりの配当金額、1株当たりの年利益金額及び1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)を基に計算した金額によることとし、その金額は別に定める。(昭47直資3−16・昭58直評5外改正)


(類似業種比準価額の修正)

184  180≪類似業種比準価額≫の定めにより類似業種比準価額を計算した場合において、評価会社の株式が次に該当するときは、同項の定めにより計算した価額をそれぞれ次の算式により修正した金額をもって類似業種比準価額とする。(昭47直資3−16・昭53直評5外・昭58直評5外・平11課評2−2外改正)
(1)  直前期末の翌日から課税時期までの間に配当金交付の効力が発生した場合
180≪類似業種比準価額≫の定めにより計算した価額−株式1株に対して受けた配当の金額
(2)  直前期末の翌日から課税時期までの間に新株式発行の効力が発生した場合
(180≪類似業種比準価額≫の定めにより計算した価額+割当を受けた新株式1株につき払い込んだ金額×株式1株に対する新株式の割当数)÷(1+株式1株に対する新株式の割当数又は交付数)




(純資産価額)

185  179((取引相場のない株式の評価の原則))の「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」は、課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額(この場合、評価会社が課税時期前3年以内に取得又は新築した土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」という。)の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価するものとし、当該土地等又は当該家屋等に係る帳簿価額が課税時期における通常の取引価額に相当すると認められる場合には、当該帳簿価額に相当する金額によって評価することができるものとする。以下同じ。)の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額及び 186−2((評価差額に対する法人税額等に相当する金額))により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除した金額を課税時期における発行済株式数(商法第241条第2項に規定する自己の株式(以下「自己株式」という。)を有する場合には、当該自己株式の数を控除した株式数によるものとする。186−3((評価会社が有する株式等の純資産価額の計算))において同じ。)で除して計算した金額とする。ただし、179((取引相場のない株式の評価の原則))の(2)の算式及び(3)の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)については、株式の取得者とその同族関係者(188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の(1)に定める同族関係者をいう。)の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50%以下である場合においては、上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)に100 分の80を乗じて計算した金額とする。(昭47直資3−16・昭53直評5外・昭58直評5外・平2直評12外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)
(注)1  1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算を行う場合の「発行済株式数」は、直前期末ではなく、課税時期における発行済株式数であることに留意する。
2  上記の「議決権の合計数」及び「議決権総数」には、188−5((種類株式がある場合の議決権総数等))の「株主総会の一部の事項について議決権を行使できない株式に係る議決権の数」を含めるものとする。


(純資産価額計算上の負債)

186

 前項の課税時期における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算を行う場合には、貸倒引当金、退職給与引当金(法人税法第54条≪退職給与引当金≫第2項に規定する退職給与引当金勘定の金額に相当する金額を除く。)、納税引当金その他の引当金及び準備金に相当する金額は負債に含まれないものとし、次に掲げる金額は負債に含まれるものとする(次項及び186-3≪評価会社が有する株式等の純資産価額の計算≫において同じ。)。(昭47直資3−16・昭58直評5外・平2直評12外・平11課評2−2外・平12課評2−4外改正)
(1)  課税時期の属する事業年度に係る法人税額、消費税額、事業税額、道府県民税額及び市町村民税額のうち、その事業年度開始の日から課税時期までの期間に対応する金額
(2)  課税時期以前に賦課期日のあった固定資産税の税額のうち、課税時期において未払いの金額
(3)  課税時期の直前に終了した事業年度の利益処分として確定した配当金額(課税時期において配当金交付の効力が発生していない場合を除く。)及び役員賞与の金額のうち、課税時期において未払いのもの
(4)  被相続人の死亡により、相続人その他の者に支給することが確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の金額


(評価差額に対する法人税額等に相当する金額)

186

−2 185≪純資産価額≫の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、次の(1)の金額から(2)の金額を控除した残額がある場合におけるその残額に42%(清算所得に対する法人税、事業税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合)を乗じて計算した金額とする。(昭47直資3−16追加、昭49直資5−14・昭56直評18・昭58直評5外・昭59直評5外・昭62直評11外・平元直評7外・平2直評4外・平6課評2−8外・平10課評2−5外・平11課評2−12外・平12課評2−4外改正)
(1)  課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額の合計額(以下この項において「課税時期における相続税評価額による総資産価額」という。)から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額
(2)  課税時期における相続税評価額による総資産価額の計算の基とした各資産の帳簿価額の合計額(当該各資産の中に、現物出資若しくは合併により著しく低い価額で受け入れた資産又は商法第352条の規定による株式の交換(以下この項において「株式交換」という。)若しくは商法第364条の規定による株式の移転(以下この項において「株式移転」という。)により著しく低い価額で受け入れた株式(以下この項において、これらの資産又は株式を「現物出資等受入れ資産」という。)がある場合には、当該各資産の帳簿価額の合計額に、現物出資、合併、株式交換又は株式移転の時において当該現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額から当該現物出資等受入れ資産の帳簿価額を控除した金額(以下この項において「現物出資等受入れ差額」という。)を加算した価額)から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額
(注)1  現物出資等受入れ資産が合併により著しく低い価額で受け入れた資産(以下(注)1において「合併受入れ資産」という。)である場合において、上記(2)の「この通達に定めるところにより評価した価額」は、当該価額が合併受入れ資産に係る被合併会社の帳簿価額を超えるときには、当該帳簿価額とする。
2  上記(2)の「現物出資等受入れ差額」は、現物出資、合併、株式交換又は株式移転の時において現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額が課税時期において当該現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額を上回る場合には、課税時期において当該現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額から当該現物出資等受入れ資産の帳簿価額を控除した金額とする。
3  上記(2)のかっこ書における「現物出資等受入れ差額」の加算は、課税時期における相続税評価額による総資産価額に占める現物出資等受入れ資産の価額(課税時期においてこの通達に定めるところにより評価した価額)の合計額の割合が20%以下である場合には、適用しない。


(評価会社が有する株式等の純資産価額の計算)

186 −3 185≪純資産価額≫の定めにより、課税時期における評価会社の各資産を評価する場合において、当該各資産のうちに取引相場のない株式があるときの当該株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の発行会社の課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した金額の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額を課税時期における当該株式の発行会社の発行済株式数で除して計算した金額とする。
 なお、評価会社の各資産のうちに出資及び転換社債型新株予約権付社債(197−5((転換社債型新株予約権付社債の評価))の(3)のロに定めるものをいう。)のある場合についても、同様とする。(平2直評12外追加、平11課評2−12外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)
(注)  この場合における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算に当たっては、186−2≪評価差額に対する法人税額等に相当する金額≫の定めにより計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除しないのであるから留意する。


(新株引受権等の発生している株式の価額の修正)

187  179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより取引相場のない株式を評価した場合において、その株式が次に掲げる場合に該当するものであるときは、その価額を、それぞれ次の算式により修正した金額によって評価する。(昭41直資3−19・昭47直資3−16・昭58直評5外・平11課評2−2外改正)
(1)  課税時期が配当金交付の基準日の翌日から、配当金交付の効力が発生する日までの間にある場合
179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより評価した価額−株式1株に対して受ける予想配当の金額
(2)  課税時期が新株式割当の基準日、新株式の割当のあった日又は新株式無償交付の基準日のそれぞれ翌日からこれらの新株式の効力が発生する日までの間にある場合
(179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより評価した価額+割当を受けた新株式1株につき払い込むべき金額×株式1株に対する新株式の割当数)÷(1+株式1株に対する新株式の割当数又は交付数)


(同族株主以外の株主等が取得した株式)

188  178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の「同族株主以外の株主等が取得した株式」は、次のいずれかに該当する株式をいい、その株式の価額は、次項の定めによる。(昭47直資3−16・昭53直評5外・昭58直評5外・平15課評2−15外改正)
(1)  同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式
 この場合における「同族株主」とは、課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令第4条((同族関係者の範囲))に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。ただし、当該法人の判定については、同条第2項中「株式の総数」は「議決権の数」と、「発行済株式の総数」は「議決権総数」と、「数の株式」は「数の議決権」と読み替えるものとする。以下同じ。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう。
(2)  中心的な同族株主のいる会社の株主のうち、中心的な同族株主以外の同族株主で、その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの(課税時期において評価会社の役員(社長、理事長並びに法人税法施行令第71 条第1項第1号及び第3号に掲げる者をいう。以下この項において同じ。)である者及び課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員となる者を除く。)の取得した株式
 この場合における「中心的な同族株主」とは、課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主をいう。
(3)  同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の15%未満である場合におけるその株主の取得した株式
(4)  中心的な株主がおり、かつ、同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である場合におけるその株主で、その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの((2)の役員である者及び役員となる者を除く。)の取得した株式
 この場合における「中心的な株主」とは、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である株主グループのうち、いずれかのグループに単独でその会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主がいる場合におけるその株主をいう。


(同族株主以外の株主等が取得した株式の評価)

188 −2 前項の株式の価額は、その株式に係る年配当金額(183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(1)に定める1株当たりの配当金額をいう。ただし、その金額が2円50銭未満のもの及び無配のものにあっては2円50銭とする。)を基として、次の算式により計算した金額によって評価する。ただし、その金額がその株式を 179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより評価するものとして計算した金額を超える場合には、179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより計算した金額によって評価する。(昭58直評5外追加、平12課評2−4外改正)
その株式に係
る年配当金額

×
その株式の1株当
たりの資本金の額
10% 50円
(注) 上記算式の「その株式に係る年配当金額」は1株当たりの資本金の額を50円とした場合の金額であるので、算式中において、評価会社の直前期末における1株当たりの資本金の額の50円に対する倍数を乗じて評価額を計算することとしていることに留意する。


(評価会社が自己株式を有する場合の議決権総数)

188 −3 188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫の(1)から(4)までにおいて、評価会社が自己株式を有する場合には、その自己株式に係る議決権の数は0として計算した議決権の数をもって評価会社の議決権総数となることに留意する。
 評価会社の株主の同族関係者に該当するかどうかを判定するときにおける議決権総数も、また同様となる。(平12課評2−4外追加・平15課評2−15外改正)


(議決権を有しないこととされる株式がある場合の議決権総数等)

188 −4 188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の(1)から(4)までにおいて、評価会社の株主のうちに商法第241 条第3項の規定により評価会社の株式につき議決権を有しないこととされる会社があるときは、当該会社の有する評価会社の議決権の数は0として計算した議決権の数をもって評価会社の議決権総数となることに留意する。
  評価会社の株主の同族関係者に該当するかどうかを判定するときにおいても、また同様となる。(昭58直評5外追加、平3直評4外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)


(種類株式がある場合の議決権総数等)

188

−5 188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の(1)から(4)までにおいて、評価会社が商法第222条第1項に規定する数種の株式(以下この項において「種類株式」という。)を発行している場合における議決権の数又は議決権総数の判定に当たっては、種類株式のうち株主総会の一部の事項について議決権を行使できない株式に係る議決権の数を含めるものとする。
 評価会社の株主の同族関係者に該当するかどうかを判定するときにおいても、また同様とする。(平3直評4外追加、平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)


(投資育成会社が株主である場合の同族株主等)

188

−6 188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫の(1)から(4)までについては、評価会社の株主のうちに投資育成会社(中小企業投資育成株式会社法(昭和38年法律第101号)に基づいて設立された中小企業投資育成株式会社をいう。以下この項において同じ。)があるときは、次による。(平12課評2−4外追加・平15課評2−15外改正)
(1)  当該投資育成会社が同族株主(188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫の(1)に定める同族株主をいう。以下同じ。)に該当し、かつ、当該投資育成会社以外に同族株主に該当する株主がいない場合には、当該投資育成会社は同族株主に該当しないものとして適用する。
(2)  当該投資育成会社が、中心的な同族株主(188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫の(2)に定める中心的な同族株主をいう。以下(2)において同じ。)又は中心的な株主(188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫の(4)に定める中心的な株主をいう。以下(2)において同じ。)に該当し、かつ、当該投資育成会社以外に中心的な同族株主又は中心的な株主に該当する株主がいない場合には、当該投資育成会社は中心的な同族株主又は中心的な株主に該当しないものとして適用する。
(3)  上記(1)及び(2)において、評価会社の議決権総数からその投資育成会社の有する評価会社の議決権の数を控除した数をその評価会社の議決権総数とした場合に同族株主に該当することとなる者があるときは、その同族株主に該当することとなる者以外の株主が取得した株式については、上記(1)及び(2)にかかわらず、188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当するものとする。
(注)  上記(3)の「議決権総数」及び「議決権の数」には、188−5((種類株式がある場合の議決権総数等))の「株主総会の一部の事項について議決権を行使できない株式に係る議決権の数」を含めるものとする。





(特定の評価会社の株式)

189  178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の「特定の評価会社の株式」とは、評価会社の資産の保有状況、営業の状態等に応じて定めた次に掲げる評価会社の株式をいい、その株式の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
  なお、評価会社が、次の(2)又は(3)に該当する評価会社かどうかを判定する場合において、課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の資産構成に変動があり、その変動が次の(2)又は(3)に該当する評価会社と判定されることを免れるためのものと認められるときは、その変動はなかったものとして当該判定を行うものとする。(昭58直評5外・平2直評12外・平6課評2−8外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)
(1)

 比準要素数1の会社の株式
  183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(1)、(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額のうち、いずれか2が0であり、かつ、直前々期末を基準にして同項の定めに準じそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2以上が0である評価会社(次の(2)から(6)に該当するものを除く。以下「比準要素数1の会社」という。)の株式の価額は、次項の定めによる。
(注)  配当金額及び利益金額については、直前期末以前3年間の実績を反映して判定することになるのであるから留意する。

(2)  株式保有特定会社の株式
  課税時期において評価会社の有する各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額(189−3≪株式保有特定会社の株式の評価≫において「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」という。)の割合が25%以上(178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫に定める中会社及び小会社については、50%以上)である評価会社(次の(3)から(6)までのいずれかに該当するものを除く。以下「株式保有特定会社」という。)の株式の価額は、189−3≪株式保有特定会社の株式の評価≫の定めによる。
(3)  土地保有特定会社の株式
  課税時期において、次のいずれかに該当する会社(次の(4)から(6)までのいずれかに該当するものを除く。以下「土地保有特定会社」という。)の株式の価額は、 189−4≪土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価≫の定めによる。
 178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の定めにより大会社に区分される会社(同項の定めにより小会社に区分される会社(同項に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が、評価会社の事業が卸売業に該当する場合には20億円以上、卸売業以外に該当する場合には10億円以上のものに限る。)を含む。)で、その有する各資産をこの通達の定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める土地等の価額の合計額の割合(以下「土地保有割合」という。)が70%以上である会社
178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の定めにより中会社に区分される会社(同項の定めにより小会社に区分される会社(同項に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が、評価会社の事業が卸売業に該当する場合には7,000万円以上、小売・サービス業に該当する場合には4,000万円以上、卸売業、小売・サービス業以外に該当する場合には5,000万円以上で、上記イに該当しないものに限る。)を含む。)で、土地保有割合が90%以上である会社
(4)  開業後3年未満の会社等の株式
 課税時期において次に掲げるイ又はロに該当する評価会社(次の(5)又は(6)に該当するものを除く。以下「開業後3年未満の会社等」という。)の株式の価額は、189−4≪土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価≫の定めによる。
 開業後3年未満であるもの
  183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(1)、(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額がいずれも0であるもの
(注)  配当金額及び利益金額については、直前期末以前2年間の実績を反映して判定することになるのであるから留意する。
(5)  開業前又は休業中の会社の株式
 開業前又は休業中である評価会社の株式の価額は、189−5≪開業前又は休業中の会社の株式の評価≫の定めによる。
(6)  清算中の会社の株式
 清算中である評価会社の株式の価額は、189−6≪清算中の会社の株式の評価≫の定めによる。


(比準要素数1の会社の株式の評価)

189 −2 189((特定の評価会社の株式))の⑴の「比準要素数1の会社の株式」の価額は、185((純資産価額))の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する(この場合における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が比準要素数1の会社の185((純資産価額))のただし書に定める議決権総数の50%以下であるときには、同項の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。)。ただし、上記の比準要素数1の会社の株式の価額は、納税義務者の選択により、Lを0.25 として、179((取引相場のない株式の評価の原則))の⑵の算式により計算した金額によって評価することができる(この場合における当該算式中の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、本項本文かっこ書と同様とする。)。
  なお、当該株式が188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫に定める同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合には、その株式の価額は、188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫の本文の定めにより計算した金額(この金額が本項本文又はただし書の定めによって評価するものとして計算した金額を超える場合には、本項本文又はただし書(納税義務者が選択した場合に限る。)の定めにより計算した金額)によって評価する。(平12課評2−4外追加・平15課評2−15外改正)
(注)  上記の「議決権の合計数」には、188−5((種類株式がある場合の議決権総数等))の「株主総会の一部の事項について議決権を行使できない株式に係る議決権の数」を含めるものとする。189−3≪株式保有特定会社の株式の評価))及び189−4((土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価))においても同様とする。


(株式保有特定会社の株式の評価)

189 −3 189≪特定の評価会社の株式≫の(2)の「株式保有特定会社の株式」の価額は、185≪純資産価額≫ の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。この場合における当該1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が株式保有特定会社の185≪純資産価額≫のただし書に定める議決権総数の50%以下であるときには、上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。ただし、上記の株式保有特定会社の株式の価額は、納税義務者の選択により、次の(1)の「S1の金額」と(2)の「S2の金額」との合計額によって評価することができる。
  88 なお、当該株式が188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫に定める同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合には、その株式の価額は、188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫の本文の定めにより計算した金額(この金額が本項本文又はただし書の定めによって評価するものとして計算した金額を超える場合には、本項本文又はただし書(納税義務者が選択した場合に限る。)の定めにより計算した金額)によって評価する。(平2直評12外追加、平6課評2−8外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)
(1)  S1の金額
 S1の金額は、株式保有特定会社の株式の価額を 178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の本文、179≪取引相場のない株式の評価の原則≫から184≪類似業種比準価額の修正≫まで、185≪純資産価額≫の本文、186≪純資産価額計算上の負債≫及び186−2≪評価差額に対する法人税額等に相当する金額≫の定めに準じて計算した金額とする。ただし、評価会社の株式が189≪特定の評価会社の株式≫の(1)の「比準要素数1の会社の株式」の要件(同項の(1)のかっこ書の要件を除く。)にも該当する場合には、178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の大会社、中会社又は小会社の区分にかかわらず、189−2≪比準要素数1の会社の株式の評価≫の定め(本文のかっこ書、ただし書のかっこ書及びなお書を除く。)に準じて計算した金額とする。これらの場合において、180≪類似業種比準価額≫に定める算式及び185≪純資産価額≫の本文に定める1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、それぞれ次による。

 180≪類似業種比準価額≫に定める算式は、次の算式による。
  A ×
 Bb   Cc  ×3+  Dd 
× 0.7

 上記算式の適用に当たっては、次による。
(イ)

 上記算式中「A」、「B」、「C」、「D」、「B」、「C」及び「D」は、180≪類似業種比準価額≫の定めにより、「b」、「c」及び「d」は、それぞれ次による。
b」= 183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(1)に定める評価会社の「1株当たりの配当金額」に、直前期末以前2年間の受取配当金額(法人から受ける利益の配当及び剰余金の分配(出資に係るものに限る。)をいう。以下同じ。)の合計額と直前期末以前2年間の営業利益の金額の合計額(当該営業利益の金額に受取配当金額が含まれている場合には、当該受取配当金額の合計額を控除した金額)との合計額のうちに占める当該受取配当金額の合計額の割合(当該割合が1を超える場合には1を限度とする。以下「受取配当金収受割合」という。)を乗じて計算した金額
c」= 183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(2)に定める評価会社の「1株当たりの利益金額」に受取配当金収受割合を乗じて計算した金額
d」= 次の1及び2に掲げる金額の合計額(上記算式中の「D」を限度とする。)
1  183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(3)に定める評価会社の「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」に、178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の(1)に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)のうちに占める株式及び出資の帳簿価額の合計額の割合を乗じて計算した金額
2  直前期末における法人税法第2条≪定義≫第18号に規定する利益積立金額に相当する金額を直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金額を50円で除して計算した数によるものとする。)で除して求めた金額に受取配当金収受割合を乗じて計算した金額(利益積立金額に相当する金額が負数である場合には、0とする。)

(ロ)  上記算式中の「0.7」は、 178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫に定める中会社の株式を評価する場合には「0.6」、同項に定める小会社の株式を評価する場合には「0.5」とする。
(ハ)  上記算式中のCの金額が0の場合には、分母の「5」は「3」とする。

 185≪純資産価額≫の本文に定める1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、同項本文及び186−2≪評価差額に対する法人税額等に相当する金額≫の「各資産」を「各資産から株式及び出資を除いた各資産」と読み替えて計算した金額とする。
 
(2)  S2の金額
 S2の金額は、189≪特定の評価会社の株式≫の(2)の「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」からその計算の基とした株式等の帳簿価額の合計額を控除した場合において残額があるときは、当該株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)から当該残額に186−2≪評価差額に対する法人税額等に相当する金額≫に定める割合を乗じて計算した金額を控除し、当該控除後の金額を課税時期における株式保有特定会社の発行済株式数(自己株式を有する場合には、当該自己株式の数を控除した株式数をいう。以下この項において同じ。)で除して計算した金額とする。この場合、当該残額がないときは、当該株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)を課税時期における株式保有特定会社の発行済株式数で除して計算した金額とする。


(土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価)

189
−4 189≪特定の評価会社の株式≫の(3)の「土地保有特定会社の株式」又は同項の(4)の「開業後3年未満の会社等の株式」の価額は、185≪純資産価額≫の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。この場合における当該各株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)については、それぞれ、当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が土地保有特定会社又は開業後3年未満の会社等の185≪純資産価額≫のただし書に定める議決権総数の50%以下であるときは、上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。
  なお、当該各株式が188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫に定める同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合には、その株式の価額は、188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫の本文の定めにより計算した金額(この金額が本項本文の定めによって評価するものとして計算した金額を超える場合には、本項本文の定めにより計算した金額)によって評価する。(平2直評12外追加、平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)


(開業前又は休業中の会社の株式の評価)

189
−5 189≪特定の評価会社の株式≫の(5)の「開業前又は休業中の会社の株式」の価額は、185≪純資産価額≫の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。(平2直評12外追加、平12課評2−4外改正)


(清算中の会社の株式の評価)

189 −6 189≪特定の評価会社の株式≫の(6)の「清算中の会社の株式」の価額は、清算の結果分配を受ける見込みの金額(2回以上にわたり分配を受ける見込みの場合には、そのそれぞれの金額)の課税時期から分配を受けると見込まれる日までの期間(その期間が1年未満であるとき又はその期間に1年未満の端数があるときは、これを1年とする。)に応ずる基準年利率による複利現価の額(2回以上にわたり分配を受ける見込みの場合には、その合計額)によって評価する。(平2直評12外追加、平11課評2−12外・平12課評2−4外改正)


(新株引受権等の発生している特定の評価会社の株式の価額の修正)

189 −7  189−2≪比準要素数1の会社の株式の評価≫から189−5≪開業前又は休業中の会社の株式の評価≫までの定めにより特定の評価会社の株式を評価した場合(その株式を188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫の本文の定めにより評価した場合を除く。)において、その株式が 187≪新株引受権等の発生している株式の価額の修正≫の(1)又は(2)に掲げる場合に該当するときは、その価額を、 187≪新株引受権等の発生している株式の価額の修正≫の(1)又は(2)の算式に準じて修正した金額によって評価する。(平2直評12外追加、平12課評2−4外改正)




(新株引受権の評価)

190  新株引受権の価額は、その新株引受権の発生している株式について、 169≪上場株式の評価≫ 174≪気配相場等のある株式の評価≫ 177≪気配相場等のある株式の評価の特例≫187≪新株引受権等の発生している株式の価額の修正≫188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫若しくは前項の定めにより評価した価額又は 189≪特定の評価会社の株式≫に定める特定の評価会社の株式を188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫の本文の定めにより評価した価額に相当する金額から新株式1株につき払い込むべき金額を控除した金額によって評価する。ただし、課税時期において発行日決済取引が行われている新株式に係る新株引受権については、その新株式について 169≪上場株式の評価≫の定めにより評価した価額に相当する金額から新株式1株につき払い込むべき金額を控除した金額によって評価する。(昭47直資3−16・昭58直評5外・平2直評12外改正)


(株式の引受けによる権利の評価)

191

 株式の引受けによる権利の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭47直資3−16・昭58直評5外・平2直評12外・平12課評2−4外改正)
(1)  会社設立の場合の株式の引受けによる権利の価額は、課税時期以前にその株式1株につき払い込んだ価額によって評価する。
(2)  (1)に該当しない株式の引受けによる権利の価額は、その株式の引受けによる権利の発生している株式について、 169≪上場株式の評価≫ 174≪気配相場等のある株式の評価≫ 177≪気配相場等のある株式の評価の特例≫ 187≪新株引受権等の発生している株式の価額の修正≫ 188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫若しくは 189−7≪新株引受権等の発生している特定の評価会社の株式の価額の修正≫の定めにより評価した価額又は 189≪特定の評価会社の株式≫に定める特定の評価会社の株式を 188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫の本文の定めにより評価した価額に相当する金額(課税時期の翌日以後その株式の引受けによる権利につき払い込むべき金額がある場合には、その金額からその新株式1株につき払い込むべき金額を控除した金額)によって評価する。ただし、課税時期において発行日決済取引が行われている新株式に係る株式の引受けによる権利については、その新株式について、 169≪上場株式の評価≫の定めにより評価した価額に相当する金額(課税時期の翌日以後その株式の引受けによる権利につき払い込むべき金額がある場合には、その金額から払い込むべき金額を控除した金額)によって評価する。


(新株無償交付期待権の評価)

192  新株無償交付期待権の価額は、その新株無償交付期待権の発生している株式について、 169≪上場株式の評価≫ 174≪気配相場等のある株式の評価≫ 177≪気配相場等のある株式の評価の特例≫ 187≪新株引受権等の発生している株式の価額の修正≫ 188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫若しくは 189−7≪新株引受権等の発生している特定の評価会社の株式の価額の修正≫の定めにより評価した価額又は 189≪特定の評価会社の株式≫に定める特定の評価会社の株式を 188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫の本文の定めにより評価した価額に相当する金額によって評価する。ただし、課税時期において発行日決済取引が行われている新株式に係る無償交付期待権については、その新株式について 169≪上場株式の評価≫の定めにより評価した価額に相当する金額によって評価する。(昭47直資3−16・昭58直評5外・平2直評12外・平12課評2−4外改正)


(配当期待権の評価)

193  配当期待権の価額は、課税時期後に受けると見込まれる予想配当の金額から当該金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額を控除した金額によって評価する。(昭55直評20外・昭58直評5外・平2直評12外・平11課評2−2外改正)


(ストックオプションの評価)

193 −2 その目的たる株式が上場株式又は気配相場等のある株式であり、かつ、課税時期が権利行使可能期間内にあるストックオプションの価額は、課税時期におけるその株式の価額から権利行使価額を控除した金額に、ストックオプション1個の行使により取得することができる株式数を乗じて計算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)によって評価する。この場合の「課税時期におけるその株式の価額」は、169((上場株式の評価))から172((上場株式についての最終価格の月平均額の特例))まで又は174((気配相場等のある株式の評価))から177−2((登録銘柄及び店頭管理銘柄の取引価格の月平均額の特例))までの定めによって評価する。(平15課評2−15外追加)


(合名会社等の出資の評価)

194  合名会社、合資会社又は有限会社に対する出資の価額は、 178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫から前項までの定めに準じて計算した価額によって評価する。(昭59直評7外改正)


(医療法人の出資の評価)

194

−2 医療法人に対する出資の価額は、 178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の本文、 179≪取引相場のない株式の評価の原則≫から 181≪類似業種≫本文まで、 182≪類似業種の株価≫から 183−2≪類似業種の1株当たりの配当金額等の計算≫まで、 184≪類似業種比準価額の修正≫の(2)、 185≪純資産価額≫の本文、 186≪純資産価額計算上の負債≫から 186−3≪評価会社が有する株式等の純資産価額の計算≫まで、 187≪新株引受権等の発生している株式の価額の修正≫の(2)、 189≪特定の評価会社の株式≫ 189−2≪比準要素数1の会社の株式の評価≫から 189−4≪土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価≫ 185≪純資産価額≫のただし書の定め及び 188−2≪同族株主以外の株主等が取得した株式の評価≫の定めを適用する部分を除く。)まで及び 189−5≪開業前又は休業中の会社の株式の評価≫から192≪新株無償交付期待権の評価≫までの定めに準じて計算した価額によって評価する。この場合において、 181≪類似業種≫の「評価会社の事業が該当する業種目」は同項の定めにより別に定める業種目のうちの「その他の産業」とし、 189≪特定の評価会社の株式≫の(1)の「比準要素数1の会社の株式」に相当する医療法人に対する出資は、 183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(2)又は(3)に定める「1株当たりの利益金額」又は「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれ金額のうち、いずれかが0であり、かつ、直前々期末を基準にして同項の定めに準じそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか1以上が0である評価対象の医療法人の出資をいい、 180≪類似業種比準価額≫及び 189−3≪株式保有特定会社の株式の評価≫の(1)のイに定める算式は、それぞれ次の算式による。(昭59直評7外追加、平2直評12外・平11課評2−2外・平12課評2−4外改正)
(1)  180≪類似業種比準価額≫に定める算式
  A ×
 C  ×3+  D 
× 0.7
 ただし、上記算式中の「0.7」は、178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫に定める中会社に相当する医療法人に対する出資を評価する場合には「0.6」、同項に定める小会社に相当する医療法人に対する出資を評価する場合には「0.5」とする。また、189−2≪比準要素数1の会社の株式の評価≫のただし書の定めにより評価する場合において、上記算式中のCの金額が0のときには、分母の「4」は「2」とする。
(2)  189−3≪株式保有特定会社の株式の評価≫の1のイに定める算式
  A ×
 Cc  ×3+  Dd 
× 0.7
 ただし、上記算式中の「0.7」は、178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫に定める中会社に相当する医療法人に対する出資を評価する場合には「0.6」、同項に定める小会社に相当する医療法人に対する出資を評価する場合には「0.5」とする。また、189−2≪比準要素数1の会社の株式の評価≫のただし書の定めにより評価する場合において、上記算式中のCの金額が0のときには、分母の「4」は「2」とする。


(農業協同組合等の出資の評価)

195  農業協同組合等、196≪企業組合等の出資の評価≫の定めに該当しない組合等に対する出資の価額は、原則として、払込済出資金額によって評価する。


(企業組合等の出資の評価)

196  企業組合、漁業生産組合その他これに類似する組合等に対する出資の価額は、課税時期におけるこれらの組合等の実情によりこれらの組合等の185≪純資産価額≫の定めを準用して計算した純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基とし、出資の持分に応ずる価額によって評価する。(昭58直評5外改正)



第2節 公 社 債


(評価単位)

197  公社債の価額は、銘柄の異なるごとに次に掲げる区分に従い、券面額100円当たりの価額に公社債の券面額を100で除した数を乗じて計算した金額によって評価する。(昭47直資3−16・平15課評2−15外改正)
(1)  利付公社債
(2)  割引発行の公社債
(3)  元利均等償還が行われる公社債
(4)  転換社債型新株予約権付社債


(利付公社債の評価)

197

−2 利付公社債の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭47直資3−16追加、昭55直評20外・平11課評2−2外・平11課評2−12外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)
(1)  証券取引所に上場されている利付公社債
 その公社債が上場されている証券取引所(国内の2以上の証券取引所に上場されている場合には、原則として、東京証券取引所とするが、納税義務者の選択により納税地の最寄りの証券取引所とすることができる。以下同じ。)の公表する課税時期の最終価格(日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された公社債である場合には、日本証券業協会の公表する課税時期の平均値と最終価格のうちいずれか低い金額とする。また、課税時期に最終価格及び平均値のいずれもない場合には、課税時期前の最終価格又は平均値のうち、課税時期に最も近い日の最終価格又は平均値とし、その日に最終価格又は平均値のいずれもある場合には、いずれか低い金額とする。次項において同じ。)と課税時期において利払期が到来していない利息のうち、課税時期現在の既経過分に相当する金額から当該金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額(特別徴収されるべき道府県民税の利子割の額に相当する金額を含む。以下同じ。)を控除した金額(以下本項及び197−5((転換社債型新株予約権付社債の評価))において「源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額」という。)との合計額によって評価する。
(2)  日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された利付公社債(証券取引所に上場されている利付公社債を除く。)
 その公社債について日本証券業協会から公表された課税時期の平均値(課税時期に平均値がない場合には、課税時期前の平均値のうち、課税時期に最も近い日の平均値とする。次項において同じ。)と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額によって評価する。
(3)  (1)又は(2)に掲げる利付公社債以外の利付公社債
 その公社債の発行価額と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額によって評価する。


(割引発行の公社債の評価)

197

−3 割引発行の公社債の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭47直資3−16追加、昭55直評20外・平11課評2−2外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)
(1)  証券取引所に上場されている割引発行の公社債
 その公社債が上場されている証券取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価する。
(2)  日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された割引発行の公社債(証券取引所に上場されている割引発行の公社債及び割引金融債を除く。)
 その公社債の課税時期の平均値によって評価する。
(3)  (1)又は(2)に掲げる割引発行の公社債以外の割引発行の公社債
 その公社債の発行価額に、券面額と発行価額との差額に相当する金額に発行日から償還期限までの日数に対する発行日から課税時期までの日数の割合を乗じて計算した金額を加算した金額によって評価する。


(元利均等償還が行われる公社債の評価)

197 −4 元利均等償還が行われる公社債の価額は、相続税法第24条≪定期金に関する権利の評価≫第1項第1号の規定を準用して計算した金額によって評価する。(昭47直資3−16追加)


(転換社債型新株予約権付社債の評価)

197

−5 転換社債型新株予約権付社債(平成14 年3月31 日以前に発行された転換社債を含め、以下「転換社債」という。)の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭47直資3−16追加、昭55直評20外・平11課評2−2外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)
(1)  証券取引所に上場されている転換社債
 その転換社債が上場されている証券取引所の公表する課税時期の最終価格(課税時期に証券取引所の公表する最終価格がない場合には、課税時期前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格とする。)と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額によって評価する。
(2)  日本証券業協会において店頭転換社債として登録された転換社債
 その転換社債について日本証券業協会の公表する課税時期の最終価格(課税時期に日本証券業協会の公表する最終価格がない場合には、課税時期前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格とする。)と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額によって評価する。
(3)  (1)又は(2)に掲げる転換社債以外の転換社債
 ロに該当しない転換社債
 その転換社債の発行価額と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額によって評価する。

 転換社債の発行会社の株式の価額が、その転換社債の転換価格(転換比率によって定められているものについては、その転換比率を基として計算した転換価格に相当する金額をいう。以下本項において同じ。)を超える場合の転換社債
 次の算式により計算した金額によって評価する。

転換社債の発行会
社の株式の価額
× 100円
その転換社債の転換価格
 上の算式中の転換社債の発行会社の株式の価額は、その株式が上場株式又は気配相場のある株式である場合には、その株式について、この通達の定めにより評価した課税時期における株式1株当たりの価額をいい、その株式が取引相場のない株式である場合には、その株式についてこの通達の定めにより評価した課税時期における株式1株当たりの価額を基として、次の算式によって修正した金額とする。
N+P×Q
1+Q
上の算式中の「N」、「P」及び「Q」は、それぞれ次による。
「N」= この通達の定めによって評価したその転換社債の発行会社の課税時期における株式1株当たりの価額
「P」= その転換社債の転換価格
「Q」= 次の算式によって計算した未転換社債のすべてが株式に転換されたものとした場合の増資割合
転換社債のうち課税時期において株式
に転換されていないものの券面総額
その転換社債の転換価格
課税時期における発行済株式数
(注)

  転換社債の発行会社の株式が取引相場のない株式である場合の転換社債の価額についての計算例を示せば、次のとおりである。
課税時期の発行済株式数 500,000株
転換社債の発行総額 18,000,000円
転換価格 150円
課税時期までに株式に転換した転換社債の券面総額 3,000,000円
この通達の定めにより評価した課税時期における株式1株当たりの価額 186円
 以上における転換社債の価額(券面額 100円当たりの価額)は、次のように 120円となる。
 株式の価額が転換価格を超えるかどうかの判定
(イ)  Q(増資割合)の計算
18,000,000円−3,000,000円
150円
 
=0.2
500,000株  
(ロ)  株式の価額
186円+150円×0.2  
=180円
1+0.2  
(ハ)  判定
 株式の価額180円が転換価格150円を超えることとなる。
 転換社債の価額
100円
180円×
120円
150円
       


(貸付信託受益証券の評価)

198

 貸付信託の受益証券の価額は、次に掲げるところにより評価する。(昭55直評20外改正)
(1)  課税時期において貸付信託設定日(その貸付信託 の信託契約取扱期間終了の日をいう。)から1年以上を経過している貸付信託の受益証券
 その証券の受託者が課税時期においてその証券を買い取るとした場合における次の算式により計算した金額
元本
の額
既経過収
益の額
既経過収益の額につき源泉徴収されるべき所得税 の額に相当する金額   買取割
引料
(2)  (1)に掲げる貸付信託の受益証券以外の貸付信託の受益証券
 (1)の算式に準じて計算した金額


(証券投資信託受益証券の評価)

199

 証券投資信託の受益証券の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(平12課評2−4外改正)
(1) 中期国債ファンド、MMF(マネー・マネージメント・ファンド)等の日々決算型の証券投資信託の受益証券の場合には、課税時期において解約請求又は買取請求(以下この項において「解約請求等」という。)により、証券会社等から支払いを受けることができる価額として、次の算式により計算した金額によって評価する。
1口当たりの基準価額 ×口数+ 再投資されていな未収分配金(A) Aにつき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額 信託財産留保額及び解約手数料(消費税額に相当する額を含む。)
(2)

 上記(1)以外の証券投資信託の受益証券の場合には、課税時期において解約請求等により、証券会社等から支払いを受けることができる価額として、次の算式により計算した金額によって評価する。この場合において、例えば、1万口当たりの基準価額が公表されているものについては、次の算式の「課税時期の1口当たりの基準価額」を「課税時期の1万口当たりの基準価額」と、「口数」を「口数を1万で除して求めた数」と読み替えて計算した金額とする。
 なお、課税時期の基準価額がない場合には、課税時期前の基準価額のうち、課税時期に最も近い日の基準価額を課税時期の基準価額として計算する。
課税時期の1口当たりの基準価額 ×口数− 課税時期において解約請求等した場合に源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額 信託財産留保額及び解約手数料(消費税額に相当する額を含む。)
(注)  証券取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、169≪上場株式の評価≫及び171≪上場株式についての最終価格の特例−課税時期に最終価格がない場合≫の(1)の定めに準じて評価する。