電子債権のわかりやすいメリットとして、手形では必要であった印紙が不要になるということがあります。
手形と(金銭)消費貸借証書の印紙税額と、それをベーシス(0.01%)換算したものを表にまとめてみますと以下のとおり。
(私、融資実務の経験がないのでハズしてたらご教示いただければ幸いですが)、手形貸付のメリットの一つは、このように金銭消費貸借証書で貸付をするより手形で貸付するほうが印紙税が安いことだと理解しております。
上記のとおり、手形貸付の場合、概ね2bp〜4bp(手形金額の0.02%〜0.04%)の印紙税コストになっていると考えられますので、例えば電子債権の手数料が1bp〜2bpで納まる体系にすれば、借入する企業にとってもメリットだし、上記手数料を銀行と電子債権記録業者でシェアするビジネスモデルにすれば、銀行にもメリットになります。
つまり、銀行業界がこぞって取り組んだ場合の電子債権は、「国の印紙税による歳入を減らして、銀行と電子債権記録業者に気前よく分けてあげる制度」、と言えるかも知れません。
平成19年度の国の印紙収入の予算は1兆2千億円くらいのようですが、当然、何号文書に張られた印紙か内訳はわからないので、以下、ドタ勘で推測しますと;
平成18年の手形交換高は500兆円、現在の国内店銀行勘定の残高が長期短期等含めて460兆円程度ですが、仮に毎年の手形発行額が手形貸付その他交換されないものも含めて800兆円くらいあるとして平均3bpの印紙税がかかっているとすると、手形に関わる印紙税合計で2400億円くらいになるでしょうか?
手形が完全に撤廃されたら、財源不足がどうのと言っている時代に、(死ぬほどではないにしても)そこそこな税収減になる気もします。
電子債権で平均1.5bpくらいの料金体系にすると仮定すると、1200億円を全銀協さん+銀行業界で分け合い、残り1200億円が一般企業に対する実質的な減税、というイメージでしょうか。
軌道に乗せれば、結構、おいしいビジネスかも知れまへんなー。
(非常に粗い推測で恐縮ですが、ご参考まで。)
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電子債権は、流行しないと思いますよ。
たしか、登録義務者と登録権利者が共同で登録機関に登録申請しないといけないのですよね。こんな、手形を一枚一枚登記するような制度、面倒で仕方ありません。商品を納入して得意先に電子手形を振出してもらい、それを登録する、しかも得意先単独では登録できず、仕入業者と共同申請になり、得意先としては、仕入業者の数だけ別申請をしなければならない。仕入れ業者としても、得意先の数だけ共同申請をしなければならない。
さらに、手形が支払われたときも、原則共同申請。「手形が支払われましたよ」「じゃあ一緒に決済を登録しましょう」なんてやってられない。
お返事が長くなったので、エントリを別に立てました。
http://www.tez.com/blog/archives/001022.html