磯崎@今日から社外取締役監査委員&昨日からシステム監査技術者、です。
17日のエントリー「消費者金融の金利は「安すぎる」?」の続きですが。
krpさんも取り上げてらっしゃいましたが、本日の日経(3面)に、三井住友銀行のプロミス出資発表の解説記事が載ってました。
三井住友・プロミス連合の無担保ローン戦略は、三井住友の窓口で扱う年八—一二%程度のローン、両社が共同開発し共同出資会社が扱う年一五—一八%程度のローン、プロミスが単独で扱う年二〇%以上のローン——に大別できる。利用者の信用力に応じ、それぞれの商品を提供する。
なかでも一五—一八%の金利を扱う「共同会社はもっとも重要」(以下略)(西川社長)。
「合法で儲かるところ」を重視
金利の法的関係をもう一度掲げさせていただきますと、下記のようになるわけですが、
西川社長が15-18%のところが「もっとも重要」とおっしゃるのは、一つには「利息制限法の範囲内で」なので、という意味、もう一つは、銀行内のカードローンは8〜12%を想定していて、ぶっちゃけたお話、これはあまり儲からない・・・。訴訟されてもひっくり返されることのない「完全に合法な」金利の範囲内で最も儲かるところはそこだ、ということかと思います。
フルブレーキング
プロミスの経営状況を、決算短信からダイジェストしてみると、以下のような感じになります。(平成15年3月期、平成16年3月期の比較。)
まず、営業貸付金がどどっと855億円も減っています。(黄色の部分)
これに伴い、125億円も営業貸付金利息(つまり売上)も減少。
残高が減るだけでなく、営業貸付金の期末残高の平残に対する利回りも0.7%下がってます。
一方、貸倒引当金繰入額+貸倒損失の額は216億円も上昇。営業貸付金平残に対する利回りも1.4%も上昇して9.3%に。
金融費用だけは、0.2%下がっていてプラス要因ですが、その他の事業環境は最悪、ということです。
この環境悪化に対抗するために、まず有利子負債を約1500億円ドーンと返済。(水色の部分)
広告宣伝費66億円、人件費57億円、賃借料18億円など、販管費等で合計170億円ものコスト削減を行ってます。
12%の削減ですから、相当きついはず。
井上和香の笑顔の影で、力石徹並みの減量が行われていた、ということのようですね。
「最高の売り時」か?
おそらく、今後規制金利の上限は下がることはあっても上がることはない。
「リンボーダンス」のように、だんだん「バー」が下がってきたわけですが、もうこれ以上反りかえると背骨が折れそうな感じ。
おまけに、一般会社の「仕入れ」に相当する調達金利は今までは下がってきたのでなんとかこれでもやってこれたわけですが、今後、インフレで金利が上昇することはあっても、下がることはなさそうです。バーが下がらなくても地面がせり上がってくる・・・。
「♪ミュージック、スタート!」といわれても、もうバーをくぐれる気がしない・・・。
一方、株価は2003年4月あたりで底を打ってから、基本的に上昇トレンドにあります。
というわけで、今回はオーナー一族の方々にとっては(銀行と提携しないで単独でやっていくというのでないという意味で)、またとない「売り時」だったんではないでしょうか。
もう一点、銀行側から見た消費者金融業者と提携する本質的なメリットについて述べようと思うのですが、これから出かけますので、とりあえず本日はここまでということで。
(ではまた。)
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