以前、「今週の島耕作(上場会社の決定事実と適時開示)」で、島耕作が「新社名&新ブランド」(社名は定款記載事項なので、株主総会での定款変更決議が必要)を決定したにも関わらず、適時開示もせず、総会の招集通知の議案にも載せないのいうのはヘンではないか?というお話を申し上げました。
今週の週刊モーニングの連載は、その初芝五洋ホールディングスの株主総会の回だったのですが、島社長曰く;
今回は新ブランドが「テコット」に決定したということだけ発表いたします
と、いつの間にか「社名変更」はどっか行っちゃって、「新ブランド」の発表だけを行う形になってました。
これ(ブランドの変更のみ)なら、確かに、総会の議案にはかけなくてもいいし、適時開示の規則でも明文上は、ブランド決定時に開示しなければならないとは書いてないかと思いますし、明らかな会社法・金商法違反ということでもなくなったかと思います。
しかーし。
この新ブランドは、単なる新規事業とか、一部門のブランド変更ではなく、
初芝製品 五洋製品の全て デジタルAVC関係からアプライアンス(白物家電)までの総ての商品にTECOTのロゴが貼れます
という非常に大規模な施策ですから、金融商品取引法第166条2項4号の、
前三号に掲げる事実を除き、当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であつて投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの
いわゆる「バスケット条項」に該当する可能性が高い。
すなわち、この事実を知ってこの情報の開示の前に初芝五洋HD株を取引したらインサイダー取引になる可能性は極めて高いと考えられますし、適時開示規則(有価証券上場規定第402条第1号ao)でも、バスケット条項に該当する場合には適時開示しなさいと定められているので、(今回のように株主総会でサプライズで発表するというよりは)、前回4月の回で島社長が新ブランドを決定した際に開示しておいたほうがいいのは間違いありませんね。
しかし、今週のラストシーンでは、島社長も体を張って「大株主」に対して(エロい)IRをされてがんばってらっしゃるので、今回はこのへんにさせていただきたいと思います。<(_ _)>
(ではまた。)
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