今週の「週刊isologue」は、EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)で有名な、スーパーマーケットの「オーケー株式会社」(以下「オーケー」)について。
といっても、流通業そのものについてではなく、オーケーが行った、非上場企業としては非常にユニークな資金調達の手法について検討してみたいと思います。
お盆シーズンでもあるので、さらっと短めにと思ったのですが、なぜか、またA4で22枚もの大作になってしまいました・・・。
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先日(2009年8月3日)、村上龍氏がメインインタビュアーを務めるテレビ東京系の「カンブリア宮殿」の「 “正直経営”が今、武器になる!」という回において、「オーケー株式会社」が取り上げられました。
番組では、「EDLP」や「オネスト(正直)カード」といった手法や、「ファン」が多いこと(私も、オーケー・ファンの一人)、社長である飯田 勧(いいだ すすむ)氏の人となりを紹介。
(飯田社長は、ご案内の通り、兄が居酒屋チェーン「天狗」、弟がセコムを創業したという、創業サラブレッド一族の出身でいらっしゃいます。)
その中で、「『ご意見カード』の顧客の要望を受けて導入」されたしくみの一つとして、一瞬だけ、「株券」の話が登場します。
図表1.オーケー株式会社の種類株券 (出所:テレビ東京「カンブリア宮殿」)
録画を巻き戻してよく見てみると、「オーケー株式会社オーケー2007種類株券」と書いてあります。
つまり、オーケーの普通株式の株券ではなく「種類株券」です。
私、もちろん今まで仕事の中で株券は多数見て来てますし、種類株式の要項もかなりたくさん見て来ている方だと思いますが、「種類株券」(つまり種類株式という権利を表章する「紙」)を見たのは、生まれて初めてかも知れません。
番組によると、2年間で5000人以上が株主になったそうです。
5000人って、ちょっとした上場企業より株主数が多いですよね!
この種類株式のスキームは、いろいろよく考えられていて大変面白いのですが、一般的に考えれば非常にキケンな側面も持ち合わせています。
そのへんを、オーケーが提出している有価証券届出書等の開示資料に「ダイブ」して、探ってみました。
ご興味があれば、ご購読いただければ幸いです。
今週の目次とキーワード:
- 投資家から見た、非上場株の公募の問題点
- オーケーのコーポレートガバナンス(特に社外取締役)
- 企業側から見た、未上場の公募のデメリット
- 企業側から見た、未上場の公募のメリット
- オーケーの種類株式の概要
「オーケー2007種類株式」「オーケー2008種類株式」「オーケー2009種類株式」 - オーケーの種類株式発行の歴史
- 買取り株価の算出方法
- 会社側からの取得条項(call option)
- 取得請求権(put option)
- スキームの問題点
- この種類株式で上場によるキャピタルゲインは得られるか?
- リスク・リターンの評価は?
- 議決権の制限とガバナンス
- 公募株式の譲渡制限と、取締役会の承認の運用
- 配当、残余財産の分配の順位の設計(一般的な例との対比、平時と破綻時)
- 相続人等に対する売渡しの請求の運用は?
- 「(想定)PER17倍」のナゾ
- 買取り価格決定式の会社側へのリスク
- 「普通株式への転換条項」(普通株式を対価にした取得条項)
- 課税上の取扱い
- 普通株式を使ったスキームだったら、どうだったか?
- 税務から考えた株主の投資額の規模と設計
(ではまた。)
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