今回の有料メルマガ「週刊isologue」は、広告代理店について取り上げたいと思います。
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歴史の授業で、19世紀のイギリスで起こった「ラッダイト運動」を習ってご記憶の方も多いかも知れません。「ラッダイト運動」は、人間が「機械」に職を奪われると感じた労働者たちが機械を打ち壊してまわった産業革命時代の事件です。
この産業革命時の「機械によって職を奪われる」ことと同様のことは、現代でも起こっているのではないかと思います。それは、「幾何級数的にコストパフォーマンスがよくなっていくコンピュータとネット」によって引き起こされている様々な現象(いわゆる「IT革命」)です。
ムーアの法則により情報処理コストが幾何級数的に下がり、またネットの発達によって海外の低廉な人件費との競争にさらされることになったら、今までと同じことをやっている限り、既存の日本の付加価値が、どんどんコンピュータとネットに吸い取られて行くのはある意味、当然です。
産業革命の時は、表面的に「機械」によって労働が奪われるように見えても、中長期的に見れば、そのおかげで人間は「もっと人間的な」仕事に就くことができたし、労働者の平均賃金が押し上げられることになっていったと思います。しかし、現代、コンピュータとネットによって仕事を奪われた人たちは、中長期的に「もっと知的な」あるいは「もっと楽な」仕事に就けるのでしょうか?
というのも、この「IT革命」は、ブルーカラー的な職種の人だけでなく、むしろ(クメール・ルージュや文化大革命にも似て)、従来「特権階級」や「知識階層」にあった人や組織に対して、より厳しく作用している気がするからです。
またちょっと不思議なのは、幸か不幸か、あまり世論は「コンピュータやインターネットをブッ壊せ!」ということにはなっていないということです。
ネット上のサービスがあまりお好きでない国会議員や官僚の方々なども、「コンピュータやネットの技術革新や利用そのものを止めろ!」という主張をされている方はあまり見かけないですね。
そもそも、コンピュータやネットの進展は「日本発」で起こっていることではないし、止めようもないことだということは、広く理解されているんじゃないかと思います。また、コンピュータやネットはインターネットカフェやケータイ、ゲーム機にまで入り込んでいますので、「コンピュータやネットによって職を奪われている人たち」にとってすら、それは単純な「敵」ではなく「友達」の側面も持ち合わせています。
さらに、産業革命時代の「機械」と違って、ネット上のサーバなどは直接はユーザの目に触れず、文字通り「雲(クラウド)」のように つかみどころがないので、怒りをぶつける明確な対象が定まらないのかも知れません。
今回取り上げる「広告代理店」業界は、従来「特権階級」や「知識階層」に位置づけられていたけれど、今まで取り上げて来たテレビや新聞などのマスコミと同様、現在「ネット」の影響を強く受けて危機的状況にある産業と言えるのではないかと思います。
個別の事例をミクロに見ると、個別の広告がネットに代替されているわけではないようにも見えますし、不況の影響も大きいと思いますが、企業別に見ると、Googleという「勝ち組」に対して、既存のビジネスモデルの広告代理店が苦戦しているように見えます。
また、消費者が情報を得る手段が既存のマス媒体からネットにシフトし、マクロ的に見て媒体の価値は確実に遷移しておりますので、やはり、ネットによって既存のサービスが代替されている好例と言ってもいいのではないかと思います。
ということで、今週取り上げた企業は下記の通り。
- 株式会社電通
- 株式会社博報堂DYホールディングス
- 株式会社アサツー ディ・ケイ
- 株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)
- 株式会社オプト
- デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)
- 株式会社サイバーエージェント(現在の利益の柱は何?)
- 日本のマーケットの全体像は?
(Googleの日本での売上推測、ヤフー、等)
(ではまた。)
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