「ベンチャー企業の株主を『追い出す』方法」シリーズが2回目でまだ途中なのですが、池田信夫さんからご要望があって、今話題でもあり日本の将来にも関連しそうなので、今週の週刊isologueは、このソフトバンクが総務省に提出した「アクセス回線会社収支試算結果説明資料」を読み解いて行きたいと思います。
この「アクセス回線会社」というのは、メタルの回線をやめて光ファイバーを100%にするいわゆる「光の道」に対してソフトバンクが「国費の投入無しで可能」として提案している収支試算結果です。
検討が行われている総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース – 電気通信市場の環境変化への対応検討部会」のホームページは下記です。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/global_ict/kankyou_henka.html
この5月14日に行われた第11回会合で提出された、「ソフトバンク株式会社提出資料(アクセス会社収支試算)PDF」について検討していきたいと思います。
ただし、昨日から検討をはじめただけで、孫さん佐々木さんの対談のUSTREAMの中継やその書き起こしなども全部は拝見しておりませんし、私が電話や光ファイバーの技術や原価データを持っているわけではないので、さすがに1日で、この内容が妥当かどうかを検証するなんてことはできるわけはありません。(すみません。)
ということで、わからないことはわからないとして、今回は、この「アクセス回線会社収支試算結果説明資料」の全体構成がどうなっているか、ざっくり見ていくことにしたいと思います。
こうした計画書がどのように作られているか、どういった点に注意しなければならないかについては、ベンチャー企業の創業や大企業の新規事業などでビジネスプランを作って行く際の基本の勉強にもなるかと思います。
また、上記のとおり時間がなかったこともあり、全世帯に光ファイバーを引くのがいいのかどうか、光ファイバー事業だけを分社化するのが適切なのかどうか、なぜソフトバンクがそんなことを言う必要があるのかどうか、といった政治的・技術的なことは横に置かせていただいており、主として財務的な側面から、この資料について検討をしております。
ということで、今週はちょっと多めで、仮に印刷すると27ページほどになっちゃいました(汗)。
今週の目次&キーワードは以下の通り。
- ソフトバンク提出資料の内容
- 事業計画と前提条件
- 貸借対照表が無い
- 固定電話の契約数の減少状況、ARPU
- NTTのブロードバンドサービスの契約の増加状況、ARPU
- (ソフトバンク松本副社長の考える)レイヤー別の競争
- ブロードバンドサービスの需要の価格弾力性
(競争で価格が下がったら需要は上がるか?) - 競争でスピードやサービスが向上するか?
- 契約数の目標は適切か?
- 減価償却費が定率法から定額法に変更
- このプロジェクトの税務戦略
- 引き継がれる資産量が不明?
- NTTからの分割スキーム、資金調達をどうするか?
- 本当に国費は不要なのか?
ご興味のある方は、下記からお申し込みいただければ幸いです。
(ではまた。)
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ありがとうございました。さすがに会計の専門家が見ても、疑問点が多いようですね。
<だからといって、その資産分を政府が買い取って100%子会社にするというのであれば、「政府資金がいらない」ということにはならないですね>
という企業統治の問題については、私も「アゴラ」に書きましたが、ソフトバンクの案ではNTTの連結子会社になっています。全世帯にFTTHを敷設するという意思決定を誰が行なうのかが疑問です。政府が行なうとすれば、「再国有化」になってしまう。
http://agora-web.jp/archives/1020248.html
なおメルマガの中で「6200世帯」とか「6400万世帯」とか、数字の不整合が見られます。
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