「個人から出資を受けたらIPOできなくなる日本証券業協会の規則変更に大反対します」には多くの反響をいただき、ありがとうございました。
遅ればせながらパブコメとして送る案を作りました。
(あまり長いのもなんなので、シンプルな内容に絞りました。)
本日の5時が〆切ですので、これから送りますが、みなさんのご参考にもなれば幸いです。
(この項目のとおりに、みなさんの意見も書いて送ればパブコメになります。
カギカッコは、パブコメ募集の文書では丸数字になっていましたが、Macのメーラー等で文字化けするので[n]と表記してあります。)
メールの宛先: public@wan.jsda.or.jp
メールの件名:『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正に対する意見
[1] 氏名: 磯崎 哲也
[2] 連絡先:(メールアドレスを記載)
[3] 法人名/団体名:磯崎哲也事務所
[4] 意見の該当箇所:「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について」全体
[5] 意見:「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について」で提案されている変更全体を取りやめるべきである。
[6] 理由:
「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について」(以下「本変更案」といいます)の特徴は「未上場企業が個人から投資を受け場合には上場できない」というシンプルなメッセージにあるかと思います。
しかし、別途、細則案で適用除外事項が定められているとおり、善良な企業を上場させるためには、例外を設ける必要があります。
仮に、貴協会の広報の努力によって「上場できない」というシンプルなメッセージを多くの人に伝えることができても、詐欺を行う者は適用除外の要件を突いてくるはずです。
詐欺被害者の多くは、未公開株や未上場企業の実務については詳しくなくても、日常生活をする程度の判断力はあるはずであり、知らない人間からの勧めをそのまま鵜呑みにする人ばかりであるとは考えられません。
単に「儲かります。」ではなく「普通では上場できないんですが、こんな裏道があるんですよ。」と言う要件が提示され、それが事実であることが確認されることによって、詐欺はより説得力を増してしまいます。
そもそも、詐欺かどうかは「騙す意図」で決まるものであり、詐欺を行う者の「心の内面」を形式的な要件で判別することは困難です。
また、貴協会が上記のメッセージを潜在的な詐欺被害者に伝えようとすれば、そのメッセージは、一般の企業やそれらの企業を取り巻く関係者にも広く伝わるはずです。
ベンチャー企業を支援しようと考えている人に「個人が投資したら上場できない」というメッセージが伝われば、投資意欲は大きく減退してしまいます。また、既に個人から投資を受けている未上場企業は、将来の上場の可能性が下がりますので、それ以降の投資家から見た投資のリスクは上昇します。
これらの影響により、未上場企業は不利な条件での資金調達を強いられることになり、場合によっては資金調達自体が不可能になることも考えられます。
このような創業期や成長期における資金調達環境の悪化は、未来の日本の成長を担うベンチャー企業の発展に大きな障害となるものと考えられます。
その他、本変更案についての問題点の詳細については、私のホームページに考えを記載させていただきました。
https://www.tez.com/blog/archives/001648.html
以上のとおり、本変更案の基本的な性質から考えると、本変更案を個人投資家保護とベンチャー企業育成の両方を考え合わせた適切な案に修正することは、細部の修正によっては困難であると考えられます。
このため、本変更案で提案されている変更の全体を取りやめていただくよう、謹んでお願い申し上げます。
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