「監督機能」は独立してるほどうまくいくか?

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SKYPEでカンファレンス・コールをやってみました。いろんなことがわかりました。また、中妻穣太さんにもトラックバックいただきましてありがとうございます。
本件についてはまた明日にでもコメントさせていただくとして、本日は、コーポレートガバナンスの話についての続きをば。
Law Maniac「商法上の機関と職位」でminori_takahashiさんが、日本の商法や英米法上のboardシステムをまとめておられます。
この記事、(特にアメリカの条文など)非常に参考になりました。ありがとうございます。
一点、

しかしながら、Board of Directorsの重要な使命が、officers の選任と監督であることを考えると、Chairmanはいうまでもなく、DirectorがCEOを兼務するのは、自己矛盾だと思います。

とおっしゃられてる点ですが、これは非常に本質的かつ重要な問題だと思います。
もちろん、法律上は執行と監督の両方を兼務しないのは全くOKではあるのですが、実際に「会社をうまくいかせる」ために、取締役会が「ツッコミ」に徹するのか、「ノリツッコミ」をも許すのか、は非常に重要なところです。
「相互監視」もアリでは?
監査を行う組織というのが、監査対象となる事象から独立性を保っていなければならないのは監査論の基本中の基本なわけですが、組織として完全に独立してるほうがいいのかどうかというのは議論のあるところかと思います。
例えば、英米のboardや日本の委員会等設置会社自体、監査委員会のメンバーは取締役を兼務しているため、監査委員は取締役として会社の重要事項の意志決定・決議に参加するとともに、その決議自体の適法性・妥当性等を監査するという「ノリツッコミ」をすることになります。(つまり、自分で意思決定に参加したことを監査しないといけない。)
また、例えばISOの内部監査などでも、自分がやっている業務自体を自分が監査することはもちろん禁じてますが、内部監査部門がISOの認証の対象部門から独立しているということまで定めているかというと、そうではなく、認証の対象部門どうしが他の部門の業務を相互に内部監査しあうことを許容しています。
「業務監査」を社外の人だけでできるのか?
取締役会は「監督」をしているわけですが、監督というのは「監査」というのよりは、より積極的に指針を示していく意味があります。法律や会計やシステムなどに関連する領域だけなら外部の専門家が監査する方がいい場合も多いと思うのですが、特に、その会社のディープな固有業務については、監査人の独立性が高ければ高いほど、社内の人に比べて「土地勘」が無くなるのが一般的だと思います。
会計基準や法律に違反するなど、「一般的ルールから見てあってはならないこと」を防止するためには、完全に独立した人が見張ったほうがいいわけですが、企業というのは大抵は「いつも悪いことばかり考えている存在」というよりは、「まあそこそこまじめにやってはいるけれど商売的にはちょっと下手だったりする存在」なので、そこを上手な方向に導くのが取締役会の最大の役目かと思います。
執行部門の意見は反映されるのか?
そういったときに、「土地勘のない人」ばっかりが取締役会にいるよりは、最も土地勘のあるCEOなり社長なりが取締役会メンバーとして議論や決議に参加するというのは、私はいいことではないかと思います。
ただし、会長とCEOを分けたりCEOを監査委員会等に入れないなどして、「相互監視」の実効性を高めるのは、(特に大企業においては)賛成。
社員からしてもしても、「自分たちの親分」が取締役会の重要な決議に全く参加できない、というのは、やる気をそぐ可能性があるんじゃないでしょうか。(ドイツの株式会社の監督機関「監査役会」には従業員の代表も入るようです。)
マックス松浦氏(専務だけど)は、エイベックスの取締役会に入るべきなんじゃないでしょうか。
ニイウス、委員会等設置会社から離脱
そんな中、システム開発会社のニイウスが委員会等設置会社をやめて、監査役設置会社に復帰するという記事が、本日の日経朝刊にのってました。
理由が明確でないので取り合えずコメントはいたしませんが・・・・委員会等設置会社の制度をうまく消化しきれなかったんでしょうか??
(ではまた。)

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