本日は、株式の公開買付(TOB)が2発。
一つが、株式会社幸洋コーポレーションが福岡証券取引所「Qboard」の第一号上場銘柄の株式会社ビジネス・ワンに対して行うもの。もう一つが、株式会社CSKがコスモ証券株式会社に対して行うものです。
TOB(Takeover Bid)は、「証券取引法」第二章の二(公開買付けに関する開示 第27条の2〜第27条の22の4)、「証券取引法施行令」第三章(第6条〜第14条の3の12)、「発行者である会社以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」、「発行者である会社による上場株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」等で規定が定められているものです。
以下の条文のとおり、公開されている株式を市場外で買い付ける場合には、原則としてTOBの手続きを踏むことが必要です。具体的には「有価証券報告書を提出しなければならない会社」が対象となりますので、例えばグリーンシート銘柄でも(グリーンシートは必ずしも有価証券報告書を作成してるところばかりではないですが、作成してるところは)TOBをしなければならないことになります。ネット系の企業などは「生もの」的なところがあり「旬」を見はからってM&Aで買収されることも多いので、TOBをしなければならないとなると、時価総額が小さい割に相対で取引するよりはかなり面倒になるので、プチ公開がデメリットになる可能性もあります。
ビジネスワンも昨日の時価総額が(わずか)3.74億円なので、ビミョーなところですね。
第二十七条の二
有価証券報告書を提出しなければならない会社が発行者である株券、新株予約権付社債券その他の有価証券で政令で定めるもの(以下この章及び第二十七条の三十の十一(第四項を除く。)において「株券等」という。)の当該株券等の発行者である会社以外の者による取引所有価証券市場外における買付け等(株券等の買付けその他の有償の譲受けをいい、これに類するものとして政令で定めるものを含む。以下この節において同じ。)は、公開買付けによらなければならない。ただし、次に掲げる株券等の買付け等については、この限りでない。
一 取引所有価証券市場における有価証券の売買等に準ずるものとして政令で定める取引による株券等の買付け等
二 新株予約権を有する者が当該新株予約権を行使することにより行う株券等の買付け等その他の政令で定める株券等の買付け等
三 当該買付け等の後におけるその者の所有(これに準ずるものとして政令で定める場合を含む。以下この節において同じ。)に係る株券等の株券等所有割合がその者の特別関係者(第七項第一号に掲げる者については、内閣府令で定める者を除く。次号において同じ。)の株券等所有割合と合計して百分の五を超えない場合における当該株券等の買付け等
四 著しく少数の者から株券等の買付け等を行うものとして政令で定める場合における株券等の買付け等(当該株券等の買付け等を行う者及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が三分の一を超えない場合に限る。)
五 株券等の買付け等を行う者がその者の特別関係者(第七項第一号に掲げる者のうち内閣府令で定めるものに限る。)から行う株券等の買付け等その他政令で定める株券等の買付け等
TOBの適用除外になるケースとしては、上記のとおり、
取引所での取引での買付(第一項本文)
店頭売買有価証券市場における店頭売買有価証券の取引(JASDAQ銘柄のJASDAQでの取引)(第一号)
ストックオプションの行使等の場合(第二号)
株券等所有割合が5%以下の場合(第三号)
10名以下からの買付けで株券等所有割合の合計が1/3を超えない場合(第四号、証券取引法施行令第7条�)
その他、子会社株式の取得、売出しの場合、従業員持株会的な場合、等(第五号)
などですので、基本的には普通の市場外での買付けはTOBによらないといけないということになります。
(本日はこのへんで)
参考URL:
証券取引法の一部を改正する法律について(大蔵省平成2年)
http://www.mof.go.jp/kankou/hyou/g464/464_b.pdf
「ソトー巡る買収合戦で注目、TOBって何?」
http://manabow.com/qa/tob.html
「なぜ敵対的TOBが増えているのか」マッキンゼー・アンド・カンパニー 本田桂子
http://www.mckinsey.co.jp/articles/2000/03/20000311-1.html
11年度中小企業白書
http://www.chusho.meti.go.jp/hakusyo/h11/zenbun/html/p1423000.htm
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