昨日、「ゲートキーパー業務」という記事で、「米国では個人が金融のニッチに進出している領域について、日本では大企業系が勢力が強いという、”違った生態系”が成立しているなあ」という趣旨のことを申し上げました。
その原因の一つとしては、日本がまだまだ終身雇用的社会だということがあるかも知れません。
また、同じその終身雇用的社会という環境が、「優秀な人材が大企業に抱え込まれていてなかなかベンチャーの世界に飛び込んでこない」とか、「スタートアップ期をすぎて大きな組織に成長していこうというときに、それを引き受ける”プロの経営者”の層がまだ薄い」とか、いろんなところに影響しているのではないかと思います。
先日、某金融機関系VCの方と話をしていて、
「私も以前、ブログのようなものを書いたりしていたのですが、やはり書きたいことがあっても、いろいろしがらみを考えると書けないことが多くて・・・。」
というようなことをおっしゃってました。
なるほどー。あまり大きな組織に勤める人の立場に立ってブログについて考えたことがありませんでしたが、確かに、所属している組織の立場に立って(慎ましめに)考えると、組織が巨大で歴史があるほど、書けないことだらけになっちゃうかも知れませんね。そう考えてみると、日本の実名ブログって、社長ブログとか芸能人ブログとか、「ピン」で売ってる人のブログにほぼ限られるような。
「アメリカでは実名でブログを書いている人が多いのに比べて日本で匿名のブログが多いのはなぜか?」というようなことがよく言われるわけですが、「日本人は自分の意見を言うのが苦手だから」というような理由だけではないかも知れませんね。ましてや、日本人は慎ましいとか、文章力がないとか、オモロイこと考えつく能力がアメリカ人に比べて劣っている、というわけでは全くないでしょう。
2ちゃんねるなんか、客観的に見てコンテンツとして非常におもしろいですよね?才能を感じさせる文章に出会うことも多いし、「慎まし」くもない。
ただし「匿名」なわけです。
「実名では書けないようなヤバいこと書いてます」というならともかく、大企業に勤めていても実名でブログに書いて差し障りのない切り口は実は結構あるんじゃないかと。
特に、「会社は仮の居場所であって、自分は自分の”腕”にあわせて最適な組織やキャリアパスを選ぶんだ」と考えている人にとって、ブログというのは自分の名前を売るための非常に有効なツールなんじゃないかと思います。(っていうか、「ありえねー」ってほどの大チャンス到来!って感じ?)
というわけで、本日は、「終身雇用的社会」が日本人の情報発信の形態にも影響を与えているんじゃないか、てなお話でした。
(ではまた。)
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本当はなにも問題も障害もないけれど、実名をだすとまずいという思いこみがあって、そうなっているのかもしれません。
会社によって違うと思いますが、書籍や雑誌などでは実名で登場している会社員のかたもいらっしゃいます。
「個人を表に出せない」という無言の圧力があるとしたら、あまり健全とは思えませんね。
おっしゃるとおりで、「思いこみ」で個人で意見をしゃべっちゃいけないと思ってるだけというケースが大半ではないかと思います。
ただ、実際、大企業系の中にはいると、そういう無言の圧力がある会社も確実に存在します。特にヒエラルキー度の高い会社。
メーリングリスト等でのディスカッションをしていても、「(雲の上の)重役様の前で、お・・・おまえら、もうちょっと考えて発言しろよ・・・」と、はらはら右往左往してるのは、実は「中間管理職」のおじさんたちがメインで、下っ端はあまり気にしてないし、トップの責任がある立場の方は、意志決定に必要な下からの鮮度のいい情報に飢えてるので、「わんぱく、結構結構」と思ってたりするわけです。
やっぱりポイントは、「中間管理職の毒気」が体にしみこまない若いうちにブログで情報発信を始めることですかね。:-)
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