村上ファンドさんをはじめ、投資家の方々はみな、「なぜ行使金額が直前の株価よりはるかに安い5,950円なのか?」「おかげで株価が下がったぞ」と激しくお怒りです。ごもっともかと思います。
ニッポン放送のプレスリリースでは、なぜ新株予約権の行使価格を5,950円にしたかということについて、以下のように述べられています。
(13)発行価額及び新株予約権の行使の際の払込金額の算定理由
株式会社東京証券取引所における平成17 年2 月22 日の当社普通株式の普通取引の終値を基準となる株価とし、前提となる金利には残存年数が行使期間までと同程度のTIBOR(Tokyo Inter-Bank Offered Rate)を、ボラティリティには当社のマーケットにおける状況等を総合的に勘案した変動率を、配当利回りには今期における当社予想年間配当金に基づく利回りを使用した。これらの諸条件を前提とし、一般的な価格算定モデルである三項ツリーモデルの算定結果を参考に、本新株予約権1 個の発行価額を金3,362,731 円(1 株あたり金336.2731 円)と算定した。
また、本新株予約権の行使時の払込金額は、当初、平成17 年1 月14 日までの3 ヶ月間の株式会社東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の毎日の終値の平均値である4,937 円に約21%のプレミアムを加算した額とした。
投資家の方々のお怒りがごもっともな一方で、ニッポン放送の価値を表す理論的に適正な時価とは何かということを考えてみると、客観的に考えて、2 月22 日時点の株価(6,800円)が必ずしもそれを表しているとはいえない面もあります。
つまり、ニッポン放送株については現在フジテレビがTOBをかけているわけですから、投資家は6千数百円で株を購入しても、最悪、フジテレビが5,950円で買ってくれるわけです。ということは、ニッポン放送の株主は全員、行使価格5,950円のプットオプション(株を必ず5,950円で売却できる権利)をフジテレビから無償でもらってるのと同じであり、このためそのオプションバリュー分、株価は高くなっているはずだとも言えます。(新株予約権の発行価額から考えると、そのプットオプションのバリューも数百円くらいはあるんでしょうね。)
そもそもフジテレビがそれまでの株価の21%増しの価格(5,950円)をTOBで付けたからこそ、さらにその価格にオプションバリュー分をプラスした株価になっているとも言えるわけです。それは「人工的」な株価であって、本来のニッポン放送の価値を適正に表す株価とは言えない。このため、平成17年1月14日までの3 ヶ月間の株価を用いたものである・・・・・てなことを法廷では主張してくるのかなあ、と妄想する次第です。
もちろん、ライブドアさん側は「眠っているニッポン放送の価値をうちが引き出したんだ。」というような意見をお持ちでしょうね。
ただ、ご案内のとおり、株価の算定というのは、いろんな視点からいろんなことが考えられるわけです。(純資産とか類似会社比準とか。)仮処分するかどうかということになると、ニッポン放送の取締役会として著しく不合理な算定根拠をベースにしているというようなことがない限り・・・どうなんですかね?(よく存じませんが。)
もちろん、上記はすべて昨日のお話(有利発行かどうか)の続きであり、今回の仮処分申請には「著しく不公正な発行に該当するか」「価格操作目的ではないか」など、他にも論点がありますので、仮処分が必ず失敗に終わるだろうということを申し上げているのではありませんし、私が上記のようなvaluationの考え方を支持する、というわけでもありませんので、念のため。
(ではまた。)
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ライブドアを応援するひと
←堀江貴文ライブドア社長
ライブドアとフジテレビの戦い(?)が
連日TVで報道されていますが。
私はライブドア応援派です。理由は・・・
『ライブドア株を持っているから』
それだけです。株を持ってなかったら、ホリエモンがどうなろうと
知っ…
全くの素人考えですが。
フジがTOB価格5950円を公表して以降、ライブドアが登場していなかったとすれば株価はTOB終了までは5950円に収束していたはず。ライブドアがそこに割り込んで焚きつけて、煽って株価を吊り上げたようなものでしょ。なのに吊り上げた張本人が「時価より安い5950円は不公正だ」と言っているのは、どうも筋が違うように思えます。「せっかく株価を吊り上げた努力がムダになるじゃないか!」と言っているように聞こえてなりません。
そもそも資金調達が難しいからと既存株主を半強制的に連帯保証人にして金利の高い消費者金融から、返済するつもりのない金を借りて、どう転ぶかわからないM&Aをしようとしているようなものじゃないですか。と庶民感覚としては思ってしまういますが、違うのかな?
既存株主から文句が出ていないのなら、それはそれでいい話ではありますが。
投資家は確かにTOB最終日迄のプットオプションを貰っているわけですが、
ところがTOBに応募すると、今度は最初は50%、後は25%の枚数によるTOBキャンセルのオプションがついてきます。
最初の50%に達しなければという条件は、価値としては結構大きなマイナスではないでしょうか?
なぜなら、もしTOBがキャンセルとなると、浮動株として市場に大量に売り物が出る事になり
株価は一時的には下落すると考えられるからです。
現在の時価がTOBにより吊り上げられた人工的な時価という点には完全に同意です。
ただ、プットオプションとなると、現在の株価が行使価格5,950円を上回っているので本源的価値はゼロ、時間的価値も行使期日が近いことを考えるとほぼゼロになるのでは。細かい話で本筋とは関係ないですが。
それはさておき、有利発行かどうかの論点になるんだったら、行使価格はそのままにして、新株引受権の対価を思い切り高くしておけば良かったのかなと思います。子会社化できれば連結ベースで行って来いですから、フジの株主も文句言わないのではないかと。暴論ですね(笑)。それでは。
もともとフジテレビがニッポン放送を子会社化するためにTOBをかけてたんだから、
結果的に争点は「価格」に収束するわけでしょ。
ライブドアがこれ以上何を言っても、自ら「フジテレビが買付価格を引き上げれば応募する」といってしまっているのだから、やっぱり「価格」でしょ。
ま、裁判所が「当事者の取引」を差し引いて、公平な価格を算定できるのかどうかが、最後の論点になるしかないと。(フジテレビのTOB価格は高いか安いか?)
どんな理由をつけたところで、所詮言い訳にしかなりませんね。高く売りつけるのに失敗してあせってるだけでしょ。誰かさんが。
それだけの話が、新株予約権の発行差止請求にまですりかわると、あー馬鹿馬鹿しい。
こんにちは。
「発行価額が安い」という論点=有利発行かどうか(TRUE or FALSE)、だけでいいのでしょうか?
「特に有利なる発行価額」=「特別決議必要」=「真っ黒」
「特に有利なる発行価額一歩手前」=「特別決議不要」=「真っ白」
みたいにディジタルなものであるべきではない、と私は思います。
特別決議を要さない「特に有利なる発行価額一歩手前」な価額であっても、
その他の株主が明らかに不利益を受けているのであれば、
他の著しい不公正さを構成する要件を「補強」する要素として、
「合わせ技1本!」みたいな判断をする余地もあるのでは?と考えます。
あくまで総合的に判断して、既存の株主の利益を害しないか。
そういった視点での判断を裁判所には望みたいですね。ただの個人的な希望ですけど。(^_^;
株価がTOBの買付価格5,950円よりも高く推移しているのは、5,950円より高い値段で買い注文を入れている投資家がいるからですよね。
そして、注文を入れている投資家の多くは、オプションバリューなどは考慮しておらず、ホリエモンが勝つと思っているだけなのではないでしょうか?
そこにニッポン放送の新株予約権がぶつけられて、ホリエモンの勝つ確率が下がったと認知されたため、株価が下がったということではないでしょうか?
わたしは、6,800円は紛れもない市場価格だと思います。
「市場価格」=「正義」みたいなこと言う人まだいるの?
試しに、5950円で売り指値出してみたら?いくらで値段がつくの?
ま、ちょっとは頭を使ってね。
今日のライブドア
先日も書きましたとおり、出来高が激減、かなりの個人投資家(ネット投資家)がおそらくは330−350あたりのコストで様子見を決め込んでいるね。繰り返しになりますが、今後はリーマン次第。実際この出来高ではショートを積みますのは危険なので彼らもまた次の材料を…
常に市場は正しいか
ライブドアとニッポン放送の仮処分に関して、ニッポン放送の発行した新株予約権の権利行使価格が論点の一つになるだろう。 以前の記事では、フジテレビのTOB価格と新株予約権の権利行使価格が同一なのは腑に落ちない旨書いたのだが、結果として同一になることはありうるぎ..
本当のTOB、 本当のハゲタカ(日記3月11日分)
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企業買収・合併、及び企業再生とデューデリジェンス(企業の事業・資産評価)について
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