応援していただいていた皆様にご報告です。
先週金曜日25日に行われる予定だったファンド規制に関する閣議決定(内閣での決定)が、おかげさまで一旦中止になりました。
閣議決定の前に各省庁の意見を聞く「省庁協議」が行われますが、この省庁協議まで行われていた案件が閣議決定にかからずに中止になるというのは、極めて異例な出来事だとのことです。
今回、複数の国会議員や省庁の方から「中止になるらしい」と確認が取れたのが23日の夜中でしたので、本当にギリギリでした。(アクション映画で、爆弾が爆発する数秒前に時限装置が止まるシーンがよくありますが、まさにそんな感じでした。)
しかし、原案を多少修正しただけの案を閣議決定にかけようという動きは消えていませんので、引き続き予断を許さない状況は続いています。
もちろん我々(独立系ベンチャーキャピタリスト等有志)も、適切なファンド規制が行われることに反対しているわけではありません。しかし、この規制案は、条文がホームページでポンと掲載されただけで全く説明不足なものでしたし、ベンチャー等産業への資金供給への影響や、米国をはじめとする諸外国の規制とのバランスなどが科学的に検討された形跡がまったくありませんでした。
また、首相や官房長官などはもちろん、金融がご専門の与野党の主要な議員のみなさんも、「ベンチャーの資金調達に影響が出かねない案が検討されているなんて話、全く聞いてないぞ」という状態のようです。
我々としては、(圧力団体等との密室のネゴで妥協案を決めるのではなく)、金融審議会などで専門家や識者のご意見を取り入れ、バランスの取れた案をオープンに決めていただきたいと希望しております。
今回、改正案のホームページには、用語などの解説は一切書いてありませんでした。
例えば、規制の要件の厳しさを理解する上でのキーワードである「投資性金融資産」という用語は法案の中にも出て来ず、年金基金関連の記載(内閣府令案第233条の2第2項第1号)の中に、言われなければ気付かないような形で出て来るだけです。このため今回、金融に詳しい大手法律事務所の弁護士さんなどと話をしても、「それって年金関連の記載で、個人には関係ないでしょ?」といった感じで、この改正案の定義やそのインパクトを正しく理解している人には、ほとんど出会いませんでした。
実際我々も当初、「不動産や現預金を含む総資産が1億円というラインならなんとかなりそうじゃん」と思ってしまったので、他人様のことは申せません。最初の提言でも、政府案に多少の要件を付け加えるだけとしてしまったのですが、「投資性金融資産」の本当の意味や、米国など他の国の制度との比較をするうちに、だんだん「これは抜本的に考え直さないと、投資家保護と、産業への資金供給のバランスは取れない」と思うに至りました。
ベンチャーへの資金供給には影響がなく、しかも国際的にバランスの取れた適切な投資家保護を行うことは可能であると考えています。(ご興味のある方は、下記、添付2をご覧下さい。こうした案を、ぜひ、オープンな場で検討いただきたいと考えています。)
この規制は、決してファンドだけに関連するわけではなく、将来的にベンチャーそのものにも大きな影響を及ぼすものであると考えます。引き続き、みなさんの応援をよろしくお願いいたします。
添付1:要旨(「ファンド規制見直しのリスケジュールと政治主導を」7月22日付)
添付2:詳細案(内閣府 規制改革会議宛 提言 7月15日付)
【追記 16:40】
添付1の誤字を修正しました。 ご指摘ありがとうございました。
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