今回は、今年上半期の記事を一覧する「総集編」です。
今年上半期のテーマは、
- 日本の起業の起爆剤としてのLLC
- 米国アクセラレーターの新投資スキーム「safe」「KISS」
- CYBERDYNEのdual class
- 中国企業WEIBOの上場と中国ビジネスの特性
- ケイマン諸島法人の特性
- Alibabaのビジネスモデルのスゴさ
- ファンド規制(適格機関投資家等特例業務)の問題点
- GoProのIPOと資本政策
- 手数料がかからない証券会社「LOYAL3」
- 「起業のエクイティ・ファイナンス」発売
- 日本の新規IPO企業の資本政策
などでした。
詳細は、以下をご覧下さい。
(以下、リンクはブログでの紹介にリンクしています。)
以下、一覧:
週刊isologueでは、いつもは比較的テクニカルでマニアックなことを扱ってますが、年初ですので、Q&A方式で「起業の本質」について考えてみた号です。
目次とキーワード
Q1:「起業はリスクが高い」と聞きますが、やはり危険なのでしょうか?
Q2:失敗すると周囲から笑われますよね?
Q3:成功者の話を聞くことは役に立ちますか?
Q4:日本は起業に向かない環境なんじゃないでしょうか?
Q5:起業を煽るのは、けしからんですよね?
Q6:起業して失敗する人のことも考えないといけないんじゃないでしょうか?
Q7:どうしたら失敗しないで済むでしょうか?
Q8:起業家が賞賛される社会を作るべきですよね?
Q9:今の日本のベンチャー界はバブってますよね?
2013年の記事を一覧する「総集編」の回です。
2013年は、
- 2011年から2013年途中までの、上場した企業の資本政策
- 米国上場企業(ネット、バイオ等)の優先株式実務
- ソフトバンクのイー・アクセス取得からスプリント買収への流れ
- ソフトバンクの次の一手? T-Mobile買収を考える
- シード用の投資契約(「日本版convertible equity」)
- ベンチャー経営者の持分を増やす方法(「乙種普通株式」)
- ベンチャーのスピンオフ・MBOを成功させる方法
- 日本向け、新しいベンチャー投資ストラクチャー(「LLP-LPS」)
- ベンチャー政策、ベンチャー税制(「法人版エンジェル税制」)
- DELLのMBO
- Twitterの上場
- 世界のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)入門編
- Bitcoin、ウィンクルボス兄弟のBitcoin信託
- 飲食系ネットビジネス、アップデート
などをお届けしました。
昨年8月以降にIPOしたベンチャーの資本政策、前編です。
取り上げた企業
- N・フィールド
- サンワカンパニー
- オープンハウス
- エンビプロ・ホールディングス
- バリューHR
- エナリス
- システム情報
- ANAP
- M&Aキャピタルパートナーズ
- メディアドゥ
- じげん(+MBOのスキーム)
- アライドアーキテクツ
- ライドオン・エクスプレス
- オンコリスバイオファーマ
昨年8月以降にIPOしたベンチャーの資本政策、後編です。
取り上げた企業
- ホットリンク
- ブイキューブ
- エンカレッジ・テクノロジ
- オウチーノ
- 日本アクア
- シグマクシス
- アーキテクツ・スタジオ・ジャパン
- アビスト
- ウィルグループ
- ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ
(第252号)起業の起爆剤になるか!? LLCの活用について考える(基礎編)
政府の成長戦略において開業率を倍増させる目標を掲げていますが、その起爆剤として、米国等にならって、合同会社(LLC)を税務上パススルーにすることを考えてみました。
目次とキーワード
- 合同会社(LLC)とは?
- パススルーとは?
- LLPじゃダメなの?
- パススルー課税の計算例
- 「組合」とみなせば、最小限の改正で済むはず
- 組合の税務の位置付けの転換
- パススルー課税選択の届出イメージ
- 期末後の計算書提出イメージ
- 給与所得控除は、優遇し過ぎか?
- 税理士会は納得するか?
- 法改正に向けた準備
- 実際の申告イメージ
- 株式会社など他の法人にもパススルーを認める?
(第253号)Y Combinatorの新投資スキーム「safe」
今週は、米国シリコンバレーのスタートアップ・アクセラレーター「Y Combinator」が採用した「safe」という新しい投資スキームについて考えてみました。
「safe」は「simple agreement for future equity(将来の株式のためのシンプルな契約)」の略で、米国のエンジェルなどの投資で幅広く使われているconvertible noteが「負債」なのに対して、safeは「負債」ではないので、ベンチャーにも投資家にも、いろいろいいことがあります。
目次とキーワード
- 「safe」導入の経緯
- 「series AA」
- convertible note
- safeは負債ではなく、株式購入権(warrant)に似ている
- capとdiscountの復習
- safeの概要
- 「high resolution fundraising」は本当に機能してる?
- 投資家どうしの「deadlock」と国民性(?)
- 「safe」のひな形(なんてシンプル!)
- 次回増資時の転換条件
- 「Standard Preferred Stock」と「SAFE Preferred Stock」の使い分け
- 買収、IPO時の条件
- 清算時等の条件(「負債でないもの」から「負債」へ)
(第254号)シード投資スキーム「日本版safe」作ってみました
日本の法令、税務、会計の表示にあてはめて、safeの「日本版」を考えてみました。
シンプルなのが特性ですが、もしかすると全くシンプルに見えないかも知れません。(笑)
目次とキーワード
- (旧)convertible equityを日本の実務に落とし込む際に考えたこと
- 「日本版safe」の基本アイデア
→「行使価格ゼロ」の「会社法の新株予約権でない」株式等交付請求権(コールオプション)=「株式をタダでもらえる権利(有償)」 - オプションと呼ぶには性質が奇妙過ぎる?
- A4用紙6枚程度の非常にシンプルな契約「だけ」で締結が可能!
- 登記も不要!
- DESできるか?DESは必要か?
- (フル)契約書案
- 「high resolution fundraising」対応(全株主の押印は不要)
- 次回増資と違う株価での発行(cap、discount)の問題、株式の種類
- 課題:こんな簡単でいいのか?そもそも使われるのか?
(第255号)ついに「dual class」資本政策を採用したCYBERDYNE社が上場へ
この回は、「CYBERDYNE株式会社」(サイバーダイン)が採用した「dual class」資本政策について見てみました。
目次とキーワード
- 新EDINETでの有価証券届出書の見方
- 定款の「企業理念」の記載は意味があるか?
- 日本の会社法で「dual class」をどう実現したか
- 単元株式数を変えるアイデア
- 普通株式と「B種」の違い
- 経済産業省の企業価値研究会の提言
- 東京証券取引所の「IPOの活性化等に向けた」リリース
- 「ブレークスルー条項」と「サンセット条項」
- 実際の経済的持分や議決権はどうなっているか?
- Googleなど米国のdual classとの違い
- ド赤字なのに超多額の資金調達
- 種類株式の命名慣習
- 外部株主はなぜB種を手放したか?
- 増資の推移
- この資本政策は「米国風」か?
- 「平和目的」はdual classの上場承認を容易にしたか?
- dual classのベンチャーは今後も上場するか?
(第256号)米国企業の「dual class」資本政策の実例を振り返る
「元祖」Google以降、米国でdual class(または3つのクラス)を採用したテック系企業の資本政策を振り返りました。
目次とキーワード
- 調達額(株主資本の部)
- 経営陣の持株比率
- 「創業者からの手紙」に書かれた決意
- 大手新聞社やウォーレン・バフェットも採用
- 学術調査の結果
- ガバナンスの強化
- Pandora(dual class無し)
- Groupon
- Zynga(”three class”!)
- Yelp
- Twitter(dual class無し)
- まとめ
(第257号)isologueは何を考えて来たか?(2004年編)
ブログの「isologue」は2004年3月4日から書き始めたので、この先週に満10周年を迎えました。
私あまり過去は振り返らないタイプなのですが、この節目に、過去isologueで何を考えて来たのか、ファイナンス面を中心に振り返ってみました。
「中国版ツイッター」とも呼ばれる新浪微博(シナウェイボー、WEIBO)が米国市場に上場することになり、SECにFORM F-1を提出しました。
中国企業については今まで扱ったことがなかったと思いますが、超巨大企業「アリババ」も北米に上場も控えていますので、今回は、このWEIBOの上場資料を見てみました。
目次とキーワード
- 株主構成
- 会社の歴史と構造
- 財務諸表
- ケイマン法人(上場する企業)
- 香港法人(子会社)
- 中国法人(孫会社)
- 「VIE=Variable Interest Entity」
- ゲーム子会社
- ICPライセンス
- VIEを縛るための契約
- 貸付金に関する契約
- 株式の譲渡契約
- 貸付金の返済に関する契約
- 議決権行使に関する契約
- 株式の担保契約
- 独占テクニカルサービス契約
- 独占販売契約
- 商標使用契約
(第259号)中国でネットビジネスをやるとどんなリスクがあるか?(WEIBOの事例)
中国語がわからないとなかなか中国でのビジネスをするための知識は得られなさそうですが、米国での上場のための開示資料は、世界でも最も詳細に、かつ隠し立て無しにビジネスの中身を開示した資料の一つではないかと思います。今回はその中でも特に網羅的に開示されていると考えられるビジネスのリスク(RISK FACTORS)を見て、中国でネットのビジネスを営む場合のリスクについて考えてみたいと思います。
目次とキーワード
- 規制主体である行政機関
- Ministry of Industry and Information Technology(中華人民共和国工業情報化部)
- The Ministry of Public Security(公安部)
- Ministry of Culture(文化部)
- General Administration of Press and Publication(国家新聞出版総署)
- Ministry of Commerce(商務部)
- The State Administration for the Protection of State Secrets(中央保安委員会)
- SAFE(State Administration of Foreign Exchange、中国国家外貨管理局)
- State Administration of Taxation(税務総局)
- 各種ルール、通達
- The Rules on the Administration of Microblog Development(マイクロブログに関する北京市の規制)
- the Regulations for the Administration of Commercial Encryption(商用暗号に関する規制)
- the Judicial Interpretation on the Application of Law in Trial of Online Defamation and Other Online Crimes(誹謗中傷の解釈指針)
- 仮想通貨「Weibo Credit」
- The Notice on the Strengthening of Administration on Online Game Virtual Currency(仮想通貨に関する通達)
- the Filing Guidelines on Online Game Virtual Currency Issuing Enterprises and Online Game Virtual Currency Trading Enterprises(仮想通貨登録ガイドライン)
- 「Circular 56」(Rules for the Administration of Internet Audio and Video Program Services)
- Circular on Issuers concerning Strengthening the Administration of Foreign Exchange Business
- Notice Regarding the Determination of Chinese-Controlled Offshore Incorporated Enterprises as PRC Tax Resident Enterprises on the Basis of De Facto Management Bodies(外国法人の実質運営場所の判定に関する通達)
- 「Circular 601」(Notice on How to Understand and Determine the Beneficial Owners in a Tax Agreement、租税条約の適用を受けられる主体の決定に関する通達)
- Regulations on Mergers and Acquisitions of Domestic Enterprises by Foreign Investors(M&Aに関する規則)
- 「Circular 6」(Notice of the General Office of the State Council on Establishing the Security Review System for Mergers and Acquisitions of Domestic Enterprises by Foreign Investors、M&Aに関する通達)
- 「Circular 698」(Notice on Strengthening Administration of Enterprise Income Tax for Share Transfers by Non-PRC Resident Enterprises、低課税国やタックスヘイブンでの持分の譲渡を含む通達)
- 各種ライセンス
- Internet Content Provision License(ICPライセンス)
- Online Culture Operating Permit
- Value-Added Telecommunications Services Operating License
- 各種リスク
- 経済政策に関するリスク
- 為替リスク
- ストックオプションなどのインセンティブプランの登録に関するリスク
- 国外親会社の組織再編等の届出に関するリスク
- 国外送金、内部留保に関するリスク
- 法人税の減免措置の見直しに関するリスク
- ケイマン親会社が中国国内法人とみなされるリスク
- 付加価値税(VAT)に関するリスク
- M&A戦略に関するリスク
- 不動産に関するリスク
- 中国国内銀行破綻に関わるリスク
- 4大会計事務所(Big4)の中国での業務が米SECによってストップさせられそうになっているリスク
ケイマン諸島の持株会社(ペーパーカンパニー)は、いろんな場面で遭遇しますので、WEIBOの目論見書(F-1)に載っていた、ケイマン法人の定款を「鑑賞」してみました。
目次とキーワード
- ヘッダー部分
- 基本定款(memorandum of association)と付属定款(articles of association)
- ケイマン諸島法人の特別決議
- ケイマン諸島の会社法は米国人弁護士が作ってる?
- 誰がケイマン法人の設立事務をやっているのか?
- 「PO Box 957, Road Town, Tortola」、再び!
- 会社の目的
- 会社の権利能力
- 有限責任性
- 発行株式数
- 「exempted company」
米国デラウエア法人で基本定款(certificate of incorporation)と言っていたものは、ケイマン(英国法系)では「memorandum of association」、デラウエア法人で付属定款(bylaws)と言っていたものは、ケイマンでは「articles of association」と呼ぶようです。
今回はその「付属定款」の方を研究してみます。
目次とキーワード
- 付属定款の章立て
- 付属定款と株主総会決議
- 中国-ケイマン企業のみなし清算条項
- 種類株式内容変更の決議
- 優先株式の転換
- 残余財産分配の定め
- まとめ
(第262号)ケイマン法人の研究(その3:Baidu.com)
この回は、Baiduの概要や、全体像が中心です。
目次とキーワード
- Baidu.comの概要
- 李彦宏(Robin Yanhong Li)氏のイケメン度
- Baiduグループのストラクチャー
- 大株主と経営陣
- Integrity Partners
- Peninsula Capital
- Greg Penner氏
- 各ラウンドの資金調達
- 基本定款(memorandum of association)の構成
- 額面、授権株式数
- dual classの採用
- 付属定款(articles of association)の目次
(第263号)ケイマン法人の研究(その4:Baidu.com)
この回は、米国で上場している実質中国企業で形式的にはケイマン諸島法人のBaidu.com(百度)の定款の株式の規定について見てみました。
目次とキーワード
- 株式の規定の概要
- 普通株の内容
- 普通株の配当、残余財産の分配等
- 普通株の議決権
- Class B普通株からClass A普通株への転換
- ケイマンの「転換」→償還(redemption)と発行(issue)
- 日本での税務上の取扱いは大丈夫か?
- ドラッグ・アロング権
- 優先株の内容
- 優先配当
- 残余財産分配権
- 優先株の転換
- 転換価格の修正
- 優先株の議決権
- 拒否権
- 取締役指名権
- まとめ
(第264号)もし日本のベンチャーがケイマン法人だったら(1)
日本で活動するベンチャーもケイマン法人を使うことで「制度間競争」などが起こらないかなあと考えて、日本のベンチャーがケイマン法人を使う際に、具体的にどういった問題が考えられるのか、将来改善される可能性があるのかについて、考えてみました。
目次とキーワード
- 日本で活動する場合のストラクチャー
- ケイマン法人で上場できるのか?
- 米国の事例
- 日本の事例
- 資金調達にプラスになるか?
- 税務申告や決算公告
- 会計(連結)
- まとめ
今回は2014年第1四半期にIPOしたベンチャーを中心とする会社の資本政策について考えてみました。(第1四半期といいつつ、もう5月ですので、4月に上場した6社もリストに入ってます。)
目次とキーワード
- アキュセラ・インク(Acucela Inc.)は米国ワシントン州法人
- エンバイオ・ホールディングス
- ジャパンディスプレイ
- みんなのウェディング
- CYBERDYNE
- ディー・エル・イー
- エスクロー・エージェント・ジャパン
- トレックス・セミコンダクター
- 西武ホールディングス
- フィックスターズ
- 他
中国のネットの巨人「Alibaba」がついに米国で上場することになりました。
ついにベールを脱いだこのAlibabaを、上場のための開示資料(F-1)から見てみたいと思います。
目次とキーワード
- やはりケイマン法人
- 実質的支配のスキーム
- Alibabaグループ全体のストラクチャー
- 取締役が3名しかいない!(含む孫さん)
- Alibabaの歴史(ソフトバンクとYahooとの関係)
- 株主構成を見て愕然!
- 財務状況
- (おまけ)アマゾン上場時の目論見書(S-1)
この回は、Alipay(アリペイ=支付宝)のAlibabaからの切り離しという「謀反」に伴うドタバタの結果が、どうなったかを、具体的な契約内容や定款から見てみたいと思います。
目次とキーワード
- Alipay問題
- Alipay切り離しの経緯
- Alipay切り離しは重大な忠実義務違反?
- Alipayとの契約の全体像
- ビジネス面の契約(創業者側に著しく…?)
- 知財、ソフトウエアサービスに関する契約
- ストックオプション等の返還契約
- Alibaba従業員に対するAlipayへのインセンティブに関する契約
- Alipayのデータ供与契約
- アドミ系サービスに関する契約
- この契約締結の影響
- 定款から、Alipay問題を探る
- 基本定款の概要
- 付属定款の概要
- 低い創業者の持株比率
- Yahooの議決権
- ソフトバンクの議決権
- 両社の議決権行使
前回に引き続き、(おそらく)Alipay問題のドタバタの落としどころとしてソフトバンクやYahooがどのような権利を勝ち得て、定款にどのように反映されているかを見てみました。
目次とキーワード
- 定款の概要
- Yahooとソフトバンクの議決権の行使の制限
- Preemptive Rights(新株優先引受権)
- 株式の譲渡
- 取締役の指名(上場後のYahoo!は?)
- 取締役の権利・義務(委員会の設置)
- 取締役に関する手続き
- 定款の変更
- 議決権行使の制限(VOTING CUT-BACK)
- どのような経緯でこういうことになったのか?(推測)
(第269号)Alibaba上場へ!(エコシステム(生態系)編)
この回は中国ECの巨人「Alibaba」のエコシステム(生態系)の側面を掘り下げてみました。
個人的にAlibaba関連で興味があるのは、
- ソフトバンクや米Yahoo!が、いかにして今のような高い持株比率を持つに至ったかなどの資本政策的側面
- Alipayに関する紛争
- ソフトバンクや米Yahoo!が、どのような定款の条項や契約でAlibabaをコントロールしてきたのか
- 徹底的にAPIをオープンにして、周囲にサードパーティーの「生態系」を作り上げるといったビジネス面
といったあたりだったのですが、その最後の項になります。
目次とキーワード
- 急成長するAlibabaのサービス
- Alibabaが形成する生態系(ecosystem)
- APIの解放
- 決済、物流、アフィリエイト、ソフトウエア、その他のプロフェッショナルサービス
- 8億アイテムの商品・サービス
- 1日のユニークビジター1億人
- マーケ効果測定ツール、ERP、CRM
- 物流データ:配送センター利用率、配送ルート計画、発注量予測等を提供
- 形成される巨大なネットワーク効果
(第270号)「適格機関投資家等特例業務の見直し」のパブコメについて
別途ブログ(「ファンド規制に対して反対します!」)にも書きましたが、現在、ファンド等の規制の改正案が金融庁から発表され、パブコメが募集されています。
今回の週刊isologueでは、独立系ベンチャーキャピタル等有志で作成したパブコメ案と、その前提となる金融庁案について考えます。
(いつもと同様、これは法的助言を行うことを目的とするものではなく、ファンドの運営者にどのような影響があるかを考えるためのものです。実際の解釈や運用にあたっては、弁護士等の法律専門家の意見を参考にしてください。)
目次とキーワード
- 金融庁改正案の内容
- 金融商品取引法(適格機関投資家等特例業務とは)
- 金融商品取引法施行令の改正案
- 金融商品取引業者等に関する内閣府令の改正案
- 個人の要件
- 法人の要件
- パブコメ案
- 対象となるファンドの範囲案
- 内閣府令に追加する投資家の類型案
- (1) ファンド等の元業務執行組合員等、業務執行組合員等の役員・元役員
- (2) 金融商品取引所に上場されている有価証券の発行者の役員及び元役員
- (3) 金融商品取引所に上場する有価証券の発行者が提出した有価証券届出書に株主又は新株予約権者として記載された個人及び法人
- (4) 金融商品取引所に上場している有価証券の発行者が最近1年以内に提出した有価証券報告書に大株主として記載された個人及び法人
- (5) 公認会計士、弁護士、司法書士、行政書士、税理士
- (6) 会社の設立、増資、新株予約権の発行、新規事業の立上げ、株主総会又は取締役会の運営、買収若しくは発行する株式の金融商品取引所への上場に関する実務に、当該会社の役員・従業員若しくは当該会社と契約関係にある者又はその役員・従業員として通算1年以上携わった経験がある者
- (7) 改正案と上記各号に該当する法人並びに個人及びその2親等以内の親族が直接・間接に議決権の過半数を保有する法人
私は(おそらく世間のみなさんの多くも)、「これで影響を受けるのは、個人から出資を受ける零細なファンドだけだろう」と考えていたのですが、本文で検討するとおり、かなり儲かっている日本の中堅企業、上場オーナー企業の資産管理会社、海外の有名巨大ファンドなどからの出資も条件によってはダメとも読めるので、もしかすると、想像以上に大変なことになるんじゃないかという気がしてきました。
短時間でさっと見ただけのものなので考え違いもあるでしょうし、いつもと同様、当然のことながら、法的助言を行うことを目的とするものではなく、ファンドの運営者などにどのような影響があるかを考えるためのものです。実際の解釈や運用にあたっては、弁護士等の法律専門家の意見を参考にしてください。
目次とキーワード
- 金融商品取引法、施行令、内閣府令の関係
- 出資できる者(施行令改正案)
- 金融商品取引業者等
- ファンドの運用者
- 上場会社
- 資本金5千万円超の株式会社等
- 外国法人
- 個人
- その他法人
- 金融商品取引業等に関する内閣府令の改正案
- ファンド運営者の役員、使用人、親会社等、など
- 「保有する資産」には現金はカウントされない!
- 個人の要件
- 法人の要件
- 施行令でOKな法人の子会社等
- 資産管理会社
- 外国ファンド
- LLPや民法上の組合からは出資できない?
- 上場会社株式も資産管理会社の資産の対象外になることも?
- 米国の投資家の要件との比較
- 勧誘方法の日米の格差は拡大(Rule 506改正)
(第272号)「GoPro」の開示資料で見るベンチャーファイナンスの奥の手
たまにはハードウェア・ベンチャーについても見てみようということで、今回は、上場準備中のGoProが開示した開示資料を見てみました。 (やっぱ、イケメンで親がファイナンスのプロだと強いですねー、といったお話ですw。)
目次とキーワード
- 公募の概要
- 「dual class」
- 役員と年齢層
- CEO/会長のNicholas Woodman氏のプロフィール
- 「同族」っぽい株主構成
- ベンチャーファイナンスの大成功例
- 創業初期の「口約束」と資本政策の失敗?
- 繰越欠損金も消えて無い段階で配当
- 貸借対照表から見て、GoProは「メーカー」なのか?
- 売上は減少中?
(第273号)GoProのIPOと新ビジネスモデルの証券会社
今週は、GoProのIPOの申請資料でふと見つけた、新しいビジネスモデルの証券会社について取り上げてみたいと思います。
目次とキーワード
- LOYAL3についてのGoPro目論見書における記載
- 手数料無料の株取引
- 10ドルからの「(株数ではなく)金額ベースでの」取引
- 業規制
- 資金調達額
- 「金融業」というより「ロイヤリティ・サービス」?
- なぜマーケティングに使えるか?
- マネジメントチーム
- 取扱い銘柄は世界的に著名な企業ばかり
- なぜ手数料を無料にできるのか?
- LOYAL3のビジネスモデルの構造
今回は、シリコンバレーのスタートアップ・アクセラレーター500 Startupが7月3日に発表した新投資スキーム「KISS」について取り上げます。
従来のconvertible noteをよりシンプルに修正した上で、シリコンバレーを中心にシード・ラウンドで投資をする投資家に不利な側に振れすぎていた条件を、ちょっと投資家側に引き戻し、投資家が飲みやすい条件に落ち着かせようという試みといった感じでしょうか。
目次とキーワード
- 発案者のプロフィール
- 「KISS」とは何か?
- 増える「convertible xxxx」の派生形
- 「debt」(貸付金型)と「equity」(返済不要型)
- Y Combinatorのsafeとの違い
- 2つのバージョンのどちらが使われるか?
- 投資スキームのネットワーク外部性
- 次回ファイナンス時の取扱い
- 「Shadow Series」
- 「適格ファイナンス」の呼び方いろいろ
- 買収時は「倍返し」だ!
- 「acquhire」の場合の利益相反
- 期限到来時の取扱い
- 「Series Seed」の引用
- 返済期限が来ても必ず返済しなくてはならないとは限らない
- 最恵国待遇(「MFN」) と調達のスピード
- 一定以上の額を投資した投資家の権利(Major Investor Rights)
7月10日に、拙著「起業のエクイティ・ファイナンス」
目次とキーワード
- ベンチャーを取り巻く環境の進展
- ベンチャー活況の理由
- 現在のベンチャー環境の課題
- M&Aがベンチャー生態系の変化を加速する
- M&Aはなぜ徐々にしか増えないか?
- M&Aの加速効果
- ベンチャー生態系の中で今、何が起こっているか
- 起業とイノベーションとベンチャーの関係
- 企業は実は結構入れ替わっている
- 起業を支えるファイナンス
- 日本のベンチャー投資は米国の歴史をなぞる
- ベンチャー・ファイナンスではタイムマシン経営が成り立つ
- ベンチャーにもチャンスがある
- エンジェルは「これから」登場する
- 本書の構成
- 順当に成長するベンチャーのファイナンス
- 株主構成の是正が必要な場合のファイナンス
- ベンチャーキャピタルのストラクチャー
- ベンチャーの未来ビジョン
- ひな型を用意
この回は2014年第2四半期にIPOしたベンチャーを中心とする会社の資本政策について考えてみました。
(第2四半期ですが、7月に上場した3社も含めています。)
取り上げた企業
- トレックス・セミコンダクター
- 西武ホールディングス
- フィックスターズ
- 東武住販
- ニュートン・フィナンシャル・コンサルティング
- ムゲンエステート
- フリークアウト
- OATアグリオ
- ポバール興業
- メドピア
- レアジョブ
- VOYAGE GROUP
- 鳥貴族
- イグニス
- 他
この回は、米国でベンチャーキャピタルにどのような投資規制が行われているのかについて検討しました。
目次とキーワード
- 投資規制の国別全体像
- 米国の投資家の要件との比較
- ドッド=フランク法からの適用除外
- SECによる「venture capital fund」の定義
- 「venture capital strategy」とは何か?
- 用語の定義
- 独立系ベンチャーキャピタリスト等の案との比較
ご興味がありましたら、下記のリンクからお申し込みいただければ幸いです。
noteでは、バックナンバーを単号で買うことができます。
(以上)
以下、目次一覧:
(第252号)起業の起爆剤になるか!? LLCの活用について考える(基礎編)
(第253号)Y Combinatorの新投資スキーム「safe」
(第254号)シード投資スキーム「日本版safe」作ってみました
(第255号)ついに「dual class」資本政策を採用したCYBERDYNE社が上場へ
(第256号)米国企業の「dual class」資本政策の実例を振り返る
(第257号)isologueは何を考えて来たか?(2004年編)
(第259号)中国でネットビジネスをやるとどんなリスクがあるか?(WEIBOの事例)
(第263号)ケイマン法人の研究(その4:Baidu.com)
(第264号)もし日本のベンチャーがケイマン法人だったら(1)
(第270号)「適格機関投資家等特例業務の見直し」のパブコメについて
(第271号)適格機関投資家等特例業務の改正案と投資規制の日米比較
(第272号)「GoPro」の開示資料で見るベンチャーファイナンスの奥の手
(第274号)500 Startupの新投資スキーム「KISS」登場
(ではまた。)
[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。