スターウォーズのまずいところは、自分の英語のヒアリング能力が格段に増したような錯覚に陥るところですね。
さて、先日のエントリにrijinさんからコメントいただきました。
問題はガバナンスが崩壊したことではなく、ミッションが変質したことではないでしょうか。ミッションが変質したことによってガバナンスが崩壊したのは、むしろ幸いでありましょう。共和国の再建は、帝国の出現によってミッションの変質が誰の目にも明らかになったことによってはじめて可能になったのですから。
そうなんでしょうか?「エンロンは破綻してよかった」「日本は敗戦してよかった」というのと同じように聞こえますが。
確かに、おできが大きくなるところまで大きくなっちゃったら、「プチュっ」とつぶれた方がいいのかも知れませんが、そもそも おできができはじめたあたりで手当をした方がよくないですか?
「パルパティーンという代表者による犯罪」を未然に阻止できなかったという、「監督機能の不備」じゃないでしょうか、やっぱり。
ジェダイ評議会と元老院の牽制関係もあるようで無さそう。といっても、ジェダイ評議会は共和国の公式な「機関」ではないのでしょうから、評議会を責めるのもかわいそうですが。
(ではまた)
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あんまりお考えと遠いことを言ってるつもりはないんですが…。
エンロンの場合は、確かに経営陣が本来のミッションと異なる方向にミスリーディングしていくことを許したという、ガバナンスの問題は大きいものがあるようですね。現場にいなかったんで詳しく知りませんが。
帝国日本の場合は、司馬史観に主張されるように、日露戦争の勝利で峠を登り切ってしまった=新たなミッションが必要になった国が、時代遅れの帝国主義を自国のミッションに据えてしまったという、ミッション策定=国策の誤りの問題が大きいンだろうと思います。…未だ生まれてなかったんで、現場の雰囲気は知らないで言っています。すみません。もちろん、そもそも海洋国家が半島=大陸に手を出した時点でどうよとか、ツッコミどころは満載ですし、省部軍人が暴走したのを看過したというガバナンスの問題は少なくないと思います。
いずれにせよ、破綻して良かったとか、敗戦して良かったとか、穏やかじゃありませんね。もちろん、防止する方法があればその方がいいのは論を待ちません。トップマネジメントの暴走を許したままエンロンが存続したほうがいいかといえばそうじゃなくて暴走させない方策が必要だったわけですし、これはガバナンスの問題として切り込んでいくのが良いと思いますが、帝国日本の場合は叩き上げの元老が死滅して物識りのエリートスペシャリストに国策をお任せにする前に、ジェネラリストとしてのステーツマンを育て上げておかなければならなかったのかも知れませんが、これをガバナンスの問題と言い切ってしまうのもちょっとためらうものがあります。煮詰めれば、陛下のガバナンスの問題ですが、この件に関して何かおできになったとは思えません。
さて、銀河共和国の歴史は知りませんが、指導者の頽廃や腐敗をガバナンスの強化によって防ごうというのは、外的規制や株主による監視・干渉が可能な企業組織ではある程度可能でしょうが、規制側の政治権力を同様の方法でコントロールするのは困難です。政治権力、とくに非公式なインナーサークル自身は事実上法的規制の埒外にいますし、支配される側は誰も選挙行かないし興味ないし。…銀河共和国の話ですよ、もちろん。
ミッションの明確化と、それと照らし合わせるための成果のしつこい評価ぐらいしかできることはありませんが、なんかみんなやる気ありませんよね。…これも銀河共和国の話ですよ、もちろん。ついでに言うと、ヒトラーはこれを逆用しましたよね。ブレアはマネしてます。
官僚の支配とか、マスコミによる政治不信の強化とか、今風の問題もさらっと書き込まれていますが、官僚や専門家に充分な能力を発揮させるためには規範による信頼が必要なので、情報の非対称性を無視した外的規制はしばしば無力です。他方、モラルに優れた官僚が危機管理能力に於いても秀でている幸いにはあまりお目にかからないという矛盾もあります。科挙によって選抜された儒家官僚による支配が安定すると外敵に滅ぼされるというパターンの続いた中国史に無数の例がありますね。
付け足せば、マスコミに不信をあおられて倒れるような政権は、所詮、もはや必然性が薄いのでしょう。逆に銀河共和国ではマスコミはパルパティーンの支配下に置かれているようですね。こっちはなんかできるような気もしますが、もはや何ともできないのかも知れません。
寡頭制から帝政への移行で思い起こされるのは、ユリウス・カエサルとアウグストゥスによる帝政ローマの確立でしょうか。SWでは三頭政治とか登場しませんでしたし、逆にローマにJediはいなかったわけですが、議長が連れて歩いている従者は、共和制ローマのコンスルが連れて歩くリクトルの連想でしょう。多民族国家となったローマの中で当事者能力を失い、しかも人材が枯渇した元老院から、カエサルとアウグストゥスは市民集会の支持を背景に権力を奪い取ったわけです。何からイマジネーションを得ているかはしばしば本質的な問題ではありませんが、この場合、制作者の巧まざる意図が隠れているのではないかと思います。根拠はありません。
長文のコメントありがとうございます。
確かに、「国のガバナンス」というのはコーポレートガバナンスより格段に難しいのはおっしゃるとおりで。
参考にさせていただきます。
ではまた。
難しいうんぬんの前に「国家のガバナンスの善し悪し」は、よほど長い期間かけないと検証できないので、いくら議論しても結論は見えない、ということなのではないでしょうか。少なくとも新しい理論を提唱しても、過去への当てはめがうまいだけ、と言われて終わりのような。
エンロンはともかく、「日本が敗戦してよかった」ということについては賛成する人が結構いそうです。「信長は本能寺で死んでよかった」についてはどうでしょうか?
「信長は死んでよかった」と思います。急進的国家改革者と、光秀のような権威継承主義者の両方が倒れて、太閤のような感性のみの成金主義が一時はびこったわけですから。戦後の日本でも、今太閤の田中角栄が現れたおかげで、政治の世界ででも戦前の体制に除々にもどらなかったわけで。田中角栄が現れなかったら、旧体制(国家主義者)と新体制(革新主義者)のくだらん抗争の中で、無知な国民は、経済成長という恩恵をうけることなく、税金のみむさぼり取りつづけられたでしょう。官僚(中国の科挙官僚も同じ。)とは、税金をとり、それを使う能力しか訓練されていないわけで。
Failed I have
….あかん。まだ頭の中をヨーダを鍋奉行に、オビワンとアナキンがすき焼きの最後の肉を牽制し合っている姿が…
今度はマジレス。ネタバレにならないように気をつけながらEntry。ちなみにタイトルはMaster Yodaの台詞ですが、これくらいならネタバレになりませんよね。
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