「ベンチャー企業は投資を受けた方がいいのか」には、たくさんコメント、トラックバック等いただきました。ありがとうございました。
これ、当然、企業のミクロな行動についてのお話として書いたんですが、マクロ経済学的な話として考えてみると、わりとトリビアルな話かも知れないですね。
「ベンチャー企業は投資を受けた方がいいのか」という場合の「投資」というのは、下図の貸借対照表でいくと、当然、右下(A)の資本の部のお話になります。「資金調達」という意味で行くと、負債(B)も含む話かも知れません。
一方、経済学で言うところの「投資」というのは、資産(の増加)のことかと思います。
「資本」という用語も、会計だと「右側」の話ですが、経済学だと「左側」の話ですよね。固定資産や在庫に「投資」をしようとすると、たいていは資金調達もしないといけなくなるはずです。
つまり、「人はなぜ投資(A,B)を受けるのか?」という問いは、「人はなぜ投資(C,D)をするのか?」というお話にもなります。
ケインズ先生は、人が投資をするのは、「アニマル・スピリット」による、とおっしゃったとのこと。投資の意志決定には、必ず不確実な将来に関する予測を含みますので、「必ずしも合理的・演繹的に出てくるものではない」という意味で、小林さんがおっしゃった「ビジョン」と言えるかも知れませんし、私が申し上げた「ロマン」ということになるかも知れないですね。
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民間のアニマルスピリットが足りずに総需要(消費+投資)が不足するのをご憂慮いただいて、今まで日本国政府は国債や借入で約700兆円、郵貯でも約200兆円もの資金調達を行って、民間の代わりに大量の「投資」をしてきていただきました。言い換えれば、企業家より政治家の方が「アニマル」だった、ということじゃないかと思いますが(笑)・・・そんな話が永遠に続くわけがないので、後者は郵政民営化ということで改革しようとしてたわけですけど・・・さて、参院、どうなるんでしょうね。
経済誌でも「大増税」に関する特集が踊る今日この頃。郵政民営化がどうなるかに係わらず、前者(国債等)の方にも手を付けないといけないわけですが・・・・・・そういう人がいやがるアニマルじゃない話を進めてくれる政治家は小泉さん後も現れるんでしょうか。
(ではまた)
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