あけましておめでとうございます。
今週は一年の最初なので、昨年の記事を一覧する「総集編」をお届けします。
今年も、何卒よろしくお願い申し上げます。<(_ _)>
昨年のテーマは、
- 監査等委員会設置会社のIPO
- ストックオプション付与の適正量をデータ等から考えるシリーズ
- Series B以降の増資の条件交渉シリーズ(経営陣や投資家のインセンティブ等)
- 日本に「ユニコーン」が現れない理由(わけ)
(ベンチャーを取り巻く環境の課題の整理) - 日本版リストリクテッド・ストックのベンチャーへの応用上場前後の資本政策(2016年上半期+α)
- VCのビジネスモデル
- VCの組合契約書シリーズ
- VCの税務
- VCの投資(有価証券等)の評価
などでした。
詳細は、以下をご覧下さい。
(以下、リンクは「note」の週刊isologueの記事にリンクしています。)
これらのコンテンツは、法的助言や税務上のアドバイスを行うことを目的とするものではなく、財務(ファイナンス)的な観点などから、取り上げたテーマの性質を考えるためのものです。また英文に対応する日本語はあくまで参考であり、正確な翻訳とは限りません。文書を実際に解釈したり運用するにあたっては、弁護士、税理士等の専門家の意見を参考にしてください。
以下、一覧:
■総集編
(第352号)謹賀新年(2015年の「週刊isologue」総集編)
一年の最初の、昨年の記事を一覧する総集編。
昨年のテーマは、
- 全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(完結)
- アリババ株分離で、ソフトバンクの米Yahoo!買収はあるか?
- 上場前後の資本政策(2015年第1四半期、第2四半期)
- Facebookの株式インセンティブプラン
- ザッカーバーグのストックオプション
- ベンチャー投資会社「Alphabet」に生まれ変わるGoogle
- Squareの上場と「魔のSeries E調整条項」
- 「起業のエクイティ・ファイナンス」改良版
などでした。
今年上半期の記事を一覧する総集編。
今年上半期のテーマは、
- 監査等委員会設置会社のIPO
- ストックオプション付与の適正量をデータ等から考えるシリーズ
- Series B以降の増資の条件交渉シリーズ(経営陣や投資家のインセンティブ等)
- 日本に「ユニコーン」が現れない理由(わけ)(ベンチャーを取り巻く環境の課題の整理)
- VCのビジネスモデル
- VCの組合契約書シリーズ
- 日本版リストリクテッド・ストックのベンチャーへの応用
- 上場前後の資本政策(2016年上半期+α)
などでした。
■監査等委員会設置会社のIPO
監査役の代わりに取締役で作った監査等委員会が監査等を行う「監査等委員会設置会社」のIPOが出たので、その実例を見てみました。
指名委員会等設置会社よりシンプルなのはもちろん、従来の監査役会設置会社よりも、ある意味シンプルな面がありますので、ベンチャーにも十分お勧めできるのではないかと考えています。
「指名委員会等設置会社をもうちょっとライトにしたしくみにニーズがあるのでは?」ということは、私は2007年から言ってました(isologue「委員会設置会社制度改造論」ご参照)ので、昨年の会社法改正でこのような制度変更が行われて、感慨深いものがあります。
目次とキーワード
- 監査等委員会設置会社とは何か
- 日本のコーポレート・ガバナンスの歴史
- (意外にも?)ISSも推奨
- 取引所、引受証券会社の対応
- 「あんしん保証」の事例
■ストックオプションの適正量
「ストックオプションって、何%くらいが適正量なんですかね?」という質問をいただくことがよくあります。
引受主幹事証券さんの反応等を踏まえた今までの経験から、「VC比率にもよりますが、また海外のストックオプション・プールはもっと大きいことが多いと思いますが、日本だとだいたい発行済株式に対して10%くらいを、上場に影響を及ぼさない固めの数字として考えておけばいいんじゃないでしょうか?」といったお答えをすることが多いのですが、そのへんを、ちゃんとしたデータに基づいて考えてみました。
(第354号)ストックオプションの「適正量」を考える(データ編)
まずは基礎的なデータによる分析。
目次とキーワード
- 2015年のIPO企業のデータ(92社)
- 潜在株式割合データ
- 設立年数での並べ替え結果
(第355号)ストックオプションの「適正量」を考える(VC比率編)
この回は、ストックオプションの発行量の制限を考える上で、VCの株式比率とストックオプションの比率の関係について考えてみました。
目次とキーワード
- 2015年IPO企業の潜在株式割合データ(VC比率編)
- 仮説
- 地方企業等(自己ファイナンス型)と、急速グロース型
- 株主にVCがいる企業、いない企業
- リードVCがいるかどうか
- VCの比率との関係
■Series B以降の増資の条件交渉
Series Aの投資を優先株式で受ける場合には、単に普通株主(経営陣等)と1種類の優先株主との関係ですが、Series Aだけで考えればいいのではなく、Series B以降の資本政策の全体像も考えあわせないと、投資家に有利と思った選択が、経営陣にも投資家にも、双方にマイナスに働くこともありえます。
ということで、Series B以降も意識した優先株式の設計について考えてみました。
(第356号)なぜ「残余財産分配権3倍」のベンチャーは、うまくいかないのか?
いろいろな会社の相談を受けたり投資の検討をすると、時たま、「投資額の3倍」といった高い倍率の残余財産分配権が設定されている優先株式で資金調達している会社に出くわします。そして、(統計的な処理が行われていないので感覚的な影響を受けている可能性はありますが)、そういった会社は、なぜか、うまくいっていないことが多い気がします。
この回では、なぜそうなのか?について考えてみました。
目次とキーワード
- 「残余財産分配権」とは?
- 米国の「3倍」と日本の「3倍」の違い
- そもそもなぜ優先株式を使うのか?
- 「1倍」と「3倍」、どっちが投資家に有利か?
- ベンチャーの優先株式は「インセンティブ設計」である
- 「高利の借金」と同じ効果
- 負のインセンティブ、図解
- 登記簿での「3倍」の条件の見分け方
- 条件交渉での救済
(第357号)Series B以降の増資の条件交渉(その1)
最初の増資は、(あまり投資慣れしていないことが多い)経営陣(創業者)と投資家が対峙するので、良くも悪くも、比較的シンプルな交渉で話が決まります。ところが2回目以降の増資は、既存株主と新規の投資家との「プロ同士の対戦」となりますので、話もややこしさを増してきます。
日本でも「優先株式でいいですか?」とお誘いしても「いいですよ」と言っていただける投資家が多くなってきましたが、まだ自ら積極的に優先株式を使う投資家が多くないのは、この2回目以降の増資の知識やイメージがまだ巷にあまり出回っていないからということが大きいのではないかと思います。
つまり、「ゴールにボールが入れば1点」といったルールがわかればサッカーに参加することはできますが、それだけで「自分が監督になって他校との試合に勝つ」「W杯出場を目指す」といったことが可能かというと、それは難しいわけで、「試合」で何が起こるのか(どう楽しいのか、どういう作戦でいくか)をイメージできることが重要じゃないかと思います。
この回から、米国の動向なども踏まえて、どういう「試合」が行われているのかをイメージしてみたいと思います。
目次とキーワード
- WSGRの2015年第3四半期のレポート
- 前のラウンドとの残余財産分配権の関係
- 倍率と参加/非参加型
- 時系列のトレンド
(第358号)Series B以降の増資の条件交渉(その2)
この回は、米法律事務所WSGR(Wilson Sonsini Goodrich & Rosati )のレポートなどから、Series B(2回目)以降の増資時の優先株式の条件について考えてみます。
目次とキーワード
- IPO時の保護条項
- 適格IPO(Qualified IPO)を時価総額で定義するケース
- 転換価格で調整するケース
- Squareの転換価格調整特別条項の問題点
- 日本でのIPO時の保護条項の状況
- まとめ
■日本に「ユニコーン」が現れなかった理由(わけ)
日本に「ユニコーン」が現れない(現れなかった)理由について、体系的に考えてみたシリーズです。
(第359号)日本に「ユニコーン」が現れない理由(わけ)第1回
特に米国と日本は、投資家もベンチャーもプレイヤーが全く異なりますし、金額の規模も何十倍何百倍の違いがありますので、「同じ(シンプルな)物理法則」で考えると間違うんじゃないかと思っております。
「日本になぜユニコーンが現れないか」を考えると、日米の非上場投資の構造の違いや、日米で「エンジェル」や「上場マーケット」が果たす役割の違いなどが見えてくるとともに、はたして「ユニコーン」が登場するのがいいことなのかどうか、といったことも整理できると考えています。
目次とキーワード
- ユニコーンとは
- 企業価値とは何か
- 上場企業の企業価値とは
- 未上場企業の企業価値とは
- 調達間隔の実際
- 米国の調達間隔
- 日本の調達間隔
(第360号)日本に「ユニコーン」が現れない理由(わけ)第2回
この回も、日本に「ユニコーン」が現れない理由について、ファイナンスに用いられる株式の種類の観点から考えてみたいと思います。
目次とキーワード
- 優先株式が使われている場合の企業価値
- 普通株式の場合のダウンサイドリスク
- 優先株式の場合のダウンサイドリスク
- 普通株式の株価のまま優先株式に置き換えるのでは意味がない
- シリーズAの投資家が何を考えるか
- 普通株式の場合
- 参加型(full-participating)優先株式の場合
- 非参加型(non-participating)優先株式の場合
- Series B以降の投資家が何を考えるか
- すべて同順位の場合
- 最後のラウンドの株式が最優先の場合
(第361号)日本に「ユニコーン」が現れなかった理由(わけ)第3回
先週までのタイトルは「日本にユニコーンが現れない理由」でしたが、メルカリさんが84億円を調達して、めでたく日本初の「ユニコーン」(未上場で企業価値評価10億ドル以上)になったそうですので、この回から、タイトルを過去形にしてみました。:-)
目次とキーワード
- 資金調達額と企業価値
- なぜ株式は10%程度ずつ調達するのがいいのか?
- 低比率での調達でユニコーンを名乗るのはなぜダメか?
- 事業会社、CVCからの調達
- 「資金使途」
- シグナリング効果
- M&A
- マーケティング費用
- 人材の採用
- オフィススペースの逼迫
- 資金コスト
- まとめ
(第362号)日本に「ユニコーン」が現れなかった理由(わけ)第4回
この回は、日本のベンチャーに投資をする投資側の課題の観点から、日本になぜメガベンチャーが現れにくいのかを考えてみました。
目次とキーワード
- 日本のベンチャー生態系における投資側の課題
- 投資家の層の薄さ
- アーリーステージの1億円超の投資
- 日本と米国のエンジェルの役割
- 日本の上場市場の役割
- VCの厚みを増すこと
- 独立系VCと「不完備契約」
(第363号)日本に「ユニコーン」が現れなかった理由(わけ)第5回
ベンチャーが大きく成長するには、VCからの資金供給が増えることも不可欠です。
この回は、VCの資金がどうやったら増えていくかを考えてみます。
目次とキーワード
- VCの数を増やすことが重要
- VCはファンドサイズを増やしづらい
- どのくらい拡大していけるか?
- VCが増えると、市場の質も変化する
- 「相場」の形成
- VCはファンドサイズを増やしづらい
- 資金供給者が少なくては社会主義国と同じに
- アーリーステージベンチャー株式の株価の幅は広い
- 単純なミクロ経済的な価格決定のモデル
- 資本政策やVCの評判等にも左右される
- 上場株式の「相場」とは全く異なる
- 優秀な人材をVC市場に呼び込む
■VCのビジネスモデル
昨今は、起業希望者も増えて「会社を起こす」イメージがわく人も増えてきました。
また、米国で年間6兆円の投資が行なわれているのに、日本ではその数十分の1の投資しか行われていないので、日本にはベンチャー投資マーケット拡大のすさまじいポテンシャルがあるはずですし、米国では起業や投資銀行やコンサルティングファームと並んで、VCはMBAなどの優秀な学生の就職人気ランキングでも最上位の一つなので、日本でも今後そうなっていく可能性は高いと思います。
しかし、「VCってどうやったらできるの?」というイメージが浮かぶ人は、会社を作るイメージが浮かぶ人よりも、はるかに少ないのではないでしょうか。
昨年は、20代の若者のVC数社をはじめ多くの独立系VCファンドを立ち上がりましたので、今や「個人(のチーム)でもベンチャーキャピタルがはじめられる時代」が日本でも本格化してきたと言えます。
というわけでこの回から、「VCってどうやったらできるの?」ということについて考えると同時に、優秀な人材をVC業界に呼び込むのに、今何が不足しているのかについて考えてみました。
まず、VCのストラクチャーやビジネスモデルについて概要を考えます。
目次とキーワード
- 米国のVCのストラクチャー
- パートナーごとの分配
- 「倒産隔離」的な効果
- 日本のVCのストラクチャー
- 株式会社がGPをやるケース
- 個人がGPをやるケース
- LLPがGPをやるケース
- VCの収入モデル
- マネジメントフィー
- キャリー
- ベンチャーキャピタルは「いい商売」か?
この回は、「既存のパイの食い合いではなく、ベンチャーのパイを広げられる優秀な人材をVC業界に呼び込むためには、どういった条件が必要か」を考えてみたいと思います。
目次とキーワード
- 日本のVCは、もっと層が厚くていいはずだ
- 独立系の1号ファンドの規模
- 「2人以上で食えるか?」は重要
- キャピタルコールとGP出資
- キャピタルコールとは
- GP出資とは
- ファンドサイズとLP投資家
- 5億円程度のファンド
- 10億円以上のファンド
- 50億円超のファンド
- まとめ:優秀な人材をVC業界に呼び込むために
この回は、日本のベンチャー生態系が他の先進国からいかに遅れているかを、未上場株式の国際的な評価基準の世界的な採択状況から見ていきたいと思います。
「遅れている」というとネガティブですが、それだけ日本のベンチャー市場は今、大きな「アノマリー(歪み)」が存在し、チャンスにあふれていると言えます。歴史上、これほど大きな歪みは、明治維新期とか戦後の焼け跡とか、限られた時期にしか存在しなかったのではないでしょうか。
もちろん経験の浅い人が勢いで参入できるような状態が永遠に続くはずはありません。
こうした「アノマリー」に気づく人が増えれば、今以上に優秀な人が大量にベンチャー関連の仕事に参入し、おそらく10年20年後の日本のベンチャー生態系は、独立系VCとそれ以外のVCの比率の変化、意思決定のスピード、リスクの取り方、投資金額の大きさなど、ランドスケープが激変しているだろうと考えています。
目次とキーワード
- 将来の最大の「資金の出し手」は機関投資家
- ファンドのパフォーマンスの計測指標
- 世界のVC/PE団体
- 「先進国」リストとの比較
- 国別以外のVC/PE団体
- まとめ
■VCの組合契約書
このシリーズの問題意識を絵にしてみました。
ご案内の通り日本は、お金が無いどころか、100兆円単位でお金がジャブジャブ余っています。その一方で、ベンチャーの方の資金は潤沢というには程遠い。
日本の人材も「アホばっか」ではないどころか、世界の中でも(基本的には)良質な人材が揃っていると思われるのに、なぜどんどんそちらに水が流れないのか(またはちょっとバブるとすぐに資金がジャブジャブになっちゃうのか)というのは一見、すごく不思議ですよね。
徳川家康が辺境の関東を押し付けられた際に、「ここは日本最大規模の領地になりうるポテンシャルがある!」と考えたそうですが、それには、単にこつこつ「農業」をやればよかったわけではなくて、利根川の流れを変えるといった大規模な「土木」的施策を行う必要がありました。
日本のベンチャー界でも「大水源」から水を持ってこられる「土木技師」が今もっと求められていると思います。
そうした問題意識と、組合契約の全体像について考えています。
目次とキーワード
- 世界最大級の資金量がベンチャーに流れない不思議
- 投資事業有限責任組合契約に関する法律(LPS法)
- 日本のVCの歴史
- LPS法の目的
- GPとLP
- 事業の範囲
- 株式や社債への投資
- 「貸金業」はVCはあまりやらない
- いわゆる「ハンズオン」
- FoF(他のファンドへの出資)
- 外国法人への出資の制限
- 「他に誰が投資しているか?」がわかる
- 登記が必要
- 名称の制限
- GPによる業務執行と特例業務
- 監査が必要
- GPの責任とストラクチャー
- 民法の準用
この回から、経済産業省の組合契約書のひな形についてみていきます。
まずは、概要と第1章「定義」から。
目次とキーワード
- ひな形の概要
- 目次の構成
- 冒頭部分
- 第1条 定義
この回では、第1章「総則」の続きと、第12章「雑則」を見ていきます。
目次とキーワード
- ■総則
- 名称
- 所在地
- 組合員
- 組合の事業
- 本契約の効力発生日及び組合の存続期間
- 登記
- ■雑則
- 許認可等
- 通知及び銀行口座
- 秘密保持
- 金融商品取引法等に係る確認事項
- 適格機関投資家等特例業務に関する特則
- 反社会的勢力等の排除
- 表明保証等の違反による補償
- 本契約の変更
- 本契約の有効性、個別性
- 言語、準拠法及び合意管轄
- 署名欄
この回は、第2章「出資」について見ています。
目次とキーワード
- 出資のダイナミクス
- 出資1口をいくらにするか?
- なぜGP出資が求められるか?
- モラル・ハザード
- プリンシパル・エージェント問題
- なぜキャピタルコールをするのか?
- GP出資は資金繰り的に大丈夫か?
- 第2章「出資」(条文)
- 出資1口の金額
- 出資の約束
- 設立時の出資金額
- 登記と銀行口座との関係
- キャピタルコール
- 新規加入組合員が参加した場合
- 追加出資とGP報酬
- 1stクローズに遡求して権利義務が発生
この回は、第2章「出資」の残りの部分を見ます。
目次とキーワード
- 組合員の出資義務の免除及び除外
- LPの事情がすべて理解できるのか?
- 出資約束期間の中断及び早期終了
- なぜキーマンクローズが存在するか?
- 世界最強の「個人事業主」
- 出資約束金額の減額
- 追加出資及び出資金の払戻
- 出資払込等の不履行
この回は、第3章「組合業務の執行」を見ています。
第3章の目次は以下のとおり。
第3章 組合業務の執行 | |
第14条 無限責任組合員の権限 | |
第15条 無限責任組合員の注意義務 | |
第16条 有限責任組合員の権限 | |
第17条 組合員集会 | |
第18条 利益相反 | |
第19条 諮問委員会 |
第3章は、運営の中心となるGP(General Partner=無限責任組合員)や、主たる出資者であるLP(Limited Partner=有限責任組合員)、組合員集会、諮問委員会等について定めており、ファンドの「ガバナンス」について定めている章だと言えます。
この回は、第4章「組合員の責任」から「第7章 投資先事業者の育成」までを見ています。
目次とキーワード
- 組合員の責任
- 「無限責任社員」がいる方が組合の信用は高まるか?
- 組合財産の運用及び管理
- 「投資ガイドライン」はどこまで細かく書くべきか?
- 会計
- 組合の会計規則と、有価証券の評価
- 投資先事業者の育成
- ハンズオンは誰が行うか?
- 投資先からは報酬を受け取らないのが原則
- 例外
- 「ハンズオン」とは何か?
この回は、第10章「組合員の責任」から第11章「解散及び清算」までを見ています。
第10章 組合員の地位の変動 | |
第34条 持分処分の禁止 | |
第35条 組合員たる地位の譲渡等 | |
第36条 組合員の加入 | |
第37条 組合員の脱退 | |
第38条 組合員の死亡 | |
第39条 有限責任組合員の除名 | |
第40条 無限責任組合員の除名 | |
第41条 脱退組合員の持分及び責任 | |
第42条 組合員の地位の変動の通知 |
第10章は、組合員の地位の譲渡や、加入、脱退、死亡、除名といった地位の移動について定めています。
第11章 解散及び清算 | |
第43条 解散 | |
第44条 清算人の選任 | |
第45条 清算人の権限 | |
第46条 清算手続 | |
第47条 清算方法 |
第11章は、組合が解散・清算する場合について定めています。
この回は、第8章「組合財産の持分と分配」の考え方を見ています。
第8章は、毎年の利益や損失を、どのように各組合員に分配するかについて定めていますが、その前整理として、「組合とはどういう経済実態のものなのか」「組合の税務はどうなっているか」「パートナーやアソシエイトのインセンティブや運営のフレキシビリティ等の観点から、ファンドはどういうストラクチャーで組成するのがいいか」といったあたりを考えたいと思います。
目次とキーワード
- 組合の財産の帰属
- 「多細胞生物」と「群体」に例えると
- 大航海と資本主義の「入れ物」
- 経済実態及び税務上の組合の扱い
- 組合の「社団性」
- 「社団性」を株式会社に寄せる
この回では、第8章「組合財産の持分と分配」の続きを見ています。
目次とキーワード
- 損益の帰属割合
- 組合財産の分配
- exit発生時の分配
- 現物での分配の場合
- 「成功報酬」と「キャリー」の違い
- 分配制限
- 公租公課
この回は、第9章「費用及び報酬」を見ています。
第9章の目次ですが、
第9章 費用及び報酬 | |
第32条 費用 | |
第33条 無限責任組合員に対する報酬 |
組合から支出する費用と、GPに対する報酬についての2つです。
成功時にGPに支払われる「キャリー」については(特に独立系VCにおいては)、費用(報酬)ではなく「分配」として定義されるべきですが、このひな形では必ずしも明確になっていません。
今回は、ファンドにキャピタルゲインが出た場合にGPが受け取る「キャリー」の規定について、経済産業省の組合契約書のひな形をどう改造するかについて考えます。
目次とキーワード
- なぜキャリーを「報酬」ではなく「分配」として定義する必要があるか
- GPは、個人(LLP)と法人、どっちが得か?
- 会計から見た各組合員への帰属割合
- 組合財産の分配
- GPに対する「報酬」の定義
- 清算時の規定の注意事項
■VCの会計と投資の評価
VCの会計と投資の評価についてのシリーズです。
この回から、VCの会計と、ファンドの主要資産である株式等の評価について考えます。
VCファンドは、世の中の事業の中でも「これ以上シンプルな事業は無いよね?」というくらいシンプルであり、勘定科目もあまり数がありませんので、普通に会計をご存知の方は問題なく理解できると思いますし、会計の知識があまりない方でも理解しやすいと思います。
目次とキーワード
- ファンド会計の基本を図解
- 有責組合会計規則に準拠したひな形
- 金商法ベースの会計(EDINET開示例)
この回も、VCの会計について考えます。
今回のテーマは、キャリーを「報酬」または「分配」として考えた場合、それぞれ会計上どのように処理されるかについて、具体的に実例を交えながら考えてみたいと思います。
ここは米国で独立系VCが9割超になっている理由の一つでもあると思うので、非常に重要だと考えております。
目次とキーワード
- 独立系VCのストラクチャー(復習)
- 契約書の記載
- 財務諸表に落とすと、どうなるか?
- 「成功報酬」の場合の財務諸表
- 「分配」の場合の財務諸表
この回は、VCファンドの法人出資者(含む法人GP)の税務について考えました。
ファンドの税務にも詳しい某独立系VCの代表パートナーの方が以前、「ファンド分を確定申告に反映するの、ややこしくて頭がこんがらがる!」と嘆いてらっしゃいましたし、また、自分で投資も行っていてファンドの会計に詳しい税理士さんも「そういえばあんまり深く考えたことなかった」とおっしゃってました。売ってる書籍でも、一般の事業を行う組合の会計についてもさることながら、投資事業について解説しているものは、ほとんど手に入りません。
特に、ファンドに由来する個人の組合員の所得は、
- 事業所得
- 株式等の譲渡所得(上場分)
- 株式等の譲渡所得(未公開分)
- 配当所得(上場分)
- 配当所得(未公開分)
など、所得の種類別に分かれるので、全体の体系を頭で整理せずに確定申告に臨むと「あ”ーっ、もうっ!!」と頭を掻きむしることになります。
このため今週はまず、個人よりシンプルな法人の組合員の税務について考えてみましょう。
ただし、法人の場合も、最初はまったくよくわからないと思いますので、わかりやすい(よりわかりやすくする)調整表を作ってみました。
目次とキーワード
- 組合は「人格なき社団」ではない
- パススルー
- ファンドの決算と法人の決算の関係
- 3種類の方法
- 出資割合と分配割合が異なる場合の調整
- 収入の種類が複数の場合のキャリーの計算
- 修正仕訳
- できあがり(調整表)
この回は、VCの特に個人(含むGPのパートナー)についての税務について考えました。
法人税と違って、所得税の計算は体系そのものが非常に複雑な上に、組合や株式等の譲渡所得の税務が加わりますので、今回は全容をイメージしていただくことを中心とし、次回以降、組合の決算を個人の申告に落とし込む「調整表」を設計してみたいと思います。
目次とキーワード
- キャピタルゲインは事業所得か譲渡所得か
- 組合のパススルー性
- ファンドの決算と個人の決算の関係
- 所得税の計算の体系
- 事業所得
- 給与所得
- 株式等の譲渡所得
この回は、VCの個人出資者(含むGPのパートナー)の税務の後編です。
今回も、わかりやすい調整表を設計してみました。
個人の株式関連の税務は非常にややこしいのですが、実際には、VCファンドでよく発生する取引は限られますし、国税庁の確定申告書等作成コーナー(迷ったら言われたとおりに入力すれば確定申告書が出てくる)もあって、このVC出資者の税務シリーズをざっと頭に入れておいていただければ、想像するよりは全然カンタンだと思います。
目次とキーワード
- 利子所得
- 配当所得
- 修正仕訳
- 受取配当金、受取利息、仮払源泉税の消去
- 株式の譲渡所得
- 仮払消費税等計上
- 出資金の消去
この回から、「週刊isologue(第366号)VCの作りかた(その3)」でも、ちらっとだけご紹介した、未上場株式の国際的な評価基準「IPEV」の「International Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines」について、見ていきたいと思います。
目次とキーワード
- ファンドのパフォーマンスの計測指標
- IPEVを採択した世界のVC/PE団体
- 「先進国」リストとの比較
- 2015年版アップデートの内容
- 2012年版と2015年版の違い
- プライベートエクイティ投資における評価のベスト・プラクティス
- IFRS(国際財務報告基準)とUS GAAP(米国会計基準)に適合
- 日本の会計基準との整合性は?
- IFRS第9号「金融商品」
- IFRS第10号「連結財務諸表」
- IFRS第12号「他の企業への関与の開示」
- IFRS第13号「公正価値測定」
- IAS第27号「連結及び個別財務諸表」
- IAS第28号「関係会社への投資」
- (IAS第39号「金融商品:認識及び測定」→IFRS第9号「金融商品」)
- IAS第40号「投資不動産」
- 米ASCトピック820「公正価値測定及び開示」
- 米ASCトピック946「投資会社」
- Financial Reporting Standards(財務報告基準)
- Unit of Account(会計単位)と未上場株式等の取引単位
- 国際評価基準委員会(IVSC)と国際評価基準(「IVS」)
このへんは、よく考えると、まさに日本の従来の基準とIFRSの違いの最も本質的なあたりかもしれませんね。
ちなみに、なんでこのガイドラインを見ているかというと、VCの「Jカーブ」(最初は赤字でexitが出ない)」を気にする年金等の機関投資家の資金が日本のVCには入ってきていないので、このIPEVガイドラインに準じた評価をすることで、より幅広い投資家の資金がベンチャー界に流れ込んで来る可能性があるんではないかと考えているためです。
目次とキーワード
- 1. The Concept of Fair Value(公正価値の概念)
- 2. Principles of Valuation(評価の原則)
- 3. Valuation Methods(価値算定方法)
- A. Market Approach(マーケット・アプローチ)
- a. Price of Recent Investment (直近の取引事例)
- b. Multiples (マルチプル法)
- c. Industry Valuation Benchmarks (類似業種比準)
- d. Available Market Prices (市場価格法)
- B. Income Approach(インカム・アプローチ)
- a. Discounted Cash Flows (DCF法)
- C. Replacement Cost Approach(再調達価格法)
- a. Net Assets (純資産法)
- 4. Valuing Fund Interests(ファンド持分の評価)
この回から、先週Section Iで見たガイドラインの解説部分、「Section II: Explanatory Comments – Measuring Fair Value」(公正価値測定注解)を見ていきます。
また、なぜ欧米はIFRSやUS GAAPを使っていて、日本は公正価値ベースになっていないのか、なぜ日本だけM&A時の「のれん」を償却するのか、なぜ日本ではコーポレート・ガバナンスの問題が多々発生するのか?等、日本のいろいろな問題を考えてみると、一言で言って日本の経営者の多くが「投資脳」になっていないからじゃないか、という仮説を思いつきました。
目次とキーワード
- 1. The Concept of Fair Value(公正価値の概念)
- 2. Principles of Valuation(評価の原則)
この回は、「直近の投資価格」をベースとする評価方法を中心に見ていきます。
直近の投資価格を公正価値の算定に用いるという方法は、最強の方法で、最もスタートアップ向きだと言えますが、一方で、その価格をそのまま利用してはいけない状況も多々考えられるので注意しましょう、ということになります。
(余談ですが、今回からGoogle翻訳を本格的に使って見ましたが、これ、かなりすごい。
Google翻訳がニューラルネットワークを取り入れて、英語-日本語間の翻訳が劇的に改善したというニュースを見て、(本稿はIPEVのガイドラインを翻訳することが目的ではなく、中身を概観することが目的なので)今回、使ってみたのですが、「である調」と「ですます調」が混在したり、専門用語は修正は必要ですが、下訳として大いに機能します。英文を読みこんで日本語の原稿を書くのが3倍くらい楽になった感じ。)
目次とキーワード
- 3. Valuation Methods(公正価値の評価手法)
- 相場価格のない金融商品の評価
- 活発に取引される金融商品の評価
- 少数株主の持分の評価
- 為替レート
- 評価のPDCA
- 「主観や判断が入る評価」は信頼性が低いのか?
- 単一の評価方法を用いる場合と複数の評価方法を用いる場合(IFRS第13号およびASCトピック820)
- 評価方法の継続性
- 「最近の投資価格」による評価
- 直近の株価は「生モノ」
- イケてるベンチャーは頻繁に増資をする
- 直近の株価の「旬」はいつまでか?
- 持株比率に比例しない希薄化(disproportionate dilution)
- 戦略的に動機付けられている投資家(investor motivated by strategic considerations)
- 最近の投資の価格を用いることは「原則」ではない
- 一般的なマイルストーン/ベンチマークと評価
- 公正価値の変動の典型的な指標
- 減損の兆候との違い
- 「市場参加者がどう考えるか」が軸足
この回は「マルチプル法」による評価が中心です。
目次とキーワード
- 業績指標に対する倍率「マルチプル」(Multiples)
- 「適切な(appropriate)」マルチプルとは
- 利益マルチプル(Earnings multiples)の使用
- 売上マルチプル(Revenue multiple)の使用
- 「合理的な(reasonable)」マルチプルとは
- 買収マルチプル(acquisition multiples)と公開企業の取引マルチプル(quoted company trading multiples)
- 類似点と相違点の特定
- ギアリング(レバレッジ)と税金がP/Eレシオに与える影響
- EBITDAのマルチプルおよび減価償却費
- 相違点の調整
- 流動性不足の影響
- キャリブレーション
- その他調整の理由
- 比較対象となる最近の取引
- 「持続可能(maintainable)」な利益/売上とは
- 業種ごとのベンチマーク( Industry Valuation Benchmarks)
この回は「市場価格法」と「DCF法」による評価です。
目次とキーワード
- Quoted Investments(相場価格のある投資)
- Discounted Cash Flows or Earnings (of Underlying Business)(投資先事業のDCF)
- Discounted Cash Flows (from an Investment)(投資自体のDCF)
- ターミナル・バリュー
この回は「純資産法」と「ファンド持分の評価」です。
目次とキーワード
- 3.9. Net Assets(純資産法)
- 4. Valuing Fund Interests(ファンド持分への投資の評価)
- 4.1. General(一般)
- 4.2. Adjustments to Net Asset Value(NAVの修正)
- 4.3. Secondary Transactions(セカンダリー取引)
- 4.4. Discounted Cash Flows(DCF法の利用)
この回は、用語の定義を見た後に、「Section III: Application Guidance(適用指針)」を見ていきます。
目次とキーワード
- 用語の定義
- Section III: Application Guidance(適用指針)
- Insider Funding Rounds(既存株主による増資ラウンド)
- Distressed Market(ディストレス取引)
- Higher Ranking Instruments(先順位の金融商品)
- 5.4. Bridge Financing(ブリッジファイナンス)
- 5.5. Mezzanine Loans(メザニン・ローン)
- 5.6. Rolled up Loan Interest(一括払い金利)
- 5.7. Indicative Offers(買収等の意向の表明)
- 5.8. Impacts from Structuring(ストラクチャーの影響)
- 5.9. Contractual Rights(契約上の権利)
- 5.10. Non-Control Investments(非支配の投資)
- 5.11. Mathematical Models / Scenario Analysis(数学的モデル/シナリオ分析)
- 5.12. Sum of the Parts(部分の合成)
■日本版リストリクテッド・ストックのベンチャーへの応用
ゴールデンウィーク中に、先週4月28日に経済産業省から発表された「「攻めの経営」を促す役員報酬~新たな株式報酬(いわゆる「リストリクテッド・ストック」)の導入等の手引~」をベースに、日本版のrestricted stockについて考えてみました。
(第369号)日本版リストリクテッド・ストックのベンチャーへの応用
この手引は、上場企業の事例やヒアリングをもとに、上場企業の手続きを前提に作られているようですので、明示的には書いていないものの、上場企業の役員のインセンティブを念頭に作られたものだと考えられます。
しかし(もちろんそうでない上場企業もあるものの)、日本で一般的な、「新卒で採用されてずっと固定給中心で40年近く働いて役員になったけど、慣例ではあと数年で役員も退任」という大企業の役員にちょっとやそっとの株式インセンティブを与えても「攻めの経営」なんてしてくれる気はあんまりしません。(というか、従業員からたたき上げで役員になったような人は、会社の命令とあらば株式インセンティブを与えなくても「攻めの経営」をするんじゃないかと思うので、もしそうだとしたら、株主の立場からすれば株式を差し上げても無駄ですよね。)
このため、むしろそういった株式インセンティブが最も効果を発揮するのは、急成長している上場前のベンチャーが大物の人材を幹部クラスとして呼んでくるような場合ではないかと思います。ということで、この「日本版リストリクテッド・ストック」が、どういった性質を持つものなのか、ベンチャーにおいてストックオプションなどと、どう性質が違うのか、といったことについて考えてみたいと思います。
目次とキーワード
- 日本版restricted stockについての資料
- インセンティブ手法の類型
- 「法的論点に関する解釈指針」
- 株主総会における役員の報酬に関する決議
- 仮想払込みにあたるか?
- 会計上のイメージ
- 決議のイメージ
- 税務上の処理イメージ
- 種類株式方式と契約方式
- 海外のプラクティス
- 法人側の課税
- 個人側の課税
- まとめ
(第370号)日本版リストリクテッド・ストックのベンチャーへの応用(その2)
この回は、日本版のrestricted stockをベンチャーにどう応用するかを考えます。
今後、日本で「ユニコーン」や「メガベンチャー」をもっと生み出していくためにも、リストリクテッド・ストック(生株)を使った新たなインセンティブの仕組みが求められていますが、ベンチャーの場合には「手引」に例示されたままのスキームというよりは、税務上の「特定譲渡制限付株式」の要件に該当しない「制度外リストリクテッド・ストック」が向くのではないか、と思います。
目次とキーワード
- 従来の手法の問題点とリストリクテッド・ストックの優位点
- 従来の「生株」の購入
- ストックオプションの付与
- 行使価格を下げるとリスクがある
- 年間行使1200万円の制限
- 有償ストックオプションの付与
- 「オプションの時価」が難解
- オプションが有利発行とみなされると、やはり巨大なリスクがある
- 問題が先送りされる
- ベンチャーにおけるリストリクテッド・ストックの付与
- リストリクテッド・ストックのリスク
- リストリクテッド・ストックの税務の要点
- 「制度外リストリクテッド・ストック」のスキーム
- 発行会社側の処理
- 付与される個人側の処理
- アーリー期のベンチャーでの設例
- 株主間契約等での取り決め
- 発行会社の会計・税務上の処理
- 付与される個人側の処理
- 時価の妥当性
- 税務上のリスク
- レイター期ベンチャーの場合
- 創業者から譲渡の場合との差異
- まとめ
(第371号)日本版リストリクテッド・ストックのベンチャーへの応用(その3)
今週は、「日本版リストリクテッド・ストック」の税制を、米国の税制と比較してみます。
4月28日に経済産業省から発表された「「攻めの経営」を促す役員報酬~新たな株式報酬(いわゆる「リストリクテッド・ストック」)の導入等の手引~」に書かれている会社法の解釈、新税制で、本当に米国などで行なわれている「攻めの経営」を促すような株式インセンティブが設計できるでしょうか?
目次とキーワード
- Facebookの事例
- 株式購入、ISO、NSO、RSUの課税(図解)
- 米国の税務
- Restricted Stock AwardとRSUの税務上の違い
- 雇用等の対価としての資産取得の場合の原則
- 課税時期の選択(83(b)の条文)
- 用語の定義等
- 解除できない制約が付いている場合
- 日本の新税制と米国の税制との比較
- 原則と例外が逆転
- 日本は「譲渡制限」の意味が不明確?
- 日本では付与時の課税が選択ができない
- 「制度外リストリクテッド・ストック」のススメ
- まとめ
■上場前後の資本政策(2016年上半期+α)
4回にわたって、2016年1月から7月までにIPOしたベンチャーを中心とする会社の資本政策について見てみました。
今年の上半期に上場したのは以下の企業です。
この回の上場企業群の特徴は、
- 社歴が長い
- テックっぽい会社が少ない
- VCが出資した企業が少ない
といった感じではないかと思います。
この回は上記のリストのうち、「はてな」から「アカツキ」までを取り上げました。
この回は上記のリストのうち、「アグレ都市デザイン」以降「農業総合研究所」までを取り上げました。
(第383号)上場前後の資本政策(2016年上半期:中編2)
この回は上記のリストのうち、「やまみ」以降「コメダホールディングス」までを取り上げました。
この回は「セラク」から「リファインバース」までの5社です。
特に「LINE」と「リファインバース」の種類株式についてを掘り下げてみました。
目次とキーワード
- セラク
- LINE
- 沿革の概要
- LINEも種類株式を発行していた
- この種類株式の目的は「dual class」か?
- 種類設計の「気合」の入り具合
- インソース
- デュアルタップ
- リファインバース
- 調達額の予想額
- 株主構成
- 増資の履歴
- 登記簿の記載から見る、A種・B種・C種・D種の概要
- ダウンランドも経験?
- キツい条件の優先株は、結局投資家のためにもならない
今回は、2016年第3四半期にIPOしたベンチャーを中心とする会社の資本政策についてです。
今年の第3四半期に上場したのは以下の企業です。
- セラク
- LINE
- インソース
- デュアルタップ
- リファインバース
- デファクトスタンダード
- ベイカレント・コンサルティング
- カナミックネットワーク
- デジタルアイデンティティ
- 串カツ田中
- ノムラシステムコーポレーション
- バリューデザイン
- シルバーエッグ・テクノロジー
- チェンジ
- シンクロ・フード
- G-FACTORY
セラク社からリファインバースまでは、週刊isologue(第384号)上場前後の資本政策(2016年上半期:後編)で既に取り上げておりますが、概要を再掲しております。特に、LINEとリファインバースの種類株式については、いろいろディープですので、ご興味がある方は、384号のほうをごらんください。
「VC等の外部から資本を入れず、少額の自己資金だけで上場まで到達するという、米国では考えられない成功」のことを、私が勝手に「ジャパニーズ・ドリーム」と呼んでいるのですがw、今回はそのジャパニーズ・ドリーム型の(第三者から見るとあまり面白くはない)資本政策の会社が多かったです。個人的には、
- ベイカレント・コンサルティングの謎の資本政策
- シルバーエッグ・テクノロジーは日本で最も初期の本格的優先株を使った会社だったんじゃ?
というあたりが、やや刺さりました。
キャピタル・アセット・プランニング社もすでに先週末10月7日に上場しているのですが、まだ初値がついていないこともあり、第4四半期で取り上げたいと思います。
以下、目次一覧:
(第352号)謹賀新年(2015年の「週刊isologue」総集編)
(第354号)ストックオプションの「適正量」を考える(データ編)
(第355号)ストックオプションの「適正量」を考える(VC比率編)
(第356号)なぜ「残余財産分配権3倍」のベンチャーは、うまくいかないのか?
(第357号)Series B以降の増資の条件交渉(その1)
(第358号)Series B以降の増資の条件交渉(その2)
(第359号)日本に「ユニコーン」が現れない理由(わけ)第1回
(第360号)日本に「ユニコーン」が現れない理由(わけ)第2回
(第361号)日本に「ユニコーン」が現れなかった理由(わけ)第3回
(第362号)日本に「ユニコーン」が現れなかった理由(わけ)第4回
(第363号)日本に「ユニコーン」が現れなかった理由(わけ)第5回
(第369号)日本版リストリクテッド・ストックのベンチャーへの応用
(第370号)日本版リストリクテッド・ストックのベンチャーへの応用(その2)
(第371号)日本版リストリクテッド・ストックのベンチャーへの応用(その3)
(第383号)上場前後の資本政策(2016年上半期:中編2)
(本年もよろしくお願いいたします。)
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