本日の日経新聞朝刊29面経済教室に西口敏宏一橋大学教授が「中国浙江省・温州 急発展のカギ 脱日常のネットワーク」というのを書かれています。
要旨は、
中国浙江省の温州は、かつては最貧地域の漁港だったが、ヨーロッパへの出稼ぎなどで人的ネットワークが形成され、帰国した人がその人脈をもとに会社を立ち上げてそれが大発展している。
この現象をよく説明する理論がある。今、米国で評判のグラフセオリー(万物の関係を点と線で表す数学理論)を用いたダンカン・ワッツの「スモールワールド」ネットワークだ。
ということで、このスモールワールド理論を紹介しています。
隣どおしがくっついている短い経路のみの「レギュラー」の世界は一見秩序立って見えるが、遠くの点に情報伝達しようとするとステップ数が増え、伝達遅延や情報逸失が顕著となる。他方、極端にランダムすぎても使い物にならない。
ちょっと離れたところにリンクする「スモールワールド」化によって、大方規則的で、かつ一部のランダム接続が存在することにより、ネットワーク全体が著しく活性化する、というもの。
出典:http://www.santafe.edu/sfi/…/bulletinFall99/workInProgress/smallWorld.html
経済教室はそういう観点からはまったく書かれていませんが、この理論、Orkut(http://www.orkut.com/)や、gree(http://www.gree.jp/)、mixi(http://mixi.jp/)など、今話題のSocial Networkingサービスの理論(でもある)ということです。(他にも脳内のネットワーク、言語、伝染病等、様々な分析に使えそうです。下記、文献参照。)
Small Worlds: The Dynamics of Networks Between Order and Randomness (Princeton Studies in Complexity)
Duncan J. Watts (著)
Six Degrees: The Science of a Connected Age
Duncan J. Watts (著)
Small World 構造に基づく文書からのキーワード抽出
松尾豊、大澤幸生、石塚満(情報処理学会論文誌)
http://www.miv.t.u-tokyo.ac.jp/papers/matsuoIPSJ02.pdf
Small World Project:
http://smallworld.columbia.edu/
ワッツ氏:
http://smallworld.columbia.edu/watts.html
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ちょっと遅くなりましたけどフォロー。
small worldってのは日本語で言えば「縁が深い関係」ってことではないかと。
こういう深い人間関係は、利害が錯綜しているので、それぞれのノード(人)がその状態を他ノード(他者)に説明する責任が発生する。
細かいニュアンスまで説明する必要があるために、コミュニケーションレベルが異常に高くならざるを得ない。
これが著しい活性化とつながるんではないかと。
この身近で顕著な例が昔のおばちゃん連中の「井戸端会議」になるのかな?と考えたのであります。
どうでやんしょ?
ワッツ氏が考えている「small world」は、井戸端会議ほど密な関係ではなく、図でいうと3つのrandomnessのうち真ん中で、
「えーっ、あなたも○○さんと知り合いなのー?世間は狭いねー!」
と、驚くという程度の「粗さ」を指しているもよう。
つまり、「狭い世界」というよりは、「世界は狭い」というニュアンスのようです。
おはずかし。誤認識してましたです。
どうも調子っぱずれなコメントしかできないんですが、記事だけは毎日拝見しております。
宜しくお願い致しまする。
どうもありがとうございますです。
ではまた〜。