今週は、今年上半期〜7月までの記事を一覧する「総集編」をお届けします。
(こちらのブログはnoteに移転してますが、今回は特別にこちらに掲載しています。)
2021年前半は、毎年定点観測している、
- 上場前後の資本政策
- VCはいかに株式を売却するか
などの他、個別のテーマとして、
- SPACの上場時開示資料を見てみた
を取り上げました。
各記事の前に「雑談」をするのを始めてみまして、
- (第639号) 『竜とそばかすの姫』と、LLP(有限責任事業組合)
- (第640号) 家康とCEOのお仕事のアナロジーについて
- (第641号) ベンチャーキャピタル(VC)という業態は、「人」に投資をするという不思議なビジネス
といった話をさせていただきました。
各号の記事のリンクは、noteのURLとなっております。
いつもと同様、これらは法令・税務や投資判断の助言を行うことを目的とするものではなく、財務その他の観点からの検討を目的とするものです。実際の解釈や運用にあたっては、弁護士、税理士等の専門家の意見を参考にしてください。
■正月総集編
一年の最初は2020年の総集編でした。
2020年は、
- 上場前後の資本政策
- VCはいかに株式を売却するか
などの他、個別のテーマとして、
- VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEVとコロナ対応)
- 外為法改正に伴うパブリック・コメント関連
- ベンチャーキャピタルGPの新ストラクチャー(実践版)
- Vulnerabilityとベンチャーファイナンス
- 組合員別財務諸表の端数処理
等を取り上げました。
■上場企業の資本政策
上場時の有価証券届出書から、上場した企業の資本政策を読み解くシリーズです。
(第612号)上場前後の資本政策(Kaizenのinversion編)
昨年2020年12月に上場したKaizen Platform社は、もともと米国法人として設立されながら、日本法人化(inversion)した上で日本で上場しているので、本日はその経緯を中心に見てみました。
一時期、「世界的企業を目指すぞ!」「Nasdaqで上場するぞ!」と米国法人として起業するのがブーム?にもなりましたが、結果的に株主も顧客もほとんど日本の法人や個人だったり、活動も日本中心で行われていたりして、日本法人として日本の証券取引所への上場を目指す方が合理的であるケースも多いと想像されますので、このKaizen社のケースは、そうしたスタートアップの資本政策上、大いに参考になるんではないかと思います。
この週も、2020年12月に上場した企業の資本政策を見ました。
この週は、優先株式で比較的大型の調達をした会社が多くて情報量が多いので、下記の4社を取り上げました。
- ウェルスナビ
- ヤプリ
- 交換できるくん
- ENECHANGE
この週は、2020年12月上場の残り7社の資本政策を見ました。
- 東京通信
- グローバルインフォメーション
- ファンペップ
- SANEI
- 東和ハイシステム
- クリングルファーマ
- オンデック
この週は2021年2月に上場した下記7社の資本政策を見ました。
- QDレーザ
- アールプランナー
- アクシージア
- WACUL
- アピリッツ
- 室町ケミカル
- coly
この週は、2021年3月に上場した下記企業の資本政策を見ました。
この回は「ココナラ」までの4社を取り上げます。
- ウイングアーク1st
- ヒューマンクリエイションホールディングス
- i-plug
- ココナラ
この週は、2021年3月に上場した残り9社の資本政策を見てみました。
- T.S.I
- Sharing Innovations
- シキノハイテック
- ジーネクスト
- ベビーカレンダー
- ブロードマインド
- イー・ロジット
- Appier Group
- スパイダープラス
上場前後の資本政策(2021年3月その1)でご紹介したココナラですが、パッと見て「ん?」と思うところがいくつかあったので、この週は、設立時の登記簿まで遡って、ココナラの増資や優先株式の詳細を見ていきます。
これ、想像した以上にややこしい「中級編」のパズル的な資本政策で、読み解くのに、予想以上に苦労しました。
この週も、設立時からの登記簿を見て、ココナラの増資や優先株式の詳細を見ていきます。
この週は2021年4月に上場した下記11社の資本政策を見ました。
この週は、まず、
- オキサイド
- セルム
- ファブリカコミュニケーションズ
の3社を見ました。
この週も2021年4月に上場した企業の資本政策を見ました。
この回は、下記の4社を取り上げます。
- 表示灯
- アイスコ
- 紀文食品
- サイバートラスト
この週も2021年4月に上場した下記の会社の資本政策を見ました。
- ビジョナル
- ネオマーケティング
- ステラファーマ
- テスホールディングス
この週から、2021年6月に上場する下記22社の資本政策を見ました。
この週は、まず、
- メイホーホールディングス
- テンダ
- ワンダープラネット
- 全研本社
- Enjin
の5社を見ました。
2021年6月に上場した企業の続き。
- ペイロール
- ペルセウスプロテオミクス
- デコルテ・ホールディングス
- アイ・パートナーズフィナンシャル
の4社を見ました。
PEファンドっぽい案件や、ホールディングスの設立等、経緯的に複雑な会社ばかりで、どの会社も、典型的なスタートアップの資本政策とはちょっと異なっています。
(第638号) 上場前後の資本政策(2021年6月その3) この週も、2021年6月に上場した会社の資本政策を見ましたが、
「進め!電波少年」などで有名な日本テレビの土屋プロデューサーが書かれたnoteの記事
https://note.com/t_shacho/n/n978028f372e8 に刺激されて、スタートアップへの株式での投資とは、そもそも、「この報連相を断ち切る仕組み」であり、それによってイノベーションが促進されている、という雑談を書かせていただいております。
この週は、
- アイドマ・ホールディングス
- ドリームベッド
- アルマード
の3社を見ました。
この週も、2021年6月に上場した会社の資本政策を見ましたが、その前に、 「『竜とそばかすの姫』と、LLP(有限責任事業組合)」という雑談をしました。
LLPは「有限責任」なので、無限責任を負わなければならない「民法上の組合」より「イイ」はずなのに、アニメ等の製作委員会には、民法上の組合が使われることが多いのは、なぜだろうと思っていたのですが、「スタジオ地図」の法人やLLPの登記簿を拝見して、製作委員会にLLPを使いづらいわけの一端がわかりました、といった話でした。
この週は、
- HCSホールディングス
- ベイシス
- セレンディップ・ホールディングス
- 日本電解
の4社を見ました。
(第640号) 上場前後の資本政策(2021年6月その5+「家康とCEOのお仕事」)
この週も、2021年6月に上場した会社の資本政策を見ましたが、日本に25あるSTARBUCKS Regional Landmark Storesの一つ、浜松城公園店に立ち寄ったついでに、浜松城の天守閣(鉄筋コンクリート製)を見て、「家康とCEOのお仕事」のアナロジーについて雑談しました。
この週は、
- ステムセル研究所
- コンフィデンス
- オムニ・プラス・システム・リミテッド
- Waqoo
- BlueMeme
- プラスアルファ・コンサルティング
の6社を見ました。
この週から、2021年7月に上場した会社の資本政策を見ましたが、その前に「ベンチャーキャピタル(VC)という業態は、「人」に投資をするという不思議なビジネスですね、という雑談をしておりました。
この週は、まず、
- BCC
- コラントッテ
- ラキール
- アシロ
の4社を見ました。
■SPACの上場時開示資料を見てみた
この週から、SPAC(Special Purpose Acquisition Company:特別買収目的会社)上場時の開示資料(S-1)を見ました。
私は以前は、「SPACって、ちょっとシュっとした裏口上場でしょ?」くらいに思っていたのですが、昨今は米国のIPO時の資金調達のかなりの部分を占める巨額の資金(Bloombergの記事では8兆円以上、別の説では17兆円以上)がSPACのIPOで調達されており、つまりはその資金が買収を通じて未上場企業に流れ込むわけですから、米国のVC投資額と比較しても、既にスタートアップ生態系に対して巨大なインパクトを与える存在になっているわけです。
またSPACは、昨今の米国市場のレイターステージにおける巨額のファイナンスや、ダイレクト・リスティングなどと並んで、伝統的なIPOプロセスに対する壮大なアンチテーゼ、または競合する代替的機能にもなっていると言えます。
この回は、昨年2020年で最も大量の資金を集めたPershing Square Tontine Holdings, Ltd. の上場時の開示資料(S-1)を見てみました。
文中の翻訳は、DeepLの助けを借りて、ざっと訳しただけのものですので、正確な内容は、お手数ですが原文をあたっていただければ幸いです。 (第615号)SPACの上場時開示資料を見てみた(その1)
イントロダクションです。
この週も、昨年2020年で最も大量の資金を集めたSPAC(Special Purpose Acquisition Company:特別買収目的会社)である、Pershing Square Tontine Holdings, Ltd. の上場時の開示資料(S-1)を見ていきたいと思います。
この回は、どんな人(マネジメント、投資チーム、社外取締役候補)が関わっているのか、について。
SPACは「何もないカラの箱」なわけですが、それでお金を数千億円もいっぺんに調達してしまうパワーは(スキームやストラクチャもさることながら)「人」しかないわけで、「これはすごい!」という方々を勢揃いさせてます。
この週も、昨年2020年で最も大量の資金を集めたSPAC(Special Purpose Acquisition Company:特別買収目的会社)である、Pershing Square Tontine Holdings, Ltd. の上場時の開示資料(S-1)を見てみました。
この回は、「ユニット(unit)」と呼ばれている、株式とワラントの組み合わせ(のややこしさ=こんな金融商品がよく上場できるなあ)について見てみました。
この週も、昨年2020年で最も大量の資金を集めたSPAC(Special Purpose Acquisition Company:特別買収目的会社)である、Pershing Square Tontine Holdings, Ltd. の上場時の開示資料(S-1)を見てみました。
この週も、昨年2020年で最も大量の資金を集めたSPAC(Special Purpose Acquisition Company:特別買収目的会社)である、Pershing Square Tontine Holdings, Ltd. の上場時の開示資料(S-1)を見ていきたいと思います。
この回は、
- 「当初企業結合」(initial business combination)
- なんとJOBS法適用対象!
- SPAC側がガラス張りの中での、買収候補先企業との交渉とは?
といったあたりを考えてみました。
(第621号)SPACの上場時開示資料を見てみた(その6) (第622号)SPACの上場時開示資料を見てみた(その7)
この回は、実際に定款(Second Amended and restated certificate of incorporation)を見ながら、株式の設計について見てみました。(普通の、米国で上場するテック系企業のdual classの設計とは、かなり違います。)
「SECOND AMENDED AND RESTATED CERTIFICATE OF INCORPORATION OF PERSHING SQUARE TONTINE HOLDINGS, LTD.」という、上場した直後からの定款の内容で、資本の構造を見てみました。
■VCはいかに株式を売却するか
(第631号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その3)
昨年の暮れで途中になっていた、2018年上場企業の投資家の売却パターン分析を再開しました。
この週は、キャンディル社の株式の売却を見てみるとともに、大量保有報告書の見方や、「いい売却をする投資家」とはどのようなものかを復習してみました。
(第632号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その4)
この週は、下記の3社を取り上げました。
- チームスピリット
- ナルミヤ・インターナショナル
- マリオン
売却方法自体もさることながら、日本のファンドである投資事業有限責任組合の無限責任組合員(GP)を、外国に住所のある法人がやるのもアリなんですね、という実例を登記簿で見られたことが、個人的には勉強になりました。
(第633号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その5)
この週は、下記の5社を取り上げました。
- ブロードバンドセキュリティ
- ワールド
- Delta-Fly Pharma
- VALUENEX
- 霞ヶ関キャピタル
この回は、
- 無議決権の優先株主が筆頭株主だった場合の大量保有報告書
- グループで5割以上保有している親会社に準ずる立場?なのにチョビチョビと市場内で少量の売却をするパターン
- ファンドと名前がついているのに、2018年から今まで全く売らないパターン
- 1年半もかけて市場内でチョビチョビ売却するパターン
- 1ヶ月以内に市場内で5%以下まで売却してしまうパターン
- 全部ブロックで売却してしまうパターン
など、非常にバラエティに富む投資家の売却パターンを見ることができました。
(第634号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その6)
この週は下記の3社をを取り上げました。
- ピアラ
- アルー
- 自律制御システム研究所
(第635号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その7)
この週も引き続き、2018年上場企業の投資家の売却パターンを分析していきます。
この週取り上げるのは下記の2社です。
- ポート
- テノ.ホールディングス
この週は、ポート社の株主の方々の、一見して非常に難解な大量保有報告書から、株式の処分に関するさまざまな教訓が得られるんじゃないかと思います。
以下、目次一覧:
(第612号)上場前後の資本政策(Kaizenのinversion編)
(第631号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その3)
(第632号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その4)
(第633号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その5)
(第634号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その6)
(第635号) VCはいかに株式を売却するか(2018年その7)
(第640号) 上場前後の資本政策(2021年6月その5+「家康とCEOのお仕事」)
(ではまた。)
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