王子と労働

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身の回りでもオイルマネー系の投資家の方との接触の話が頻繁に出る今日この頃ですが、本日の日経新聞でもオイルマネーの紹介記事が2つも。
9面では、「サウジの投資家 アルワリード王子に聞く」という記事が掲載されてます。

アルワリード・ビンタラール王子 1955年リヤド生まれ。(中略)現アブドラ国王は叔父。米カルフォルニア州の大学を卒業後、投資活動に入る。総資産は236億ドル(約2兆8千億円)で、米フォーブス誌の2005年世界富豪番付で第5位。

とのこと。
この方が大量保有報告書を出すとしたら、職業欄には「投資業」とか書くんでしょうけど、もし「無職」と書いたら「50歳無職男」と報道されるのかなあ、と妄想。
たぶん、千葉の「27歳無職男」の方と違って王子のほうは、取引所が開いてるあいだ中ずっとモニターでチャートとにらめっこ、なんてことはせずに 非常におおまかな投資の指図を出すだけで、我々庶民からが考える「働いている」という姿からはほど遠いのではないかと想像しますが、ご本人が申告されるとされないとに関わらず、「無職」と呼ばれることは無い気もします。(たとえ王族でなくても。)
このへん、投資活動において「働く」とは何か、という根源的問題に関わりますね。
「労働集約的な活動」だけが「働く」ではないわけで。同じ投資家でも、デイトレーダーやスイングトレーダーの方の活動されてるお姿はかなり「労働」に映りますが、91年に買ったシティグループの株をそのまま15年近く持ち続けるのは、庶民から見てあまり「働いている」ようには見えません。
民法上の組合やLLP、LPSなどで、中心となる組合員(GP)以外も経営に参画する「共同事業要件」を満たすかどうかにも関わる問題かも知れませんね。つまり、第三者の(庶民的)観念で「共同事業要件を満たすのかどうか」とか「GP以外の組合員は働いてないじゃないか」ということが、どういう場合にどこまで言えるのかどうか。
(ではまた。)

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5 thoughts on “王子と労働

  1. やっぱり通常の感覚から言って、「労働」と呼ぶためには「頭や体を活発に使っている状態」が必要ですよね。
    で、デイトレーダーの方々は「毎日」働いているけれども、アルワリード王子は「15年にいっぺん」働けばよい、ということなのかも?
    夏の海辺に必須の「海の家」ってやつは結構儲かるそうで、ひと夏で5千万円ほどの収入になるそうです。
    海の家のオーナーは「1シーズン」働いて、あとは遊んで暮らすというライフスタイルになるわけですかね。
    まあ、「毎日」働かなくてもいいなら、それもひとつの生き方ではあるかと思います。

  2. 保坂です。
    匿名ですみません。
    結局、「労働」に対する宗教観ではないでしょうか?
    キリスト教は、聖書で投資について是と唱えています。
    ムスリムでも、異教徒に対して利子を取ることは禁じられていなかったはず。
    日本は、働かざるもの食うべからず、ですからねぇ。
    #この倫理観の成立は、いつごろなのでしょうね。

  3. 大量保有報告制度の投資ファンド等の機関投資家のその提出期限が、話題になっていますが、私は、「空売り」についての制度上の問題を取り上げます。
    まず、空売りには、信用取引分と信用取引によらない分が、あります。証券取引所では、証券会社から「空売り」注文がだされますと、同所では、信用分、信用分ではない分と分かります。
    信用取引による残高<特に売り残>は、日々公表銘柄以外は、毎週、証券取引所からの発表があります。また、証金会社では、大引け後、証券会社で、店内対当分の計算をし、証金会社に貸し株・融資の申し込みをしており、日々、その残高を発表しています。
    信用取引によらない「空売り」分は、殆どが、法人の注文かと思われます<個人でも、証券会社へ、かなりの資産を預けている場合には、個人の注文もあるかと思います>。信用分の空売り注文は、個人投資家が多く、この売り残高は、証券取引所で、個別銘柄ごとに発表され、「ガラス張り」なのに、信用取引によらない法人の「空売り」による個別銘柄の売り残高の発表はありません。
    唯一、情報としてあるのは、証券取引業界での統計情報から、貸し株残高等の閲覧ができますが、実際に売り建てられた<空売り>分とは、限りませんので、空売り残高の正確な数値は、不明です。
    証券取引所<東証>へ、何故に、個別銘柄の信用取引によらない「空売り」の残高を発表しないかと質問をしますと、担当者は、現渡し決済が行われた場合、市場を通した決済ではないので、その実数が掴めないといいます。そこで、証券会社に対して、現渡し決済が行われた日の翌日に、証券取引所へ対して、その報告を義務付ければ、その実数の把握はできるはずですねと言いいますと、答えに窮して回答はありません。
    上記の件は、金融庁に対してメールを送信しても回答は得られていません。
    上記のように、証券市場において情報公開が充分になされておらず、個人投資家は、蚊帳の外におかれている感がしています。
    法人の、信用取引によらない「空売り」は、CB、新株予約権等の引き受けによる、株式への転換請求により、現渡し決済の為の「空売り」もあり、それは、それらの引き受け手側の投資資金回収+利潤の為の手法でもあり、または、純然たる「空売り」の場合もありかと思います。
    唯、その信用取引に寄らない「空売り」の残高を証券取引所が、個別銘柄毎に発表しないのは、情報の公平・公正さを受ける権利から個人投資家を疎外している何物でもないと思いますが。

  4. こんにちわ。明日はよろしくお願いします。
    あのサウジの王子は昔家内の同僚のお客だったらしく(わかんないけど)、新聞記事になるような取引をやってたみたいです。今夏の某製鉄会社(一位じゃないとこ)の上昇も、あれは彼が買ってるんじゃないかって女房がいいはじめて、女房も買ってました。
    これ、決してインサイダーじゃないですからね^^;
    でわでわ。

  5. 今日はどうもすみませんでした。酔っ払っていたんでペラペラとしゃべりすぎました。
    カソリックも昔は融資の金利を取ることを否定してたんですよね。だからユダヤは金融資本として成長した。これも「ヴェニスの商人」に出てくる話。
    サウジの王子は、金利はダメだけどキャピタルゲインはOKという倫理感?なのでしょうか。融資は金を提供した個人・法人とは完全に別事業、投資(株式)は金を提供した者との共同事業。こんな考えなのでしょうか・・・。
    PS:ブログもごらん頂ければ幸いです。