(要旨)
ほとんどの人は、村上ファンドのインサイダー取引規制違反は対岸の火事だと思ってるかも知れないが、仮に村上氏が有罪となった場合、ストックオプションで得た公開企業の株式の売却(というか、自社株取引全般)が、非常にコンプラ・リスクを伴うものになるはずである。
ストックオプション会計が5月から導入されたことも合わせて考えると、株式を用いたインセンティブ・プランはほとんど使われなくなる可能性もある。
(以下、本文)
村上ファンド事件を「悪いやつもいたもんだねー」と対岸の火事と思ってる人は多いと思いますが、以前から申しあげている通り、村上氏が有罪になることによって、一般の人にも大きな波及効果がおよぶ可能性があります。
いろいろ考えられますが、一例として、ストックオプション制度って残るんでしょうか?というのが、本日のお話。
先週送られてきた旬刊商事法務(1771号)の最後のページで「シリウス」氏が、「村上ファンドによるインサイダー取引事件−その意義と今後の課題」という題で、村上ファンド事件の影響についてコンパクトに整理されており、
わが国の証券市場を公正で透明なものにしていくためには、本件のような大量取得等に係るインサイダー取引を禁圧していく要請はきわめて高いと考えられる
と、規制強化に賛同するお立場でらっしゃるようです。
中でも、
したがって、本件で起訴状どおりの形で証取法違反が認定されれば、代表取締役による決定のみでも重要事実についての「決定」があるといえる場合があるとした日本織物加工事件最高裁判決の基準が処罰範囲を拡大する方向に大きく「前進」することになる(取引が実行される確実性はおろか必ずしも蓋然性が高いとすらいえない段階でも「決定」を認定できるものとされる)と解される。
と、非常に柔軟に「決定」の時期が認定されるようになることが想定されるわけですが・・・・仮に、そうなるとすると、ストックオプション制度は、事実上使えなくなる可能性が高いんじゃないかと思います。
ストックオプションの「付与」は絶対安全か?
(本日の本題は、後述の「行使した株の売却」というパラグラフ以降のお話で、以下しばらくのお話は「杞憂」かも知れないので、お時間の無い方は、「行使した株の売却」というパラグラフ以降をお読みください。)
以前にも述べた通り、インサイダー取引に「いい面」があることは経済学者が指摘してますが、普通の方は、会社の取締役がインサイダー情報を使って儲けるというような「真っ黒」の事例を想像してしまうので、一見してまったく説得力がありません。
ただ、(誤解を恐れずに言えば)、ストックオプション制度というのは、まさに「バリバリのインサイダー」である役職員が「インサイダー情報による利益」を「合法的に」享受し、それを経済の発展のためにプラスに利用するための制度である(あった)と考えられます。
つまり、ストックオプション(新株予約権)の付与(割当て)は、インサイダー取引規制で禁止されている「売買等」(証取法第166条第1項)には該当しないと考えられるため、会社の役職員は、もろ「重要事実」に該当するような「株価が上がるのが確実なすごい新規事業」などを、どんどん考案して実現させることにより、結果として、「インサイダー(的)情報による利益」を享受することになり、会社も役職員も儲かる、というのが、そもそもストックオプションの役割のはずでした。
(もちろん、先日米国であったように、バックデートで書類を作成して、ストックオプションの行使価格決定の時期を株価が底の時期にあわせる、なんてのは「犯罪」でしょう。しかし、日本では、新株予約権の発行から2週間以内の登記が義務づけられているため、ちゃんとした公開企業なら、何ヶ月ものバックデートで付与時期をずらす、といったことは基本的にはしてないはずです。)
しかし、「グレー」ゾーンがどんどん厳しくに解釈される状況下では、前述の解釈のように、いくら「付与」とはいえ、「絶対安全」と言い切れるんでしょうか?と心配になってきます。
先日の小幡助教授の経済教室では、
金融取引は、明示的な禁止事項を設けても、名目的に禁止事項を回避しつつ実質的に同様の取引を作り出すのが極めて容易である。このため、実質基準で包括的に禁止し、事後的に判断する構造にしないと悪意の取引を防止できない。
と、おっしゃってましたが、(166条・167条の解釈としてはともかく)、確かに、「株式」の代わりに「新株予約権」、「売買」の代わりに「割当て」を用いることによって、少なくとも受け取る側にとって同様の経済的効果を作り出せることになります。
「インサイダー取引禁止の精神」というのを「インサイダー情報を使って儲けることは、すべてダメ」と広義に考えると、小幡説では、これも「違法」ということになります。
一方、「インサイダー取引禁止の精神」を、「詐欺ないしはその類似行為はダメ」と考えると、インサイダーと大きな情報の非対称性がある一般投資家との「(既発行の証券の)売買等」はダメだが、会社が新規に発行する株式や新株予約権の「割当て」は問題ない、ということになるはずです。
(ただこれも、「希薄化を通じて、全株主に損失を与えた」という言い方もできますが・・・。)
提携時等の第三者割当増資の例
(新株予約権でなく、株式に広げると話がわかりやすいかも知れません。)
実務では、企業が提携して新規事業を始めるときに提携先への割当増資も同時に行うというケースはよくある話。その際、弁護士さんから、
「第三者割当は証券取引法第166条に言う『売買等』には該当しないと解されるため、この取引はインサイダー取引規制に違反するものではないと思慮する」
といった意見書を取り付けているはずです。
こういった共同事業開始時の出資は、まさに新規事業という超インサイダー情報を共同事業のインセンティブに結びつけようということで、増資する際の株価も、新規事業発表後の株価でなく、新規事業発表前の株価を元に算定されているはずです。
結果的に出資者は株で儲かりますが、その「インサイダー情報」というのが、もともとその出資者あっての新規事業だとすると、その事業からの「分け前」を株式の価値の上昇で得たい、というのはある意味当然の話であります。
また、結果として、一般株主も儲かる(可能性がある)。(下図参照。)
同様に、ストックオプションの付与も、株主と役職員の利害を一致させようということで、以前に書いたとおり、経済学が想定する「インサイダー取引のよい側面」を利用した制度・・・・だったはずです。
ところが、「インサイダー取引禁止の精神」上、「割当て」も売買等の「潜脱行為」であるとみなされるなんてになると、これは上述の通り、産業界に非常に大きなネガティブインパクトを与えかねないお話。
上記の新規事業の提携先の出資の話をさらっと聞くと、一般投資家の人は「ずるいじゃん!」と思うと思いますが、企業価値というのは(本質的には)株式が売買されることによって上昇するわけじゃなくて、こういう新規事業等の「実態」が創造されないと上昇しないし、逆に、企業価値が上がれば、結果として一般投資家のプラスにもなるわけです。
だから、必ずしも、「グレーの解釈を広めに取る」とか「個人投資家中心の市場設計をする」というのが、社会全体とか個人投資家自身のプラスになるかというと、そうではないはずです。
(これも、合併等のパーチェス法適用やストックオプション会計と同様、「会計」の問題とも考えられますね。
上図のように、提携先が株価の上昇によりメリットを期待していたが、これも「インサイダー取引規制違反だ!」ということに[仮に]なるとすると、提携先はプロフィットシェアとかロイヤリティの形でその企業からフィーを吸い上げようとするはず。
提携先が20%出資して株価50%アップを期待していたが、これを代わりにキャッシュで払え、となると、PER20倍の業界、実効税率40%として、20%×50%×20倍×(1−40%)=120%、ということで、既存の年間利益の1.2倍もの巨額のコスト負担が数年に分けて発生する、ということにもなるはずです。
結果として、株価は横ばいとか下がる、とか、そもそも提携自体が解消になる可能性も高い・・・。
「企業結合へのパーチェス法の適用で、のれん代償却に耐えられずに合併がお流れになるケースもあるんだから、業務提携がお流れになるケースもあってもおかしくないでしょ」って、そりゃそうかも知れませんが。)
行使した株の売却
さて、以上は杞憂かも知れません(と祈ります)ので、ここから先は、法律に明文上「売買等」と書いてあることでもあり、インサイダー取引規制には、さすがに「割当て」までは含まないものと考えて進めさせていただきます。
とすると、新株予約権の「付与」にはインサイダー取引規制は適用されないし、また、新株予約権を「行使」して株に変えることも、明示的にインサイダー取引の規制対象外になっております。(証券取引法第166条第6項)
ただ、ストックオプションを行使して得た株式を売却するとなると話は別。
もろに、インサイダー取引規制の対象になってきます。
通常の上場会社では、株式の売却の際にインサイダー取引規制に触れないように、基本的には四半期等の決算発表直後でないと売却できないような内規を整備しているはずですし、また、決算発表にあわせて、重要事実に相当するようなことも、極力プレスリリースして開示しているはず。
しかしながら、「業務執行を決定する機関」や「行うことについて決定したこと(等)」というのが、村上氏が起訴されているような、実現性もあやふやな「一取締役(有力従業員)の思いつき」といった段階から適用されるとすると、そういう「一取締役(有力従業員)の思いつき」すら全く存在しない状態を四半期決算開示ごとに作り出すというのは、基本的に不可能なはずです。
重要事実になるような決定事項は、社外の相手への打診や交渉が必要な話なら、まだ話が煮詰まらないうちに公表できないですし、斬新なアイデアや企業秘密を含むものなら、ライバル会社に気づかれて競争に負けてしまう可能性も高まってしまうでしょうから。
また、会社の経営者や従業員には、どんどんそういった新しい事業のアイデアを発想したり、社内でブレストしてもらわないと、企業の価値自体が向上しないはずです。
しかし、そういう「一役員(有力従業員)が考えている実現性も不透明なアイデア」を「聞いちゃった」だけで株式の売却ができなくなるとしたら、ストックオプションで得た株式が売れない。結果として、インセンティブとしての魅力が無くなってしまうはずです。
換言すると、仮に前述のような判決が下った場合、ストックオプション制度導入している企業を、検察や証券等監視委員会がもし気に入らなければ、捜査することによって、ほぼ確実に「犯罪者」を作り出すことが可能になるんじゃないでしょうか。
証取法第166条第2項に定められる「重要事項」には、以下のようなものがあり、これらのどれについてもアイデアすら考えるのを止めてしまうような企業というのは、逆に、全くのダメ企業でしょうからw、「企業価値を高めようとがんばっている企業」なら、必ず役員や有力な社員が、これらに関わるアイデアを考えているはずだし、そういうアイデアがあるのを聞いちゃっていたにも関わらず株を売却しちゃった人というのは、社内を探せば1人や2人は必ず見つかるはずですから。
一 当該上場会社等の業務執行を決定する機関が次に掲げる事項を行うことについての決定をしたこと又は当該機関が当該決定(公表がされたものに限る。)に係る事項を行わないことを決定したこと。
イ 会社法第百九十九条第一項 に規定する株式会社の発行する株式若しくはその処分する自己株式を引き受ける者(協同組織金融機関が発行する優先出資を引き受ける者を含む。)の募集(処分する自己株式を引き受ける者の募集をする場合にあつては、これに相当する外国の法令の規定(当該上場会社等が外国会社である場合に限る。以下この条において同じ。)によるものを含む。)又は同法第二百三十八条第一項 に規定する募集新株予約権を引き受ける者の募集
ロ 資本金の額の減少
ハ 資本準備金又は利益準備金の額の減少
ニ 会社法第百五十六条第一項 (同法第百六十三条 及び第百六十五条第三項 の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定又はこれらに相当する外国の法令の規定(当該上場会社等が外国会社である場合に限る。以下この条において同じ。)による自己の株式の取得
ホ 株式無償割当て
ヘ 株式(優先出資法 に規定する優先出資を含む。)の分割
ト 剰余金の配当
チ 株式交換
リ 株式移転
ヌ 合併
ル 会社の分割
ヲ 事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け
ワ 解散(合併による解散を除く。)
カ 新製品又は新技術の企業化
ヨ 業務上の提携その他のイからカまでに掲げる事項に準ずる事項として政令で定める事項
二 当該上場会社等に次に掲げる事実が発生したこと。
イ 災害に起因する損害又は業務遂行の過程で生じた損害
ロ 主要株主の異動
ハ 特定有価証券又は特定有価証券に係るオプションの上場の廃止又は登録の取消しの原因となる事実
ニ イからハまでに掲げる事実に準ずる事実として政令で定める事実
三 当該上場会社等の売上高、経常利益若しくは純利益(以下この条において「売上高等」という。)若しくは第一号トに規定する配当又は当該上場会社等の属する企業集団の売上高等について、公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)に比較して当該上場会社等が新たに算出した予想値又は当事業年度の決算において差異(投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)が生じたこと。
四 前三号に掲げる事実を除き、当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であつて投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの
(第五号以下の子会社の重要事実は省略)
マイナスのリテンション効果
会社をやめないと株が売却できない、ということであれば、ベンチャー企業が公開すると、ストックオプションを行使して株に換え、とっとと会社を辞めるやつが増えちゃうかも知れませんね。
「売却日のたまたまの株価」がインセンティブになるのか?
そもそも、それ以前の話として、ストックオプションは、ホントにインセンティブになるんでしょうか?
未公開企業なら、アーリーな段階で付与した時の行使価格と公開後の株価が何十倍、何百倍になる、というのも普通にある話ですが、公開した後に付与されたストックオプションだと、何倍にも株価が伸びることは通常、期待薄なはずです。
株価は企業価値の向上以外にも金利や地政学的リスク等、様々な要因を織り込むわけで、ほとんどの従業員にとって、その「たまたま」の売却日の株価がインセンティブにつながるかというと、ほとんどつながらないんじゃないでしょうか。
また、四半期決算開示直後に株式の売却が集中する、ということが徹底されればされるほど、好業績でも逆に株価は決算発表直後に一時的に下がる期待が働くはず。そんな日の株価をもとに「おまえの報酬はそれだ」と言われても・・・ねえ・・・。
税制適格ストックオプションの要件では、年間の行使限度額は1200万円までですから、公開後に付与されて株価が高くなっている場合、株価が1.5倍になるとしても、600万円のインセンティブにしかなりません。
「重要事実についての決定」の時期が早まることによって「重要事実」を「聞いちゃう」確率は格段に高まりますので、1200万円払い込んで行使したはいいが、直後に重要事実を「聞いちゃった」ので、泣く泣く売却を3ヶ月後の決算発表後に先送りするとか、安全のために(府令6条1項1号の)適用除外を使って何ヶ月も前から売る契約をするなどしたら、その間に株価が大きく下がって行使価格を割り込んじゃった、というリスクも格段に高まります。
シリコンバレーでも、行使時に税金がかかって、その後株価が下がって破産した、と言う人がゴロゴロいるらしいですが、日本でもそんなことになると、その制度って、「インセンティブ」にはならんですよね。
コストとして見合うか?
未公開企業なら「本源的価値」のみ費用計上すればいいので、費用計上自体がゼロのケースが大半でしょうが、以前述べたとおり、ITベンチャー等の株価のボラティリティは、年間70%に達することも多く、その場合、株価の50%程度がオプションバリューとなり、これが行使可能時期までの期間按分されて費用計上されることになります。
またボラティリティの高い企業は、株価が上昇する可能性も大きそうなもんですが、公開後は株価がコスト計上額に見合った(上記の例で50%も)上がるとは限らない。
結局、新株予約権を直接付与して株を売却しなきゃいけないスキームよりも、株価の上昇に応じてキャッシュでインセンティブを支払う「ファントム・ストック」的プランの方がワークするかも知れません。
- 支給時期前の例えば3ヶ月とか半年の平均株価をベースに、疑似付与時からの上昇額に応じて、「キャッシュで」インセンティブを支払う。これだと、株式の売却によるマーケットへの悪影響もないし、「たまたま」売却した日の株価に影響されることもない。
- (上限は、付与時の株価の○割等、上限を付けないと、株価高騰時には破産するので、要注意。)
- 一定の算定式に基づくキャッシュでの報酬なので、ストックオプションと違って、付与時(から行使可能時までの間)ではなく、インセンティブ支払い時に費用計上されるので、費用は後送りできる。
- 税制適格ストックオプションと違って、当然、損金参入可能。(役員について「利益連動給与」として損金参入可能かどうかというと、ちょっと難しそう。また、役員は所得税の税率が高いことが多いので、株式によるインセンティブの方が得になるケースが多くなるはず。)
- 何より、前述のように、インサイダー取引規制から完全に解放されるので、「犯罪者」になる可能性が無く、精神衛生上、好ましい。
村上ファンド事件について、前述のような判決が出た場合には、オススメは、ストックオプション制度を廃止することはもちろん、明文で適用除外のある従業員持株会等での売買を除き、役職員(および退職後1年未満の方)の自社株の売買は一切禁止させるという「日銀並」(笑)基準を採用すること・・・・・・・・・
なぜかというと、従業員の中に一人でも「自社株のインサイダー取引」で検挙されるようなやつが出てくるというのは、その公開企業にとって、計り知れないマイナスのインパクトを発生させるからです。
・・・・てなことで、ホントにいいんでしょうか?
(ストックオプション制度は、1円ストックオプションを利用した退職給与代わりのプランくらいしか残らなかったりして・・・。)
(ではまた。)
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先日、研究会で名刺交換させていただいた者です。小学生みたいなHNですんません(それはそうと、磯崎先生の奥様は関西人なのですね・・)。
海外のインサイダー取引規制が、重要事実の定義は大まかに行うが、重要事実を「利用して」取引を行ったことを要件とすることによってインサイダー取引の禁止範囲を絞っているのに対して、わが国では「利用」要件を課さない代わりに他の要件を形式的に定義している、ということだったと記憶しています。この点、夏休みに調べてみたいと思います。
形式犯としてのインサイダー取引規制の定め方がいよいよ行き詰まってきており、発想の転換が求められているように思います。
その際、ご指摘のように、正常な経済取引への悪影響が小さいルールを策定することがきわめて重要なのですが、昨今の風潮では「柔軟な解釈」による際限ない処罰範囲の拡張論が簡単に喝采を浴びてしまいそうで、危惧しています。
>先日、研究会で名刺交換させていただいた者です。
どうもどうも。お目にかかれて光栄でした。
47thさんやろじゃあさんのブログのコメント欄では時々HNをお見かけしていたんですが、大先生でらっしゃったとは存じませんでした。
>磯崎先生の奥様は関西人なのですね・・
残念ながら、生粋の神奈川県人です・・・。
(ではでは。)
>そういうアイデアがあるのを聞いちゃっていたにも関わらず株を売却しちゃった人というのは、社内を探せば1人や2人は必ず見つかるはずですから。
そうですね、上場企業ならインサイダー取引をしている者は、少なからず存在しているはずです。
ストックオプション制度の目的は、インセンティブ付与が主目的ではなく、ストックオプションでは報酬に現金が必要ないということ、費用の負担も株主にしてもらうことによって直下の企業負担を軽くできるというものでしょう。
ストックオプション制度は成長過程にある企業(株式未公開企業)が、取締役や従業員に対して、将来その企業が成長し株価が上昇した際に企業の発行する株式をあらかじめ定めた安い価額で買い取ることができる権利(ストックオプション)を与えます。つまり、ストックオプションは現金の足りないベンチャー企業が、時価より低い権利行使価格で株式を発行することで役員や従業員の将来における報酬を増やすと同時に、既存株主に対して、株式価値の希薄化によって、その費用を負担してもらうという制度です。
上場企業で、業績もよく黒字決算なら、現金は十分もっていますから、現金で給料やボーナス、報酬を支払えばいいのであってストックオプションを活用する必要はありません。
ストックオプションは、未公開企業でこそ有意義な制度にはなりえますが、上場企業では、モラルハザードを招き必ずしも企業の発展にも有効な制度にはなりまえん。
何故、村上氏は「聞いちゃった」だけでインサイダー取引を簡単に認めたのかずっと疑問を持っています。
当初は、一部で報道されていたような、村上ファンドの他の仲間である就業者にまで証取法違反で起訴されないためとも、思ったが、どうもしっくりこない。
むしろ、isologueで今回指摘されているようなインサイダー取引の本質を司法の場で議論させたかったのではないか。
検察に立ち向かうには、正々堂々と司法の場で立ち向かった方が、日本の証券市場の発展になると村上氏はもしかしたら考えたのかしらと思ってしまいます。
一国の中央銀行と、これから上場しようという有象無象の企業を同列に論じるのはいささか乱暴な気がしますが……。ストックオプションはストックオプションの話であって(その点についてはご指摘のような懸念もあることでしょう)、日銀の話はまったく関係ないように思えます。よし、俺も頑張って起業していつかは上場するぞ、という可能性は誰に対しても開かれていますが、よし、頑張って俺も日銀総裁になるぞ、というワケにはいきませんから。
そんなに庶民の怨念が疎ましいですか?
>一国の中央銀行と、これから上場しようという有象無象の企業を同列に論じるのはいささか乱暴な気がしますが……。
同列に論じておりません。
中央銀行並にする必要がないのにもかかわらず、インサイダー規制上それが強いられるかも知れない不条理に対して、「〜てなことで、ホントにいいんでしょうか?」と、申し上げております。
なお、遅くなりましたが、前回いただいたコメントについてもコメントさせていただきましたので、ご覧ください。
(ではまた。)
お答えいただき、深く感謝いたします。
> 中央銀行並にする必要がないのにもかかわらず、インサイダー規制上それが強いられるかも知れない不条理に対して、「〜てなことで、ホントにいいんでしょうか?」と、申し上げております。
お書きになられていることは私なりに理解しております。私は該当記事を「ゴニョゴニョゴニョの結果、ゴニョゴニョゴニョなことなりそうです。これじゃ日銀の総裁みたいじゃないですか」と書かれているように理解しました。「ゴニョゴニョ」の部分は頭も悪ければ知識もないので「あぁ、そうか」と思うだけですが、最後の部分が無意味なレトリックに見え、しかもそこにアテコスリのようなものを感じただけです。太字+下線+(笑)で強調されていることですし。
私の誤解でしたら、深くお詫び申し上げます。
アメリカでもspring-loaded stock optionsがインサイダー取引じゃないかという議論があるようですよ。
http://www.professorbainbridge.com/2006/07/springloaded_op.html
ご参考までに。
ストックオプション制度(新株予約権)の意味とは?
ストックオプション制度(新株予約権) (すとっくおぷしょん) 企業の役員や従業員などがあらかじめ決められた価格で自社株を買うことができる権利のこと。