先日、著名ブロガーの方々数人と、米国の「ブログネットワーク」みたいなものについての意見交換を行ったのですが、その際、私が思った最大のギモンは、「(単なる感想文とか何食ったとか日記とか、でない)『個』として意見を述べるようなブログは、今後も増えていくのかしらん?」・・・・つまり、「中身の濃い(「ヘッド型」の)」ブログをネットワーク化するのはいいとして、そのパイ(マーケット規模)は、今後もどんどん増えていくのかしらん?また、そのパイを前提とするビジネスモデルは、成立するのかしらん?ということでありました。
少なくとも、今のところ日本では、中身の濃い読みがいのあるブログが次から次に出てきて、読みきれなくて困っちゃう・・・ということは無いような気がするので。
「niftyのフォーラム」とか「ホームページ」や「メーリングリスト」も、最初に主だった人たちがやりはじめて、一定の時間が経つと、出尽くし感が漂ったねえ、というような話も出ました。
そんな中、先月まで法務省民事局にお勤めだった葉玉さんがついにブログ(会社法であそぼ)から引退されることに。
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_2109.html
10月2日付で、東京地検特捜部に異動されたとのこと。(9月中旬からライブドアブログから移転されたので、なんでかなーと思っていたのですが・・・・東京地検特捜部でライブドアブログはまずい(笑)とというお考えだったんでしょうか。)
私は、会社法の施行という「天地がひっくり返るようなこと」が、これだけスムーズ(?)に行えたのは、この葉玉さんのブログの存在なくしては、(つまり、タテマエしか書いてないお役所風冊子を配ったり、時々説明会をやったり、といった旧来型のコミュニケーション手法だけでは)、ありえなかったと思ってます。
検事さんの世界のことはよく存じませんが、「ご栄転」だと思いますので、おめでとうございます。新しい職場でのご活躍をお祈り申し上げます。
大組織でブログを書くのは難しい
日本だと、(特に世間で「優秀」とされる方ほど)大組織に属してることが多いわけですが、大組織だと、いろいろ考えると、やはりブログで自分の意見を述べるというのは、一般的に非常に難しいはず。自分の直接の仕事には関係なくても、自分の所属する組織全体を見渡すと、誰かがやっている仕事に関係することも出てきてしまう可能性が非常に高くなるので。
法律職の方のブログというのも非常に多いですが、やはり、独立して事務所をやってる弁護士の方や、大手の事務所でも海外留学中の方が多く、大組織に属しながら実名で、というのは極めて例が少ないのではないでしょうか。葉玉さんもおっしゃってるとおり、かなり特異な「職場や上司のものわかりのよさ」がないと、大組織にいながら「個」として情報発信するというのは、日本の雰囲気ではキビしいはず。
監査法人に勤めながら実名でブログ、という人も非常に少ないと思いますし、一般の経済人でも、大企業勤務で実名ブログという人はほとんどいなくて、「ベンチャーの社長」だったり、「大学教授」だったり、独立性がある(勝手にモノが言える)ポジションの方が多いのではないかと。
フリーエージェント社会とブログ
ということは、さらに言えば、「読み応えのあるブログが多いかどうか」は、日本全体の産業構造にも関連するかもしれないな、と。
おっしゃっていた方が、ダニエル・ピンクだったか、渡辺千賀さんだったか忘れましたが、カリフォルニア州では、すでに労働人口の4割(だったか)は、独立事業者や臨時雇用者などの「フリーエージェント」であり、全米でも4分の1程度はそういう独立事業者などになっているとのこと。
つまり、労働人口のうちに占める「フリーエージェント」の比率が高い社会になっていかないと、結局、「勝手に情報発信する」という人がどんどん出てくるということにはならないし、今後、読み応えのあるブログがどんどん増えていく、といったことにはならないのかも知れないですね。
(ではまた。)
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読み応えのあるエントリを書くためには相応の時間と労力が必要です。もちろん日常の実務に裏付けなど「その道に通じている」人が書いてくれたものの方が有り難みが増します。
おそらく磯崎先生の言う「フリーエージェント」とはそういう人たちをさしているのだと思われます。「その道に通じている」という意味ではサラリーマンだって一角の人物に加えてもいいはずですが、多くのサラリーマンは目の前の情報収集が精一杯で、とても情報発信に割く時間的余裕はないと思います。それでよし、としてしまっては進歩がありませんが。
ところでこちらで紹介のあった「信託大好きおばちゃん」は自らのブログがもとになって(多分)、東京での新しい職を得たようです。そういう例を知ると、自己研鑽+自己アピールの場としてブログはもっと注目されてよいかもと思います。
トラバに失敗しましたが、ダニエル・ピンクさんの「フリーエージェント社会の到来」と「ハイコンセプト」あたりに情報があります。
http://blog.fujii.org/?eid=517937
ピンク氏については、インディペンデント・コントラクター協会の秋山理事長が詳しいです。
http://akiyamasusumujimusho.cocolog-nifty.com/main/
では。
フリーエージェント比率の高い社会って、
9割の人にとってはただの不安定雇用社会だと
思うんですが・・・。
世の中は、ブロゴスフィア界隈のエリート様だけで
成り立っている訳ではないのです。
あんまり凡人をイジメないで下さいよ。
フリーエージェント比率の高い社会になると、相対的に私の仕事も、より厳しい競争にブチ込まれるわけですし、mixiも、フリーエージェント比率が低い社会だからこそヒットしたような気がします・・・・ので、(日本全体のためになるかどうかは、おいといて)、私も個人的にはフリーエージェント比率が高くなくてもいいです。はい。
(ではまた。)
株価下落してますね。「mixiは規模を拡大すればするほど、本来のmixiらしさが失われる」という大きな矛盾をどう乗り越えるかに注視したいと思います。
千賀さんのは↓かな。
アメリカ人の4人に1人が刺青、シリコンバレーの5人に1人がフリーランスhttp://www.chikawatanabe.com/blog/2006/08/43.html