(追記するとともに、改題しました。14:36)
かなり前にインタビューいただいたので、すっかり忘れてましたが、今週号の週刊東洋経済
の特集(「落ちる中間層」−ワーキングプアより深刻なホワイトカラーの没落)に、私のコメントを載せていただいてます。(62ページ。)
数行程度使われるだけかと思ってたら、写真入りで半ページも。
「経理・財務の分野でも、”ドメ”だと、今後厳しくなりますよ」
てなことをコメントさせていただいております。
−−−
私のコメントでは、「経理・財務の分野は、法令があって地域・国ごとに分かれているので、ある意味ローカルな領域です」となってますが、46ページを見ると、アメリカではもう、経理や確定申告についても、インド・フィリピン・イスラエル等にオフショアリングされている様子が載ってます。
日本の申告業務の場合、日本語による障壁もともかく、税理士法第52条
(税理士業務の制限)
第五十二条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
(税理士の業務)
第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)第十三条の三第四項 に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項 に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(略)
二 税務書類の作成(略)
三 税務相談(略)
の規定(罰則は税理士法第59条で、「二年以下の懲役又は百万円以下の罰金」)があるので、顧客が直接、オフショアリングするのはどうなんでしょうね?(つまり、この規定は、海外の事業者にも適用になるんですよね?)
また、日本で税理士資格を持った人が、海外の業者にアウトソーシングするのは、第2条の2号からして、できるんでしょうか?(ギョーカイで「問題」になるのは確実そうであります。)
税務代理はともかく、書類作成や相談まで法で禁止してしまう、というのは、この21世紀に、なんとも競争制限的な規定ではないかと思います。
財務、経理、税務といったビジネスの根幹にも関わる領域に競争メカニズムが働かないことで、日本企業の効率性自体が損なわれるということは、無いんでしょうか?
(ご参考まで。)
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監査は、監査証明にサインする代表社員の人が有資格者ならOK、だから監査法人では日本の会計士の資格のない人も実務を従業員・補助者として担当している、と聞いたことがあります。弁護士法でも、原則弁護士独占の規定があるけど、書面作成の現業?!は事務所の事務員の方がバシバシこなしていたりしますよね。同じような方法で、補助者の部分をアウトソースできちゃったりして…。
監査は、現場にいかないと作業ができないので、有資格者かどうかはともかく、オフショアリングは難しい気がします。
また、以前
http://www.tez.com/blog/archives/000286.html
も書きましたが、弁護士法では、書類作成まで禁止しているわけではないと思いますし、「業」として行うことを禁止しているので、法学部の学生が無料法律相談を行ったりするのもアリなのだと思うのですが、税理士法は、税務に関する書類作成や相談自体を無償であっても禁じている、というのが(少なくとも税理士会の)解釈なので、雇用者である補助者ならともかく、別法人等にアウトソースする、というのは現状の法解釈上は厳しいんじゃないかと思ってるんですが、どうでしょうか。
「落ちる中間層」−ワーキングプアより深刻なホワイトカラーの没落
[http://www.tez.com/blog/archives/000802.html#comments 日本の税務関連業務は今後も競争制限的法令によ…
兵庫県警外事課が朝鮮総連傘下団体の元幹部を「無資格にもかかわらず税務書類を作成し尼崎税務署に提出した疑い」で逮捕したとの報道が出ました。有償だったかどうかは定かではありませんが、税理士法第52条は生きているわけですね。
財務員なので年末調整や確定申告の時期には質問を受けることもあり、家庭に戻れば女房の申告書を手伝っていたり、などとはこわくて書き込めません。
ずれたコメントで失礼しました。
> 顧客が直接、オフショアリングするのはどうなんでしょうね?(つまり、この規定は、海外の事業者にも適用になるんですよね?)
この点について税理士法には定めがありませんので、刑法総則の定めにしたがって、「日本国内において罪を犯した」者に対してのみ適用されることになるんじゃないでしょうか(刑法8条、1条)。
(国外犯にも適用するには、証取法第203条の2第2項のような規定が必要です。)
申告書類作成行為等の一部が日本国内で行われているかによって適用されたりされなかったりすることになりそうです。
これまた磯崎さんの事ですから既にご覧になられていると思いますが
http://db.jicpa.or.jp/visitor/general/toshin_dl.php?id=3989
業界の利益擁護体質は以前から指摘されていましたが、
それに対する会計士協会の根拠も弱いというかなんというか…
一番最後にオマケ程度に付け加えられている国際的調和の観点が一番重要なのかな、とも思いました。
なるほど。規定のし方が弁護士と税理士で微妙に違うんですね。他方、記帳代行は税務ではない、ということになるんですね。