本日拝見した9月15日号の「税理士界」に、横浜国立大学准教授 吉村政穂氏による「仮想現実の世界と課税」という論文が載っています。いつもは「オッサン臭さ」が漂うことが多い同紙の記事の中にあって、非常に若々しいというかコンテンポラリーな論文ではないかと思います。
内容は、セカンドライフなどのオンラインゲームについての紹介からはじまり、「リンデンドル」やアイテムなど、換金性を持つゲーム内での「資産」について、どういうタイミングで現実の収入の原因とみなせるのか(つまり、所得として課税するべきなのか)について論じられております。
個人的には、(少なくとも日本においては)、まだオンラインゲーム市場における課税を本格的に検討するにはちょっと早い(まだ、無記名の債券などを使うほうが、「リンデンドル」で租税回避するよりも、租税回避する人にとっては安心感がありそう)という気がしていましたが、すでにセカンドライフで数億円稼いだ人もいるという話も(ホントかどうかよく存じませんが)聞きますし、将来に向けてこうした「限りなく現金に近い換金性があるが、体裁上は、ゲーム上などのバーチャルなモノ」の課税について検討する必要が出てきているのかも知れません。
論文中で、以下のアメリカ等における論文を参考文献として掲げておられますので、(まだよく読んでおりませんが)、以下メモです。
The Play’s the Thing: A Theory of Taxing Virtual Worlds
BRYAN CAMP
Texas Tech University – School of Law
August 9, 2007
http://ssrn.com/abstract=980693
‘Stranger than Fiction’: Taxing Virtual Worlds
LEANDRA LEDERMAN
Indiana University School of Law-Bloomington
http://ssrn.com/abstract=969984
Taxing Ones and Zeros: Can the IRS Ignore Virtual Economies?
By Dustin Stamper
http://www.taxanalysts.com/
オンラインゲームフォーラム「オンラインゲーム市場統計調査報告書2007」
http://www.onlinegameforum.org/release20070628.pdf
「注解所得税法(四訂版)」(大蔵財務協会)
渡辺弘美「仮想世界を巡る法制度的な議論」
http://www.ipa.go.jp/about/NYreport/200704.pdf
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