週刊isologue(第112号)東京電力の「意外?な好決算」を読み解く

先週末(5月20日金曜日午後3時半)、遅れていた東京電力の平成23年3月期の公表がついに行われました。

決算短信(pdf)
決算概要(pdf)
アナリスト向け決算説明会資料(pdf)

 

今回の決算は、一言でいうと対前年比で増収・経常利益増益のすごくいい決算になっています。
当期純利益が1.2兆円の超ド赤字ですが、債務超過にはなっていません。

昨年12月末の純資産が約3兆円もあったので1.2兆円の損失程度では債務超過にはならないわけですが、手元のキャッシュに至っては、銀行から2兆円を調達したおかげで、3月末のキャッシュはなんと2.2兆円以上、昨年度末比で12.5倍というかなり潤沢なキャッシュを保持しています。

実態はどうなのか、詳しくこの決算の中身を見て行きたいと思います。

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

Yomiuri Online連載第6回目「なぜイケてる上場企業が少ないのか?」

Yomiuri Onlineに連載させていただいている「磯崎哲也の『起業案内』」第6回目が掲載されました。

http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/isozaki/20110516-OYT8T00737.htm

 

今回のテーマは「なぜイケてる上場企業が少ないのか?」。

「株主が悪い」「証券会社や証券取引所、監督官庁が悪い」というのが、本質的な原因なんでしょうか?という話です。

ご参考まで。

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

週刊isologue(第111号)東京電力の原発事故賠償スキームの分析

先週13日、東京電力の原発事故の賠償のスキームについて、関係閣僚会合の決定が行われました。

枝野官房長官が、銀行に対して債務免除を求めたため、
「本来、まずは『株主責任』を問う(100%減資する)べきじゃないか」
「政府は、資本主義の基本的なルールがわかっていないのではないか」
といった意見も出ているようです。

今週は、この東京電力の原発事故賠償スキームが、どういった性質のものなのかについて分析してみたいと思います。

 

目次とキーワード:

  • 賠償スキーム案の概要
  • 東京電力の利害関係者(ステークホルダー)の整理
  • 経費、遊休資産、本業の資産のリストラ
  • 負担金の「相互扶助」スキームの「うまさ」
  • 「交付国債」とは何か?
    (預金保険機構スキームと今回の「機構」)
  • 株主構成
    (「株主責任」を取らせなかったのは何故?)
  • 「注入」される優先株にはどんな条件が付くか?
  • 難しい「普通株と優先株の分け前」

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

【aho計算】 わんこは放射性物質をどのくらい放出しているか?

生物の体内にはカリウムがあり、その中には一定量の放射性カリウムが含まれていて、これが日常の内部被曝の最大要因になっていると言われています。

東京もすでに被曝、1平方cmあたり3ベクレル」「東京オワタ\(^o^)/」というようなことがネットで語られているのを以前見まして、ずっと気になっていたのが、「うちのわんこが散歩の時におしっこをすることで、どのくらいの放射性物質を排出してしまっているのか?」という点。

上記のような低濃度の放射能であれば、へたすると、うちのわんこも放出したりしてしまっていないでしょうか。

この点について、ネットを参考に、高校の物理や数学を思い出しつつ計算してみました。

(「竹中平蔵氏の確率計算」の話が話題になってましたが、この「複利の計算」がわかれば、すっきり解決です。)

 

うちのわんこは 40kgあるのでw、

 

201105120745.jpg
(クリックで拡大)

 

尿量は人間とほぼ同じと仮定して1日1リットル、小出しに分けるので1回あたり100ccと想定。

 

続きを読む

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

週刊isologue(第110号)首相の原発停止要請と中部電力のコーポレートガバナンス

先週金曜日(5月6日)に菅首相から中部電力に対して、浜岡原発のすべての原子炉の運転を停止する要請がありました。

原子力発電は(少なくとも会計上の)コストは安いので、これを火力に切り替えることで、「燃料費増により年間約2500億円の費用負担が生じ、赤字転落は確実な情勢」(2011.5.9 09:54 、msn産経ニュース)等と報道されており、これを受けて本日は株価も先週末比で10.3%下落しました。

ネット等では、「これをそのまま受諾したら、中部電力の役員は株主代表訴訟で負けるのは確実だ」「いや、安全のために原発を停止するのは普通の話なので、代表訴訟に負けるわけがない」といった議論もあります。

今週は、このような企業が自社に損失が発生するような圧力を受けた場合に、取締役や監査役がその職責として、どのような対応をするべきなのか、中部電力の役員の方々は、どのような判断をしそうなのか[したのか]、等について考察してみたいと思います。

 

(15時半から中部電力の取締役会が開催されており、今後の発表や報道等によっては内容が変わる可能性がありますが[つまり、例によって、まだ執筆中ですが]、本日23時50分ごろ配信予定です。)

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

Yomiuri Online連載第5回目「なぜ、この時代のこの日本に生まれたんだろう?」

Yomiuri Onlineの「磯崎哲也の『起業案内』」第5回目が掲載されました。

http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/isozaki/20110502-OYT8T00862.htm

 

今回のテーマは「なぜ、この時代のこの日本に生まれたんだろう?」。

かなり「厨二」な話で恐縮ですがw、「我々、自分の思い通りにビジネスをするには、かなり面白い時代と場所に生まれたんじゃないか?」という内容であります。

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

週刊isologue(第109号)東京電力(電力料金への影響編)

今週は、ゴールデンウィーク中でもありますので、今までの復習とまとめを兼ねて、
東京電力の原発被災者への補償や、経営の悪化で社債の金利等が上がることによって、電気の料金にどう影響があるか?
ということを考えてみましょう。

 

電力料金を2割上げれば、原発被災者への賠償は簡単に行える
電気料金は『総括原価方式』で決定されているので、賠償額や廃炉の費用、金利の上昇分は、料金に転嫁されてしまう
といった意見や不安も出ているようですが、これは本当でしょうか

根拠条文や会計上の原価の考え方等に遡って、これらを検証してみましょう。

(連休なので、あっさり10ページくらいであっさりまとめようと思って書き出したら、30ページというかつて無い大作になってしまいました…orz。)

 

201105022351.jpg

 

目次とキーワード:

  • 電力料金の算定規則
  • 総括原価方式
  • 「営業費」の中身
  • 電力事業営業費の全体像イメージ
  • 「法人税等」が営業費?
  • 「補償費」は総括原価に入るか?
  • 今まで補償費が一番多く支払われてきた設備は何か?(原発か?)
  • 過去の料金変更はどのくらいの頻度で行われたか?
  • 燃料費調整制度のしくみ
  • 電力10社の平均燃料価格
  • 燃料費(価格と使用量の基準と実績、料金との関係)
  • 「事業報酬」(ファイナンスコスト)の中身
  • WACC(Weighted Average Cost of Capital=加重平均資本コスト)とどう違うか?
  • 支払利息負担増による影響
  • 「東京電力の料金は総括原価方式で計算されるから、今後調達コストが上がって高い金利を払うよりは、社債等がデフォルトしちゃった方が、利用者の電気料金の負担は減る」は、正しい?
  • まとめ

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

インターリンク社で、シリコンバレーでのインターン募集

私が社外監査役やらせてもらってますインターリンク社でシリコンバレーでのインターンを募集してます。

 

201104281355.jpg

 

http://www.interlink.or.jp/internship/

(なぜ「リス」がいるのか?という疑問はありますw。)

 

ふつうはインターンというと「いいヤツがいたら我が社で採用したい」という意図が背後にあることが多いかと思いますが、(この企画も、そうした気持ちがまったくゼロとは申しませんが)本日、取締役会で社長に聞いたところ、「将来、シリコンバレーの最先端のベンチャー企業で働くようなヤツを、この企画から輩出したい」とのこと。

(単純な採用活動の一環だとしたら業務執行の一環にもなりかねないので、社外監査役としてはご紹介しにくいのですが)、そうした社会貢献的な意味合いもあるので、ご紹介まで。

 

ご興味のある方は、チャレンジしてみてください。
(単なる「海外旅行プレゼント」ではないので、各自の責任で担当の人に詳細な内容や疑問をよくお確かめください。向き不向きもあると思いますので。
ご意見、ご質問等は、直接インターリンクの担当までどうぞ。)

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

週刊isologue(第108号)東京電力(収支予想編)

先週は、今年3月末の決算で東京電力が債務超過に陥っているかどうか、ということをデータをもとに検討しました。
つまり、「静的な一時点での」「ストック」の検討をしたわけです。

債務超過かどうかもさることながら、今後の収益力を考えないと、東京電力の「処理」をどうしたらいいかもわかりませんので、今回は、「今後の」「フロー」、つまり、収益がどのような推移をたどるのかを予想してみたいと思います。

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

「ビジネス書大賞2011」で18位に選んでいただきました。

拙著「起業のファイナンス」が「ビジネス書大賞2011」で18位に選ばれました!

 

このビジネス書を読め! ビジネス書大賞2011
ビジネス書大賞実行委員会
ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング: 33053

 

しかし、18位は19人くらいいるので、18位の次は36位。
で、18位の前は10位。

つまり、あと1票多ければベスト10入りだった。惜しい!

というか、1票少なかったら36位だった、ということでもありますが・・・ともかく感謝です!

どうもありがとうございました!

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。