ウミタナゴでびっくり

磯崎@連休モードです。
(三菱自動車の優先株発行の特別決議も、グーグルのIPOもとりあえずおいときまして・・。)
うちの隣の方が釣ってきた魚をくれたんですが(うちから車で15分くらいで海なんです。)、さばいたら中から子供が・・・
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ウミタナゴ(だと思いますが)って卵胎生だったんですね。
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30匹も出てきました。(あーびっくりした。)
では、みなさま、よい連休を。

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自己資金なしで(1円会社でない)会社を作る方法(種類株式の利用)

「1円会社」制度創設から1年(ちょい)
平成15年2月1日から「最低資本金規制の特例」というのができて、「事業を営んでいない個人が」新たに会社を設立する場合には、最低資本金(株式会社1千万円、有限会社300万円)未満の資本金で設立することが認められました。
いわゆる「1円会社」とか「確認会社」といわれる会社です。
参考URL:経済産業政策局 新規産業室「最低資本金規制の特例」
http://www.meti.go.jp/policy/mincap/
「確認会社」が使えないケース
この制度もかなり利用されているようで喜ばしいことですが、これはサラリーマンなど、「まだ事業を営んでいない」「個人」を対象にした制度なので、すでに事業を営んでいる個人が法人を設立したり(いわゆる「法人成り」)、法人が関連会社を設立したりする場合には使えません。
現金はないが事業や資産のある人
現金が300万円とか1000万円とか準備できる人はフツーに会社を設立すればいいだけです。
また、すでに個人事業を営んでいて、その事業で使っている資産や事業自体が300万円とか1000万円以上の価値を持つ場合には、その資産や事業を現物出資することによって、(確認会社でない)法人を設立することが可能です。
参考URL:http://www.tez.com/about/valuation.htm
人からお金を借りて出資
法人設立前のベンチャーの相談にのらせていただいていて意外に多いのが、「個人ではあまりお金が無いが、”君が会社をやるなら金を出すよ”と言ってくれる人がいる」というパターンです。
この場合に、シンプルにその資金提供者から個人的にお金を借り入れて資本金に当てるケースが多いのですが、これでは、個人で債務を負う形になってしまいます。
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「資金を出してもらったのだから会社がうまくいかなくても返すのは当然」という責任感が強いのはりっぱなのですが、この方法は、有限会社や株式会社はせっかく有限責任で、事業がうまくいかなかった場合のリスクは必ずしも経営者が負う必要がないにも関わらず、事業がコケた上に個人の債務も残ってしまうリスクがあるわけです。
資金提供者にしても、その会社が倒産したら、経営者から資金回収できないことも多いわけですが、その経営者が破産等の事態に陥らない場合は、税務上損金参入もできない可能性もあり、資金提供者にとっても必ずしも望ましい方法ではないのではないかと思います。
直接出資してもらう場合
資金提供者にも株主として入ってもらってリスクを負ってもらう方法もあります。
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この場合、注意しなければならないのが「資本政策」です。つまり、どういう持株比率でどう成長し、IPO等でどう株主に資金回収のチャンスを与えるか、というシナリオです。経営者と資金提供者の資金拠出量が1:5だとしても、そのままの持株比率だと、経営者のリーダーシップも取りにくいですし、将来仮に公開するようなことになっても、主幹事がいい顔しない可能性もあります。
この場合、経営者が1株5万円として、資金提供者は1株15万円で増資に応じてもらうなど、バリュエーション(企業価値評価)に「差」を付けて調整することが行われます。ただし、同じ条件の普通株式の場合、同時期の出資で10倍も差を付けることは、資金提供者との交渉上も、また税務上も、難しい部分があります。
一方、スタートアップのときに経営に関与しないエンジェルが少額で3割も株を握ってしまうというのは、あとあと資本政策的に厳しくなることが大いに予想されますので、それも困ったもので。
まず300万円で経営者が有限会社を設立した後、資金提供者が700万円出資して資本金1000万円の株式会社にするという方法も考えられますが、「1.まず有限会社を設立」→「2.登記完了まで2週間」→「3.増資の登記に2週間」→「4.株式会社への組織変更」→「5.組織変更の登記」という形で、何回も登記しないといけないので大変面倒です。
(面倒ではありますが、資金がないが資本金特例も使えない場合でバリュエーションを付ける有効な方法ではあります。)
種類株式(優先株式)を使う方法
アメリカでは、創業者は数千ドル程度普通株で出資して会社を設立して、そこにエンジェルやベンチャーキャピタルが大きくバリュエーションに差を付けて「優先株式(preferred stock)」で出資を行うということがよく行われます。
日本では最低資本金制度があるので、前述のように特例を受けられない場合には、このバリュエーションの差が付けにくいわけですが、設立時に一発で普通株式と種類株式(優先株式等:商法222条)を組み合わせて出資してしまう方法が考えられます。
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上図のように、拠出する資金の量は圧倒的に資金提供者が多くても、株式の種類を変えることによって、非常にフレキシブルに経営者とエンジェルの方等とのバランスを取ることができます。
例えば、「会社の議決権はまったくいらないからがんばりなさい。儲かったらお金はちょっとだけ色を付けて返してくれればいいから」という太っ腹なエンジェルの方から資金提供を受けられる場合等には、議決権がまったく付かない種類株式として、配当優先権などで工夫をすることが考えられます。
つまり「ある時払いで金利の支払も自由な借金」または「劣後債務」といった負債に極めて近い性質を持つ種類株式ということです。
また、「基本的には儲かったらお金はちょっとだけ色を付けて返してくれればいいけど、そうはいっても、ちょっとはキャピタルゲインの可能性も欲しい」という資金提供者の場合には、出資の1部を普通株式や議決権付きの優先株式にするとか、または、優先株式全体で非常に少ない個数の議決権を割り当てて普通株式への転換権を付けるなどの設計が考えられます。
また、このスキームは、必ずしも資金の無い創業者に限らず、法人が連結対象としたくないSPCを設立する場合のスキームなどにも使える可能性があります。(当然、全体のスキームや優先株式の条件によりますが。)
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種類株式は、配当優先権や、残余財産分配権、議決権、普通株式への転換権などを自由に設計できるので、非常にバリエーションに富んだスキームを組むことができます。
(本日は、このへんで。ではまた。)

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債権の電子売買

本日の日本経済新聞朝刊4ページに「売掛債権などの電子的な売買、登録制で二重譲渡防ぐ——経産省、新手法で流動化促進」という記事が。

経済産業省はインターネットを通じた売掛債権などの電子的な売買について、二重譲渡によるトラブルを防ぐため、第三者機関への登録を義務づける制度を創設する方針だ。ネットによる債権の流動化は一部金融機関が始めているが、現行法では第三者に対抗できる債権譲渡の手続きに難点があることを重視した。登録制を通じて不正を防ぎ、債権の流動化を促し、企業の多様な資金調達を後押しする。
 新制度の創設は産業構造審議会(経産相の諮問機関)が二十八日に公表する報告書案に盛り込む。審議会は法務省や財務省、金融庁も傍聴しており、新制度をつくる方針は大筋で一致。今後は法務省などが民法や商法などとの整合性を検討、二〇〇六年の通常国会に「電子債権法(仮称)」の提出を目指す。
 新法の対象は電子商取引などで発生し、電子的な形態のまま売買する債権。手形を使った従来型取引などは現行のままで、対象外とする。
 新制度では電子債権の発生や譲渡、債務支払いにより消滅した場合などその都度、インターネットなどを通じ自動的に第三者機関のサーバーに登録される。債権者や金額などを登録機関で一元的に管理することで債権の二重譲渡を防ぐ。登録するデータの内容や登録機関をどこに置くかなどは今後検討する。
 売掛債権は目に見える物がなく、手形などに比べ二重譲渡がされやすい。現行法では売買する際、不正を防ぐために譲渡契約書を公証人役場に持ち込み公証を受け、第三者に対する「対抗要件」を得る。しかし手間や手数料がかかり、利用が進まず、トラブルが生まれやすかった。

今でも、公証人だけではなく、法務局の債権譲渡登記制度
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji13.html
ってのはあるようです。

債権譲渡登記制度の趣旨
民法467条は,債権を譲渡した場合,その債権の譲受人が債務者に対して自分が債権者であることを主張するためには,譲渡人から債務者に対して債権譲渡の事実を通知するか,債務者の承諾を得なければならないこととしています。
 また,その債権譲渡の事実を債務者以外の第三者,すなわち,債権の二重譲受人,差押債権者,破産管財人などに対して主張するためには,この債務者への通知または承諾の手続は,確定日付ある証書によって行わなければならないとしています。
 このように,債権譲渡の事実を債務者や第三者に対して主張するための法律要件が債権譲渡の対抗要件といわれるものです。
(2 ) 債権譲渡登記制度による対抗要件の特例
 債権流動化などの目的で,法人が多数の債権を一括して譲渡するような場合には,債務者も多数に及ぶため,すべての債務者に民法所定の通知などの手続をとらなければならないとすると,手続・費用の面で負担が重く,実務的に対抗要件を具備することは困難となります。
 そこで,債権譲渡の第三者対抗要件に関する民法の特例として,法人がする金銭債権の譲渡等については登記をすることにより債務者以外の第三者に対する対抗要件を得ることができるとしたものが,債権譲渡登記制度です。
(中略)
債権譲渡登記の効果は,債務者以外の第三者との関係で<注>,民法上の確定日付ある証書による通知があったものとみなされるというものであって,この登記により債権の存在や譲渡の有効性を証明するものではありません。
(中略)
<注>  債権譲渡登記をしても,債務者に対しては,債権譲渡の事実を主張することはできません。債務者に対しては,登記をしたことを証する登記事項証明書の交付を伴う通知をしてはじめて,債権譲渡の事実を主張することができるとされています。

これも一応、「オンライン申請」もできることになってますが、経済産業省が提唱しているのは、「電子商取引などで生じた債権」の場合(だけ?)であって、「譲渡時だけでなく、残高管理もする」というところが新しい、ということでしょうか。
経済産業省のホームページ等も見てみたのですが、それらしきリリースは載っていないので、詳細はよくわかりませんが。サービサーなど、債権譲渡のプロの人はこういうスキームを欲しているのでしょうか?(欲しているのでできたのだとは思うのですが。)
(とりあえず、本日はこれにて。)
日経続き

 (中略)中小企業が持つ資産の内訳を見ると、売掛債権は二〇〇三年三月末時点で七十八兆円と、八十一兆円の土地とほぼ同水準。経産省は不動産担保に依存しない新たな資金調達の手段として活用できるとみて、債権譲渡の円滑化へ対応を急ぐことにした。

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「信用」とは何か

本日の日経朝刊13面に、「日本信販、顧客情報漏れ」の記事がのってます。

企業による個人情報流出が多発しているが、二十六日に表面化した日本信販の場合は個人情報の取り扱いを事業の核としている点で、通信大手ソフトバンクBBのケースなどと異なる。総会屋事件や昨年の情報紛失事件などを経て「信頼回復」が最大のテーマになっているだけに、信用ビジネスの根幹にかかわる今回の事件が持つ意味合いは重く、一段の経営改革が迫られる。(中略)
 信販・クレジットカードは文字通り、顧客や企業から「信用」を得て成り立つビジネス。
(以下略)

内容はごもっともです。ただし、この記事で使っている「信用」という用語には気をつける必要があります。
日本信販の「信」の字が意味する本来の意味は、「資金を融通する」という意味での信用。英語でいうと「credit」です。一方で、「お客から信用される」という意味での信用は「trust」でしょうね。
前者は金融的な意味、後者は情報処理的な意味です。
この記事では、両者を(意図的にか)ごっちゃにして使っています。
「金融的な意味での信用」を供与するには、当然、貸付先等の本人確認や財務状況のディスクロージャーなどの「情報処理面での信用」が必要です。しかし、逆は必ずしもそうではありません。
「金融的な意味での信用」は比較的わかりやすいですが、この「情報処理面での信用」とは何でしょうか。人が他人を「信用する」とはどういうことでしょうか。
この意味での「信用」とは、ズバリ「情報処理をしないこと」です。換言すれば「思考停止」。
どういうことかというのを説明するとちょっと長くなりそうですので、本日はこのへんで。
(ではまた)

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企業統治とアクセル、ブレーキ

(たとえ話シリーズで恐縮ですが。)
「ボケとツッコミ」だけではあんまりなので、本日は経営者と監督機能の関係を、アクセルとブレーキにたとえてみましょう。
高度成長時代のような比較的単純な世界では、企業はホットロッドマシンのように「直線」だけを考慮した車体で巨大なエンジンを積んでアクセルを「ベタ踏み」にしていればOKだったわけです。
しかし、コーナーが続く局面になると、エンジンの性能もさることながら、F1マシンのように加重のバランスがよくステアリングのしやすいマシンがコースを早く走れることになります。
ホットロッドマシンというのは旧来型の日本の銀行のようにバランスシートのデカさを競うような会社のイメージ。F1マシンは、証券化手法等を駆使してオフバランス化を進め、身軽になった企業のイメージ、といったところでしょうか。
もう一つ。
「ホットロッド型」の方に全くご理解いただけないこともあるのが「ブレーキ性能のいい車は速い」という事実。「ブレーキは速度を落とすためのものなのに、なんでブレーキ性能を上げると速くなるんだ!?」ということですね。
すでに体感している方には言うまでもないことなんですが、ブレーキ性能がいいと、コーナーの手前ギリギリまで速度を落とさずに済むので速い、ということです。
下図の三角形ABCの面積(速度の積分)だけ差が付く、ということですね。
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ガバナンスのメカニズムも、「ブレーキ」に見える人が多いと思いますが、それは「速く走るためのブレーキ」になりうるし、なるべきだと私は思います。
(ではまた。)

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企業統治のボケとツッコミ

企業統治(コーポレート・ガバナンス)の運営機構論では、執行部門とその監督部門をどう位置づけるか、ということが問われます。
ダイムラー・クライスラーの三菱自動車支援の記事では、経営者(取締役)を「監査役会」が見張るというドイツ型のガバナンス機構が紹介されていました。ドイツではこの監査役会の権限が非常に強く、監査役会のメンバーは株主総会と従業員により半数づつ選任され、取締役と監査役の兼任は認められていないようです。
日本では、ドイツ商法から輸入された「監査役」が経営者(取締役)を見張るというシステムが戦前からありましたが、戦後、取締役会が取締役を監視するというアメリカのboardシステムが取り入れられ、監査役会と共存した混合型のガバナンス・スタイルがとられていました。しかし、日本では経営者の権限が実質的に強いことが多く、商法上の思わくに反して、取締役会や監査役会は社長の監視をするどころか「部下」的な位置付けに甘んじており経営監督機能が弱いのではないか、ということが指摘されてきました。
平成14年の商法改正により、日本にもアメリカ型boardシステムを参考にした「委員会等設置会社」が取り入れられました。(株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律、第1条の2�[定義]、および第21条の5以下)
これは、経営を行う「執行役」(officer)と、経営を監督する「取締役」(director)を分け、社外取締役が過半数入った3つの委員会によって監査、取締役等の報酬、人事等を決定することで経営者を強力に見張るとともに、執行部門の裁量の余地を大きくしスピーディな経営を行えるようにしたものです。
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こうした企業統治の運営機構のあり方は、お笑いにおける「ボケとツッコミ」の関係に良く似ています。つまり、経営執行=ボケ、監督機能=ツッコミ、ですが。
戦後の日本は経済全体が成長していたので、社長がボケまくっていればうまくいくことも多かったわけですが、最近の企業不祥事の多発に見られるように、日本でも(というか世界的に)ボケとツッコミとのバランスが重要な時代に入ってきたと言えます。
お笑いでも、どうしても「ボケ」の方が目立つわけですが、古い例でいくと、ツービートとか紳介竜介とか、ボケとツッコミの力量に大きく差のあるコンビは、結局、解散ということになることも多い。ツッコミは一見、「そんなわけないやろー!」と言ってればよさそうに見えて、実はタイミングとか切り返し方とか、ボケに見劣りしない実力が求められるわけです。
戦後登場して成功した企業でも、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫や、ソニーの井深大と盛田昭夫などは、(商法上の監督と執行という機構ではないにせよ)、ボケとツッコミのバランスが絶妙だったのではないでしょうか。
“兵は詭道”であって、経営は当たり前のことをやっていても勝てません。
ボケというのは常識の延長線上からはずれるがゆえに”ボケ”なので、スゴいボケほど、ツッコミがうまくフォローしないと世間に理解してもらえないわけです。
また、お笑いでは、とんねるずとかダウンタウンとか爆笑問題とか、はたまた染之助・染太郎とか、学生時代の同級生や兄弟というパターンが多いですよね。やはり、無理やり組まされた「人工的な」相方に頭をはたかれるというのは、気心が知れた相手に叩かれるのと違って腹も立つんじゃないでしょうか。
舞台以外ではそれほど仲のよくないコンビも多いようですが、ベタベタ仲がよければいいというわけでもないというところも、ガバナンスの機構論と似ています。
このボケとツッコミの微妙な距離感。これが、経営をうまくいかせるコツかと。
2000年前後のネットバブルとその崩壊を見ていても、生き残った企業は、「いいボケ」の社長とバランスの取れた社外取締役のツッコミがいたりして、この経営とガバナンスのバランスがしっかり取れていたところが多いように見受けられます。
ドイツの事情はよく存じませんが、経営者と全く兼務できない監査役会が強大な決定権を持つというのは、バランスとして「ツッコミ」が強すぎるんじゃないでしょうか。
まあ、「ありえないもの。イギリス人の名コック、アメリカ人の哲学者、ドイツ人のコメディアン」って言いますからね。
(・・・って、お笑いじゃねーよ。(_ _)☆\( ̄∀ ̄#))
(どーも失礼しましたー。   |(_ _)|   |(_ _)| )

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RFID(の続き)

zerobaseの石橋様より「ユビキタス・コンピューティングのお国事情」についてコメントいただきました。ありがとうございます。
石橋さんが書かれたblog、「RFIDはプライバシーの脅威?」のURL
http://www.myprofile.ne.jp/blog/archive/zerobase/6
および、推薦されるURLの「固有IDのシンプルシナリオ」のURL
http://www.hyuki.com/techinfo/uniqid.html
等を紹介されてます。
私も(最近ほとんど発言してないので、一応、ですが・・・)日経デジタルコアのメンバー(一応、です)で、RFIDの議論はデジタルコアのメーリングリストで一通り拝見してはいたのですが、石橋さんがblogの文中で紹介されているURL「高木浩光さんの日経デジタルコア記事から派生した反応リンク集」のような”場外乱闘”があったとは存じませんでした。
この日経デジタルコアでの議論をまとめた本

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「デジタルID革命−ICタグとトレーサビリティーがもたらす大変革」
國領 二郎 (著), 日経デジタルコアトレーサビリティー研究会 (著)

も出てます。RFIDについての論点がよく整理されていると思います。
(ではまた。)

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ユビキタス・コンピューティングのお国事情

本日の日経朝刊31面の経済教室で、東大の坂村健教授が、「ユビキタス・コンピューティング、各国の独自性に配慮必要」という文を書かれていました。
いつものご意見にたがわず「日本は日本独自の」というお話で、(その本筋の是非はともかく)、「へぇ」と思ったのは、以下の2点。
米国では出荷された商品が販売されるまでに抜き取りにより三割無くなるという。(中略)三割無くなる原因は従業員の反抗や業者の不正で、RFIDなら電波を常にあてて紛失を監視できる。
つまり、年間600億ドルとも言われる被害を「原資」としてRFID(無線識別用の微小チップ)を導入できる国と、日本のように従業員のモラルが高い国では、RFIDにかけられるコストが違ってくるだろう、というお話。
(注:かけられるコストでチップのレベルが違ってくるという話に、ではなく、流通で3割も在庫を盗まれるアメリカって大丈夫かいな、って意味で「へぇ」)
ラテン語由来の宗教用語である「ユビキタス」の本来の意味は「神様がいつでもどこでもご覧になっている」というもので、だから行いを正しくしなさい、という外部化されたモラルにつながるといわれる。
そのような言葉であるユビキタスが監視の図式を欧米人には思い浮かばせるのかも知れない。そう考えると、欧米でRFIDについてプライバシーの侵害を理由に強固な反対運動があり、多くの実験が中止にまで追い込まれているのもうなずける。

坂村教授がいう反対運動とは、ご案内のとおり、ジレット社の替え刃の盗難防止実験やベネトンのRFIDタグの実験に対して、消費者団体CASPIAN(*)が不買運動を展開して実験中止に追い込んだことなどを指しています。
(*: 「スーパーマーケットのプライバシー侵害とナンバリングに反対する消費者の会」Consumers Against Supermarket Privacy Invasion and Numbering http://www.nocards.org/)
確かに、商品コードが入ったRFIDが商品についたままになっていたりすると、コイツはどんな本を読んでいてどんな思想の持ち主と考えられるのか、とか、女性が(男性でも)どんな色のどんな形の下着をはいているのか、などが電波で確認されてしまうリスクがあるというようなことが言われているわけですが、
値札を付けたままのパンツをはいてるヤツというのもかなり間抜けだなあ(笑)ということで、「なんでそんなことでギャーギャー言うのかしらん?取りゃいいじゃん。」と今まで思ってたんですが、なるほど従業員の盗難防止となると、簡単には取れないように商品にガッチリ(こっそり)組み込んだものが導入される可能性があるわけですね。
また、ユビキタスが「神の遍在」の意味だと言うのは存じておりましたが、それが欧米人にとってどう響くのかはあまり考えてませんでした。
「おまえは、神かよ!」
とRFIDにツッコミを入れたくなる人が多い、ということでしょうか。
このへん、坂村先生のご想像なのか、多くの欧米人が本当にそう感じるのか、興味があるところです。
(ではまた。)

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Social Networkingの理論

本日の日経新聞朝刊29面経済教室に西口敏宏一橋大学教授が「中国浙江省・温州 急発展のカギ 脱日常のネットワーク」というのを書かれています。
要旨は、
中国浙江省の温州は、かつては最貧地域の漁港だったが、ヨーロッパへの出稼ぎなどで人的ネットワークが形成され、帰国した人がその人脈をもとに会社を立ち上げてそれが大発展している。
この現象をよく説明する理論がある。今、米国で評判のグラフセオリー(万物の関係を点と線で表す数学理論)を用いたダンカン・ワッツの「スモールワールド」ネットワークだ。

ということで、このスモールワールド理論を紹介しています。
隣どおしがくっついている短い経路のみの「レギュラー」の世界は一見秩序立って見えるが、遠くの点に情報伝達しようとするとステップ数が増え、伝達遅延や情報逸失が顕著となる。他方、極端にランダムすぎても使い物にならない。
ちょっと離れたところにリンクする「スモールワールド」化によって、大方規則的で、かつ一部のランダム接続が存在することにより、ネットワーク全体が著しく活性化する、というもの。
smallworld_santafe_edu.JPG
出典:http://www.santafe.edu/sfi/…/bulletinFall99/workInProgress/smallWorld.html
経済教室はそういう観点からはまったく書かれていませんが、この理論、Orkut(http://www.orkut.com/)や、gree(http://www.gree.jp/)、mixi(http://mixi.jp/)など、今話題のSocial Networkingサービスの理論(でもある)ということです。(他にも脳内のネットワーク、言語、伝染病等、様々な分析に使えそうです。下記、文献参照。)

Small Worlds: The Dynamics of Networks Between Order and Randomness (Princeton Studies in Complexity)
Duncan J. Watts (著)

Six Degrees: The Science of a Connected Age
Duncan J. Watts (著)
sixdegrees.JPG

Small World 構造に基づく文書からのキーワード抽出
松尾豊、大澤幸生、石塚満(情報処理学会論文誌)
http://www.miv.t.u-tokyo.ac.jp/papers/matsuoIPSJ02.pdf
Small World Project:
http://smallworld.columbia.edu/
ワッツ氏:
http://smallworld.columbia.edu/watts.html

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