日経デジタルコアのメーリングリストで、未来編集の校條さんが「ブログ・ディスカッション」という考え方を提起されてました。
ブログがディスカッション・ツールに使えるか?といえば、もちろん、可能だとは思いますが、本日は「マクロ」でblogによってコミュニケーションがどう変化してきているのかということについての仮説を構築してみたいと思います。
「blog的なサイト」が増加する中で、「エージェント」として見たYahooやGoogleのサーチエンジン戦略がどう変化していくのか、を考えて見るのも非常におもしろいです。
(追記:ご参考、梅田望夫さん「Yahooインタビュー解説(2) サーチエンジンの根幹」など。)
ということで、試しに、以下のような図を書いてみました。
「じっくり型」メディア
メーリングリストは、直感的感情的にreplyしたりすることもあり、またそれが議論を盛り上げたりもしますが、blogは基本的には「じっくり」書いて「じっくり」読むメディアと言えるかと思います。
書き手が比較的落ち着いて書いて論旨もまとまっているので、読み手は「ふーん」で終わってしまい、弁証法的に言って議論が発展しない。木村剛氏のblogでいうところの「ツッコマビリティ」を書き手がある程度意図的に用意しておかないと「ディスカッション」にまで発展しないことが多いかと思います。
「図」や「写真」など、「リッチ」なコンテンツが用意できるところもblogの特徴。文字だけで言われると「うそつけー!」とカチンと来ることが、写真を見せられると、百聞は一見にしかずで「ふーん」と納得してしまったり、とか。
シリコンバレーの企業でblogを導入したところ、メールでのディスカッションが激減した、という話がありますが、blogの影響をマクロで見た場合、「あえてディスカッションしなくても、相手が今何をやって今何を考えているかがわかってしまう」、という効果があるかと思います。
最近の「若者」も、コミュニケーションがblogとIM(Windows Messenger)、つまり、上の図でいくと「右上」と「左下」の組み合わせで済んでしまって、「真ん中」のメールをあんまり使わない傾向が感じられます。Messengerならすぐ返事してくれるのに、メールを出しても返事が全く返ってこないことが多くなってきました。
世のオジサマ方は最近やっとメールを使いだした人も多いのに、20 代の方などには、メールでコミュニケーションすること自体、すでに「オヤジくさい」と思われてきはじめている気もします・・。
「エージェント」が重要
blogはそれ単体ごとでは単なるバラバラで更新頻度もまちまちのホームページの膨大な寄せ集めに過ぎないので、それらを利用者なりの視点で「切り取る」ツール無しでは意味が半減します。昨日のエントリーでは、gree、mixiといったSNや、「はてなアンテナ」などが、こうした増殖するblogの集合体から情報を抽出するエージェント・ツールとなっているのではないか、ということを書かせていただきました。
実際、そうした「ツール」のトラフィックは急増しています。(下図)
出典:Alexa(再掲)
また、試しに2ch.netと日本経済新聞のサイトをAlexaでグラフ化してみると、確かに相対的なトラフィックは減少トレンドであることがわかります。
つまり、最初の図における「右上」のblog(的なサイト)にアイボール・トラフィック(死語?)が集中しつつあり、「右下」と「左上」のメディアへのトラフィックは「相対的に」減少しているという仮説が成り立つのではないかと思います。(当然、ネットのトラフィック自体が急増しているので、絶対的なトラフィックは増えていると思いますが。)
前述の「ツール」は、まだRSSとかXMLのポテンシャルをフルに引き出したものとも言えませんので、これからますますそうしたエージェント機能は発展して、「現存のポータルの機能」(directoryや単純なsearch engine)を置き換えるものになっていくのではないかと思ってます。
(ではまた。)
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