以前、「部分的な買収をするには?」で、部分的な株式交換のスキームについてお話しましたが、同じGMO(さん)が、また同様のスキームで会社を買収したようです。
Venturenowのニュースによると、
株式会社エムティーアイ(本社:東京都新宿区、代表:前多俊宏)は、7月26日開催の取締役会において、同社が保有する株式会社カードコマースサービスの株式による現物出資により子会社CCSホールディング株式会社(以下CCSH、本社:東京都渋谷区、代表:斎藤忠久)を設立。
その後、7月28日開催の取締役会、及び同日開催のCCSHの取締役会において、同年9月14日を期日とする株式交換により、CCSHがグローバルメディアオンライン株式会社(以下GMO、本社:東京都渋谷区、代表:熊谷正寿)の完全子会社となることを決議した。
CCSHは、株式会社カードコマースサービスの株式を所有する管理会社として、2004年7月26日設立。資本金283,900千円、発行済株式総数4,053.8株。
つまり、
こういう感じで株式を保有していたところで、MTIがCCSの株式を現物出資して、
こういう↑形で持株会社CCSHを設立(上の青の四角)。
この持株会社をGMOとの株式交換で、
こういう形に持って行く、ということになります。
前回、この持株会社(青色の四角)を作るのに、「現物出資または持株会社への譲渡で持株会社を作るという手が一番シンプルではないかと思います。」と申し上げましたが、やはり現物出資で持株会社を設立していたようです。しかも、既存の法人に現物出資するのではなく、株式を現物出資して法人を設立する、「(単独)新設現物出資」のもよう。
税務上・会計上の取り扱い
この現物出資は税務上、税制適格なのか、また税制適格にする必要があるのかどうか、を考える必要があるわけですが、現物出資が税制適格かどうかの判定は、(非常にざっくり表現すると)以下のとおり。
いずれもその現物出資で得た株式を継続的に保有することが要件となっておりますので、今回の場合、税制適格ではない、ということになるかと思います。(つまり、税務上、キャピタルゲインが認識される。)
会計上も、現物出資時にキャピタルゲインを認識することになります。
企業価値評価と交換比率
(株式会社カードコマースサービス(CCS)は、)資本金 113,894千円。CCSHが株式2,839株(65.7%)を所有。
CCCHの資本金が283,900千円ですから、CCSの株式1株あたり10万円と評価して現物出資したということでしょうか。
設立時だけでなく、増資と2回に分けて半分を資本準備金にすれば、登録免許税(資本金の0.7%)が100万円弱倹約できたし、外形標準課税的にもお得な気がしますが・・・「でかいディールなので、ケチなことは言うな」って感じですかね・・・。
CCSHの株式1株に対し、GMOの株式1,881.4株が割当てられ、株式交換により発行されるGMOの新株式数は、小数点以下を四捨五入し、普通株式1,881,400株となる。
ん?
CCSHの株式1株に対し、GMOの株式1,881.4株が割当てられて普通株式1,881,400株が発行されるとすると、CCCHの株式は1,000株になるはずですが、前の「発行済株式総数4,053.8株」という記述と合いませんね・・・。
GMOのプレスリリースを見ても、1,000株と書いてあるので、1,000株が正解でしょう。設立時にいきなり端株があるというのも違和感がありました。
この話、他にも非常にいろんな論点があって、ごはん何杯でもいけちゃうんですが、とりあえず、本日はこんなところで。
(以下、条文等資料)
[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。