「悪いMSCB」の見分け方(その2)

47thさんから、昨日の記事にコメントいただきました。
たびたび引用させていただいて恐縮ですが、

私が磯崎さんのブログから考えたことは、MSCB固有の問題は、「事後的に」引受人が市場でとる行動(例えば空売り等)によって価値が大幅に変動し得るので、そうした事後的に変なことができるかどうかに関する情報(例えば引受人が取得した株式の一定期間ロック・アップの有無等)がないと、プロですら予測が難しいみたいだが。。。しかし、現行法では、そうした情報は、必要的に開示が求められていないようだし(手元にSRSの様式がなく未確認)、実際に開示も余りされていないようだが、それでいいんだろうか?・・・という点でした。

この点については、あえて昨日は触れなかったのですが、

磯崎さんが書かれているように、転換条件からある程度の「推測」はできるのだと思いますが、見かけの条件が「悪」でも、機会主義的行動が契約上制約されている場合もあるでしょうし、見かけが「良く」ても、何の歯止めがなければ悪用される危険は却って高い場合もあるように思えます・・・その辺りの情報開示については、どのような印象をお持ちなんでしょう?

見かけの条件が「悪」でも契約によって「良」い条件になっているなら、発行体側は任意でそれをIRすればいいだけだと思うんですよね。
(例えば、前日の終値だけで修正されて、しかも一度転換価額が下がったら二度と上がらず、さらに下限もないなど)見かけが(も)「悪」いCBの問題の一つは、
→売り崩されて価格が下がる (1)
→転換して得られる株式数が非常に多くなる (2)
→希薄化が発生する (3)
→それによって、さらに株価が下がる (→(2)に戻る。くりかえし。)
という、「ポジティブ・フィードバック」(というかハウリングというか)が起きちゃうところかと思います。
「下限は付けてないけど、別途の契約でこれこれの条件が付いているので、既存の株主のみなさまにとってもプラスになると考えます。」ということが、もし説明できるのなら、説明してみんしゃい、ということですね。
「100円の転換価額が1円まで下落する可能性があり、目的となる株式数が100倍になるかも知れないけど合理的です」なんてことは、基本的にはどうやっても説明できないと思いますが・・・。
見かけの条件が比較的「良」い(例えば、転換可能な期間中に2回しか転換価格の修正が行われなくて、下限が当初転換価額の80%に制限されている等の)場合には、なにか「グレー」なことを仕掛けるにしても、タイミングは限られてきますし、かなり大規模な操作を行わないと儲からないわけで。(少なくとも、岩をちょっと指先で押すだけで坂道を転がり出すようなことにはならないはず。)
もし法令違反に該当するところ(例えば、インサイダー情報の利用、相場操縦的行為等)まではみ出したら「アウト」ですし、踏み出さないなら「セーフ」という、通常の証取法の規制をするしかないんじゃないでしょうか。

もっとも、私もMSCBが複雑だから、リスクが高いから、というだけで、これを規制すべきだとか、適切な開示は、常に法律で書かなければいけないとは思っていません(法的に考えても、開示事項として特定されていないとしても、解釈上、material ommission(重要な事項の不開示)の責任は負っていますし)。磯崎さんの仰るように、適切な情報開示のデファクト・スタンダードが確立されて、それにそぐわないものが自然に淘汰されていく筋道こそ、本来なのだろうと思います。

昨日引用させていただいた部分にも書かれてましたよね。私もまったく同意見です。
規制でなく、「ビジネス」としていろんな機能を担うエージェントが出てくるからこそ「資本市場」なのであって、規制されないと動かないんだったら、それはどちらかというと共産主義っぽいわけでして。
経済学的に明らかに「市場の失敗」が発生するということが言える領域については規制も必要でしょうが、MSCBは、ただ「難しそうでよくわかんなーい」というだけで、開示されるべきことは既におおむね開示されてるんじゃないかと思います。「怪しい」条件のものについては、開示してなくてもマスコミさんが取材されてもいいわけですしね。
さて、HidetoIshibashi@ZEROBASEさんからもコメントいただきました。

なるほど。衆目監視が有効なのですね。「衆目」として機能するためには投資家教育が必要で、一方で(がんばって投資家が勉強しなくてもそこそこ理解できるように)分かりやすく解説するエージェントも必要だと。
そのエージェント役を誰がやるかですよね。ISSみたいな機関?どこで儲けるか?

単純なモデルでオプションバリューを算定するだけだったら、昨日も書きましたが、新聞や雑誌で取り上げていただくのが一番じゃないかと思います。
例えば、日経新聞さんの企業財務面あたりで、小さい定型タイプの記事に必ずなるとか。MSCBのオプションバリューの計算程度だったら、モデルといってもExcel+アドイン程度でできると思いますので、それほどコストはかからないと思いますし。
または週刊ダイヤモンドさんあたりがお得意の「いい転換社債、悪い転換社債」:-)みたいなランキング特集が組まれるとか。
逆に、それをやられちゃうと、他の業態がその情報提供してビジネスにするのはちょっとキツいかな、とも思います。(参入障壁は意外?に低いはず。)

あるいは、もっと図解などを多用した、分かりやすい公告を義務づけるとか?

商法ベースで未公開の中小企業も対象ということだとちょっと負担が厳しいかも知れませんね。義務としては今の開示内容でも十分じゃないかと思います。
MSCBは、マーケットではどちらかというとマイナス要因としてとらえられるわけですから、プラスにとらえて欲しい場合には、企業の自主的なIR努力でよろしいんじゃないかと。

あるいは(思いつきですが)市民オンブズマン的なメディアがあるといいのかもしれません。オープンソース的に、金融のプロがボランティアでいろいろ分析した記事が載っているサイト。

「金融のオープンソースというのは」、私、以前より非常〜に興味があるコンセプトです。こういう領域についてブログをやってるのも、なにかそのへんでおもしろいことができないかなあということもあるんですが、金融領域は需要者の数も比較的少なく、供給者も「それなり」の方って、「単価」も高くて非常にお忙しいので、ビジネス?モデルとしてはちょっと厳しいのかなあ、と思っております。
(ご参考:弁護士事務所の「オープン化」
Yahoo!ファイアンスの掲示板を「金融のオープンソース」と呼ぶなら、あれが成功例かも知れませんね。w
(ではまた。)

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「悪いMSCB」の見分け方

ろいやー君(47th)さんからトラックバックいただきました。ありがとうございます。
ろいやー頭の体操〜資金調達の「新」スキーム(蛇足) 
http://blog.drecom.jp/fallin_attorney/archive/30

(略)
最後に、以上を踏まえて、一応私のMSCBに対するポジションを明確にしておくと・・・

MSCBは使い方によっては、合理的な資金調達ツールとして、企業価値の向上にも役立ち得る。(特に、リスクに対する評価が(情報の偏在等によって)資金の出し手と調達側で大きく異なる場合には、両者の対立を止揚する手段として機能する)

発行決定持における既存株主からの利益移転の問題は、従来のオプションやCBでもあった議論であり、評価が難しいという理由で、一律にこれを禁ずることは妥当ではない。

発行後の株主間の利益移転については、投資家の予測形成に必要な情報が提供されていれば、投資家の自己責任の範囲の問題であるが、MSCBにおいては、引受手との間でどのような行為規制が約定されているか(いないか)という事前の情報開示と、実際にどのような行動をとったかという事後の情報開示が極めて重要であり、これが提供されない限りは投資家の自己責任を求めることはできない。

従って、この点に関する情報開示が適切になされているか否かが、MSCBの当否を決めるにあたっての根本問題となる。

とのことです。
おっしゃるとおりではないかとも思いますが、理屈としては、今の商法に定められた公告や適時開示規則で定められた開示でかなり十分とも言えますよね。
例えば、

○年○月○日までの30連続取引日(当日を含む。)の株式会社○○証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の平均値で1円未満を切り上げた金額が、当該決定日に有効な転換価額を1円以上下回る場合、転換価額は、○年○月○日(以下、「効力発生日」という。)以降、上記により算出された金額(但し、算出の結果、当該決定日に有効な転換価額の80%未満となる場合、転換価額は当該決定日に有効な転換価額の80%に当る金額で1円未満を切り上げた金額とする。)に修正される。

と書いてあれば、かなりマトモなMSCBではないかと思いますし、

転換価額は、転換前日の株式会社○○証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の90%の金額(ただし、1円未満の端数は切り上げ。)が、その日までの転換価額を下回った場合、その低い金額に修正される。

と書いてあれば、そこは大爆笑するところではないでしょうか。(実在の公告より)
これは、理系の人がオプションプライシングモデルを作ってしこしこ計算しないとわからないというようなものではなく、ちょっとよく読めばわかることですよね?
だって、転換価額が前日1日(だけ)の終値の90%に修正されて、一度下がったら二度と上がらないんですよ?(ぶわっはっはっはっは。)
悪いMSCBの見分け方(まとめ)
ということで、まとめますと、
・転換価額修正の頻度が高いもの(期間中1回だけ<毎月<毎日)
・転換価額の下限が低いもの(80%<70%<まったく下限なし。)
・修正転換価額の算定に用いる期間が短いもの(30日<5日<1日)
ほど、オプションバリューは高く(「ヤバさ」が大きく)なり、
・転換価額が上方にも修正されるもの(下がったっきりにならないもの)
は、オプションバリューが低くなるものと考えられます。
(追記:一般的な多項モデルによるオプションバリューというよりは、空売り等の機会もあると考えた場合の価値、というような意味ですが。)
以前調べたところによると、CBの条件のパターンはいくつかのクラスターに分かれ、上記を含む標準的なパラメータ以外の変則的な条件って、ほとんど無いんですよね。
公告、読んでますか、みなさん?
そもそも、公告というのは文字通り公に告げるのが目的なわけですが、新聞に載っている転換社債の公告を(要点だけでも)読んでいる人って、おそらく全読者の0.01%もいないんじゃないでしょうか。
こんなおもしろいギャグが開示されているのに、読んでもらえないんじゃしょうがない。
つまり、これは開示の問題というより、投資家教育の問題ではないかとも思われます。
とはいえ、一般の投資家が公告を読んで感覚的にオプションバリューがどれくらいになるかをとらえるというのがなかなか難しいのも事実。誰かが「わかりやすく」その内容の要点を解説してあげる必要があるかも知れません。
不肖私のところにも、何社ものマスコミの方々から「MSCBについて記事にしたいんですが」というお問い合わせをいただきます。みなさん私の口から「MSCBは”悪”だ」というような「わかりやすい」言葉を引き出されようとされるわけですが、まことに残念ながら、私はテレビのコメンテーター的な、「けしからん!」「政府も、もうちょっと何とかしてほしいもんですねぇ」的コメントはできませんので、悪しからず。<(_ _)>
以前、某新聞社さんからMSCBの取材を受けたときに、
「MSCBについて投資家がきちんと理解できるようにするためには、何をどう変えていったらいいと思いますか?」
と訊かれたので、
「CBを発行するには必ず2週間前に開示しなければならないので、その開示された条件や過去のボラティリティから、おたくの新聞でCBのオプションバリューを計算して記事にしてみたらどうですか?ほとんどの投資家が読んでるメディアなわけですから。」
と申し上げたんですが、
「いやー、そういうことを書くと、『おまえがやれ』ということで、ボクらにおはちが回って来ちゃうので・・・へへへ。」
ということで、その意見はボツとなりました。
MSCBを分析してくれるベストな「エージェント」は?
新聞社さんがオプションモデルを開示し、そのモデルで機械的にオプションバリューを計算して記事にするということになれば、既存株主に明らかに不利な条件のMSCBを株主総会決議抜きで発行してしまうことは事実上できなくなるでしょうし、「私募債マフィア」なる方々にだまされてヘンな条件のCBを発行させられるということも激減するでしょう。
また、そうしたモデルが「デファクト・スタンダード」になった場合、不利かどうかビミョーな条件のCBをどうしても発行する必要がある場合には、発行体側は、
「○○新聞社の標準モデルによれば、本新株予約権付社債のオプションバリューは△△と算定されますが、これは同モデルで使用するボラティリティの算定の基礎となる当社の過去○ヶ月の株価が□□の理由により大きく変動したことによるものであり、当社の通常の株価変動と考えられる○年○月○日から○年○月○日までの○ヶ月間の株価を元に同モデルで算定しなおすと、オプションバリューは☆☆になると考えられ、商法上の有利発行には該当しないものと考えております。」
というような説明をしなければならないことが明確になります。
金融庁に規制してもらったり、商法や適時開示規則を改正するよりも、それが一番有効な方法だと思いません?
(では。)

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世界で一番バッチいもの

JR東日本のプリペイドカード「イオカード」(非接触式のSUICAじゃなくて、自動改札に通す磁気カードのペラペラのやつですね)がついに来年で発売中止になるそうです。
前から思ってたのですが、あの自動改札を通る磁気のプリペイドカードって、実は「世界で一番バッチいもの」なんじゃないでしょうか?
よく、風邪の予防で、
「風邪は空気感染もさることながら、接触感染でうつることが多い。電車のつり革や手すりを触ったら必ず手を洗う。」
てなことが言われます。
しかし、電車のつり革1つは恐らく1日せいぜい数百人程度にしか触られないのに対し、乗降客の多いターミナル駅だと、自動改札1台を1日に通過するカードは1万枚単位になるんじゃないでしょうか。○○○とか○○○とか○○○とかした手で触った1万枚ものカードが通ったところをあなたのカードも通るわけです。(あれって、自動的に殺菌処理とかしてないですよね?)
わたし、それほど潔癖症というわけではないんですが、(というより、かなりズボラな方ですけど)、電車のつり革・手すりとパスネットには極力触らない、触った手で口や目をこすらない、というのに気をつけたところ、おかげさまで今年は生まれて初めて一回も(!)風邪をひきませんでした。(毎年必ず2〜3回は風邪をひいてたのに。)
それもこれも、うちの下の子が幼稚園のとき、私が出しっぱなしにしておいたパスネットをガジガジと噛んで、数日後におたふく風邪を発症したのを見たおかげ。
今調べたら、おたふく風邪の潜伏期間は2週間以上らしいので(がーん)、どーも違う感染原因のような気もしますが・・・。(わはははは。結果的に、1年間健康な生活が送れたので、まっ、いいか。)
よく、改札を抜ける前後にバッグから荷物を取り出すのに、唇でキップをくわえている人を見かけますが、得体の知れないウイルスを体内に取り込もうという行為にしか見えませんね。
はやく、全部、SUICA等の非接触型のカードになるといいなあと思う、今日このごろ。
本日の推薦図書:
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(ではまた。)

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ヨン様サイト難民の奥さまは今

ここのところ、ヨン様公式サイトを一日中見るのが日課だったウチの奥さんが、ヨン様サイト ダウンのおかげで、やることがなくなりまして。

「ヨン様」国内公式サイトに攻撃、個人情報流出か
http://www.asahi.com/national/update/1226/018.html

2ちゃんねるに個人情報が流出したらしいと聞いて、2chを見に行ったのはいいんですが、
「こいつら、何考えてるんだ?何書いてるか全くわからん。」
「ここを見ろというから、URLをクリックしたらエロサイトに飛んだぞ。」
などとお怒りなので、
「イヤなら見なきゃいいじゃん。」
と申し上げたのですが・・・
「個人情報を貼り付けたやつを割り出して捕まえられないのか?」
「この、文章の後ろに”w”が付いてるのは何だ?」
「”香具師”ってのがよく登場するから、そいつがどうもハッカーの名前らしい。」(苦笑)
といろいろおっしゃってるので、適当にいろいろ教えて差し上げたんですが、驚いたことに、本日は朝から一日中2chをご覧になり、夕方頃にはもう私よりはるかに2chに詳しくなってました。集中力というのは恐ろしいですね。
ここのところ毎晩10時からBS1で「冬のソナタ完全版」を放映しているので、今からそちらに移られるご予定。おかげさまで、一日中2ちゃんねるだけを見ているという事態は避けられそうです。
(めでたしめでたし。)

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続「高速道路」型クリスマスプレゼント

クリスマスにはサンタさんから子供たちに、見事、これ、
pokemon_ruby.jpg
(Pokemon Ruby 英語版)
と、これ、
pokemon_sapphire.jpg
(Pokemon Sapphire英語版)
が届きました。
おかげさまで大ヒット!で、「(いつもは1日30分だけだけど)、今日(クリスマス)は好きなだけやっていいよ」といったら、朝から晩まで夢中でやりまくってました。
先に日本語版の「ポケットモンスター エメラルド」、
B0002VE076.09.MZZZZZZZ.jpg
を持っており、地図・コマンド・メニューなどの「世界観」がほとんど同じなので、幸か不幸か、英単語を理解してなくてもあまり苦にならずに遊べる様子。「ROCK SMASH」が「いわくだき」のことだとか、「WATERFALL」が「たきのぼり」のことだとか、ちゃんと日本語版との対応が取れている模様です。
いきなり英語版だと、操作や遊び方がわからずに途中でくじけちゃったかも知れないので、このくらいで遊びながら自然に単語が吸収できていくくらいがちょうど良かったかも知れませんね。
ただし、「子供のおもちゃ」と思ってナメてたら、結構英語としては難しい。
ロールプレイングゲームなので、普通の場所を歩いて戦闘しているときは適当にワザのコマンドを選んでればいいんですが、節目節目で、
「これこれこういういきさつで昔、2匹のポケモンが戦った。それで海と大地がうんたらかんたら・・・・というわけで、○○山に行って、Blue Aubeをゲットしてこい。」
というような長い会話が出てきます。
ストーリーを理解してない親がいきなり、「これ、何て言ってるの?」と、聞かれても、難しい単語も入っていて結構キツい。
(大人の英語の勉強にもなるかも。)
(ではまた。)

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「いかがわしくない」MSCBの活用法

クリスマスイブですが、isologueは本日も不粋な分析をお届けいたします。<(_ _)>
先日の「転換社債(CB)を用いた”新”資金調達スキーム」(その1)(その2)でご紹介したスキームに対して、Law Maniacのminoriさんから、かなりお怒りモードのトラックバックをいただきました。
Law Maniac「いかがわしい。 – 松井証券とUBSのニュー・ビジネス」
http://www.minori.com/archives/law/2004/12/post_100.html

まず、私は、磯崎さんに反感を持っているわけではないことを最初に申し述べておきます。

と言っては頂いてますが、スキームそのものに対しては、かなりお怒りモードです。
わりとイケてるんじゃない?
結論を先に申し上げると、私は、今回のスキームでのMSCBの使い方は、今まで本blogで取り上げてきたMSCBの中でも、かなりイケてる方じゃないかと思うんですが。
その2」でご紹介した先行事例の例では、公告後すぐチャートは「底」に達し、発行日を迎えるのですが、
chart_x_sha6.gif
(出所:Yahoo!ファイナンスをもとに磯崎が加筆)
引き受けた証券会社は(発行の翌日から転換できるにも関わらず)、そこでは転換してないんですね。というのも、そのちょっと後の決算が開示されているのですが、そこでの資本金の額も転換社債の残高も、発行時のまま残っていますので。
「悪いヤツ」なら、発行前に空売りをしておいて、発行と同時に転換して安く株を入手し差益を取るということもしかねないわけですが、それをしてないので、「ほう」という感じがしたわけです。
空売りを組み合わせないのであれば、時価連動性の高いMSCB(転換価額が下方のみでなく、上方にも修正されるもの)は、むしろ転換して即売却という誘因を弱めるはずです。なぜなら、時価マイナス数%で転換して即時売却しても、基本的にはその数%の鞘しか抜けないわけですから。
image002.gif
私の考えるMSCBの「いい使い方」というのは、例えば、以下のような感じです。
・企業が「建て直しモード」の最中にあるが、そろそろ薄日が差してきた。
・ただ、大胆なリストラ資金が必要なのに、銀行は及び腰でそんな資金はとても出さない感じ。
・株式市場環境も悪く、企業実体よりかなり低い株価しかついておらず、時価発行増資をしても、それよりさらに低い株価でしか引き受け手がいない。また、資金全額もとても集まらない。
・でも、思い切って今、資金をつぎ込むことで、「ウミを出し切れる」可能性が非常に高い。(銀行や市場はわかってくれないけど・・・。)チャンスは今しかない。
・そこでMSCBを発行。当初の転換価額は今の(過小評価された)時価近辺で決定されるが、上方に倍までは価格修正されるようになっている。つまり、うまくやれば、株価が倍にまで回復したときに時価発行増資したのと同じ希薄化で済む。既存株主にもその方が有利なはず。
・証券会社も、IR等で全面的に協力を申し出てくれている。上方への価格修正は2倍なので、それを越えた分については、「ごほうび」として引き受けた証券会社のキャピタルゲインとなる。
・ただ、再生に自信はあるものの、当然リスクが無いわけではない。証券会社とは「より高い株価で時価発行増資したのと同じ」になるように転換してもらうよう基本的に合意してはいるが、当社の業績が立ち直らなかった場合などには株価半分までは下方にも修正できる条項を付けるのはやむを得ない。
なんたって、資金は今すぐ全額入ってくるわけで。
こういった意志決定の結果、時価発行増資ではなくMSCB発行スキームを選んだとしても、「経営判断の原則」上、必ずしもまずいということにはならないでしょう。
というか、minoriさんご自身もblogに書かれてますように、株価が上がる可能性、下がる可能性を考えて、既存株主にとって、より高いリターンがある方を選択すべきですよね?「MSCB=既存株主の権利は必ず侵害される」ということではなく、MSCBを使った方が合理的な場合は、そちらを選択すべきかと思います。
オンライン証券活用の場合
minoriさんは、さらに、オンライン証券を経由するスキームの場合、

おそらくこのスキームによる株式を取得した大半のユーザは、すぐに売却して利鞘を稼ごうをするでしょう。
※ これでは、一時的な需給悪化を本当に回避できるのかすら疑問になります。

ということを危惧されてます。
確かに投資銀行が自己ポジションでCBを持って適当な売却時期を決めるよりは、そういった危惧の可能性も高まるかも知れません。ただし、これも、やり方によるのではないかと思います。
例えば、1000億円引き受けて、それを初日からオンライン証券に全部流してしまったら、株価が下がりきったところで大量に転換されて株価はますますグズグズに、ということになる可能性大かも知れませんが、引受証券会社との間で、「株価が当初株価を上回って安定してきたら、オンライン証券向けの放出を始める」、というような合意が行われていれば株価が上昇トレンドを描きながら消化していけるかも知れませんね。
また、最近では、株主層の分散や株主数の増加目的のために、発行体もオンライン証券の顧客への公募に徐々に積極的になっているようですが、とはいえ、「全部オンライン証券の個人客に」という会社はまだ少なくて、「7割は機関投資家、3割は個人投資家に」というように、オンライン証券に割り当てられるのは「一部」なんじゃないでしょうか。
で、どうやって「見分ける」のか?
ということで、「いい人」がMSCBを引き受けた場合と「悪い人」がMSCBを引き受けた場合とでは、長期的な予測株価はまったく逆に動くかも知れないわけです。
MSCBを発行したというだけで株価が急落するという現象は当面続くでしょうけど、「うちのは”いい使い方”のMSCBだ」ということを投資家にうまく伝えられれば、株価が好転する可能性も高まるのではないでしょうか。
で、前回の「どうやって『いい使い方』を守らせるか?」「甘い言葉で近寄ってくる『悪いヤツ』をどう見分けるか」という問いとなるわけですが・・・。
(どうやりましょうかね?)
(ではまた。)

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初級シスアド養成ギブス(その1)

「はたして小学4年生はシスアドに合格するのか?」で、現在小学3年生の息子が来年春の初級シスアド試験にトライするプロジェクトの開始をお伝えしましたが、その後、息子に初級シスアドの参考書を貸しても特に読んでいる様子もなく。無理矢理押しつけるのも趣味じゃないので放っといてましたが。
ちょうど、DELLで買った激安(6万円台17インチモニタ付)パソコンが届いたので、「これ組み立ててみ?」とやらせてみたら、電源、LAN、モニタのケーブルをつないで、Windowsのセットアップ、ユーザー登録をし、自分のアカウントを作ってパスワードを設定し、「ようこそ」画面の自分のアイコンを好きなのに変えるところまで一人でやりよりました。
(よしよし。)
「8ビットは1バイトでしょ?」
とか
「ギガってメガの1000倍。テラはさらにその1000倍。」
とか、断片的知識は増えてます。
(ポケモンのワザで「メガドレイン」「ギガドレイン」てのもあるそうで。)
(続く)

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転換社債(CB)を用いた”新”資金調達スキーム(その2)

昨日取り上げさせていただいた、転換社債(CB)を用いて公募増資の代わりとなる”新”資金調達スキームについてですが、その事情をご存じの第三者の方から背景を教えていただきました。
もともとこのスキームは国内某大手証券ですでに行われたもので、そのスキームを実行した方々がチームごとUBSに移籍された、とのこと。
(もちろんそのときは、今回のようにオンライン証券を経由するスキームではないそうです。)
すでに行われたそのケースの発行体さんのホームページを見ても該当するプレスリリースが見あたらないので、とりあえず社名は伏せますが、その転換社債の公告を見ると、以下のような条件となっています。

発行総額:1000億円の桁
転換価額修正:下方に50%(半分)、上方に100%(2倍)
修正頻度:毎月1回
修正後転換価額:決定日までの5連続取引日の終値の単純平均の92%
行使請求期間:発行日翌日から約2年間
当初転換価額:取締役会当日の終値を5%上回る額

というわけで、予想したとおり、「MSCB(転換条件修正条項付転換社債)」を使うスキームのようですね。
昨日ご紹介したプレスリリースでは、

これにより当社顧客は、従来の株式の公募・売出しと異なり、その時々の株価動向を見極めながら自分の好きなタイミングで当該株式を時価よりも低い価格で購入することができるようになります。

とありましたので、オンライン証券版のスキームでは、転換価額の修正頻度は毎月1回ではなく、毎日になるのかも知れません。
ニューヨークで勤務中の弁護士の方、「47th/あとにー君」さんからトラックバックいただきました。いつもありがとうございます。
やはり、「なぜ一般の公募増資ではだめなのか」についてみなさん疑問を抱かれるようです。ただ、上記のように具体的な条件も含めて考えてみると、確かに「機動的に増資」できるというのは日本の商法下では画期的かも知れません。
日本の商法においては増資の払込期日の2週間前に公告が必要ですので(商法280条ノ3ノ2)、日々の相場を見て少額の増資を機動的にパラパラ行うというのは事実上不可能。そこで、資金力のある証券会社がどーんと引き受けて、会社にはまとまった資金を供給し、一方で相場を見ながら徐々に市場に株式を供給するのは、非常に合理的な方法とも言えます。
ただ、当然、証券会社も商売ですから、リスクヘッジはしないといけない。で、転換価額の修正条項がつくわけですが、上記の事例では「底なし」「青天井」ではないです。
下限(50%)を下回りそうなら、そのときは残額についてショートしておく等でリスクヘッジは可能。上限(2倍)を上回るときは、証券会社に「ボーナス」としてキャピタルゲインが入るわけで、株価をあげるためのインセンティブになるかも知れません。
過去にこのスキームを採用した会社さんは、ちょっと「会社建て直し中」のモードでしたので、公募一発でどかんと1000億円の桁の資金を集めるのはキツいということだったんでしょう。
チャートを見ても、やはり、発行の発表日に株価が急落しています
chart_x_sha6.gif
(出所:Yahoo!ファイナンスをもとに磯崎が加筆)
が、その後、(毎月1回の転換価格修正日前後にはやや取引量が膨らみ、価格もちょっと怪しげな動きをしますが)、基本的にはじりじり株価は回復して発行当時の株価を上回ってますので、この間に株価を見ながらうまく株が消化できていってるのかも知れません。
インボイスさんの場合と違って、転換社債の行使状況を開示していないので、どれくらい転換が進んでいるのかよくわかりませんが)、どこぞの会社さんのように、「転換価額修正条項が付いているのをいいことに、売り崩して株を安く買い叩く」てなことはされてない模様です。行使期間も2年ありますので、株価が当初の転換価額の2倍の上限価格を上回るのを待って、キャピタルゲインを得ようということかも知れません。
「単純に公募増資でドカンと資金を集めちゃうと、悪い条件でしか発行が行えないが、それは市場の認識の”歪み”によるもの。本来、長期的に見てもらえば、この資金調達で会社の体質は好転し、株価も上がるはず。」
というような「企業再生っぽい状況」のときに、こういうスキームを採用すると、株価が回復することにより、関係者全員ハッピーですので、いいですね。(この銘柄も、かなり低PERです。)
さて、それではここでみなさんに問題です。
Q.MSCBを使ったこのようなスキームを採用する場合に、引受側が「売り崩して株を安くゲット」というようなことをしないようにするために、あなたが発行体側なら引受側とどのような契約を結びますか?
もちろん、「発行時の転換価額以下では転換しない」というような条件をつければ、発行体側にとっては有利ですが、引受側にとっては下方修正条項の意味がなくなって一方的にリスクを負うことになりますので受け入れがたいでしょうね。
誰かに一方的にリスクを負わせずに、双方win-winになるような契約って、存在するでしょうか?
それとも、修正条項に一定の歯止めを付けた上で引受側を信じるしかないでしょうか?
(ではまた)

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転換社債(CB)を用いた”新”資金調達スキーム

松井証券さんのwebを見ていたら、(ちょっと前のになりますが)、12月10日のプレスリリースでこんなスキームが載ってました。

松井証券とUBS証券による資金調達と販売に関する新スキームの導入について
松井証券は、UBS証券会社と協力して、従来から行われている株式の公募・売出しとは異なる資金調達と販売に関する新たなスキームを導入します。
新スキームの概要としては、まず新株等の発行による資金調達を行う企業がある場合、UBSが全額買受けることを条件に、当該企業は第三者割当転換社債型新株予約権付社債(CB)を発行し、資金調達を行います。次に、UBSは、投資家のニーズや当該企業の株式の需給関係等を考慮しながら、買受けたCBを段階的に株式に転換していきます。この転換された株式は、一定期間(販売予定株数がなくなる日まで)、当社を通じて個人投資家(当社顧客)に販売されます。その際、当社顧客による当該株式の購入価格(株価)は、基本的には購入日の終値から数%ディスカウントされた価格になります。

(UBS側はプレスリリースが見あたりません。)
非常におもしろいですね! どうやるんでしょうね、これ。
プレーンなCBを使う方法
一つには、プレーンな(転換価額修正条項などややこしい条件がついていない)CBを引き受けるのと前後して、引受側が当該株式をショートして(売って)おく手が考えられます。
転換価額の設定については、例えば、「○月○日〜○月○日のVWAP(加重平均株価)の95%」等と発行条件で決めておいて、その間に平均して売れば、引受側は5%の鞘が抜けます。
現在、CBには金利が付かないケースがほとんどですが、投資家がショートするためのコスト(逆日歩等)が発生するときにはそれをカバーするくらいのクーポンを設定。クーポンを付けなくて済むのであれば、発行体のPLインパクトもありません。
ただ、引受側にしてみると、実質的に株式に転換するまでの期間、資金を貸し付けてるのと同じなわけで、発行体側は表面的な発行コストが削減できるからこのスキームを採用するのでしょうし、(調達金額にもよりますが)、引受側にとってはあまりうまみがないかも知れません。
MSCBを使う方法
もう一つの手として、MSCBを使う手が考えられます。
以前お伝えしたインボイスさんの資金調達でも、MSCB(転換価格修正条項付きの転換社債)を発行し、Merrill Lynch Internationalさんが全額を引き受けてました。
(ご参考:https://www.tez.com/blog/archives/000189.html
この方法は、やはりインボイスさんがその後採用した「ストックオプション(新株予約権)」による資金調達を行うのと違って、会社が調達する資金の額が証券発行時に確定します。しかし、CBが発行されてから株式に転換されるまでの株価の変動リスクを誰かが負わないといけません。
インボイスのMSCBのように、(例えば)、

本新株予約権の各行使請求の効力発生日(以下「修正日」という。)の○○証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の94%に相当する金額の1円未満の端数を切り上げた金額(以下「修正日価額」という。)が、当該修正日の直前に有効な転換価額を1円以上上回る場合又は下回る場合には、転換価額は、当該修正日以降、当該修正日価額に修正される。

というような条件を付けると、引き受ける側のUBSまたは松井証券さんとしては株価の変動リスクを負わなくてすみます。例えば94%で取得して97%で売れば、両社合計で3%の鞘が抜けることになります。(ついでに、上方への転換価額修正条件を付けなければ株価が上がった場合にはその分丸儲け。)
ただし、これだと、CB発行後に株価が下がった場合に、発行される株式数が増えますので、発行体の既存株主は相対的にdiluteします。つまり、株式に転換されるまでのリスクは既存株主が負担するということになります。(あまり既存の株主に不利な条件だと、臨時株主総会決議が必要ではないか、という話にもなって面倒かも。)
おそらく、UBSさん松井証券さんが組まれるということは、資金やマーケットリスク・リターンの部分については主としてUBSさんが負担・享受し、松井証券さんは、(立会外分売などと同様)、通常の株式売買手数料より厚めの手数料収入が得られるという役割分担ではないでしょうか。
とすると、やはり、MSCBを使って、
「リスクの少ない発行体の場合にはマイルドな条件のMSCBを利用」(上方にも転換価額修正条項がついているとか、下限が高いところに設定されていて、それ以下への価格変動リスクは引き受け側が負うとか。)
「リスクが大きい発行体の場合にはよりキツい条件のMSCBを利用」
など、発行体の状況を勘案して条件を決定した方が、引受側(特にUBSさん?)にとっては「やりがいのある」スキームかも知れません。
UBSさん単体でもできそうなもんですが、機関投資家にはめ込むのはそれなりに手間がかかりますし、市場で消化する場合には株式の処分によるマーケットインパクトによって既存の株主に損失を与える可能性があるわけで、「オンライン証券の巨大な消化能力」を使うということにより発行体にも納得していただきやすいところがこのスキームのミソかも知れません。

これにより当社顧客は、従来の株式の公募・売出しと異なり、その時々の株価動向を見極めながら自分の好きなタイミングで当該株式を時価よりも低い価格で購入することができるようになります。加えて、購入決定から売却可能となるまで1週間程度を要する従来の株式の公募・売出しと異なり、新スキームでは購入日翌日からの売却が可能となりますので、価格変動リスクを大幅に軽減できます。なお、当スキームの導入により、これまで機関投資家しか参加できなかったブロックトレードに個人投資家も参加できるようになります。

(「自分の好きなタイミングで」と書いてありますね・・・。)
ネット証券の顧客にとっては、非常にいいお話ではないかと思います。

流通市場においては、平成11年10月の手数料自由化以降、手数料の安いオンライン証券が出現したことで、証券会社間での競争が促進され、現在は個人株式売買代金の8割以上がオンライン経由の取引となる等、市場構造の変革が行われてきました。それにより、株式取引における個人投資家の利便性は格段に高まったと考えます。

一方、発行市場においては、依然として一部の証券会社の寡占状態にあり、流通市場で繰り広げられているような証券会社間の本格的な競争は行われてきませんでした。このように競争がない市場では、業者側(証券会社)の意向が強く反映され、発行体企業や個人投資家の利便性は大きく損なわれてきたと考えています。

株式公開の時には主幹事の証券会社さんが公開準備や審査等に非常に多くの手間とコストをかけるわけですが、それもこれも、公開後のこうした資金調達でのフィーを得ようという部分も多分にあるはず。ブロッカレッジだけでなく「引受」についても、総合証券さんの利益がオンライン証券によって「クリームスキミング」されるという構図ですね。

今回、外資系証券のUBS証券とオンライン専業証券の松井証券が協力することで、発行市場の現状に風穴を開け、業者側ではなく、発行体企業や個人投資家にとって真に使い勝手の良い市場にしていきたいと考えています。

大賛成ですね。
(以上、内容についてはすべて私個人の意見であり、法令等をベースにしてはいるものの「想像」の部分を多分に含んでおります。正確なスキームの詳細については、当該企業さんにおたずねください。)
(ではまた。)

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アルファーブロガー

FPN(Future Planning Network)というサイトで、「日本のアルファーブロガーを探せ2004」という企画を開始されたそうです。

米国では「毎日20,000もの影響力のある読者に読まれている」ブロガーをアルファブロガーと呼んでいるそうです。(Ad Innovatorより)
 そういえば、FPNが対象としているような「未来を創造するのに役立つブログ」、「ビジネスパーソンに影響を与えているブログ」というようなブログの一覧って無いなぁという話になりました。(中略)
まだ、日本には米国ほどの影響力のあるアルファブロガーはいないかもしれませんが、きっと将来そう呼ばれるようになるブログがたくさんあると思っています。
 今年一年お世話になったお礼もこめて、是非、皆さんのイチオシのブロガーを教えてください。

とのこと。
(応募フォームはこちら。↓
http://www.future-planning.net/x/modules/eguide/event.php?eid=4
「アルファー」って、「一等星」ってことですかね。かっこいいですが、アメリカでは「毎日20,000人の影響力のある読者」に読まれているブログが結構あるということでしょうか。
1日でそれだと、延べではちょっとした週刊誌の実質読者数くらいにはなりそうですね。
元となったNewsweekの記事「The Alpha Bloggers」を見ると、(記事全体としては、ビジネス関係のブログというより技術系ブログ中心の書きっぷりですが、)

In order to crack into the upper strata, you have to post frequently to stay on the fickle radar of this ADD-infested crowd. You have to link prodigiously to other blogs, increasing your profile and increasing the chances for inbound links. And you must hold strong opinions about what you’re writing about—passion is required in a good blog. All of this takes time: Scoble spends two hours daily writing his Weblog and three more hours reading hundreds of other blogs in search of fresh ideas and nifty software innovations. “I want to be the first guy to spot the smart new guy or a cool new Windows app,” he says. Even then you have no guarantee of blog fame.

ということで、そういう方々は、一日計5時間もブログに時間を割いていらっしゃる模様。(そりゃ大変だ。)当然といえば当然ですが、競争も激しいので、ブログをメインの仕事にしないとトップ集団には入れないということでしょうね。
おまけに、

And what do the alpha bloggers get in return? Certainly not riches.

というオチまでついてます。(そりゃそうでしょう。)
ちなみにisologueは、おかげさまで、最近では平日1日あたり平均2,500人、たまに3,000人を超す日もでてきましたが(実質ページビューはその倍程度)、20,000人というのは遥か遠い目標ですね・・・。(いちおう肉眼で見える6等星ってくらいの感じ?)
たまに読んでらっしゃる方にお会いすると、企画系、CFO系、IT開発系、ベンチャーの社長系、ベンチャーキャピタル系、コンサルティング会社系、証券会社系、商社系、新聞、雑誌、テレビ系、といった方々で、それなりに社会的に「影響力のある読者」の方は多そうです。
今後もあまり量だけを追う気はさらさらないのですが、先日も、某ベンチャー企業の社長さんに「磯崎さんのブログは、人に教えたくないブログNo.1ですよ!」というありがたい(?)ご評価をいただきました。
えーと。みなさま、どんどん人に教えていただいて全然かまいませんので、どうぞよろしくお願いいたします。<(_ _)>
ではまた。

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