「日本のアルファブロガー」トップ10(中間)に入ったんずや

中間集計段階ですが、「日本のアルファブロガーを探せ2004」の投票数トップ10に入りました。
その中間集計結果を見ると、

・切込隊長BLOG(ブログ)
・梅田望夫 英語で読むITトレンド
・百式
・R30::マーケティング社会批評
・Passion for the Future
・Isologue by 磯崎哲也事務所
・ネタフル
・極東ブログ
・ネットは新聞を殺すのかblog
・NDO::Weblog

という大物の方々ばかりなので、私がいちばん素直に喜んでるんじゃないかと想像しますが。みなさま、引き続き清き組織票をよろしくお願いいたします。<(_ _)>
それから、「いつも正座して読んで」いただいているというはぐれバンカーの呟きさんからトラックバックいただきました。
昨日の記事「アホの経済学とデリバティブ」を、どんだんず君という翻訳エンジン(?)を利用して、津軽弁に翻訳していただいてます。
お礼を申し上げるべきなのかどうかよくわかりませんが(笑)、とりあえず、お礼しときます。ありがとうございます。
ではまた。

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アホの経済学とデリバティブ

昨日、「投資契約もオプションだ!」というお話をさせていただきましたが、そこで申し上げたかったことを別の観点から申し上げると、「世の中のあちこちにデリバティブ的な要素は潜んでおり、そこが大きな『情報の非対称性』となっていて、市場をゆがめる原因になっているんじゃないか」ということです。
47thさんからまたトラックバックをいただきまして、非常に参考になりますので長めに引用させていただきますが、

アメリカの会社法で80年代から90年代頭にかけて流行った議論の一つに、「会社法の強行法規制」という問題があります。説明しだすと、長くなってしまうので、ものすごく簡単に言ってしまえば、次のようなものです。

会社法は、取引費用(transaction cost)を節約するための契約の雛形(standard from of contract)に過ぎず、当事者が望むのであれば、定款で会社法の規定の適用を排除することは自由である。

さすがに、この見解を100%正しいとする見解は主流派とはなりませんでしたが、それでも、この見解はコペルニクスの卵あるいは天動説から地動説への転換のような意味を持ち、現在のアメリカの会社法では、ある会社法上の規制を是とする根拠はどこにあるのかについて、非常に意識的に議論が向けられるようになっています。

こうした議論では、法律がある経済活動を「禁止」ないし「困難化」(ここでは、あわせて「規制」と呼びましょう)することによる社会的な損失にも目が向けられます。というよりも、そうした「規制」による損失を正当化するだけの根拠がなければ、それは強行法規(当事者が合意によって排除することができない法規)としての地位を確保し得ないことになります。
その反面、当事者の自治に委ねる以上、関係当事者が適切な意思決定をできるように、十分な情報開示がなされたかどうかが極めて重視されます。
そういう意味では、現在のアメリカの会社法の方向性は、企業の選択肢を広げた上で、ディスクロージャーの充実による、自発的な利害調整に多くの役割を期待しているといっていいでしょう。

とのこと。
この47thさんが紹介された論理にはもう一つ、「すべての人は非常に頭がいい」という前提が隠れているはずです。
つまり、「MSCB(転換条件修正条項付転換社債)や投資契約に基づくオプションやデリバティブ的な価値というのが合理的に算定できる能力をすべての市場参加者がわかっている」のであれば、開示された情報を正しく利用することができ、市場は適正な資源配分を保証するはずです。しかしながら、実は、そういった「市場のあちこちに潜むデリバティブ的な要素」のバリューがピンと来る方って、非常に少ないですよね。というか、皆無に近いといったほうがよろしいかと。
指数オプションのようにオプション的要素を純粋に蒸留したようなものならまだしも、MSCBのように商法や証取法とか数学がからみあう「複合芸術」の領域となると、理解できる方がさらにしぼられることになります。
具体的にいうと、(日本でそういうことがわかる方が10万人以上いるとはとても思えないので)、99.9%以上の方はそういうことがわからないわけです。
ということは、こうしたデリバティブ的な要素については99.9%以上の人は経済学的に見て「アホ」なわけですが、99.9%以上の人がわからないとすればそれは「フツー」というのが正しいわけで「アホ」とか「バカの壁」とか呼んではいかんのではないかと思います。
もちろん、証取法などでも「適合性(suitability)の原則」というような形で、こうした弱者(というかフツーの人)を保護する手はずは取られていますが、やはり、MSCBで見てきたように、そうした「ゆがみ」は、いろんなスキームを通じて「浸み出して」来るのではないでしょうか。
証券会社で指数オプションなどをやっていて大きく(1日何百万円、何千万円と)儲けてらっしゃるような方は、やはりというか、「σ」とか「√」とかを見ても決してビビらないような(超理系的な)職種についてらっしゃることが多いようです。
つまり、「デリバティブ的要素」によって市場がマクロ的に見て大きく歪むということはないと思うのですが、ミクロに見ると、大多数の「アホ(フツーの人)」から「超あたまのいい人」がちょっとずつ利益を吸い取って「一人勝ち」する構造になるんでしょうね。
換言すれば、こういうことを許す市場経済というのは、「投資銀行的な人」「ヘッジファンド的な人」に大変都合のいいしくみと言えるかも知れません。さらに「インボー史観」的な見方をすれば、そうしたアメリカにおける経済理論や法理論は、投資銀行やヘッジファンド的主体からの財政援助によって育まれている面は多分にあるんじゃないかと思います。
「それってなんかずるいじゃん」と考えるか、「機会は均等に与えられているのだし、そういう一部の人の一人勝ちを許すことで(旧)共産主義国のようなことにならずに国全体の生活水準がアップしてるのだ」と考えるか、ですが・・・。
(ではまた。)

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投資契約もオプションだ!

さて、昨年末はMSCB(転換価額修正条件付社債)の話で結構(ごく一部方面で?)盛り上がらせていただきましたが、「うちはまだ未公開のベンチャーだから、そのへんはカンケーねーや」と思ってらっしゃる方。あながち関係ないとは言えないかも知れませんよ。
MSCBの話は要するに、「資金調達手段の中に隠されたオプション性」をどう評価するか?という問題だったわけですが、オプションというのは何も証券に限った話でなく、「経営活動のほとんどがオプションである」と言っても過言ではありません。(いわゆる、「リアルオプション」的な考え方、ですが。)
特に「契約」、とりわけ「投資契約」というのは、資金調達手段に関わる金融オプションそのものとも言え、MSCBと同じ問題をはらんでいます。
例えば、あなたの会社が今、投資家から投資を受けようとしているとします。
シンプルに発行済株式の10%の株式を発行して1億円調達するのであれば、投資家は会社の価値を10億円と評価してくれていることになります。ただここで、投資家側が「投資契約を結んでくれ」という話になったらどうでしょうか?
日本でも、ネットバブル前(1999年以前)は、大手のベンチャーキャピタルさんでも、投資の際に投資契約をまったく結ばないか、結んでもペラ1枚程度の契約だったりもしたわけですが(苦笑)、最近ではさすがに、(シリコンバレーのように厚さ10cmとまではいかないまでも)、それなりにいろんな条件付いた投資契約を締結したり、優先株式を使ったりということも行われるようになってきました。
単に「公開に向けてがんばります」とか「損益は毎月報告してちょうだいね」というような条件の契約であれば、あまり「オプションバリュー」は考えなくてもいいかも知れませんが、「残余財産の分配権」や「優先引受権」、「共同売却権」、「exit時の優先配当権」等が、優先株式や投資契約の条件についてたらどうでしょうか?
それらは明らかに投資家に有利なオプションバリューを持つことになりますので、MSCBと同じく「(株価に発行済株式数をかけた)表面上の企業価値評価」よりは「有利発行」されているとも考えられます。未公開で株式譲渡制限のついた会社では、株主総会の特別決議を経て新株を発行しますので、条件について既存株主と後でもめる可能性は公開会社よりは低いかも知れませんが、「御社を10億円と評価してますよ」という言葉にのって投資してもらったら、実はオプションバリューをよく考えたら3億円でしか評価されてないのと同じだった、ということにはなるかも知れません。(実際、投資家側から出てきた初回の契約書案をよく読んでみたら、投資家側に非常〜に有利な条件になっていた、というケースはよくあります。)
こうした条件のオプションバリューを数理モデルで計算して株価を決定しているという話は日本ではあまり聞きませんが、シリコンバレーなどではそういうこともやってるんですかね?(「厚さ数cm」の契約条件全部をオプションモデルに落とし込むのは、投資交渉のバタバタした中では難しいので、やってないんじゃないかと想像しますが。おおかたは「そういう条件はフェアでない。」「他社でもこういう条件をつけてることが多い。」てな(「文科系的」な)やりとりで決まってる気もします。)
ただ、ベンチャーキャピタルや再生ファンドなど専門の投資家さんは、こうした条件の持つオプションバリューやその相場観は、(数理モデルを持っているかどうかはともかく)、感覚的にはお持ちだと思いますので、このへん、スタートアップして間もなかったりファイナンスに疎かったりするベンチャー側の経営者と投資家との「情報の非対称性」が非常に大きい(つまり、うまく投資家に丸め込まれやすい)ところではないかと思います。
(ご参考まで。)

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ドラクエVIIIマネジメント

年末年始、家族でドラクエ�

ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君

にハマっていた磯崎です。
はじめは子供小三と小一の子供と私の3人でやっていたのですが、ヨン様サイトの陥落でヒマになった奥さんも後から合流いたしました。
ドラクエは「�」くらいまでしかやったことなかったですが、従来のように拾ったり魔物と戦って得たモノを商人に売却するという「採集狩猟経済」的要素だけでなく、「錬金釜」の導入により「製造業」的要素も加わってますので、製造原価や貢献利益の大きさを考えたり、製造ラインを休ませないように設備を稼働させたりと、子供にそのへんのマネジメントの基本を学ばせるのにもいいかも知れません。
また、正月に家族でゲームをする場合、(1) ポーカーとかマージャンとか、知的レベルや経験で大きく差がつくものだと、小学校低学年とまともに戦ったら勝負が見えてますし、(2) 偶然のみに左右されるゲームでも、単に勝った負けたで話が終わってしまうわけですが、ドラクエは、この「合理的推論が必要とされる部分」と「リスク」とのバランスが非常によろしいかと。
また、これだけ壮大なゲームともなると、「COO」「CSO」「CTO(錬金釜の原材料組み合わせ担当)」など、分業体制を確立するメリットも自然にわかってきます。「家族が一団となって」敵と対戦したり、ストーリーの感動を味わうことになるので、家族の絆を深める上でも有効かも。
「ヒアリングにより情報収集すること」がいかに大切かがわかるのもドラクエのいいところですね。
(他人の家にズカズカ入って行って勝手にタンスを開けたり壺を割るのは、コンプラ教育上、大変よろしくありませんが。[笑])
ではまた。

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明けましておめでとうございます

昨年このblogを開始したことは私にとって非常に大きな出来事でした。
3月に開始して約9ヶ月間やってみましたが、当初1日300人程度だったアクセスが、12月には1日2,000人超(4,000page view[pv]超)、月間では12万pvを超えるアクセス(検索エンジン等を除いた正味)をいただけるまでに成長したことには自分でびっくりしています。
「isologue」というのは「isozakiのblog(またはmonologue)」という意味はもちろんですが、辞書を引くと「isologous」の名詞形で、「同位体」「同級体」というような意味があるとのこと。(マニアックな科学系辞書にしか載ってないようですが)。
「見た目は同じブログだけど、中身はちょっと違う」ことを目指して書いてきましたが、そうなってますかどうか。
途中でネタがつきない「sustainable」なものにするにはどうするか、と考えて、「オレしか知らないここだけの話」ではなく、新聞や雑誌などでオープンになっている記事はもちろん、法律や会計基準などの「オープンな」ことをベースに何か書く、ということをやってみました。「誰も知らない話」を継続して持ってくるのは、「取材」というコストをかけないと無理でしょうし、日常の仕事であった話を載っけるというのも仕事柄、守秘義務的に無理な話。(仮名にしても、どの会社の話をしているのか特定できそうなことも多いので・・・。)
「オープンなものの組み合わせ」で「あまり知られてない話」ができるかどうか、半信半疑ではじめてみたのですが、かなりの方に「おもしろい」と言っていただけましたので、
「世の中には思いの外、『個々の要素はオープンになっているが、それがどういう意味を持つのか、どういう挙動をするのかについては、ほとんど知られていないこと』が多いんだなあ」
ということがわかって、これまたちょっとしたオドロキでした。
というわけで、「そもそもオープンになってない裏話」はこのisologueではあまり出てきませんので、ちょっと「刺激が足りない!」というご感想をお持ちの方もいらっしゃるかも知れませんが、引き続き、お付き合いいただければ幸いです。
また当初、ブログを書くことが「私にとっても」メリットがないと、sustainableなものにならないんじゃないかと心配しましたが、ブログを書くことで自分の頭が整理されること、コメントやトラックバックをいただくことで議論が深まることは、私にとって当初の想像よりはるかにプラスになりました。
読んでいただいた方々、コメントやトラックバックをいただいた方々、私にblogを書くことを勧めてくださった方、インストールの方法等を教えてくださった方、その他、blogの制作にご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございます。
本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。<(_ _)>

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