野村證券、ロスチャイルドと提携

本日の日経一面の記事より。M&A仲介等を強化するそうです。
ロスチャイルドと言えば、ナポレオン軍とイギリス軍の1815年の「ワーテルローの戦い」の時にイギリス軍勝利の情報をいち早くつかみ、証券取引所でイギリス国債をまず売って、周りの人に「ロスチャイルドが売ってるってことはイギリス軍敗北?」思わせて国債を暴落させ、紙くずになったところを買い集めて巨万の富を築いたとされてますが。
(今、日本でやると、証取法159条違反(相場操縦等)などになる可能性があるので、よい子のみんなはマネしないでね。)
ロスチャイルドと聞くと、石造りのお城とかがオフィスって感じがしますが、そういうわけで、いまだに、
情報通信×金融
の領域には大変ご関心がおありだとか。
確か、2000年のイギリスの周波数オークションでも政府側のアドバイザーを務めて、巨万のフィーを得られたと聞いております。(落札額が、4兆円弱でしたからね。)
ぶどう畑もお持ちなので、大きめのディールが決まると、ビンテージもののワインを開けて乾杯されるとか。
わたし、ワインはまったくよくわかりませんが(現在、「神の雫」(週刊モーニング)で勉強中)、シャトー・ラフィット・ロートシルト(Chateau Lafite Rothschild)とかいうやつでしょうか。(違ってたらどなたかご教授ください。)
(ではまた。)

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テレビの将来性、ネットの将来性

一連のライブドア関連記事では、みなさまから非常に多くのトラフィックをいただきまして、ありがとうございました。昨日は、なんと初めて2万人、6万ページビューを超えまして。
「アルファブロガー」(にがわらい)というのは、「毎日20,000もの影響力のある読者に読まれている」ブログを書いてる人とのことなので、やっとその領域に達したと思いたいところですが、単なる一過性の可能性大。
Alexaでも初の10,000位突破。(9,346位) 宮里・北田組は世界1位になったというのに、なんと小さい>オレ。でも、二度と4桁にならなかったら悲しいので、ここにペーストして登頂記念とさせていただきます。
alexa_tez_20050212.gif
しかしアレですね。Google等でキーワード検索すると比較的このブログがひっかかりやすいからなのか、在京キー局各局(もちろん、フジテレビを除く)の方々から、いっせいにライブドアのTOBやMSCBについてのお問い合わせをいただきまして。
改めてブログのパワーを思い知ったというか。そもそも、ネット企業であるライブドアがテレビ局を価値があると思って買いに入っているにも関わらず、そのテレビ局の方々はネットでネタを探しているという構図が、なんだかすごく面白かったです。はい。
(ではまた。)

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「MPO」が野村證券の商標らしい、という件について

「ライブドアのMSCBとMPOについて、ちらっと考えてみた」に、「クロ」さんからコメントいただきました。

MPO(これは野村證券の商標らしいです)

ほんとだ。↓
http://www1.ipdl.ncipi.go.jp/syutsugan/TM_AREA_A.cgi →で、「MPO」を検索。

(111) 【登録番号】 第4816683号
(151) 【登録日】 平成16年(2004)11月12日
(210) 【出願番号】 商願2004−14737
(220) 【出願日】 平成16年(2004)2月19日
    【先願権発生日】 平成16年(2004)2月19日
    【最終処分日】
    【最終処分種別】  
    【出願種別】

——————————————————————————–
    【商標(検索用)】 MPO
(541) 【標準文字商標】 MPO
(561) 【称呼】 エムピイオオ
(531) 【ウィーン図形分類】

——————————————————————————–
(732) 【権利者】
    【氏名又は名称】 野村證券株式会社

——————————————————————————–
    【類似群】 36A01 36A02 36A03 36B01 36B02 36C01 36D01 36E01 36F01 36F02 36H01 36K01 36M01
    【国際分類版表示】 第8版
(500) 【区分数】 1
(511) (512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
36 預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入のあっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電話料金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古自動車の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募金,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機・現金自動預け払い機の貸与

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ライブドアのMSCBとMPOについて、ちらっと考えてみた

47thさんが「借株について本気出して考えてみた」で、ライブドアの貸株について本気出して考えてらっしゃいますので、私も、そのへんについてちらっとだけ考えてみたいと思います。
この記事の中で、taka-mojitoさんの「ライブドア、ニッポン放送株35%を取得」 という記事から以下の部分を引用されてますが、

ただ、よくよく考えてみれば、LB証券としては、ライブドアに貸した800億円が株式に化けるに過ぎないわけで、ライブドア株を長期保有する意思がない限り、800億円の見合いとして入手した株式を売り抜けることが最重要課題であるはずなのです。・・・(中略)・・・今回のLB証券の場合は、800億円のロング・ポジションを持っているのと同じなので、いかに安く買うかではなく、いかに高く売るかがポイントになるのだと思います。
結局、LB証券としては、ニッポン放送株の値段を見てフレキシブルにショート・セルを行い、自己のポジションをヘッジするために、借株の約束を取り付けておいたという単純なことなのではないか、というのがぼくの現時点での推論です。もう実は売り始めているかも・・・?

今回のCB引き受けは、証券会社にとって「ロング」なんでしょうか?
(お二人がロングと断定されていると私が思っているということではありません。ごく一部だけを引用してますので、お二人のお考えは、上記の元記事をよーくお読みください。)
今回のMSCBの条件は、一昨日の記事でも書いたとおり、ライブドアの立場に立って悲観的に考えればかなり「ガクガク(((((゚Д゚)))))ブルブル」な条件なわけですが、逆にCB保有者にとっては、「株価との連動性が非常に高い」条件です。マクロにざっくり見ると基本的にはロングじゃなくてニュートラルなのかな、と。
今回の新株予約権は800個で、「一部行使はできないものとする」となってますので、1個1億円分ごとに株式に転換していかないといけませんが、ライブドアの出来高を見ると、毎日100億円前後は出来ているようですので、1億円単位でも比較的すぐに消化可能でしょう。今回の条件では、直前3連続取引日の90%で転換できるので、価格が上昇傾向の時に転換すれば、これだけでほとんどリスクヘッジできちゃってるのではないかと思います。
ではプレスリリースに、

今回の調達に伴い、当社筆頭株主及び代表取締役社長兼最高経営責任者である堀江貴文は、その保有する当社発行普通株式の一部をリーマン・ブラザーズ証券会社グループに貸借する合意を行っております。

とある貸株の意味は何なのかな、ということですが。
好意的に解釈すると、「下限転換価額を下回りそうになったら堀江社長から株を借りますよ」とか、「転換を請求して事務手続き上株式が売却可能となるまで、リスクヘッジのために借りた株を売っておく」というだけかも知れませんね。
でも、(以前も書きましたが)そういう「健全な」条件なら、プレスリリースにもそう書いておけばいいのにね。
なぜ「MPO」は和製英語なのか?
だいたい、Web上の論調を見ても、MSCBやその発行を行った経営者や、それを引き受ける証券会社は「ワルモノあつかい」されることが多いかと思いますが、以下、「ホントにそうなんでしょうか?」という観点から。
MSCBを証券会社に対して発行し、証券会社が株に転換して市場に徐々に放出する方法を「MPO」(Multiple Private Offering、マルチプル・プライベート・オファリング)と言うようですが、Googleでこの用語を引いてみても、日本語のページしかヒットしないので、おそらく、「MSCB」同様、和製英語なんでしょう。
(追記:この記事の次のエントリー参照。)
もしかしたら、海外では違う言い方をしてるのかも知れませんが、同じスキームが存在すれば、わざわざ和製英語を作らないでしょうから、やはりそういうスキームは海外には存在しない可能性が高いのでは。
では、仮にそうだとして、なぜ海外では採用されないのに日本ではこうしたスキームが採用されるのでしょうか?
「日本の発行体がアホだから」とか、「証券会社が発行体をだましているから」とか、「アメリカはコーポレートガバナンスが発達してるし、代表訴訟のリスクがあって、こんなMSCBは事実上発行できないから」とかいうことも考えられますが、以前も「転換社債(CB)を用いた”新”資金調達スキーム(その2)」という記事でちらっと書いたとおり、もしかすると、日本の商法等の法律や制度が(発行までに二週間以上かかるとか、公告のコストが高いのであまりちょこちょこ発行できないとかなど)フレキシビリティを欠いているからかも知れませんね。
スタジオジブリ風に言うと、

きれいな水と土では腐海の木々も毒を出さないとわかったの。
汚れているのは土なんです。

ということで、「腐海」や「虫」が悪いんじゃない、(そういう「土」のもとでは、そうした「生態系」が自然にできあがる)、という観点ですが。
法律や制度の「ゆがみ」のせいで、既存株主が損害を受け、証券会社がおいしいことになっているのであれば、MSCBや証券会社をワルモノにするよりも、制度の方を変えた方がいいのかも知れませんけど。
さて、どうなんでしょうか。
MPOの実態
今回いろいろググって見ると、MPOについて詳しく述べられているページをいくつか発見しました。
複合デリバティブ商品の概要と評価方法−MPO商品の評価
KPMG税理士法人 パートナー 河野辺 雅徳、シニアマネージャー 伊東 康彦
http://www.kpmg.or.jp/resources/newsletter/financial/cf/200410/03.html
という記事では、MSCB等のオプションバリュー等をどうやって算定しているかについて、

格子法(ツリー・モデル)
格子法は、MPO商品が有するような複雑なオプションの価値算定が可能であり、かつ商品特性に応じたモデルの変更が可能なことから、一般に、MPO商品におけるオプション価値の算定には格子モデルが最適であると考えられている。格子法には二項モデル(バイノミアル・ツリー・モデル:図表3参照。なお、二項モデルによる計算方法例は図表4参照)および三項モデル(トリノミアル・ツリー・モデル)等といった多項モデルがある(なお、格子法の詳細については、既著『経営者のための事業価値評価』(中央経済社)および本誌2004年5月10・20日合併号(1050号)「事業投資の意思決定とバリュエーション」を参照されたい)。なお、評価の精度と実務上の取扱いの容易さを勘案して、我々は通常「三項モデル」を用いて評価を行っている)。

と、KPMG税理士法人さんでは、「三項モデル」を使って評価されているということが記載されています。
また、証券会社等がどうやって評価しているかについては、

証券会社等多くの金融機関においては、MONIS社(現在はSungard社に吸収合併)が開発した「MONIS Convertibles XL」と呼ばれる評価モデルを用いて評価を行っている場合が現状では多い。

ということで、「10階層の多層構造の格子モデルを使い評価額をはじき出すモデル」を使っているようです。(こういうことやってるのは、ちゃんとした証券会社だけで、怪しげなMSCBを引き受けているところはそんなことやってないような気もしますが・・・。)
kpmg_mpo.gif
(出所:KPMG税理士法人)
そのモデルについてはこちら。
Monis Convertibles XL version 6.0
http://www.sungard.com/ products_and_services/
(お試し可能とのこと。)
「専門家」に聞いたのか?
こうした評価方法は、まだ一般の事業会社ではわかる人は極めてまれでしょうし、こうした評価方法のわかる専門家が発行体側のアドバイザーとしてついているかどうかが問題ですね。
アメリカの裁判では、取締役の注意義務を問う場合、「専門家に聞いたのか?」というのが一つの基準となると聞いてます。
こうしたモデルでは、個々のパラメータ(特に、原資産である株式のボラティリティの推計をどうするか、あたり)を適当に設定することで、リスクの程度はいかようにでも見せられると思います。
今回のライブドアでのCBの発行は、かなり「バタバタ」行われた印象があるのですが、もし、証券会社側が「これだけ資料をそろえておけば、有利発行をしたとは言われないですよ」とか「御社にとってもリスクはあまりないです」といって出してきた資料を鵜呑みにして、発行体側で別途第三者である専門家に確認してなかったとしたら、注意義務を怠っていたと言われる気もします。
実務では、そういった「第三者」も証券会社が紹介してくれるのかも知れませんが。(証券会社から紹介された「第三者」が、「この条件は発行体にとってヒドすぎる」というようなコメントを言ってくれるとは思えませんけど・・・。)
その他参考資料
また、旬刊経理情報2005年1月10・20日号 の「新しい資金調達方法MPOの仕組みと留意点」という特集がかなりまとまっているようです。(各記事の1ページ目だけ、pdfが見られます。)
以下の方々が記事を書かれてらっしゃいます。
多様なニーズに応えるMPOの仕組みとメリット
野村證券� キャピタル・ソリューション部 エクイティ・ソリューション二課長 冨永 康仁
http://www.keirijouhou.jp/keirijouhou/1072/1072008.pdf
前述のKPMGさんの記事では、「MPO商品は、そもそも外資系証券会社が日本市場に持ち込んだ商品といわれているが」と、「外来種」であるような記述がありますが、この野村證券さんの記事では、MPOは「野村證券が二〇〇三年一二月に初めて提供した新しいエクイティ・ファイナンス手法である。」と、「日本起源説」を唱えられているようです。
MPOをめぐる法的問題有利発行か否か
あさひ・狛法律事務所弁護士 新家 寛
http://www.keirijouhou.jp/keirijouhou/1072/1072014.pdf

本稿では昨年一二月以来、各種MPO案件に当初より関与してきた弁護士の立場から、MPOの有利発行性を検討する上で留意してきた点のいくつかを紹介する。

設例で解説 MPOにおける発行証券の評価方法
みずほ第一フィナンシャルテクノロジー�
業務推進部 課長 児玉 雄一
http://www.keirijouhou.jp/keirijouhou/1072/1072020.pdf

MPOで利用される商品はエクイティオプションの要素を含んでいることから、その価値評価ではオプション評価モデルを利用することが適当と考えられる。また、評価者は、評価対象の商品性に応じて適切なモデルを選択して、可能な限り忠実に商品性を再現する必要がある。本稿では、MPOで利用される商品の評価手法を、事例を使って紹介する。

MPOにおける発行・転換・償還時の会計と税務
ユナイテッド・パートナーズ会計事務所パートナー・税理士 松 為久、寺田 芳彦
http://www.keirijouhou.jp/keirijouhou/1072/1072025.pdf

その実態は公募増資に近似するが、会計・税務上はいわゆる転換社債として取り扱われ、転換社債と同様な処理となる。転換社債については転換時の会計処理が明確でないこと、税務上は有利発行の議論が存在することにスポットを当てている。また、トピックスとして簡単に米国会計基準の場合の取扱いについても触れている。

(ご参考まで。)

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フジテレビのTOB条件変更は「アリ」?

12日の記事「渋い一手?フジテレビのTOB目標引き下げ」に、「student」さんからコメントいただきました。

そもそも、いったん公表した公開買付の買受予定株式総数を減少させることは許されるのでしょうか?
証券取引法第27条の6第3項を見ると
「買付け等の価格の引下げ、買付予定の株券等の数の減少、買付け等の期間の短縮その他の政令で定める買付条件等の変更は、前二項の規定にかかわらず、行うことができない。 」とあるのですが・・・。

「fujiko」さんにもお答えいただいてますが、フジテレビさんとしては証券取引法に禁止された変更ではないという解釈なんでしょうね。同じくトラックバックいただいたtaka-mojitoさんの「フジテレビ、『買付予定株式数』を25%超に引き下げ」に詳しく解説されてますので、詳しくはそちらをご覧いただければ、と思います。
taka-mojitoさんは、

「買付予定の株券等の数」というのは、法律が予定する原則的な形態においては、一応の指標というくらいの意味しかなく、例外として許されている条件を付けて初めて下限や上限を画す機能を持つことになるということになります。つまり、「買付予定の株券等の数」の定義自体には、もともと上限という意味はないし、ましてや今回のフジテレビは「買付予定の株券等の数」によって上限を画しているわけではないということです。

とされてますが、一方、職場の同僚の方が今回のフジテレビのTOB条件の変更と同様のケースを金融庁に問い合わせたところ、「それは『買付予定の株数等の数の減少』に当たる」と言われて、(追記:その、「後から下限を下げられない」という結論に対して)「何と非常識な」と思われたとのことで、結論は留保されて、47thさんにフッてらっしゃいますので、お二人のやりとりを見守ることといたしまして・・・。
米国の場合
ちなみに、
「敵対的M&A」防衛マニュアル—平時の予防策 緊急時の対抗策
450237640X.09.MZZZZZZZ.jpg
野村証券IBコンサルティング部 (編集) 中央経済社
では、

米国の場合、TOB期間中におけるTOB価格の引き下げは可能である。
(1934年米国証券取引法 Rule 4e-1(b))

として、オラクルがピープルソフトへのTOBの途中でTOB価格を引き下げた事例を紹介しています。(同書81ページ)
ということは、(今回の件が日本の法律でどう解釈されるかどうかはおいといて)、TOB中に応募者に不利益な変更しちゃダメというのは、あまり普遍性のある法理ではないんでしょうね。
これの意味するところは、「応募した人が機会損失を負ってもしゃあない」ということですからちょっとビックリしますが、欧米では株式を対価とするTOBも多く、(買収側の株式の価値は刻々と変化するし)、機会損失を言い出したらキリがないから、そんな規制しても意味がないということでしょうか?(←思いつきによる推測。)
(ではまた。)

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ライブドアのMSCB(ガクガクブルブルその2)

先日の記事「ライブドアのMSCB」の「ガクガク(((((゚Д゚)))))ブルブル」に対して、いろいろご批判のコメントをいただきました。

うう?ブルブル、じゃわからないですが??
どんな条件なのですか?
投稿者 hassuru hassuru : February 11, 2005 08:58 AM

(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルじゃなくてちゃんと説明しろよ。
投稿者 みつを : February 11, 2005 06:55 PM

はい。すんまへん。以下、謹んでご説明させていただきます。<(_ _)>
まず資料
まず、転換社債の諸条件の現物を見たい方はこちらをご覧ください。

公告:
http://ir.nikkei.co.jp/data/pdf/20050209/05020275.pdf
プレスリリース:
http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/…/12080010.pdf
(プレスリリースの方が、内容が詳しいです。)

主要な条件
このプレスリリースを見ると、たくさんの条件が書いてありますが、特に重要なのは下記のあたりだと考えられます。

(3) 新株予約権の行使に際して払込をなすべき額
� 本新株予約権の行使に際して払込をなすべき1 株当たりの額(以下「転換価額」という。)は、当初450 円(以下「当初転換価額」という。)とする。
� 転換価額の修正
本新株予約権付社債の発行後、毎週金曜日(以下「決定日」という。)の翌取引日以降、転換価額は、決定日までの3連続取引日(終値のない日は除き、決定日が取引日でない場合には、決定日の直前取引日までの3 連続取引日とする。)の株式会社東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の毎日の売買高加重平均価格の平均値の90%に相当する金額(以下「修正後転換価額」という。)に修正される。但し、かかる算出の結果、修正後転換価額が157 円(以下「下限転換価額」という。但し、下記�により調整される。)を下回る場合には、修正後転換価額は下限転換価額とする。
(5) 新株予約権の行使請求期間
2005 年2 月25 日から2010 年2 月23 日まで

特に、
・平均単価を出すのが3取引営業日というところ、
・発行日の翌週から毎週、転換価額が修正されるところ、
・下限転換価額が34.8%と非常に低いところ
・そして、一度株価が下がると株価が回復しても二度と転換価額はあがらない条件になっているところ、(「てつ」さんのご指摘により削除。コメント欄参照)
等が、注視すべき点かと思います。
これが、どのくらいよろしくない条件かというのをデータで見てみましょう。
以前も用いたデータで、一昨年の10月から昨年の9月までの200ちょっとの転換社債の発行例を調べたデータを用いてます。私がNIKKEI NETの公告pdfから一つ一つひろったデータで、あまり精査もしてませんが、おおかたの傾向を見るには問題ないかと思います。
平均単価算定日数
まず、平均単価を出す日数。これが長いほど「売り崩し」に強いと考えられますが、
image002.gif
上図のように、今回のライブドアさんのMSCBの条件「3日」は、下から全体の15%未満のところにあります。
転換価額修正頻度
次に、転換価額がどのくらいの頻度で修正されるか。今回のMSCBは「毎週」ですが、
image008.gif
上図のとおり、「毎週」は、頻度の高いものから数えて全体の9%ちょっとのところにあります。
頻度が高いほど、直前の転換価格をさらに割り込む可能性が高まるわけで、下方にしか修正されない転換社債では、下がり始めるとどんどん転換価額が下がる要因になり得ます。
当初転換価額に対する下限価格の割合
次に下限の低さ。(当初転換価額に対する%)
これが株価下落の「底なし度」を表すわけですが、今回のMSCBは当初転換価額の35%弱です。
image009.gif
上図のように、これも低い方から数えて約10%のところにあります。
以上のように、どの条件も下から数えた方が早い。というか、この条件より「下」の企業は、どことは申しませんが、株価がタダみたいになっちゃったシステム会社さんとか、架空取引で有名になった会社さんとか、ちょっとナニな企業さんが多いのも事実。(だからといって、ライブドアさんもナニだ、ということを申し上げるつもりはありませんが)、投資家の方々にある種の「連想」を喚起させるのはいたしかたないかと思います。
ご注意いただきたいのは、上記の通り、発行される転換社債の約6割は(条件の差はあれ)転換価格は修正されますので、「MSCB」なわけで、前にも述べたとおり、「MSCB=わるもの」という認識はちょっと行き過ぎではないかと、私は思います。
ただ、今回のライブドアさんの転換社債の条件がその中でどう位置づけられるかというと、上記の通り、とても「いい方」とは言えないんじゃないでしょうか?
コールオプション条項
ただし。この転換社債には「コールオプション条項」がついてます。

7社債に関する事項
(4) 繰上償還
�コールオプション条項による繰上償還
当社は、その選択により、本社債所持人に対して10 日以上の事前の通知を行うことにより、2005年3 月以降、毎月の各取引日において、残存本社債の全部又は一部(但し、額面金額合計100 億円以上)をその額面金額に対する下記の割合で表される償還金額により繰上償還することができる。
「取引日」とは、株式会社東京証券取引所が開設されている日をいい、終値が発表されない日を含まない。
2005 年3 月1 日から2005 年3 月31 日まで107%
2005 年4 月1 日から2005 年4 月30 日まで106%
2005 年5 月1 日から2005 年5 月31 日まで105%
2005 年6 月1 日から2005 年6 月30 日まで104%
2005 年7 月1 日から2010 年2 月23 日まで103%

ということで、「あまりひどいことになったらコールオプションを行使して返すつもりですから」という「説明(言い訳)」がしやすい。
また、普通のオプションのモデルに「株価が一定以上に下落したらコールオプションを使用する」というような(好意的な)仮定を加えた単純なモデルであれば、シンプルなモンテカルロシミュレーション風のモデルで理論価格も計算しやすいかと思いますが、「実際に借り換えができるかどうか」は、ライブドアの財務状況に関わってくるので、まともにやろうとするとモデルが非常に複雑になってしまう可能性があります。(つまり、うがった見方をすれば、この条件を入れておけば、「低価発行で違法だ!」というツッコミは受けにくいかも。)
実際、このCB、今後、株価が上がっていけば何の問題もないわけです。
しかし、問題は株価が下がり始めた場合。
こうしたキツい条件のMSCBの場合、株価低落→転換価格低下→希薄化→さらなる株価低落というような「負のスパイラル」が働きだす可能性は高いですし、そういう状況下で、800億円もの資金をこのCBよりいい条件で借り換えできるのかどうかは、はなはだ疑問じゃないでしょうか?
加えて、証取法164条の関係もあり、あまり短期間で転売というようなことが行いにくいとすると、株価が下がり切っちゃった後、ということもあり得ます。
モデルとしても、例えば「株価が2割以上落ちた場合には、これ以上のいい条件での借り換えはできない」というように仮定を単純化してしまえば、コールオプションを付けないオプションバリューと付ける場合のオプションバリューは、あまり差がないことになってくるのではないかと考えられます。
とすると、やはり、このMSCBの条件は、

ガクガク(((((゚Д゚)))))ブルブル

と申し上げるのが適当ではないかと考える次第であります。
(ご参考まで。)

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渋い一手?フジテレビのTOB目標引き下げ

フジテレビ、ニッポン放送株のTOB目標を引き下げ

フジテレビジョンは10日、ニッポン放送株式の公開買い付け(TOB)の実施時期を3月2日まで延長すると発表した。従来は2月21日までだった。最低取得株数も1233万5341株から413万5341株へ引き下げた。保有しているニッポン放株を合算して、発行済み株式の25%以上(従来は50%以上)の取得を目指す。

「大人の渋い一手」という感じでしょうか。
当初は、「TOB価格引き上げ案」も出ていたようですが、浮動株もほとんどない現状で価格つり上げ合戦に出ても、フジテレビがつらいわりには、ライブドア側にも与えられる影響はわずか。
一方、仮に25%超をゲットできれば、ニッポン放送の保有しているフジテレビ株の議決権を「無力化」できます。

商法第二百四十一条�
会社、親会社及子会社又ハ子会社ガ他ノ株式会社ノ総株主ノ議決権ノ四分ノ一ヲ超ユル議決権又ハ他ノ有限会社ノ総社員ノ議決権ノ四分ノ一ヲ超ユル議決権ヲ有スル場合ニ於テハ其ノ株式会社又ハ有限会社ハ其ノ有スル会社又ハ親会社ノ株式ニ付テハ議決権ヲ有セズ

ニッポン放送はフジテレビ以外の関係会社の株式も保有していますが、とりあえず、フジテレビとしては、当初の予算より少ない25%超の取得でフジテレビ本体への影響を防御。
相手は、ビミョーな条件のMSCBを発行して体勢のバランスが崩れかけてるところですから、フジテレビ側は長期戦の構えに持ち込めば、相手の自滅の可能性も無くはありません。
「票読み」がどうなってるかにもよりますので、まだなんとも言えませんが。
(ではまた。)

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ライブドアのMSCB

株式の取得の方に集中してたもので、MSCBによる資金調達の方をよく見てなかったのですが・・・。
本日、外出先でラーメンを食っている時に某テレビ局の方から電話をいただきまして、
「ライブドアが発行するMSCBについてコメントいただけないでしょうか?」
と聞かれましたので、
「すみませーん、まだ条件をよく見てないんですがー。」
とお伝えした上で、
「ま、MSCBも世間でこれだけいろいろ叩かれてきましたので、さすがに、例えば下方だけじゃなく上方にも転換価格が修正されるとか、下限は高めに設定しておくとか、それなりの条件のモノになってるんじゃないでしょうか。見てないので何とも言えませんけどー。」
とか、テキトーなことを言ってしまったので、移動中に早速、ネットで条件を見てみたところ・・・。
「うっ・・・。こっ・・・これは・・・・」 ガクガク(((((゚Д゚)))))ブルブル
(コメントするまでもないので、以下略。)
(追記:内容については、「ライブドアのMSCB(ガクガクブルブルその2)」ご参照。)

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ライブドアのニッポン放送株1/3超取得は違法か?(その3)

こんばんは、滝川クリステルです。もとい、磯崎哲也です。
昨晩のフジテレビ「ニュースJAPAN」では、一っ言もライブドアについて触れてませんでしたね。(ちょっとびっくり。)
(追記あり:2/11 6:00)
さて、47thさんからトラックバックいただきました。

それにしても、磯崎さんも、またセンセーショナルなタイトルを・・・いえいえ、昨日は取り急ぎ思いついたことを書いたので、やや舌足らずなところもあったのかもしれませんが、私は、ライブドアの今回の取引を「違法だ」なんて・・・そんな大それたことは申し上げていないんです・・・信じてください。
ただ、「アグレッシブ」あるいは「法的リスクが高い」ということを言いたかっただけですので・・・(え?同じこと?)
ただただ、依頼者から相談されたら「お薦め」はしませんが、「どうしてもやりたい」というのであれば、「違法行為には加担できませんので辞任します」というような話ではなく、「えー、本当にいいんですか?知りませんよ・・・」(渋々)というレベルの話です。

ということだそうです。
私も「違法か?」と言っただけで、「違法だ」とは申し上げてませんので、念のため。(笑)
>みなさま
ただ、先日のエントリーの最後にも書きましたが、私としては、フジテレビさんに、「違法だ!」と言って、告発するなり、東京地裁の民事第9部あたりに駆け込むなりしていただいて、司法がどう判断するのかは、(不謹慎に聞こえるかも知れませんが)、非常に見てみたいところです。
住友信託 vs UFJの件もそうでしたが、今までは、「そんなことで裁判所のお世話になるなんて、いやですわねー」という感じだったものを、お白州の場に引き出すことで、いろんなことがオープンになって、法制度の問題点やあるべき事前の手当などが広く周知されるので非常に社会に与える教育効果が大きいと思うんですよね。
買収防衛策整備の必要性
先日、買収防衛にお詳しい某弁護士さんが、
「ドイツやイギリスなど、ヨーロッパでは、議決権の30%を買いたい人は(既存株主が売りたいと言えば)100%買わないといけないという、攻める側への規制がある。つまり、”経営にコミットする人”にしか買収を許さない。
一方、アメリカでは、攻める側にこうした公的な規制がない代わりに、守る方もライツプランやポイズンピルで自由に防御していいことになっている。
これに対して、日本では、攻める方は自由だが、守る方は規制でがちがちに縛られている。守る側に圧倒的に不利。」
とおっしゃってました。
今回も、ライブドアさんはわずか1/3超を取得するだけで、フジサンケイグループ全体に非常に大きな影響を与えられてしまうわけです。
いわば、釣り人が糸を垂れて、撒き餌(TOB)をせっせとやって魚がたくさん集まってきたところを、横から悪ガキが、タモで一番大きいのを数匹ごそっと持って行っちゃったようなもんですからね。
それにつけても、以前、梅田望夫さんの記事に関連して行ったGoogleのdual classの株式によって買収防衛するのがいいのか悪いのかという議論が思い出されますが、私はやっぱり、アメリカでは「相手が銃を持ってるかも知れないから、自分も銃で武装する権利がある」という考え方で均衡が図られているんだと思いますし、Googleの取締役は、「MicrosoftやYahooが斬りかかってきたらどうするか?」という点にも注意を払ってIPOしたのは正解だと思います。
日本でも、今まで、「日本は安全だから、別に身を守ることなんて考えなくてもいいや。」と考えられてきたわけですが、今回のように横から人が集めた大物をかっさらうような「やんちゃな悪ガキ」がたくさん登場しつつあるわけですから、真剣に防御策を考えないといけないですね。
大株主異動のインサイダー取引
と、今ふと大変なことを思いついちゃいましたが。
以前、「ニッポン放送株式取得とインサイダー取引」で、双方がTOB等を知っていて取引する場合にはインサイダー取引にならないという規定(167条)をご紹介しましたが、TOBでない方の証券取引法第166条第6項第7号にも、同様の規定があります。
しかし、両方とも下記のように、

七  第一項又は第三項の規定に該当する者の間において、売買等を取引所有価証券市場又は店頭売買有価証券市場によらないでする場合(当該売買等をする者の双方において、当該売買等に係る特定有価証券等について、更に第一項又は第三項の規定に違反して売買等が行われることとなることを知つている場合を除く。)

と、「市場外で」行うことが条件になってます。
昨日申し上げたように、今回の場合、「市場外」で行ったのならTOBにしないと違反ですし、もし、ライブドアが大株主になることを知っていた場合、「市場内」で取引を行ったのなら、インサイダー取引に該当してしまうんじゃないでしょうか。(知っていたとしたら、ですが。)
昨日のVWAPに対して、手数料分くらいしか乗ってないわけですが、インサイダー規制は
「利益が出る出ないに関わりなく」違反
になります。
また、違反になった場合には、利益だけが没収されるのではなく、それに関わる「財産」が没収になります。つまり、仮に(仮に、です)全部そうだとすると700億円くらい。
うーん。このへんは大丈夫なんでしょうか。
今回の開示のタイミング
「しがない」さんからコメントいただきました。

YAHOOファイナンスのインサイダーではないかという書き込みは東証の適時開示情報サービスを見てのコメントじゃないでしょうか。
http://www.tse.or.jp/disclosure/index.html
こちらで7日以前の買い付けについては8:20分に開示されています。

ほんとですね。ありがとうございます。
知ってないとその時点で、「ライブドアと村上は繋がっている。」(ヤフー掲示板のコメント)というところまで考えがおよばないんじゃないかとも思いましたが、まあ同じ六本木ヒルズですし、ニッポン放送といえば村上ファンドですし。もちろん、これが証拠になるというようなもんでもありません。

ToSTNeT取引の約定詳細についてはこちら。
http://www.tse.or.jp/market/tostnet.html
この買い付けについては適時サービスのほうで9:25分に開示されているようです。

ほんとだ。だから9時半で値段が跳ね上がってたわけですね。ありがとうございます。
ちなみに、教えて頂いた東証さんの「ToSTNeT取引-超大口約定情報」では、「ToSTNeT-1の株券に係る単一銘柄取引のうち売買代金が50億円以上のもの」だけ公開されてます。
image002.gif
これを足しても9,370,270株、約567億円にしかなりません。
自分の持ち株数とぴったり同じだったらバレバレなわけですが、この開示を抜けようとおもったら、50億円以下に細かくわけて約定させればいいわけですしね。
ん?
まてよ。もしかして、上述の「大株主」のインサイダー取引違反を回避するために、まず、「前日まででライブドアが大株主になったので、大株主が異動しますよ」というのを8:20分に開示して、その直後の8:22分あたりからToSTNeTで取引を開始したということでしょうか?
ライブドアさんが、35%のうち先に一部を普通取引で取得したのは、「ToSTNeTで入手する予定の分」では33%に足らないからだとばかり思ってましたが、よく考えたら、

株式会社ライブドア:1,756,760株(発行済株式総数の5.4%)
株式会社ライブドア・パートナーズ:9,720,270株(発行済株式総数の29.6%)
合計:11,477,030株(発行済株式総数の35.0%)

ですから、33.33%ギリギリ取得するんだったら、何もライブドアが先行して5%超取得して、わざわざ開示する必要もなかったわけですからね。
(追記)ホントにインサイダー取引にならないのか?
(2/11 6:00)
taka-mojitoさんからコメントいただきました。

さて、今日は、読んでいて若干気になった点があったので、勇気をもって一言。
「主要株主の異動」は、確かに証取法166条の重要事実に該当するのですが、これがインサイダー取引となるのは、ニッポン放送の会社関係者がその職務等に関し、その事実を知って公表前に取引を行った場合、または当該ニッポン放送の会社関係者から当該情報を受領した人が公表前に取引を行った場合ではないでしょうか。つまり、従前の株主とライブドアとが、ニッポン放送の会社関係者と無関係に(会社関係者から情報を得ずに)、直接情報交換を行った場合には、どちらもいわゆるインサイダーとはならず、証取法166条の規制対象とはならないのはないでしょうか。

おっしゃるとおりですね。
というか、帳簿閲覧権を持つ3%以上の株主は「会社関係者」ではあるのですが(証取法166条�(2))、インサイダー取引に関係するのは、「当該権利(帳簿閲覧権)の行使に関し知ったとき」ですから、今回は関係ないですね。大変失礼しました。
ご指摘ありがとうございました。

加えて、「主要株主の異動」は、発生事実ですので、厳密にいえば、従前の株主とライブドアとの取引成立によって、その事実が発生するということで、取引の時点では重要事実が発生していないということにもなるのではないでしょうか。

ここは微妙だと思ったわけです。
つまり、株主はおそらく複数名いるわけで、仮にいきなりToSTNeTで10%の株がライブドアに異動して「事実」が発生したとすると、少なくとも二番目以降の取引をする株主は、「事実の発生後」に取引をしたことにならないでしょうか?
(今回の場合、先にライブドア本体による普通取引での買い集めして当日9:20分にはリリースしてますし、そもそも帳簿閲覧権に関係ないので、今回はそこは関係ないわけですが。)

あと、仮に「主要株主の異動」が発生した場合、公表を行うべきなのは、ニッポン放送のはずで、ライブドアが開示を行ったとしても、インサイダー取引との関係では、重要事実の公表にはならないと思われます。磯崎さんが「主要株主」ではなく、「大株主」という用語を用いているところに、ひょっとして意味があるのかもしれませんが、とりあえず気づいた点を指摘させていただきました。私の方に誤解等あるようでしたら、ご指摘いただければ幸いです。

(インサイダー情報に該当する大株主の移動があるとして)、それに関する大量保有報告書の提出や適時開示や報道があっても、ニッポン放送が公表するまでは取引しちゃだめと解されるでしょうか?(166条だけ読むとそうとも読めますが。)
ニッポン放送は、大量保有報告書が出されたら、その内容をプレスリリースしないといけなかったでしたっけ?
さて、仮に一昨日にタイムスリップして、「ホリエモンが某大株主等から合計35%のニッポン放送の株をゲットするらしいぜ」という情報を「会社関係者」等から聞いちゃった場合に、みなさんならニッポン放送株を買いますか?ということですが。
儲かるのは確実。でも、絶対有罪にならないかしらん?「バスケット条項」等にひっかかる可能性はないか?というようなことで、どうも、まだ「地雷」が残ってるような気がしてなんとなくおっかないですが、やっぱり、(荒っぽく言うと)、どんなに儲かるのが確実な一部の人しか知らない情報であっても、「会社の内部」から出た情報でなければ、インサイダー取引にはならないということですね。
と、今見たら、taka-mojitoさんとやりとりされて、47thさんも記事で、きれいに整理されてらっしゃいます。こちらも大変参考になりますので、ぜひ、ご覧ください。
(追記その2)167条対策は?
47thさんの「ブロック・トレードとインサイダー取引規制」(2)へのリンク
TOBの場合のインサイダー取引の解説をしてらっしゃいます。
施行令31条に要注目のもよう。
(取り急ぎ。)

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ライブドアのニッポン放送株1/3超取得は違法か?(続き)

さて、ライブドアのニッポン放送株取得の方法と日付ですが、前掲のプレスリリースによると、「ToSTNeT-1による時間外の市場内取引によって」「平成17年2月8日」に買付け、とあります。
日経の報道の時刻は10時53分になってますので、それ以前の本日の時間外というと、寄付(よりつき)前ということになるんでしょうね。

ToSTNeT取引に関する業務規程、信用取引・貸借取引規程及び受託契約準則の特例
http://www.tse.or.jp/guide/rule/teikan/13.pdf

ホームページでのToSTNeTの説明
http://www.tse.or.jp/cash/tost/#

上記規定の第9条で、ToSTNeTで売買が成立した場合には、売買価格が公表されるということになってます。
チャートの動き
本日のチャートは以下の通り。
NipponHoso20050208.gif
どのタイミングでToSTNeTの情報が公表されたのかわかりませんが、少なくとも「ライブドアが取得」というのは公表されてないでしょうから、9時直後はあんまり上がってないわけですが、それでもTOB価格を上回っているので、ニッポン放送を注視してる投資家は、変な値段の付き方だなあとは思ったでしょうね。で、9時半頃にどかんと一山。
日経の記事の時刻が前場の終わり(10時53分)ですので、ここで一般の個人投資家等も気づいたんでしょうか、後場は一段と上げてます。
「ライブドアが買った」というのはインサイダー情報?
インサイダー規制に、上場会社の発生事実として「主要株主の異動」が含まれてますので、公表前(何時何分でしょうか?)に、それを知って買ってた人は規制にひっかかる可能性もあるかと。
ちなみに、Yahoo!ファイナンスのニッポン放送株の掲示板を見たら、本日一番のメッセージから、

タイトル:ライブドア 2005/ 2/ 8 8:50 メッセージ: 835
投稿者: xxx(8歳/男性/海外ネバーランド)
買ってます。

タイトル:ライブドアと村上は  2005/ 2/ 8 9:21 メッセージ: 836
投稿者: xxx
繋がっている。ということは・・・
ここからどうなるか本当に楽しみ!

と、朝一番から情報漏れまくり・・・。(苦笑・・・。)
ToSTNeT-1は「市場内」か「市場外」か
47thさんは、ToSTNeT-1は「取引所有価証券市場外」とみなされてしまい、証券取引法違反となってしまうリスクがあるとされているとのことですが、前掲の東証の解説ページによると、
「売買内容の公表:相場報道システムを通じて、個別銘柄の取引内容、総売買高、総売買代金等を公表」
とありますので、情報の開示という意味では一般の取引と変わらないとも言えます。
また、(直接は関係ないですが)、昨年証取法が改正されて、今年4月からは、証券会社に「最良執行義務」が課せられるようになります。考え方としては、今まで証券取引所に取引が集中していたのを、欧米のように、取引所やPTSが競争する環境を作るということの一貫で、「市場」の概念は、「取引所という一点」から、もうちょっと「ふわっ」とした概念に変貌しつつある(ただし、価格等の情報はリアルタイムで共有される)という流れかと思います。
(もちろん、今の証取法はPTSで買い集めるのがTOBの規制に引っかからないとは読めないわけですが。)
参考:大和総研:最良執行義務の細則案(2004年12月9日)
http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/securities/04120902securities.pdf
こういう意味でも、ToSTNeTは「立会外」ではあるものの、まさに「東証の中」ですから、ずばり「市場内」になるような気がしますが、どうなんでしょうか。
(アメリカ等では、TOBの規制とPTSとの関係はどうなってるんでしょうか?)

ToSTNeT-1 は、機関投資家等の多様な取引ニーズに対応するもので、単一の銘柄の注文についてネットワーク上で匿名で取引の相手方を探し出し、個別に条件交渉を行い、取引を成立させることができます。

という東証のホームページでの説明からしても、相手がだれだかわからずに取引するのであれば、マーケットインパクトを与えずに取引もできるわけだし、「市場内」とみなして、一般的には問題ないと思われます。というか、それだけ大量の注文を普通取引にブチ込まれても、それはそれで迷惑そう。
ただーし。
ほ:「例のアレなんですが。」
む:「はい。」
ほ:「今からToSTNeT-1で買い、入れますんで。」
む:「じゃあ、こっちも証券会社に言ってToSTNeTに売りを入れとくので。」
ほ:「よろしくー。」
む:「それでは。」
てな会話(仮設例)が、六本木ヒルズ内(仮設例)などで行われていたとした場合に、47thさんのおっしゃるように、「実質的に市場外で取引したのと同じではないか?」という疑問は沸き起こるところ。
というか、もしそういう取り決めが当事者間であったということが発覚した場合には、これは、証券取引法違反で摘発できますでしょうか?(いろんな意味で、ちょっとムリっぽい気もしますが。)
報道によると、当然のことながら、堀江社長は、

一方、ライブドアにニッポン放送株式を売却したのは、1月現在で大株主のエム・エイ・シー(村上世彰代表)ではないのかとの指摘については、「誰から買ったかは、特定が難しい」とし、明らかにしなかった。ただし、村上世彰氏には、「事前に意向を聞きに行った」としている。

と、あくまで、ToSTNeTによる相手方がわからない取引だったというスタンスを取ってますね。
ただ、「事前に意向を聞きに行った」とはおっしゃってますね。「会ったことも無い」といったら、すぐバレちゃいますからね。でも、二人だけで話していたら、何話してたかは立証はほぼ不可能。録音とかビデオでも撮ってない限り。
また、ライブドアさんは、社長単独で800億円の買い物ができる規定(取締役会規定等)になってるんでしょうか。権限の範囲内の行為だったのか?というのは興味ありますね。
または、早朝取締役会を開いたか。
ディフェンス側のフジテレビとしては、この取引が実質的に証券取引法によるTOBの規定に従わないで行われたものであるということで株券の受け渡しをさせない仮処分申請をかける、というような手は有効でしょうか?(ライブドアがTOBの手続きを踏み直したら価格はもっと上げざるを得ないでしょうから、ライブドアの負担は増えるでしょうけど、フジテレビの負担ももっと増えますね。)
うーん。ビミョー。まだ一波乱も二波乱もありそうですね。
ではまた。

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