要 旨
和平の糸口はやはり日枝会長?。
ITベンチャーとテレビ・ラジオ局の現場って、(意外にも)相当似てる。
テレビ局は現場のperformance measurementが比較的容易なので、「経営しやすさ」の観点からも、買収の対象としては最高かも。
(以下、本文)
日枝会長歩み寄り?
夜中にフジテレビの日枝会長が「ライブドア側の話を聞く用意がある」と発言されたとのこと。今回のフジテレビ・ニッポン放送側の対応の最大の問題点の一つは、話も聞かずに「ライブドアと組むと企業価値を損なう」としてきたことであって、これだと以前申し上げたとおり、アメリカの裁判所でも、どちらが株主のためになるのか検討不十分としてライブドア側の勝ちとなるのは確実なんじゃないかと思います。
ということで、「話を聞く」というのは、ライブドア側からいろいろ事業計画などの資料を提出させるだけさせて次なる裁判の反証の材料にしようという「陰謀」か?・・・というのは考えすぎかも知れませんが。いずれにせよ、今回、ギョーカイの方々にいろいろ聞き及ぶところによると、フジサンケイグループの誰もが非常に日枝さんを恐れているご様子ですので、この方の出方次第で「和平」か「泥沼化」かも決まる、ということでしょうね。(そういう意味では、問題解決の手法は意外にシンプルかも。)
IT系企業とテレビ局・ラジオ局とのカルチャー
みなさん、IT系企業は「今風のカルチャー」で、テレビ局やラジオ局は「旧態依然とした社風」だとお考えの方も多いんじゃないかと思いますが、(経営陣はともかく)、今回、いろんなテレビ局やラジオ局におじゃましてみて、現場の雰囲気は かなり似通っているんじゃないかと。両方とも、茶パツやジーンズのおにいさんやおねいさんが多いし。(笑)
技術系のスタッフやアート系のスタッフなど、いろんな職種の人が協調して働いているのも共通の特色かと思います。
テレビ局のマネジメント
テレビ局の経営は、(良くも悪くも)「視聴率」という極めて客観的な指標によって評価できるし、されてしまうので、経営のレイヤーから現場(若い人)への権限移譲が非常に行いやすい業態なんでしょうね。
今回、いろんな方から、この業界の取締役会や局長クラスの会議の様子を聞き及ぶ機会があったのですが、会議の間は基本的に全員「凍り付いている」らしいので。(私がどちらかというと見慣れている)社長にもバシバシとツッコミが入るベンチャー企業の取締役会とはまったく異質なようです。
逆に言うと、数ある業種の中でも、テレビ局やラジオ局ほど経営陣を総とっかえして問題なくオペレーションが継続できる業種は無いかも知れません。
確かに、これは買収対象としては最高かも。少なくとも銀行を買収するよりは、かなりうまくいきそうです。
(追記:3/12,9:30)
昨日、東京地裁の決定が出たのが、ちょうどWBSの大石さんにインタビューを受け始めようとしたところだったんですが、どなたかの「決定が出たらしいぞ!」という声を受けて、我々もどどっとテレビ局各社のモニターの前にかけつけて他のスタッフの方々といっしょに各社のモニタ画面に釘付けになって見入ってました。
「フジはこう来たかー」「うちは○○だー」等、各社の扱いについてスタッフの方々の口から漏れるコメントを聞いていると、「なるほど、そういうところやそういうところを気にしてるのかー」と、大変勉強になりました。文字通り「1秒単位」で競争してるんですね。各局の方とも、番組が始まる前後の報道フロアの様子を「戦場みたいになります」とおっしゃるところも共通してます。
テレビ局は「寡占」ですので経営のレイヤーがどこまで競争の感覚をお持ちなのかはともかく、現場のレイヤーでは、競争やスピード重視の感覚は、IT系ベンチャーを含めたあらゆる業種の中でも最も強いかも知れない、と感じました。
(非常に刺激かつ参考になりました。<(_ _)>)
(ではまた。)
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