敵対的M&A対応の最先端

今日の日経新聞1面下の書籍の広告欄に載っていた本。
敵対的M&A対応の最先端(近刊)
商事法務
太田 洋・中山龍太郎 編著 3,990円
わあ。この本、おもしろそうだなあ。:-)
・・・と思ったら、(案の定)、まだAmazonで検索しても出て来ません。
新聞の書籍広告を見て、即Amazonで買おうとする人って最近はすごく多いと思うんですが、せっかく広告出してるのにもったいないですよね。マーケティング的に言うと、広告を見て「こりゃよさそう」と思った時が、顧客が一番本を買う気持ちになってるときじゃないかと思いますが、時間をおいた分、広告費の効果が下がっちゃうわけです。
広告が出た時には(予約でもいいので)Amazon等のオンライン書店で買えるようにしておいていただきたいもんです。>商事法務さん。
Amazonさんの方も、新聞に広告が載る前にあらかじめデータを登録しといてくれという営業をもっと徹底してもいいんじゃないでしょうか。(そのへん、どんな事情があるのか無いのかよく存じませんが。)
(ではまた。)
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敵対的M&A対応の最先端—その理論と実務
太田 洋、中山 龍太郎 (編著)

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75分でわかるヴィトゲンシュタイン

奥さんがアイロンかけながらレンタルビデオ屋から借りてきたDVDを見ていたので、
「何見てんの?」
と聞いたら、
「ヴィトゲンシュタイン。あんたには無理よ。デレク・ジャーマンだし。」
そう。うちの奥さんは、私が「Get out of here! (ゲラロヴヒェ!)」と叫んで窓ガラスを割って飛び出した一秒後に建物が大爆発するような映画にしか興味がない、非文化的な男だと思っとるわけです。
「冗談じゃない。ヴィトゲンシュタインはオレの専門だぞ。(←大ウソ)」
というわけで、あまり興味なかったけど意地でも見ることになりました。
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登場人物もバートランド・ラッセルとかケインズとか非常に豪華なんですが、監督がデレク・ジャーマンだけに、ほとんど全員が ○モ。(別にどうでもいいですが。)
しかし、改めてこの時代のウィーンとかロンドンの知識人というのは、ヴィトゲンシュタインをはじめ、ヘーゲル、ゲーデル、フロイトとか、すごい濃ゆい方々のオンパレードですね。
ヴィトゲンシュタインと接触があったチューリングも、ご案内のとおり、コンピュータサイエンスの基礎を作った方ですし、この時代のウィーンでこうした方々に囲まれてそだったピーター・ドラッカーもアメリカにわたって大成されたわけです。
もうちょっとお勉強されたい方は、知り合いの方が翻訳されたこちらの本もどうぞ。
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90分でわかるヴィトゲンシュタイン

以前、契約書がコンピュータで自動処理できるまでにXML化された未来小説風の話を書きましたが、ホントに契約の「意味」を言語的な「表現」から独立した概念にまで切り離そうとしたら、このヴィトゲンシュタインのような(言葉とは何か、言葉とは何を表しているのか、etc. といった)苦悩にさいなまれる気がします。
(ではまた。)

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ジュニアゴルフブームの投資リターン分析

(追記あり。16:37)
藍ちゃん、さくらちゃんのおかげでジュニアゴルフがブームとのこと。
ブリジストンのジュニアゴルフグッズの対前年伸び率は30%増、ゴルフ販売店によっては昨年の3倍の売上のところもあるとか。
我が家は今から2年ちょっと前に私が長男(当時小1)と親子ゴルフ教室に参加。私が運動不足解消のために一人でスポーツクラブに行ってたんですが、(精神力が弱いので)一人だと続かないため、子供をダシに使ったわけです。
バブル期には、ゴルフ場建設のフィージビリティスタディのためにLotus1-2-3(古)で資金シミュレーション回したり、会員権価格の要因別相関分析したり、原生林に分け入って「ここがクラブハウスの建設予定場所になります」てな仕事もあったので、仕方なくゴルフも何回かやったわけですが、バブル崩壊とともにまったくやらなくなって十数年ぶりでありました。
この4月から、親子教室が1コマ増えて増員枠ができたので、「ボクもやりたいのに・・・」と毎週しくしく泣いていた次男(小2)がついに参加できることに。ついでに奥さんも参加して、ここに一家総ゴルフ体制が確立したのであります。
ちなみに、宮里家、横峯家と同様、下の子の方が(上の子のを見てイメージしてきたせいか)、キャリアの割にセンスがある気がします。スイングの安定性や距離はともかく、アプローチやパターでの距離感や方向性はかなりすごい。4mくらいの長いパットをすぱすぱ入れてきます。
奥さんも初心者の割にスジがいいと思ったら、そういえば剣道二段だった。ゴルフのスイングって、竹刀を縦に振り下ろす動き+背骨の軸中心の横回転の組み合わせですからね。
長男も昨年夏休みに118で回っていたのが、このGWに家族で回ったところ105と、着実にスコアがまとまりつつあります。
(追記:「子供にゴルフさせるなんて、なんて金持ちな!」と思われた方がいらっしゃるようなので補足しておきますが、以前も書きましたとおり、社会全体で「ジュニアゴルファーを育てよう」という機運が高まっており、ゴルフ協会のレッスンで2000円くらいで18ホール回れるとか、子供料金を設定するゴルフ場も出てきたとか、下記の通り、グッズも子供料金になってたりとか、お金持ちでない家の子供でもゴルフができる環境が整いつつある・・・ので私も子供にゴルフなんぞさせる気になったわけです。
ちなみに、2年間でホンモノのコースは2ラウンドしかしてませんので、少なくとも今まではあまりお金かかってません。さすがに今年からはもうちょっとラウンドしたいところですが。)
−−−
ゴルフグッズ、売れてるとはいえ、ナイキの子供用ドライバーが1本7,000円くらいと、大人のドライバーより一桁安いのであまり儲かってはなさそう。将来のゴルフマーケットを拡大させるための先行投資的位置づけなんでしょう。
ただ、実際、安いのはそれだけ飛ばないわけで、長男が当初使っていた無名ブランドの3,000円くらいのドライバーだと120yくらいの飛距離だったのが、ナイキの7,000円のに替えたら140yくらい飛ぶようになり、先日奥さんが買ったレディスの最新チタンドライバーを試しに振らせてみたら、160yくらい飛ぶわけですね。(シャフトが長くなってるだけという話もありますが、さすがスイングはすでにセミプロ級に美しいだけあって、レディスとはいえ大人のクラブをきれいに振り抜いてしまうところがすごい [←親バカ] 。ていうか、奥さんより飛んでるし・・・。)
ゴルフは、普通に練習してたら「はじめた年齢の半分」のハンデにはなるそうなので、ジュニアからはじめるメリットがあるモンの一つでしょうね。小学生なら「もしかしたら将来タイガーウッズや宮里藍クラスになって、億円単位のリターンがあるかも・・・」という親の妄想も膨らむでしょうし(笑)、そこまでいかずとも、大人になってシングルだったら、取引先を「いやー、さすが社長!1打差で負けちゃいましたー、てへへ」と三味線引いて接待するもよし、つぶしも効きそうです。(サッカーやピアノじゃ、そうはいきません。)
ただ、近所の練習場で井沢利光選手の学生時代の練習を見ていた人によると、学校が終わるとお父さんといっしょに練習場に来て、毎日何十カゴと打っていたとのこと。親子でコースのラウンドもしてたでしょうから、年間やはり1千万円以上は使ってたんでしょうね。
宮里家のように村長選に落ちてお父さんがレッスンプロになるとか、横峯家のようにお父さんが自分で山切り開いてゴルフ練習場作っちゃうとか、親も人生賭けないと、世界クラスは難しそうです。
(ではまた。)

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Let’s note T4

(連休で貯めた仕事で忙し気味で、本日は、パソコンネタにて失礼いたします。)
弁護士事務所や監査法人などでも利用が多いですが、私もPanasonicのLet’s note (T3)愛用者です。
本日の新聞の全面広告にも出てましたが、T4 が出ましたね。
本日、通りかかった東京駅八重洲口の特設ブースで展示してまして、早速さわってしまいました。(うん。よさげ〜。)
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世界最長時間駆動:約12時間
今のT3も5時間もつといいながら、古めの電池でパケット通信などしてると1時間ちょっとで電池が無くなったりしますので、12時間というのも鵜呑みにはしてませんが、それでもかなり持つんでしょうね。
私、ほとんどクライアントさんのところ等に外出している(「ゴルゴ13型」の)業態なもんですから、「電池のもち」には悩まされてまして、今までコンセントのあるところを探すのが業務上のノウハウの一つにすらなってたんですが(笑)、これはいいかも。200g弱重くなっても、その分換えの電池を持ち歩かなくて済むのでOKです。
セキュリティチップ(TPM)搭載

最新のTPM(Trusted Platform Module)セキュリティチップを搭載。ファイルやパスワードを暗号化するときに使われる暗号鍵を、HDDに記録するのではなく、セキュリティチップで管理します。万一HDDのみを取り出されて解析を試みても、暗号鍵がHDD上にないので、暗号化・認証の強度や信頼性を強化しています。

だそうです。
私もそれなりに守秘性の高いデータを大量に持ち歩いているので、今までも(ディザスターリカバリーを考えて関東以外の場所へも含めて暗号化してバックアップするのはもちろん)、モバイルパソコンのについては紛失しないように最大限の注意を払いかつデータも暗号化するというのは行っていたわけですが、暗号鍵が別になるというのはより安心です。
できれば、指紋認証とかもほしかったですね。(パスワードの盗み見等対策として。)
(ではまた。)

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図解シニョリッジ

本石町日記さんが、通貨発行者である日銀さんが得られるメリット「シニョリッジ」について書かれてます
シニョリッジは、よく「日銀は原価数十円の紙を印刷するだけで1万円として通用させられるので、9千9百何十円は『丸儲け』」と理解されてますが、会計上は、発行した通貨の額は下記の日本銀行の貸借対照表?(BS)の図のとおり、(利益でなく)負債として計上されてます。
一般の銀行のBSを見ると、普通の事業会社のBSと違って「預金」が負債(貸方・右)」になってるので、ちょっと簿記をご存じの方はびっくりするわけですが、日銀のBSを見ると、現金(表記は「発行銀行券」)が負債になってるので、さらにびっくりできるわけです。

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出所:日本銀行営業毎旬報告 (平成17年3月31日現在)より磯崎作成

「企業が社債発行して資金調達するのが負債に計上されるのと同じじゃん」と考えればすんなり理解できます。1万円で印刷できる社債券を1枚1億円で発行しても、9999万円「儲かる」わけではないですから。
ただ、兌換でない紙幣を発行した場合に、日銀が法的に何の「債務」を負っているのかというところまで考えるともう一度頭がこんがらがります。
先日、「年金2008年問題」の著者の玉木伸介さんに、「国民は年金を払って『お金が貯まった』気になっているが、公的年金は、国民の政府に対する『債権』ではない。民間の金融商品とは法的性格が全く異なる。」ということを教わって、「えっ、そうだったの?」と目からウロコが落ちたんですが、根拠法規の違う日銀券も社債のアナロジーで考えてはいかんのかも知れませんね。
また、上図の資産(右×[訂正])側に目を転じると、日銀さんが国債を100兆円!も抱えてらっしゃることがわかります。
昔、社会科で日銀の公債引受は禁止されているてなことを習ったような記憶があったのですが、このBSだけ見る限り、「原則禁止」というよりは「原則OK」としか読めませんが。(不勉強でよく存じませんが、直接引き受けるのはダメだけど、市中から買い入れるのはOKという意味でしょうか。)

財政法第五条  すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

単純な自己資本比率が1.66%、国債のリスクウエイトをゼロ、その他の資産をざっくり8掛けとしても6%程度の自己資本比率というのも、シロウト目にぱっと見ると大変びっくりできます。
(ではまた。)

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内部統制のアテストと「清濁併せのむ」経営

本日の日経一面トップ「不正防止へ企業統治監査」で、金融庁が内部統制状況についても監査する制度を2008年にも導入する予定だ、と報道されてます。
具体的に興味深いのが5面の「企業コスト増必至」という関連記事の数値。
PwCが米企業約100社を調査した結果として、内部統制の整備・監査の費用は1社あたり平均10億円、最高75億円に上り、米国の大手会計事務所は04年度の監査関連報酬が前年に比べ75%−110%増加。(その分の人員はどっから持ってきたんでしょうねー。アメリカの会計士の層の厚さゆえか。)
日立製作所のコメントとして「人件費だけで100億円、監査法人にも10億円以上払った」としてます。
日立製作所さんは、

従業員数(単独)35,097人、(連結)320,146人
単体売上2,597,496百万円、連結売上高9,027,043百万円
(Yahoo!ファイナンスによる2005年3月期業績)

といった規模でいらっしゃるので、それぞれ、
従業員一人当たりコスト:(単体)34万円、(連結)3万円
売上高比:(単体)0.42%、(連結)0.12%
といった感じでしょうか。
メーカーの方は製造プロセスでISO9000等を取得するというようなことはピンと来ると思うのですが、公開会社というのは自分の会社(の株式)を「商品」として個人や法人にも販売してるわけですから、その経営管理のプロセス(会社のクオリティ)自体でそうした品質保証のしくみを導入するとしたら、まあ、それくらいのコストはかかるということかと。
一方、「株式を公開するためのコスト」は今後も着実に上昇していくでしょうね。
(この内部統制のコストというのは、公開会社だけに限った話ではなくて、企業全般の経営管理のクオリティを保つために必要なコストですから、必ずしも「株式を公開するためのコスト」とは言えないと思いますが。)
あまり規模の小さい(時価総額100億円以下くらいの)企業が公開するメリットは、ますます無くなるかも知れません。
戦後まもなくなら、不潔な工場で食品を作っててもアリだったかも知れませんが、今や、きちんと衛生管理された工場でないとコンビニにも納入できない、というのと同じ話で、「うまけりゃいいじゃん」という話ではない。その時代の求めるクオリティとして必然的に発生するコストではないかと思います。
(でも、監査のコストの重要性を認識してる経営者って、限りなく少なそうです。)
いまだに「経営者たるもの清濁併せのむことが必要」みたいなことをおっしゃる方がよくいらっしゃるのですが、内部統制がきちんとしてすべてが文書化されてくると、今後(特に公開企業において)は、「清濁併せのむ」という概念は、(良くも悪くも)存在し得なくなる気がします。「濁」のリスクがあまりに大きすぎる。
ベンチャー経営者のみなさん、ぜひ光の中を歩んでください。
−−−
他にも、「次世代DVD」とか、「みずほFGが買収防衛を助言」とか、「EU要望受け金融庁長官が会計基準の差異縮小に努める」とか、「ニレコさんの新株予約権に差し止め仮処分申請」とか、本日は非常に興味深い記事がたくさんありましたが、連休明けリハビリモードのため、本日はこれにて。

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リハビリ、エントリ

GWで更新をさぼっていたら、すっかり書き癖が抜けてしまい・・・。
本日更新しないと二度と書き出せないような気がするので、取り急ぎ、書いてみました。
ではまた。

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監査法人以外のキャリアの公認会計士

伊集院さんよりおたずね。

全然関係ないんすけど、磯崎さんの公認会計士三次受験資格って、
「公認会計士法施行令第2条3項、前号に掲げるものを除くほか、地方公共団体以外の法人において、原価計算その他の財務分析に関する事務を直接担当すること。」ですか?
今、僕は大学生なんすけど、監査法人勤めるつもりはないんですけど、私企業の経理・財務とかに勤めて原価計算その他の財務分析に関する事務を直接担当したら、すんなり三次試験受ける事ができるのか、その程度とかはどうなのか、お知り合いの公認会計士さんとかで、原価計算してたのに、なかなか受験認めてくれないとかあったら、教えてください。

はい。その「原価計算その他の財務分析に関する事務を直接担当すること。」です。
一応、監査法人さんに数ヶ月出向して監査の現場もちょっとは経験させてもらったのですが、受験資格としては「財務分析」です。
当時の関東財務局の試験担当の人に相談に行ったら、「めずらしいんですよねー、こういうケースは・・・」といって、親切にいろいろアドバイスをしてくれました。
ただ、監査法人に勤めていれば証明書1枚でOKと聞いてますが、私の場合、
「勤務先の会社概要のパンフレットないですか?」とか
「どういう部署で、どのような業務を担当したかの経歴を詳しく記入してください」とか、
「今まで財務分析した報告書を、クライアント名等は塗りつぶして何冊か添付してください」とか、
何回かやりとりして、結局、提出した資料は厚さ20cm超の「力作」になりました。
あいにくと、他に同じパターンの方に未だ出会ったことがありませんので、他の方のケースは存じません。
三次試験はご案内の通り「口述」があるわけで、ここで(監査の実務経験がないからイジめられたりするんじゃないかとか)ちょっと心配したんですが、むしろ逆で、
「ずっと一般企業で財務分析を含むコンサルティングをやってました。」
と試験官に言ったら、
「それはいいですねー、全然心配ないですから落ち着いて答えてくださいねー」
と、試験官の方2人とも不気味なほど猫なで声でやさしくてびっくりした記憶があります。
「じゃあ、売掛金の実在性に関する監査手続きは何だったですかね?うん?」
「えー、『確認』・・・です」
「そうそう。監査経験無いとか言ってたけど、ちゃんとできるじゃない、ねえ、先生?」
「ええそうですねー。じゃあ、その調子でもう一問・・・」
てな感じで、「ナメてんのか」と思うほど態度はやさしかったので、「差別」はなさそうですからご安心を。(13年も前のお話なので、ご参考になるかどうかわかりませんが。)
昨日も、某監査法人のエラいパートナー(この方もかなり変わった経歴)の方と話してたんですが、
「弁護士さんって、離婚ばっかりやってる人とか、貧しい人のためにがんばってる人とか、英語ばっかり翻訳してる人とか、法廷でケンカするのが何より大好きという人とか、非常にいろんなタイプがいるけど、会計士って、非常に似たようなタイプの人が多いですわな」
ということで、もっといろんな職歴やアプローチの多様な人材を育てるために努力している、という趣旨のことをおっしゃってました。
がんばってください。
(ではまた)

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「仲良くしない」技術

普通の人が福音書を読んで最もびっくりするところの一つは、以下の節じゃないかと思います。

わたしが来たのは地上に平和をもたらすためだ、と思ってはならない。平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ。わたしは敵対させるために来たからである。人をその父に、娘を母に、嫁をしゅうとめに。こうして、自分の家族の者が敵となる。わたしよりも父や母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりも息子や娘を愛する者も、わたしにふさわしくない。(マタイによる福音書10.34〜)

社外取締役の導入とか、内部統制とか、橋梁の談合の話とか、公益通報者保護法の施行とか、60mもオーバーランしたのに車掌が仲間をかばって8mと報告しちゃう件とかについて、いろいろ考えていると、なぜかこのフレーズが頭に浮かんで来るんです。
日本のほとんどの人は、「仲良きことは美しき哉」「和をもって尊しとなす」という概念は非常に発達してると思うのですが、「『あるべき姿』のためには、最も親しい人とも敵対しなければならない」というマインドを持ち合わせている人というのはほとんど存在しないんじゃないでしょうか。
そういう教育受けてませんし。
コーポレートガバナンスとか社外取締役とか内部統制とか内部通報者とかいう概念は、ことごとく「キリスト教がインフラとして存在する国からやってきたもの」、とも言えます。(つまり、経済の基礎である通貨にまで「IN GOD WE TRUST」と書いてあるような国から、です。)
そういう「インフラ」自体が存在しないところに、「手法」だけ持ってきてうまくいくのかしらん?という(ちょっと悲観的な)気もしてしまうわけです。「けなす技術」が大切だというのは確かにそうなんですが、「技術」でいいのかしらん?というか。
明治以降、「和魂洋才」で発展した日本は、結局、肝心なときに「アメリカと戦うなんて無茶っスよ」と言える人材もしくみも作れなかったわけですが、「ガバナンスの仕組み」というのは、そうした明治政府が取り入れた技術にも増して「洋才」が「洋魂」とセットになってる気がするわけです。
(ではまた。)

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