大掃除終了

(クリスマス以降、来年の事務所引っ越しの打ち合わせとかなんとかもあり、バタバタしておりまして、ブログのエントリも書けませんでしたが。)
今年は、仕事でお世話になったみなさま、コメント・トラックバックいただいたみなさま、大変お世話になりました。<(_ _)>
来年もまた、よろしくお願いいたします。
では、よいお年をお迎えください。

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王子と労働

身の回りでもオイルマネー系の投資家の方との接触の話が頻繁に出る今日この頃ですが、本日の日経新聞でもオイルマネーの紹介記事が2つも。
9面では、「サウジの投資家 アルワリード王子に聞く」という記事が掲載されてます。

アルワリード・ビンタラール王子 1955年リヤド生まれ。(中略)現アブドラ国王は叔父。米カルフォルニア州の大学を卒業後、投資活動に入る。総資産は236億ドル(約2兆8千億円)で、米フォーブス誌の2005年世界富豪番付で第5位。

とのこと。
この方が大量保有報告書を出すとしたら、職業欄には「投資業」とか書くんでしょうけど、もし「無職」と書いたら「50歳無職男」と報道されるのかなあ、と妄想。
たぶん、千葉の「27歳無職男」の方と違って王子のほうは、取引所が開いてるあいだ中ずっとモニターでチャートとにらめっこ、なんてことはせずに 非常におおまかな投資の指図を出すだけで、我々庶民からが考える「働いている」という姿からはほど遠いのではないかと想像しますが、ご本人が申告されるとされないとに関わらず、「無職」と呼ばれることは無い気もします。(たとえ王族でなくても。)
このへん、投資活動において「働く」とは何か、という根源的問題に関わりますね。
「労働集約的な活動」だけが「働く」ではないわけで。同じ投資家でも、デイトレーダーやスイングトレーダーの方の活動されてるお姿はかなり「労働」に映りますが、91年に買ったシティグループの株をそのまま15年近く持ち続けるのは、庶民から見てあまり「働いている」ようには見えません。
民法上の組合やLLP、LPSなどで、中心となる組合員(GP)以外も経営に参画する「共同事業要件」を満たすかどうかにも関わる問題かも知れませんね。つまり、第三者の(庶民的)観念で「共同事業要件を満たすのかどうか」とか「GP以外の組合員は働いてないじゃないか」ということが、どういう場合にどこまで言えるのかどうか。
(ではまた。)

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「無職」はキャピタルゲインが事業所得になるのを避けるためか?

2つ前のエントリ「みずほ証券誤発注で儲けた27歳無職男」に対して「しろうと」さんからコメントいただきました。

素人の疑問ですが、投資家と名乗っていると、税務当局から、キャピタルゲインでなく、事業所得とか認定されて、税金が高くなるおそれとかないのでしょうか?

これは「素人の疑問」というより、税理士の方でもそう思われている方がよくいらっしゃるので、なかなかいいご質問ではないかと思います。(以前申し上げたように、個人の株の申告をやってる税理士さんというのは、意外にもほとんどいらっしゃらないんじゃないかと思いますし、株の税金というのは奇々怪々なので。)
なお、毎度のことながら、以下は単なる思いつきで、私の税務上の意見を形成するものではありませんし、私が関与するいかなる法人・個人の見解を代表するものでもありません。また、このエントリに基づいて行動されて損害が発生した場合等でも当方は一切責任を負えませんので、念のため。
事業所得と分離課税、どっちの適用が先か?
租税特別措置法第三十七条の十(株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)では、

居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成十六年一月一日以後に株式等の譲渡(証券取引法第二条第二十項に規定する有価証券先物取引の方法により行うものを除く。以下この項、次条から第三十七条の十一の二まで及び第三十七条の十二の二において同じ。)をした場合には、当該株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(第三十二条第二項の規定に該当する譲渡所得を除く。第三項及び第四項において「株式等に係る譲渡所得等」という。)については、所得税法第二十二条(iso注:「課税標準」)及び第八十九条(iso注:「税率」)並びに第百六十五条(iso注:「総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算」)の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この条及び第三十七条の十一において「株式等に係る譲渡所得等の金額」という。)に対し、株式等に係る課税譲渡所得等の金額(株式等に係る譲渡所得等の金額(第六項第五号の規定により読み替えられた同法第七十二条から第八十七条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額)をいう。)の百分の十五(iso注:租税特別措置法第三十七条の十一(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)で上場株式等については7%[+地方税3%=10%]。平成十九年十二月三十一日まで。)に相当する金額に相当する所得税を課する。

ということで、事業所得と譲渡所得を分ける以前に、まずは分離課税の税率が適用される、と読めます。
必要経費が所得の計算上控除できるか
事業所得とみなされると、税率も分離課税(の低い税率)のままの上、必要経費を控除できるメリットがある可能性もあります。
前にもご紹介しましたが、昨年平成16 年6月14日付けで経済産業省大臣官房審議官(産業資金担当)から国税庁課税部長に対して「事前照会」がかけられてまして、(個人ではなく、投資事業有限責任組合等の場合ではありますが)、株式のキャピタルゲインの所得区分や経費の取扱いについて、かなり詳細な質問が行われています。
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/bunsyo/02/houzin/2633/02.htm

国税庁課税部長 西江 章 殿
経済産業省大臣官房審議官(産業資金担当) 桑田 始
投資事業有限責任組合及び民法上の任意組合を通じた株式等への投資に係る所得税の取扱いについて(照会)
 
 ベンチャー企業は、新規産業の担い手であり、(前置き以下略)
 投資事業有限責任組合に係る税務上の取扱いについては、民法上の任意組合と同様の取扱い(法人税基本通達14−1−1、14−1−2及び所得税基本通達36・37共−19、36・37共−20)が適用される(平10課審4−20、課審3−41)こととされておりますが、ベンチャー投資等を行う投資事業有限責任組合や民法上の任意組合(以下「投資組合」という。)を通じて得た所得に関し、個人投資家が、所得税基本通達36・37共−20(任意組合の事業に係る利益等の額の計算)に記載されている(1)の方法により所得金額の計算を行っている場合において、その所得区分及び投資組合の運営から発生した諸経費の取扱いについて、それぞれ下記のとおりで差し支えないか、ご照会申し上げます。
 
                               記
 
1. 投資組合を通じて個人投資家が得た所得の所得区分
 個人投資家がベンチャー投資等を行う投資組合を通じて得る所得には、株式等の譲渡に係る所得をはじめとして利子所得や配当所得等の様々な所得がありますが、各投資家における所得の金額の計算上、投資組合において発生する所得をその属性に応じて所得税法に規定する各種所得に区分することが必要となります。
 ところで、個人投資家が得た株式等の譲渡に係る所得が、株式等の譲渡による雑所得(以下「株雑所得」という。)若しくは株式等の譲渡による事業所得(以下「株事業所得」という。)に該当するか又は株式等の譲渡による譲渡所得に該当するかについては、租税特別措置法取扱通達37の10−2(株式等の譲渡に係る所得区分)において、当該株式等の譲渡が営利を目的として継続的に行われているかどうかにより判定することとされております。
 ベンチャー投資等を行う投資組合は、株式公開をめざすベンチャー企業等の株式等に対して投資し、これを売却することによるキャピタルゲインの獲得を目的として組成される共同事業体であり、組合存続期間にわたって、複数のベンチャー企業等に対して投資及びその回収を行っており、営利を目的として継続的に株式等の譲渡を行っているものと考えられます。
 従って、下記の全ての要件が充足され、かつ、投資組合契約書等に記載されている場合においては、出資者が共同で営利を目的として継続的に行う株式等の譲渡を行うものと位置づけられ、個人投資家が当該投資組合を通じて得た株式等の譲渡に係る所得は、株雑所得又は株事業所得(以下「株雑所得等」という。)に該当するものと考えられます。
    (1) 株式等への投資を主たる目的事業としていること
   (2) 各組合員において収益の区分把握が可能であること
   (3) 民法上の任意組合が前提とする共同事業性が担保されていること
   (4) 投資組合が営利目的で組成されていること
   (5) 投資対象が単一銘柄に限定されないこと
   (6) 投資組合の存続期間が概ね5年以上であること

つまり、経済産業省さんは、「組合の場合でも、共同事業性等が担保されているなど『営業』としての実態があれば、所得区分は『株雑所得』又は『株事業所得』とみなしてもいいですよね?」、と聞いているわけです。
つまり、税務上パススルーの組合で共同事業として株式等の譲渡をやってる場合にOKであれば、個人がフルタイムで営利を目的として継続的に行う株式等の譲渡を行っているのであれば、同様に「株事業所得」とみなせると考えるのが素直かと思います。
で、経済産業省さんが、なぜ、こんなことを聞くかというと、

2.個人投資家における投資組合の運営経費等の税務上の取扱い
  個人投資家が投資組合において発生する所得の属性に応じて区分した各種所得から所得税法に規定する必要経費を控除するに当たって、株式等への投資を主たる目的事業とする投資組合が上記1のからの要件を充足する場合、当該組合から発生した株式等の譲渡に係る所得は株雑所得等に該当し、個人投資家は当該組合の運営上発生する経費を所得の金額の計算上、必要経費として控除することとなります。(以下略)。

ということで、今まで、ファンドの管理報酬や成功報酬は、株式等を譲渡した所得から必要経費として差し引けるかどうかがよくわからなかったわけですが、「必要経費は所得から差し引いてかまわないんだ」ということを明確にしたかったからだと考えられます。
もしファンドの場合にOKなのであれば、同様に個人でも営利を目的として継続的に行う株式等の譲渡を行っている人であれば、そうした株式等の譲渡を行う上でかかる経費(例えば、ネットへの接続費用やパソコンのリース料等)も、必要経費にできる可能性はあるということになると思います。
ただ、必要経費にはできるけど、ご質問のように「株事業所得」となることで、税率自体がアップしてしまうのでは、元も子もないわけですが、冒頭で述べたとおり、事業所得だから総合課税ではなく、まず租税特別措置法で分離課税の税率が適用されることになると、考えられます。
(経済産業省は、ベンチャー投資等のファンドの組成をバックアップしたいわけで、わざわざ「事業所得として高い税率になりますよね?」というヤブヘビな質問をするわけもないですし。)
ちなみに、この「事前照会」に対しては、国税庁より、「投資事業有限責任組合及び民法上の任意組合を通じた株式等への投資に係る所得税の取扱いについて(回答年月日 平成16年6月18日)」という回答が出ており、
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/bunsyo/02/houzin/2633/01.htm

標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
 ただし、次のことを申し添えます。
(1) この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2) この回答内容は、国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。

と、「原則OKですよ」という回答が出ています。
もちろん、前述の通り、これは投資事業有限責任組合等の場合、ということで照会したものに対する回答ですし、個人が他に仕事をしないでデイトレをしている場合にどうなるかについては、(その様態によって、ケースバイケースで判断されるとは思いますが)、「事業所得」としたほうが有利になるということも多いかと思います。
(年間60億円もキャピタルゲインが出たら、年間数百万円程度の必要経費が認められようがられまいが、どっちでもいいでしょうけど・・・。)
(ご参考まで。)
以下参考通達:
措置法第37条の10《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》関係通達
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kobetu/syotoku/sanrin/1273/37_10/01.htm#02
(株式等の譲渡に係る所得区分)
37の10−2 株式等の譲渡(株式等証券投資信託等(租税特別措置法第37条の10第4項に規定する株式等証券投資信託等をいう。以下この項において同じ。)の終了又は株式等証券投資信託等の一部の解約を含む。以下この項において同じ。)による所得が事業所得若しくは雑所得に該当するか又は譲渡所得に該当するかは、当該株式等の譲渡が営利を目的として継続的に行われているかどうかにより判定するのであるが、その者の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上、次に掲げる株式等の譲渡による部分の所得については、譲渡所得として取り扱って差し支えない。(平16課資3−3、平17課資3−7改正)
(1)  次に掲げる株式等(以下「上場株式等」という。)で所有期間が1年を超えるものの譲渡による所得 (略)
(2)  上場株式等以外の株式等の譲渡による所得
(注)  この場合において、その者の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上、信用取引等の方法による上場株式等の譲渡による所得など上記(1)に掲げる所得以外の上場株式等の譲渡による所得がある場合には、当該部分は事業所得又は雑所得として取り扱って差し支えない。
(株式等に係る譲渡所得等の金額の計算)
37の10−3 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算は、次に掲げる順序によって計算することに留意する。(平14課資3−9、平15課資3−2、平16課資3−3、平17課資3−7改正)
(1) 措置法令第25条の9第6項の規定により、株式等に係る事業所得、譲渡所得又は雑所得の金額の計算上控除する損失の金額がある場合には、まず、それぞれの所得ごとに控除する。
(2) 株式等に係る事業所得、譲渡所得又は雑所得の金額のいずれかに、その金額の計算上生じた損失の金額がある場合には、措置法令第25条の8第1項及び第25条の9第5項の規定により、当該損失の金額を他の株式等に係る事業所得、譲渡所得又は雑所得の金額から控除する。
(3) 「特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例」の適用を受ける場合には、当該特例を適用する。
(4) 「特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例」の適用を受ける場合には、当該特例を適用する。
(5) 「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」又は「特定投資株式に係る譲渡損失の繰越控除」の適用を受ける場合には、当該繰越控除に係る譲渡損失の金額を控除する。
(6) 所得税法第71条《雑損失の繰越控除》第1項に規定する雑損失の金額がある場合には、同項の規定による控除を行う。
(注) 上記(1)から(4)までの計算に当たっては、措置法令第25条の8第1項、第25条の9第5項及び第6項の規定により、まず、それぞれの譲渡を次の区分(以下「譲渡区分」という。)ごとに行うことに留意する。
�「公開等」
「特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例」の適用がある株式等の譲渡に該当するもの
�「上場」
 措置法第37条の11第1項各号に掲げる上場株式等の譲渡(上記に該当するものを除く。)に該当するもの
�「未公開」
 上記及び以外の株式等の譲渡に該当するもの

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アルファブロガーを「もっと」探せ-2005 

先日、「Japan Blogger Conference」でしゃべらせていただいたんですが、客層的に私なんぞに興味ある方もいらっしゃらないだろうと思って、イベント後の懇親会はパスしたところ、トラックバックをいただいて、kushさんや大西宏さんなども懇親会に行かれていた、と知りました。(やっぱ、いけばよかったか・・・。)
−−−
さて、今年のはじめに「アルファブロガー」なるものに選んでいただきまして、インタビュー本
alpha_blogger.JPG
まで出していただきましたが、1年たって今年もまたアルファブロガーの投票を行うそうで、事務局から告知をお願いされましたので、お知らせさせていただきます。
投票サイトはこちらになります。
http://alphabloggers.com/
事務局の徳力さん曰く;
「正直、今年はもう辞めようかと思っていたのですが、濃いブログが20名固定と思われるのも良くないという意見をもらったり、意外に多くの人から今年はやらないのかと聞かれたのもあり、悩んだ結果、もう一回やってみることにしました。」
「できれば昨年に比べて濃いブログがこんなに増えているという結果になればやる意味があったということになるのですが・・・」
とのことですので、(私のブログはさておき)、どしどし ご投票をお願いいたします。
アルファブロガー本の印税も入られたようで、今年は「豪華賞品」(PSP、iPod nano等)も当たるようです。:-)

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「みずほ証券誤発注で儲けた27歳無職男」

(12/21 9:35追記あり。)
報道で「みずほ証券誤発注で儲けた27歳無職男」てなタイトルが踊ってますが、よく考えてみると、「無職男」ってのも大変失礼な言い方ですよね。
今年に入ってから60億円も儲けてらっしゃると報道されてますから、普通のファンドマネジャーとしても飛び抜けて優秀のみならず、そこらへんの上場企業の社長が何百人・何千人使って稼ぐよりよっぽど高いパフォーマンスをあげてらっしゃるわけで。
おそらく、「たまたま運がよくて苦労もせずに不労所得で大もうけした」という視点からの発言なんでしょうけど、何年間も勝ち続けるというのは、(運も必要でしょうけど)運だけで出来るわけないわけで、ニートや引きこもりと同列の扱いというのもひどい話です。マーケットの情報を分析してリスクをとって稼ぐというのは、りっぱな「お仕事」じゃないでしょうか。
これが、(キャピタルゲインに対して10%ではなくて、わざわざ約4割もの法人税を払うというタックスプランニング上はかなりアホな)法人化という選択をされていれば、「投資会社社長」とか報道されてた気も。もし自宅が千葉じゃなくて六本木ヒルズだったら「ヒルズ族」とか。ネットで投資してるから、「若手IT系社長」とか。:-)
[追記]
小飼弾氏からトラックバックいただきました。

本来「無職」というのは「現在職に就いていない」という以外の何も意味しない、無色かつ無難な言葉でしょう。(中略)
法人を持ってなくても「自営業」ぐらいは名乗れますし、「投資家」だって自称できます。そしてその申告をわざわざマスメディアが「無職」と言い換える事はまずありえません。

改めて大量保有報告書を確認してみましたが、ご本人が「無職」と報告されてらっしゃるんですね。
(取引所が開いている間、ずっと画面に張り付いて自己資金を運用するというのは、りっぱな「仕事」だとは思いますが、)、ご本人がそうおっしゃっているなら、もちろん何も異存ございません。大変失礼いたしました。<(_ _)>
(ではまた。)

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老舗ホテルで見たのはベンチャースピリットだった

とある事情で、この週末、家にいられないので、疎開することに。
せっかくだから箱根までドライブし、富士屋ホテルに泊まってみました。
午後4時から老ホテルマンが館内のツアーをしてくれるんですが、これが非常にすばらしい。富士屋ホテルが、日本で最も古いリゾートホテルの一つだということは存じてましたが、非常にタメになりました。
kannai_tour.JPG
概要は、以下の通り。
富士屋ホテル創業者山口仙之助は明治維新後、後に津田塾大学創立者となる津田梅子などと同じ船で渡米。3年間米国で辛酸をなめたあとに「日本は今後西欧化するから牧畜業が盛んになる」と考えて、稼いだ金で7頭の種牛を買って帰国するんですが、発想が先を行きすぎていて失敗。(日本はまだ乳製品をみんなが食べるような時代ではなかった。)
「勉強し直しだ」と思って慶應義塾に入り直したところ、さすがは福沢諭吉先生、仙之助のギラギラした感じは学問というより実業向きだと考えて、「これからの日本には国際的な観光業が必要」「箱根に鉄道をひいて開発すべし」というビジョンを仙之助に説き、仙之助は箱根の開発を決意。当時の宮ノ下は、まともな道路もなく宿屋が数軒あるだけの超ド田舎だったわけですが、仙之助は「藤屋」という旅館を買収、名称を外国人にウケのいい「富士」屋に改称して富士屋ホテルの営業を開始した、とのこと。
ちなみに、前身の藤屋は、その昔、豊臣秀吉が小田原城攻めをするときにも宿泊したという、すごい歴史があるとのことですが、富士屋ホテルになってからも、ヘレン・ケラーやアインシュタイン、ネール首相、ジョン・レノンなど、すごい方々が宿泊。
そういえば、昨日の「世界ふしぎ発見」で、ちょうどアインシュタインの訪日を取り上げてましたが、11月末に来て12月末に離日したので、富士屋ホテルに宿泊したのも、ちょうど今頃の時期のはずですね。
建物自体が文化財の固まりで、しかも現在ではとても作れないような細かい意匠にまで凝った作りになっていて、これは一見の価値ありでやんすな。
館内ツアーを聞きながら、当時の箱根の何もない状況から、これだけのものを作り上げることを想像してみると、これはまさにベンチャースピリット以外の何物でもない。今はやりの温泉大浴場とかがあるわけでもなく、部屋にブロードバンドも無いですし、ドアがオートロックでないホテルというのも久しぶりに泊まったわけですが、ベンチャースピリットの息吹を浴びてみたい方は、ぜひ御一泊されることをお勧めします。
おまけ:
朝食のときに出てきた、ゆでたまごのカラを割るやつ。(奥さんが「悪のミッキーマウス」と命名。)
evil_mickey.jpg
おまけ(その2):
気候がヘンなせいか、帰りに西湘バイパスを通ったら、蜃気楼を見た。(生まれて初めて。)
遠くの陸地が宙に浮かんで見える。(相模湾なのでそっちに陸はないはずですが。)
大島らしき島も、すぐ間近に浮かんで見えた。
shinkiro.jpg

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Japan Blogger Conference 2005.12.16 Fri

というイベントのパネルに出させてもらいました。
http://bloggerconference.jp
パネル1は、CNET Japan Blog – 情報化社会の航海図の渡辺さんの司会で、ネタフルのコグレさん、情報考学Passion For The Future の橋本さん、と
最近、桜塚やっくんがツボにはまっているので、「『これはなかなか知らないだろう』と密かに注目しているBlogは?」という渡辺さんの質問に、「眞鍋かをりブログ・・・」とボケて、会場から「有名だよ!」というツッコミをちょっぴし期待したんですが・・・(・・・ま、もっとちゃんと前フリしとかないと無理がありましたね。)
(ではまた。)

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クロス・ボーダー証券取引とコーポレート・ファイナンス

畏れ多くも、松本啓二先生の新刊、

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クロス・ボーダー証券取引とコーポレート・ファイナンス
社団法人金融財政事情研究会 刊

に、isologueのMSCB(MPO)に関する記述を引用していただきました。(122ページ)
(といっても、47thさんのブログを私が引用させていただいた部分の方が主だったりします。)
本書は、ブログを引用されてるくらいで、型に はまった法律書ではなく、(まださらっとしか拝見しておりませんし、私が申し上げるのもナンではありますが)、非常におもしろいです。
本の帯曰く;

「一証券ビジネス弁護士の軌跡の記録」
「本書は法律書にして、法律書ではない。なぜなら、読む者をして飽かしめない、そんな法律書はないからである(推薦のことば)」
「クロス・ボーダー証券法律実務の成立ちに加え、資本・M&A・ベンチャー市場、それに関連する通貨、経済、経営関連分野についてもコンパクトに整理」

とのこと、です。
(取り急ぎ。)

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日本ラブストーリー大賞

知り合い(原田マハさん)が、第1回『日本ラブストーリー大賞』を受賞。

彼女とは、約10年前に六本木の某再開発エリアの(あの)高いビルのてっぺんに世界初の美術館+展望台という組み合わせの施設を作ろうというプロジェクトのfeasibility studyをいっしょにやった関係なんですが、いやー、ご出世されて。おめでとうございます。<(_ _)>
(なんといっても、特別選考委員の大塚愛[さん]といっしょに写真、というのがウラヤマしい。)
(俺もがんばろ。)

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買収防衛策と証券取引所間の競争

(取り上げさせていただくのが、かなり遅くなりましたが、)12月5日号(No.1751)の商事法務に、「買収防衛策の導入に係る上場制度の整備等に関する要項試案の公表」(下村昌作/東京証券取引所上場部企画担当課長)という論文が載っています。
11月22日に東証さんのホームページに公表された、「買収防衛策の導入に係る上場制度の整備等について(要綱試案)」についてのご紹介、になります。
この論文での「買収防衛策」の定義として、

なお、上場会社自らが実施する買収防衛策に加え、その主要な子会社が上場会社に対する買収の実現を困難にするような方策をとる場合についても、「買収防衛策」として扱うことがあるものとしている。これは、たとえば、純粋持株会社の事業の多くの部分を占める子会社が親会社である上場会社の買収の実現を実質的に困難にするために拒否権付株式を友好的な第三者に発行するような場合が想定されるからである。

てなこともおっしゃってますが:-)、それはさておき。
ほとんどの部分はごもっともなことばかりなのですが、ちょっと興味深かったのは、P28「3 上場審査上の取扱い」という部分。

なお、新規上場会社の取扱いについては、たとえば、米国のニューヨーク証券取引所(NYSE)で一部既上場会社よりもゆるやかな対応(たとえば、いわゆる複数議決権株式の発行を既上場会社については認めていないが、新規上場時点で既に発行されていた場合には上場を認める可能性が示されていることなど)をとっていることから、わが国においても。ベンチャー企業の特性などを踏まえ同様の対応をとってはどうかという意見があり、その点については、要項試案に対して寄せられた意見などをもとに検討することとしている。
しかしながら、当初厳格な一株一議決権原則を採用していたNYSEが原稿の取扱いのように基準を緩和した背景には、NASDAQなどの他市場との上場会社獲得競争という経緯があることには留意が必要であると考えている。

これを、「日本ではJASDAQに比べて東証の方が圧倒的に強いから、アメリカの状況とか、あんま気にしなくていいんじゃないの?」というように読むというのはイジワルな読み方かも知れませんが。確かに、既上場企業が後から導入するのは認められないようなスキームが、新規上場企業には認められるというのは、今ひとつ理論的にすっきりしない面があるというのもわかります。
この本質は、「多様なガバナンス」を認めるのかどうか、と、その効果いうことじゃないでしょうか。
つまり、未上場企業はもちろん適法であればどんな資本スキームでも採りうる(そもそも譲渡制限が付いていることが多い)一方で、既存の上場企業には複数議決権等は今後も禁止される方向、ということですが、
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既公開企業が「資本の論理」だけで動かないしくみに改めることは社会全体の厚生度を下げることになるのだと思いますが、一方で、世の中には公開企業より未公開企業の方が多いわけで、そういう「多様なガバナンス」を導入しないと公開を選択しない未公開企業を、その権利の一部だけでも公開させることは、社会全体としてプラスなんじゃないかと思います。
つまり、新規上場にも複数議決権等のスキームを認めないとすれば、下図くらいの新規上場しか認められないところが、
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複数議決権を認めてくれなければ上場しないという会社が上場できるようになることで、上場企業のバリエーションは増えることになるわけです。
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一方、ハードルを下げることで、本来、複数議決権等のスキームを採用しないでも公開した会社まで、ややこしいスキームを付けて公開するようになると、かえってマイナスかも知れません。
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「どうしても必要な企業だけ」そういうスキームを採用して公開してもいい、というような、うまいスクリーニングのしくみが存在すればいいわけですが、どうでしょうか?
幹事証券としても、プレーンな株式の方が売りやすいはずですから、少なくとも今の需給関係の下では、「よほどの企業」でないと、そうしたややこしいスキームを付けての上場というのは敬遠されるはず。つまり、ルールではなく経済原理でそういう選別はできないものでしょうか。
「マザース立ち上げ時期のドタバタ」を思い返して見ると、上場会社にも対「アタリ・ショック」的配慮は必要な気はします。そうした「クソゲー」登場防止の役割を担うのは、証券取引所がいいのか、それとも証券会社や投資しているVC等のブランドでどうにかなるのか・・・。
取引所というのは、eBayやヤフオクなどのオークションと同じように、「ネットワーク外部性による自然独占(寡占)」が働きやすい業態。放っておけば自然に「一人勝ち」の取引所が現れる気がします。
(パソコンのOS会社でOSとブラウザを分離するとかしないとかいう話にも共通する気がしますが)、そうした弊害に配慮して、自主規制機能を分離するとかしないとか、クリアリング機関を作るとか、PTS(証券取引法第2条第8項第7号)や最良執行義務(証券取引法第43条の2)等で、取引所間の競争を(ちょっとでも)促そう、ということかと。
少なくとも言えるのは、取引所が一カ所しかなかったら、「ややこしいのはダメ。以上。」で終わってしまう可能性は高そう、ということじゃないかと思います。
(ではまた。)

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