元日経新聞の編集委員の牧野洋さんからメールいただきました。
牧野さんと言えば、当ブログの一昨年の売上No1になった
も書かれた方ですが、「ワーク・ライフ・バランス」を掲げて一昨年 日経新聞を退職し、昨年からは南カリフォルニアに家族と住んで、「大手町からカリフォルニア」というブログ
http://worklifebalance.justblog.jp/blog/
を立ち上げられたところです。
(追記2010/4/8:ジャストシステムのブログが終了したことにより、リンク切れ。新しいURLは、
http://worklifebalance.typepad.jp/blog/)
このブログ、現時点でネットで検索しても結果ほぼゼロなので、まだ一般にはあまり知られてないと思いますが、これから充実されていくとのことなので、要注目かと思います。
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さて、一点、牧野さんに教えていただいたのですが、
牧野さんが昨年翻訳された、アメリカのシンクタンクランド研究所について書かれた本「ランド」
に次のような一文が出てくるそうで、
Over the past few years, a growingly serious branch of American history sometimes called allohistory or counterfactual history has devoted itself to what might be called the ‘what if.’ What if the Confederacy had defeated the Union in the Civil War? What if Archduke Ferdinand had not been assassinated and World War I never happened? What if Hitler had invaded England? What if Al Gore had won Florida in 2000? It is a wonderful kind of speculation, meant to explore the essential capriciousness of fate, to examine the rationale for people’s actions and the way certain forces are considered by historians to be immutable.
アメリカの歴史学会の中に「アローヒストリー」と呼ばれる学派がある。「反事実的歴史」とも言える学派で、その活動はますます本格的なものになっている。ここ数年、この学派が集中的に取り組んでいる問題は「歴史に『もし』が許されたら」である。つまり、もし南北戦争で南部連合国が北部諸州に勝利していたら? もしオーストリア・ハンガリー帝国のフェルディナント皇太子が暗殺されずに、第一次世界大戦が起こらなかったら? もしナチスドイツのヒトラーがイギリスの侵略に成功していたら? もし二〇〇〇年の大統領選中にアル・ゴアがフロリダ州で勝っていたら?
これらは頭の体操である。運命が本質的に気まぐれであることを探究したり、歴史上の人物の行動の背後にある合理性を考察したり、なぜ一定の歴史的な流れは変えようがないと歴史家が考えるのかを調査したりするには、このような方法が欠かせない。
先日私が書いた「タメグチ的ガバナンスの歴史」は、この 「allohistory」(counterfactual history)と共通する部分があるように思います、 とのことです。
「歴史のifに意味が無い」というのは、「歴史は『カオス』的であって、ほんのわずかな条件の差でその後が大きく変わってしまうから、あまり『what-if』を考えてもしょうがない」、または、「もう起こっちゃったことは変えられないんだから、考えても意味がない」といったことかと思いますが、
確かに、「来年がどうなるかを予測したい」といった目的に使えるかどうかはともかく、例えば、その歴史上のできごとが単なる「偶然」なのか、それともそのイベントがなくてもいつかは必ず同様のことが発生する「必然」なのかを考えることは、特に、「自由」「市場」「民主主義」といった、現代の世界を支える根幹のしくみの意味を多角的に考えてみるのには、絶対必要ではないかと考える次第であります。
SF小説やマンガなどでは、「もし、あのとき」というのは、よく使われる手法じゃないかと思いますが、学問としてそういう手法が存在するのは存じませんでした。どうもありがとうございます。>牧野さん
また、元シンクタンク研究員であるにも関わらず、不勉強にも上記の「ランド」もまだ読んでませんでしたので、早速買って読ませていただきます。
(ではまた。)
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