週刊isologue(第39号) 創業期ベンチャー企業の企業価値評価

今年最後の「週刊isologue」です。

週刊isologue 37号「ベンチャー企業の事業計画(初級編)」で事業計画の作り方のさわりの部分を取り上げ、先週38号「創業期ベンチャー企業の資金調達」では会社設立のタイミングを中心に考えてみましたが、今週は、自分の会社が投資を受ける際に、「どのように」「いくらで」評価されるのか、について考えてみます。
企業価値がいくらで評価されるかで、投資の額や創業者や投資家の持株比率が決まって来ますので、ここはベンチャー企業の将来にとって非常に重要です。

「企業価値評価」をどう行うかについてテクニカルに詳細な説明をした書籍がたくさん出ていますが、特に創業期に近いベンチャー企業が自社の企業価値(投資してもらう株価)について交渉する際には、そういう理論的に精緻な話が必ずしも当てはまらないことが多いかと思います。

一方で、そうしたテクニカルな話が無駄なのかというと決してそうではありません。
創業期の企業価値評価は、特定の算式に数値を代入したらポンと答えが出るといったものではないですが、いろいろな企業価値評価方法の「考え方」は大いに参考になると思います。

今回は、

  • 純資産法
  • 類似企業比準法
  • DCF法(Discount Cash Flow法)

などの一般的な企業価値評価の方法を説明しながら、技術的に精緻な話というよりは、創業期のベンチャー企業が投資家と交渉する際の「考え方」を見ていきたいと思います。

 

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(ではまた。)

 


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社外取締役はなぜ増えないのか?

本日12月26日の日本経済新聞朝刊16ページの、編集委員 渋谷高弘氏、村上徒紀郎氏による署名記事「社外取締役導入初の減少、上場企業、09年は9社減、1610社に」は、社外取締役の役割や事実関係について、いろいろ世間の誤解を招きかねない内容だと思いますので、コメントさせていただきたいと思います。

 

記事では、私が8月まで社外取締役を務めさせていただいていたカブドットコム証券について、

同社の特別調査委員会は「社長の経営管理上の問題があった。2人の社外取締役も社長をけん制する力が弱く、十分な機能を果たせなかった」と断定した。

とあり、社外取締役が2名しかいなかったようにも読めますが、実際には当時の取締役7名のうち、社長を除く6名全員が社外取締役でした。

特別調査報告書では、上記の社外取締役のうち、(なぜか)親会社である三菱UFJフィナンシャルグループの会長等を兼務していた方々を除く3名に対してのみヒアリングし言及しておりますが、私は、当時の社外取締役6名全員とも、社長を牽制する力が弱かったとは全く考えておりませんし、全上場企業の中でみてもかなりクオリティの高いコーポレートガバナンスを行っていたと考えております。

 

そもそも社外取締役は、基本的に単独で行動するのではなく、取締役会等の会議体を通じて社長や執行役を監督するのであり、また、社長の一挙手一投足を24時間監視しているわけでもありません。仮に、本件において社長が出したメールが問題だったのだとしても、そのメールを送信することまで社外取締役が監視できるわけもありません。

また、本当のワンマン社長なら、メールを出す場合に他人に相談なんかしないと思いますが、社長は特別委員会報告書にも記載されているとおり、他の役付執行役2名とメリット・デメリットを協議の上、メールを送信してるわけです。

 

すなわち、当時の社外取締役6名は、社長がワンマンで自分勝手に活動するのを見て見ぬ振りをしていたどころか、その逆に、社長が常に組織的意思決定を重んじて、重要な事項については前もって各社外取締役や執行役間で相談して行動する人間であることを確認した上で日常の経営を任せていたわけです。

 

記事には、「社外取締役が不祥事を防ぐという基本の役割」とありますが、これも読者に社外取締役の役割を誤解させる表現だと思います。社外取締役の役割の一つは、「会社の不祥事を防ぐための態勢が構築されているかどうかを監督すること」ではありますが、社長や従業員の一挙手一投足を24時間100%見張ることではありません。

これは監査法人や公認会計士における「監査の期待ギャップ」と全く同じ構造の話です。
「会計監査してるんなら粉飾や不正は100%見抜けるはずだ」という世間の期待に対して、会計士業界は何十年も根気よく「会計監査は、会社の取引の100%を抽出して行っているわけではないし、粉飾を100%完全に防げるものでもないんですよ」といったことを説いて来ました。

しかし、公認会計士が会計監査を主な本業とし、会計監査が正しく理解されなければメシが食えなくなる可能性があるのに対し、社外取締役の場合「社外取締役が本業」という人はほとんどいない。社外取締役に就任するのは、他社の経営者や弁護士、公認会計士など、多様な人々であり、「社外取締役全体」の品質を高めたり、社外取締役の性質やその限界を集団を代表して広報する機能は基本的には存在しないわけです。

 

記事では社外取締役が減っている理由についていろいろ解説してますが、社外取締役が減っている本質的な原因は、上記のように社外取締役全体を代表する広報活動も無い中で、この記事から垣間見えるようなマスコミの不勉強や過剰反応もあって、社外取締役のリスクが日増しに高まっているにも関わらず、就任するインセンティブが非常に小さいからではないかと考えます。

 

(ではまた。)

 

ご参考リンク:

カブドットコム証券 特別調査委員会報告書

カブドットコム証券社外取締役辞任について(コーポレートガバナンスについてのご参考)

池永朝昭弁護士のブログでのご意見について

池永朝昭弁護士のブログでのご意見について:その2

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「AGORA」:映画「アバター」が社会に示唆すること(デジタルによるリアルの「代替」)

「アゴラ」に記事を書きました。

映画「アバター」が社会に示唆すること(デジタルによるリアルの「代替」)

3D映画「アバター(AVATAR)」によってインスパイアされたことを書いてみました。

 

(ではまた。)

 

 


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週刊isologue(第38号)創業期ベンチャー企業の資金調達

今回のメルマガ「週刊isologue」は、創業期のベンチャー企業が資金調達する場合の注意点(いつ、どういったタイミングで法人化したり資金調達をすればいいか)について考えてみました。

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今週の目次&キーワードは以下の通り。

  • 事業をするのに「法人」にする必要はあるか?
  • 投資とのタイミングで「いつ」法人にするのがいいか?
  • ベンチャーの「法人成り」で巨額の税金が発生するリスク
  • 個人投資家から出資してもらうリスク
  • VC(プロの投資家)との交渉と法人化のタイミング
  • 創業期に知識不足でベンチャーの芽が摘まれる?

 

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(ではまた。)

 


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週刊isologue(第37号) ベンチャー企業の事業計画(初級編)

ここのところ連続してベンチャー企業向けの話をしてますが、今回は「事業計画」の話です。
基本的にはベンチャー企業の事業計画を想定して書きますが、大企業の新規事業や社内ベンチャー、ジョイントベンチャー等の計画を立てるのにも役に立つかも知れません。

ベンチャー企業は非常に多様な事業にチャレンジするわけですので、「どんな事業にも使える汎用的な『事業計画の立て方』」なんてものは無いと思うのですが、それでも、いろんなベンチャー企業を見ていて役に立つんじゃないかと思ったことをいくつか書いてみたいと思います。

・・・ということで。

今週の目次&キーワードは以下の通り。

  • 事業計画で一番大切なことは何か?
  • Excelに落としてナンボ
  • 「分厚い事業計画」を書けば投資してもらえるか?
  • 事業計画にはどのようなことを書くか
  • 出来映えのレベル
  • どのくらいの目標を掲げればいいか?

 

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(ではまた。)

 


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「AGORA」:「紙のお金が無くなる日」は来るのか?

「アゴラ」に記事を書きました。

「紙のお金が無くなる日」は来るのか?

 

池田信夫さんの「デノミのすすめ」で出て来た、貨幣を電子マネーだけにするというアイデア(冗談)をベースに、「通貨とは何か」「資本主義とは何か」について考察してみました。

 

(ではまた。)

 


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週刊isologue(第36号) ベンチャー企業のストックオプション(「人間ドラマ」と「算数」編)

この週末は、福岡で開催されたソフトウエア開発者向けのカンファレンスで、ベンチャー企業のファイナンスの話をさせていただき、やはり今回も熱気あふれるベンチャーの方々にたくさん聴講いただきました。ご出席いただいた方、ありがとうございました。

ソフトウエア会社の方々だけあって、ツイッターでリアルタイムにいろいろ感想なども拝見できたのですが、「知らないことが多かった」「ベンチャーとは何かを理解していなかったことが理解できた」といったご意見が多いことに、またびっくり。

ネットの時代でもあり、特にIT系の会社などでは、そういった情報はベンチャー同士の間やWebなどで交換されているのではないかと漠然と考えていたのですが、やはり、ベンチャー企業のファイナンスについては、情報がありそうで無いのだなあ、と思いました。

1時間程度のセミナーでは、なかなか複雑なベンチャー企業のファイナンスについて語り尽くせませんので、このメルマガでも引き続き、ベンチャー企業について多めに取り上げて行きたいと考えています。

 

最近では、ストックオプションの書類の「ひな形」的なファイルを知り合いの会社からもらってきて、それに自分の会社の社名や従業員の名前を書き込んだら完成だ!と思ってる方や、実際にそうされた会社も多いかも知れませんが、今回は、「意外に考えるべきことはいろいろありますよ」というあたりを考えてみたいと思います。

・・・ということで、今回は、

  • 「要項」と「契約書」に書くことを、ちゃん分けて考えているか?
  • 「上場まで行使できない」条項
  • アメリカと日本のストックオプションの感覚の違い
  • ストックオプションと上場審査
  • バイアウトを考えたストックオプションか?
  • 合併等の場合(「対価」の選択)
  • 「2年間は行使できない」という条項
  • 相続
  • 「計算式」は、ちゃんとしているか?

 

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アゴラ連続セミナー「起業家のためのファイナンス講座」

(「アゴラ」の方でも宣伝していただいてますが、こちらでも告知させていただきます。)

おかげさまで、先月のアゴラ起業塾が満員札止めの大好評だったため、内容をより深堀りした「連続セミナー」をやっていただけることになりました。内容は、起業家のための実践的なファイナンスの知識を系統的にお伝えするものです。

  • 自社の価値を高める事業計画の立て方
  • ストックオプションはどう設計するか?
  • 出資、M&Aを持ちかけられたら?
  • 企業価値はどう評価されるか?

等の内容を、4週に分けて講義する予定です。

日時:1月6日、13日、20日、27日(毎週水曜)18:30〜20:30
会場:都市センターホテル(平河町)
定員:30名(先着順で締め切ります)
受講料:6万円(12月14日までに入金の場合5万円)学生は半額

なお、講演で話すには細かすぎる部分、技術的な部分などを含めて、11月から1月までの「週刊isologue」(メルマガ) では、ベンチャーのファイナンスについて多めに取り上げていきたいと思いますので、そちらも合わせてご購読いただくと、理解の参考になると思います。

 

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(ではまた。)

 


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事務所移転のお知らせ

磯崎哲也事務所は、12月より従来の丸の内から外苑前に事務所を移転いたしました。

おかげさまで実効面積が3倍くらいに広がったので、仕事がはかどること!(メモリー増設した気分です!)が、家賃はものすごく下がりました。(デフレ万歳!)

新住所等の詳細は、事務所ホームページをご覧ください。

(なお、祝花等は遠慮させていただいております。)

「花がダメなら、この際、メルマガでも取ってやろうじゃないか!」という奇特な方は、下記↓のリンクよりお申し込みいただければ幸いです。:-)

 

(ではまた。)

 


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「社会の複雑化」と「会計士」

先日、新オフィスに日本公認会計士協会の準会員会(昔の士補会)の幹部の方5名が来られて[新オフィス最初のお客さん]、インタビューしていただいたんですが、その記事がホームページに掲載されました。

 

企業内会計士として働く:
「複雑化する社会の中で、会計士の力が役立つ場面は増えていくと思います。」
http://www.jija.jicpa.or.jp/special/interview1.html

 

監査法人に勤めたことがない(トレーニーは数ヶ月やらせてもらいましたが)という人間をわざわざ選んで聞きに来てくれたそうで、ありがとうございました。

5人とも「受験時代からisologue読んでました」とのことで、ありがとうございます。

インタビューの中にも出て来ますが、最近、会計士試験に合格しても、監査法人へ就職できない人が急増しているという強い問題意識をお持ちだそうです。
会計士試験というのは、「いわゆる会計」の範囲に限らず、事業会社にしても行政にしても、複雑な事象を解きほぐして、元データから全体像をつかみとる「複雑さと闘う力」の基礎を学ぶには非常にいい試験なのではないか、ということをしゃべらせていただいております。

取り急ぎ、ご紹介まで。

 

(ではまた。)

 


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