先週は、バイオ関連を除く米国テクノロジー系ベンチャーのIPOの事例を見ながら、社外役員の株式によるインセンティブは是か非かについて考えましたが、「バイオ抜きですか…」と、バイオ関係の方から悲しげな反応をいただきましたのでw、今週はバイオ系の事例を取り上げてみたいと思います。
日本のベンチャーでも、IT系・ネット系は、すでに多くの上場の実績があり、そこで成功して資金を獲得したりノウハウを身につけた人たちが、次のベンチャーの立ち上げを手伝うという「第2巡目」に入りつつあります。
この「2巡目」で起業している人たちが、将来「すごい」企業になるかどうかはさておき、少なくとも起業そのものについては既にかなり活気づいており、「起業バブル」といった言葉もちらほら目にするようになってきました。
バイオ領域も勢いを付けたいところですが、日本ではまだ上場例も少ないところに、最近では「プロ向け」のTOKYO AIM取引所の上場第一号のバイオベンチャー「メビオファーム株式会社」が5日目にしてやっと初値が付くという、あまり景気の良くない出来事もありました。
今回は、日本よりは好調であろう米国のバイオ関連企業のIPO事例を見て、米国では、こうしたバイオ企業の経営陣、インセンティブ、企業を取り巻く「生態系」などが、どうなっているのかを垣間見てみたいと思います。
Wall Street JournalのIPOデータに載っている昨年8月からのIPO件数は合計173件となっています。
この中にはREITや海外企業なども多数含まれていますが、「米国拠点のバイオ関連企業」に絞ると、1年間で約20社ほどになります。
図表1.ピックアップした「バイオ系」企業一覧(クリックで拡大)
(会社の概要を見てザッと抜き出したものですので、正確性・網羅性等でお気づきの点がありましたら、お知らせいただければ幸いです。)
ご覧のとおり、バイオ関連と言っても、創薬から検査機器、情報サービス、バイオ燃料まで、いろいろ考えられるのですが、この中から、研究開発型で売上もまだほとんど立ってないのに時価総額がそこそこ大きい、という最も「バイオ系的な」事例として「ENDOCYTE, INC.」という創薬ベンチャー企業をピックアップして、そのコーポレートガバナンス、資本政策、株式インセンティブ等について考えてみました。
目次とキーワード:
- 事業の概要
- 投資家はデータから企業価値をどう判断してるのだろう?
- 連結損益計算書、連結貸借対照表
- 未上場段階での資金調達額
- 未上場段階でのデット・ファイナンス
- IPO時の資金調達額
- 経営陣・ガバナンスの特徴
- 上場前後の株主構成と経営者のインセンティブ
- まとめ
ご参考になれば幸いです。
(23時50分ごろ配信予定。)
(ではまた。)
[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。