メディアは変遷する

昨日、「ブログをやっていた人がメルマガ始めるとブログがつまらなくなったり更新頻度が極端に落ちるのがイヤ」という主旨のツイッターの投稿を拝見したので、(私のことだとは書いてらっしゃらなかったですが、私はまさに『メルマガ始めてブログの更新頻度が落ちた人』というストライクゾーンど真ん中に該当するので [笑])、日頃考えているところを書いてみます。

 

(かなり長文なので、ご興味のある方だけどうぞ。 )

 

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週刊isologue(第134号)オリンパスで何が起こったのか?

今週は、英国人社長が解任され、株価も大幅に下落しているオリンパスを取り上げ、そこで何が起こっているのかを開示資料から詳細に分析します。

 

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目次とキーワード:

  • 元社長のレター
  • オリンパスのコーポレートガバナンスはどうなっていたか?
  • 社外取締役は機能していたのか?
  • なぜウッドフォード氏が社長に選ばれたのか?
  • オリンパスは何をやっている会社か?
  • PwCの調査は?
  • 投資の推移の全体像
  • ジャイラス社のアドバイザリーフィーの実際
  • 日本の3社の買収と現在

 

ご興味がありましたら、下記のリンク↓からどうぞ!

 

(ではまた。)

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Yomiuri Online連載第16回目 ベンチャーと秘密保持契約

Yomiuri Onlineに連載させていただいている「磯崎哲也の『起業案内』」第16回目が掲載されました。

http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/isozaki/20111017-OYT8T00915.htm

 

今回のテーマは「ベンチャーと秘密保持契約 」。

意外なことに、シリコンバレーではVCがベンチャーの投資を検討する際にNDAは締結しないが、日本ではどうか、といった話です。

 

ご参考まで。

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週刊isologue(第133号)シリコンバレー進出のファイナンス(その3)

今週も「Venture Deals」という本;

 

Venture Deals: Be Smarter Than Your Lawyer and Venture Capitalist
Brad Feld Jason Mendelson
Wiley
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に基づいて、日本のベンチャー投資実務と対比し、ベンチャーがアメリカに進出する場合のファイナンス、アメリカに投資する人のためのファイナンスについて考えてみたいと思います。

 

先週までは、Term Sheet(投資契約の要点)の条項を見て来ましたが、今週は、ベンチャーキャピタルとの交渉術に関する章;

  • 交渉相手であるベンチャーキャピタルが、どういうメカニズムで動いているか
    (第8章 How Venture Capital Funds Work)
  • 交渉の戦術
    (第9章 Negotiation Tactics)

について考えてみます。

 

今回の範囲については、拙著「起業のファイナンス」

 

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと
磯崎 哲也
日本実業出版社
売り上げランキング: 4329

 

の、第7章「投資契約と投資家との交渉」も、主として日本の場合について、ご参考になるかも知れません。

起業家が資金調達をする際の交渉相手であるベンチャーキャピタル(VC)が、どのような仕組みで動いているのか、について考えるとともに、ベンチャーキャピタル側の経営の参考にもなると思います。(非常に初歩的なことを書いてあるので、ご存知のことも多いと思いますが。)

 

目次とキーワード:

  • ベンチャーキャピタルの基本ストラクチャー
  • capital call方式
  • ベンチャーキャピタルの収益構造
    (フィーの料率等)
  • 成功報酬の税制
  • ファンド間のコンフリクト
  • パートナーがVCを離れるときの問題
  • Fiduciary Duty
  • 交渉でやってはいけないこと
  • イケてる弁護士の見つけ方
  • よくない投資条件を挽回する方法

 

ご興味がありましたら、下記のリンクからお申し込みいただければ幸いです。
(初月度無料)

 

(ではまた。)

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モーニング増刊「食」:なにこれすごい

なにこの企画力すごい。

 

 

昨日、コンビ二で買った週刊モーニングの「食」を特集した増刊です。
(今朝コンビニに寄ったら、もう売り切れてました。)

漫画誌の増刊って「読むところがちょっとしか無い」みたいのが多いんですが、この増刊は、超豪華執筆陣のマンガが少年誌並みの厚さに詰まっていて、隅から隅まで、どれも面白い。(お値段も680円もしますけど。)

一流漫画家の先生方は、たぶん超うまいもんを食う機会に恵まれてらっしゃると思いますので、食のうんちくをしゃべりたい願望のマグマが地中深く「ゴゴゴゴゴ…」と渦巻いていて、「『食』をテーマにした増刊作るんですが」って企画を話したら「やるやる!」って感じだったんですかねー?

冒頭は、カラー写真入りで、弘兼憲史、かわぐちかいじ、うえやまとち、東村アキコといった先生方のお勧めのお店。「勇午」原作の真刈信二氏も噂の「カルネヤ」を紹介。

マンガも、「喰いタン」水戸光圀編、「勇午」インド・カレー編、「山賊ダイアリー」禁猟期栄養補給編など、超豪華。

 

久々に、マンガ雑誌で「すごい仕事」と呼べるものに出会った気がします。:-)

次の第2号は2012年春発売予定だそうですが、待ちきれません。><

週刊とは言わないから、せめて月刊にしていただきたい。

 

(マンガねた続きで恐縮ですが。ではまた。)

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「グラゼニ」化する日本経済

週刊モーニングに連載中の「グラゼニ」ですが、本日発売の今週号が大変な展開になっているので、お見舞いも兼ねて、ご存知ない方にもご紹介を。

 

グラゼニ (1)
グラゼニ (1)

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森高 夕次 アダチ ケイジ
講談社 (2011-05-23)

 

グラゼニ(2) (モーニングKC)
グラゼニ(2)

posted with amazlet at 11.10.13
アダチ ケイジ
講談社 (2011-09-23)

 

実は私、ほとんどプロ野球を見た事がありません。

子供の頃は、高校野球も見れば、友達と原っぱで草野球もしたわけですが、我が家ではプロ野球を見るという習慣がありませんでした。(父親はプロレスファンで、私が産まれそうだという時も「今晩はプロレス中継があるのに!」と言ったといわれておりますがw、プロ野球を観戦していた姿は記憶にありません。)

 

思うにですね。プロ野球というのは、父親がビールで晩酌しながらテレビに向かって「あー、田淵、何してけつかんねん!」とチャブ台を叩くのを横目で見たりしてこそ、正しく「プロ野球ファン」というスタンスが伝承されていく気がするのですが、何も無しで「プロ野球を好きになれ」と言われても、どこから入ればいいのかが(少なくとも私の場合)ちょっとよくわからなかったわけです。

小学校のクラスの友達が数枚チケットを手に入れてプロ野球観戦に出かけたこともありましたが、私は試合はそっちのけで球場に落ちているビールの王冠を拾っていて、「もうお前は2度と野球には連れていかねえ」と言われたこともありました。

私が社会人になる前後は、プロスポーツと言えば(日本の)野球以外にはあまり見当たりませんでしたので、将来、取引先のエラい人の好きな球団を頭に入れて揉み手をしながら「いやー、昨日の巨人はアレでしたよねー」といった大人の会話をしなきゃいけないのか、どうしよう、オレ野球とかよくわかんないし、と思ってドキドキしていたのですが、幸か不幸か、あまりそういう局面に出くわさない仕事に就いて今までなんとか生きて参った次第です。

 

思えば、私の子供の頃の野球マンガというのは、「巨人の星」「アパッチ野球軍」「アストロ球団」など、魔球のみならず、身長3mはありそうな選手とかが登場していましたし、また、高校野球も負ければそこで終わってしまうトーナメントなので、どちらも刺激は強くて「コンテンツ」としては面白いのですが、現実の経済の中で「サステイナブルに」活動し続け得る存在では無かったわけですね。こうした「野球本来の面白さとは違う、強過ぎる刺激」を受けてしまったことが、逆に、私のプロ野球への興味を損なわせることになってしまった面もあるかも知れません。

 

この「グラゼニ」(グラウンドに銭が埋まっている、の意)は、年収1,800万円の中継ぎ投手の主人公の話なのですが、名前のとおり、「ゼニ」の側面から野球を描いています。「ゼニ」というと、ドロドロした世界を思い浮かべるかも知れませんが、「カイジ」などでイメージされる世界とは異なり、野球選手の「普通の」日常の話を淡々と描いています。(なのに面白い。)
よりキレイな言い方をすると、「野球選手のインセンティブ」というか「野球の経済学」というか、プロ野球やプロ野球の選手というものが、どういうビジネスモデルの上に存在しているのか、が描かれているわけです。

つまり、「カバチタレ!」で行政書士の仕事が描かれ、「働きマン」で女性編集者の世界が描かれたように、「お仕事」としてのプロ野球の話なわけですが、野球マンガが今まで数多く世に送り出されてきたにも関わらず、そうした「お仕事マンガ」としての野球マンガは、そういえば今までなかったなあ、と。

 

高校球児と違って、プロ野球選手は、自分で稼いで自分で生活して、必ずしも長く無い選手生活の先の将来まで考えて行動しなければならないわけで、そこで、それぞれの選手がどういう思惑で動くのかが、非常に面白い。
凡田選手の年収1,800万円というのも、普通のサラリーマンに比べれば大変な高給のようにも思えますが、選手生活の長さやリスクを考えれば決してそうばかりとは言えないことが、このマンガを読むうちにわかってきます。

 

日本も、1980年代までのビジネスで働く人は概ね、会社に就職すれば、自分のもらう「ゼニ」やその先の人生のことを何も考えずに、自分の会社の仕事に専念さえしていればよかったわけで、良く言えば「純粋」、別の言い方をすると「高校球児的な存在」だったわけです。

しかし、経済情勢の変化から、昨今の大学生は(もちろん全員ではないでしょうが)、仮によさげな企業に就職できたにしても、その会社が定年までにどうなるかはわからないので、「会社に骨を埋める覚悟で働く」というよりは、手に職を付けたり起業したりと、より「プロ」としての存在を目指す風潮に変化しつつあるのではないかと思います。
(少なくとも私の大学時代には、周囲も私も、「将来は自分で起業したい」なんてことを言うやつは一人も見た事がありませんでしたので、これは(良くも悪くも)非常に大きな変化ではないかと思います。)

 

プロ野球でも起業でも、目立つのはイチローや松井、GoogleやFacebookなどの超スター選手的存在ですが、実際には、もっと「普通」の選手も多いし、引退に追い込まれる選手や、そもそもプロにまでたどり着けない選手もいるわけです。その中で、自分がもらう報酬や生活、将来のことも考えつつ、先発と中継ぎ投手、選手を引退して野球解説者や、まったく野球と関係ない職業に就く登場人物などが織りなす「サステイナブルな生態系」を描いた、この「グラゼニ」は、次の世代の日本のビジネス界を考える上でもヒントをくれるマンガなのではないかと思います。

 

(ではまた。)

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週刊isologue(第132号)シリコンバレー進出のファイナンス(その2)

今週も、アメリカのベンチャー実務について平易に書いた「Venture Deals」;

 

Venture Deals: Be Smarter Than Your Lawyer and Venture Capitalist
Brad Feld Jason Mendelson
Wiley
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を参考に、米国のベンチャー投資実務と日本のそれとを比較して、アメリカに進出するベンチャーや、アメリカに投資する人のファイナンスについて考えてみたいと思います。

 

目次とキーワード:

 

■Control Terms of the Term Sheet

Board of Directors (取締役会[のメンバー])
(日本の役員構成との違い)

Protective Provisions (保護条項)
(誰をどうやって保護する条項か?)

Drag-Along Agreement (「ドラッグ・アロング」契約)
(”ドナドナ”)

Conversion(株式の転換)

 

■Other Terms of the Term Sheet

Dividends (配当)

Redemption Rights(償還請求権)
(日本の「買取請求権」とどう違う?)

Conditions Precedent to Financing(Term Sheetの法的拘束力)

Information Rights(情報受領権)

Registration Rights(IPO時の登録権)

Right of First Refusal(持株比率の保持)

Voting Rights(議決権)

Restriction on Sales(株式の譲渡制限に代わる条項)
(アメリカの未公開株投資に何が起こっているか?)

Proprietary Information and Inventions Agreement(知的財産の管理)

Co-Sale Agreement(共同売却権)

Founders’ Activities(創業者の専任義務)

Initial Public Offering Shares Purchase(IPO時の株式追加購入権)

No-Shop Agreement(浮気防止条項)

Indemnification(免責)

Assignment(複数ファンド間の割り振り)

 

(ではまた。)

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Yomiuri Online連載第15回目 日本は「出る杭は打たれる国」か?

Yomiuri Onlineに連載させていただいている「磯崎哲也の『起業案内』」第15回目が掲載されました。

http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/isozaki/20111003-OYT8T01071.htm

 

今回のテーマは「日本は「出る杭は打たれる国」か? 」。

「日本の風土ではベンチャーは育たない」なんてことを言ってる人は、あまり実業向きじゃないと思います、という話です。

 

ご参考まで。

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週刊isologue(第131号)シリコンバレー進出のファイナンス(その1)

先日、トーマツベンチャーサポート株式会社及び有限責任監査法人トーマツ主催で、渡辺千賀さんと「メガベンチャーを目指すスタートアップのためのファイナンス&シリコンバレー進出セミナー」というのをやらせていただいたところ、非常に多くの方にお越しいただきました。

日本でも「アメリカに進出したい」と考えている会社や人は増えているんじゃないかと思いますので、今回は、ベンチャーがアメリカに進出する場合のファイナンスについて考えてみたいと思います。

 

今年7月に、「起業家、ベンチャーキャピタリストの必読書登場」というTech Crunch JAPANの記事(滑川海彦氏訳、原文はこちら)で、「Venture Deals」という本;

 

Venture Deals: Be Smarter Than Your Lawyer and Venture Capitalist
Brad Feld Jason Mendelson
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(Kindle[電子書籍]バージョンはこちら。)

 

が紹介されていました。

副題の「Be Smarter Than Your Lawyer and Venture Capitalist 」は、「弁護士やベンチャーキャピタルより賢くなろう」ということですね。

もし米国に進出して資金調達をするんだったら、英語でファイナンスの専門用語がわからないといけないのは当然ですし、日本から米国企業等に投資をする場合にも役に立つと思います。
この本はハードカバー本なのですが、本文はたった173ページしかありませんし、非常に平易な英語で書かれていて、原文(英語)のままでも読みやすいと思います。このため、CFOや法務担当などの方々が米国のベンチャーファイナンスのテクニカルな概要を知るために読むのもさることながら、世界で資金調達や投資を考えるベンチャー企業の社長などの経営陣の方々にも是非読んでいただいた方がいい本だと思います。

 

この記事は、著者自身ではなく、ロスアンジェルスGRP Partnersというベンチャーキャピタル(VC)のパートナーであるMark Suster氏

201110030815.jpg

(出所:GRP Partnersホームページ)

が書いたものです。

(GRP Partnersホームページにある経歴を拝見すると、この方は、最初ヨーロッパ、日本、米国のアクセンチュアに勤めていて、その後2回起業し、2回目の会社がSalesforce.comに買収されて、その後、このGRP Partnersに加わった方とのことです。)

 

この記事でちょっとびっくりしたのは、下記の記述。

 

そういったすべてに全く無知だったわけだから、私の最初の起業はあまりうまくいかなかったのも不思議はない。ともかく当時教科書はなかった。ベンチャーキャピタリストが一方的に情報を独占していた。Brad FeldとJason Mendelsonの新著、Venture Dealsはこうした状態を一変させるものだ。

It’s no surprise that I got a bit fawked on my first company. There was no guide. No book. VCs were negotiating with asymmetric information. Brad & Jason’s, Venture Deals, aims to change this.

 

シリコンバレーやボストン近辺をはじめとして、起業家が日本の何十倍もいるであろうアメリカなら、こうしたスタートアップのための入門書は、大昔からあって当然だと思ってましたが、もしかして、2010年9月末に出た拙著「起業のファイナンス」;

 

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと
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は、アメリカに先駆けちゃいましたか?(笑)、と思って一瞬うれしくなりました。

(もちろん専門書であればベンチャーファイナンスの本はかねてからありましたので、多少誇張も入っていると思いますし、ベンチャーがフィーを払えば弁護士等からきちんと説明を受けられる環境は、もちろん、シリコンバレーをはじめとするアメリカの方がはるかに上だと思います。また、優先株のスキームや契約書の複雑さ、洗練度合い、ひな形になっている等合理化されている度合いも、まだまだ遠く及ばないと思います。)

 

今週の目次とキーワード:

  • The Players(生態系)
  • How to Raise Money(どう調達するか)
  • 「Do or Do Not; There Is No Try」(by “ヨーダ”)
  • ビジネスプランは役に立つか?
  • いいVCと巡り会う方法
  • ベンチャーにおけるTerm Sheet (タームシート)の意味
  • Liquidation Preference(残余財産分配権)
  • Pay-to-Play条項
  • 米国創業者の持株のベスティング
  • Capitalization Table(資本政策表)

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